概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | ポリトリメチレンテレフタレート |
| 略記号 | PTT |
| IUPAC | Poly(propane-1,3-diyl benzene-1,4-dicarboxylate) |
| 英語名 | Polytrimethylene Terephthalate / Poly(trimethylene terephthalate) |
| 日本語名 | ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタラート、PTT樹脂、PTTポリエステル |
| 分類 | 熱可塑性ポリエステル樹脂 |
| プラスチック分類 | エンジニアリング・プラスチックに準じる結晶性熱可塑性樹脂 |
| 化学式または代表構造 | 繰り返し単位:[-O-CH2-CH2-CH2-O-CO-C6H4-CO-]n、概略式:(C11H10O4)n |
| CAS No. | PTTポリマーとして 26590-75-0 が用いられることがある。ただし、登録範囲や表記は資料により異なるため、SDSで確認する必要がある。 |
| 構造・主成分 | 1,3-プロパンジオールとテレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルを主原料とする芳香族ポリエステルである。 |
| 主な用途 | 繊維、カーペット、フィルム、射出成形品、自動車部品、電気・電子部品、ブラシ毛、モノフィラメント、コンパウンド材料など。 |
ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)は、ポリエステル系の結晶性熱可塑性樹脂であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)と同じ芳香族ポリエステルに分類される材料である。分子鎖中に3つのメチレン基を持つトリメチレン構造を有するため、PETよりも柔軟で、PBTに近い成形加工性と弾性回復性を示す。
一般に、PTTは耐薬品性、寸法安定性、低吸水性、耐摩耗性、弾性回復性に優れる材料として扱われる。特に繊維用途では、柔らかい風合い、伸縮性、回復性、染色性の良さが評価される。樹脂用途では、PBTやPETの代替材料、またはポリエステル系コンパウンドの一種として検討されることがある。
ただし、PTTはポリエステルであるため、高温高湿環境、強アルカリ、加水分解条件には注意を要する。実使用では、グレード、結晶化度、ガラス繊維強化の有無、乾燥状態、使用温度、薬品濃度、荷重、応力、接触時間を確認して選定する必要がある。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 長所 | 弾性回復性が良い、柔軟性がある、耐摩耗性が良い、低吸水、耐薬品性が比較的良い、成形加工性が良い、染色性が良い。 |
| 短所 | 強アルカリや高温水中で加水分解を受けやすい。PETやPBTほど一般流通グレードが多くない。高温剛性は強化グレードで補う必要がある。 |
| 外観 | 自然色では乳白色から半透明、結晶化状態では白色から不透明である。着色グレード、繊維グレード、コンパウンドグレードがある。 |
| 耐熱性 | 融点は約225〜230℃であり、連続使用温度は一般に80〜120℃程度が目安である。ガラス繊維強化グレードでは荷重たわみ温度が大きく向上する。 |
| 耐薬品性 | 油類、脂肪族炭化水素、低級アルコール、水に対しては比較的安定である。一方、強アルカリ、フェノール類、塩素系溶剤、一部の芳香族溶剤には注意を要する。 |
| 加工性 | 射出成形、押出成形、繊維紡糸、モノフィラメント加工に適する。成形前には十分な乾燥が必要である。 |
| 分類上の注意 | PTTはポリエステル系樹脂であるが、繊維材料として扱われる場合と、エンジニアリングプラスチック系樹脂として扱われる場合がある。用途により評価基準が異なる。 |
構造式
PTTの代表的な構造単位は、1,3-プロパンジオール由来の脂肪族ジオール部と、テレフタル酸由来の芳香族ジカルボン酸部から構成される。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 代表的な構造単位 | [-O-CH2-CH2-CH2-O-CO-C6H4-CO-]n |
| 概略式 | (C11H10O4)n |
| モノマーまたは構成単位 | 1,3-プロパンジオール、テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチル |
