| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | エポキシアクリレート |
| 略記号 | EA、Epoxy Acrylate、Epoxy Acrylate Oligomer |
| IUPAC | 単一物質ではなく、エポキシ樹脂骨格にアクリロイル基を導入した反応性オリゴマーの総称であるため、一般に単一のIUPAC名は定義されない。代表例として、ビスフェノールA型エポキシジアクリレートはビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸の付加エステル化物である。 |
| 英語名 | Epoxy Acrylate、Epoxy Acrylate Resin、Epoxy Acrylate Oligomer、Bisphenol A Epoxy Diacrylate |
| 日本語名 | エポキシアクリレート、エポキシアクリレート樹脂、エポキシアクリレートオリゴマー、エポキシメタクリレート、エポキシエステル系アクリレート |
| 分類 | 紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、アクリレート系反応性オリゴマー、熱硬化性樹脂、架橋性樹脂、コーティング用樹脂 |
| プラスチック分類 | 熱硬化性プラスチック、機能性樹脂、UV/EB硬化型樹脂である。一般的な熱可塑性プラスチック、エンプラ、スーパーエンプラとは分類が異なる。 |
| 化学式または代表構造 | 代表構造:CH2=CH-COO-CH2-CH(OH)-CH2-O-R-O-CH2-CH(OH)-CH2-OCO-CH=CH2。RはビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型、水添ビスフェノール型などのエポキシ樹脂残基である。 |
| CAS No. | エポキシアクリレートは混合物またはオリゴマーとして扱われることが多く、単一CASで整理しにくい。代表例としてビスフェノールA型エポキシジアクリレートはCAS No. 55818-57-0として扱われる場合がある。 |
| 構造・主成分 | エポキシ樹脂のエポキシ基にアクリル酸またはメタクリル酸を付加反応させ、分子末端または分子中にアクリロイル基を導入した反応性オリゴマーである。光重合開始剤、反応性希釈剤、充填材、顔料、添加剤を配合して使用される。 |
| 主な用途 | UV硬化塗料、電子線硬化塗料、ハードコート、印刷インキ、オーバープリントワニス、接着剤、封止材、ソルダーレジスト、複合材料、3Dプリンター用光硬化樹脂、電子材料、木工・金属・プラスチック用コーティング |
概要
エポキシアクリレートは、エポキシ樹脂の骨格にアクリレート基を導入した反応性オリゴマーであり、紫外線、電子線、または熱ラジカル反応により三次元架橋する材料である。一般に液状または高粘度液状で供給され、単独で熱可塑性樹脂のように射出成形する材料ではなく、塗料、インキ、接着剤、レジスト、注型材、複合材料のマトリックスとして使用される。
エポキシ骨格に由来する密着性、硬度、耐薬品性、電気絶縁性と、アクリレート基に由来する高速硬化性を併せ持つ点が特徴である。ビスフェノールA型は硬度、光沢、耐薬品性のバランスが良く、ノボラック型は耐熱性や耐溶剤性を高めやすい。一方で、硬化収縮、酸素阻害、黄変、脆さ、未反応モノマー、光重合開始剤残渣、アウトガスには注意が必要である。
類似材料として、エポキシ骨格を不飽和酸で変性し、FRPや耐食ライニング用途に用いられるビニルエステル樹脂がある。エポキシアクリレートは、UV/EB硬化コーティング、インキ、電子材料用途で使われることが多いが、グレードにより両者の境界は重なる場合がある。
特徴
- 紫外線または電子線により短時間で硬化しやすい。
- 硬化膜は硬度、光沢、密着性、耐薬品性に優れる場合が多い。
- エポキシ骨格により、金属、ガラス、セラミック、樹脂基材への密着性を付与しやすい。
- ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型、脂肪族型、水添型、酸変性型などの設計幅がある。
- 反応性希釈剤の種類により、粘度、硬化収縮、柔軟性、耐薬品性、皮膚刺激性が変化する。
- 硬化後は三次元架橋構造となるため、再溶融成形はできない。
- 厚膜硬化、着色系、顔料高配合、影部硬化では硬化不足に注意が必要である。
- 未硬化樹脂は皮膚感作性、刺激性を持つ場合があり、保護具、換気、遮光保管が必要である。
長所
- 硬化速度が速く、生産タクトを短縮しやすい。
- 表面硬度、耐擦傷性、光沢を高めやすい。
- 耐溶剤性、耐油性、耐水性を付与しやすい。
- 電気絶縁性が比較的高い。
- ガラス、金属、エポキシ系基材への密着性が良い。
- 無溶剤または低VOC配合にしやすい。
- 充填材、シリカ、ガラス繊維、顔料、難燃剤との配合設計が可能である。
短所
- 硬化収縮があり、厚膜、接着、封止では反りや応力が問題になる場合がある。
- 標準ビスフェノールA型は硬く脆い傾向がある。
- 酸素阻害により表面硬化が不足することがある。
