| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | 発泡ポリエチレン |
| 略記号 | PEフォーム、EPE、XLPEフォーム、IXPEフォーム、XPEフォームなど |
| IUPAC | Poly(methylene)を主骨格とする発泡体 |
| 英語名 | Polyethylene Foam / Expanded Polyethylene / Cross-linked Polyethylene Foam |
| 日本語名 | 発泡ポリエチレン、ポリエチレンフォーム、PEフォーム、架橋発泡ポリエチレン、無架橋発泡ポリエチレン |
| 分類 | ポリオレフィン系発泡プラスチック |
| プラスチック分類 | 汎用プラスチック系発泡材料 |
| 化学式または代表構造 | 主鎖構造:-CH2-CH2- の繰り返し構造。発泡体では、このポリエチレン樹脂中に独立気泡または連続気泡を形成した構造である。 |
| CAS No. | 9002-88-4(ポリエチレンとして) |
| 構造・主成分 | 低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン系共重合体などを主成分とし、発泡剤、架橋剤、核剤、難燃剤、帯電防止剤などを配合する場合がある。 |
| 主な用途 | 緩衝材、包装材、断熱材、建築用目地材、浮力材、自動車内装材、スポーツ用品、保護パッド、シール材、クッション材など |
概要
発泡ポリエチレンは、ポリエチレンを発泡させた軽量な発泡プラスチックである。一般に柔軟性、緩衝性、耐水性、耐薬品性に優れ、包装材、クッション材、建築資材、自動車部材など幅広い分野で使用される。ポリエチレン自体が非極性のポリオレフィンであるため、吸水性が低く、水や多くの酸・アルカリに対して比較的安定である。
発泡ポリエチレンには、無架橋タイプ、化学架橋タイプ、電子線架橋タイプ、押出発泡シート、ビーズ発泡体などがある。独立気泡構造を持つものが多く、軽量で断熱性や浮力性に優れる。一方で、耐熱性は高くなく、荷重下では圧縮永久ひずみやクリープが問題となる場合がある。
実使用では、発泡倍率、気泡構造、架橋の有無、密度、厚み、難燃性、圧縮応力、使用温度、使用時間、接触薬品などを確認する必要がある。特に高温環境、油類、芳香族炭化水素、塩素系溶剤との接触では、膨潤、軟化、寸法変化を生じる場合があるため、実機条件での確認が重要である。
特徴
長所
- 軽量で、発泡倍率により密度を大きく下げることができる。
- 柔軟性、緩衝性、衝撃吸収性に優れる。
- 独立気泡品では吸水性が低く、防水性、浮力性に優れる。
- 酸、アルカリ、水、低級アルコール類に対して一般に安定である。
- 加工性が良く、打ち抜き、スリット、熱融着、ラミネート加工などに対応しやすい。
- 架橋グレードでは耐熱性、弾性回復性、寸法安定性が向上する。
- 発泡倍率や密度の調整により、柔らかいクッション材から比較的剛性のある芯材まで設計できる。
短所
- 耐熱性は高くなく、高温では軟化、収縮、変形が起こりやすい。
- 荷重が長時間かかる用途では、圧縮永久ひずみやクリープが問題となる場合がある。
- 芳香族炭化水素、塩素系溶剤、鉱物油などでは膨潤、軟化することがある。
- 表面エネルギーが低く、接着、印刷、塗装には表面処理やプライマーが必要となる場合が多い。
- 燃焼しやすいため、難燃用途では難燃グレードの選定が必要である。
- 高精度な寸法安定性や高剛性が要求される構造部材には適しにくい。
外観
発泡ポリエチレンは、一般に白色、乳白色、黒色、灰色、着色品などで供給される。形態としては、シート、ロール、板、丸棒、チューブ、成形ブロック、ビーズ発泡成形品などがある。気泡は独立気泡が主体であるが、グレードや製法により気泡径、表面平滑性、柔軟性は異なる。
耐熱性
発泡ポリエチレンの耐熱性は、基材となるポリエチレンの種類と架橋の有無に依存する。無架橋品では、一般に80℃前後を超えると変形や収縮が起こりやすく、長期使用温度は60〜80℃程度が目安である。架橋発泡ポリエチレンでは、短時間であれば100℃程度に耐える場合もあるが、荷重下や長期使用では寸法変化を確認する必要がある。
耐薬品性
