概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | ポリアミド |
| 略記号 | PA |
| IUPAC | ポリアミドは総称であり、単一のIUPAC名では表しにくい。代表例としてPA6はPoly(azepan-2-one)、PA66はPoly[imino(1,6-dioxohexamethylene)iminohexamethylene]などと表記される場合がある。 |
| 英語名 | Polyamide、Nylon |
| 日本語名 | ポリアミド、ナイロン、ナイロン樹脂、ポリアミド樹脂 |
| 分類 | 熱可塑性樹脂、結晶性樹脂、ポリアミド系樹脂 |
| プラスチック分類 | エンジニアリング・プラスチック。PPAなどの半芳香族ポリアミドは、高耐熱エンプラまたはスーパーエンプラに近い領域で扱われる場合がある。 |
| 化学式または代表構造 | 代表構造単位:[-NH-R-CO-]n、ジアミン・ジカルボン酸型:[-NH-R-NH-CO-R’-CO-]n |
| CAS No. | ポリアミドは総称であるため単一のCAS No.では表せない。代表例としてPA6は25038-54-4、PA66は32131-17-2が用いられる場合がある。 |
| 構造・主成分 | 主鎖中にアミド結合(-CONH-)を持つ高分子である。脂肪族ポリアミド、長鎖脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドなどがあり、構成モノマーにより吸水性、融点、耐熱性、柔軟性、寸法安定性が大きく変化する。 |
| 主な用途 | 自動車部品、ギア、軸受、チューブ、コネクタ、電気・電子部品、食品包装フィルム、繊維、機械部品、摺動部品、結束バンド、燃料配管、3Dプリンター材料など |
ポリアミドは、分子鎖中にアミド結合を持つ熱可塑性樹脂の総称であり、一般にはナイロンと呼ばれることが多い。代表的な材料にはナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、PA11、PA12、PA610、PA612、MXD6、PPAなどがある。機械的強度、靭性、耐摩耗性、耐油性、成形加工性のバランスに優れるため、金属代替や機械部品用途で広く使用される材料である。
ポリアミドは、アミド結合による水素結合を形成しやすく、強度、耐摩耗性、耐疲労性に優れる一方で、吸水により寸法、剛性、電気特性、衝撃性が変化しやすい。特にPA6、PA66などの脂肪族ポリアミドでは吸湿の影響が大きく、精密部品や電気部品では乾燥状態、標準状態、吸水飽和状態を分けて評価する必要がある。
同じポリアミドでも、PA6は成形性と靭性、PA66は耐熱性と剛性、PA11・PA12は低吸水性と柔軟性、PPAは高温寸法安定性、MXD6はガスバリア性に特徴がある。実使用では、グレード、分子量、結晶化度、吸水状態、ガラス繊維量、難燃剤、潤滑剤、使用温度、薬品濃度、荷重、応力、接触時間を確認して材料選定を行う必要がある。
特徴
長所
- 機械的強度、靭性、耐摩耗性、耐疲労性のバランスが良い。
- ギア、軸受、ローラー、摺動部品、ファスナーなどに使用しやすい。
- 油、グリース、燃料、脂肪族炭化水素に対して一般に良好な耐性を示す。
- ガラス繊維、炭素繊維、無機フィラー、難燃剤、潤滑剤による改質範囲が広い。
- 射出成形、押出成形、ブロー成形、フィルム成形、繊維化、切削加工に対応するグレードが多い。
- 金属代替により、軽量化、低騒音化、無給油化、部品一体化が可能となる場合がある。
短所
- 吸水により寸法変化、剛性低下、電気絶縁性低下、機械物性変化が生じやすい。
- 強酸、フェノール類、ギ酸、濃硫酸、酸化性薬品には不適となる場合が多い。
- 高温水、蒸気、酸性水溶液では加水分解に注意が必要である。
- 成形前乾燥が不十分な場合、銀条、気泡、分子量低下、外観不良、強度低下が発生しやすい。
- ガラス繊維強化グレードでは反り、異方性、ウェルド強度低下、金型摩耗、表面外観に注意が必要である。
- 難燃グレードでは、難燃剤の種類により耐トラッキング性、金属腐食性、アウトガス、リサイクル性が変化する。
外観
標準的なナチュラルグレードは乳白色から半透明である。PA6やPA66は結晶性を持つため、肉厚や結晶化度により透明性が変化する。PA12や一部の特殊ポリアミドでは、比較的透明性を持つグレードもある。ガラス繊維強化グレード、難燃グレード、摺動グレード、黒色グレードでは不透明となる場合が多い。
耐熱性
耐熱性は種類により大きく異なる。PA6の融点は一般に約215〜225℃、PA66は約255〜265℃、PA12は約175〜180℃、PPAは約290〜320℃程度が目安である。非強化グレードの荷重たわみ温度は荷重条件により比較的低くなる場合があるが、ガラス繊維強化により大きく向上する。高温連続使用では、酸化劣化、加水分解、吸水状態、荷重、クリープを考慮する必要がある。
耐薬品性
ポリアミドは、油、グリース、燃料、脂肪族炭化水素、弱アルカリに対して一般に良好である。一方、強酸、フェノール類、クレゾール類、ギ酸、濃硫酸、酸化性薬品には侵されやすい。アルコール、ケトン、エステルに対しては短時間接触では使用可能な場合があるが、温度、応力、吸水状態、接触時間により膨潤、白化、応力割れ、物性低下を生じる場合がある。
加工性
