ポリカプロラクトン

概要

項目内容
材料名ポリカプロラクトン
略記号PCL
IUPACPoly(hexano-6-lactone)、Poly(6-hydroxyhexanoate)、代表表記として poly(ε-caprolactone)
英語名Polycaprolactone、Poly(ε-caprolactone)
日本語名ポリカプロラクトン、ポリε-カプロラクトン、ポリイプシロンカプロラクトン、PCL樹脂
分類脂肪族ポリエステル、生分解性プラスチック、熱可塑性ポリエステル
プラスチック分類プラスチック、生分解性プラスチック、汎用プラスチック系特殊材料
化学式または代表構造[-O-(CH2)5-CO-]n、組成式:(C6H10O2)n
CAS No.24980-41-4
構造・主成分ε-カプロラクトンを主原料とする直鎖状の脂肪族ポリエステルであり、エステル結合とメチレン鎖を持つ半結晶性高分子である。
主な用途生分解性樹脂ブレンド、ポリウレタン用ポリオール、ホットメルト接着剤、低温成形材、3Dプリント材料、医療・研究用材料、改質剤など

ポリカプロラクトンは、ε-カプロラクトンの開環重合により得られる脂肪族ポリエステルである。略記号はPCLであり、融点が60℃前後と低く、ガラス転移温度が約-60℃付近であるため、常温では柔軟性を示しやすい半結晶性の熱可塑性樹脂である。

PCLは生分解性を有する材料として知られるが、分解速度はポリ乳酸などに比べて一般に遅い。単独で成形材料として用いられるほか、PLA、PBS、PBAT、澱粉系樹脂、ポリウレタンなどの改質剤、柔軟化成分、相溶化補助成分として使用されることが多い。

耐熱性は高くないため、高温環境や荷重下での構造部材には適しにくい。一方で、低温で軟化・成形できること、柔軟性、加工性、接着性、生体適合性を活かし、医療・研究用途、低温成形材、接着剤、コーティング、ポリウレタン原料などで利用される。実使用では、分子量、結晶化度、添加剤、ブレンド相手、温度、湿度、薬品接触時間を確認する必要がある。

特徴

項目内容
長所低融点で加工しやすい、柔軟性が高い、耐衝撃性を付与しやすい、生分解性を有する、ポリウレタン原料として有用、PLAなどの脆性改善に用いやすい。
短所耐熱性が低い、剛性が低い、荷重下で変形しやすい、加水分解により長期物性が低下する場合がある、芳香族溶剤・塩素系溶剤・一部エステル類に弱い。
外観乳白色から白色のペレット、粉末、粒状品が多い。フィルムや成形品では半透明から白色を示すことがある。
耐熱性融点は一般に約58〜65℃であり、連続使用温度は40〜50℃程度を目安とする。高温下では軟化、クリープ、寸法変化に注意が必要である。
耐薬品性水、低級アルコール、油類には比較的安定な場合が多いが、エステル結合を持つため強酸、強アルカリ、高温水、加水分解環境では注意を要する。芳香族炭化水素、塩素系溶剤、THF、酢酸エチルなどでは膨潤・溶解する場合がある。
加工性射出成形、押出成形、フィルム成形、溶融混練、3Dプリントなどが可能である。低融点であるため成形温度は比較的低いが、熱履歴や水分による分子量低下に注意する。
分類上の注意PCLは生分解性プラスチックであるが、バイオマス由来とは限らない。一般に石油由来のε-カプロラクトンから製造されることが多く、生分解性とバイオマス度は分けて扱う必要がある。

構造式

化学式の画像

画像タグは使用せず、構造式をHTMLテキストで示す。Illustrator等で画像化する場合は、白黒、線幅を均一にし、文字はMS Pゴシック相当で作図する。

項目構造
代表的な構造単位[-O-(CH2)5-CO-]n
繰り返し単位の組成式C6H10O2
モノマーε-カプロラクトン(2-Oxepanone、C6H10O2
基本反応式n ε-カプロラクトン → [-O-(CH2)5-CO-]n
構造上の特徴脂肪族メチレン鎖とエステル結合からなるため、柔軟性と結晶性を併せ持つ。エステル結合は加水分解を受ける可能性がある。