- 紫外線が届かない影部、厚膜、黒色配合では硬化が不十分になりやすい。
- 未硬化成分や光重合開始剤により臭気、皮膚刺激、アウトガスが問題になる場合がある。
- 屋外長期用途では黄変、白化、クラック、光劣化を確認する必要がある。
- 強溶剤、ケトン、エステル、塩素系溶剤では膨潤や軟化が起こる場合がある。
外観
未硬化のエポキシアクリレートは、無色から淡黄色の高粘度液体、半固形、または反応性希釈剤で希釈された液状樹脂として扱われることが多い。硬化物は透明から淡黄色、または配合により白色、黒色、着色膜となる。ビスフェノールA型はやや黄味を帯びる場合があり、光学用途では水添型、脂肪族型、低着色グレードが選ばれる。
耐熱性
耐熱性は骨格と架橋密度に大きく依存する。標準ビスフェノールA型硬化物のガラス転移温度は一般に約50〜120℃、ノボラック型や高架橋型では約100〜180℃程度が目安である。連続使用温度は標準品で約60〜100℃、耐熱グレードで約100〜140℃程度が目安であるが、実使用では硬化条件、膜厚、酸素阻害、荷重、薬品接触、湿熱条件を確認する必要がある。
耐薬品性
硬化物は水、油、脂肪族炭化水素、弱酸、弱アルカリに対して比較的安定な場合が多い。一方で、アセトン、MEK、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、THFなどの溶剤では膨潤、軟化、白化、密着低下が起こることがある。耐薬品性は架橋密度、残留モノマー、後硬化、膜厚、基材との密着性に強く依存する。
加工性
エポキシアクリレートは、塗布、印刷、ディスペンス、含浸、注型、ラミネート、フィルムコート、3D光造形などの加工に適する。粘度が高い場合は、単官能または多官能アクリレートモノマーで希釈して使用する。熱可塑性樹脂のような射出成形、押出成形、ブロー成形には一般に適さない。
分類上の注意
エポキシアクリレートは、名称に「エポキシ」を含むが、通常の二液硬化型エポキシ樹脂とは硬化機構が異なる。エポキシ基を硬化剤で開環反応させるのではなく、アクリレート基をラジカル重合させて硬化する材料である。また、アクリル樹脂のような熱可塑性PMMAとも異なる。エポキシアクリレートは、UV硬化型の架橋性オリゴマーとして扱う必要がある。
構造式
化学式の画像は使用せず、HTML内で読めるように代表構造を文字式で示す。画像化する場合は、白黒、MS Pゴシック相当の可読性を持つフォントで作成する。
| 項目 | 構造 |
|---|---|
| 代表的な構造単位 | CH2=CH-COO-CH2-CH(OH)-CH2-O-R-O-CH2-CH(OH)-CH2-OCO-CH=CH2 |
| Rの代表例 | ビスフェノールA骨格:-C6H4-C(CH3)2-C6H4-、ビスフェノールF骨格、ノボラック骨格、水添ビスフェノール骨格、脂肪族ジグリシジルエーテル骨格など |
| モノマーまたは構成単位 | ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂、アクリル酸、メタクリル酸、反応性希釈剤、多官能アクリレート、光重合開始剤 |
| 硬化反応部位 | 末端または側鎖のCH2=CH-COO-基がラジカル重合し、三次元架橋構造を形成する。 |
| 共重合体・変性グレード | 酸変性エポキシアクリレート、ウレタン変性エポキシアクリレート、ポリエステル変性エポキシアクリレート、シリコーン変性、フッ素変性、水添型、低塩素型、アルカリ現像型などがある。 |
エポキシアクリレートでは、エポキシ骨格とアクリレート基の両方が性能を支配する。エポキシ骨格は密着性、硬度、耐薬品性、電気特性に寄与し、アクリレート基は硬化速度と架橋密度に寄与する。柔軟性を高める場合は、長鎖アルキル、ポリエーテル、ウレタン、ゴム変性成分を導入する。
種類
| 種類の名称 | 主成分または特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| ビスフェノールA型エポキシアクリレート | ビスフェノールA型エポキシ樹脂にアクリル酸を付加した標準的なタイプである。 | 硬度、光沢、密着性、耐薬品性、コストのバランスが良い。 | やや黄変しやすく、硬く脆い場合がある。 | UV塗料、OPV、印刷インキ、金属・木工コーティング、接着剤 |
| ビスフェノールF型エポキシアクリレート | ビスフェノールF型エポキシ骨格を持つ。 | ビスフェノールA型より低粘度にしやすく、濡れ性や作業性を改善しやすい。 | グレードにより耐熱性、硬度、価格差がある。 | 低粘度UV樹脂、接着剤、含浸材、電子材料 |
| ノボラック型エポキシアクリレート | フェノールノボラック型またはクレゾールノボラック型エポキシをベースとする多官能タイプである。 | 架橋密度が高く、耐熱性、耐溶剤性、硬度を高めやすい。 | 高粘度で脆くなりやすい。硬化収縮や内部応力にも注意が必要である。 | ソルダーレジスト、電子材料、耐熱コーティング、耐溶剤塗膜 |
| 水添ビスフェノール型エポキシアクリレート | 芳香環を水添した脂環式骨格を持つ。 | 低黄変、透明性、耐候性を改善しやすい。 | 標準ビスフェノールA型より高価になりやすい。 | 光学コート、透明ハードコート、屋外用コーティング |