| 構造上の特徴 | PETのエチレン鎖より長いトリメチレン鎖を持つため、分子鎖の柔軟性が高く、弾性回復性を示しやすい。 |
| 共重合体・変性グレード | 柔軟化、結晶化制御、耐衝撃性向上、難燃化、ガラス繊維強化、摺動性付与、バイオ由来1,3-プロパンジオール使用グレードなどがある。 |
構造式を文字で表すと、HO-CH2-CH2-CH2-OH と HOOC-C6H4-COOH が縮合して、エステル結合 -COO- を介したポリエステル主鎖を形成する材料である。
種類
| 種類の名称 | 主成分または特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 非強化PTT | PTT単独または少量添加剤を含む標準グレード | 柔軟性、成形性、表面外観が良い | 高温剛性、耐荷重性は強化グレードに劣る | 一般成形品、繊維、フィルム、ブラシ毛 |
| 繊維用PTT | 紡糸性と弾性回復性を重視した高分子量グレード | 伸縮性、柔らかさ、染色性が良い | 樹脂成形用とは評価項目が異なる | 衣料、カーペット、インテリア繊維 |
| GF強化PTT | ガラス繊維を配合した強化グレード | 剛性、HDT、寸法安定性が向上する | 比重が上がり、異方性や摩耗性に注意が必要 | 自動車部品、電気部品、機械部品 |
| 耐熱PTT | 結晶化促進剤、強化材、安定剤を配合したグレード | 熱変形しにくく、成形サイクルを調整しやすい | 低温靱性や外観は配合により変化する | コネクタ、筐体、耐熱部品 |
| 難燃PTT | 難燃剤を配合した電気・電子用途向けグレード | UL94 V-0相当を狙える場合がある | 機械物性、流動性、ブリード、規制適合性の確認が必要 | 電装部品、コネクタ、スイッチ部品 |
| 摺動PTT | 潤滑剤、PTFE、シリコーン系添加剤などを配合したグレード | 摩擦係数を下げ、摩耗を抑えやすい | 接着性、塗装性、食品接触用途では添加剤確認が必要 | ギア、摺動部品、ローラー、軸受周辺部品 |
| 食品接触対応PTT | 食品接触規格への適合を考慮したグレード | 低吸水で寸法変化が比較的小さい | 国・用途・温度・食品種別ごとに適合確認が必要 | 食品機械部品、包装関連部材、繊維資材 |
| バイオ由来PTT | 植物由来1,3-プロパンジオールを用いたPTT | 環境配慮型材料として訴求しやすい | バイオ由来比率、認証、供給安定性の確認が必要 | 繊維、カーペット、環境配慮型製品 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 内容 |
|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | 非強化、GF強化、難燃グレードで使用される。乾燥管理と金型温度管理が重要である。 |
| 押出成形 | ○ | フィルム、シート、モノフィラメント、押出コンパウンドに使用できる。溶融粘度と冷却条件の管理が必要である。 |
| ブロー成形 | △ | PETほど一般的ではない。グレード設計と溶融強度の確認が必要である。 |
| 圧縮成形 | △ | 試験片や板材成形では可能であるが、一般的な量産成形では射出成形や押出成形が中心である。 |
| 真空成形 | △ | シート成形品では可能性があるが、結晶化、加熱条件、肉厚分布の確認が必要である。 |
| 切削加工 | ○ | 成形板や棒材が入手できる場合は切削可能である。熱変形、バリ、吸湿状態に注意する。 |
| 紡糸 | ◎ | PTTの代表的な加工方法であり、繊維、カーペット、モノフィラメントに広く使用される。 |
| 溶着 | ○ | 超音波溶着や熱溶着が検討できる。結晶化度、添加剤、部品形状により条件調整が必要である。 |
| 接着 | △ | 表面処理や接着剤選定が必要である。摺動添加剤入りグレードでは接着性が低下しやすい。 |
成形条件の目安
| 項目 | 代表条件・目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 予備乾燥 | 100〜120℃、4〜8時間 | ポリエステルであるため、成形前乾燥が重要である。水分が多いと加水分解により分子量低下を起こす。 |
| 推奨水分率 | 0.02%以下を目安 | 精密成形、外観成形、強度重視用途では低水分管理が望ましい。 |
| シリンダー温度 | 240〜270℃ | グレード、滞留時間、金型温度により調整する。 |
| ノズル温度 | 245〜265℃ | 糸引き、熱劣化、充填不足に注意する。 |
| 金型温度 | 60〜100℃ | 結晶化、寸法安定性、表面外観、成形サイクルに影響する。 |
