概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | ポリブテン-1 |
| 略記号 | PB-1、PB |
| IUPAC | poly(1-butene) |
| 英語名 | Polybutene-1、Poly(1-butene)、Polybutylene |
| 日本語名 | ポリブテン-1、ポリ-1-ブテン、ポリブチレン、1-ブテン重合体 |
| 分類 | 熱可塑性樹脂、半結晶性樹脂、ポリオレフィン系樹脂 |
| プラスチック分類 | 特殊ポリオレフィン、汎用プラスチック周辺材料 |
| 化学式または代表構造 | [−CH2−CH(CH2CH3)−]n |
| CAS No. | 9003-28-5 |
| 構造・主成分 | 1-ブテンを主モノマーとする立体規則性の高い線状炭化水素系高分子である。一般的な成形材料はアイソタクチック構造を主体とする。 |
| 主な用途 | 給水・給湯配管、床暖房管、フィルム改質、イージーピール包装、ホットメルト、シーラント、樹脂改質材 |
ポリブテン-1(PB-1)は、1-ブテンを配位重合して得られる半結晶性の特殊ポリオレフィンである。ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)と同様に炭素と水素を主成分とするが、側鎖にエチル基を持つため、低い弾性率、高い柔軟性、優れた耐クリープ性および耐環境応力割れ性を示す。
特に給水・給湯管、床暖房管などでは、柔軟性、耐熱水性、長期静水圧強度、熱融着性の組合せが評価される。包装用途では、PEやPPとのブレンドによりシール強度、剥離挙動、イージーピール性を調整する目的で使用される。
PB-1は成形後に結晶形が経時転移し、密度、弾性率、寸法、強度が変化する場合がある。材料選定および品質判定では、成形直後値と後熟後値を区別し、グレード、試験温度、保管時間、荷重、応力、使用寿命を確認する必要がある。
特徴
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 長所 | 高い柔軟性、優れた長期クリープ特性、耐環境応力割れ性、低温衝撃性、耐薬品性、熱融着性、低密度、耐熱水性を備える。 |
| 短所 | 剛性が低く、成形直後から安定結晶形への転移に伴って寸法・物性が経時変化する。紫外線、強い酸化剤、高温の芳香族・ハロゲン化溶剤には注意が必要である。 |
| 外観 | 自然色は乳白色から半透明である。フィルム厚さ、結晶化度、添加剤により透明性は変化する。 |
| 耐熱性 | 融点は一般に約124~130℃である。圧力配管では高温域の長期静水圧強度が重視されるが、連続使用温度は荷重、寿命、規格、管設計に依存する。 |
| 耐薬品性 | 水、希酸、希アルカリ、塩水、多くのアルコールおよび油に概ね良好である。炭化水素溶剤では温度上昇により膨潤が増える場合がある。 |
| 加工性 | 押出、射出、フィルム成形、ブレンド改質に適する。結晶化・結晶転移を考慮した冷却、保管、後熟条件の管理が重要である。 |
| 分類上の注意 | PB-1は固体の高分子量ポリオレフィンである。イソブテン主体の低分子量・液状ポリブテン、ポリイソブチレン、PBTとは別材料である。 |
構造式

化学式の画像
| 項目 | 代表構造・説明 |
|---|---|
| 繰返し単位 | [−CH2−CH(CH2CH3)−]n |
| モノマー | 1-ブテン:CH2=CH−CH2−CH3 |
| 立体規則性 | 一般的な成形材料はアイソタクチック構造を主体とし、側鎖のエチル基が規則的に配置される。 |
| 結晶多形 | 成形直後に準安定な結晶形IIを生じ、その後、安定な結晶形Iへ転移することがある。転移速度は温度、分子量、共重合、添加剤、成形履歴に依存する。 |
| 共重合・変性 | 少量の他のα-オレフィンを含む共重合体、分子量・分子量分布調整グレード、フィルム剥離制御用グレード、配管用高耐久グレードなどがある。 |
種類
| 種類 | 主成分または特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 配管用高分子量グレード | 高分子量、長期耐圧設計 | 柔軟性、耐熱水性、耐クリープ性 | 溶融粘度が高く加工条件管理が必要 | 給水・給湯管、床暖房管 |
| 射出成形グレード | 比較的高い流動性 | 複雑形状への充填性、靱性 | 剛性が低く、後収縮・結晶転移に注意 | 継手、キャップ、柔軟部品 |
| フィルム・ブレンド改質グレード | PPまたはPEとのブレンド適性 | 剥離強度調整、ヒートシール性 | 配合比と分散状態で物性が大きく変化 | イージーピールフィルム、包装 |
| ホットメルト・接着改質用 | 低粘度または配合適性重視 | 柔軟性、タック、耐水性 | 単独接着性は基材と表面処理に依存 | ホットメルト、シーラント |
| 耐候安定化グレード | UV吸収剤、光安定剤等を配合 | 屋外耐久性を改善 | 長期屋外用途では実曝露確認が必要 | 屋外配管保護、建築部材 |
| 食品接触用途向けグレード | 添加剤・製造管理を用途規制に適合 | 包装、飲料水接触用途に展開可能 | 適合はグレード、国、温度、接触条件ごとに確認 | 食品包装、飲料水配管 |
代表グレード
| グレード区分 | 主な改質方法 | 代表的特徴・物性への影響 | 主用途 | |
|---|---|---|---|---|
| 非強化・標準 | 無充填PB-1 | 柔軟性、耐クリープ性、低密度 | 配管、フィルム改質 | |
| 一般射出成形 | MFRを高めたグレード | 流動性向上、強度・耐クリープとのバランス | 継手、小型成形品 | |
| 押出・高粘度 | 高分子量化 | 溶融強度と長期耐圧性を重視 | 管、シート、異形押出 | |
| 高流動 | 分子量を低めに調整 | 薄肉充填性向上、長期強度は個別確認 | フィルム改質、射出 | |
| 耐熱・配管 | 分子量、共重合、安定剤を最適化 | 高温静水圧寿命を重視 | 温水管、床暖房管 | |