| 酸変性エポキシアクリレート | カルボキシル基を導入し、アルカリ現像性や密着性を付与したタイプである。 | 現像性、無機基材密着性、電子材料適性を付与しやすい。 | 吸湿、耐水性、酸価管理、保存安定性に注意が必要である。 | ソルダーレジスト、フォトレジスト、プリント配線板材料 |
| 低粘度希釈タイプ | TPGDA、HDDA、TMPTA、IBOAなどの反応性希釈剤を配合したタイプである。 | 塗工性、印刷性、ディスペンス性を調整しやすい。 | 希釈剤により刺激性、硬化収縮、臭気、脆さが変わる。 | UV塗料、インキ、粘接着剤、3D光造形樹脂 |
| 柔軟変性エポキシアクリレート | ポリエーテル、ポリエステル、ウレタン、ゴムなどで柔軟化したタイプである。 | 耐屈曲性、耐衝撃性、接着追従性を改善しやすい。 | 硬度、耐熱性、耐溶剤性は低下する場合がある。 | フィルムコート、粘接着剤、フレキシブル基板、シーリング材 |
| 無機充填・GF強化タイプ | シリカ、アルミナ、ガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維などを配合したタイプである。 | 寸法安定性、低収縮、剛性、耐熱性、熱伝導性を改善しやすい。 | 透明性、流動性、表面平滑性が低下しやすい。 | 封止材、複合材料、構造接着、電気絶縁部品、耐摩耗コート |
代表グレード
| グレード区分 | 設計の方向 | 代表的な確認項目 |
|---|---|---|
| 汎用 | ビスフェノールA型を主体に、硬化性、硬度、密着性、価格のバランスを取る。 | 粘度、酸価、色数、硬化速度、鉛筆硬度、密着性 |
| 耐熱 | ノボラック型、多官能型、高Tg型を用いる。 | Tg、HDT、熱重量減少、はんだ耐熱、熱黄変 |
| 難燃 | リン系、無機系、臭素系難燃骨格または難燃剤を組み合わせる。 | UL94、酸素指数、発煙性、電気特性、RoHS適合 |
| GF強化・無機充填 | ガラス繊維、シリカ、アルミナを配合し、剛性、低収縮、寸法安定性を高める。 | 粘度、沈降性、充填率、線膨張係数、曲げ弾性率 |
| 摺動 | PTFE、シリコーン、ワックス、硬質フィラーを配合する。 | 摩擦係数、摩耗量、相手材攻撃性、表面粗さ |
| 食品接触・低移行 | 低臭気、低残留モノマー、低移行性の原料を選定する。 | 法規適合、抽出物、臭気、光開始剤残渣、硬化率 |
| 医療・電子材料 | 低イオン、低塩素、低アウトガス、低吸水を重視する。 | イオン性不純物、体積抵抗率、誘電特性、アウトガス、信頼性試験 |
成形加工
エポキシアクリレートは、熱可塑性樹脂のように溶融して成形する材料ではなく、液状樹脂を塗布、含浸、注型し、UV、EB、熱、またはデュアルキュアで硬化させる材料である。評価記号は一般的な適性であり、配合、粘度、光透過性、硬化条件により変わる。
| 加工方法 | 適性 | 主な製品例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 射出成形 | × | 一般的な熱可塑射出成形品には不適である。 | 硬化後は再溶融しない。反応射出や光造形とは別に扱う。 |
| 押出成形 | × | 汎用ペレット押出、パイプ、シートなどには不適である。 | 液状塗工やフィルムコートとして設計する。 |
| ブロー成形 | × | 中空成形容器には一般に使わない。 | 熱可塑性樹脂とは加工原理が異なる。 |
| 圧縮成形 | △ | プリプレグ、シートモールディング、複合材料、積層板 | 熱硬化またはUV/熱デュアルキュア条件が必要である。 |
| 真空成形 | × | 硬化後シートの二次成形には不向きである。 | 硬化前の塗工膜を基材フィルムに形成する用途は可能である。 |
| 切削加工 | △ | 硬化注型品、複合材料、治具、試験片 | 脆性、発熱、層間剥離、粉じんに注意する。 |
| UV塗工 | ◎ | ハードコート、木工塗装、金属コート、プラスチックコート | 膜厚、照度、積算光量、酸素阻害を確認する。 |
| 印刷 | ◎ | UVインキ、OPV、スクリーン印刷、グラビア、フレキソ | 顔料による光遮蔽と表面硬化不足に注意する。 |
| 注型・ポッティング | ○ | 封止材、透明注型、電子部品保護 | 厚膜では発熱、硬化収縮、内部硬化不足を確認する。 |
| 含浸・ラミネート | ○ | GFRP、CFRP、ガラスクロス含浸、絶縁積層 | 粘度、脱泡、繊維濡れ性、後硬化条件を調整する。 |
| 光造形 | ○ | SLA、DLP、インクジェット型3Dプリント樹脂 | 収縮、反り、残留モノマー、後硬化、寸法安定性を確認する。 |
代表的な成形条件・硬化条件
| 項目 | 代表値・目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 乾燥温度 | 通常はペレット乾燥ではなく、原料を密閉保管する。必要に応じて40〜60℃で脱泡・脱湿する。 | 吸湿、気泡、白化、硬化不良が問題になる場合に実施する。揮発性モノマーを含む場合は加熱し過ぎない。 |