| 成形収縮率 | 0.8〜2.0%程度 | 非強化では比較的大きい。GF強化では流動方向と直角方向で異方性が出る。 |
| 滞留管理 | 過度な高温長時間滞留を避ける | 熱劣化、黄変、粘度低下、アウトガス発生に注意する。 |
代表的な物性値又は機械的性質
| 項目 | 単位 | 非強化PTT | GF30%強化PTT | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm3 | 1.31〜1.35 | 1.50〜1.60 | 結晶化度、添加剤、強化材量により変化する。 |
| 引張強さ | MPa | 45〜70 | 100〜160 | 乾燥状態、繊維配向、試験速度により変化する。 |
| 伸び | % | 50〜300 | 2〜5 | 非強化では柔軟性が大きい。強化品では伸びが低下する。 |
| 曲げ弾性率 | GPa | 1.5〜2.5 | 6〜10 | GF量により大きく上昇する。 |
| アイゾット衝撃強さ | kJ/m2 | 3〜8 | 5〜12 | ノッチ付きの代表値。改質グレードでは異なる。 |
| 荷重たわみ温度 | ℃ | 55〜80(1.8MPa) | 180〜215(1.8MPa) | GF強化により大きく向上する。 |
| 融点 | ℃ | 225〜230 | 225〜230 | 代表的な結晶融解温度である。 |
| ガラス転移温度 | ℃ | 45〜60 | 45〜60 | 測定条件と結晶化度により変化する。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 80〜110 | 100〜130 | 荷重、雰囲気、寿命要求により確認する必要がある。 |
| 吸水率 | % | 0.2〜0.4 | 0.2〜0.4 | 23℃水中24時間の目安。PAより低いが、乾燥管理は必要である。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1014〜1016 | 1013〜1015 | 配合、吸湿、温湿度により変化する。 |
| 成形収縮率 | % | 0.8〜2.0 | 0.2〜0.8 | 流動方向と直角方向で差が出る場合がある。 |
| 酸素指数 | % | 20〜23程度 | 20〜25程度 | 難燃グレードでは難燃剤により向上する。 |
| UL94 | 等級 | HB相当が多い | HB〜V-0相当 | 難燃グレードではV-0相当を設定する場合がある。実グレードで確認する。 |
耐薬品性
PTTはポリエステル系樹脂として、油類、燃料、脂肪族炭化水素、アルコール類に対しては比較的安定である。一方、強アルカリ、高温水、加水分解条件、塩素系溶剤、フェノール類、強酸化性薬品には注意を要する。下表は代表的な目安であり、実使用では温度、濃度、応力、浸漬時間、成形品の残留応力、グレードを確認する必要がある。
| 薬品分類 | 代表薬品 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 酸類 | 希塩酸、希硫酸、酢酸 | ○ | 常温・低濃度では比較的安定である。高温・高濃度では加水分解や劣化に注意する。 |
| 強酸 | 濃硫酸、濃硝酸 | × | 酸化性や脱水性が強い薬品では劣化しやすい。 |
| アルカリ類 | 水酸化ナトリウム、KOH、アルカリ洗浄液 | △〜× | ポリエステル結合が加水分解を受けやすい。高温アルカリでは不適である。 |
| 低級アルコール類 | メタノール、エタノール、IPA | ○ | 常温短時間では概ね良好である。応力下では確認が必要である。 |
| 高級アルコール類 | グリセリン、ベンジルアルコール、MMB | ○〜△ | SP値や極性が近いものでは膨潤に注意する。高温では確認が必要である。 |
| 芳香族炭化水素類 | トルエン、キシレン | △ | 短時間接触では使用できる場合があるが、膨潤、応力割れ、寸法変化を確認する。 |
| 脂肪族炭化水素類 | ヘキサン、ヘプタン、ミネラルスピリット | ◎〜○ | 一般に良好である。添加剤抽出には注意する。 |
| ケトン | アセトン、MEK、MIBK | △ | 短時間接触では耐える場合があるが、膨潤、白化、応力割れに注意する。 |
| エステル | 酢酸エチル、酢酸ブチル | △ | SP値が比較的近く、膨潤や軟化の可能性がある。 |
| 塩素系溶剤 | ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン | × | 溶解、膨潤、応力割れのリスクが高い。 |
| 水・温水 | 水、温水、蒸気 | ○〜△ | 常温水では比較的安定である。高温水、蒸気、長期浸漬では加水分解に注意する。 |
