エチレン・アクリル酸エチル共重合体

材料名エチレン・アクリル酸エチル共重合体
略記号EEA
英語名Ethylene Ethyl Acrylate Copolymer
分類熱可塑性樹脂、エチレン系共重合体、柔軟樹脂
基本構造エチレン単位とアクリル酸エチル単位のランダム共重合構造
主な種類低EA品、高EA品、接着改質用EEA、フィルム用EEA
主な用途用途は後述の詳細な利用用途に整理する

エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)は、熱可塑性樹脂、エチレン系共重合体、柔軟樹脂に分類される材料である。 柔軟性、低温特性、接着性、ヒートシール性に優れる。フィルム、ホットメルト、改質材に使用される。

特徴

  • 柔軟性、低温特性、接着性、ヒートシール性に優れる
  • フィルム、ホットメルト、改質材に使用される
  • アクリル酸エチルの含有量が増加するに従い結晶性が低くなる。
  • ゴム的な性質がアクリル酸エチルの含有量が多いと増してくる。
  • 密度:0.92~0.94
  • アクリル酸エチルの含有量に伴い、融点が低下する。(65℃~98℃)
  • LDPEより柔軟性がある。
  • ポリエチレンポリプロピレンのブレンド材料として使用される。
  • 材料特性はグレード、添加剤、架橋、充填材、分子量により変化する
  • 耐薬品性は温度、濃度、接触時間、応力状態で変化する
  • メーカー物性表と実使用試験による確認が重要である
長所
  • 用途に応じた物性設計が可能である
  • 材料固有の耐熱性、耐薬品性、機械特性、柔軟性、透明性などを活用できる
  • 成形品、フィルム、シート、複合材料、コーティングなどに展開できる
  • 改質、共重合、充填材配合により性能を調整できる
短所
  • 耐薬品性、耐熱性、耐候性はグレードにより大きく異なる
  • 成形条件や硬化条件の管理が必要である
  • 応力、温度、薬品濃度により劣化挙動が変わる
  • 採用時にはメーカー資料と実使用試験で確認する必要がある
成形加工

エチレン・アクリル酸エチル共重合体の加工性は、熱可塑性、熱硬化性、ゴム、複合材料の分類により異なる。 熱可塑性材料では溶融成形、熱硬化性材料では加熱硬化、ゴムでは混練・加硫、複合材料では含浸・積層・硬化が基本となる。

加工方法適性主な製品例
射出成形熱可塑性グレードの成形品、機構部品、筐体、精密部品
押出成形フィルム、シート、チューブ、板材、丸棒
圧縮成形△〜○ゴム、熱硬化性樹脂、複合材料、切削素材
注型・含浸△〜○熱硬化性樹脂、光学樹脂、FRP、コーティング
切削加工板材、丸棒、治具、精密部品
接着・塗装表面処理、プライマー、専用接着剤が必要な場合がある

構造式

エチレンアクリル酸エチルコポリマー構造

構造の基本は、エチレン単位とアクリル酸エチル単位のランダム共重合構造である。 既存サイト内の構造部分と同じ考え方で、主鎖、側鎖、官能基、共重合成分、架橋構造、充填材の有無が、耐熱性、耐薬品性、機械特性、吸水性、透明性、電気特性に影響する。

種類

低EA品
名称低EA品
構成エチレン・アクリル酸エチル共重合体の用途別または改質グレードである
特徴エチレン・アクリル酸エチル共重合体の基本特性を用途に合わせて調整したタイプである
主な用途成形品、部品、フィルム、シート、複合材料、改質材など
特徴
  • 標準品に対して用途別に物性を調整した材料である
  • 耐熱性、耐薬品性、柔軟性、強度、成形性、外観性のいずれかを改善する
  • 採用時にはメーカーグレードごとの物性表を確認する必要がある
高EA品
名称高EA品
構成エチレン・アクリル酸エチル共重合体の用途別または改質グレードである
特徴エチレン・アクリル酸エチル共重合体の基本特性を用途に合わせて調整したタイプである
主な用途成形品、部品、フィルム、シート、複合材料、改質材など
特徴
  • 標準品に対して用途別に物性を調整した材料である
  • 耐熱性、耐薬品性、柔軟性、強度、成形性、外観性のいずれかを改善する
  • 採用時にはメーカーグレードごとの物性表を確認する必要がある
接着改質用EEA
名称接着改質用EEA
構成エチレン・アクリル酸エチル共重合体の用途別または改質グレードである
特徴エチレン・アクリル酸エチル共重合体の基本特性を用途に合わせて調整したタイプである
主な用途成形品、部品、フィルム、シート、複合材料、改質材など
特徴
  • 標準品に対して用途別に物性を調整した材料である
  • 耐熱性、耐薬品性、柔軟性、強度、成形性、外観性のいずれかを改善する
  • 採用時にはメーカーグレードごとの物性表を確認する必要がある
フィルム用EEA
名称フィルム用EEA
構成エチレン・アクリル酸エチル共重合体の用途別または改質グレードである
特徴エチレン・アクリル酸エチル共重合体の基本特性を用途に合わせて調整したタイプである
主な用途成形品、部品、フィルム、シート、複合材料、改質材など
特徴
  • 標準品に対して用途別に物性を調整した材料である
  • 耐熱性、耐薬品性、柔軟性、強度、成形性、外観性のいずれかを改善する
  • 採用時にはメーカーグレードごとの物性表を確認する必要がある