ポリアミドは射出成形、押出成形、ブロー成形、フィルム成形、繊維化、切削加工に広く対応する。成形時には吸湿による加水分解を避けるため、成形前乾燥が重要である。ガラス繊維強化グレードでは流動方向と直角方向で収縮率が異なり、反りや寸法ばらつきが発生しやすい。成形条件はメーカー、グレード、吸水状態、肉厚、金型温度により調整する必要がある。
分類上の注意
ポリアミドは材料群の総称であり、単一材料ではない。PA6、PA66、PA11、PA12、PA610、PA612、MXD6、PPA、芳香族ポリアミドでは物性、吸水性、耐熱性、成形温度、耐薬品性が異なる。一般的な樹脂材料としてのPAは熱可塑性エンジニアリングプラスチックであるが、アラミド繊維などの芳香族ポリアミドは成形用樹脂というより高性能繊維・耐熱材料として扱われる場合が多い。
構造式
ポリアミドは、主鎖中にアミド結合(−CONH−)を持つ高分子である。 アミド結合は水素結合を形成しやすく、これによりポリアミドは高い機械的強度、耐摩耗性、耐熱性を示す。
一方で、アミド結合は水分と相互作用しやすいため、ポリアミドは吸水性を持つ。 吸水により寸法、剛性、強度、衝撃性、電気特性が変化する。 この吸水性が、ポリアミドの最大の特徴であり、同時に設計上の注意点である。
| 種類 | 代表的な構造単位 | モノマーまたは構成単位 | 説明 |
|---|---|---|---|
| ポリアミド一般 | [-NH-R-CO-]n | アミノカルボン酸、ラクタムなど | 一成分型ポリアミドの一般構造である。PA6、PA11、PA12などが代表例である。 |
| ジアミン・ジカルボン酸型 | [-NH-R-NH-CO-R’-CO-]n | ジアミンとジカルボン酸 | PA66、PA610、PA612、PA1010などが該当する。 |
| PA6 | [-NH-(CH2)5-CO-]n | ε-カプロラクタム | 開環重合により得られる代表的な脂肪族ポリアミドである。 |
| PA66 | [-NH-(CH2)6-NH-CO-(CH2)4-CO-]n | ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸 | 高い融点、剛性、耐熱性を持つ代表的なポリアミドである。 |
| PA12 | [-NH-(CH2)11-CO-]n | ラウロラクタム、12-アミノドデカン酸 | メチレン鎖が長く、低吸水性、柔軟性、耐薬品性に優れる。 |
| PPA | [-NH-R-NH-CO-Ar-CO-]n | 脂肪族ジアミン、芳香族ジカルボン酸など | 芳香環を含む半芳香族ポリアミドであり、高耐熱、低吸水、高剛性を目的に使用される。 |
共重合体や変性グレード
ポリアミドには、共重合ポリアミド、低吸水グレード、耐熱グレード、難燃グレード、ガラス繊維強化グレード、炭素繊維強化グレード、摺動グレード、耐候グレード、食品接触グレード、医療用途グレードなどがある。共重合や長鎖脂肪族成分の導入により、融点、柔軟性、透明性、吸水性、接着性、耐薬品性が調整される。
種類
| 種類の名称 | 主成分または特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| PA6、ナイロン6 | ε-カプロラクタムの開環重合体 | 靭性、成形性、耐摩耗性、コストバランスに優れる | 吸水が比較的大きく、寸法変化に注意が必要である | ギア、軸受、チューブ、フィルム、繊維、自動車部品 |
| PA66、ナイロン66 | ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合体 | PA6より融点、剛性、耐熱性が高い傾向がある | 成形温度が高く、吸水や反りに注意が必要である | 自動車部品、コネクタ、ギア、結束バンド、機械部品 |
| PA11 | 11-アミノウンデカン酸由来の長鎖脂肪族ポリアミド | 低吸水、柔軟性、耐衝撃性、耐薬品性に優れる | PA6、PA66より高価になりやすい | チューブ、燃料配管、ホース、粉体塗装、3Dプリンター材料 |
| PA12 | ラウロラクタムなどを原料とする長鎖脂肪族ポリアミド | 低吸水、寸法安定性、柔軟性、低温特性に優れる | 融点と剛性はPA66より低い傾向がある | エアチューブ、燃料配管、医療チューブ、粉末造形、ケーブル被覆 |
| PA610、PA612 | 長鎖ジカルボン酸を含む脂肪族ポリアミド | PA6、PA66より低吸水で寸法安定性が良い | 入手性、コスト、グレード数は用途により制約がある | ブラシ、チューブ、電気部品、精密部品、耐薬品部品 |
| MXD6 | メタキシリレンジアミン系の結晶性ポリアミド | ガスバリア性、剛性、低反り性に優れる場合がある | 吸水、成形条件、延伸条件により性能が変化する | 食品包装、ボトルバリア層、フィルム、シート、複合材料 |
| PPA | 半芳香族ポリアミド | 高耐熱、低吸水、高剛性、高温寸法安定性に優れる | 成形温度が高く、コストも高くなりやすい | 車載電装、コネクタ、LED部品、耐熱機械部品 |
| 透明ポリアミド | 非晶性または低結晶性に設計した特殊ポリアミド | 透明性、耐薬品性、靭性を両立できる場合がある | 耐熱性、耐溶剤性、応力割れはグレード依存が大きい | 光学部品、医療部品、透明筐体、スポーツ用品 |