発泡ポリエチレンは、ポリエチレンと同様に非極性材料であり、水、酸、アルカリ、低級アルコール類には一般に良好な耐性を示す。一方、芳香族炭化水素、塩素系溶剤、脂肪族炭化水素、油類では、温度や接触時間により膨潤や軟化が生じる場合がある。発泡体では気泡構造があるため、液体の浸透、圧縮変形、表面の荒れにも注意が必要である。
加工性
シート状、ロール状の発泡ポリエチレンは、打ち抜き、裁断、スリット、熱融着、貼り合わせ、ラミネート、エンボス、熱成形などに対応しやすい。押出発泡品では連続シートやチューブの成形が行われ、ビーズ発泡品では金型内で加熱融着して三次元形状を得ることができる。接着では、表面処理、ホットメルト、粘着剤、両面テープなどを用途に応じて選定する。
分類上の注意
発泡ポリエチレンは、樹脂分類としてはポリエチレン系であり、プラスチック分類では汎用プラスチックに属する。ただし、発泡体としての性能は樹脂単体の物性値とは大きく異なる。密度、発泡倍率、気泡構造、架橋の有無、添加剤の種類により、圧縮強さ、断熱性、耐熱性、耐薬品性、燃焼性が変化するため、材料選定では発泡体グレードごとのデータを確認する必要がある。
構造式
化学式の画像(白黒、フォントはMS Pゴシック)
画像タグは使用しない指定のため、代表構造をHTMLテキストで示す。
代表的な構造単位
ポリエチレンの代表構造単位は以下の通りである。
-[ CH2-CH2 ]n-
発泡ポリエチレンでは、このポリエチレン連続相の中に発泡ガス由来の気泡が分散した構造を持つ。独立気泡品では、気泡同士がつながりにくく、吸水性が低く、断熱性や浮力性が高い傾向がある。
モノマーまたは構成単位
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主モノマー | エチレン:CH2=CH2 |
| 代表的な重合体 | ポリエチレン:-[CH2-CH2]-n |
| 発泡構造 | ポリエチレン樹脂中に発泡剤または物理発泡ガスにより形成された微細気泡を含む構造 |
| 架橋構造 | 化学架橋または電子線架橋により、ポリエチレン分子鎖間に架橋点を形成した構造 |
共重合体や変性グレード
発泡ポリエチレンでは、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンのほか、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン系エラストマー、酸変性ポリエチレンなどを併用する場合がある。柔軟性、低温特性、接着性、発泡性、熱融着性を調整する目的で共重合体や改質剤が使用される。
種類
| 種類の名称 | 主成分または特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 無架橋発泡ポリエチレン | 主にLDPE、LLDPEを発泡させたもの | 柔軟、軽量、加工しやすい、比較的安価 | 耐熱性、圧縮回復性、寸法安定性は架橋品より劣る | 包装材、緩衝材、保護材、簡易断熱材 |
| 化学架橋発泡ポリエチレン | 架橋剤によりポリエチレンを架橋してから発泡したもの | 弾性回復性、耐熱性、表面平滑性が良い | 再溶融しにくく、リサイクル性に制約がある | 自動車内装材、建築目地材、スポーツ用品、シール材 |
| 電子線架橋発泡ポリエチレン | 電子線照射により分子鎖を架橋した発泡体 | 均一な架橋、清浄性、薄物シートの品質が良い | 設備コストが高く、厚物には制約がある | 精密包装材、医療・衛生関連材、車両内装材 |
| 押出発泡ポリエチレン | 押出機内で発泡剤を混合し、シートやチューブ状に発泡したもの | 連続生産に適し、シート、ロール、チューブ形状が得やすい | 厚物や複雑形状には制約がある | 包装シート、保護チューブ、断熱材、ラミネート基材 |
| ビーズ発泡ポリエチレン | 発泡ビーズを金型内で加熱融着した成形体 | 三次元形状、厚肉成形、優れた緩衝性が得られる | 金型が必要で、小ロットではコストが上がりやすい | 通い箱、緩衝成形品、自動車部材、浮力材 |
| 導電・帯電防止発泡ポリエチレン | カーボンブラック、導電性フィラー、帯電防止剤を配合したもの | 静電気対策ができ、電子部品包装に使用しやすい | 機械物性や色調が制限される場合がある | 電子部品トレー、IC包装材、クリーン関連包装 |
