概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | 塩素化ポリエチレン |
| 略記号 | CPE。ゴム分野ではCMと表記される場合がある |
| IUPAC | Polyethylene, chlorinated(塩素化度と置換位置が統計的に分布するため、単一の厳密な構造名で表しにくい) |
| 英語名 | Chlorinated Polyethylene |
| 日本語名 | 塩素化ポリエチレン、塩素化PE、CPE、塩素化ポリオレフィン系エラストマー |
| 分類 | 塩素化ポリオレフィン、熱可塑性エラストマー、ゴム状ポリマー、樹脂改質剤 |
| プラスチック分類 | 汎用樹脂系の改質材料。一般的なエンジニアリング・プラスチック又はスーパーエンジニアリング・プラスチックには分類しない |
| 化学式又は代表構造 | −[CH2−CH2]m−[CH2−CHCl]n−を中心とする統計的塩素化構造 |
| CAS No. | 63231-66-3が一般的に用いられる。ただし、組成・登録主体により確認が必要である |
| 構造・主成分 | HDPE等のポリエチレン主鎖の水素を塩素で部分置換したポリマー。一般的なCPEでは塩素含有量がおおむね25~45質量%である |
| 主な用途 | 硬質PVCの耐衝撃改質、電線・ケーブル被覆、ホース、シート、防水材、磁性ゴム、接着剤・コーティング、各種ポリマー改質 |
塩素化ポリエチレン(CPE)は、ポリエチレンを塩素化して得られる塩素含有ポリマーである。塩素含有量、塩素の分布、原料ポリエチレンの分子量及び結晶性を調整することで、比較的硬い樹脂状材料から柔軟なゴム状材料まで幅広い物性を設計できる。
主鎖に炭素・炭素二重結合をほとんど持たないため、一般に耐候性、耐オゾン性及び熱老化性が良好である。塩素導入によってポリエチレンより極性、難燃性、耐油性及び他樹脂との相溶性が向上し、特に硬質PVCの耐衝撃改質剤、電線被覆、ホース及びゴム配合材料として使用される。
CPEは材料群としての特性幅が大きく、未架橋ポリマー、架橋ゴム配合物、PVCブレンド及び高充填コンパウンドでは物性が大きく異なる。採用時には、塩素含有量、ムーニー粘度、残存結晶性、可塑剤、安定剤、架橋系、充填材、温度、薬品濃度、荷重、応力及び使用時間を確認する必要がある。
特徴
長所
- 耐候性、耐オゾン性及び耐熱老化性が一般に良好である。
- ポリエチレンより難燃性、耐油性及び極性が高い。
- 低温柔軟性、耐屈曲性及び引裂抵抗を付与しやすい。
- PVC、PE、ABS、各種ゴムとのブレンド・改質に利用しやすい。
- 炭酸カルシウム、フェライト、難燃剤等を高充填しやすい。
- 過酸化物架橋、チオ尿素系架橋等によりゴム弾性と耐久性を調整できる。
短所
- 加熱・燃焼・過度のせん断滞留により塩化水素を発生し、変色、物性低下及び設備腐食を生じる場合がある。
- 芳香族炭化水素、ケトン、エステル及び塩素系溶剤で膨潤又は軟化しやすいグレードがある。
- 塩素含有材料であり、ハロゲンフリー要求には適合しない。
- 未架橋状態ではクリープ及び高温変形に注意が必要である。
- 塩素含有量や配合の違いにより、一般化できない物性項目が多い。
| 項目 | 一般的傾向 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 外観 | 白色~淡黄色の粉末又はペレット。配合物は任意色、不透明が一般的である | 熱履歴、安定剤及び顔料により黄変・変色が生じる |
| 耐熱性 | 一般的なゴム配合では連続使用80~120℃程度が目安である | 架橋系、安定剤、荷重及び寿命基準で変わる |
| 耐薬品性 | 水、希薄酸・アルカリ、塩水及び多くの無機薬品に比較的良好である | 強酸化剤、熱薬液及び相溶性の高い有機溶剤は要試験である |
| 加工性 | 混練、押出、カレンダー、圧縮成形及び各種樹脂へのブレンドが可能である | 熱安定性、滞留時間、金属腐食及び排気を管理する |
| 分類上の注意 | 樹脂状CPE、エラストマー状CPE、架橋CM及びPVC改質剤を含む広い材料群である | CPE単体の物性とCPE配合ゴム又はPVC/CPEブレンドの物性を混同しない |
構造式
代表構造単位はエチレン単位と塩素置換エチレン単位である。ただし、実際には塩素置換位置がランダム又はブロック状に分布し、−CHCl−CHCl−等の隣接塩素化構造を含む場合がある。CPEは通常、モノマーを直接共重合して得る材料ではなく、既成ポリエチレンの後塩素化によって製造する。
種類・代表グレード
| 種類・グレード区分 | 主成分又は改質方法 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 樹脂改質用CPE | 塩素含有量約30~36質量%、粉末状が一般的 | PVCの低温・常温衝撃性、加工安定性及び耐候性を改善しやすい | 添加量過多で剛性、HDT及び表面硬度が低下する場合がある | 硬質PVC管、継手、窓枠、板、異形押出 |
| エラストマー用CPE/CM | 低結晶性・高分子量CPE。架橋配合して使用 | 耐候、耐オゾン、難燃、耐油及び低温柔軟性のバランスが良い | 架橋系の選定、圧縮永久ひずみ及び熱安定性に注意 | 電線、ホース、シール、シート |
| 高塩素タイプ | 塩素含有量を高めたCPE | 極性、難燃性、耐油性及び接着性を高めやすい | 密度上昇、低温特性低下、加工時脱塩化水素に注意 | 難燃配合、塗料・接着、特殊改質 |
| 低温柔軟グレード | 低結晶性、塩素分布及び分子量を調整 | 寒冷時の柔軟性及び耐衝撃性に優れる | 耐油・剛性とのトレードオフがある | 低温ケーブル、ホース、防水シート |
| 高ムーニー・高分子量グレード | 分子量又はムーニー粘度を高める | 機械強度、高充填性及び押出形状保持に有利 | 混練負荷が高く、分散不良に注意 | 磁性ゴム、ホース、工業ゴム |
| 難燃配合グレード | CPEに無機難燃剤、相乗剤、安定剤等を配合 | 自己消火性、低発火性を設計しやすい | 煙、腐食性ガス及び規制要求を個別確認する | 電線・ケーブル、難燃シート |