| GF強化ポリアミド | ガラス繊維を10〜50%程度配合した強化グレード | 剛性、強度、HDT、寸法安定性が大きく向上する | 反り、異方性、ウェルド強度、金型摩耗に注意が必要である | 構造部品、ブラケット、ハウジング、ファン、コネクタ |
| 摺動ポリアミド | PTFE、シリコーン、MoS2、潤滑剤などを配合 | 摩擦係数、摩耗、鳴き音を改善できる | 相手材、荷重、速度、温度、潤滑条件で性能が大きく変わる | ギア、軸受、ブッシュ、ローラー、カム、摺動ガイド |
| 難燃ポリアミド | ハロゲン系またはノンハロゲン系難燃剤を配合 | UL94 V-0などの難燃性を付与できるグレードがある | 耐トラッキング性、金属腐食、アウトガス、物性低下を確認する必要がある | コネクタ、端子台、リレー部品、車載電装、電源部品 |
| 食品接触グレード | 食品接触用途に配慮した原料・添加剤設計 | 食品機械、包装、チューブ用途で使用しやすい | 食品衛生法、FDA、EU規制、移行試験、抽出物確認が必要である | 食品機械部品、包装フィルム、チューブ、搬送部材 |
成形加工
ポリアミドの成形加工では、吸湿管理が最も重要である。吸湿したペレットを高温で成形すると、加水分解により分子量が低下し、外観不良、強度低下、脆化が発生する場合がある。乾燥条件、シリンダー温度、金型温度、保圧、冷却、成形収縮率は、PAの種類とグレードにより調整する必要がある。
| 加工方法 | 適性 | 主な製品例 | 加工上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | ギア、コネクタ、筐体、ブラケット、ファン、結束バンド | 乾燥、金型温度、反り、ウェルド、吸水後寸法を確認する。 |
| 押出成形 | ◎ | チューブ、ホース、ロッド、シート、フィルム、ケーブル被覆 | 溶融粘度、乾燥、冷却条件、寸法安定性を確認する。 |
| ブロー成形 | ○ | 中空容器、ダクト、タンク、燃料系部品 | ブロー用グレードが必要であり、溶融強度とパリソン安定性を確認する。 |
| フィルム成形 | ◎ | 二軸延伸フィルム、包装フィルム、バリアフィルム、多層フィルム | 吸湿、延伸条件、寸法変化、バリア性、ラミネート適性を確認する。 |
| 繊維化 | ◎ | 衣料繊維、産業資材、ブラシ、ロープ、タイヤコード | 分子量、紡糸条件、延伸倍率、吸湿後物性を確認する。 |
| 真空成形 | △ | 薄肉シート成形品、特殊トレー、カバー | 結晶性が高い材料では温度窓が狭く、シートグレードと予熱条件の確認が必要である。 |
| 圧縮成形 | △ | 厚板、ブロック、特殊成形品 | 一般量産では射出・押出が中心であり、圧縮成形は限定用途である。 |
| 切削加工 | ○ | 試作部品、治具、ギア、ローラー、ブッシュ、板材加工品 | 吸水後の寸法変化、加工熱、バリ、残留応力を確認する。 |
| 溶着 | ○ | ケース、フィルター、容器、チューブ接合 | 熱板、振動、超音波、レーザー溶着はグレード、吸水率、添加剤により適性が異なる。 |
| 接着 | △ | 複合部品、補修、特殊組立 | 表面処理、プライマー、接着剤選定が必要であり、吸水状態で接着強度が変化する。 |
代表的な成形条件の目安
| 項目 | PA6 | PA66 | PA12 | PPA | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 乾燥温度 | 80〜90℃ | 80〜90℃ | 70〜90℃ | 100〜120℃ | 除湿乾燥が望ましい。時間は含水率、ペレット状態、乾燥機性能により調整する。 |
| 乾燥時間 | 4〜8時間 | 4〜8時間 | 3〜6時間 | 4〜8時間 | メーカー指定含水率を確認する。再吸湿にも注意する。 |
| シリンダー温度 | 230〜270℃ | 260〜300℃ | 190〜240℃ | 300〜340℃ | 代表値であり、難燃・GF・低粘度グレードでは異なる。 |
| 金型温度 | 50〜90℃ | 60〜100℃ | 30〜80℃ | 120〜160℃ | 結晶化度、外観、寸法、反り、HDTに影響する。 |
| 成形収縮率 | 0.8〜1.8% | 0.8〜1.8% | 0.5〜1.5% | 0.2〜1.0% | GF強化では低下するが、流動方向と直角方向の異方性が大きくなる。 |
| 注意点 | 吸湿と反り | 高温成形と吸湿 | 低吸水だが乾燥は必要 | 高温金型と高温シリンダー | 必ずメーカーの成形条件表を優先する。 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下は代表値または目安である。実際の値は、PAの種類、分子量、結晶化度、吸水状態、測定温度、試験片状態、GF・CF配合量、難燃剤、潤滑剤、成形条件により大きく変化する。特にポリアミドは乾燥状態と吸水状態で物性差が大きいため、設計時には使用環境での平衡吸水後物性を確認する必要がある。
| 項目 | 単位 | PA6 非強化 | PA66 非強化 | PA66 GF30 | PA12 非強化 | PPA GF30 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm3 | 1.12〜1.15 | 1.13〜1.15 | 1.35〜1.45 | 1.00〜1.03 | 1.40〜1.55 | GF、難燃剤、フィラーで増加する。 |
