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概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | ウレタンアクリレート |
| 略記号 | UA、PUA、Urethane Acrylate Oligomer |
| IUPAC | 単一物質ではないため、一義的なIUPAC名は定めにくい。一般には、ポリウレタン骨格の末端又は側鎖にprop-2-enoyloxy基(アクリロイルオキシ基)を導入した反応性オリゴマーである。 |
| 英語名 | Urethane Acrylate、Polyurethane Acrylate、Acrylated Urethane、Urethane Acrylate Oligomer |
| 日本語名 | ウレタンアクリレート、ポリウレタンアクリレート、アクリル変性ウレタン、アクリレート末端ポリウレタン |
| 分類 | UV・EB硬化型反応性オリゴマー、光硬化性樹脂、熱硬化性架橋樹脂原料、コーティング・接着剤・インキ・3Dプリント用樹脂 |
| プラスチック分類 | 硬化前は液状又は高粘度オリゴマーであり、硬化後は三次元架橋体となる。一般的な射出成形用プラスチック、エンジニアリング・プラスチック、スーパーエンジニアリング・プラスチックの分類とは異なる。 |
| 化学式又は代表構造 | CH2=CH–C(=O)–O–R1–O–C(=O)–NH–R2–NH–C(=O)–O–R1–O–C(=O)–CH=CH2。R1はポリオール由来骨格、R2はジイソシアネート由来骨格を表す代表例である。 |
| CAS No. | ウレタンアクリレート全体を表す単一のCAS No.はない。個別製品は原料骨格、官能基数、反応性希釈剤の有無により異なるCAS登録又はポリマー登録を持つ。 |
| 構造・主成分 | ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等のポリオール骨格、脂肪族又は芳香族ジイソシアネート骨格、末端又は側鎖のアクリレート基から構成される。実用配合では反応性希釈剤、光重合開始剤、重合禁止剤、レベリング剤、消泡剤、密着付与剤等を併用する。 |
| 主な用途 | UVハードコート、プラスチック・金属・木工用コーティング、印刷インキ、オーバープリントワニス、粘着剤、接着剤、光学フィルム、電子部品保護、インクジェット、3Dプリント、複合材料マトリックス |
ウレタンアクリレートは、ポリウレタン骨格にアクリレート基を導入した反応性オリゴマーであり、紫外線、UV-LED、電子線又は熱ラジカル反応により架橋硬化する材料である。単独で使用される場合もあるが、一般には反応性希釈剤、光重合開始剤及び各種添加剤と配合し、塗膜、接着層、造形物又は複合材料のマトリックスを形成する。
ウレタン結合に由来する強靭性、密着性、耐摩耗性及び柔軟性と、アクリレート基に由来する高速硬化性を併せ持つ点が特徴である。ポリオール骨格、イソシアネート骨格、分子量、官能基数及び反応性希釈剤の種類により、ゴム状の柔軟膜から高硬度ハードコートまで広い物性範囲を設計できる。
材料群としての物性幅が非常に大きいため、「ウレタンアクリレート」という名称だけで性能を断定できない。実使用では、樹脂骨格、官能基数、硬化膜厚、UV照度、積算光量、照射波長、酸素濃度、後硬化条件、基材、温度、湿度、荷重、応力、薬品濃度及び接触時間を確認する必要がある。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 長所 | 高速硬化、強靭性、柔軟性、耐摩耗性、耐屈曲性、密着性、耐衝撃性及び外観性を設計しやすい。脂肪族系では黄変を抑え、耐候性及び透明性を高めやすい。 |