| 難燃 | 難燃剤配合 | 燃焼性改善 | 物性、煙、規制適合はグレード依存 | 電気・建築用途 |
| GF強化 | 一般流通は限定的 | 剛性と寸法安定性を改善可能 | 特殊コンパウンド | |
| 摺動 | 潤滑剤・充填材配合 | 摩擦・摩耗を調整 | 摺動部品 | |
| 食品接触 | 適合添加剤系 | 食品・飲料水用途へ適用可能 | 包装、配管 | |
| 医療 | 抽出物・生体適合性を管理した特定グレード | 滅菌法別の確認が必要 | 医療チューブ等 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 理由・主な注意点 |
|---|---|---|
| 射出成形 | ○ | 継手、キャップ、柔軟部品に適する。後収縮、結晶転移、離型を確認する。 |
| 押出成形 | ◎ | 配管、シート、異形押出の主要加工法である。溶融粘度と冷却条件を管理する。 |
| ブロー成形 | △ | グレードと溶融強度に依存する。一般用途ではPEほど汎用的ではない。 |
| インフレーション成形 | ○ | フィルム用途で可能である。単独またはブレンドでバブル安定性を調整する。 |
| Tダイフィルム成形 | ◎ | 剥離制御、シール層、改質用途に適する。 |
| 真空成形 | △ | シートの結晶化状態と成形温度幅が狭くなりやすい。 |
| 圧空成形 | △ | 真空成形と同様にシート設計が必要である。 |
| 圧縮成形 | ○ | 試験片、厚物、研究用途で可能である。 |
| 回転成形 | △ | 粉体化、焼結、サイクル設計が必要で一般的ではない。 |
| 発泡成形 | △ | 発泡剤、核剤、溶融強度の最適化が必要である。 |
| 3Dプリント | △ | 専用フィラメントや造形条件の整備が限定的である。 |
| 切削加工 | ○ | 柔軟性による変形、発熱、バリに注意する。 |
| 溶着 | ◎ | 熱融着、ソケット融着、バット融着などに適する。 |
| 接着 | △ | 低表面エネルギーのため、表面処理と専用プライマーが必要となりやすい。 |
| 塗装・印刷 | △ | コロナ、プラズマ、フレーム処理などが必要である。 |
| めっき | × | 通常は適さず、特殊な表面粗化と下地処理を要する。 |
| レーザーマーキング | △ | 吸収剤または顔料配合グレードが必要な場合がある。 |
| インサート成形 | ○ | 金属との熱膨張差、クリープ、締結応力を考慮する。 |
代表的な成形条件
| 条件項目 | 代表値または範囲 | 単位 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 予備乾燥 | 通常不要 | PB-1は低吸水性である。ただし結露、包装破損、吸着水、混合樹脂の影響がある場合は乾燥する。 | |
| 推奨乾燥温度 | 60~80 | ℃ | 必要時の一般的目安。メーカー条件を優先する。 |
| 推奨乾燥時間 | 2~4 | h | 必要時の目安。過熱と酸化を避ける。 |
| 許容含水率 | データなし | % | 低吸水性であるが、成形不良がある場合は実測する。 |
| シリンダー温度・供給部 | 160~180 | ℃ | 射出成形の一般的目安。 |
| シリンダー温度・圧縮部 | 180~210 | ℃ | グレード、MFR、滞留時間で調整する。 |
| シリンダー温度・計量部 | 190~220 | ℃ | 高温滞留を避ける。 |
| ノズル温度 | 190~220 | ℃ | 糸引き、固化、漏れを確認する。 |
| 樹脂温度 | 180~230 | ℃ | 成形法とグレード依存。過度な熱履歴を避ける。 |
| 金型温度 | 20~60 | ℃ | 外観、結晶化、収縮、サイクルのバランスで設定する。 |
| 射出圧力 | 50~120 | MPa | 製品形状、ゲート、流動長に依存する。 |
| 保圧 | 30~80 | MPa | ヒケ、後収縮、残留応力を見ながら調整する。 |
| 背圧 | 0.5~5 | MPa | 混練性と発熱のバランスで低めから調整する。 |
| スクリュー回転数 | 30~100 | rpm | せん断発熱と滞留を抑える。 |
| 成形収縮率・流動方向 | 1.5~2.5 | % | 非強化グレードの目安。後熟後の寸法も確認する。 |
| 成形収縮率・流動直角方向 | 1.5~3.0 | % | 肉厚、配向、冷却条件で変化する。 |
| 推奨肉厚 | 1.0~4.0 | mm | 射出成形品の一般的目安。急激な肉厚変化を避ける。 |
| 抜き勾配 | 0.5~2 | ° | 表面状態、深さ、収縮を考慮する。 |
| アニール | 条件により実施 | - | 寸法安定化を目的とする場合、後熟・熱処理条件を実部品で評価する。 |
上記成形条件は材料群としての一般的な目安であり、特定メーカーの絶対条件ではない。実際にはMFR、分子量、共重合組成、成形機、スクリュー、ダイ、肉厚、製品形状、必要な後熟特性に応じて設定する。
代表的な物性値又は機械的性質
物理的性質
| 項目 | 単位 | 代表範囲 | 比較用代表値 | 試験規格・条件 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 0.91~0.93 | 0.915 | ISO 1183相当 | 23℃、安定結晶形の代表範囲。グレードと後熟で変動。 |
| 比重 | 無次元 | 0.91~0.93 | 0.915 | 代表値 | 水を1とした目安。 |
| 吸水率・24時間 | % | 0.01未満 | 0.01 | ISO 62相当 | 低吸水性。検出限界と試験片厚さに依存。 |
| 成形収縮率・流動方向 | % | 1.5~2.5 | 2.0 | 代表値、規格不明 | 成形直後と後熟後を区別する。 |
| 成形収縮率・流動直角方向 | % | 1.5~3.0 | 2.2 | 代表値、規格不明 | 肉厚、配向、保圧、金型温度で変化。 |
| 線膨張係数 | 10⁻⁵/K | 12~15 | 13 | 代表値 | 温度域と配向で変動。 |
| 屈折率 | 無次元 | 1.50前後 | 1.50 | 代表値、規格不明 | 結晶化度、波長に依存。 |