| 引張強さ | MPa | 60〜85 | 70〜90 | 150〜220 | 40〜55 | 180〜240 | 乾燥状態の代表値。吸水後は剛性・強度が低下する場合がある。 |
| 伸び | % | 30〜150 | 20〜100 | 2〜5 | 100〜300 | 2〜4 | GF強化では伸びが低下する。 |
| 曲げ弾性率 | MPa | 2,000〜3,000 | 2,500〜3,500 | 7,000〜10,000 | 1,200〜1,700 | 9,000〜13,000 | 吸水により低下しやすい。GF強化で大幅に向上する。 |
| アイゾット衝撃強さ | kJ/m2 | 5〜15 | 4〜12 | 8〜15 | 8〜25 | 7〜15 | ノッチ有無、吸水状態、低温条件で大きく変わる。 |
| 荷重たわみ温度 | ℃ | 60〜90 | 70〜100 | 220〜250 | 45〜60 | 260〜300 | 1.8MPa条件の目安。GF強化で大きく向上する。 |
| 融点 | ℃ | 215〜225 | 255〜265 | 255〜265 | 175〜180 | 290〜320 | 共重合、結晶化度、測定条件により変化する。 |
| ガラス転移温度 | ℃ | 45〜55 | 50〜60 | 50〜60 | 35〜45 | 110〜130 | 吸水により低下する場合がある。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 80〜105 | 100〜120 | 120〜150 | 80〜100 | 150〜180 | UL RTIやメーカー値を確認する。荷重、空気中、水中、油中で異なる。 |
| 吸水率 | % | 1.5〜2.0程度 | 1.0〜1.5程度 | 0.8〜1.5程度 | 0.2〜0.5程度 | 0.2〜0.6程度 | 24時間水浸漬の目安。飽和吸水率はさらに高くなる。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1013〜1015 | 1013〜1015 | 1012〜1014 | 1013〜1015 | 1013〜1015 | 吸湿により低下しやすい。電気部品では吸湿後の値を確認する。 |
| 難燃性 | UL94 | HB相当が多い | HB相当が多い | HB〜V-0グレードあり | HB相当が多い | V-0グレードあり | 難燃等級は厚み、色、グレード、添加剤で変わる。 |
| 酸素指数 | % | 約22〜25 | 約22〜25 | グレード依存 | 約22〜25 | グレード依存 | 代表的な目安であり、難燃グレードでは高くなる。 |
代表グレード別の選定目安
| 代表グレード | 特徴 | 主な用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 汎用グレード | 標準的な強度、靭性、成形性を持つ | 一般機械部品、クリップ、ファスナー、カバー | 吸水後寸法と強度変化を確認する。 |
| 耐熱グレード | 熱安定剤、耐熱設計、PPA化などにより高温特性を改善 | エンジン周辺、車載電装、耐熱コネクタ | 連続使用温度、熱老化、酸化劣化を確認する。 |
| 難燃グレード | UL94 V-0などを狙った難燃設計 | コネクタ、端子台、電源部品、車載電装 | CTI、腐食性ガス、アウトガス、耐熱水性を確認する。 |
| GF強化グレード | ガラス繊維により強度、剛性、HDTを向上 | 構造部品、ブラケット、ファン、ハウジング | 反り、異方性、ウェルド強度、表面外観に注意する。 |
| CF強化グレード | 炭素繊維により高剛性、導電性、低線膨張を付与 | 軽量高剛性部品、精密部品、摺動部品 | コスト、導電性、金型摩耗、異方性を確認する。 |
| 摺動グレード | 潤滑剤、PTFE、シリコーン、MoS2などを配合 | ギア、軸受、ブッシュ、ローラー、カム | 相手材、PV値、摩擦熱、摩耗粉、潤滑条件を評価する。 |
| 食品接触グレード | 食品接触用途に適した添加剤設計 | 食品機械部品、包装フィルム、チューブ、搬送部品 | 食品衛生法、FDA、EU、移行試験、洗浄剤耐性を確認する。 |
| 医療用途グレード | 生体適合性、抽出物、滅菌適性に配慮したグレード | 医療チューブ、器具部品、コネクタ | ISO 10993、USP、滅菌方法、薬液接触、規制適合を確認する。 |
耐薬品性
ポリアミドの耐薬品性は、PAの種類、吸水率、結晶化度、温度、濃度、応力、接触時間、薬品のpH、酸化性、界面活性剤、添加剤により大きく変化する。以下の評価は代表的な目安であり、実使用では試験片による浸漬試験、応力負荷試験、重量変化、寸法変化、外観、機械物性保持率を確認する必要がある。
| 薬品分類 | 代表薬品 | 評価 | 主な変化・注意点 |
|---|---|---|---|
| 水 | 常温水 | ○ | 溶解はしにくいが吸水により寸法、剛性、電気特性が変化する。 |
| 温水 | 60〜90℃温水 | △ | 吸水、加水分解、寸法変化、強度低下に注意する。PA12、PPAは比較的有利な場合がある。 |
| 蒸気 | スチーム、熱水殺菌 | △〜× | 高温長時間では加水分解しやすい。医療・食品用途では専用グレードを確認する。 |
| 酸類 | 希塩酸、希硫酸 | △〜× | 濃度、温度、時間により分解、膨潤、強度低下が起こる。強酸は不適となる場合が多い。 |