| 耐候グレード | 耐候安定剤、顔料及び配合を最適化 | 屋外での色・物性保持を改善しやすい | 色、厚さ及び暴露条件で結果が変わる | 屋外建材、防水材、被覆 |
| 高充填・磁性グレード | フェライト、炭酸カルシウム等を高充填 | フィラー保持、柔軟性及び加工性を両立しやすい | 比重上昇、伸び低下及び摩耗に注意 | ゴム磁石、制振材、重質シート |
| 食品接触・医療用途向け | 適合原料・添加剤を選択した個別グレード | 用途規制に対応可能なグレードが存在する | 材料名だけでは適合を断定できない | 限定的。証明書、抽出物及び変更管理の確認が必須 |
成形加工・加工適性
| 加工方法 | 適性 | 理由 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 射出成形 | △ | 樹脂状又はコンパウンド化CPEでは可能である | 一般CPE粉末単独の射出用途は限定的。熱安定性と滞留を管理する |
| 押出成形 | ◎ | ケーブル、ホース、シート及びプロファイルに適する | 低温混練、均一分散、ベント及びダイ腐食を確認する |
| ブロー成形 | △ | 専用熱可塑グレード又はブレンドで可能性がある | 単独CPEの一般的用途ではない |
| インフレーション成形 | △ | PEブレンド等で靭性改良に用いられる | ブレンド比、ゲル、透明性及び押出安定性を確認する |
| Tダイフィルム・シート | ○ | 柔軟シート及びライナーに適用できる | 熱履歴、厚みむら、ロール付着に注意する |
| カレンダー成形 | ◎ | ゴム状配合物及びシートに適する | ロール温度、可塑剤、離型及び熱安定剤を管理する |
| 圧縮成形 | ◎ | 架橋ゴム配合物の成形に適する | 加硫温度・時間、金型汚染及び発生ガスを管理する |
| トランスファー成形 | ○ | 架橋配合物の複雑形状に適用可能である | スコーチ安全性、流動性及び加硫均一性を確認する |
| 真空・圧空成形 | △ | シート配合物で可能である | 加熱窓が狭く、ドローダウン及び収縮に注意する |
| 発泡成形 | ○ | 化学発泡剤を用いる配合が可能である | 分解温度、セル均一性及び塩化水素との相互作用を確認する |
| 3Dプリント | × | 市販フィラメント及び標準プロセスが限定的である | 一般用途には推奨しにくい |
| 切削加工 | △ | 硬質シート又は高充填材では可能である | 柔軟材は変形、発熱及びバリに注意する |
| 溶着 | ○ | 熱風、熱板及び高周波が配合により可能である | 可塑剤、塩素量、厚さ及び表面汚染の影響を確認する |
| 接着 | ○ | 極性を有し、PEより接着しやすい | 可塑剤移行、溶剤膨潤及びプライマー適合を確認する |
| 塗装・印刷 | ○ | 表面極性により処理後の密着を得やすい | 離型剤、ブルーム及び表面処理条件を確認する |
| めっき・蒸着 | △ | 専用前処理及び硬質基材化で可能性がある | 柔軟性、熱膨張及び密着耐久性に注意する |
| インサート成形 | ○ | ゴム被覆及び複合化に利用できる | 金属腐食、接着プライマー及び熱膨張差を確認する |
一般的な成形条件の目安
| 項目 | 単位 | 代表範囲 | 条件・備考 |
|---|---|---|---|
| 予備乾燥 | - | 通常は不要~必要 | 吸湿は小さいが、保管時の表面水分、充填材及び配合剤に応じて確認する |
| 推奨乾燥温度 | ℃ | 50~70 | 必要時の穏和な乾燥目安。メーカー指定を優先する |
| 推奨乾燥時間 | h | 2~4 | 配合物及び包装開封後の状態による |
| 許容含水率 | % | データなし | 材料群として一般化困難。外観不良や発泡がある場合に管理する |
| 混練・樹脂温度 | ℃ | 100~160 | ゴム配合、PVCブレンド、熱可塑コンパウンドで異なる |
| 押出ダイ温度 | ℃ | 120~170 | 脱塩化水素と焼けを避ける。グレード指定を優先する |
| 金型温度 | ℃ | 20~60 | 熱可塑成形の目安。架橋成形では加硫温度を別途設定する |
| 架橋成形温度 | ℃ | 150~180 | 架橋剤、スコーチ安全性及び肉厚で調整する |
| 射出圧力 | MPa | データなし | 一般化困難。熱可塑コンパウンドの流動性と形状で設定する |
| 成形収縮率・流動方向 | % | 1.5~3.5 | 未強化熱可塑グレードの参考範囲。配合・架橋・充填率で大きく変わる |
| 成形収縮率・流動直角方向 | % | 1.5~4.0 | 異方性及び架橋収縮を実型で確認する |
| 滞留時間 | min | 短く管理 | 局所過熱と長時間滞留を避け、変色・塩化水素発生時は速やかにパージする |
| 設備材質 | - | 耐食仕様を検討 | 腐食性ガス発生の可能性があるため、バレル、スクリュー、ダイ及び排気設備を確認する |
| アニール | - | 通常不要 | 寸法安定又は残留応力低減が必要な硬質配合のみ個別検討する |
代表的な物性値又は機械的性質
下表は非強化・未架橋の標準的なCPE又はエラストマー用CPEの代表範囲である。CPEは塩素含有量、残存結晶性及び配合条件による変動が大きいため、比較用代表値は参考値として扱う。架橋ゴム配合物、PVC/CPEブレンド及び高充填材の値を標準CPEの値として使用してはならない。
| 項目 | 単位 | 下限 | 代表値 | 上限 | 試験条件・規格 | 材料状態・備考 | 信頼度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 1.10 | 1.22 | 1.35 | 23℃、代表値 | 塩素含有量・配合剤により変動 | B |
| 比重 | 無次元 | 1.10 | 1.22 | 1.35 | 23℃、代表値 | 非強化・未架橋の目安 | B |
| かさ密度 | g/cm³ | 0.40 | 0.50 | 0.65 | 粉末、代表値 | 粒径及び造粒状態による | C |