| 光線透過率 | % | データなし | データなし | - | 厚さ、結晶化度、添加剤に強く依存。 |
| 外観 | - | 乳白色~半透明 | - | 目視 | 自然色。 |
機械的性質
| 項目 | 単位 | 代表範囲 | 比較用代表値 | 試験規格・条件 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 引張強さ・降伏 | MPa | 15~25 | 20 | ISO 527相当 | 23℃、後熟後の非強化代表範囲。 |
| 引張強さ・破断 | MPa | 20~35 | 27 | ISO 527相当 | グレード、試験速度、結晶形で変動。 |
| 引張弾性率 | GPa | 0.25~0.50 | 0.35 | ISO 527相当 | 柔軟なポリオレフィンである。 |
| 引張破断伸び | % | 300~700 | 500 | ISO 527相当 | 試験速度と試験片状態に依存。 |
| 曲げ強さ | MPa | データなし | データなし | - | 材料群として一般化困難。 |
| 曲げ弾性率 | GPa | 0.35~0.55 | 0.45 | ISO 178相当 | 配管用途で柔軟性指標として重視される。 |
| 圧縮強さ | MPa | データなし | データなし | - | 荷重条件、ひずみ量を明記した個別測定が必要。 |
| アイゾット衝撃強さ・ノッチ付き | kJ/m² | 破壊せず~高値 | データなし | ISO 180相当 | NBは数値化せず、温度と厚さを確認する。 |
| シャルピー衝撃強さ・ノッチ付き | kJ/m² | 破壊せず~高値 | データなし | ISO 179相当 | 規格と試験片形状を揃えて比較する。 |
| 動摩擦係数 | 無次元 | データなし | データなし | - | 相手材、荷重、速度、潤滑条件に強く依存。 |
熱的性質
| 項目 | 単位 | 代表範囲 | 比較用代表値 | 試験規格・条件 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| ガラス転移温度 | ℃ | −25~−15 | −20 | DSC・DMA代表値 | 測定法、結晶化度により変動。 |
| 融点 | ℃ | 124~130 | 126 | DSC | 安定結晶形Iの代表範囲。 |
| 結晶化温度 | ℃ | 70~100 | 85 | DSC代表値 | 冷却速度、核剤、熱履歴に依存。 |
| 荷重たわみ温度・0.45 MPa | ℃ | 45~65 | 55 | ISO 75相当 | 低弾性率のため荷重条件の影響が大きい。 |
| 荷重たわみ温度・1.80 MPa | ℃ | データなし | データなし | - | 一般化困難。 |
| ビカット軟化温度 | ℃ | 85~105 | 95 | ISO 306相当 | 荷重と昇温法を確認する。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 80~95 | 90 | 用途別目安 | 配管では圧力、寿命、規格に基づく設計が必要。 |
| 短時間耐熱温度 | ℃ | 100~110 | 105 | 用途別目安 | 無荷重または低荷重の短時間目安。 |
| 低温使用限界 | ℃ | −30~−20 | −25 | 用途別目安 | 衝撃、荷重、時間に依存。 |
| 熱伝導率 | W/(m・K) | 0.20~0.25 | 0.22 | 代表値 | 充填材、結晶化度により変動。 |
| 比熱 | J/(g・K) | 1.8~2.3 | 2.0 | 代表値 | 温度依存性がある。 |
電気的性質
| 項目 | 単位 | 代表範囲 | 比較用代表値 | 試験規格・条件 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1016以上 | 1016 | IEC 60093相当 | 乾燥状態の代表的なポリオレフィン水準。 |
| 表面抵抗率 | Ω | 1014以上 | 1014 | IEC 60093相当 | 汚染、湿度、帯電防止剤で変化。 |
| 絶縁破壊強さ | kV/mm | 20~40 | 30 | IEC 60243相当 | 厚さ、電極、試験媒体に依存。 |
| 比誘電率・1 kHz | 無次元 | 2.2~2.4 | 2.3 | IEC 60250相当 | 周波数と温度を確認する。 |
| 比誘電率・1 MHz | 無次元 | 2.2~2.4 | 2.3 | IEC 60250相当 | 非極性材料のため比較的低い。 |
| 誘電正接・1 kHz | 無次元 | 0.0005~0.002 | 0.001 | IEC 60250相当 | 添加剤と温度に依存。 |
| 誘電正接・1 MHz | 無次元 | 0.0005~0.003 | 0.0015 | IEC 60250相当 | 周波数依存性を確認する。 |
| CTI | V | データなし | データなし | - | 認証グレードの個別データを確認する。 |
燃焼性・難燃性
| 項目 | 単位 | 代表範囲・区分 | 比較用代表値 | 試験規格・条件 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| UL 94燃焼性 | - | HB相当が一般的 | - | グレード・厚さ依存 | 材料群全体の認証値ではない。 |
| 試験片厚さ | mm | データなし | データなし | - | 認証カードを確認する。 |
| 限界酸素指数・LOI | % | 17~19 | 18 | 代表値 | 難燃剤なしの一般的な炭化水素系樹脂水準。 |
| ハロゲン含有 | - | 主骨格はハロゲンを含まない | - | 化学構造 | 添加剤、顔料は個別確認。 |
| 燃焼時の主な発生ガス | - | 一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素類 | - | 一般論 | 不完全燃焼条件では煙とCOが増える。 |