| 強酸 | 濃硫酸、濃塩酸、硝酸 | × | アミド結合の分解、酸化、溶解、脆化が起こりやすい。 |
| 有機酸 | 酢酸、ギ酸 | △〜× | ギ酸はポリアミドを溶解・膨潤させやすい代表的な薬品である。 |
| アルカリ類 | NaOH、KOH、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム | ○〜△ | 常温希薄では比較的安定な場合があるが、高温・高濃度では加水分解に注意する。 |
| 低級アルコール類 | メタノール、エタノール、IPA | ○〜△ | 短時間接触では比較的使用しやすいが、吸水、応力、温度により寸法変化や白化が起こる場合がある。 |
| 高級アルコール類 | グリセリン、MMB、ブタノール | ○ | 一般に大きな溶解は起こりにくいが、高温長時間では膨潤や物性低下を確認する。 |
| 芳香族炭化水素類 | トルエン、キシレン | ○ | 常温では比較的安定な場合が多い。応力割れ、添加剤抽出、長時間接触を確認する。 |
| 脂肪族炭化水素類 | ヘキサン、ヘプタン、ミネラルスピリット | ◎〜○ | 一般に良好である。燃料成分では添加剤、アルコール混合、水分を確認する。 |
| ケトン | アセトン、MEK、MIBK | ○〜△ | 短時間では使用可能な場合があるが、応力下や高温では膨潤、白化、クラックに注意する。 |
| エステル | 酢酸エチル、酢酸ブチル | ○〜△ | グレード、温度、応力で差がある。長時間接触では物性保持率を確認する。 |
| 塩素系溶剤 | ジクロロメタン、トリクロロエチレン、クロロホルム | △〜× | 膨潤、応力割れ、抽出、表面劣化に注意する。安全面・規制面の確認も必要である。 |
| フェノール類 | フェノール、クレゾール | × | ポリアミドを溶解・強く膨潤させる代表的な薬品であり、通常は不適である。 |
| 油 | 鉱物油、潤滑油、グリース | ◎〜○ | 一般に良好であり、ギア、軸受、機械部品で使用しやすい。 |
| 燃料 | ガソリン、軽油、燃料油 | ○ | 燃料組成、アルコール混合、添加剤、水分、温度により評価が変わる。PA11、PA12が使われる場合が多い。 |
| 洗剤・界面活性剤 | アルカリ洗浄剤、中性洗剤、脱脂剤 | ○〜△ | pH、界面活性剤、キレート剤、温度、洗浄時間により吸水、加水分解、応力割れを確認する。 |
| 酸化剤 | 過酸化水素、次亜塩素酸塩 | △〜× | 酸化劣化、変色、脆化、強度低下に注意する。濃度と温度依存性が大きい。 |
SP値(溶解度パラメータ)
ポリアミドのSP値(δ)は、種類や吸水状態により異なるが、代表的には約25〜30 MPa1/2程度が目安である。PA6やPA66はアミド結合による極性と水素結合性が大きいため、一般的なポリオレフィンやフッ素樹脂よりSP値が高い。PA11やPA12などの長鎖脂肪族ポリアミドは、メチレン鎖が長くなるためPA6、PA66よりやや低いSP値として扱われる場合がある。
| 材料 | 代表SP値 δ MPa1/2 | 備考 |
|---|---|---|
| PA6 | 約27〜29 | 吸水性が高く、水素結合の影響が大きい。 |
| PA66 | 約27〜29 | PA6と近い範囲で扱われることが多い。 |
| PA11 | 約23〜25 | 長鎖脂肪族構造により低吸水で柔軟性が高い。 |
| PA12 | 約23〜25 | PA6、PA66より低吸水で寸法安定性が良い。 |
| PPA | 約25〜30 | 芳香族成分とグレードにより幅がある。 |
SP値は溶解・膨潤の初期スクリーニングには有効であるが、ポリアミドでは水素結合、結晶化度、吸水、加水分解、酸・アルカリ反応、酸化、応力割れ、拡散速度が重要である。そのため、SP値だけで耐薬品性を断定してはならない。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0〜2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2〜5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5〜8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
以下は、PA6/PA66系ポリアミドの代表SP値を約28 MPa1/2とした場合の概算である。実際の耐溶剤性は、HSP、結晶化度、吸水状態、温度、応力、薬品の反応性、酸・アルカリ性、酸化性、接触時間により変化する。
| 薬品名 | 代表SP値 MPa1/2 | SP値差 | 評価 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 水 | 47.9 | 約19.9 | ○ | SP値差は大きいが吸水する。寸法変化と物性変化を確認する。 |
| メタノール | 29.7 | 約1.7 | △ | SP値は近いが、短時間では使用可能な場合もある。吸水、応力、温度を確認する。 |
| エタノール | 26.0 | 約2.0 | ○〜△ | 濃度、水分、温度、接触時間で評価が変わる。 |
| IPA | 23.5 | 約4.5 | ○〜△ | 短時間拭き取りでは比較的使いやすいが、応力下では確認が必要である。 |