PCLは単独重合体のほか、PCLジオール、PCLトリオール、PCLポリオール、PLA/PCLブレンド、PCL/澱粉系ブレンド、PCL系ポリウレタンなどとして用いられる。共重合やブレンドにより、柔軟性、分解速度、接着性、耐加水分解性、結晶化速度、成形性を調整することができる。

種類

種類の名称主成分または特徴長所短所主な用途
高分子量PCL熱可塑性成形用の高分子量ポリカプロラクトン柔軟性、成形性、生分解性、低温加工性に優れる耐熱性と剛性が低い低温成形材、フィルム、3Dプリント、樹脂改質
PCLポリオール水酸基を末端に持つPCLジオール、トリオールなどポリウレタンに耐加水分解性、柔軟性、耐摩耗性を付与しやすい単独の成形樹脂とは用途が異なるポリウレタンエラストマー、接着剤、シーラント、コーティング
PLA/PCLブレンドポリ乳酸にPCLを配合した改質材PLAの脆さを改善し、耐衝撃性と柔軟性を付与しやすい相溶性、透明性、耐熱性、分解挙動の確認が必要である包装材、フィルム、射出成形品、3Dプリント材料
PCL/澱粉系ブレンド澱粉、可塑剤、生分解性ポリエステルとの複合材料生分解性、柔軟性、コスト調整に利用できる吸湿、寸法安定性、機械強度に注意が必要である農業資材、包装材、コンポスト用途、試作材料
PCL系ポリウレタンPCLポリオールをソフトセグメントに用いたポリウレタン耐摩耗性、柔軟性、耐油性、耐加水分解性のバランスを取りやすいイソシアネート成分、硬化条件、配合設計で性能が大きく変わるエラストマー、接着剤、塗料、シーラント、人工皮革
医療・研究用PCL分子量、純度、残留モノマー、分解性を管理したグレード生体適合性、長期分解性、成形自由度を活かせる医療用途では法規制、滅菌、抽出物、分解生成物の評価が必要である組織工学、ドラッグデリバリー、吸収性材料、研究用足場材

成形加工

加工方法適性内容
射出成形低温で溶融しやすく成形可能である。耐熱性と離型時の変形に注意する。
押出成形フィルム、シート、チューブ、ストランドなどに適する。溶融粘度は分子量で大きく変わる。
ブロー成形単独では溶融強度や耐熱性の点で制約がある。ブレンドや専用グレードで検討する。
圧縮成形低温加熱でシート、板、試験片を成形しやすい。冷却時の結晶化と寸法変化に注意する。
真空成形低融点で軟化しやすいが、薄肉品では形状保持性が課題となる場合がある。
カレンダー成形ブレンド材やシート用途で検討される。粘着、ロール温度、冷却条件の管理が必要である。
溶融混練PLA、澱粉系樹脂、PBS、PBAT、可塑剤、充填材とのコンパウンドに適する。
3Dプリント低温造形が可能である。柔軟性が高いため、フィラメント送りや造形後の耐熱性に注意する。
切削加工柔らかく、切削熱で変形しやすい。低温固定、鋭利な工具、低発熱条件が望ましい。
代表的な成形条件
項目代表条件備考
乾燥温度40〜50℃必要に応じて2〜4時間程度乾燥する。高温乾燥ではブロッキングや軟化に注意する。
シリンダー温度80〜140℃分子量、グレード、混練相手により調整する。過度な熱履歴は避ける。
金型温度20〜40℃結晶化、離型性、寸法安定性に影響する。
押出温度80〜130℃フィルム、シート、ストランド用途で設定を調整する。
成形収縮率1.0〜3.0%程度結晶化度、肉厚、金型温度、冷却条件で変化する。
注意点水分、熱履歴、結晶化、ブロッキング吸湿は大きくないが、エステル系樹脂であるため乾燥状態と滞留時間を管理する。