強化・充填グレードとの比較
| 材料区分 | 強化材 | 含有率・質量% | 密度 g/cm³ | 引張弾性率 GPa | 引張強さ MPa | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 標準PB-1 | 無充填 | 0 | 0.91~0.93 | 0.25~0.50 | 15~25 | 柔軟性、長期クリープ性を重視。 |
| GF強化PB-1 | ガラス繊維 | 10~30程度の特殊例 | 1.00~1.20程度 | 1~4程度 | 25~70程度 | 一般流通データが限定的。特定コンパウンド資料を確認する。 |
| 無機充填PB-1 | タルク等 | 10~40程度の特殊例 | 1.0~1.3程度 | 0.6~2程度 | 20~45程度 | 収縮と剛性を改善できるが靱性低下に注意。 |
比較機能には非強化・無充填・後熟後の標準グレードを基本値として使用する。強化材、充填材、難燃剤、耐候剤、共重合組成が異なるグレードの値は別レコードとし、標準PB-1の値と混在させない。
耐薬品性
以下は非強化PB-1の一般的傾向である。評価は薬品濃度、温度、接触時間、浸漬か飛沫か、残留応力、内圧、添加剤、結晶化度によって変化する。圧力配管、燃料、洗浄剤、酸化剤、高温条件では実部品試験を行う。
| 薬品 | 濃度 | 温度 | 接触時間 | 応力 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | 100% | 23℃ | 長期浸漬 | なし | ◎ | 影響が小さい | 飲料水用途は法規適合を別途確認。 |
| 温水 | 100% | 60~90℃ | 長期 | 内圧あり得る | ○ | クリープ、酸化 | 配管では温度・圧力・寿命曲線で評価。 |
| 熱水・水蒸気 | 100% | 100℃前後 | 反復 | あり得る | △ | 酸化、変形、クリープ | 蒸気滅菌用途は個別グレードで確認。 |
| 塩酸 | 10%以下 | 23℃ | 168 h | なし | ◎ | 通常は小さい | 濃度上昇、高温では確認が必要。 |
| 硫酸 | 10%以下 | 23℃ | 168 h | なし | ◎ | 通常は小さい | 濃硫酸・高温では酸化、脆化に注意。 |
| 硝酸 | 10%以下 | 23℃ | 短時間~168 h | なし | △ | 酸化、変色、脆化 | 強酸化性のため実液試験が必要。 |
| 酢酸 | 10%以下 | 23℃ | 168 h | なし | ○ | 軽微な膨潤の可能性 | 高温・高濃度は確認。 |
| 水酸化ナトリウム | 10%以下 | 23~60℃ | 168 h | なし | ◎ | 影響が小さい | 高温、界面活性剤併用時は確認。 |
| 水酸化カリウム | 10%以下 | 23~60℃ | 168 h | なし | ◎ | 影響が小さい | 高温濃厚液は確認。 |
| エタノール | 100%以下 | 23℃ | 168 h | なし | ◎ | 通常は小さい | 添加剤抽出、応力下は確認。 |
| IPA | 100% | 23℃ | 168 h | なし | ○ | 軽微な膨潤の可能性 | 高温と応力の複合条件に注意。 |
| グリセリン | 100% | 23~80℃ | 168 h | なし | ◎ | 影響が小さい | 高温では酸化安定性も確認。 |
| MMB | 100% | 23℃ | 168 h | なし | △ | 膨潤、軟化 | 3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール。実液確認推奨。 |
| アセトン | 100% | 23℃ | 168 h | なし | ○ | 軽微な膨潤の可能性 | 短時間接触は比較的安定な場合が多い。 |
| MEK | 100% | 23℃ | 168 h | なし | △ | 膨潤、添加剤抽出 | 温度上昇で影響が増える可能性。 |
| 酢酸エチル | 100% | 23℃ | 168 h | なし | △ | 膨潤、軟化 | SP値差だけでなく拡散速度を確認。 |
| ジエチルエーテル | 100% | 23℃ | 短時間 | なし | △ | 膨潤 | 引火性が高く試験管理が必要。 |
| n-ヘキサン | 100% | 23℃ | 168 h | なし | △ | 膨潤、質量増加 | 非極性溶剤で相互作用しやすい。 |
| ヘプタン | 100% | 23℃ | 168 h | なし | △ | 膨潤 | 高温では影響増大。 |
| トルエン | 100% | 23℃ | 168 h | なし | × | 著しい膨潤、軟化 | 高温では溶解・大膨潤の可能性。 |
| キシレン | 100% | 23℃ | 168 h | なし | × | 著しい膨潤、軟化 | 温度、異性体、応力を確認。 |
| ジクロロメタン | 100% | 23℃ | 短時間 | なし | × | 膨潤、軟化 | 透過が速い可能性がある。 |
| トリクロロエチレン | 100% | 23℃ | 短時間~168 h | なし | × | 膨潤、溶解傾向 | 使用を避ける方向で検討。 |
| ガソリン | 市販燃料 | 23℃ | 168 h | なし | △ | 膨潤、添加剤抽出 | 芳香族含有量、酸素含有成分で差が出る。 |
| 軽油 | 市販燃料 | 23℃ | 168 h | なし | ○ | 緩慢な膨潤 | 長期・高温は確認。 |
| 潤滑油 | 鉱物油 | 23~80℃ | 長期 | なし | ○ | 膨潤、酸化 | 油種、添加剤、高温で変化。 |
| ブレーキ液 | グリコール系 | 23~80℃ | 長期 | あり得る | ○ | 添加剤抽出 | 配合差と高温を確認。 |
| 冷却液 | EG水溶液50% | 80~100℃ | 長期 | 内圧あり得る | ○ | 酸化、クリープ | 防錆剤、pH、温度の影響を確認。 |
| 次亜塩素酸ナトリウム | 200~1000 ppm | 23~60℃ | 反復 | なし | △ | 酸化、脆化 | 有効塩素、pH、温度、時間を管理。 |