| 難燃発泡ポリエチレン | 難燃剤を配合した発泡PE | 燃焼性を抑えた設計が可能 | 機械物性、発泡性、環境規制への配慮が必要 | 建築材、設備断熱材、車両内装材、電気機器周辺材 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 内容 |
|---|---|---|
| 射出成形 | △ | ビーズ発泡や特殊な構造発泡では可能であるが、一般的なシート状発泡PEでは主加工法ではない。 |
| 押出成形 | ◎ | シート、ロール、チューブ、棒状発泡材の連続成形に適する。 |
| ブロー成形 | △ | 一般的な発泡PEでは限定的である。中空発泡構造や特殊容器では条件により検討される。 |
| 圧縮成形 | ○ | 発泡シートの熱圧縮、積層、賦形、厚み調整に使用される場合がある。 |
| 真空成形 | △ | 低倍率品や架橋品では可能な場合があるが、気泡破壊、白化、寸法変化に注意が必要である。 |
| 切削加工 | ○ | 厚板、ブロック材は切削、ルーター、刃物加工が可能である。ただし柔軟材では寸法精度に注意する。 |
| 打ち抜き加工 | ◎ | シート材のガスケット、緩衝パッド、スペーサー加工に適する。 |
| 熱融着 | ○ | ポリエチレン同士の融着が可能である。架橋度が高い場合は融着性が低下する。 |
| 接着加工 | △ | 表面エネルギーが低いため、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー、専用粘着剤を用いることが多い。 |
| ラミネート加工 | ◎ | フィルム、不織布、アルミ箔、粘着層との複合化に適する。 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下は発泡ポリエチレンの代表値・目安である。発泡倍率、密度、架橋の有無、測定方法により大きく変化するため、設計時にはメーカーの個別データを確認する必要がある。
| 項目 | 無架橋発泡PE | 架橋発泡PE | 高密度・高強度発泡PE | 単位 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | 0.015〜0.10 | 0.025〜0.20 | 0.08〜0.30 | g/cm3 | 発泡倍率により大きく変化する。 |
| 引張強さ | 0.2〜1.5 | 0.5〜3.0 | 1.0〜5.0 | MPa | シート方向、密度、架橋度に依存する。 |
| 伸び | 50〜250 | 80〜400 | 50〜250 | % | 柔軟グレードでは大きい。 |
| 曲げ弾性率 | 1〜30 | 5〜80 | 30〜200 | MPa | 発泡体としての目安であり、樹脂単体とは異なる。 |
| アイゾット衝撃強さ | 破壊しにくい | 破壊しにくい | 破壊しにくい | – | 発泡体では衝撃吸収性として評価されることが多い。 |
| 圧縮応力 | 20〜300 | 50〜600 | 200〜1500 | kPa | 25%圧縮時などの条件で表示されることが多い。 |
| 荷重たわみ温度 | 40〜70 | 60〜90 | 60〜100 | ℃ | 発泡体では圧縮荷重下の寸法変化を確認する。 |
| 融点 | 105〜125 | 105〜130 | 120〜135 | ℃ | 基材PEの種類により異なる。架橋品でも結晶融解は生じる。 |
| ガラス転移温度 | 約-120 | 約-120 | 約-120 | ℃ | ポリエチレン主鎖の代表値。 |
| 連続使用温度 | -40〜70 | -40〜90 | -40〜90 | ℃ | 荷重、時間、寸法許容差により変わる。 |
| 吸水率 | 0.01〜0.1未満 | 0.01〜0.1未満 | 0.01〜0.2 | % | 独立気泡品では低い。切断面や連続気泡では吸液に注意。 |
| 熱伝導率 | 0.030〜0.050 | 0.030〜0.060 | 0.040〜0.080 | W/m・K | 密度、気泡径、測定温度に依存する。 |
| 体積抵抗率 | 1014以上 | 1014以上 | 1013〜1016 | Ω・cm | 導電・帯電防止グレードでは大きく低下する。 |
耐薬品性