| 吸水率・24時間 | % | 0.01 | 0.10 | 0.30 | 23℃水中、規格不明 | 低吸水だが配合剤で増加 | C |
| 引張強さ・破断 | MPa | 6 | 10 | 16 | ISO 37又はASTM D412相当例 | 未架橋又は軟質配合。条件差大 | B |
| 引張破断伸び | % | 300 | 700 | 900 | ISO 37又はASTM D412相当例 | ゴム状グレードの目安 | B |
| 引張弾性率 | GPa | 0.002 | 0.02 | 0.30 | 代表値、規格不明 | 硬質・軟質差が大きく一般化困難 | C |
| 100%モジュラス | MPa | 1 | 3 | 8 | ゴム試験片、代表値 | 架橋及び充填材で増加 | C |
| ショアA硬度 | Shore A | 50 | 65 | 85 | ISO 868又はASTM D2240相当 | 軟質・ゴム状グレード | B |
| ショアD硬度 | Shore D | 20 | 35 | 55 | 代表値、規格不明 | 樹脂状又は硬質配合 | C |
| 引裂強さ | kN/m | 15 | 25 | 40 | ISO 34-1又はASTM D624相当 | 架橋・配合依存 | C |
| アイゾット衝撃強さ・ノッチ付き | kJ/m² | データなし | データなし | データなし | ISO 180 | ゴム状CPEでは破壊せずとなる場合がある。数値化しない | 0 |
| 線膨張係数 | 10⁻⁵/K | 14 | 18 | 22 | 23~80℃程度、代表値 | 流動方向・配合で変動 | C |
| ガラス転移温度 | ℃ | -35 | -20 | -5 | DSC又はDMA、代表範囲 | 塩素量と分布で変動 | C |
| 融点又は軟化域 | ℃ | 110 | 150 | 170 | DSC又は加工温度域 | 残存結晶性により明瞭な融点を示さない場合がある | C |
| HDT・0.45 MPa | ℃ | 30 | 35 | 50 | ASTM D648相当例 | 軟質熱可塑グレードの参考値 | C |
| HDT・1.80 MPa | ℃ | 20 | 25 | 35 | ASTM D648相当例 | 軟質熱可塑グレードの参考値 | C |
| 連続使用温度 | ℃ | 80 | 100 | 120 | 熱老化・用途基準による | 架橋・安定剤・荷重で変動 | C |
| 短時間耐熱温度 | ℃ | 120 | 140 | 160 | 短時間、無荷重目安 | 分解温度ではない | C |
| 低温使用限界 | ℃ | -40 | -25 | -15 | 柔軟性・衝撃性基準 | 低温グレードは下限側 | C |
| 熱伝導率 | W/(m・K) | 0.17 | 0.20 | 0.25 | 23℃、代表値 | 充填材で大きく上昇 | C |
| 比熱 | J/(g・K) | 1.2 | 1.5 | 1.8 | 23℃、代表値 | データ限定 | C |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1×10¹² | 1×10¹³ | 1×10¹⁵ | 23℃、乾燥状態 | カーボン・難燃剤・吸湿で低下 | B |
| 絶縁破壊強さ | kV/mm | 10 | 12 | 20 | 試験片厚さ・規格依存 | 配合物の代表範囲 | C |
| 比誘電率・1 kHz | 無次元 | 4.0 | 5.5 | 7.0 | 1 kHz、23℃ | 塩素含有量・配合で変動 | C |
| 誘電正接・1 kHz | 無次元 | 0.03 | 0.10 | 0.20 | 1 kHz、23℃ | 高周波用途は個別確認 | C |
| 限界酸素指数・LOI | % | 22 | 25 | 30 | ISO 4589相当、未配合~難燃配合 | グレード・厚さ・添加剤で変動 | C |
| UL 94燃焼性 | 等級 | HB | HB | V-0 | 厚さ不明 | 特定グレードのみ。材料群として認証を断定しない | C |
強化・改質グレードの物性傾向
| グレード | 強化材・配合 | 密度 g/cm³ | 引張強さ MPa | 破断伸び % | 弾性率 GPa | 主な傾向 | 注意 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 標準エラストマー用CPE | 無充填・未架橋 | 1.10~1.30 | 6~16 | 300~900 | 0.002~0.30 | 柔軟、耐候、耐オゾン | 代表範囲が広い |
| 架橋CPE/CM | 補強充填材・架橋剤 | 1.15~1.50 | 8~18 | 150~600 | データなし | 耐熱、圧縮特性、耐油性を改善 | 架橋系・配合依存 |
| 高充填CPE | CaCO₃、難燃剤等30~70質量%例 | 1.4~2.0 | 3~15 | 20~400 | 0.1~2.0 | 低コスト、難燃、寸法安定 | 脆化、比重増加 |
| 磁性CPE | フェライト高充填 | 2.5~4.0 | 3~10 | 20~200 | データなし | 柔軟磁石用マトリックス | 高比重、摩耗、分散 |
| GF強化CPE | 限定的。含有率は個別グレード依存 | データなし | データなし | データなし | データなし | 一般的な代表グレードとしての公開値が不足 | 標準値へ混在させない |
| CF強化CPE | 限定的 | データなし | データなし | データなし | データなし | 一般用途の代表材料ではない | 個別データ確認 |
耐薬品性
評価は未架橋又は一般的なCPE配合物を23℃付近で短時間から中期間接触させた場合の一般傾向である。架橋密度、可塑剤、充填材及び塩素含有量により結果が変わる。実使用では濃度、温度、接触時間、浸漬又は飛沫、残留応力、圧力及び機械荷重を再現した試験が必要である。
| 薬品名 | 濃度 | 温度 | 接触時間 | 条件 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | 100% | 23℃ | 24 h~ | 浸漬、無応力 | ◎ | 重量・寸法変化は一般に小さい | 熱水では別評価する |
