概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | ポリウレタン |
| 略記号 | PU、PUR、TPU、CPU、PUフォームなど。用途や形態により表記が異なる。 |
| IUPAC | ポリウレタンは単一構造の高分子ではなく、一般的な単一IUPAC名は設定しにくい。代表的にはウレタン結合(carbamate linkage)を主鎖または側鎖に含む高分子の総称である。 |
| 英語名 | Polyurethane |
| 日本語名 | ポリウレタン、ウレタン樹脂、ウレタン、熱可塑性ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリウレタンフォーム |
| 分類 | ウレタン系樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー、発泡体、塗料樹脂、接着剤樹脂、エラストマー |
| プラスチック分類 | 用途により異なる。TPUは熱可塑性エラストマー、注型ウレタンは熱硬化性エラストマー、硬質フォームは発泡プラスチック、塗料・接着剤用途では反応性樹脂として扱われる。 |
| 化学式または代表構造 | 代表構造単位:-O-CO-NH-R-NH-CO-O-R’-。ジイソシアネートとポリオールの重付加反応により形成される。 |
| CAS No. | 9009-54-5がポリウレタンの代表例として扱われる場合がある。ただし、ポリウレタンは原料、分子量、架橋構造、添加剤により多数の組成が存在するため、実務では製品SDSのCAS No.を確認する必要がある。 |
| 構造・主成分 | ジイソシアネート、ポリオール、鎖延長剤、触媒、発泡剤、架橋剤、安定剤、難燃剤、充填材などから構成される。ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、脂肪族イソシアネート系、芳香族イソシアネート系などに分かれる。 |
| 主な用途 | フォーム、断熱材、クッション材、靴底、ローラー、ベルト、ホース、チューブ、シール材、パッキン、塗料、接着剤、人工皮革、電線被覆、医療用チューブ、自動車内装材、スポーツ用品など。 |
ポリウレタンは、イソシアネート基(-NCO)を持つ化合物と、水酸基(-OH)を持つポリオールとの重付加反応により得られるウレタン結合含有高分子である。単一の樹脂名というより、軟質フォーム、硬質フォーム、熱可塑性ポリウレタン、注型ウレタン、塗料、接着剤、シーリング材などを含む大きな材料群である。
一般に、ポリウレタンは柔軟性、弾性回復性、耐摩耗性、耐屈曲性、接着性、発泡性、低温柔軟性に優れる。一方で、ポリエステル系では加水分解、芳香族系では黄変、軟質グレードでは耐熱性、溶剤接触、油剤抽出、可塑剤移行に注意が必要である。
材料選定では、ポリウレタンを一括りにせず、TPU、CPU、軟質フォーム、硬質フォーム、塗料用ウレタン、接着剤用ウレタン、熱硬化型ウレタン、湿気硬化型ウレタン、水系ウレタンなどに分けて判断する必要がある。実使用では、グレード、温度、湿度、薬品濃度、荷重、応力、接触時間、成形履歴、硬化条件、添加剤、基材との密着性を確認する必要がある。
特徴
長所
- 柔軟性と弾性回復性に優れ、ゴム的な反発性を持つグレードが多い。
- 耐摩耗性、耐屈曲性、耐引裂性が良く、ローラー、ベルト、ホース、靴底、摺動部材に使われる。
- 原料設計の自由度が高く、硬質から軟質、発泡体、塗膜、接着剤まで幅広く設計できる。
- 金属、繊維、木材、皮革、各種プラスチックへの接着性を付与しやすい。
- 発泡設計により、断熱性、クッション性、軽量性を付与できる。
- TPUでは射出成形、押出成形、フィルム成形、ブロー成形、カレンダー加工などに対応できるグレードがある。
短所
- ポリエステル系ポリウレタンは、高温高湿、水、アルカリ条件で加水分解しやすい場合がある。
- ポリエーテル系は耐加水分解性に優れる傾向があるが、耐油性、耐溶剤性、機械強度はグレードにより差が大きい。
- 芳香族イソシアネート系は紫外線や熱により黄変しやすい。
- ケトン、エステル、芳香族炭化水素、塩素系溶剤、DMF、THFなどでは膨潤、軟化、溶解が起こる場合がある。
- 熱劣化、湿熱劣化、アウトガス、残留モノマー、可塑剤移行、添加剤抽出に注意が必要である。
- 硬化型ポリウレタンでは、配合比、混合状態、湿度、硬化温度、ポットライフにより性能が大きく変わる。
外観
無着色グレードは透明、半透明、乳白色、淡黄色などである。フォームでは白色、黄色、灰色、黒色などが多い。芳香族系では紫外線や熱により黄変しやすく、透明性や外観安定性が必要な用途では脂肪族イソシアネート系、耐候グレード、紫外線吸収剤配合品を検討する。
耐熱性
一般的なTPUの連続使用温度は、おおむね60~100℃程度が目安である。耐熱グレード、ポリカーボネート系TPU、架橋型ウレタン、硬質フォームでは条件により高温側で使用できる場合があるが、長期熱老化、圧縮永久ひずみ、軟化、加水分解、黄変、発泡体の寸法変化を確認する必要がある。
耐薬品性