| 短所 | 高粘度になりやすく、反応性希釈剤を必要とする場合がある。酸素阻害、硬化収縮、残留モノマー、光開始剤残渣、臭気、皮膚感作、黄変、加水分解及びアウトガスに注意が必要である。 |
| 外観 | 一般に無色から淡黄色の透明液体又は高粘度液体である。芳香族系、長期保管品、熱履歴を受けた品では着色しやすい場合がある。 |
| 耐熱性 | 硬化膜のガラス転移温度は柔軟型で氷点下、高硬度多官能型で100℃を超える場合がある。連続使用温度は一般に50~120℃程度を目安とするが、骨格、架橋密度、酸化劣化及び荷重条件により大きく異なる。 |
| 耐薬品性 | 十分に硬化した高架橋膜は水、油、希薄薬品及び一部溶剤に比較的良好である。一方、ケトン、エステル、芳香族溶剤、塩素系溶剤及び強アルカリでは膨潤、軟化、加水分解又は界面剥離が生じる場合がある。 |
| 加工性 | バーコート、ロールコート、グラビア、スプレー、ディップ、スクリーン印刷、フレキソ、インクジェット及び光造形に適用できる。一般的なペレット射出成形には適さない。 |
| 分類上の注意 | 熱可塑性ポリウレタン(TPU)とは異なり、硬化後は通常再溶融できない。また、アクリル樹脂やウレタン変性アクリルエマルションと同義ではない。 |
構造式

| 構成部分 | 代表構造・原料 | 役割及び物性への影響 |
|---|---|---|
| アクリレート末端 | CH2=CH–C(=O)–O– | UV・EB照射によりラジカル重合する。官能基数が増えるほど反応性、硬度、耐溶剤性及び架橋密度が高くなりやすいが、硬化収縮、脆さ及び内部応力も増加しやすい。 |
| ウレタン結合 | –NH–C(=O)–O– | 水素結合により凝集力、強靭性、接着性及び耐摩耗性を付与する。含有量が増えると粘度が高くなる場合がある。 |
| ポリエーテルポリオール骨格 | PPG、PTMG等 | 柔軟性、低温特性及び加水分解安定性を付与しやすい。耐酸化性、耐候性及び耐溶剤性は設計により異なる。 |
| ポリエステルポリオール骨格 | アジペート系、カプロラクトン系等 | 機械強度、耐摩耗性、密着性及び耐油性を高めやすい。一方、高温高湿及び強酸・強アルカリ条件では加水分解に注意する。 |
| ポリカーボネートポリオール骨格 | 脂肪族ポリカーボネートジオール等 | 耐加水分解性、耐熱性、耐候性、耐摩耗性及び機械強度のバランスを高めやすいが、一般にコストが高くなる。 |
| 脂肪族イソシアネート骨格 | HDI、IPDI、H12MDI等 | 黄変を抑えやすく、透明用途、屋外用途及び光学用途に適する。芳香族系より反応性が低い場合がある。 |
| 芳香族イソシアネート骨格 | TDI、MDI等 | 硬度、凝集力及び反応性を得やすいが、紫外線又は熱により黄変しやすく、透明外観用途には制限がある。 |
種類・代表グレード
| 種類・グレード区分 | 主成分又は改質方法 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 脂肪族ウレタンアクリレート | HDI、IPDI、H12MDI等 | 低黄変、透明性、耐候性 | 芳香族系より高価格になりやすい | 光学フィルム、自動車内外装、透明ハードコート、屋外塗装 |
| 芳香族ウレタンアクリレート | TDI、MDI等 | 反応性、硬度、凝集力、経済性 | 黄変、耐候性に注意 | 木工、紙、インキ、着色塗膜、屋内接着剤 |
| ポリエーテル系 | PPG、PTMG等のポリオール | 柔軟性、低温特性、加水分解安定性 | 耐酸化性、耐候性、耐溶剤性が不足する場合がある | 柔軟コーティング、粘着剤、エラストマー、3Dプリント |
| ポリエステル系 | アジペート、カプロラクトン系ポリオール | 強度、耐摩耗性、耐油性、密着性 | 高温高湿で加水分解に注意 | 床、木工、金属、プラスチック塗装、接着剤 |