| 温水 | 100% | 60~80℃ | 168 h | 浸漬、無応力 | ○ | 配合剤抽出、軟化 | 長期寿命を確認する |
| 水蒸気 | 飽和 | 100℃以上 | 反復 | 加圧又は常圧 | △ | 熱老化、添加剤抽出 | 蒸気滅菌用途は個別評価 |
| 塩酸 | 10% | 23℃ | 168 h | 浸漬、無応力 | ◎ | 一般に影響小 | 高温・濃厚条件は要試験 |
| 硫酸 | 10% | 23℃ | 168 h | 浸漬、無応力 | ○ | 長期で物性低下の可能性 | 濃硫酸・高温は不適傾向 |
| 硝酸 | 10% | 23℃ | 24~168 h | 浸漬、無応力 | △ | 酸化、変色、脆化 | 濃度・温度上昇で悪化 |
| 酢酸 | 10% | 23℃ | 168 h | 浸漬、無応力 | ○ | 軽度膨潤の可能性 | 濃酢酸は要試験 |
| 水酸化ナトリウム | 10% | 23℃ | 168 h | 浸漬、無応力 | ◎ | 一般に安定 | 高温・高濃度で配合剤影響 |
| 水酸化カリウム | 10% | 23℃ | 168 h | 浸漬、無応力 | ◎ | 一般に安定 | 高温条件を確認 |
| 次亜塩素酸ナトリウム | 500 ppm | 23℃ | 24~168 h | 浸漬 | ○ | 長期で酸化・変色 | 有効塩素、pH、温度を管理 |
| 過酸化水素 | 3% | 23℃ | 24~168 h | 浸漬 | ○ | 酸化・変色の可能性 | 高濃度・高温は要試験 |
| メタノール | 100% | 23℃ | 24~168 h | 浸漬 | ○ | 軽度膨潤・抽出 | 架橋・可塑剤依存 |
| エタノール | 100% | 23℃ | 24~168 h | 浸漬 | ○ | 軽度膨潤 | 消毒反復を確認 |
| イソプロパノール | 100% | 23℃ | 24~168 h | 浸漬 | ○ | 膨潤・軟化の可能性 | 応力下で要確認 |
| グリセリン | 100% | 23℃ | 168 h | 浸漬 | ◎ | 影響は一般に小さい | 高温条件を確認 |
| MMB | 100% | 23℃ | 24 h | 浸漬 | △ | 膨潤・軟化の可能性 | 実測データが限定的 |
| ヘキサン | 100% | 23℃ | 24~168 h | 浸漬 | ○ | 長期で膨潤 | 塩素量・架橋依存 |
| 鉱物油 | 100% | 23~100℃ | 168 h~ | 浸漬 | ○ | 膨潤、硬度変化 | 油種と温度を確認 |
| ガソリン | 市販相当 | 23℃ | 24~168 h | 浸漬 | △ | 膨潤、抽出、強度低下 | 芳香族分・エタノール含有で悪化 |
| 軽油 | 市販相当 | 23℃ | 168 h | 浸漬 | ○ | 膨潤 | 長期・高温を確認 |
| トルエン | 100% | 23℃ | 24 h | 浸漬 | × | 著しい膨潤・軟化 | 相溶性が高い |
| キシレン | 100% | 23℃ | 24 h | 浸漬 | × | 著しい膨潤・軟化 | 長期使用不適傾向 |
| アセトン | 100% | 23℃ | 24 h | 浸漬 | △ | 膨潤・抽出 | グレード差が大きい |
| MEK | 100% | 23℃ | 24 h | 浸漬 | × | 強い膨潤・軟化 | 接着溶剤として作用し得る |
| 酢酸エチル | 100% | 23℃ | 24 h | 浸漬 | × | 強い膨潤・軟化 | 可塑剤抽出にも注意 |
| THF | 100% | 23℃ | 短時間 | 浸漬 | × | 溶解又は著しい膨潤 | 不適 |
| ジクロロメタン | 100% | 23℃ | 短時間 | 浸漬 | × | 著しい膨潤・溶解 | 不適 |
| 塩水 | 3.5% NaCl | 23℃ | 168 h~ | 浸漬 | ◎ | 一般に影響小 | 金属複合部は腐食確認 |
| 海水 | 天然又は人工 | 23℃ | 長期 | 浸漬 | ○ | 汚染、添加剤抽出 | 紫外線・生物付着を併用評価 |
| ブレーキ液 | グリコール系 | 23~100℃ | 168 h | 浸漬 | ○ | 膨潤・硬度変化 | 液種、温度、架橋配合で確認 |
| 冷却液 | EG水溶液50% | 90℃ | 168 h~ | 浸漬 | ○ | 熱老化、抽出 | 実液・圧力条件で確認 |
| 界面活性剤水溶液 | 1~3% | 23~60℃ | 168 h | 浸漬 | ○ | 添加剤抽出、白化 | 種類、pH、温度を確認 |
| 食品油 | 100% | 23~80℃ | 168 h | 浸漬 | ○ | 膨潤、臭気移行 | 食品接触適合は別確認 |
評価基準:◎ 一般的な条件で影響が小さい、○ 概ね使用可能であるが条件確認が必要、△ 膨潤、軟化、強度低下、変色又は抽出に注意、× 溶解、著しい膨潤又は劣化の可能性が高い。
SP値(溶解度パラメータ)
CPEの代表的なHildebrand SP値は、塩素含有量約35質量%の標準グレードでおおむね18.0~19.5 MPa1/2を目安とする。塩素含有量、結晶性、温度及び配合剤によって変動し、単一の確定値として扱うべきではない。
| 材料状態 | SP値下限 | SP値代表 | SP値上限 | 単位 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 低塩素CPE・約25~30質量% | 17.5 | 18.0 | 18.5 | MPa1/2 | PEに近い非極性成分が比較的多い |
| 標準CPE・約35質量% | 18.0 | 18.7 | 19.5 | MPa1/2 | PVC改質・エラストマー用途の代表範囲 |
| 高塩素CPE・約40~45質量% | 19.0 | 19.7 | 20.5 | MPa1/2 | 極性と溶剤相互作用が増す傾向 |
| 架橋CPE | 18.0 | 18.8 | 20.0 | MPa1/2 | 架橋後は溶解せず膨潤として現れる |