| シリンダー温度 | 一般的な熱可塑性射出成形には該当しない。 | 高温滞留はゲル化や重合を招くため避ける。 |
| 樹脂温度 | 20〜60℃程度 | 粘度調整のため加温する場合がある。遮光、酸素、重合禁止剤管理が必要である。 |
| 金型温度 | 20〜80℃程度 | 注型、ラミネート、デュアルキュアでは温度管理により反応速度と収縮が変わる。 |
| UV波長 | 365nm、385nm、395nm、405nmなど | 光重合開始剤、膜厚、顔料、基材透過率に合わせて選定する。 |
| UV積算光量 | 約500〜3000mJ/cm2 | 薄膜では低め、厚膜・顔料系では高めになる。照度、距離、搬送速度を確認する。 |
| EB硬化 | 約20〜100kGy | 光開始剤なしまたは少量で硬化できる場合がある。設備条件に依存する。 |
| 熱後硬化 | 60〜120℃、0.5〜3時間程度 | 耐熱性、耐薬品性、残留モノマー低減、寸法安定性向上のため実施する場合がある。 |
| 成形収縮率 | 未充填硬化物で約3〜8%、無機充填品で約1〜4%、繊維強化複合材で約0.2〜1.5% | 反応性希釈剤、多官能度、充填率、硬化条件により大きく変化する。 |
| ポットライフ | 配合により数時間〜数か月以上 | 熱硬化剤や促進剤を併用する場合は短くなる。光硬化一液型では遮光保管が重要である。 |
代表的な物性値又は機械的性質
下表は代表的な硬化物の目安である。実際の物性は、骨格、分子量、官能基数、反応性希釈剤、光重合開始剤、充填材、膜厚、照射量、後硬化条件により大きく変化する。材料選定では、グレード、温度、濃度、荷重、応力、使用時間、湿度、紫外線照射条件を確認する必要がある。
| 項目 | 単位 | 標準ビスフェノールA型硬化物 | 耐熱ノボラック型硬化物 | 柔軟変性型硬化物 | GF/無機充填複合材 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm3 | 1.15〜1.25 | 1.18〜1.30 | 1.05〜1.20 | 1.40〜1.90 | 充填材量により大きく上昇する。 |
| 比重 | なし | 1.15〜1.25 | 1.18〜1.30 | 1.05〜1.20 | 1.40〜1.90 | 密度とほぼ同じ目安である。 |
| 引張強さ | MPa | 30〜80 | 50〜100 | 10〜50 | 100〜400 | 繊維方向、硬化度、試験片形状に依存する。 |
| 伸び | % | 2〜10 | 1〜5 | 10〜80 | 1〜5 | 標準品は硬く、柔軟変性品は伸びを高めやすい。 |
| 曲げ強さ | MPa | 60〜120 | 80〜160 | 20〜80 | 150〜600 | 充填材、繊維配向、硬化条件により変化する。 |
| 曲げ弾性率 | GPa | 1.5〜3.5 | 2.5〜5.0 | 0.1〜1.5 | 5〜25 | 無機充填、GF、CFで大きく上昇する。 |
| アイゾット衝撃強さ | J/m | 10〜60 | 5〜40 | 30〜150 | 30〜150 | ノッチ感度が高い場合がある。 |
| 荷重たわみ温度 | ℃ | 60〜120 | 100〜180 | 30〜90 | 100〜200 | 荷重、硬化度、充填材により変化する。 |
| 融点 | ℃ | なし | なし | なし | なし | 硬化後は架橋樹脂であり、明確な融点を持たない。 |
| ガラス転移温度 | ℃ | 50〜120 | 100〜180 | -20〜80 | 80〜180 | DMA、DSC、測定条件により値が異なる。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 60〜100 | 100〜140 | 40〜90 | 80〜150 | 長期使用では酸化、湿熱、応力、薬品接触を確認する。 |
| 吸水率 | % | 0.5〜2.0 | 0.5〜1.5 | 0.8〜3.0 | 0.2〜1.5 | 酸変性品や親水性希釈剤では高くなる場合がある。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1014〜1016 | 1014〜1016 | 1012〜1015 | 1012〜1016 | イオン性不純物、吸湿、充填材により変化する。 |
| 誘電率 | 1MHz | 3.2〜4.2 | 3.5〜4.8 | 3.0〜5.0 | 3.8〜7.0 | 電子材料では周波数、吸湿、フィラーを確認する。 |
| 硬度 | 鉛筆硬度・ショアD | H〜4H、D75〜90 | 2H〜6H、D80〜95 | B〜H、D30〜75 | H〜6H、D80以上 | ハードコートでは鉛筆硬度で評価されることが多い。 |
| 酸素指数 | % | 20〜24 | 22〜28 | 19〜24 | 25〜35 | 難燃グレードでは高くなる。標準品は難燃材料とは限らない。 |
| 難燃性 | UL94 | HB〜規格外 | HB〜V-1相当を狙う設計 | HB〜規格外 | HB〜V-0相当を狙う設計 | UL認定は製品、厚み、配合ごとに確認が必要である。 |