| ポリカーボネート系 | ポリカーボネートジオール | 耐熱、耐候、耐加水分解、強靭性 | 高粘度、高価格になりやすい | 自動車、電子、医療、長寿命コーティング |
| 二官能・柔軟型 | 比較的高分子量、官能基数2 | 伸び、耐衝撃性、低収縮 | 表面硬度、耐溶剤性及び硬化速度が低い場合がある | 柔軟フィルム、粘着剤、接着剤、ソフトタッチ |
| 多官能・高硬度型 | 3~10官能程度、短鎖又は分岐骨格 | 高速硬化、高硬度、耐擦傷、耐溶剤性 | 脆化、反り、硬化収縮、密着低下に注意 | ハードコート、レンズ、加飾フィルム、電子保護 |
| 水系ウレタンアクリレート | 親水基又はイオン基を導入した分散体 | VOC低減、低粘度化、設備洗浄性 | 乾燥工程、水分管理、耐水性及び凍結安定性に注意 | 木工、紙、フィルム、繊維、環境対応塗料 |
| 反応性希釈型 | TPGDA、HDDA、IBOA、TMPTA等を含む | 塗工粘度を調整しやすい | 収縮、臭気、刺激性、抽出物及び物性変化に注意 | インキ、コーティング、接着剤、3Dプリント |
| 無機フィラー・ナノ複合型 | シリカ、アルミナ、クレイ等 | 耐擦傷、低収縮、耐熱、寸法安定性 | 透明性、分散性、沈降、粘度上昇に注意 | ハードコート、電子封止、複合材料 |
| 低移行・低臭気型 | 高分子量化、低抽出原料、低臭気開始剤 | 包装、衛生用途への適合性を設計しやすい | 個別グレードの適合証明が必要 | 食品・医薬品包装用インキ及びコーティング |
| 医療・生体適合用途向け | 抽出物、残留モノマー及び硬化条件を管理 | 透明性、柔軟性、短時間硬化 | 材料名だけではISO 10993、USP等への適合を断定できない | 医療機器接着、歯科材料、マイクロ流路、光造形 |
成形加工・塗工・硬化
| 加工方法 | 適性 | 理由 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 射出成形 | × | 一般的なUAは液状反応性オリゴマーである | TPUのような溶融射出成形材料ではない。光硬化性RIM等の専用工程は別途設計する。 |
| 押出成形 | × | 硬化前後とも通常の熱可塑押出に適さない | 未硬化組成物の連続塗工又はホットメルト型は専用設備で行う。 |
| ブロー成形 | × | パリソン形成が困難である | ボトル表面のUVコーティング用途には使用できる。 |
| 圧縮成形 | △ | シートモールディング又は複合材用途で可能 | 光透過、硬化深度、発熱、気泡及び離型を確認する。 |
| 真空成形・圧空成形 | △ | 硬化済み薄膜を加飾フィルムとして二次成形できる場合がある | 架橋密度が高いと延伸割れが生じる。インモールド用専用グレードを選定する。 |
| ロール・バー・グラビア塗工 | ◎ | UV硬化塗料の代表工程である | 粘度、膜厚、濡れ、酸素阻害、照射量、基材温度を管理する。 |
| スプレー塗装 | ○ | 希釈又は低粘度グレードで適用できる | ミスト、換気、可燃性希釈剤、塗着効率及び光の影を確認する。 |
| インクジェット | ○ | 低粘度配合により微細描画が可能である | ノズル温度、粒子、沈降、暗反応、粘度及び表面張力を厳密に管理する。 |
| スクリーン印刷 | ◎ | 高粘度配合及び厚膜形成に適する | メッシュ、チキソ性、版上安定性、硬化深度を確認する。 |
| 3Dプリント(SLA/DLP/LCD) | ◎ | 光硬化性及び物性設計幅を利用できる | 造形速度、光吸収、収縮、反り、洗浄、二次硬化、残留モノマーを確認する。 |
| 切削加工 | △ | 硬化物の切削は可能である | 柔軟材はバリ、硬質材は欠けに注意する。発熱による軟化又は亀裂を防止する。 |
| 接着 | ◎ | 接着剤そのものとして使用される | 光が届かない遮光部では硬化不足になる。デュアルキュア又は熱・湿気硬化を検討する。 |