発泡ポリエチレンは、非極性のポリオレフィン系材料であり、水、酸、アルカリ、低級アルコール類に対して一般に良好な耐性を示す。ただし、発泡体では液体の浸透、気泡内への吸液、圧縮荷重下の寸法変化も評価対象となる。以下は代表的な目安であり、実使用では温度、濃度、接触時間、応力、発泡倍率、架橋の有無を確認する必要がある。
| 薬品分類 | 代表例 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 酸類 | 塩酸、希硫酸、酢酸 | ◎ | 常温の希酸では一般に安定である。酸化性酸や高温では確認が必要である。 |
| 強酸・酸化性酸 | 濃硫酸、硝酸、クロム酸 | △ | 酸化劣化、脆化、表面変化が生じる場合がある。 |
| アルカリ類 | 水酸化ナトリウム、KOH、アンモニア水 | ◎ | 常温では一般に良好である。 |
| 低級アルコール類 | メタノール、エタノール、IPA | ◎ | 短時間から中長期接触でも比較的安定である。 |
| 高級アルコール類 | グリセリン、ブタノール、MMB | ○ | 多くは使用可能であるが、温度や添加剤の影響を確認する。 |
| 芳香族炭化水素類 | トルエン、キシレン、ベンゼン | × | 膨潤、軟化、寸法変化を生じやすい。 |
| 脂肪族炭化水素類 | ヘキサン、ヘプタン、ミネラルスピリット | △ | 条件により膨潤する。長時間接触には注意が必要である。 |
| ケトン | アセトン、MEK、MIBK | ○〜△ | 常温短時間では比較的安定な場合があるが、膨潤や表面変化を確認する。 |
| エステル | 酢酸エチル、酢酸ブチル | △ | 膨潤、軟化を生じる場合がある。 |
| 塩素系溶剤 | ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン | × | 膨潤、軟化、寸法変化が大きくなる場合が多い。 |
| 水・温水 | 水、温水、海水 | ◎ | 吸水性は低い。高温長期では寸法変化を確認する。 |
| 油 | 潤滑油、鉱物油、植物油 | ○〜△ | 油種により膨潤する場合がある。特に鉱物油や燃料油では注意が必要である。 |
| 燃料 | ガソリン、灯油、軽油 | ×〜△ | 膨潤や軟化が起こりやすく、長期接触には適しにくい。 |
SP値(溶解度パラメータ)
発泡ポリエチレンの基材であるポリエチレンの代表的なSP値(δ)は、一般に約16〜17 MPa1/2程度が目安である。発泡体であっても樹脂相の溶解性はポリエチレンに近いが、気泡構造、架橋、添加剤、表面処理、密度により薬品接触時の挙動は変化する。
SP値は溶解・膨潤の傾向を見るための目安であり、耐薬品性を単独で判断することはできない。結晶性、架橋構造、薬品の分子サイズ、温度、濃度、接触時間、応力、発泡倍率、気泡構造を含めて評価する必要がある。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0〜2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2〜5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5〜8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
発泡ポリエチレンの代表SP値を16.5 MPa1/2として、代表的な溶剤とのSP値差を整理する。実際の耐薬品性はSP値差だけでなく、温度、接触時間、結晶性、架橋、応力、発泡倍率、薬品の浸透性により変化する。
| 薬品名 | 代表SP値 MPa1/2 | SP値差 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 水 | 47.9 | 約31.4 | ◎ | SP値差が大きく、PEは吸水しにくい。 |
| メタノール | 29.7 | 約13.2 | ◎ | 低級アルコール類には一般に安定である。 |
| エタノール | 26.0 | 約9.5 | ◎ | 常温では良好である。 |
| IPA | 23.5 | 約7.0 | ○ | 短時間接触では比較的安定である。 |
| アセトン | 20.3 | 約3.8 | ○〜△ | SP値差は近いが、常温短時間では使用可能な場合がある。 |
| MEK | 19.0 | 約2.5 | △ | 膨潤、表面変化を確認する。 |