吸水率の注意
エポキシアクリレートの吸水率は、ポリアミドほど高くない場合が多いが、酸変性品、親水性希釈剤、ポリウレタン変性品では高くなることがある。電子材料、光学材料、接着剤、封止材では、吸水による体積抵抗率低下、密着低下、白化、寸法変化、加水分解、アウトガスを確認する必要がある。
難燃性・法規制
| 項目 | 目安・確認事項 |
|---|---|
| UL94 | 標準エポキシアクリレート硬化物は難燃性が高いとは限らない。V-0、V-1などが必要な場合は、認定グレード、厚み、充填材、難燃剤、基材構成を確認する。 |
| 酸素指数 | 標準品は約20〜24%程度が目安である。リン系、無機系、ハロゲン系、シリカ充填により改善される場合がある。 |
| RoHS | 電子材料用途では、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB、PBDE、フタル酸エステル類などの制限物質を確認する。 |
| REACH | SVHC、BPA関連規制、残留モノマー、反応性希釈剤、光重合開始剤の登録状況を確認する。 |
| 食品衛生・FDA | 食品接触用途では、原料リスト適合、移行試験、硬化率、残留モノマー、光開始剤分解物を確認する。一般グレードをそのまま食品接触に使用できるとは限らない。 |
| 医療用途 | 生体適合性、抽出物、溶出物、滅菌耐性、未反応成分、皮膚感作性を個別に確認する必要がある。 |
| 作業安全 | 未硬化アクリレートは皮膚刺激性、感作性を持つ場合がある。保護手袋、保護眼鏡、換気、遮光保管が必要である。 |
耐薬品性
下表は、十分に硬化したエポキシアクリレート硬化膜または硬化物の一般的な目安である。未硬化樹脂、半硬化膜、薄膜、応力下、温水中、長時間浸漬、溶剤拭き取り、顔料・充填材配合では結果が変わる。耐薬品性はSP値だけでは判断できず、架橋密度、Tg、吸水率、薬品濃度、温度、接触時間、応力、基材密着性を確認する必要がある。
| 薬品分類 | 代表薬品 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 酸類 | 希塩酸、希硫酸、リン酸水溶液 | ○ | 常温・低濃度では比較的安定な場合が多い。濃酸、酸化性酸では劣化する。 |
| 酸類 | 濃硫酸、硝酸、クロム酸 | × | 酸化、分解、変色、膨潤、密着低下が起こりやすい。 |
| アルカリ類 | 水酸化ナトリウム、KOH、NaOH水溶液 | △〜○ | 常温・低濃度では使用可能な場合がある。高温高濃度ではエステル部の加水分解に注意する。 |
| 低級アルコール類 | エタノール、IPA、メタノール | ○〜△ | 短時間接触では比較的安定な場合が多い。長時間浸漬では膨潤や白化を確認する。 |
| 高級アルコール類 | グリセリン、ブタノール、MMB | ○〜△ | グリセリンは比較的安定な場合がある。グリコールエーテル系は膨潤に注意する。 |
| 芳香族炭化水素類 | トルエン、キシレン、エチルベンゼン | △〜× | SP値が近く、膨潤、軟化、光沢低下が起こる場合がある。 |
| 脂肪族炭化水素類 | ヘキサン、ヘプタン、ミネラルスピリット | ○ | 短時間接触では比較的安定な場合が多い。添加剤抽出には注意する。 |
| ケトン | アセトン、MEK、MIBK、シクロヘキサノン | × | 膨潤、軟化、白化、密着低下が起こりやすい。 |
| エステル | 酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル | △〜× | 塗膜への攻撃性が高い。溶剤拭き取りでは事前評価が必要である。 |
| 塩素系溶剤 | 塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン | × | SP値が近く、膨潤や軟化が大きくなりやすい。 |
| 水・温水 | 水、温水、湿熱 | ○〜△ | 常温水では比較的安定である。温水、蒸気、湿熱では吸水、白化、密着低下を確認する。 |
| 油 | 鉱物油、潤滑油、植物油 | ○ | 一般に比較的良好であるが、添加剤を含む油では確認が必要である。 |
| 燃料 | ガソリン、軽油、アルコール混合燃料 | △〜○ | 燃料組成、アルコール含有量、温度、接触時間により差が出る。 |
| 洗浄剤 | 界面活性剤水溶液、アルカリ洗浄剤 | ○〜△ | 高温、強アルカリ、超音波洗浄では密着低下や白化に注意する。 |
SP値(溶解度パラメータ)
| 材料 | 代表的なSP値 δ | 単位 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| エポキシアクリレート | 約20〜22 | MPa1/2 | ビスフェノールA型を中心とした目安である。未硬化オリゴマー、反応性希釈剤、硬化物で見かけの溶剤挙動は異なる。 |
| 硬化エポキシアクリレート | 約21前後 | MPa1/2 | 硬化後は架橋構造のため、SP値が近い溶剤でも完全溶解ではなく膨潤、軟化、白化として現れることが多い。 |