SP値差だけで耐薬品性を判断してはならない。架橋密度、結晶性、拡散速度、酸化、脱塩化水素、添加剤抽出、温度及び応力を併せて評価する必要がある。
溶解性の目安
| SP値差 Δδ | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
| 溶剤名 | SP値 δ | CPE代表値18.7との差 | SP値評価 | 実務上の評価・注意 |
|---|---|---|---|---|
| 水 | 47.9 | 29.2 | ◎ | SP値差は大きい。熱水・添加剤抽出は別評価 |
| メタノール | 29.7 | 11.0 | ◎ | 短期膨潤は小さい傾向 |
| エタノール | 26.0 | 7.3 | ○ | 長期・高温・応力下を確認 |
| イソプロパノール | 23.5 | 4.8 | △ | グレードにより膨潤 |
| アセトン | 20.3 | 1.6 | × | SP値が近く膨潤しやすい |
| MEK | 19.0 | 0.3 | × | 著しい膨潤・軟化の可能性 |
| 酢酸エチル | 18.6 | 0.1 | × | 著しい膨潤の可能性 |
| トルエン | 18.2 | 0.5 | × | 芳香族溶剤、膨潤しやすい |
| キシレン | 18.0 | 0.7 | × | 長期不適傾向 |
| THF | 18.5 | 0.2 | × | 強溶剤 |
| ジクロロメタン | 20.2 | 1.5 | × | 著しい膨潤又は溶解 |
| n-ヘキサン | 14.9 | 3.8 | △ | SP値差だけでは○相当だが、炭化水素膨潤に注意 |
| 鉱物油 | 15~17 | 1.7~3.7 | △ | 油種・芳香族分・温度・架橋で変動 |
上表はSP値による一次スクリーニングである。n-ヘキサンや鉱物油のようにSP値差が中程度でも、エラストマーでは拡散により膨潤する場合がある。最終判断は重量変化、体積変化、硬度、引張特性及び外観を測定する実薬品浸漬試験で行う。
製法
一般的にはHDPE等のポリエチレン粉末を水系懸濁媒体中に分散し、加熱下で塩素ガスを導入してラジカル置換塩素化する。反応後は脱酸、洗浄、中和、脱水、乾燥及び粉砕・造粒を行う。塩素化反応はポリエチレン主鎖の水素を塩素へ置換する反応であり、塩化水素を副生する。
| 工程 | 主な操作 | 管理項目 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 原料選定 | HDPE等の分子量、粒径、結晶性を選定 | 分子量分布、粒径、残存触媒 | 最終ムーニー粘度、塩素分布及び結晶性に影響する |
| 懸濁・膨潤 | 水中にPE粉末を均一分散 | 分散剤、撹拌、温度 | 凝集及び不均一塩素化を防止する |
| 塩素化 | 塩素ガスで置換反応 | 塩素含有量、温度、圧力、反応速度 | 副生HCl、発熱、塩素安全管理が必要である |
| 後処理 | 脱酸、洗浄、中和 | 残留塩素、残留酸、pH | 腐食、臭気及び熱安定性へ影響する |
| 乾燥 | 脱水後に乾燥 | 水分、粉じん、温度 | 局所過熱及び粉じん対策を行う |
| 安定化・配合 | 熱安定剤、可塑剤、充填材、架橋系等を混合 | 分散、熱履歴、配合順序 | 不適切な金属酸化物・架橋系との副反応に注意する |
| 造粒・成形 | ペレット化、押出、カレンダー、架橋成形 | 樹脂温度、滞留、排気 | 塩化水素発生、焼け、金型腐食を防止する |
詳細な利用用途・用途別選定
| 用途 | 適性 | 選定理由 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 硬質PVC管・継手 | ◎ | 耐衝撃改質剤として実績が多い | 添加量過多による剛性・HDT低下を確認 |
| 窓枠・外装建材 | ◎ | 耐候性と低温衝撃性を改善 | 顔料、熱安定剤、屋外暴露条件を確認 |
| 電線・ケーブル被覆 | ◎ | 難燃、耐候、耐オゾン、柔軟性 | UL、IEC、煙・腐食性ガス、耐熱等級を確認 |
| ホース | ◎ | 耐油、耐候、耐屈曲性のバランス | 燃料種、温度、圧力及び補強層接着を確認 |
| シール・ガスケット | ○ | 耐候・耐オゾン性が良い | 圧縮永久ひずみ、熱、薬品及び架橋系を確認 |
| Oリング | △ | 専用配合で可能 | 寸法精度と圧縮永久ひずみでは他ゴムが有利な場合がある |
| 防水シート・ルーフィング | ◎ | 屋外耐久性、柔軟性、難燃性 | 接合部、可塑剤移行及び長期暴露を確認 |
| ゴム磁石 | ◎ | フェライト高充填性と柔軟性 | 磁気特性、比重、伸び及び摩耗を確認 |
| 自動車外装・ウェザーストリップ | ○ | 耐候・オゾン性に優れる | EPDMとのコスト・圧縮特性比較が必要 |
| 燃料系部品 | △ | 架橋・高塩素配合で耐油性を設計可能 | 現行燃料、バイオ燃料、透過及び抽出を実液評価 |
| ポンプ・バルブ部品 | △ | 軟質シール・ライニングに可能性 | 圧力、薬品、摩耗及びクリープを確認 |
| ギア・軸受・ブッシュ | × | 一般的な構造用摺動樹脂ではない | POM、PA、UHMWPE等を優先検討 |
| 透明カバー・レンズ | × | 通常は不透明で光学用途に不向き | 光学グレードは一般的でない |
| 食品機械部品 | △ | 適合配合が存在する可能性 | 食品衛生法、FDA、抽出・臭気・洗浄耐久を確認 |
| 医療機器部品 | △ | 限定的な専用グレードのみ | ISO 10993、USP、滅菌、溶出及び変更管理が必要 |
| 塗料・コーティング | ○ | 高塩素又は溶液型で密着・耐薬品性を活用 | 溶剤、VOC、乾燥、黄変及び塩素規制を確認 |
| 接着剤 | ○ | 極性基材への接着改質に利用可能 | 溶剤膨潤、可塑剤移行及び耐熱を確認 |
| 複合材料マトリックス | ○ | 高充填性と柔軟性を活用 | 界面接着、比重及びリサイクル性を確認 |
| 屋外部品 | ◎ | 耐候・耐オゾン性が主要長所 | 耐候グレード、色、厚さ及び寿命を確認 |
| 半導体・真空装置部品 | × | アウトガス、塩素及び粒子要求に不向き | 低アウトガス専用材料を優先する |