| 油 | 鉱物油、潤滑油、植物油 | ◎〜○ | 一般に良好である。添加剤、酸化油、洗浄剤混入時は確認する。 |
| 燃料 | ガソリン、軽油、灯油 | ○ | 短時間接触では比較的良好であるが、燃料添加剤、温度、応力の影響を確認する。 |
SP値(溶解度パラメータ)
PTTの代表的なSP値(δ)は、概ね20〜22 MPa1/2程度を目安として扱われる。文献値や推算法により差があるため、耐薬品性評価ではSP値だけでなく、結晶化度、分子量、薬品の極性、水素結合性、温度、濃度、応力、接触時間を併せて確認する必要がある。
| 材料 | 代表SP値 δ | 単位 | 備考 |
|---|---|---|---|
| PTT | 20〜22 | MPa1/2 | ポリエステル系樹脂としての目安値である。 |
| PET | 21〜23 | MPa1/2 | PTTに近いが、結晶性と融点が異なる。 |
| PBT | 20〜22 | MPa1/2 | PTTと近い範囲で比較される。 |
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0〜2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2〜5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5〜8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
下表は、PTTの代表SP値を21 MPa1/2と仮定した場合の目安である。実際の耐薬品性は、SP値差だけでは決まらない。ポリエステル結合の加水分解、薬品の酸塩基性、応力割れ、結晶化度、添加剤抽出を考慮する必要がある。
| 薬品名 | 薬品のSP値目安 | PTTとの差 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 水 | 47.9 | 約26.9 | ○ | SP値差は大きいが、高温水では加水分解に注意する。 |
| エタノール | 26.0 | 約5.0 | ○ | 常温短時間では概ね良好である。 |
| IPA | 23.5 | 約2.5 | ○〜△ | 応力下、長時間接触では確認が必要である。 |
| アセトン | 20.0 | 約1.0 | △ | SP値が近いため、膨潤や応力割れに注意する。 |
| MEK | 19.0 | 約2.0 | △ | 短時間接触に限定して確認することが望ましい。 |
| 酢酸エチル | 18.6 | 約2.4 | △ | 膨潤、白化、物性低下に注意する。 |
| トルエン | 18.2 | 約2.8 | △ | 芳香族溶剤であり、応力割れ確認が必要である。 |
| キシレン | 18.0 | 約3.0 | △ | 高温、長時間接触では注意する。 |
| ジクロロメタン | 20.2 | 約0.8 | × | SP値が近く、塩素系溶剤であるため不適と考える。 |
| ヘキサン | 14.9 | 約6.1 | ○ | 脂肪族炭化水素として比較的安定である。 |
| 灯油 | 16前後 | 約5 | ○ | 燃料添加剤や温度条件は確認する。 |
| グリセリン | 33前後 | 約12 | ○ | SP値差は大きいが、高温条件では確認する。 |
製法
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| 原料 | 1,3-プロパンジオール(PDO)とテレフタル酸(PTA)またはテレフタル酸ジメチル(DMT)を主原料とする。 |
| 重合方法 | エステル化法またはエステル交換法により低分子量オリゴマーを作り、続いて溶融重縮合で高分子量化する。 |
| 反応式の例 | n HO-CH2-CH2-CH2-OH + n HOOC-C6H4-COOH → [-O-CH2-CH2-CH2-O-CO-C6H4-CO-]n + 2n H2O |
| DMT法の例 | テレフタル酸ジメチルと1,3-プロパンジオールをエステル交換し、メタノールを除去した後、重縮合する。 |
| ペレット化 | 重縮合後、ストランドカットまたは水中カットによりペレット化する。結晶化処理や乾燥処理を行う場合がある。 |
| コンパウンド | ガラス繊維、無機充填材、難燃剤、安定剤、離型剤、着色剤、摺動改質剤などを二軸押出機で混練する。 |
| バイオ由来原料 | 植物由来糖から製造される1,3-プロパンジオールを用いたPTTがある。バイオ由来比率は製品ごとに確認する必要がある。 |
詳細な利用用途