SP値は溶剤との相溶性を推定するための目安である。エポキシアクリレートでは、架橋密度、Tg、結晶性の有無、残留モノマー、反応性希釈剤、フィラー、膜厚、温度、応力、接触時間の影響が大きいため、SP値だけで耐薬品性を判断してはならない。
溶解性の目安
| SP値差 Δδ | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0〜2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2〜5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5〜8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
下表は、エポキシアクリレートの代表SP値を21MPa1/2として計算した目安である。硬化物では溶剤に完全溶解しにくいが、SP値が近い溶剤では膨潤、軟化、白化、密着低下が起こる場合がある。
| 溶剤・薬品名 | SP値 | SP値差 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 水 | 約47.9MPa1/2 | 約26.9 | ◎〜○ | SP値差は大きいが、吸水や湿熱劣化は別途確認する。 |
| エタノール | 約26.0MPa1/2 | 約5.0 | ○〜△ | 短時間接触では比較的良好な場合がある。 |
| IPA | 約23.5MPa1/2 | 約2.5 | △ | 溶剤拭き取りでは白化や光沢低下を確認する。 |
| アセトン | 約19.9MPa1/2 | 約1.1 | × | 膨潤、軟化が起こりやすい。 |
| MEK | 約19.0MPa1/2 | 約2.0 | ×〜△ | 硬化度の確認用ラビング試験に使われることがある。 |
| 酢酸エチル | 約18.2MPa1/2 | 約2.8 | △〜× | 塗膜を膨潤させやすい。 |
| トルエン | 約18.2MPa1/2 | 約2.8 | △〜× | 芳香族骨格との親和性があり、膨潤に注意する。 |
| キシレン | 約18.0MPa1/2 | 約3.0 | △〜× | 長時間接触では軟化する場合がある。 |
| n-ヘキサン | 約14.9MPa1/2 | 約6.1 | ○ | 短時間接触では比較的安定な場合が多い。 |
| 塩化メチレン | 約20.2MPa1/2 | 約0.8 | × | 強い膨潤、軟化を起こしやすい。 |
| THF | 約18.5MPa1/2 | 約2.5 | ×〜△ | 架橋密度が低い硬化物では膨潤しやすい。 |
| DMF | 約24.8MPa1/2 | 約3.8 | △〜× | 高極性溶剤であり、長時間接触では注意が必要である。 |
評価基準:◎非常に良好、○概ね良好、△注意が必要、×不適。実使用では、試験片の硬化条件、膜厚、基材、薬品濃度、温度、接触時間、応力を合わせて確認する必要がある。
製法
エポキシアクリレートは、エポキシ樹脂のエポキシ基にアクリル酸またはメタクリル酸を付加反応させて製造する。工業的には、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型などのエポキシ樹脂を原料とし、触媒、重合禁止剤、必要に応じて溶剤または反応性希釈剤を用いてエステル化する。
原料
- エポキシ樹脂:ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型、脂環式、水添型、脂肪族型など
- 不飽和一塩基酸:アクリル酸、メタクリル酸
- 触媒:第三級アミン、ホスフィン、四級アンモニウム塩など
- 重合禁止剤:MEHQ、ハイドロキノン、フェノチアジンなど
- 反応性希釈剤:HDDA、TPGDA、DPGDA、TMPTA、IBOA、NPGDAなど
- 添加剤:光重合開始剤、増感剤、レベリング剤、消泡剤、密着助剤、顔料、フィラー、難燃剤など
重合方法・反応方法
基本反応はエポキシ基とカルボキシル基の付加エステル化反応である。反応中にアクリレート基が自己重合しないよう、重合禁止剤と酸素濃度を管理し、温度を一般に80〜120℃程度に制御する。酸価、エポキシ当量、粘度、色数を確認しながら反応終点を管理する。
代表的な反応式
ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル + 2 アクリル酸 → ビスフェノールA型エポキシジアクリレート
HOOC-CH=CH2 + エポキシ基 → CH2=CH-COO-CH2-CH(OH)-CH2–
代表構造式:CH2=CH-COO-CH2-CH(OH)-CH2-O-C6H4-C(CH3)2-C6H4-O-CH2-CH(OH)-CH2-OCO-CH=CH2
硬化反応
n CH2=CH-COO-R-OCO-CH=CH2 → ラジカル重合 → 三次元架橋エポキシアクリレート硬化物
UV硬化では、光重合開始剤が紫外線を吸収してラジカルを発生し、アクリレート二重結合が連鎖重合する。電子線硬化では、電子線によりラジカルが生成し、開始剤なしまたは少量開始剤で硬化できる場合がある。熱硬化では、過酸化物などの熱ラジカル開始剤を用いる場合がある。