| アセトン | 19.9 | 約8.1 | ○〜△ | SP値差では比較的離れるが、応力割れや抽出を確認する。 |
| MEK | 19.0 | 約9.0 | ○〜△ | 長時間接触、高温、応力下では膨潤や白化に注意する。 |
| 酢酸エチル | 18.6 | 約9.4 | ○〜△ | SP値差だけでは良好に見えるが、実液で物性保持率を確認する。 |
| トルエン | 18.2 | 約9.8 | ○ | 一般に大きな溶解は起こりにくいが、添加剤抽出や応力割れを確認する。 |
| キシレン | 18.0 | 約10.0 | ○ | 高温長時間では膨潤や物性変化を確認する。 |
| ヘキサン | 14.9 | 約13.1 | ◎〜○ | 一般に良好である。燃料混合系では添加剤、水分、アルコールを確認する。 |
| ジクロロメタン | 20.2 | 約7.8 | △〜× | SP値差だけでなく塩素系溶剤としての膨潤、応力割れ、安全性を確認する。 |
| フェノール | 約29.0 | 約1.0 | × | ポリアミドを強く侵しやすい代表的な溶剤である。 |
| ギ酸 | 約34〜37 | 約6〜9 | × | SP値差だけでは判断できず、ポリアミドを溶解・分解させやすい。 |
| 評価 | 意味 | 実務上の扱い |
|---|---|---|
| ◎ | 非常に良好 | 短期・長期の両方で候補にしやすい。ただし応力、温度、添加剤は確認する。 |
| ○ | 概ね良好 | 多くの条件で候補になるが、実液浸漬と物性保持率確認が必要である。 |
| △ | 注意が必要 | 温度、濃度、応力、時間により不具合が出る可能性がある。代替材も検討する。 |
| × | 不適 | 通常は採用を避ける。短時間接触でもクラック、溶解、脆化の確認が必要である。 |
製法
ポリアミドは、ラクタムの開環重合、アミノ酸の重縮合、ジアミンとジカルボン酸の重縮合などにより製造される。 PA6はε-カプロラクタムの開環重合、PA66はヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合により製造される。


原料
ポリアミドの原料は、種類により異なる。PA6はε-カプロラクタム、PA66はヘキサメチレンジアミンとアジピン酸、PA11は11-アミノウンデカン酸、PA12はラウロラクタムまたは12-アミノドデカン酸、PPAは脂肪族ジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を用いる場合が多い。
重合方法
PA6はラクタムの開環重合により製造される。PA66やPA610、PA612などはジアミンとジカルボン酸からナイロン塩を形成し、脱水重縮合により製造される。PPAでは高融点・高粘度となるため、原料純度、塩バランス、重合温度、固相重合、末端基制御が重要となる。
代表的な反応式
| 材料 | 代表反応式 | 説明 |
|---|---|---|
| PA6 | n ε-カプロラクタム → [-NH-(CH2)5-CO-]n | ラクタム環が開環し、アミド結合を持つポリマーとなる。 |
| PA66 | n H2N-(CH2)6-NH2 + n HOOC-(CH2)4-COOH → [-NH-(CH2)6-NH-CO-(CH2)4-CO-]n + 2n H2O | ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合により生成する。 |
| PA12 | n ラウロラクタム → [-NH-(CH2)11-CO-]n | 長いメチレン鎖により、低吸水性と柔軟性を示す。 |
| PPA | n H2N-R-NH2 + n HOOC-Ar-COOH → [-NH-R-NH-CO-Ar-CO-]n + 2n H2O | 芳香族ジカルボン酸を含む半芳香族ポリアミドであり、高耐熱化しやすい。 |
ペレット化やコンパウンド
重合後のポリアミドは、ペレット化され、用途に応じてコンパウンドされる。ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカ、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、銅系安定剤、耐候剤、潤滑剤、離型剤、顔料、帯電防止剤などが配合される。配合により、強度、剛性、HDT、難燃性、摺動性、耐候性、寸法安定性が改善されるが、靭性、ウェルド強度、流動性、外観、耐薬品性が変化する場合がある。
添加剤、充填材、強化材
- ガラス繊維:強度、剛性、HDT、寸法安定性を向上させる。
- 炭素繊維:高剛性、低線膨張、導電性、摺動性を付与する場合がある。
- 難燃剤:UL94 V-0などの難燃性を付与する。ハロゲン系、リン系、窒素系、無機系などがある。
- 潤滑剤:摩擦係数、摩耗、鳴き音を改善する。PTFE、シリコーン、ワックス、MoS2などが使われる場合がある。
- 熱安定剤:高温空気中やエンジン周辺用途での熱老化を抑える。
- 耐候剤:屋外使用での変色、脆化、強度低下を抑える。
詳細な利用用途
| 分野 | 主な用途 | 採用理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自動車 | エンジン周辺部品、インテークマニホールド、ファン、ブラケット、ギア、クリップ、燃料配管、コネクタ | 耐熱性、耐油性、耐燃料性、強度、軽量化、金属代替に優れる | 熱老化、燃料組成、吸水、冷熱サイクル、振動疲労を確認する。 |