ポリウレタンは、油、脂肪族炭化水素、低濃度酸、低濃度アルカリ、アルコール類に対して比較的安定なグレードがある。一方で、強酸、強アルカリ、高温水、蒸気、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、塩素系溶剤、強極性溶剤では膨潤、軟化、加水分解、抽出、割れが起こる場合がある。
加工性
TPUは熱可塑性材料として射出成形、押出成形、フィルム成形、ブロー成形、カレンダー加工、溶着、切削加工に対応できる。吸湿しやすいグレードが多いため、成形前乾燥が重要である。硬化型ポリウレタンは注型、塗布、含浸、発泡、反応射出成形などで加工されるが、配合比、混合、脱泡、温度管理、湿度管理が重要である。
分類上の注意
ポリウレタンは、プラスチック、ゴム、フォーム、塗料、接着剤、エラストマーの各分野で使われる横断的な材料である。したがって、単に「PU」と記載されていても、熱可塑性ポリウレタン、熱硬化性ウレタン、ウレタンフォーム、水系ウレタン樹脂、ウレタンアクリレートなどを区別しなければ、物性や耐薬品性を正しく判断できない。
構造式

ウレタン結合−NHCOO−を含むセグメント構造。構造中の官能基、結晶性、架橋密度、芳香族骨格、充填材の有無により、耐熱性、耐薬品性、機械的性質、成形性が変化する。
代表的な構造単位
| 項目 | 構造・内容 |
|---|---|
| ウレタン結合 | -NH-CO-O-、または -O-CO-NH- |
| 代表構造単位 | -O-R’-O-CO-NH-R-NH-CO- |
| ジイソシアネート成分 | OCN-R-NCO |
| ポリオール成分 | HO-R’-OH |
| 基本反応 | OCN-R-NCO + HO-R’-OH → -NH-CO-O-R’-O-CO-NH-R- |
モノマーまたは構成単位
- ジイソシアネート:MDI、TDI、HDI、IPDI、HMDIなどが代表例である。
- ポリオール:ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールなどが使われる。
- 鎖延長剤:1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、ジアミン系化合物などが使われる場合がある。
- 発泡体では、水、物理発泡剤、整泡剤、触媒などが配合される。
共重合体や変性グレード
ポリウレタンは、ソフトセグメントとハードセグメントの相分離構造を利用して物性を制御する材料である。ポリエーテル系は耐加水分解性、低温柔軟性に優れる傾向があり、ポリエステル系は耐摩耗性、機械強度、耐油性に優れる傾向がある。ポリカーボネート系は耐熱性、耐加水分解性、耐候性、機械特性のバランスを重視する用途で検討される。
種類
| 種類の名称 | 主成分または特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 熱可塑性ポリウレタン | TPU。線状または弱架橋のウレタン系エラストマーで、加熱により溶融加工できる。 | 射出・押出成形が可能で、耐摩耗性、弾性、耐屈曲性が良い。 | 吸湿、熱劣化、溶剤膨潤、成形時の乾燥不足に注意が必要である。 | チューブ、ホース、電線被覆、靴底、フィルム、ベルト、ローラー、スマートフォンケース |
| 注型ポリウレタン | CPU。液状原料を型内で反応硬化させる熱硬化性エラストマーである。 | 厚肉品、大型品、ローラー、ライニング材に適し、高硬度から低硬度まで設計しやすい。 | 配合比、混合、脱泡、硬化温度、後硬化条件で物性が大きく変わる。 | 工業用ローラー、車輪、ライニング、スクレーパー、パッド、金型成形品 |
| 軟質ポリウレタンフォーム | 発泡した軟質ウレタン。開孔構造を持つグレードが多い。 | クッション性、軽量性、吸音性、加工性に優れる。 | 耐熱性、耐湿熱性、圧縮永久ひずみ、燃焼性、黄変に注意が必要である。 | 家具、寝具、車両シート、包装緩衝材、吸音材 |
| 硬質ポリウレタンフォーム | 高架橋密度の硬質発泡体で、閉孔構造を持つグレードが多い。 | 断熱性、軽量性、寸法安定性に優れる。 | 衝撃、燃焼性、発泡ガス、経時寸法変化、熱分解に注意が必要である。 | 断熱材、冷蔵・冷凍設備、建築パネル、保温材 |
| ポリエステル系ポリウレタン | ポリエステルポリオールを用いたPUである。 | 機械強度、耐摩耗性、耐油性、耐溶剤性が比較的良い。 | 高温高湿、水、アルカリで加水分解しやすい場合がある。 | ベルト、ローラー、靴底、機械部品、工業用エラストマー |
| ポリエーテル系ポリウレタン | ポリエーテルポリオールを用いたPUである。 | 耐加水分解性、低温柔軟性、耐微生物性に優れる傾向がある。 | 耐油性、耐溶剤性、耐摩耗性はポリエステル系に劣る場合がある。 | 水回り部品、医療用チューブ、ケーブル、低温用途、湿潤環境部材 |
| ポリカーボネート系ポリウレタン | ポリカーボネートポリオールを用いたPUである。 | 耐加水分解性、耐熱性、耐候性、機械特性のバランスが良い。 | 一般的なポリエーテル系、ポリエステル系より高コストになる場合がある。 | 医療部材、耐久チューブ、高機能フィルム、耐候コーティング |