| 過酸化水素 | 3% | 23℃ | 短時間~168 h | なし | △ | 酸化 | 高濃度・高温では不適となる場合がある。 |
| 塩水・海水 | 3~5%塩類 | 23~60℃ | 長期 | なし | ◎ | 影響が小さい | 金属継手との組合せでは腐食を別途評価。 |
| 食品油 | 植物油 | 23~80℃ | 長期 | なし | ○ | 膨潤、酸化 | 油種、温度、食品接触規制を確認。 |
| 界面活性剤水溶液 | 0.1~5% | 23~60℃ | 反復 | 応力あり得る | ○ | 濡れ促進、添加剤抽出 | 洗浄剤配合全体で評価する。 |
SP値(溶解度パラメータ)
ポリブテン-1の代表的なHildebrand SP値は、一般に約16.0~17.0 MPa1/2の範囲を目安とする。結晶化度、分子量、共重合、測定法、温度により変動するため、比較用代表値としては16.5 MPa1/2を使用する。
SP値差が小さいほど膨潤・溶解しやすい傾向があるが、PB-1は半結晶性であり、結晶領域、拡散速度、温度、応力、薬品のモル体積、Hansen成分、酸化反応、添加剤抽出も影響する。SP値だけで耐薬品性を断定してはならない。
溶解性の目安
| SP値差 Δδ(MPa1/2) | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
| 材料・溶剤 | SP値 MPa1/2 | PB-1との差 | 評価 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| PB-1 | 約16.0~17.0 | - | 基準 | 非極性ポリオレフィン。結晶化度と測定法で変動。 |
| n-ヘキサン | 約14.9 | 1.1~2.1 | △ | 非極性で膨潤に注意。 |
| ヘプタン | 約15.3 | 0.7~1.7 | × | 近接し、温度上昇で膨潤しやすい。 |
| シクロヘキサン | 約16.8 | 0~0.8 | × | 非常に近く、膨潤・溶解傾向。 |
| トルエン | 約18.2 | 1.2~2.2 | × | 芳香族溶剤。実際には強い膨潤を生じ得る。 |
| キシレン | 約17.8 | 0.8~1.8 | × | 高温で影響が大きい。 |
| 酢酸エチル | 約18.2 | 1.2~2.2 | △ | 極性・水素結合成分も考慮する。 |
| MEK | 約19.0 | 2.0~3.0 | △ | 条件により膨潤。 |
| IPA | 約23.5 | 6.5~7.5 | ○ | SP差は大きいが応力・温度を確認。 |
| エタノール | 約26.0 | 9.0~10.0 | ◎ | 一般に膨潤しにくい。 |
| 水 | 約47.9 | 30.9~31.9 | ◎ | 非極性PB-1とは大きく離れる。 |
上表は室温付近の目安である。高温では溶剤拡散が速くなり、SP値差が比較的大きい溶剤でも膨潤、添加剤抽出、応力割れ、シール強度低下が生じる場合がある。評価基準は、◎:非常に良好、○:概ね良好、△:注意が必要、×:不適である。
製法
代表的な重合反応と製造工程
| 工程 | 主な内容 | 管理上の要点 |
|---|---|---|
| 原料精製 | 石油化学由来のC4留分から1-ブテンを分離・精製する。 | 水分、酸素、硫黄化合物などの触媒毒を低減する。 |
| 重合 | チーグラー・ナッタ系触媒、助触媒またはメタロセン系触媒を用いて配位重合する。 | 立体規則性、分子量、分子量分布、共重合組成、残留モノマーを制御する。 |
| 分子量調整 | 水素量、温度、触媒系、滞留時間などで調整する。 | 配管用高分子量と高流動グレードを区別する。 |
| 触媒失活・洗浄 | アルコール、水、キレート剤等で触媒を失活し、必要に応じ残渣を除去する。 | 灰分、金属残渣、臭気、電気特性、食品接触適合に影響する。 |
| 脱揮・乾燥 | 未反応1-ブテン、溶媒、低分子成分を除去する。 | VOC、臭気、ゲル、フィッシュアイを管理する。 |
| 添加剤配合 | 酸化防止剤、光安定剤、核剤、滑剤、顔料、帯電防止剤等を混練する。 | 用途規制、ブリード、抽出、接着性、溶着性への影響を確認する。 |
| ペレット化 | 押出混練後、ストランドまたは水中カットで造粒する。 | 熱履歴、ゲル、異物、粒径、嵩密度を管理する。 |
詳細な利用用途
| 用途分野 | 適性 | 採用理由・注意点 |
|---|---|---|
| 給水・給湯配管 | ◎ | 柔軟性、耐熱水性、長期静水圧強度、融着性を活用する。管規格、圧力、温度、寿命設計を確認する。 |
| 床暖房管 | ◎ | 施工性、曲げやすさ、耐クリープ性に優れる。酸素透過対策が必要なシステムではバリア層を検討する。 |
| 配管継手 | ○ | 射出成形と融着接合が可能である。肉厚、ウェルド、後収縮を確認する。 |
| イージーピールフィルム | ◎ | PEまたはPPとのブレンドで剥離強度を調整できる。配合、分散、シール温度窓を最適化する。 |
| 食品包装フィルム | ○ | 柔軟性とシール性を活用する。食品接触適合、移行、臭気をグレードごとに確認する。 |
| ホットメルト接着剤 | ○ | 柔軟性、耐水性、タック調整に使用できる。基材接着性と耐熱クリープを確認する。 |
| シーラント | ○ | 低温柔軟性と耐水性を活用する。配合剤の移行、ブリード、耐候性を確認する。 |
| 自動車内装 | △ | 柔軟部品・改質材として可能である。臭気、VOC、耐熱、耐候、難燃規格を確認する。 |
| 自動車外装 | △ | 耐候安定化が必要である。剛性不足と熱膨張に注意する。 |
| 燃料系部品 | △ | 炭化水素燃料による膨潤と透過を確認する。芳香族・含酸素燃料で影響が増える場合がある。 |
| 電線・絶縁部品 | ○ | 低誘電率、低吸水性を活用できる。耐熱、難燃、導体との密着を確認する。 |
| 医療チューブ | △ | 柔軟性は有利であるが、抽出物、滅菌、ISO 10993適合は特定グレードで確認する。 |
| 食品機械部品 | △ | 低吸水・耐薬品性は有利であるが、剛性・摩耗・洗浄剤・食品衛生適合を確認する。 |