| 塗装・印刷 | ◎ | 主要用途である | 基材表面処理、濡れ、密着、硬化収縮及び層間密着を確認する。 |
| めっき・蒸着下地又はトップコート | ○ | 平滑化、保護及び密着付与に利用できる | アウトガス、真空中揮発、残留モノマー、膜応力及びプラズマ損傷を確認する。 |
| レーザーマーキング | △ | 顔料又は吸収剤を配合した硬化物で可能 | 焦げ、黄変、発煙及び基材損傷を確認する。 |
代表的な配合・硬化条件
| 項目 | 単位 | 代表範囲 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 保管温度 | ℃ | 5~30 | 遮光、密栓、熱源及び紫外線を避ける。製品ごとのSDS及び技術資料を優先する。 |
| 塗工粘度 | mPa・s | 10~100000超 | インクジェットから無希釈高粘度オリゴマーまで幅が大きい。測定温度を併記する。 |
| 基材予熱 | ℃ | 20~80 | 濡れ、粘度及び硬化を改善する場合があるが、熱変形及び溶剤残留に注意する。 |
| UV照度 | mW/cm² | 100~3000 | ランプ方式、波長、膜厚、開始剤及びライン速度により設定する。 |
| UV積算光量 | mJ/cm² | 200~3000 | 薄膜透明系の一般的目安である。厚膜、着色、フィラー配合では増量又は多段照射が必要となる。 |
| UV-LED波長 | nm | 365~405 | 光重合開始剤の吸収波長と一致させる。 |
| 膜厚 | μm | 1~1000超 | ハードコートは数μm~数十μm、接着及び3D造形はより厚い。硬化深度を確認する。 |
| 後硬化 | ℃・min | 40~100・10~60 | 必要に応じて熱後硬化又は追加UV照射を行う。基材耐熱性を確認する。 |
| 硬化収縮率 | % | 2~10 | 官能基数、反応性希釈剤、転化率及びフィラー量により変動する。 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下は、十分にUV硬化又はEB硬化した非充填ウレタンアクリレート硬化膜の代表的な範囲である。材料群としての幅が大きいため、比較機能では標準・中硬度型の代表値を使用し、高柔軟型及び高架橋型は別区分として扱う必要がある。
標準・中硬度型の代表物性
| 項目 | 単位 | 代表値 | 代表範囲 | 試験・材料状態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 1.15 | 1.05~1.30 | 23℃、硬化物 | 反応性希釈剤、芳香族骨格及びフィラーにより変動する。 |
| 比重 | 無次元 | 1.15 | 1.05~1.30 | 23℃、硬化物 | 密度とほぼ同じ数値である。 |
| 吸水率・24時間 | % | 1.0 | 0.2~3.0 | 23℃水中、代表値 | ポリエーテル系、親水基含有、水系グレードでは高くなりやすい。 |
| 引張強さ・破断 | MPa | 30 | 10~60 | 23℃、硬化フィルム | 降伏か破断かを製品資料で確認する。高硬度型では80 MPaを超える場合がある。 |
| 引張弾性率 | GPa | 0.50 | 0.02~2.0 | 23℃、硬化フィルム | 柔軟型から硬質型まで幅が大きい。 |
| 引張破断伸び | % | 50 | 10~200 | 23℃、硬化フィルム | 高柔軟型では300%以上、高架橋型では5%未満の場合がある。 |
| 曲げ強さ | MPa | データなし | 一般化困難 | 硬化バルク体 | 薄膜用途が多く、材料群として統一的な代表値を設定しにくい。 |
| 曲げ弾性率 | GPa | 0.70 | 0.05~2.5 | 硬化バルク体、代表値 | 引張弾性率とは同一値として扱わない。 |