| 水系ポリウレタン | 水分散型ポリウレタン樹脂である。 | 低VOC化、塗工性、柔軟性、密着性に優れる。 | 乾燥条件、造膜温度、耐水性、耐薬品性、保存安定性に注意が必要である。 | 塗料、コーティング、接着剤、人工皮革、繊維処理剤 |
| ウレタンアクリレート | ポリウレタン骨格にアクリロイル基を導入したUV硬化樹脂である。 | 柔軟性、密着性、耐摩耗性、速硬化性を付与しやすい。 | 酸素阻害、硬化収縮、黄変、未反応モノマー、皮膚刺激性に注意が必要である。 | UV硬化塗料、インキ、接着剤、ハードコート、粘着剤 |
代表グレード
| グレード区分 | 特徴 | 主な確認項目 | 用途例 |
|---|---|---|---|
| 汎用TPU | 硬度、弾性、成形性のバランスを重視した標準グレードである。 | 硬度、引張強さ、伸び、成形収縮、吸水率、耐摩耗性 | チューブ、ホース、成形品、フィルム、靴底 |
| 耐熱グレード | 高温下での軟化、圧縮永久ひずみ、熱老化を抑えたグレードである。 | 連続使用温度、熱老化後物性、HDT、圧縮永久ひずみ | 自動車部品、工業用ベルト、耐熱チューブ |
| 難燃グレード | 難燃剤を配合し、UL94 V-0、V-1、V-2などを狙うグレードである。 | UL94、酸素指数、発煙性、ハロゲン有無、電気特性 | 電線被覆、電子部品、ケーブル、コネクタ周辺部品 |
| GF強化グレード | ガラス繊維により剛性、寸法安定性、耐熱性を高めたグレードである。 | 異方性、成形収縮、反り、繊維露出、耐衝撃性 | 筐体、機構部品、補強部品 |
| 摺動グレード | 潤滑剤、PTFE、シリコーン、ワックスなどを配合して摩擦摩耗を調整する。 | 摩擦係数、摩耗量、相手材、面圧、速度、潤滑条件 | ローラー、スライダー、ベルト、ギア周辺部品 |
| 食品接触グレード | 食品接触用途向けの規格適合を意識したグレードである。 | 食品衛生法、FDA、EU規則、抽出物、移行試験 | 食品機械用チューブ、搬送ベルト、パッキン |
| 医療用途グレード | 生体適合性、抽出物、滅菌適性などを考慮したグレードである。 | ISO 10993、USP Class VI、EOG滅菌、γ線滅菌、薬液接触 | 医療チューブ、カテーテル、フィルム、医療機器部材 |
成形加工
| 加工方法 | 適正 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | TPUの代表的な加工方法である。硬度、流動性、成形収縮に応じて条件を調整する。 | 乾燥不足による発泡、シルバー、物性低下に注意する。 |
| 押出成形 | ◎ | チューブ、ホース、フィルム、シート、電線被覆に適する。 | メルト強度、ダイスウェル、冷却条件、寸法安定性を確認する。 |
| ブロー成形 | ○ | 柔軟容器、チューブ状部材などで適用される場合がある。 | グレード選定、パリソン安定性、冷却条件が重要である。 |
| 圧縮成形 | △ | シート、板材、熱硬化型ウレタンの一部で使われる。 | TPUでは一般的な量産成形としては射出・押出が優先される。 |
| 真空成形 | △ | TPUシート、フィルムの二次成形で検討される。 | 加熱温度、戻り、肉厚変化、表面荒れを確認する。 |
| 注型成形 | ◎ | CPU、ローラー、車輪、ライニング材などに適する。 | 混合比、脱泡、ポットライフ、硬化温度、後硬化条件が重要である。 |
| 反応射出成形 | ○ | RIMとして大型軽量部品、発泡成形品などに使われる。 | 反応速度、発泡倍率、金型温度、混合状態を管理する必要がある。 |
| 切削加工 | ○ | 硬質TPU、注型ウレタン、板材、丸棒材で可能である。 | 軟質グレードでは逃げ、バリ、寸法ばらつき、熱変形に注意する。 |
| 溶着・接着 | ○ | 高周波溶着、熱溶着、接着剤接合が可能な場合がある。 | 添加剤、表面処理、硬度、基材差により密着性が変化する。 |
| 3Dプリント | ○ | TPUフィラメントとしてFDM方式で使用される。 | 吸湿、糸引き、押出安定性、造形速度、硬度を確認する。 |
成形条件
| 項目 | 代表条件 | 備考 |
|---|---|---|
| 乾燥温度 | 80~110℃程度 | TPUでは吸湿により発泡、シルバー、分子量低下が起こるため、成形前乾燥が重要である。グレードにより60~120℃程度で指定される場合がある。 |
| 乾燥時間 | 2~5時間程度 | ペレット水分、除湿乾燥機の露点、材料硬度により調整する。 |
| シリンダー温度 | 170~230℃程度 | TPUの硬度、流動性、ポリエステル系・ポリエーテル系、メーカー推奨条件により変化する。 |
| 金型温度 | 20~60℃程度 | 外観、離型性、結晶化、収縮、サイクルに影響する。高外観品では温度管理が重要である。 |
| 成形収縮率 | 0.5~2.0%程度 | 硬度、肉厚、金型温度、流動方向、充填材、アニール条件により変化する。 |
| 背圧・スクリュー | 低~中程度 | 過度なせん断発熱は熱劣化や変色の原因になる。滞留時間を短くする。 |
| 注型ウレタン硬化条件 | 常温~120℃程度 | 原料系により大きく異なる。プレポリマー、硬化剤、触媒、後硬化条件をメーカー仕様に合わせる。 |