| 建築設備 | ○ | 給湯、床暖房、保護管などに適する。紫外線、火災、固定方法、熱伸縮を考慮する。 |
用途別選定
| 用途 | 適性 | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| ギア | △ | 低剛性とクリープのため高荷重歯車には不利。低騒音・低荷重用途は検討可能。 |
| 軸受・ブッシュ | △ | 柔軟性はあるが摩耗データが限定的。摺動グレードと実機試験が必要。 |
| ローラー | ○ | 柔軟性と耐疲労性を活用できる。軸固定とクリープを確認。 |
| ポンプ・バルブ部品 | △ | 薬液適合性は比較的良いが、剛性、圧力、温度を確認。 |
| シール・ガスケット | △ | 柔軟性はあるがゴムほどの弾性回復を想定しない。圧縮クリープを確認。 |
| チューブ・配管 | ◎ | PB-1の主要用途。温度・圧力・寿命設計が必須。 |
| タンク | △ | 低剛性と長期クリープに注意。大型品は構造補強が必要。 |
| フィルム・シート | ◎ | 柔軟性、ヒートシール、剥離制御に優れる。 |
| ボトル・容器 | △ | ブロー成形適性と剛性の点でPE・PPが一般的。 |
| 電気コネクタ | △ | 絶縁性は良いが剛性・耐熱・難燃性が不足しやすい。 |
| 一般筐体 | × | 剛性と表面硬度が不足しやすい。 |
| 透明カバー・レンズ | × | 結晶性と半透明外観のため不適。 |
| 食品機械部品 | △ | 食品適合と洗浄耐久、摩耗、剛性を確認。 |
| 医療機器部品 | △ | 特定医療グレード、滅菌耐久、抽出物評価が必要。 |
| 半導体装置部品 | × | 高温、寸法精度、アウトガス、薬液純度要求には一般に不向き。 |
| 建築・屋外部品 | △ | 耐候グレード、顔料、固定設計が必要。 |
| 接着剤・シーラント | ○ | 改質材・バインダーとして利用可能。基材接着性は配合依存。 |
| 塗料・コーティング | △ | 低表面エネルギーと溶解性の制約があり、改質用途中心。 |
| 複合材料マトリックス | △ | 繊維界面接着と剛性設計が必要。一般用途は限定的。 |
用途別評価は材料群としての一般的傾向である。実使用ではグレード、荷重、温度、薬品、湿度、内圧、寿命、法規制、接合方法、成形履歴を確認する。
接合・表面処理適性
| 方法 | 適性 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 熱板・ソケット・バット融着 | ◎ | 温度、加熱時間、挿入深さ、圧力、冷却時間を規格に従って管理する。 |
| 超音波溶着 | ○ | 低弾性率による振動減衰があるため、エネルギーダイレクタ設計が重要。 |
| 振動溶着 | ○ | 接合面積、溶融層、バリ管理が必要。 |
| レーザー溶着 | △ | 透過・吸収層の光学設計と吸収剤が必要。 |
| 熱風溶着 | ○ | 溶接棒と母材のグレード適合、酸化、温度管理が必要。 |
| 溶剤接着 | × | 耐薬品性と結晶性のため安定した接着が難しく、溶剤安全性にも問題がある。 |
| 接着剤接合 | △ | コロナ、プラズマ、フレーム処理、プライマー、ポリオレフィン用接着剤を検討する。 |
| 機械締結 | ○ | クリープ、応力緩和、座面圧、ワッシャ、増し締めを考慮する。 |
| タッピングねじ | △ | ボス肉厚、下穴、締付トルク、長期緩みを評価する。 |
| 印刷・塗装 | △ | 表面処理後の濡れ性と密着耐久を確認する。 |
| コロナ・プラズマ処理 | ○ | 処理効果の経時低下があるため、処理後早期に接着・印刷する。 |
寸法精度・設計特性
PB-1は柔軟で耐クリープ性に優れるが、短時間引張強さをそのまま設計許容応力として使用してはならない。圧力管では温度別の長期静水圧強度、回帰曲線、設計係数、管寸法規格に基づいて設計する。一般成形品では、成形収縮、結晶転移、熱膨張、長期クリープ、締結応力緩和を考慮する。
| 設計項目 | 一般的傾向 | 設計上の注意 |
|---|---|---|
| 成形収縮 | 比較的大きい | 流動方向と直角方向、成形直後と後熟後を分けて測定する。 |
| 異方性・反り | 条件により発生 | ゲート、流動長、肉厚、冷却バランスを最適化する。 |
| 吸湿寸法変化 | 極めて小さい | 水分より温度、結晶化、クリープの影響が大きい。 |
| 熱膨張 | 金属より大きい | 長尺配管では伸縮、支持間隔、固定点、蛇行吸収を設計する。 |
| クリープ | 重要 | 高温・内圧・締結・圧入では長期データを使用する。 |
| ウェルド強度 | 成形条件依存 | 内圧部品ではウェルド位置と強度を検証する。 |
| ノッチ感受性 | 比較的低いが無視不可 | 切欠き、傷、溶着バリ、ねじ山根元の応力集中を避ける。 |
| インサート・圧入 | 応力緩和しやすい | 金属との熱膨張差、ボス割れ、保持力低下を評価する。 |
品質・成形不良
| 不良 | 主な原因 | 材料側の要因 | 成形条件側の要因 | 主な対策 |
|---|---|---|---|---|
| シルバーストリーク | 水分、揮発分、空気巻込み | 低分子、汚染、混合材吸湿 | 高回転、急加速、ベント不足 | 材料保管、必要時乾燥、背圧・速度・ベント調整 |
| ガス焼け・変色 | 滞留、過熱、圧縮空気 | 酸化安定剤不足、再生材劣化 | 高温、デッドスポット、過高速 | 温度低減、滞留短縮、パージ、ベント改善 |
| 黒点・ゲル | 劣化樹脂、異物、架橋物 | 酸化物、異物、フィルムゲル | 長期滞留、清掃不足 | 設備清掃、フィルター、パージ、材料管理 |
| フローマーク・ジェッティング | 流動不安定 | 流動性不足、温度感受性 | ゲート不適、低温、速度不適 | ゲート変更、温度・速度最適化 |
| ウェルドライン | 流動前線合流 | 低表面温度、汚染 | 低樹脂温度、低金型温度、ベント不足 | 温度・圧力・速度・ベント・ゲート最適化 |
| ヒケ・ボイド | 体積収縮、厚肉 | 高収縮、結晶化 | 保圧不足、ゲート早期固化 | 均一肉厚、保圧、ゲート、冷却最適化 |