接合・表面処理適性
| 方法 | 適性 | 一般的傾向 | 確認事項 |
|---|---|---|---|
| 熱板溶着 | ○ | 熱可塑配合物で可能 | 温度窓、押付圧、冷却収縮 |
| 超音波溶着 | △ | 硬質配合又は薄肉部に限定 | 減衰、柔軟性、エネルギーダイレクタ |
| 振動溶着 | △ | 硬質ブレンドで可能性 | 溶融挙動、バリ、発熱 |
| レーザー溶着 | △ | 透過・吸収材の組合せが必要 | 顔料、塩素ガス、焦げ |
| 高周波溶着 | ◎ | 極性がありシート接合に適する場合がある | 配合、厚さ、電極汚染 |
| 熱風溶着 | ◎ | シート及びライニングに適用可能 | 過熱、焦げ、塩化水素 |
| 溶剤接着 | ○ | 相溶性溶剤で接合可能 | 溶剤残留、膨潤、VOC、安全性 |
| 接着剤接合 | ○ | PEより表面極性が高い | 可塑剤移行、ブルーム、プライマー |
| 機械締結 | ○ | 硬質シート・複合部品で可能 | クリープ、座面圧、締付トルク |
| 塗装・印刷 | ○ | 表面洗浄又は処理で密着可能 | 離型剤、ブルーム、耐溶剤性 |
| コロナ・プラズマ処理 | ○ | 濡れ性及び接着性を改善 | 処理効果の経時低下、過処理 |
寸法精度・設計特性
- 未強化CPEは柔軟で熱膨張及び成形収縮が比較的大きく、精密寸法部品には一般に不向きである。
- 高充填化又は他樹脂とのブレンドにより収縮及び反りを低減できるが、異方性、界面剥離及び低温脆化を確認する必要がある。
- 吸水による寸法変化はPA等より小さいが、可塑剤移行、溶剤膨潤及び温度変化による寸法変化が支配的となる場合がある。
- 短時間の引張強さを設計許容応力として使用してはならない。クリープ、疲労、温度、薬品、架橋状態及び寿命を考慮して安全率を設定する。
- ねじ締結、圧入及びインサート周辺では、柔軟材の応力緩和又は硬質配合の応力集中を考慮する。
品質・成形不良
| 不良 | 材料側の要因 | 成形条件側の要因 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| 変色・焼け | 熱安定剤不足、残留酸、低熱安定性 | 高温、長時間滞留、局所せん断 | 温度低減、滞留短縮、安定剤見直し、設備洗浄 |
| ガス焼け・臭気 | 脱塩化水素、揮発分、可塑剤 | ベント不足、高速せん断、閉じ込め | 排気改善、速度低減、乾燥・脱揮、金型ガス抜き |
| 黒点 | 劣化物、異物、前材残留 | デッドスポット、長時間停止 | 分解清掃、パージ、滞留部改善 |
| 表面荒れ・フローマーク | 分散不良、粒径差、可塑化不足 | 温度不均一、速度不適 | 混練改善、温度プロファイル調整 |
| ウェルド強度低下 | 高充填、低融着性、表面汚染 | 低温、低圧、ガス巻込み | 温度・圧力・ベント改善、ゲート変更 |
| ヒケ・ボイド | 高収縮、揮発分、低充填 | 保圧不足、肉厚過大、冷却不均一 | 肉厚均一化、保圧・冷却最適化 |
| 反り | 収縮異方性、充填材配向 | 金型温度差、流動不均一 | ゲート、冷却、配合及び肉厚を見直す |
| プレートアウト・ブルーム | 滑剤、可塑剤、安定剤の相溶不足 | 過熱、長時間運転、低せん断 | 添加剤変更、配合量最適化、清掃周期設定 |
| 金型・ダイ腐食 | 残留HCl、熱分解、塩素系ガス | 高温滞留、排気不足、結露 | 耐食材、換気、温度管理、停止時パージ |
| ダイスウェル・メルトフラクチャー | 高分子量、高弾性、フィラー分散不良 | せん断速度過大、ダイ温度不適 | 速度低減、ダイ設計、温度・潤滑調整 |
| 層間剥離 | 相溶性不足、表面汚染、添加剤移行 | 温度・圧力不足 | 相溶化剤、表面処理、成形条件改善 |
注意点・劣化・故障モード
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 熱酸化・脱塩化水素 | 高温、酸素、金属触媒、安定剤消耗 | 高温滞留、長期熱暴露 | 黄変、硬化、強度低下、腐食性ガス | 熱安定剤、温度低減、耐食設備 | 熱老化、TGA、発生ガス分析 |
| 紫外線劣化 | UV、酸素、顔料・安定剤不足 | 屋外、薄肉、淡色 | 退色、チョーキング、脆化 | 耐候グレード、顔料、UV安定剤 | キセノンアーク、サンシャイン試験 |
| 膨潤・溶剤劣化 | SP値の近い溶剤、拡散 | 芳香族、ケトン、エステル、塩素系溶剤 | 寸法増加、軟化、強度低下 | 溶剤選定、架橋、バリア層 | 実薬品浸漬、重量・体積・硬度測定 |
| 環境応力割れ | 残留応力と薬品の相乗作用 | 切欠き、圧入、曲げ、溶剤接触 | 亀裂、漏れ、破断 | 応力低減、R部設計、アニール検討 | 定ひずみESC、実部品負荷試験 |
| クリープ・応力緩和 | 柔軟性、高温、未架橋 | 長期荷重、締結、シール | 変形、締付力低下、漏れ | 架橋、補強、荷重低減 | クリープ、圧縮永久ひずみ |
| 可塑剤・添加剤移行 | 相溶性不足、温度、接触材 | 高温、長期接触、軟質配合 | べたつき、硬化、接着不良、汚染 | 低移行添加剤、配合最適化 | 抽出、移行、接触材汚染試験 |
| 摩耗・摩耗粉 | 相手材粗さ、荷重、速度 | 摺動、砂塵、無潤滑 | 寸法低下、粉発生 | 補強、表面設計、他材料選定 | 摩耗、摩擦係数、粉じん評価 |
| アウトガス | 残留揮発分、可塑剤、分解物 | 真空、高温、クリーン用途 | 汚染、臭気、光学曇り | 低揮発配合、脱揮、用途変更 | TML/CVCM、GC-MS、フォギング |
| 燃焼時ガス | 塩素含有主鎖 | 火災、過熱 | HCl、煙、腐食、毒性リスク | 難燃設計、換気、火災規格適合 | 燃焼、煙密度、酸性ガス試験 |
| 金属腐食 | HCl、残留酸、湿気 | 成形設備、金属複合部、結露 | 腐食、接触不良、破損 | 中和・洗浄、耐食材、防湿 | 腐食促進、イオン分析 |
| 滅菌劣化 | 蒸気、薬品、放射線 | 反復滅菌 | 硬化、変色、溶出 | 専用グレード、条件緩和 | 滅菌反復、溶出、機械物性 |