代表的な物性値又は機械的性質
| 項目 | 単位 | TPU 標準グレード | TPU 高硬度グレード | 注型ウレタン | GF強化TPU | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm3 | 1.10~1.25 | 1.15~1.30 | 1.05~1.25 | 1.30~1.55 | ポリオール種、硬度、充填材、発泡有無により変化する。 |
| 引張強さ | MPa | 25~50 | 35~70 | 20~60 | 40~90 | 軟質フォームでは大幅に低い。エラストマー用途では硬度との関係で評価する。 |
| 伸び | % | 300~700 | 150~500 | 200~700 | 50~250 | 高硬度化、充填材添加、熱老化により低下する傾向がある。 |
| 曲げ弾性率 | MPa | 20~300 | 200~1,500 | 30~800 | 1,000~4,000 | ショア硬度と相関する。柔軟グレードでは曲げ弾性率より硬度で比較することが多い。 |
| アイゾット衝撃強さ | kJ/m2 | 破壊しにくい | 10~80 | 破壊しにくい | 5~40 | 規格、ノッチ有無、温度、硬度により差が大きい。 |
| 硬度 | Shore A / D | 70A~98A | 45D~75D | 20A~75D | 60D~85D | ポリウレタンでは硬度が材料選定の重要指標である。 |
| 荷重たわみ温度 | ℃ | 40~80 | 60~110 | 50~120 | 90~150 | 荷重、硬度、補強材により変化する。長期使用温度とは別に判断する。 |
| 融点または軟化温度 | ℃ | 明確な融点を示しにくい | 150~220程度の軟化域 | 熱硬化性のため溶融しない | 150~230程度の軟化域 | TPUはハードセグメント由来の軟化域を持つ。熱硬化品は熱分解に注意する。 |
| ガラス転移温度 | ℃ | -60~-20程度 | -50~0程度 | -60~0程度 | -40~10程度 | ソフトセグメントの種類により低温柔軟性が変化する。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 60~90 | 70~100 | 70~110 | 80~120 | 長期荷重、湿度、薬品接触、圧縮永久ひずみにより実用上限は低下する。 |
| 吸水率 | % | 0.2~1.5 | 0.2~1.2 | 0.1~1.5 | 0.2~1.0 | ポリウレタンは吸湿による成形不良、加水分解、寸法変化に注意する。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 109~1014 | 1010~1015 | 109~1014 | 108~1013 | 帯電防止グレード、導電グレードでは大きく低下する。 |
| 酸素指数 | % | 18~23程度 | 20~25程度 | 18~25程度 | 20~28程度 | 難燃グレードでは配合により高くなる。燃焼時ガスにも注意する。 |
| UL94 | 等級 | HB相当が多い | HB~V-2程度 | 配合による | HB~V-0程度 | 難燃グレードではV-0対応品もある。厚み、色、規格登録条件を確認する。 |
耐薬品性
以下は代表的なポリウレタン、特にTPUおよびウレタンエラストマーを想定した目安である。実際の耐薬品性は、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、硬度、架橋密度、添加剤、温度、濃度、応力、接触時間、成形残留応力、発泡の有無により大きく変化する。
| 薬品分類 | 代表薬品 | 評価 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 酸類 | 希塩酸、希硫酸、酢酸水溶液 | ○~△ | 低濃度・常温では使用可能な場合があるが、強酸、高温、長時間接触では劣化、膨潤、加水分解に注意する。 |
| 強酸 | 濃硫酸、濃硝酸、クロム酸 | × | 酸化性酸、強酸では分解、変色、強度低下が起こりやすい。 |
| アルカリ類 | 水酸化ナトリウム、KOH、アルカリ洗浄剤 | △~× | ポリエステル系はアルカリ加水分解に注意する。高温、濃厚条件では不適となる場合が多い。 |
| 低級アルコール類 | メタノール、エタノール、IPA | ○~△ | 短時間接触では比較的安定な場合があるが、応力下、混合溶剤、長時間浸漬では膨潤や抽出に注意する。 |
| 高級アルコール類 | ブタノール、グリセリン、MMB | ○~△ | 分子量、極性、温度により膨潤挙動が変わる。グレード別確認が必要である。 |
| 芳香族炭化水素類 | トルエン、キシレン、エチルベンゼン | △~× | 膨潤、軟化、強度低下が起こる場合がある。塗料、接着剤、シンナー接触では注意が必要である。 |
| 脂肪族炭化水素類 | ヘキサン、ヘプタン、ミネラルスピリット | ○~△ | 芳香族溶剤より影響は小さい場合が多いが、油剤配合、添加剤抽出、長期浸漬では確認が必要である。 |