代表的な物性値又は機械的性質

項目単位PCL 未充填 代表値PCL/PLAブレンド 目安PCL/HA複合材 目安備考
密度・比重g/cm31.10〜1.151.15〜1.251.20〜1.50充填材、結晶化度、ブレンド比で変化する。
引張強さMPa10〜3020〜5015〜45分子量、試験速度、結晶化度により差が大きい。
伸び300〜100020〜3005〜200PCLは非常に高い伸びを示すグレードがある。
曲げ弾性率MPa200〜500800〜2500500〜3000PLAや無機充填材との複合化で剛性は上がる。
アイゾット衝撃強さkJ/m2破断しにくい、または10〜50程度3〜202〜15試験片形状と温度の影響が大きい。
荷重たわみ温度40〜5045〜7045〜80低融点材料であり、耐熱構造用途には注意する。
融点58〜65ブレンド比により複数ピーク58〜65付近結晶化度、分子量で変化する。
ガラス転移温度-65〜-55ブレンド比により変化-65〜-55付近常温ではゴム状の柔軟性を示しやすい。
連続使用温度40〜5040〜6040〜60荷重、寸法精度、使用時間により判断する。
吸水率0.1〜0.50.2〜1.00.2〜2.0PAほど高くないが、加水分解環境では物性低下に注意する。
体積抵抗率Ω・cm1013〜10161012〜10161010〜1015吸湿、充填材、添加剤により変化する。
難燃性UL94HB相当が多いHB相当が多い配合により変化自己消火性材料ではない。難燃用途では難燃グレードの確認が必要である。
酸素指数20〜22程度20〜24程度配合により変化代表値であり、難燃設計では実測確認が必要である。

上記の値は代表値・目安である。PCLは分子量、末端基、結晶化度、ブレンド比、充填材、成形条件により物性が大きく変化する。実使用ではメーカー技術資料、試験片成形条件、試験規格、温度、湿度、荷重、応力、使用時間を確認する必要がある。

耐薬品性

薬品分類代表薬品評価備考
酸類希塩酸、希硫酸、酢酸○〜△常温短時間では比較的安定な場合があるが、強酸、高温、長時間では加水分解に注意する。
アルカリ類水酸化ナトリウム、KOH、アルカリ洗浄液△〜×エステル結合の加水分解を受けやすく、強アルカリや高温では不適となる場合が多い。
低級アルコール類メタノール、エタノール、IPA短時間接触では比較的安定であるが、温度と応力により膨潤や物性低下を確認する。
高級アルコール類グリセリン、ベンジルアルコール、MMB○〜△極性、分子サイズ、温度により差がある。長期浸漬では重量変化を確認する。
芳香族炭化水素類トルエン、キシレン、エチルベンゼン△〜×膨潤・軟化・溶解を起こす場合がある。特に応力下では注意が必要である。
脂肪族炭化水素類ヘキサン、ヘプタン、ミネラルスピリット○〜△短時間では比較的安定な場合があるが、油状炭化水素では膨潤を確認する。
ケトンアセトン、MEK、MIBK△〜×膨潤または溶解する場合があり、接着・洗浄用途では事前確認が必要である。
エステル酢酸エチル、酢酸ブチル△〜×SP値が近く、PCLを膨潤・溶解させる場合がある。
エーテルTHF、ジオキサン×PCLの良溶媒として扱われることがあり、成形品接触は避ける。
塩素系溶剤クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン×溶解・膨潤しやすく、原則として不適である。
水・温水水、温水、蒸気○〜△常温水では比較的安定であるが、温水・高湿・長期では加水分解と寸法変化に注意する。
植物油、鉱物油、潤滑油○〜△油種により膨潤性が異なる。添加剤を含む油では確認が必要である。
燃料ガソリン、軽油、アルコール混合燃料△〜×炭化水素や添加剤により膨潤、軟化を起こす可能性がある。