| 分野 | 用途例 | 採用理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自動車 | 内装部品、クリップ、コネクタ、ブラケット、ワイヤーハーネス周辺部材 | 耐薬品性、寸法安定性、柔軟性、成形性 | 耐熱要求が高い部位ではGF強化や耐熱グレードを確認する。 |
| 電気・電子 | コネクタ、スイッチ部品、筐体、小型機構部品 | 絶縁性、成形性、耐熱性、難燃化対応 | UL94、CTI、リフロー耐熱、難燃剤規制を確認する。 |
| 機械部品 | ギア、ローラー、摺動部品、カム、ガイド部材 | 耐摩耗性、低吸水、寸法安定性 | 摩耗粉、相手材、潤滑条件、連続荷重を確認する。 |
| 医療 | 繊維、不織布、補助部材、容器部品の候補 | 低吸水性、成形性、ポリエステル系材料としての扱いやすさ | 医療グレード、滅菌適性、生体適合性は個別確認が必要である。 |
| 食品機械 | 搬送部材、ブラシ毛、ガイド、軽負荷部品 | 耐油性、低吸水、耐摩耗性 | 食品衛生法、FDA、EU規則、洗浄剤耐性を確認する。 |
| 建築・設備 | 繊維資材、カーペット、インテリア材、フィルター材 | 弾性回復性、染色性、柔軟性、耐摩耗性 | 難燃性、耐候性、長期荷重、清掃薬品への耐性を確認する。 |
| 繊維・衣料 | ストレッチ繊維、衣料、スポーツウェア、カーペット | 柔らかい風合い、伸縮性、弾性回復性、染色性 | 洗濯耐久性、熱セット条件、他繊維との複合条件を確認する。 |
| 包装・フィルム | フィルム、シート、ラミネート材の候補 | ポリエステル系の透明性、柔軟性、成形性 | バリア性、ヒートシール性、食品接触適合性を確認する。 |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | 対象材料との違い |
|---|---|---|
| PET(ポリエチレンテレフタレート) | 高融点、高剛性、フィルム・ボトル・繊維用途で広く使用されるポリエステルである。 | PTTはPETより柔軟で弾性回復性が良いが、PETは耐熱性と汎用性で優れる。 |
| PBT(ポリブチレンテレフタレート) | 電気・電子部品、自動車部品で広く使われる成形用ポリエステルである。 | PTTはPBTに近い加工性を持つが、より柔軟で弾性回復性が高い。PBTは成形材料としてのグレード展開が豊富である。 |
| PA6(ポリアミド6) | 靱性、耐摩耗性、耐熱性に優れるが吸水しやすい。 | PTTはPA6より吸水が少なく寸法安定性に優れる。一方、PA6は靱性や耐荷重用途で選ばれやすい。 |
| PA66(ポリアミド66) | PA6より高融点で、機械強度と耐熱性に優れる。 | PTTはPA66より低吸水で成形寸法が安定しやすいが、高温強度ではPA66強化グレードが有利な場合がある。 |
| POM(ポリアセタール) | 摺動性、疲労特性、寸法安定性に優れる結晶性エンプラである。 | PTTはポリエステル系で染色性や繊維用途に強い。POMはギア、軸受など機械摺動部品で優れる。 |
| PC(ポリカーボネート) | 透明性、耐衝撃性、寸法安定性に優れる非晶性樹脂である。 | PTTは結晶性で耐薬品性や耐摩耗性が比較的良い。PCは透明性と衝撃強度で優れるが耐溶剤性に注意が必要である。 |
| TPEE(熱可塑性ポリエステルエラストマー) | 柔軟性、反発弾性、耐屈曲性に優れるポリエステル系エラストマーである。 | PTTはより硬質なポリエステル樹脂として扱われる。柔軟性やゴム弾性が必要な場合はTPEEが候補になる。 |
| PLA(ポリ乳酸) | バイオマス由来樹脂として知られ、成形品や繊維に使われる。 | PTTはバイオ由来PDOを用いるグレードがあり、PLAより耐熱性、耐久性、弾性回復性で有利な場合がある。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| DuPont | Sorona | 植物由来1,3-プロパンジオールを用いたPTT系ポリマーとして知られる。繊維、カーペット、樹脂用途で展開される代表例である。 |
| CovationBio | Susterra | バイオ由来1,3-プロパンジオールを供給するメーカーであり、PTT系材料の原料サプライチェーンと関係が深い。 |
| Shell Chemicals | Corterra(代表例) | PTTの商業化で知られるブランド例である。現在の供給状況は地域や時期により確認が必要である。 |
| Toray | Ecodear PTT 複合繊維 | PTTを用いた環境配慮型繊維・複合繊維の代表例がある。用途は繊維分野が中心である。 |