| ケトン | アセトン、MEK、MIBK、シクロヘキサノン | × | 膨潤、軟化、溶解が起こりやすい。洗浄剤、インキ、塗料溶剤では基本的に注意する。 |
| エステル | 酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピル | △~× | 溶解・膨潤性が高い場合がある。短時間接触でも白化、軟化、表面荒れを確認する。 |
| 塩素系溶剤 | ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン | × | 膨潤、溶解、抽出が起こりやすく、実用上は避けるのが望ましい。 |
| 強極性溶剤 | DMF、DMAc、DMSO、THF、NMP | × | ポリウレタンを溶解または強く膨潤させる代表的な溶剤群である。 |
| 水・温水 | 水道水、純水、温水 | ○~△ | ポリエーテル系は比較的良好な場合が多い。ポリエステル系は高温高湿、温水、蒸気で加水分解に注意する。 |
| 油 | 鉱物油、潤滑油、動植物油 | ○~△ | ポリエステル系は耐油性に優れる傾向がある。添加剤、温度、油種、燃料混入で評価が変化する。 |
| 燃料 | ガソリン、軽油、灯油、アルコール混合燃料 | △~× | 燃料成分、芳香族含有量、アルコール含有量により膨潤が大きく変化する。燃料系用途では専用グレードが必要である。 |
| 洗剤 | 中性洗剤、界面活性剤、アルカリ洗浄剤 | ○~× | pH、界面活性剤、キレート剤、温度、濃度で差が大きい。食品機械用途では洗浄条件で確認する。 |
SP値(溶解度パラメータ)
| 対象 | SP値 δ(MPa1/2) | 備考 |
|---|---|---|
| ポリウレタン 標準的目安 | 20~26 | 組成差が大きいため、代表範囲として扱う。 |
| ポリエステル系TPU | 21~25 | 耐油性、機械強度が比較的高い傾向があるが、加水分解に注意する。 |
| ポリエーテル系TPU | 19~24 | 耐加水分解性、低温柔軟性に優れる傾向がある。 |
| ポリカーボネート系TPU | 21~25 | 耐熱性、耐加水分解性、耐候性のバランスが良い場合がある。 |
| 硬質ウレタンフォーム | 20~27 | 発泡構造、架橋密度、発泡剤、添加剤の影響が大きい。 |
SP値は溶解・膨潤傾向を推定するための有効な指標であるが、ポリウレタンではSP値だけで耐薬品性を判断できない。ウレタン結合の加水分解、エステル結合の分解、ハードセグメントの相分離、架橋密度、結晶性、添加剤抽出、発泡セル構造、応力割れ、温度、濃度、接触時間を合わせて評価する必要がある。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
下表では、ポリウレタンの代表SP値を23 MPa1/2と仮定して、代表溶剤とのSP値差を整理する。実際には、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、硬度、架橋密度、温度、応力により結果が変わるため、浸漬試験、重量変化、硬度変化、寸法変化、外観変化を確認する必要がある。
| 薬品名 | 薬品SP値 δ(MPa1/2) | PUとの差 | 評価 | 実務上の注意 |
|---|---|---|---|---|
| 水 | 47.9 | 24.9 | ○~△ | SP差は大きいが、加水分解、吸水、温水、蒸気の影響があるため単純に◎とは判断しない。 |
| エタノール | 26.0 | 3.0 | ○~△ | 短時間接触では使用可能な場合があるが、長時間浸漬、応力下、混合溶剤では注意する。 |
| IPA | 23.5 | 0.5 | △~× | SP値が近く、グレードにより膨潤・軟化する場合がある。拭き取り程度でも外観確認が必要である。 |
| アセトン | 20.0 | 3.0 | × | ケトン類はPUを膨潤・軟化させやすく、実用上は不適となる場合が多い。 |
| MEK | 19.0 | 4.0 | × | 塗料、インキ、洗浄剤用途で接触すると表面荒れや軟化が起こりやすい。 |
| 酢酸エチル | 18.6 | 4.4 | △~× | エステル類は膨潤、軟化、白化に注意する。 |
| トルエン | 18.2 | 4.8 | △~× | 芳香族炭化水素により膨潤する場合がある。シンナー接触では確認が必要である。 |
| キシレン | 18.0 | 5.0 | △ | 短時間では外観変化が小さい場合もあるが、長期浸漬では膨潤を確認する。 |
| ヘキサン | 14.9 | 8.1 | ○ | SP差は大きいが、油剤や燃料成分との混合では添加剤抽出に注意する。 |
| 灯油 | 16~17程度 | 6~7程度 | ○~△ | 燃料・油用途では温度、芳香族分、長期浸漬で評価する。 |
| ジクロロメタン | 20.2 | 2.8 | × | 塩素系溶剤は膨潤・溶解性が強い場合が多く、不適である。 |
| DMF | 24.8 | 1.8 | × | PU溶解に使われることがある強極性溶剤であり、耐溶剤性は低い。 |
| THF | 18.6 | 4.4 | × | PUを強く膨潤・溶解させる場合がある。 |
製法
ポリオールとイソシアネートを反応させて硬化・発泡・成形。