◎:非常に良好 ○:概ね良好 △:注意が必要 ×:不適

SP値(溶解度パラメータ)
項目内容
PCLの代表的なSP値δ=19〜21 MPa1/2 程度
目安値代表値として20.0 MPa1/2を用いることが多い。
注意点SP値は溶解・膨潤の一次判断に有効であるが、耐薬品性そのものを決定するものではない。結晶化度、分子量、温度、薬品濃度、応力、接触時間、添加剤、ブレンド相手により結果は変化する。
溶解性の目安
SP値差溶解・膨潤の目安判定
0〜2膨潤・軟化しやすい×
2〜5条件により膨潤する
5〜8短時間接触では比較的安定
8以上溶解・膨潤しにくい
SP値から見た耐溶剤性
溶剤・薬品名SP値 δ MPa1/2PCLとの差評価備考
47.9約27.9SP値差は大きいが、長期・高温では加水分解に注意する。
メタノール29.7約9.7短時間では比較的安定な場合が多い。
エタノール26.0約6.0消毒・洗浄用途では応力割れと長期接触を確認する。
IPA23.5約3.5条件により膨潤する可能性がある。
アセトン19.9約0.1×SP値が近く、膨潤・溶解に注意する。
MEK19.0約1.0×溶剤接触は避けることが望ましい。
酢酸エチル18.6約1.4×PCLを溶解・膨潤させやすい。
THF18.5約1.5×PCLの良溶媒として扱われる。
トルエン18.2約1.8×芳香族溶剤では膨潤・軟化に注意する。
キシレン18.0約2.0△〜×温度や接触時間により影響が大きい。
クロロホルム19.0約1.0×溶解しやすく不適である。
ジクロロメタン20.2約0.2×SP値が極めて近く、溶解・膨潤しやすい。
n-ヘキサン14.9約5.1○〜△短時間では比較的安定な場合があるが、油状炭化水素では確認が必要である。
グリセリン33〜36約13〜16◎〜○SP値差は大きいが、吸湿環境や高温では確認する。

SP値差による評価は、溶解・膨潤の目安である。PCLは半結晶性樹脂であるため、結晶部と非晶部で溶剤の影響が異なる。また、薬品接触中に応力、曲げ、引張、圧縮荷重が加わると、短時間でも白化、クラック、寸法変化が起こる場合がある。

製法

工程内容
原料主原料はε-カプロラクトンである。工業的にはシクロヘキサノンの酸化などを経由して得られるカプロラクトン類が用いられる。
重合方法一般にε-カプロラクトンの開環重合により製造される。開始剤、触媒、温度、反応時間により分子量と末端基を制御する。
代表的な反応式n ε-カプロラクトン → [-O-(CH2)5-CO-]n
PCLポリオールの製法ジオール、トリオールなどの多価アルコールを開始剤として開環重合し、末端水酸基を持つPCLポリオールを得る。
ペレット化重合後、溶融押出、冷却、カットによりペレット化される。粉砕品、粉末、フィルム、フィラメントとして供給される場合もある。
コンパウンドPLA、PBS、PBAT、澱粉、可塑剤、無機充填材、相溶化剤、顔料などと溶融混練し、用途に応じて柔軟性、耐衝撃性、分解性、成形性を調整する。
添加剤・充填材酸化防止剤、滑剤、結晶核剤、可塑剤、加水分解抑制剤、無機フィラー、ハイドロキシアパタイト、繊維状充填材などが用途により使用される。

PCLの製法では、分子量分布、残留モノマー、触媒残渣、末端基、含水率が品質に影響する。医療・食品接触・電子材料用途では、抽出物、溶出成分、臭気、アウトガス、金属残渣などの確認が必要である。