難燃性・電気特性
CPEは塩素を含むためポリエチレンより着火しにくく、難燃配合のポリマーベースとして使用される。ただし、UL 94等級、LOI、GWFI及びケーブル燃焼規格はグレード、厚さ、色、難燃剤及び配合剤で変わる。材料名だけでV-0等を断定してはならない。
| 項目 | 単位 | 代表的傾向 | 注意 |
|---|---|---|---|
| ハロゲン含有 | - | 有り | 塩素化ポリマーでありハロゲンフリーではない |
| 限界酸素指数・LOI | % | 約22~30 | 未配合から難燃配合までの参考範囲 |
| UL 94 | 等級 | HB~V-0の個別グレード例 | 厚さ、色、配合及び認証番号を確認する |
| 発煙性 | - | 燃焼条件により煙を発生 | ケーブル・鉄道・建築規格では個別試験が必要 |
| 主な燃焼ガス | - | 塩化水素、CO、CO₂、煙 | 腐食性及び刺激性ガスに注意する |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 10¹²~10¹⁵ | 導電充填材・吸湿・難燃剤で低下する |
| 比誘電率・1 kHz | 無次元 | 4.0~7.0 | 周波数、温度、塩素量及び配合で変動 |
| 誘電正接・1 kHz | 無次元 | 0.03~0.20 | 高周波絶縁では発熱を確認する |
| CTI | V | データなし | 個別UL認証グレードで確認する |
法規制・認証
| 制度・規格 | 材料群としての一般的扱い | 実務上の確認事項 |
|---|---|---|
| RoHS | 適合可能なグレードが存在する | 鉛、カドミウム、六価クロム、臭素系難燃剤等を配合単位で確認する |
| REACH・SVHC | 登録・適合状況は供給者及び配合に依存する | 最新SVHC、安定剤、可塑剤、顔料及び不純物の証明書を確認する |
| ELV | 自動車用途で適合可能 | 重金属、難燃剤及び再生材を個別確認する |
| PFAS関連規制 | CPE自体はフッ素ポリマーではない | 加工助剤、離型剤、コーティングにPFASが含まれないか確認する |
| TSCA | 米国供給品の登録状況を確認する | CAS、用途制限、輸入者責任を確認する |
| California Proposition 65 | 配合剤により対象物質を含む可能性がある | 可塑剤、顔料、安定剤及び不純物を確認する |
| FDA食品接触 | 適合グレード又は用途条件が限定される | 該当条文、抽出条件、食品種、温度及び接触時間を確認する |
| EU食品接触規則 | 材料群一律の適合ではない | ポジティブリスト、SML、NIAS及びDoCを確認する |
| 日本の食品衛生法・ポジティブリスト | 適合配合の個別確認が必要 | 基ポリマー区分、添加剤、使用温度及び溶出試験を確認する |
| USP Class VI・ISO 10993 | 一般CPE全体の認証ではない | 医療専用グレード、滅菌法、抽出物及び変更管理を確認する |
| UL認証 | 個別グレード・厚さ・色で取得される | Yellow Card、RTI、UL 94、厚さ及び色を確認する |
| ハロゲンフリー | 不適合 | CPEは塩素を含むため、一般的なハロゲンフリー要求には使用できない |
| 鉄道・建築・ケーブル燃焼規格 | 難燃配合により対応可能な場合がある | 発煙、毒性、酸性ガス、滴下及び火炎伝播をシステムで確認する |
環境・リサイクル性・価格・供給性
| 項目 | 評価・区分 | 説明 |
|---|---|---|
| 熱可塑性/熱硬化性 | 未架橋は熱可塑性、架橋配合は熱硬化的 | 架橋の有無を分けて扱う |
| マテリアルリサイクル | △ | 未架橋・単一系は再溶融可能であるが、熱履歴による劣化、塩素及び混合材の分別が課題となる |
| ケミカルリサイクル | △ | 技術的検討は可能だが、塩素回収・腐食対策が必要であり一般流通は限定的である |
| サーマルリサイクル | △ | 発熱利用は可能だが、HCl回収、排ガス処理及び設備腐食対策が必要である |
| 再生材利用 | △ | 改質剤又は非重要用途で可能性があるが、熱安定性、臭気、色及び塩素管理が必要である |
| 生分解性 | × | 一般に生分解性ではない |
| バイオベース | ×~△ | 一般品は化石資源由来。バイオPE原料を用いる可能性はあるが一般的ではない |
| 識別表示 | 個別確認 | CPE単独の汎用樹脂識別コードは一般的でなく、製品構成に応じた表示が必要である |
| 価格区分 | 中価格~比較的高価格 | PVC改質剤用途では配合添加材として評価され、エラストマー用途ではEPDM、CR、CSM等と比較される |
| 国内入手性 | ○ | 国内メーカー品及び輸入品が流通するが、グレード、最小ロット及び供給継続性を確認する |
| 供給形態 | 粉末、ペレット、ベール又はコンパウンド | PVC改質用は粉末、ゴム用途はポリマー又は配合物が一般的である |
| 素材形状 | シート、ホース、電線被覆、ライニング等 | 板・丸棒の標準切削素材は一般的ではない |
比較用評価スコア
| 評価項目 | スコア | 評価理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 3 | 標準的。架橋・補強配合で向上する |
| 剛性 | 2 | 柔軟材が中心。硬質改質用途では母材に依存する |
| 衝撃強度 | 5 | 特にPVC改質剤として優れる |
| 耐熱性 | 3 | 一般に80~120℃程度の配合設計が可能 |
| 低温特性 | 4 | 低温柔軟グレードは良好 |
| 耐薬品性 | 4 | 無機薬品に良好だが有機溶剤膨潤に注意 |
| 耐候性 | 5 | 主要長所である |
| 耐加水分解性 | 4 | 主鎖に加水分解性結合を持たない |
| 寸法安定性 | 2 | 柔軟性、収縮及び熱膨張が大きい |
| 低吸水性 | 5 | 一般に吸水率が低い |
| 摺動性 | 2 | 専用摺動材料ではない |