| 酢酸エチル | 18.2 | 約1.7 | △ | 条件により膨潤・軟化する。 |
| トルエン | 18.2 | 約1.7 | × | PEに対して膨潤性があり、長時間接触には不適である。 |
| キシレン | 18.0 | 約1.5 | × | 膨潤、軟化が起こりやすい。 |
| ヘキサン | 14.9 | 約1.6 | △ | 非極性でPEに近く、条件により膨潤する。 |
| 灯油 | 約16〜17 | 約0〜1 | ×〜△ | 膨潤、寸法変化に注意が必要である。 |
| ジクロロメタン | 20.2 | 約3.7 | × | 膨潤や軟化を起こしやすい。 |
評価基準:◎非常に良好、○概ね良好、△注意が必要、×不適
製法
原料
発泡ポリエチレンの主原料は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどである。柔軟性や低温特性を調整するために、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン系エラストマー、酸変性ポリエチレンなどを併用する場合がある。発泡剤としては、物理発泡剤、化学発泡剤、発泡性ガスが使用される。
重合方法
ポリエチレンは、エチレンを高圧ラジカル重合、チーグラー・ナッタ触媒重合、メタロセン触媒重合などにより重合して得られる。発泡ポリエチレンでは、得られたポリエチレン樹脂を発泡加工用にペレット化し、発泡剤、架橋剤、核剤、安定剤、顔料などを配合する。
代表的な反応式
エチレンの重合反応は、以下のように表される。
n CH2=CH2 → -[ CH2-CH2 ]n-
化学発泡剤を用いる場合の代表例として、アゾジカルボンアミド系発泡剤は加熱により分解し、窒素などのガスを発生する。このガスが溶融または軟化したポリエチレン中で気泡を形成する。
発泡剤 → ガス発生 → ポリエチレン中に気泡形成 → 冷却・固化
ペレット化やコンパウンド
原料樹脂は、押出機や混練機で発泡剤、架橋剤、核剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料などと混合され、ペレットまたはシートに加工される。発泡倍率や気泡径を安定させるためには、樹脂の溶融粘度、発泡剤の分解温度、核剤の分散状態、冷却条件を調整する必要がある。
添加剤、充填材、強化材
用途に応じて、難燃剤、帯電防止剤、導電性カーボン、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、発泡核剤などが使用される。発泡ポリエチレンでは、ガラス繊維や炭素繊維による強化は一般的ではないが、無機フィラーやカーボン系材料を配合して、剛性、導電性、難燃性、寸法安定性を調整する場合がある。
代表的な工程
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| 原料配合 | ポリエチレン樹脂、発泡剤、核剤、添加剤を配合する。 |
| 混練・ペレット化 | 押出機で混練し、発泡用コンパウンドを作製する。 |
| 押出発泡 | 押出機内で加熱・加圧し、ダイ出口で圧力を下げて発泡させる。 |
| 架橋処理 | 化学架橋または電子線架橋により分子鎖間に架橋点を形成する。 |
| 発泡・冷却 | 発泡剤のガス発生または物理発泡により気泡を形成し、冷却して形状を固定する。 |
| 二次加工 | 裁断、打ち抜き、スリット、熱融着、ラミネート、成形加工を行う。 |
詳細な利用用途
| 分野 | 用途例 | 採用理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自動車 | 内装クッション材、ドア内防音材、シール材、スペーサー、衝撃吸収材 | 軽量、緩衝性、吸水しにくい、加工しやすい | 耐熱性、難燃性、圧縮永久ひずみを確認する。 |
| 電気・電子 | 電子部品包装材、帯電防止フォーム、保護トレー、絶縁スペーサー | 緩衝性、軽量、絶縁性、帯電防止設計が可能 | 静電気対策、アウトガス、汚染性を確認する。 |
| 機械部品 | パッキン、ガスケット、緩衝スペーサー、防振材 | 柔軟性、圧縮性、加工性に優れる | 高荷重下のクリープ、油類との接触に注意する。 |
| 医療・衛生 | 保護パッド、包装材、クッション材、サポート材 | 軽量、柔軟、吸水しにくい | 医療用途ではグレード、清浄性、滅菌条件を確認する。 |