| 電気・電子 | コネクタ、端子台、リレーケース、スイッチ、ブレーカー部品、LED周辺部品 | 機械強度、耐熱性、難燃性、成形性に優れる | 吸湿後の絶縁性、CTI、UL94、リフロー耐熱、アウトガスを確認する。 |
| 機械部品 | ギア、軸受、ブッシュ、ローラー、カム、摺動ガイド、ファスナー | 耐摩耗性、耐疲労性、低騒音、自己潤滑性を付与しやすい | 吸水後寸法、PV値、摩耗粉、相手材、潤滑条件を確認する。 |
| 医療 | チューブ、カテーテル部材、コネクタ、器具部品、薬液接触部材 | 柔軟性、強度、耐薬品性、成形性に優れるグレードがある | 医療グレード、生体適合性、滅菌方法、抽出物、薬液耐性を確認する。 |
| 食品機械 | ギア、ローラー、ガイド、搬送部品、チューブ、包装機部品 | 耐摩耗性、耐油性、機械強度、食品接触グレードの選択肢がある | 食品衛生法、FDA、EU、洗浄剤、熱水、次亜塩素酸系薬品を確認する。 |
| 包装 | 食品包装フィルム、バリアフィルム、多層フィルム、真空包装、ボイル包装 | 耐ピンホール性、酸素バリア性、靭性、耐油性に優れる | 吸湿によるバリア性変化、ラミネート接着、熱水処理、食品適合を確認する。 |
| 建築・設備 | ファスナー、クリップ、配管部品、ブラシ、ローラー、ケーブル結束材 | 強度、靭性、耐摩耗性、耐油性を活用できる | 屋外耐候性、吸水、薬品洗浄、温湿度変化を確認する。 |
| 繊維・産業資材 | 衣料繊維、ブラシ、ロープ、ネット、タイヤコード、フィルター | 強度、耐摩耗性、靭性、柔軟性に優れる | 吸湿、染色、耐候性、熱収縮、薬品接触を確認する。 |
| 3Dプリンター | PA12粉末造形、PA6系フィラメント、CF強化フィラメント | 靭性、耐衝撃性、機械強度、軽量性に優れる | 吸湿、反り、造形温度、乾燥、寸法精度、積層方向強度を確認する。 |
用途別選定の目安
| 用途 | 候補グレード | 重視する特性 | 確認項目 |
|---|---|---|---|
| ギア | PA6、PA66、摺動PA、GF低配合PA | 耐摩耗性、疲労性、騒音、耐油性 | 吸水後バックラッシュ、PV値、摩耗粉、相手材、潤滑条件 |
| 軸受・ブッシュ | 摺動PA、PA66、PA12、潤滑剤配合PA | 低摩擦、耐摩耗、耐熱、耐油 | 荷重、速度、温度、摩擦熱、相手材、無給油条件 |
| チューブ | PA11、PA12、PA612、軟質PA | 柔軟性、耐圧、低吸水、燃料耐性 | 曲げ疲労、燃料組成、加水分解、低温衝撃、規格適合 |
| 筐体 | GF強化PA、難燃PA、PPA | 剛性、耐熱性、難燃性、寸法安定性 | 反り、ウェルド、吸湿後寸法、UL94、CTI、外観 |
| フィルム | PA6、MXD6、共押出用PA | 耐ピンホール性、酸素バリア性、靭性、耐油性 | 吸湿後バリア性、ラミネート、延伸条件、食品適合 |
| コネクタ | PA66、難燃PA、PPA、GF強化PA | 耐熱性、難燃性、寸法安定性、電気特性 | 吸湿後絶縁性、リフロー耐熱、CTI、ハロゲン有無、アウトガス |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | ポリアミドとの違い |
|---|---|---|
| ナイロン6(PA6) | ポリアミドの代表材料であり、靭性、耐摩耗性、成形性、コストバランスに優れる。 | ポリアミド全体の中では汎用性が高い。PA66より融点は低いが、成形性と靭性で有利な場合がある。 |
| ナイロン66(PA66) | 高融点、高剛性、耐熱性に優れる代表的なポリアミドである。 | PA6より耐熱性と剛性を重視する用途に向く。吸水と成形温度には注意が必要である。 |
| PBT | 吸水が少なく、寸法安定性、電気特性、成形性に優れるポリエステルである。 | ポリアミドは靭性、耐摩耗性、耐油性で有利な場合がある。PBTは低吸水と電装部品の寸法安定性で有利である。 |
| POM | 低摩擦、耐摩耗性、寸法安定性、耐疲労性に優れるアセタール樹脂である。 | ポリアミドは耐熱性、耐油性、靭性に優れる場合がある。POMは吸水が少なく、精密摺動部品で寸法が安定しやすい。 |
| PET | 剛性、耐薬品性、寸法安定性、フィルム成形性に優れるポリエステルである。 | ポリアミドは耐摩耗性と耐ピンホール性で有利な場合がある。PETは吸水が少なく、電気特性と寸法安定性で有利である。 |
| PPS | 耐熱性、耐薬品性、難燃性、寸法安定性に優れる結晶性スーパーエンプラである。 | PPSは高温・薬品環境で有利であるが、ポリアミドは靭性、コスト、成形性、摺動用途で有利な場合がある。 |
| PEEK | 高耐熱、高強度、耐薬品性、耐摩耗性に優れる高機能樹脂である。 | PEEKは性能上限が高いが高価である。ポリアミドは中温域の機械部品でコストバランスに優れる。 |
| PTFE | 低摩擦、非粘着、耐薬品性に非常に優れるフッ素樹脂である。 | PTFEは耐薬品性と低摩擦で優れるが、機械強度と射出成形性はポリアミドが有利な場合が多い。 |
代替材料比較の目安
| 比較 | ポリアミドが有利な場合 | 代替材が有利な場合 |
|---|---|---|