- 化学式のR1とR2が直鎖状の炭化水素(メチレン基4~8個のもの)は、合成繊維となる。
- R2が直鎖状化合物(ポリエステル、ポリエーテルなど)でR1が芳香族化合物の場合には、合成ゴム(ウレタンゴム)にある。
- R1、R2を種々変えることで、発砲体や接着剤、塗料などに使用される。
- 発泡体の原料として使用されているものは、飽和ポリエステル(ポリエーテルポリオール)と、トリレンジイソシアネートなどが用いられ、反応過程で発生する炭酸ガスによって発泡させる。
- ポリエステル(ポリエーテル)の構造により、または添加剤を加えることによって、硬質発泡体も得られる。
- 断熱材として、車両、建築方面に利用されている。
- イソシアヌル酸のポリウレタンは難燃である。
- 非発泡の硬質ポリウレタンには透明の硬度の高い注型法などで成形されたものもある。
原料
| 原料区分 | 代表例 | 役割 |
|---|---|---|
| ジイソシアネート | MDI、TDI、HDI、IPDI、HMDI | ウレタン結合を形成し、ハードセグメント、耐熱性、硬度、黄変性に影響する。 |
| ポリオール | ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール | ソフトセグメントを形成し、柔軟性、耐加水分解性、耐油性、低温特性に影響する。 |
| 鎖延長剤 | 1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、ジアミン類 | 分子量、硬度、ハードセグメント量、機械強度を調整する。 |
| 架橋剤 | 三官能以上のポリオール、ポリイソシアネート | 熱硬化性、耐熱性、耐溶剤性、圧縮永久ひずみに影響する。 |
| 触媒 | アミン触媒、有機金属触媒など | 反応速度、発泡、硬化時間を制御する。 |
| 添加剤 | 酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、滑剤、顔料、加水分解防止剤 | 耐候性、耐熱性、難燃性、外観、摺動性、寿命を調整する。 |
| 充填材・強化材 | ガラス繊維、炭素繊維、炭酸カルシウム、シリカ、タルク | 剛性、寸法安定性、耐熱性、コスト、摩耗性を調整する。 |
重合方法
ポリウレタンは、ジイソシアネートとポリオールの重付加反応により製造される。副生成物を伴う重縮合ではなく、イソシアネート基と水酸基の反応によりウレタン結合を形成する点が特徴である。
| 方法 | 概要 | 主な用途 |
|---|---|---|
| ワンショット法 | ポリオール、イソシアネート、鎖延長剤、触媒、添加剤を一括混合して反応させる。 | フォーム、注型品、接着剤、シーリング材 |
| プレポリマー法 | あらかじめNCO末端プレポリマーを作り、硬化剤や鎖延長剤で反応硬化させる。 | 注型ウレタン、塗料、接着剤、シーリング材 |
| 溶融重合法 | TPUを連続重合し、押出機でペレット化する。 | 射出成形、押出成形、フィルム、電線被覆 |
| 水分散法 | 親水基を導入したウレタンプレポリマーを水中に分散し、必要に応じて鎖延長する。 | 水系塗料、水系接着剤、繊維処理剤 |
| 発泡法 | 水とイソシアネートの反応によりCO2を発生させる、または物理発泡剤を用いて発泡させる。 | 軟質フォーム、硬質フォーム、断熱材、クッション材 |
代表的な反応式
| 反応 | 反応式 | 説明 |
|---|---|---|
| ウレタン結合形成 | R-NCO + R’-OH → R-NH-CO-O-R’ | イソシアネートとアルコールが反応してウレタン結合を形成する基本反応である。 |
| ポリウレタン形成 | n OCN-R-NCO + n HO-R’-OH → [-NH-CO-O-R’-O-CO-NH-R-]n | ジイソシアネートとジオールの重付加によりポリウレタン鎖が生成する。 |
| 水発泡反応 | R-NCO + H2O → R-NH2 + CO2 | 発生したCO2が発泡に寄与する。生成したアミンはさらにイソシアネートと反応する。 |
| 尿素結合形成 | R-NCO + R’-NH2 → R-NH-CO-NH-R’ | アミンとの反応により尿素結合が形成され、硬度、反応速度、耐熱性に影響する。 |
ペレット化やコンパウンド
TPUは、連続反応押出、溶融混練、冷却、カットによりペレット化される。必要に応じて、着色剤、耐候剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、抗菌剤、ガラス繊維、無機充填材などをコンパウンドする。吸湿しやすいため、ペレット保管、乾燥、開封後の管理が成形安定性に影響する。
添加剤、充填材、強化材
ポリウレタンでは、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、着色剤、可塑剤、充填材が使われる場合がある。添加剤は物性改善に有効である一方、溶剤抽出、食品接触適合性、医療用途の溶出物、アウトガス、接着性低下、外観不良の原因になることがある。
詳細な利用用途