| 耐摩耗性 | 3 | 配合で調整可能だが条件依存 |
| 電気絶縁性 | 4 | ケーブル用途で実績がある |
| 難燃性 | 4 | 塩素含有によりPEより優れる |
| 透明性 | 1 | 一般に不透明 |
| 成形加工性 | 4 | 押出、カレンダー、混練及び架橋成形に適する |
| 切削加工性 | 2 | 柔軟材は切削に不向き |
| 接着性 | 4 | PEより極性が高く接着しやすい |
| リサイクル性 | 2 | 塩素、架橋及び混合配合が課題 |
| 価格優位性 | 3 | 中価格帯。用途・配合で競争力がある |
関連材料との比較・代替材料比較
| 比較材料 | 特徴 | CPEとの違い | 選定の目安 |
|---|---|---|---|
| ポリ塩化ビニル(PVC) | 剛性、耐薬品性、難燃性及び加工性に優れる汎用樹脂 | PVCは母材として使用され、CPEは耐衝撃改質剤又は柔軟材料として加えられることが多い | 硬質形状保持はPVC、耐衝撃・柔軟改質はCPE |
| ポリエチレン(PE) | 低密度、低吸水、耐薬品性及び電気特性に優れる | CPEはPEより極性、難燃性、耐油性及び接着性が高いが、密度とコストが上がる | 低コスト・非極性はPE、難燃・接着・耐候改質はCPE |
| エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA) | 柔軟性、透明性、低温性及び接着性に優れる | EVAは透明・ホットメルト用途に有利。CPEは耐候、耐オゾン、難燃及び耐油で有利 | 透明・接着はEVA、屋外・難燃はCPE |
| EPDM | 耐候、耐オゾン、耐熱水及び低温性に優れるゴム | EPDMは圧縮永久ひずみ・熱水で有利な場合がある。CPEは難燃、耐油、PVC相溶性及び高充填性に利点 | 屋外シールはEPDM、難燃・耐油・改質用途はCPE |
| クロロプレンゴム(CR) | 耐候、難燃、耐油、接着性のバランスが良い | CRは機械強度と接着用途で実績が多い。CPEはオゾン、熱老化、高充填性及びPVC改質で有利 | 高強度ゴムはCR、改質・高充填・耐候はCPE |
| クロロスルホン化ポリエチレン(CSM) | 耐候、耐薬品、耐熱及び塗装性に優れる | CSMは架橋ゴムとして高耐久だが供給・コストが課題。CPEは供給性と改質用途に有利 | 高耐候特殊ゴムはCSM、汎用改質・被覆はCPE |
| AES樹脂 | EPDMゴム相を用いた耐候性ABS系樹脂 | AESは剛性・外観を持つ成形樹脂。CPEは柔軟材又は改質剤 | 屋外筐体はAES、柔軟被覆・PVC改質はCPE |
| ACS樹脂 | CPEゴム相とSAN系樹脂を組み合わせた耐候・難燃系材料 | ACSはCPEをゴム相に用いる成形樹脂であり、CPE単体より剛性と表面性が高い | 筐体はACS、改質剤・ゴム用途はCPE |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 株式会社レゾナック | ELASLEN(エラスレン) | 塩素化ポリエチレン製品。ゴム弾性、難燃性、高充填性を生かし、樹脂・ゴム改質、電線、ホース等へ展開される。現行グレード、供給地域及び仕様はメーカー確認が必要である |
| Weifang Yaxing Chemical Co., Ltd. | CPE製品群 | 中国のCPEメーカーとして知られる。PVC改質用及びエラストマー用途の各種グレードを供給する。採用時は最新の技術資料、品質保証及び法規適合を確認する |
| Shandong Novista Chemicals Co., Ltd. | CPE製品群 | PVC添加剤・難燃剤分野を含むCPE供給メーカー。グレードごとの塩素含有量、ムーニー粘度及び用途を確認する |
| Sundow Polymers Co., Ltd. | CPE製品群 | PVC衝撃改質及びゴム用途向けCPEを展開するメーカーの一例。国内流通、供給継続性及び証明書を確認する |
メーカー及びブランドは事業再編、地域別販売及びグレード統廃合で変わる可能性がある。特定用途では、最新の製品カタログ、SDS、規制証明書、UL認証及び供給可否をメーカー又は正規販売窓口へ確認する必要がある。
推奨確認試験
| 試験 | 推奨条件例 | 確認項目 |
|---|---|---|
| 実薬品浸漬試験 | 実液濃度、使用温度、24 h・168 h・1000 h | 質量、体積、硬度、引張強さ、伸び、色、表面 |
| 応力負荷下ESC試験 | 実部品又は定ひずみ試験片、実薬品、最大使用温度 | 亀裂発生時間、漏れ、残留強度 |
| 熱老化試験 | 使用温度+10~30℃、168~2000 h | 引張・伸び保持率、硬度、黄変、発生ガス |
| 高温高湿・熱水試験 | 85℃/85%RH又は実温水、168~1000 h | 添加剤抽出、絶縁、寸法、表面 |
| 紫外線促進耐候試験 | キセノンアーク又はUV、用途相当サイクル | 色差、光沢、亀裂、引張保持率 |
| ヒートサイクル試験 | 低温限界~最高使用温度、100~1000回 | 亀裂、接合剥離、寸法、シール性 |
| クリープ・圧縮永久ひずみ | 実温度、実圧縮率、22~1000 h | 変形、締付力、復元率、漏れ |
| 燃料・油浸漬試験 | 実燃料、バイオ成分、使用温度、168~1000 h | 膨潤、抽出、硬度、透過、強度 |
| 溶着・接着強度試験 | 実表面処理、実接着剤、初期及び老化後 | 剥離、せん断、破壊モード |
| アウトガス・フォギング試験 | 実使用温度、真空又は密閉条件 | TML、CVCM、GC-MS、曇り |
| 実成形試験 | 量産機、実金型、想定滞留時間 | 焼け、ガス、腐食、収縮、外観、サイクル |
| 実部品耐久試験 | 荷重、振動、温度、薬品、湿度を複合 | 寿命、漏れ、割れ、寸法、機能 |
用途決定前には、グレード、塩素含有量、配合、架橋条件、温度、濃度、荷重、応力、湿度、時間、試験片形状、成形履歴及び接合方法を実使用条件に合わせる必要がある。
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