| アイゾット衝撃強さ・ノッチ付き | kJ/m² | データなし | 一般化困難 | ISO又はASTM条件不統一 | 薄膜及び塗膜用途では引張伸び、落錘衝撃、耐屈曲性で評価する場合が多い。 |
| ショア硬度 | Shore A/D | グレード依存 | A20~D90 | 23℃、硬化物 | 柔軟エラストマーからハードコートまで設計可能である。 |
| ガラス転移温度 | ℃ | 35 | -50~100 | DSC又はDMA、硬化物 | 測定法により差が生じる。高架橋型では100℃を超える場合がある。 |
| 融点 | ℃ | 該当なし | 該当なし | 架橋硬化物 | 一般に明確な融点を持たず、加熱により軟化後、熱分解する。 |
| 荷重たわみ温度・1.80 MPa | ℃ | データなし | 一般化困難 | 硬化バルク体 | 薄膜用オリゴマーではHDTが公表されない場合が多い。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 80 | 50~120 | 無荷重~低荷重の目安 | 熱老化、光、酸素、湿度、荷重及び基材との熱膨張差により異なる。 |
| 熱分解開始温度 | ℃ | 250 | 200~320 | TGA、雰囲気依存 | 初期重量減少、残留低分子及び本格分解を区別する。 |
| 熱伝導率 | W/(m・K) | 0.20 | 0.15~0.30 | 23℃、非充填硬化物 | 無機フィラー充填により大幅に高められる。 |
| 線膨張係数 | 10-5/K | 12 | 6~20 | Tg以下、非充填硬化物 | Tg以上では増加する。フィラー及び基材拘束で変化する。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1×1014 | 1×1012~1×1016 | 23℃、乾燥状態 | 吸湿、イオン性原料、顔料及び硬化不足により低下する。 |
| 絶縁破壊強さ | kV/mm | 20 | 10~30 | 乾燥硬化膜、代表値 | 膜厚、気泡、電極形状及び周波数に依存する。 |
| 比誘電率・1 kHz | 無次元 | 4.0 | 3.0~6.0 | 23℃、乾燥状態 | 骨格、極性、吸湿及びフィラーに依存する。 |
| 誘電正接・1 kHz | 無次元 | 0.03 | 0.01~0.08 | 23℃、乾燥状態 | 周波数及び吸湿条件を明記して比較する。 |
| 光線透過率 | % | 90 | 85~95 | 透明薄膜、可視光 | 膜厚、黄変、開始剤、顔料及び表面粗さにより変動する。 |
代表グレード別の物性傾向
| グレード区分 | 引張強さ MPa | 破断伸び % | Tg ℃ | 硬度 | 主な傾向 |
|---|---|---|---|---|---|
| 高柔軟・二官能型 | 2~25 | 100~500 | -60~20 | Shore A20~A90 | 低収縮、耐屈曲、低温柔軟性 |
| 標準・中硬度型 | 10~60 | 10~200 | -10~80 | Shore A80~D70 | 強靭性、密着、耐摩耗のバランス |
| 高硬度・多官能型 | 30~100 | 1~20 | 50~150超 | Shore D70~D95 | 耐擦傷、耐溶剤、高速硬化 |
| シリカ等無機充填型 | グレード依存 | 低下傾向 | 上昇又は同等 | 上昇傾向 | 低収縮、耐擦傷、熱膨張抑制。分散及び脆化に注意。 |
燃焼性・難燃性
| 項目 | 代表的な扱い | 注意点 |
|---|---|---|
| UL 94 | グレード依存 | 材料名だけでHB、V-0等を断定できない。難燃剤、膜厚、色、基材及び硬化度を含む認証グレードの確認が必要である。 |
| 限界酸素指数・LOI | データなし | 一般化困難である。必要用途では実配合・実膜厚で測定する。 |