代表的な物性値又は機械的性質

項目単位代表値・範囲備考
密度g/cm30.92~0.94PE系樹脂よりやや高めである。
融点60~100EA含有率が高いほど低下する傾向である。
引張強さMPa5~25軟質グレードでは低く、低EA・高分子量グレードでは高くなる。
破断伸び%500~800柔軟性、靭性、耐衝撃性に優れる。
引張弾性率MPa50~150ポリエチレンより柔軟な材料である。
硬さショアD30~40軟質ポリオレフィン系材料に分類される。
耐衝撃性良好低温衝撃性にも優れる。
耐薬品性良好酸・アルカリ・水に比較的安定である。
耐油性中程度PEよりは改善されるが、油・炭化水素には注意を要する。
透明性半透明EA含有率が高いほど柔軟性と透明性が増す傾向である。

耐薬品性

エチレン・アクリル酸エチル共重合体の耐薬品性は、温度、濃度、接触時間、応力、分子量、架橋密度、添加剤、充填材により変化する。 下表は一般的な材料特性として、英語圏の材料データシートで示される傾向と日本企業の物性表で用いられる実用表現を合わせて整理した目安である。

薬品・溶剤耐性備考
○〜△吸水、加水分解、白化、物性変化の有無を確認する
弱酸○〜△多くの場合で短期使用は可能だが、樹脂構造に依存する
強酸△〜×分解、膨潤、架橋劣化、加水分解に注意する
弱アルカリ○〜△材料により安定性が異なる
強アルカリ△〜×エステル、アミド、カーボネート、イミド系では注意が必要である
アルコール○〜△応力下ではクラックや膨潤に注意する
アセトン△〜×非晶性樹脂、極性樹脂、ゴムでは膨潤・溶解に注意する
MEK△〜×強溶媒となる材料が多い
トルエン△〜×芳香族溶剤に弱い材料では膨潤・溶解する
塩素系溶剤△〜×多くの樹脂で膨潤、溶解、クラックに注意する
油・燃料○〜△ゴム系、ポリオレフィン系、ポリアミド系で傾向が異なる

更に詳しくはプラスチックの耐薬品性一覧表を参照。

SP値(溶解度パラメータ)

エチレン・アクリル酸エチル共重合体のSP値は、約17〜19 MPa1/2が目安である。 ただし、ゴム、熱硬化性樹脂、結晶性樹脂、複合材料では、SP値が近くても直ちに溶解するとは限らない。 一次判断としてSP値を使い、実際には浸漬試験、重量変化、寸法変化、外観、機械強度変化で評価する必要がある。

項目SP値(δ)
MPa1/2
備考
EEA(標準グレード)16.8~17.5ポリエチレンより極性が高く、接着性・柔軟性に優れる材料である。
EEA(EA含有量高)17.5~18.5アクリル酸エチル含有量増加により極性が上昇し、極性溶剤との親和性が高まる。
EEA(EA含有量低)16.0~16.8低極性寄りとなり、耐水性・耐薬品性が比較的良好である。
EEA+無機フィラー添加17.0~18.0フィラー種類により実効SP値が変化し、耐溶剤性も変動する。
EEA系接着性グレード17.5前後金属・極性樹脂への密着性を高めたグレードである。

EEAはエチレン系樹脂の柔軟性と、アクリル酸エチル由来の極性を併せ持つ共重合体である。 LDPEより耐油性・接着性は向上するが、ケトン系・芳香族系・塩素系溶剤には注意が必要である。 特にEA含有量が高いグレードほど極性溶剤で膨潤しやすい傾向がある。

溶解性の目安
Δδ挙動
0〜2溶解しやすい
2〜5膨潤・軟化
5以上溶解しにくい
SP値から見た耐溶剤性
溶剤名SP値(δ)
MPa1/2
耐性評価備考
47.9吸水は比較的小さく、安定である。
メタノール29.7短時間接触では比較的安定である。
エタノール26.0アルコール系には比較的耐性がある。
イソプロパノール(IPA)23.5軽度膨潤程度で済む場合が多い。
アセトン20.0SP値が近く、膨潤・軟化に注意が必要である。
MEK19.0長時間接触で著しい膨潤を起こす場合がある。
酢酸エチル18.2EEAとSP値が近く、侵されやすい。
トルエン18.2膨潤しやすく、機械強度低下に注意である。
キシレン18.0高温環境では特に注意を要する。
ベンゼン18.8芳香族溶剤により軟化しやすい。
ヘキサン14.9非極性溶剤には比較的耐性がある。
シクロヘキサン16.8SP値が近く、膨潤する可能性がある。
塩化メチレン20.2×急激な膨潤・軟化を起こす可能性が高い。
THF19.4×強い溶解・膨潤性を示しやすい。