| 食品機械・物流 | 食品容器用緩衝材、搬送時の保護材、断熱包装材 | 耐水性、軽量、緩衝性、断熱性 | 食品接触規制、洗浄薬品、耐熱性を確認する。 |
| 建築・設備 | 目地材、断熱材、配管保温材、防音材、床下緩衝材 | 断熱性、防水性、施工性、柔軟性 | 難燃性、長期圧縮、屋外耐候性を確認する。 |
| スポーツ・レジャー | マット、プロテクター、浮力材、キャンプ用品、保護具 | 軽量、衝撃吸収性、浮力性、柔軟性 | 紫外線劣化、汗、油、温度条件を確認する。 |
| 包装・物流 | 緩衝シート、袋、コーナーパッド、通い箱内装材 | 軽量、安価、加工しやすい、製品を傷つけにくい | 圧縮後の回復性、帯電、リサイクル性を確認する。 |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | 発泡ポリエチレンとの違い |
|---|---|---|
| ポリエチレン | 非発泡のポリオレフィン。耐薬品性、電気絶縁性に優れる。 | 発泡PEは軽量、柔軟、断熱性が高いが、強度と寸法精度は非発泡PEより低い。 |
| ポリプロピレン | PEより剛性と耐熱性が高い汎用樹脂。 | 発泡PEは柔軟性と低温衝撃性に優れる。PP系は耐熱性と剛性で有利である。 |
| 発泡ポリプロピレン | 軽量で耐熱性、反発弾性、繰返し緩衝性に優れる発泡PP。 | 発泡PEは柔軟で加工しやすい。EPPは耐熱性、剛性、繰返し耐久性で有利な場合が多い。 |
| 発泡ポリスチレン | 軽量、断熱性に優れるが、脆く割れやすい発泡材料。 | 発泡PEは柔軟で割れにくく、緩衝材に適する。EPSは断熱材や成形緩衝材でコスト面に優れる。 |
| 押出発泡ポリスチレン | 独立気泡で断熱性、圧縮強さに優れる建築用断熱材。 | 発泡PEは柔軟で緩衝性が高い。XPSは断熱性と板状剛性で有利である。 |
| エチレン酢酸ビニル共重合体 | 柔軟性、低温特性、接着性に優れるエチレン系共重合体。 | EVAフォームは柔軟性、弾性、接着性に優れる。発泡PEは耐水性、耐薬品性、コストで有利な場合がある。 |
| ポリウレタン | 軟質フォーム、硬質フォームとして広く使用される発泡材料。 | PUフォームはクッション性や断熱性の設計幅が広い。発泡PEは耐水性、耐薬品性、低吸水性で有利である。 |
| 熱可塑性エラストマー | ゴム弾性を持つ熱可塑性材料。 | TPEは発泡しない場合でも弾性が高い。発泡PEは軽量性と断熱性を得やすい。 |
代表的なメーカー
発泡ポリエチレンは、シート、ロール、ブロック、成形品、ビーズ発泡体など形態が多く、メーカーにより対象グレードや用途分野が異なる。以下は代表例であり、実際の採用では各社の最新グレード、規格、供給地域を確認する必要がある。
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 東レ株式会社 | トーレペフ | ポリオレフィン系発泡体の代表例。自動車、建材、包装、産業資材などに使用される。 |
| 積水化学工業株式会社 | ソフトロン | 架橋ポリエチレンフォームの代表例。緩衝、断熱、シール、建築資材用途などに用いられる。 |
| 三和化工株式会社 | サンペルカ、オプセル | 発泡ポリエチレン、発泡ポリオレフィン系シート・ブロック材の代表例。包装、緩衝、工業資材に使用される。 |
| 株式会社イノアックコーポレーション | ポリエチレンフォーム関連製品 | 発泡材料、フォーム加工品を扱うメーカー。自動車、産業資材、生活用品向けに展開される。 |
| JSP株式会社 | 発泡ポリエチレン系成形品・発泡ポリオレフィン系材料 | 発泡プラスチック材料を扱うメーカー。包装、建材、自動車、物流資材などに使用される。 |
| Zotefoams plc | Plastazote、Evazote | 独立気泡ポリオレフィンフォームの代表例。医療、航空、スポーツ、包装、工業用途で使用される。 |
| Armacell | ポリオレフィン系フォーム製品 | 断熱材、設備資材、工業用フォーム材を展開するメーカー。用途によりPE系フォームが使用される。 |
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