| 用途分野 | 使用例 | 選定理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自動車 | シートフォーム、内装表皮、ホース、チューブ、ブーツ、ベルト、塗料、接着剤、制振材 | クッション性、耐摩耗性、柔軟性、接着性、軽量性が得られる。 | 耐熱老化、耐候性、フォギング、VOC、燃焼性、燃料接触を確認する。 |
| 電気・電子 | ケーブル被覆、コネクタ周辺保護、ポッティング材、筐体保護、フィルム | 柔軟性、耐屈曲性、電気絶縁性、耐摩耗性に優れる。 | 難燃性、加水分解、アウトガス、可塑剤移行、UL登録条件を確認する。 |
| 機械部品 | ローラー、車輪、ベルト、スクレーパー、ライニング、パッキン、シール材 | 耐摩耗性、耐引裂性、反発弾性、耐油性を活かせる。 | 面圧、速度、摩擦熱、油剤、洗浄剤、圧縮永久ひずみを確認する。 |
| 医療 | チューブ、カテーテル、フィルム、コーティング、医療機器部材 | 柔軟性、透明性、生体適合性、耐屈曲性を設計しやすい。 | 医療グレード、滅菌方法、抽出物、薬液接触、規格適合を確認する。 |
| 食品機械 | 食品搬送ベルト、チューブ、パッキン、ローラー、スクレーパー | 柔軟性、耐摩耗性、食品接触グレードの選定が可能である。 | 食品衛生法、FDA、洗浄剤、熱水、アルカリ洗浄、油脂接触を確認する。 |
| 建築・設備 | 断熱材、シーリング材、防水材、塗膜材、床材、パネル材 | 断熱性、柔軟性、防水性、密着性、施工性に優れる。 | 耐候性、黄変、燃焼性、湿熱劣化、基材密着性を確認する。 |
| スポーツ・靴 | 靴底、インソール、ボール、保護具、グリップ、フィルム | 反発弾性、耐摩耗性、柔軟性、低温特性を活かせる。 | 摩耗、汗、皮脂、紫外線、低温硬化、色移行を確認する。 |
| 塗料・コーティング | 自動車塗料、木工塗料、床用塗料、防水塗膜、ハードコート下地 | 柔軟性、密着性、耐摩耗性、耐薬品性を調整しやすい。 | イソシアネート管理、硬化条件、黄変、耐溶剤性、基材差を確認する。 |
| 接着剤・シーリング材 | 湿気硬化型接着剤、ホットメルト、ラミネート接着剤、建築シーリング材 | 柔軟接着、耐屈曲性、密着性、反応硬化性に優れる。 | 水分、基材表面、プライマー、硬化収縮、耐熱・耐水性を確認する。 |
用途別選定
| 用途 | 推奨しやすいPU系統 | 重視する特性 | 確認すべきリスク |
|---|---|---|---|
| ギア | 高硬度TPU、注型ウレタン、摺動グレード | 耐摩耗性、弾性、静音性、耐衝撃性 | クリープ、歯面温度、摩擦熱、寸法安定性 |
| 軸受 | 摺動TPU、注型ウレタン | 低摩耗、相手材攻撃性の低さ、弾性 | 面圧、速度、潤滑、発熱、摩耗粉 |
| チューブ | ポリエーテル系TPU、ポリカーボネート系TPU、医療グレードTPU | 柔軟性、透明性、耐屈曲性、耐加水分解性 | 薬液、滅菌、抽出物、キンク、吸湿 |
| 筐体 | 高硬度TPU、GF強化TPU | 耐衝撃性、グリップ性、耐摩耗性 | 成形収縮、べたつき、汚染、難燃性 |
| フィルム | 押出用TPU、水系PU、ウレタンアクリレート | 柔軟性、伸び、耐摩耗性、透明性、接着性 | ブロッキング、加水分解、黄変、溶剤接触 |
| コネクタ周辺部品 | 難燃TPU、高硬度TPU | 柔軟性、難燃性、耐屈曲性、電気絶縁性 | UL94、アウトガス、可塑剤移行、端子腐食 |
| 搬送ベルト | ポリエステル系TPU、食品接触グレードTPU | 耐摩耗性、耐油性、柔軟性、食品適合性 | 洗浄剤、油脂、温水、アルカリ、加水分解 |
法規制
| 規制・規格 | 確認内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| RoHS | 鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、PBB、PBDE、フタル酸エステル類などの制限物質 | 樹脂本体だけでなく、難燃剤、顔料、可塑剤、安定剤、接着剤、着色マスターバッチを確認する。 |
| REACH | SVHC、制限物質、登録物質、サプライチェーン情報 | 欧州向けではSDS、SVHC非含有証明、用途情報を確認する。 |
| 食品衛生法 | 食品接触用途でのポジティブリスト、溶出、材質規格 | 食品機械用チューブ、ベルト、パッキンでは食品接触グレードを選定する。 |
| FDA | 米国食品接触用途の適合性 | グレード別の適合範囲、温度、食品種、抽出条件を確認する。 |
| 医療用途 | ISO 10993、USP Class VI、滅菌適性、抽出物 | 医療用は一般グレードを流用せず、医療用途向けグレードとメーカー保証範囲を確認する。 |
| UL94 | 難燃性、厚み、色、登録グレード | 同じ材料名でも厚みや色によりUL等級が異なる。ULカードで確認する。 |
| 労働安全・化学物質管理 | イソシアネート、溶剤、反応性希釈剤、触媒 | 硬化型PU、塗料、接着剤では作業環境、保護具、換気、SDS管理が必要である。 |
注意点
- 加水分解:ポリエステル系PUは高温高湿、温水、アルカリで加水分解しやすい場合がある。