◎:非常に良好 ○:概ね良好 △:注意が必要 ×:不適

※耐溶剤性評価はEEAのSP値中央値(約17.2 MPa1/2)を基準として整理した参考値である。 SP値が近い溶剤ほど膨潤・軟化・溶解が発生しやすい傾向がある。

※特に注意する溶剤:THF、塩化メチレン、MEK、アセトン、芳香族炭化水素系溶剤。 これらはEEAを急速に膨潤・軟化させる場合があり、応力割れや接着力低下の原因となる。

実務上の注意
  • SP値は溶解性予測の入口であり、耐久性評価そのものではない
  • 架橋樹脂やゴムでは溶解ではなく膨潤として現れる場合が多い
  • 結晶性樹脂では温度上昇により急に膨潤・溶解しやすくなる場合がある
  • 応力下ではSP値差が大きい溶剤でもクラックが起こる場合がある

製法

エチレンとアクリル酸エチルを高圧ラジカル共重合する。基本反応:n CH2=CH2 + m CH2=CHCOOC2H5 → −(CH2−CH2)n−(CH2−CH(COOC2H5))m−。 実用材料では、重合後に安定剤、可塑剤、架橋剤、充填材、ガラス繊維、炭素繊維、難燃剤、顔料などを配合して、用途別の物性に調整する。

工程内容備考
基本反応エチレンとアクリル酸エチルを高圧ラジカル共重合する。基本反応:n CH2=CH2 + m CH2=CHCOOC2H5 → −(CH2−CH2)n−(CH2−CH(COOC2H5))m−代表的な合成・製造経路である
改質・共重合柔軟性、耐熱性、耐薬品性、透明性を調整する用途別グレード
コンパウンド充填材、安定剤、難燃剤、着色剤を配合する成形材料
成形・硬化熱可塑成形、加硫、架橋、注型、含浸、硬化を行う最終製品

詳細な利用用途

電気・電子用途
  • コネクタ
  • 絶縁部品
  • スイッチ部品
  • 筐体
  • 保護材
自動車・輸送用途
  • シール材
  • ホース
  • 内外装部品
  • 機構部品
  • 耐候部品
包装・フィルム用途
  • フィルム
  • シート
  • 容器
  • ラミネート材
  • シール層
工業・機械用途
  • ギア
  • 軸受
  • 治具
  • ライニング
  • 複合材料部品
光学・医療・特殊用途
  • レンズ
  • 医療部材
  • 透明部品
  • コーティング
  • 特殊機能材料

関連材料との比較

比較材料違い選定ポイント
ナイロンポリアミド系材料は耐摩耗性と靭性に優れる耐摩耗・機械部品では比較対象にする
ポリオキシメチレン低摩擦、寸法安定性、機構部品に強いギアや摺動部品で比較する
シクロオレフィン・コポリマー透明性、低吸水、低複屈折に優れる医療・光学用途で比較する
ポリビニリデンフルオライドフッ素樹脂で耐薬品性と成形性のバランスが良い薬液配管や電池用途で比較する
ポリ乳酸バイオマス由来で透明性と剛性を持つ環境対応用途で比較する

代表的なメーカー

メーカー代表的な製品・商品名備考
Dow代表グレード・用途別材料供給グレードはメーカー資料で確認する
三井・ダウ ポリケミカル代表グレード・用途別材料供給グレードはメーカー資料で確認する
LyondellBasell代表グレード・用途別材料供給グレードはメーカー資料で確認する
ExxonMobil代表グレード・用途別材料供給グレードはメーカー資料で確認する

概要

略記号:EEA

英語名:Ethylene/ ethyl acrylate copolymerization

日本語:エチレン・アクリル酸エチル共重合体

化学式:

エチレンアクリル酸エチルコポリマー構造

特性

  • アクリル酸エチルの含有量が増加するに従い結晶性が低くなる。
  • ゴム的な性質がアクリル酸エチルの含有量が多いと増してくる。
  • 密度:0.92~0.94
  • アクリル酸エチルの含有量に伴い、融点が低下する。(65℃~98℃)
  • LDPEより柔軟性がある。
  • ポリエチレンポリプロピレンのブレンド材料として使用される。<h3>製法</h3>
エチレンアクリル酸エチルコポリマー

構造

省略

利用用途

  • 梱包用ラミネーションフィルム
  • フレキシブルホース
  • 防護めがね
  • ボート用バンパー
  • 使い捨て手袋
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