詳細な利用用途

分野代表用途選定理由注意点
自動車接着剤、シーラント、ポリウレタンエラストマー、内装材改質柔軟性、接着性、耐摩耗性付与に利用できる耐熱性、耐燃料性、揮発成分、長期耐久性を確認する。
電気・電子低温成形材、保護材、ホットメルト接着、試作部材低温加工性、絶縁性、柔軟性を活かせる耐熱性、難燃性、アウトガス、絶縁信頼性を確認する。
機械部品治具、クッション材、低荷重部品、試作部品容易に加工でき、柔軟で衝撃吸収性があるクリープ、摩耗、荷重変形、温度上昇に注意する。
医療研究用足場材、ドラッグデリバリー、吸収性材料、3Dプリントモデル生体適合性と緩やかな分解性を活かせる医療機器用途ではグレード、滅菌、残留物、法規制、臨床適合性の確認が必須である。
食品機械一時固定材、低温成形治具、接着剤成分低温で成形でき、柔軟性がある食品接触適合、洗浄剤、熱水、アルカリ洗浄への耐性を確認する。
建築・設備シーラント、接着剤、コーティング改質、補修材柔軟性、接着性、耐久性付与に利用される屋外耐候性、熱変形、可塑剤移行、溶剤接触を確認する。
包装・フィルム生分解性フィルム、ブレンドフィルム、コンポスト対応材料柔軟性、生分解性、ヒートシール性を付与しやすい耐熱性、ブロッキング、透明性、食品接触規制を確認する。
3Dプリント低温造形フィラメント、教育用・試作用材料、柔軟造形材低融点で造形しやすく、後加工もしやすい造形後の耐熱性、寸法安定性、フィラメント送り性に注意する。
接着・塗料ホットメルト接着剤、ポリウレタン接着剤、コーティング用ポリオール柔軟性、接着性、耐摩耗性、耐加水分解性を調整しやすい硬化剤、溶剤、被着体、耐熱・耐湿条件を確認する。

関連材料との比較

比較材料特徴対象材料との違い
ポリ乳酸透明性、剛性、生分解性に優れる代表的なバイオマスプラスチックである。PCLはPLAより柔軟で低融点である。PLAは剛性と耐熱改質余地があり、PCLは脆性改善材として使われることが多い。
ポリブチレンナフタレート結晶性ポリエステルであり、耐熱性、寸法安定性、ガスバリア性を持つ。PCLは低融点・生分解性・柔軟性が特徴であり、PBNは高耐熱・高機能ポリエステルとして用途が異なる。
熱可塑性オレフィンPPやPEを主成分とする柔軟な熱可塑性エラストマー系材料である。PCLはポリエステル系で生分解性を持つが、TPOは一般に耐水性、低比重、耐薬品性に優れる。
短繊維ガラス強化ポリプロピレンPPにガラス繊維を配合し、剛性、耐熱性、寸法安定性を高めた材料である。PCLは柔軟・低温加工用途向けであり、GF強化PPは構造部品や金属代替に適する。
ポリエーテルスルホン非晶性のスーパーエンプラであり、高耐熱性、耐熱水性、透明性を持つ。PCLは耐熱性が低いが低温加工性と生分解性を持つ。PESは高温・高機能用途向けで価格帯も用途も大きく異なる。
ポリイミド極めて高い耐熱性、電気特性、耐薬品性を持つスーパーエンプラである。PCLは低温で軟化する柔軟材料であり、ポリイミドは高温絶縁・耐熱部材向けである。
シクロオレフィン・コポリマー透明性、低吸水性、寸法安定性に優れる非晶性樹脂である。PCLは柔軟性と生分解性を重視する材料であり、COCは光学性、低吸水性、精密成形性を重視する。
塩素化ポリエチレン塩素化により柔軟性、耐候性、難燃性を付与したポリエチレン系材料である。PCLは脂肪族ポリエステルで生分解性を有する。CPEはゴム改質、難燃・耐候用途に用いられる。