| 反り | 冷却・配向差 | 結晶化、収縮、異方性 | 片側冷却、偏肉、早期離型 | 金型温調、肉厚均一化、冷却延長 |
| 離型不良 | 収縮、金型抱付き | 柔軟性、表面摩擦 | 抜き勾配不足、粗面、過充填 | 勾配、表面、保圧、離型剤を最適化 |
| ダイスウェル・メルトフラクチャー | 弾性回復、過大せん断 | 高分子量、高粘度 | ダイせん断過大、温度不足 | ダイ拡大、速度低減、温度・ランド長調整 |
注意点・劣化・故障モード
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 外観・性能への影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 寸法変化・後収縮 | 準安定結晶形から安定結晶形への転移、結晶化進行 | 成形後数日~数週間、温度履歴あり | 寸法、密度、弾性率、シール強度の変化 | 後熟条件を規定し、測定時点を統一する | 成形直後・1日・7日・14日・28日の寸法・物性測定 |
| クリープ変形 | 低弾性率、長期荷重 | 高温、内圧、締結、薄肉 | 変形、漏れ、締結力低下 | 長期許容応力で設計し、肉厚・支持間隔を確保 | 温度別クリープ、静水圧、応力緩和試験 |
| 熱酸化劣化 | 酸素、熱、金属触媒、安定剤消費 | 高温水、長期使用、銅接触 | 脆化、亀裂、強度低下 | 酸化防止剤系、金属不活性化、温度管理 | 熱老化、酸化誘導時間、破断伸び保持率 |
| 紫外線劣化 | UV、酸素、顔料不足 | 屋外、透明・自然色 | 退色、表面亀裂、脆化 | 耐候安定剤、カーボンブラック、遮光 | キセノンアーク、屋外曝露 |
| 溶剤膨潤 | 非極性・芳香族・ハロゲン化溶剤 | 高温、長時間、応力下 | 軟化、寸法変化、強度低下 | 実液選定、温度低減、バリア層 | 質量・体積変化、引張保持率、応力下浸漬 |
| 添加剤抽出・ブリード | 溶剤、油、界面活性剤、配合過多 | 長期接触、高温 | 表面べたつき、臭気、性能低下 | 適合添加剤と配合量の最適化 | 抽出物、GC-MS、表面分析 |
| ウェルド強度低下 | 低樹脂温度、流動前線合流、汚染 | 多点ゲート、薄肉、低保圧 | 割れ、漏れ | ゲート設計、温度・速度・ベント最適化 | ウェルド付き試験片の引張・内圧試験 |
| 反り・ヒケ | 高収縮、肉厚差、冷却差、保圧不足 | 厚肉、偏肉、早期離型 | 外観・寸法不良 | 均一肉厚、保圧・冷却最適化 | 三次元寸法測定、成形条件DOE |
| アウトガス・臭気 | 残留モノマー、低分子、添加剤 | 高温、密閉、真空 | 臭気、曇り、汚染 | 低揮発グレード、十分な脱揮 | VOC、フォギング、TML/CVCM相当試験 |
推奨確認試験
- 実薬品浸漬試験:実濃度、最低・常用・最高温度、24時間、168時間、1,000時間以上の複数時点で質量、体積、外観、引張保持率を確認する。
- 応力負荷下の耐薬品試験:実部品残留応力または設計応力を模擬し、溶剤、洗浄剤、燃料、酸化剤への曝露で亀裂と漏れを確認する。
- 長期クリープ・静水圧試験:常用温度と加速温度で内圧、応力、破壊時間を評価する。
- 後熟・寸法安定性試験:成形直後から28日程度まで、温度別に寸法、密度、弾性率、融点、シール強度を追跡する。
- 熱老化・熱水試験:酸素存在下、高温水中、金属接触条件で強度・伸び・酸化誘導時間を評価する。
- 溶着強度試験:加熱温度、時間、圧力、冷却時間を変え、引張、剥離、内圧、繰返し温度で確認する。
- 食品・医療用途では、総移行、特定移行、抽出物・溶出物、臭気、滅菌耐久、生体適合性を対象規格に従って確認する。
法規制・認証
| 法規制・認証 | 一般的な位置付け | 確認事項 |
|---|---|---|
| RoHS | 一般に対応可能 | PB-1主骨格は制限物質を意図的に含まないが、添加剤、顔料、製造拠点別の証明書を確認する。 |
| REACH・SVHC | 一般に対応可能 | 最新候補リストに対するメーカー宣言をグレードごとに確認する。 |
| ELV | 適合グレードが存在し得る | 自動車用途では重金属、難燃剤、添加剤を確認する。 |
| PFAS関連規制 | 主骨格は非フッ素系 | 加工助剤、難燃剤、表面処理剤にPFASが含まれないことを確認する。 |
| FDA食品接触 | 適合グレードが存在する | 用途、食品種、温度、接触時間、添加剤制限を確認する。 |
| EU食品接触規則 | 適合グレードが存在する | 総移行・特定移行、適合宣言、使用条件を確認する。 |
| 日本の食品衛生法・ポジティブリスト | 適合グレードが存在する | 基ポリマー区分、添加剤、使用温度、食品接触条件を確認する。 |
| 飲料水接触規格 | 配管用認証グレードが存在する | 国・地域の衛生認証、管規格、認証範囲を確認する。 |
| USP Class VI・ISO 10993 | 限定的 | 医療用途は特定グレード、製造管理、滅菌後評価が必要である。 |
| UL認証 | 限定的 | 燃焼性、RTI、厚さ、色は個別認証カードを確認する。 |
| リサイクル表示 | 地域制度依存 | PB-1単独識別が一般的でない場合があり、その他樹脂区分となることがある。 |
環境・リサイクル性
| 項目 | 評価・概要 |
|---|---|
| 熱可塑性・熱硬化性 | 熱可塑性樹脂であり、再溶融加工が可能である。 |
| マテリアルリサイクル | 可能であるが、熱酸化、異物、他樹脂混入、分子量低下、臭気を管理する必要がある。 |
| ケミカルリサイクル | 熱分解・油化の対象になり得るが、地域インフラと経済性に依存する。 |
| 再生材利用 | 配管など長期耐圧・衛生認証用途では制限される場合がある。非圧力用途では物性確認の上で検討する。 |
| バイオベース | バイオ由来1-ブテンを使用すれば理論上可能であるが、一般流通は限定的である。 |
| 生分解性 | 一般に生分解性ではない。バイオベースと生分解性を混同しない。 |