ペレット化やコンパウンド
エポキシアクリレートは、一般的な熱可塑性樹脂のようにペレット化して射出成形する材料ではない。多くは液状オリゴマー、反応性希釈剤入り樹脂、ワニス、インキ、塗料、接着剤、レジスト組成物として供給される。無機充填品、ガラス繊維含浸品、プリプレグ、フィルム状レジスト、3Dプリンター用レジンとして加工される場合もある。
添加剤・充填材・強化材
- 光重合開始剤は、波長、膜厚、着色、臭気、黄変、食品接触性に合わせて選定する。
- シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウムは、低収縮、硬度、耐熱性、寸法安定性の改善に用いられる。
- ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維は、複合材料の強度、剛性、耐疲労性を高める。
- シランカップリング剤は、ガラス、金属、無機フィラーとの密着性改善に用いられる。
- 難燃剤は、リン系、無機系、ハロゲン系などがあるが、RoHS、REACH、UL、アウトガスを確認する必要がある。
詳細な利用用途
| 用途分野 | 使用例 | 採用理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自動車 | 内装ハードコート、ランプ周辺コート、加飾フィルム、接着剤、センサー封止、CFRP/GFRP部材 | 短時間硬化、耐擦傷性、耐薬品性、密着性を付与しやすい。 | 耐候性、黄変、熱衝撃、アウトガス、VOC、接着耐久性を確認する。 |
| 電気・電子 | ソルダーレジスト、絶縁コート、封止材、接着剤、プリント配線板、ディスプレイ部材 | 電気絶縁性、低温硬化、高速硬化、微細パターン形成に適する。 | イオン性不純物、低塩素、吸水、誘電特性、耐湿熱、はんだ耐熱を確認する。 |
| 機械部品 | 保護コーティング、耐摩耗コート、注型治具、複合材料部品、表面改質 | 硬度、密着性、耐油性、耐摩耗性を付与しやすい。 | 厚膜では脆性、反り、衝撃性、切削粉じんに注意する。 |
| 医療 | 医療機器用接着剤、透明固定材、センサー部材、使い捨て部品の接着 | 短時間硬化、位置決め性、透明性を活用できる。 | 医療グレード、生体適合性、滅菌、抽出物、残留モノマーを確認する。 |
| 食品機械・包装 | OPV、包装インキ、保護コート、ラベル・フィルムコート | 高速硬化、低VOC、耐擦傷性、印刷適性に優れる。 | 食品接触適合、低移行、臭気、光開始剤分解物、硬化不足を確認する。 |
| 建築・設備 | 床材コート、金属建材コート、補修材、防食コート、意匠コート | 硬化速度、耐摩耗性、耐薬品性、光沢を付与しやすい。 | 屋外耐候性、紫外線劣化、温湿度、施工時の光量管理が必要である。 |
| 印刷・塗料 | UVインキ、スクリーンインキ、グラビア、フレキソ、木工塗料、金属塗料 | 高速硬化、光沢、硬度、耐ブロッキング性を付与しやすい。 | 顔料濃度、酸素阻害、表面硬化、密着、臭気を確認する。 |
| 光学・ディスプレイ | ハードコート、透明接着、保護フィルム、レンズ周辺コート | 透明性、硬度、薄膜加工性を設計しやすい。 | 黄変、屈折率、ヘイズ、複屈折、耐湿熱、低アウトガスを確認する。 |
| 3Dプリンター | SLA、DLP、インクジェット光造形用レジン | 硬化速度、寸法精度、硬度、表面平滑性を調整しやすい。 | 収縮、反り、脆性、後硬化、残留モノマー、臭気を確認する。 |
用途別選定
| 用途 | 重視する特性 | 推奨される設計方向 |
|---|---|---|
| ギア・摺動部の表面コート | 耐摩耗性、低摩擦、密着性 | 硬質エポキシアクリレートにPTFE、シリコーン、ワックス、硬質フィラーを配合する。 |
| 軸受・治具コート | 耐油性、耐摩耗性、寸法安定性 | 高架橋型、無機充填型、低収縮型を選定する。 |
| チューブ・フィルムコート | 柔軟性、密着性、耐屈曲性 | 柔軟変性型、ウレタン変性型、低Tg型を選定する。 |
| 筐体・外装コート | 硬度、光沢、耐擦傷性、耐薬品性 | ビスフェノールA型または水添型のハードコート設計を用いる。 |
| フィルム | 薄膜塗工性、透明性、耐ブロッキング性、耐屈曲性 | 低粘度型、柔軟変性型、低黄変型を選定する。 |
| コネクタ・電子部品 | 電気絶縁性、低吸水、低イオン、耐熱性 | 低塩素型、ノボラック型、無機充填型、後硬化条件を検討する。 |
| 透明接着 | 透明性、低黄変、低収縮、接着強度 | 水添型、脂肪族型、低臭気開始剤、低収縮モノマーを選定する。 |
注意点
- 加水分解:エステル結合を持つため、高温水、強酸、強アルカリでは劣化を確認する必要がある。
- 応力割れ:硬化収縮や基材との線膨張差により、クラック、剥離、反りが生じる場合がある。
- 吸湿:吸湿により白化、密着低下、電気特性低下、アウトガス増加が起こる場合がある。
- 熱劣化:高温長期使用では黄変、硬化膜の脆化、密着低下が起こる場合がある。
- アウトガス:未反応モノマー、光重合開始剤分解物、低分子成分が真空、電子部品、光学用途で問題になる場合がある。