| PA6 vs PA66 | 成形性、靭性、低温衝撃性、コストを重視する場合はPA6が候補となる。 | 高融点、高剛性、高温強度を重視する場合はPA66が候補となる。 |
| PA vs PBT | 摺動性、耐摩耗性、靭性、耐油性を重視する場合はPAが候補となる。 | 低吸水、寸法安定、電気特性を重視する場合はPBTが候補となる。 |
| PA vs POM | 高温、油接触、構造強度、耐衝撃を重視する場合はPAが候補となる。 | 低吸水、低摩擦、精密寸法、耐疲労を重視する場合はPOMが候補となる。 |
| PA vs PPS | 靭性、コスト、量産性、摺動部品を重視する場合はPAが候補となる。 | 高温耐薬品性、難燃性、低吸水寸法安定性を重視する場合はPPSが候補となる。 |
| PA vs PEEK | 中温域でコスト、成形性、量産性を重視する場合はPAが候補となる。 | 高温、薬品、蒸気、医療、半導体などの高要求用途ではPEEKが候補となる。 |
| PA vs PTFE | 構造強度、射出成形、締結部品、ギア用途ではPAが候補となる。 | 低摩擦、非粘着、強薬品環境ではPTFEが候補となる。 |
代表的なメーカー
以下はポリアミドまたはポリアミド系コンパウンドの代表例である。製品ライン、グレード名、供給地域、規格適合は変更される場合があるため、採用時には各メーカーの最新データシート、SDS、ULカード、食品接触適合書、REACH・RoHS関連資料を確認する必要がある。
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 東レ | アミラン | PA6、PA66などのポリアミド樹脂を展開する国内主要メーカーである。自動車、電気・電子、機械部品向けグレードがある。 |
| ユニチカ | ナイロン樹脂、XecoTなど | ポリアミド系材料、フィルム、コンパウンドなどを展開する国内メーカーである。用途別にグレード確認が必要である。 |
| 旭化成 | レオナ | PA66系を中心としたポリアミド樹脂の代表的な国内メーカーである。自動車、電気・電子、機械部品用途で使用される。 |
| 三菱ガス化学 | MXナイロン | MXD6系ポリアミドを展開するメーカーであり、バリア材料、成形材料、包装用途などで知られる。 |
| BASF | Ultramid | PA6、PA66、PPA系を含むポリアミド材料を幅広く展開するグローバルメーカーである。 |
| DuPont | Zytel、Minlon | PA66、PA6、長鎖ポリアミド、強化グレードなどを展開する代表的メーカーである。 |
| Envalior | Akulon、Stanyl、ForTii | PA6、PA46、PPA系などの高機能ポリアミドを展開するメーカーである。 |
| Arkema | Rilsan、Pebax | PA11、PA12系やポリアミドエラストマー系材料で知られるメーカーである。チューブ、スポーツ、医療、3Dプリンター用途などに使用される。 |
| EMS-CHEMIE | Grivory、Grilamid、Grilon | 透明ポリアミド、PPA、PA12系などの特殊ポリアミドを展開するメーカーである。 |
| UBE | UBE Nylon | PA6、PA12、共重合ナイロンなどを展開するメーカーである。フィルム、成形材料、押出用途で使用される。 |
| RadiciGroup | Radilon | PA6、PA66などのポリアミドコンパウンドを展開するメーカーである。自動車、電気・電子、産業用途で採用例がある。 |
| Ascend Performance Materials | Vydyne | PA66系ポリアミド樹脂、コンパウンドを展開するメーカーである。自動車、電気・電子、消費材用途で使用される。 |
注意点
| 注意項目 | 内容 | 実務上の確認方法 |
|---|---|---|
| 吸水 | 寸法変化、剛性低下、電気特性低下、衝撃性変化が起こる。 | 乾燥状態、23℃50%RH調湿後、飽和吸水後の物性を比較する。 |
| 加水分解 | 高温水、蒸気、酸性・アルカリ性水溶液で分子量低下が起こる場合がある。 | 熱水浸漬、蒸気処理後の引張強さ、伸び、衝撃、外観を評価する。 |
| 応力割れ | 溶剤、洗浄剤、燃料、残留応力の組み合わせでクラックが発生する場合がある。 | 曲げ応力を与えた試験片で薬品接触試験を行う。 |
| 熱劣化 | 高温空気中で酸化、変色、脆化、強度低下が起こる場合がある。 | 熱老化試験後に物性保持率、色差、脆化を確認する。 |
| アウトガス | 難燃剤、潤滑剤、モノマー、低分子成分が揮発する場合がある。 | GC-MS、TGA、フォギング試験、実装環境での汚染評価を行う。 |
| 反り・異方性 | GF強化グレードでは流動方向と直角方向で収縮率が異なる。 | 金型流動解析、試作成形、寸法測定、アニール有無の比較を行う。 |
| 難燃性 | UL94等級は厚み、色、グレードで異なる。 | ULカード、CTI、GWIT、実部品燃焼試験、成形厚みを確認する。 |
| 法規制 | RoHS、REACH、食品衛生法、FDA、EU食品接触、医療用途規格を用途ごとに確認する必要がある。 | メーカーの適合証明、SDS、移行試験、抽出物試験、顧客要求規格を確認する。 |
関連キーワード
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