代表的なメーカー

メーカー代表製品・ブランド概要
IngevityCapaポリカプロラクトンポリオール、熱可塑性PCL樹脂、カプロラクトン系材料の代表的メーカーである。ポリウレタン、接着剤、シーラント、コーティング用途で用いられる。
Daicel CorporationPLACCEL 代表例カプロラクトン誘導体、PCLポリオール関連材料を扱う日本の化学メーカーである。塗料、接着剤、ポリウレタン原料などで検討される。
Merck / Sigma-AldrichPolycaprolactone 研究用試薬研究用のポリカプロラクトンを分子量別に供給している。医療・生体材料・高分子研究用途で使われることが多い。
PolysciencesPolycaprolactone 研究用材料研究・試作用のPCL材料を供給するメーカーとして知られる。工業量産材とは仕様や品質保証範囲が異なる場合がある。
EvonikRESOMER 代表例医療・生体吸収性ポリマー分野でPCL、PLA、PLGA系材料を扱う代表的メーカーである。医療用途では個別グレードの規格確認が必要である。

法規制・適合性

項目確認内容
RoHSPCL自体は一般にRoHS制限物質を意図的に含まない設計が可能であるが、添加剤、顔料、触媒残渣、充填材を含めてグレードごとに確認する。
REACHポリマー、モノマー、添加剤、SVHC該当性、輸入量、用途を確認する必要がある。
食品衛生食品接触用途では日本の食品衛生法、ポジティブリスト、溶出試験、使用温度、接触食品種を確認する。
FDA米国食品接触用途や医療用途では、該当するFDA規則、グレードの適合証明、抽出物、使用条件を確認する。
医療用途医療用PCLは一般工業用PCLとは区別する必要がある。生体適合性、滅菌適性、分解生成物、残留触媒、規格適合を確認する。
難燃性PCL単独では難燃材料ではない。電気・電子用途ではUL94、酸素指数、発煙性、燃焼生成物を確認する。

用途別選定

用途適性選定ポイント
ギア×〜△剛性、耐熱性、クリープ性が不足しやすい。低荷重試作を除き、POM、PA、PBTなどを検討する。
軸受×〜△摩耗や荷重変形に注意する。摺動用途では専用エンプラや充填材入り材料が適する場合が多い。
チューブ柔軟性を活かせるが、耐熱性、耐圧性、薬品接触、滅菌条件を確認する。
筐体低温・低荷重用途では可能だが、耐熱性、剛性、難燃性が課題となる。
フィルム柔軟性、ヒートシール性、生分解性ブレンド用途で有効である。ブロッキングと耐熱性に注意する。
コネクタ×耐熱性、寸法安定性、難燃性が不足しやすい。PBT、PA、LCPなどを検討する。
接着剤ホットメルトやポリウレタン系接着剤の柔軟化成分として有用である。
医療用足場材長期分解性と成形自由度を活かせる。医療用グレードと規制適合の確認が必要である。

注意点

  • 低融点材料であるため、50〜60℃付近の環境では軟化、変形、ブロッキング、寸法変化が起こる場合がある。
  • エステル結合を持つため、高温水、強酸、強アルカリ、湿熱環境では加水分解による分子量低下に注意する。
  • 柔軟でクリープしやすいため、長期荷重、締結、圧縮、曲げ応力がかかる部品では変形を確認する。
  • 芳香族炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、塩素系溶剤では膨潤・溶解の可能性がある。
  • 難燃性は高くないため、電気・電子用途ではUL94、酸素指数、発煙性、絶縁信頼性を確認する。
  • 医療・食品接触用途では、一般工業用グレードをそのまま使用せず、法規制、抽出物、溶出物、残留触媒、滅菌適性を確認する。
  • 加熱加工時には滞留、酸化、加水分解、アウトガス、臭気、分子量低下に注意する。
  • ブレンド材では相溶性、相分離、透明性、衝撃性、分解速度、耐熱性が配合比で大きく変わる。

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