- 酸素阻害:空気界面で硬化が遅れ、表面タックが残る場合がある。
- 影部硬化:紫外線が届かない部分は硬化しにくいため、熱硬化、湿気硬化、カチオン硬化などのデュアルキュア設計を検討する。
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | 対象材料との違い |
|---|---|---|
| エポキシ樹脂 | エポキシ基を硬化剤で開環反応させる熱硬化性樹脂である。 | エポキシ樹脂は低収縮、接着性、耐熱性に優れるが、硬化時間が長い場合がある。エポキシアクリレートはUV/EBで高速硬化しやすいが、硬化収縮と酸素阻害に注意する。 |
| ビニルエステル樹脂 | エポキシ骨格の末端をメタクリル酸などで変性し、主にFRPや耐食ライニングに用いる熱硬化性樹脂である。 | ビニルエステルはFRP耐食用途に多く、スチレン希釈の常温硬化系が多い。エポキシアクリレートはUV/EB硬化塗料、インキ、電子材料に多い。 |
| アクリル樹脂 | PMMAに代表される透明な熱可塑性樹脂である。 | PMMAは溶融成形できる熱可塑性樹脂である。エポキシアクリレートは硬化後に再溶融できない架橋性樹脂である。 |
| ポリウレタン | ウレタン結合を持つ樹脂で、フォーム、エラストマー、塗料、接着剤に用いられる。 | ポリウレタンは柔軟性、弾性、耐摩耗性に優れる。エポキシアクリレートは硬度、光硬化性、耐薬品性を出しやすい。柔軟性が必要な場合はウレタンアクリレートやウレタン変性型が選ばれる。 |
| 不飽和ポリエステル樹脂 | 不飽和ポリエステルをスチレン等で架橋するFRP用熱硬化性樹脂である。 | 不飽和ポリエステルは低コストで大型成形に適する。エポキシアクリレートは塗膜硬度、密着性、UV硬化性に優れるが、原料コストは高くなりやすい。 |
| ガラス繊維強化プラスチック | ガラス繊維を樹脂で固めた複合材料である。 | GFRPは補強形態であり、母材にエポキシアクリレートを使うこともできる。エポキシアクリレート単体より強度、剛性、寸法安定性が高くなる。 |
| 炭素繊維強化プラスチック | 炭素繊維を樹脂で固めた高強度・高剛性複合材料である。 | CFRPは繊維方向の力学特性が非常に高い。エポキシアクリレートは高速硬化型マトリックスとして使える場合があるが、一般構造用途では熱硬化エポキシの採用が多い。 |
| フェノール樹脂 | 耐熱性、難燃性、低発煙性に優れる熱硬化性樹脂である。 | フェノール樹脂は難燃・耐熱用途に強いが暗色で脆い。エポキシアクリレートは透明塗膜やUV硬化に向くが、標準品の難燃性は高くない。 |
代表的なメーカー
エポキシアクリレートは、製品名、希釈剤、官能基数、酸価、粘度、用途によりグレード差が大きい。下表は実在する代表的なメーカー・製品群の例であり、採用時は最新の技術資料、SDS、法規制情報をメーカーに確認する必要がある。
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| allnex | EBECRYLシリーズ、代表例:EBECRYL 3700 | UV/EB硬化樹脂向けのエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートなどを展開する。EBECRYL 3700はビスフェノールA型エポキシジアクリレート系の代表例である。 |
| Arkema Sartomer | SARTOMER CNシリーズ、代表例:CN120系、CN104系 | UV/EB硬化用のアクリレートオリゴマー、モノマーを展開する。ビスフェノールA型エポキシアクリレートや希釈タイプがある。 |
| 日本化薬 | KAYARADシリーズ、KAYAMERシリーズ、KAYACUREシリーズ | 紫外線硬化型アクリレート樹脂、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、酸変性エポキシアクリレート、光重合開始剤などを展開する。 |
| 共栄社化学 | エポキシエステルオリゴマー、ライトエステル関連製品 | エポキシ樹脂とアクリル酸またはメタクリル酸の付加反応を利用したエポキシエステル系オリゴマー、機能性モノマーを扱う。 |
| ケーエスエム | エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート | アクリル酸またはメタクリル酸とエポキシ化合物の付加反応によるエポキシアクリレートを扱う。変性率、高純度、低塩素、アルカリ可溶、フッ素含有、ゴム弾性などの設計例がある。 |
| IGM Resins | PureOmerシリーズ | UV硬化用オリゴマー、モノマー、光重合開始剤を展開する。エポキシアクリレート系オリゴマーの代表例がある。 |
| Miwon Specialty Chemical | MIRAMERシリーズ | UV/EB硬化用のアクリレートモノマー、オリゴマーを展開するメーカーであり、エポキシアクリレート系製品群も代表例として扱われる。 |
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