| 焼却 | 炭化水素系であり、完全燃焼では主にCO2と水を生じる。不完全燃焼ではCOと煙を生じる。 |
| ハロゲン・窒素・硫黄 | 主骨格には含まない。添加剤、顔料、難燃剤は個別確認する。 |
価格・供給性
| 項目 | 相対評価 | 説明 |
|---|---|---|
| 価格区分 | 比較的高価格 | PE・PPより高い特殊ポリオレフィンとして扱われることが多い。 |
| 流通性 | 限定的 | 世界的な製造メーカーとグレード数がPE・PPより少ない。 |
| 国内入手性 | 用途・数量依存 | 配管材料、フィルム改質材、接着用途で入手可能だが、少量購入は商社確認が必要。 |
| 供給形態 | ペレット、コンパウンド、管、継手、フィルム用改質材 | 板・丸棒など切削素材の流通は限定的。 |
| 最小購入量 | 中~大ロット傾向 | 特殊グレード、特注色、認証グレードは最小購入量が大きくなる場合がある。 |
比較用評価スコア
| 評価項目 | スコア | 評価理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 3 | 標準的。柔軟材料としては十分だが高剛性エンプラより低い。 |
| 剛性 | 2 | 低弾性率で柔軟性を重視する材料である。 |
| 衝撃強度 | 5 | 低温を含め高い靱性を示すグレードが多い。 |
| 耐熱性 | 3 | 融点は約124~130℃であるが、荷重下の剛性は低い。 |
| 低温特性 | 5 | ガラス転移温度が低く、低温柔軟性に優れる。 |
| 耐薬品性 | 4 | 水、酸、アルカリ、アルコールに良好。炭化水素溶剤は注意。 |
| 耐候性 | 2 | 無安定自然色ではUV劣化しやすく、耐候グレードが必要。 |
| 耐加水分解性 | 5 | 加水分解性結合を持たない。熱酸化は別途注意。 |
| 寸法安定性 | 2 | 高収縮、熱膨張、クリープ、結晶転移の影響がある。 |
| 低吸水性 | 5 | 吸水率は極めて低い。 |
| 摺動性 | 3 | 非極性で摩擦は低めだが、体系的データは限定的。 |
| 耐摩耗性 | 3 | 用途条件依存。UHMWPE等ほどの代表的優位性はない。 |
| 電気絶縁性 | 5 | 低誘電率、低吸水、高体積抵抗率。 |
| 難燃性 | 1 | 無添加では可燃性で、一般にHB水準。 |
| 透明性 | 2 | 半透明で、光学透明用途には不向き。 |
| 成形加工性 | 4 | 押出、射出、フィルム、溶着に適する。結晶転移管理が必要。 |
| 切削加工性 | 3 | 加工可能だが柔軟変形とバリに注意。 |
| 接着性 | 1 | 低表面エネルギーで未処理接着は困難。 |
| リサイクル性 | 4 | 熱可塑性で再溶融可能。異種ポリオレフィン混入と劣化を管理する。 |
| 価格優位性 | 2 | PE・PPより高価な特殊ポリオレフィンである。 |
スコアは5:非常に優れる、4:優れる、3:標準的、2:やや劣る、1:劣る、0:評価不能またはデータなしである。特定グレードの最高性能ではなく、PB-1材料群全体の一般的傾向を示す。
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | ポリブテン-1との違い |
|---|---|---|
| ポリエチレン(PE) | 低密度、低吸水、耐薬品性、成形性、低コスト | PB-1はPEより柔軟性と高温クリープ特性に優れる場合があるが、価格と供給性ではPEが有利。 |
| ポリプロピレン(PP) | 軽量、剛性、耐熱性、ヒンジ性、成形性 | PB-1はPPより柔軟で低温衝撃性に優れるが、剛性と一般的な耐熱変形性はPPが高い。 |
| エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA) | 柔軟性、透明性、接着性、低温特性 | PB-1は非極性で耐水・耐薬品性に優れる傾向があり、EVAは接着性と柔軟化設計が容易。 |
| 熱可塑性オレフィン(TPO) | PPとゴム相を組み合わせた耐衝撃材料 | PB-1は単一ポリマーとして長期クリープ・配管性能に特徴があり、TPOは自動車外装・内装向け剛性調整が容易。 |
| ポリ塩化ビニル(PVC) | 剛性・難燃性・接着性・配管実績 | PB-1は軽量、柔軟、ハロゲンフリー主骨格、熱融着性に優れ、PVCは剛性と難燃性で有利。 |
| ポリブチレンテレフタレート(PBT) | 高剛性、電気特性、寸法安定性、耐熱性 | 名称が似るが別材料である。PB-1は柔軟なポリオレフィン、PBTは剛性の高い芳香族ポリエステルである。 |
| エチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(EMMA) | 柔軟性、透明性、接着・改質性 | PB-1は非極性で耐水性に優れ、EMMAは極性と接着性を持つ。 |
| 超高分子量ポリエチレン(UHMWPE) | 耐摩耗性、耐衝撃性、低摩擦性 | PB-1は溶融押出・配管加工が容易で、UHMWPEは耐摩耗性が高いが一般溶融成形が難しい。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| LyondellBasell Industries | Polybutene-1、PBシリーズ | PB-1樹脂の主要メーカーとして、配管、フィルム改質、ホットメルト等の用途向けグレードを展開する。製品名、供給地域、認証は最新資料で確認する。 |
| Mitsui Chemicals | Beaulon(ビュー ロン)関連PB-1製品の実績 | PB-1の国内供給・用途展開実績が知られるが、現行の製造・販売体制、グレード、地域別供給可否はメーカーへ確認する。 |
PB-1の製造・販売体制、ブランド、グレード、認証、供給地域は変更される場合がある。採用時にはメーカーまたは正規販売窓口の最新技術資料、SDS、適合証明書、供給可否を確認する。液状ポリブテン製品はPB-1成形樹脂とは別材料であるため、メーカー表記だけで同一視しない。
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