- 応力割れ:溶剤、洗浄剤、油剤、応力、成形残留応力が重なると白化、クラック、軟化が起こる場合がある。
- 吸湿:TPUは吸湿により成形時の発泡、銀条、物性低下を起こすため、乾燥管理が重要である。
- 熱劣化:高温滞留、過度なせん断、長期熱老化により変色、分子量低下、硬化、軟化が起こる場合がある。
- 黄変:芳香族イソシアネート系は紫外線や熱により黄変しやすい。外観用途では脂肪族系や耐候グレードを検討する。
- アウトガス:塗料、電子部品、光学部品、車載内装では残留モノマー、添加剤、低分子成分のアウトガスを確認する。
- 可塑剤・添加剤移行:軟質品、着色品、難燃品では接触材料への移行、べたつき、汚染、密着不良に注意する。
- 燃焼性:一般グレードは燃えやすい場合がある。電気電子用途、建築用途では難燃性と燃焼ガスを確認する。
- 食品・医療用途:食品衛生、FDA、医療規格の適合はグレード別であり、材料名だけでは判断できない。
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | 対象材料との違い |
|---|---|---|
| ポリアセタール(POM) | 高剛性、低摩擦、寸法安定性に優れる結晶性エンジニアリングプラスチックである。 | PUはPOMより柔軟性、弾性、耐摩耗性、クッション性に優れる場合がある。POMは剛性、寸法精度、摺動部品で有利である。 |
| ポリカーボネート(PC) | 透明性、耐衝撃性、耐熱性に優れるエンジニアリングプラスチックである。 | PUは柔軟性、弾性、摩耗部材に向く。PCは透明硬質部品、カバー、筐体で有利である。 |
| ポリブチレンテレフタレート(PBT) | 結晶性ポリエステル系エンプラで、電気特性、寸法安定性、成形性に優れる。 | PUは柔軟部品、ローラー、チューブに向く。PBTはコネクタ、電装部品、機構部品で有利である。 |
| ポリエチレンテレフタレート(PET) | フィルム、繊維、ボトル、射出成形品に使われる芳香族ポリエステルである。 | PUは伸び、弾性、耐摩耗性に優れる。PETは剛性、フィルム強度、寸法安定性、バリア性で有利な場合がある。 |
| PETG樹脂 | 透明性、耐衝撃性、熱成形性に優れるグリコール変性PETである。 | PUは弾性・柔軟用途、PETGは透明シート、容器、熱成形品に向く。 |
| フッ素樹脂 | 耐薬品性、耐熱性、低摩擦性、非粘着性に優れる材料群である。 | PUは弾性と耐摩耗性で有利な場合がある。フッ素樹脂は強薬品、高温、非粘着、低摩擦用途で有利である。 |
| ポリテトラフルオロエチレン(PTFE) | 耐薬品性、耐熱性、低摩擦性に極めて優れるフッ素樹脂である。 | PUは成形自由度、弾性、耐摩耗性に優れる場合がある。PTFEは高温薬品、シール、摺動、非粘着用途で有利である。 |
| ポリエーテルエーテルケトン(PEEK) | 高耐熱、高強度、高耐薬品性を持つスーパーエンジニアリングプラスチックである。 | PUは柔軟性、弾性、コスト、クッション性で有利な場合がある。PEEKは高温・高荷重・強薬品環境で有利である。 |
| ウレタンアクリレート | ポリウレタン骨格にアクリロイル基を導入したUV硬化樹脂である。 | PUは熱可塑性・熱硬化性エラストマーやフォームを含む総称である。ウレタンアクリレートはUV硬化塗料、インキ、接着剤向けの反応性樹脂である。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| BASF | Elastollan | 熱可塑性ポリウレタンエラストマーの代表的メーカーであり、自動車、電線、フィルム、スポーツ用品、工業部品向けに展開している。 |
| Covestro | Desmopan、Texin、Bayhydrol、Desmodur、Desmophen | TPU、ウレタン原料、水系ウレタン、塗料・接着剤向け原料を展開する代表的メーカーである。 |
| Lubrizol | Estane、Pearlthane、Pearlbond | TPU、ホットメルト、フィルム、医療・工業用途向けウレタン系材料を展開している。 |
| Huntsman | IROGRAN、AVALON、SUPRASEC、DALTOFOAM | TPU、ポリウレタン原料、フォーム関連材料を展開する代表的メーカーである。 |
| 日本ミラクトラン | ミラクトラン | 熱可塑性ポリウレタンエラストマーを扱う国内メーカーであり、成形材料、フィルム、チューブ、工業部品用途で使用される。 |
| DIC | ウレタン樹脂、ポリウレタンディスパージョンなどの代表例 | 塗料、インキ、接着剤、コーティング用途向けのウレタン系樹脂を展開している。 |
| 三井化学 | ポリウレタン原料、コーティング・接着剤関連材料の代表例 | イソシアネート、ポリウレタン関連原料、機能性材料を展開している。具体的な採用可否はグレード別に確認する必要がある。 |
| 東ソー | イソシアネート、ウレタン原料の代表例 | ポリウレタン原料分野で実績がある。用途、供給形態、対象グレードはメーカー資料で確認する必要がある。 |
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