| Huvis | PTT系繊維・ポリエステル繊維製品 | ポリエステル繊維メーカーとしてPTT系素材を扱う例がある。グレードや供給地域は個別確認が必要である。 |
代表グレード
| グレード区分 | 特徴 | 主な確認項目 |
|---|---|---|
| 汎用 | 非強化または標準配合のPTTで、柔軟性と成形性を重視する。 | 流動性、乾燥条件、成形収縮率、外観 |
| 耐熱 | 結晶化制御や強化材によりHDTを高めたグレードである。 | 荷重たわみ温度、連続使用温度、熱老化 |
| 難燃 | 電気・電子用途向けに難燃剤を配合したグレードである。 | UL94、CTI、RoHS、REACH、ブリード |
| GF強化 | ガラス繊維により剛性、耐熱性、寸法安定性を向上させたグレードである。 | 繊維配向、反り、摩耗性、異方性 |
| 摺動 | 摩擦低減、耐摩耗性向上を目的とした添加剤入りグレードである。 | 摩擦係数、相手材摩耗、食品接触適合性 |
| 食品接触 | 食品接触規制への適合を考慮したグレードである。 | 食品衛生法、FDA、EU規則、溶出試験 |
難燃性
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 標準グレード | 一般にUL94 HB相当の扱いになることが多い。実際の等級は厚みとグレードで確認する。 |
| 難燃グレード | 難燃剤配合によりUL94 V-2、V-0相当を設定する場合がある。 |
| 酸素指数 | 標準グレードでは20〜23%程度が目安である。難燃配合では上昇する。 |
| 注意点 | 難燃剤の種類により、機械物性、耐トラッキング性、成形時ガス、金型腐食、環境規制適合性が変化する。 |
法規制
| 規制・規格 | 確認内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| RoHS | 鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、特定臭素系難燃剤、フタル酸エステル類などの制限物質 | 樹脂本体だけでなく、顔料、難燃剤、添加剤を含めて確認する。 |
| REACH | SVHC、制限物質、登録状況 | 欧州向け部品では最新のSVHCリスト確認が必要である。 |
| 食品衛生法 | 器具・容器包装用途での適合性 | 日本国内の食品接触用途ではポジティブリスト制度への適合確認が必要である。 |
| FDA | 米国食品接触用途での適合性 | グレードごとの適合証明、使用条件、食品種別を確認する。 |
| 医療用途 | 生体適合性、滅菌適性、溶出物、変更管理 | 医療グレードとして明示された材料を使用し、メーカーの用途保証範囲を確認する。 |
| UL | 難燃性、電気特性、RTI | ULイエローカードの有無、厚み、色、グレードを確認する。 |
用途別選定
| 用途 | 適性 | 推奨される確認項目 |
|---|---|---|
| ギア | ○ | 摩耗、疲労、吸水寸法変化、潤滑条件、騒音を確認する。 |
| 軸受 | △〜○ | 摺動グレード、PV値、相手材、摩耗粉、温度上昇を確認する。 |
| チューブ | △ | 押出グレード、耐薬品性、柔軟性、耐圧、加水分解を確認する。 |
| 筐体 | ○ | 耐熱性、衝撃性、難燃性、表面外観、反りを確認する。 |
| フィルム | ○ | 透明性、結晶化、ヒートシール性、バリア性、寸法安定性を確認する。 |
| コネクタ | ○ | GF強化、難燃性、耐熱性、絶縁性、寸法精度を確認する。 |
| ブラシ毛 | ◎ | 弾性回復性、耐摩耗性、耐薬品性、曲げ疲労を確認する。 |
| 繊維 | ◎ | 染色性、伸縮性、熱セット性、洗濯耐久性を確認する。 |
注意点
- PTTはポリエステルであるため、成形前乾燥が不十分な場合、加水分解により分子量が低下し、強度低下、脆化、外観不良を起こすことがある。
- 高温水、蒸気、強アルカリ、アルカリ洗浄剤では、エステル結合の加水分解に注意する必要がある。
- 芳香族溶剤、ケトン、エステル、塩素系溶剤では、SP値が近いものがあり、膨潤、白化、応力割れの確認が必要である。
- GF強化グレードでは、流動方向と直角方向で成形収縮率が異なり、反りや寸法ばらつきが発生することがある。
- 難燃グレードでは、難燃剤の種類によりアウトガス、金型汚れ、電気特性、環境規制適合性が変化する。
- 食品接触、医療、電気安全用途では、材料名だけで判断せず、グレード別の規格適合証明を確認する必要がある。
- 長期使用では、温度、湿度、荷重、応力、薬品接触、紫外線、洗浄条件を組み合わせて評価する必要がある。
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