| ハロゲン含有 | 原料依存 | 一般的な脂肪族又は芳香族UA骨格は必ずしもハロゲンを含まないが、難燃剤、光開始剤、顔料及び添加剤を確認する。 |
| 燃焼時発生ガス | CO、CO2、窒素含有分解ガス等 | 不完全燃焼では一酸化炭素及び刺激性ガスが発生し得る。換気及び火災安全設計が必要である。 |
比較用評価スコア
| 評価項目 | スコア | 評価理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 4 | 高強度設計が可能であるが、柔軟グレードでは低い。 |
| 剛性 | 3 | 官能基数及び骨格により極めて広い。 |
| 衝撃強度 | 4 | ウレタン骨格により強靭性を付与しやすい。 |
| 耐熱性 | 3 | 標準的であるが、高架橋・ポリカーボネート系で向上できる。 |
| 低温特性 | 4 | ポリエーテル系及び柔軟型は低温柔軟性に優れる。 |
| 耐薬品性 | 3 | 高架橋化で向上するが、近接溶剤及び強アルカリに注意する。 |
| 耐候性 | 4 | 脂肪族系では良好である。芳香族系は黄変しやすい。 |
| 耐加水分解性 | 3 | ポリエーテル・ポリカーボネート系は比較的良好、ポリエステル系は条件依存である。 |
| 寸法安定性 | 3 | 硬化収縮及び基材拘束に注意する。フィラーで改善可能である。 |
| 低吸水性 | 3 | 骨格及び親水基量に依存する。 |
| 耐摩耗性 | 5 | ウレタンアクリレートの代表的長所である。 |
| 電気絶縁性 | 4 | 乾燥硬化膜は概ね良好であるが、吸湿及びイオン性不純物に注意する。 |
| 難燃性 | 2 | 標準系は自己消火性を前提にできず、難燃グレードが必要である。 |
| 透明性 | 5 | 脂肪族透明配合では高透明化が可能である。 |
| 塗工・硬化加工性 | 5 | 高速硬化及び多様な塗工法に適する。 |
| 切削加工性 | 2 | 主要用途ではなく、硬度によりバリ又は欠けが生じる。 |
| 接着性 | 4 | 極性及びウレタン結合により多くの基材へ密着を設計しやすい。 |
| リサイクル性 | 1 | 硬化後は架橋体であり、一般的な再溶融マテリアルリサイクルが困難である。 |
| 価格優位性 | 2 | 汎用アクリレートより比較的高価格であり、高機能骨格ではさらに高くなる。 |
耐薬品性
以下は、十分に硬化した非充填ウレタンアクリレート膜について、23℃付近、無応力、短時間接触から7日程度の浸漬を想定した一般的な目安である。ポリオール骨格、架橋密度、硬化度、膜厚、基材、界面、温度及び応力により結果が大きく変化する。
| 薬品・分類 | 濃度 | 温度 | 接触条件 | 応力 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | 純水 | 23℃ | 7日浸漬 | なし | ◎ | 軽微な吸水 | 水系・親水性グレードでは吸水率が高い場合がある。 |
| 温水 | 純水 | 60℃ | 7日浸漬 | なし | ○ | 吸水、軟化、白化 | ポリエステル系は長時間で加水分解に注意する。 |
| 熱水・蒸気 | 水又は飽和蒸気 | 80~121℃ | 反復又は長時間 | あり得る | △ | 加水分解、膨れ、界面剥離 | 医療滅菌又は熱水用途は専用ポリカーボネート系等で確認する。 |
| 塩酸 | 5~10% | 23℃ | 24 h | なし | ○ | 変色、界面劣化 | 高濃度、高温及び長時間では低下する。 |
| 硫酸 | 5~10% | 23℃ | 24 h | なし | ○ | 変色、軟化 | 濃硫酸又は高温では不適となる可能性が高い。 |
| 酢酸 | 10% | 23℃ | 24 h | なし | ○ | 膨潤、臭気吸着 | 濃酢酸及び高温では実測が必要である。 |
| 水酸化ナトリウム | 5% | 23℃ | 24 h | なし | △ | 加水分解、軟化、白化 | ポリエステル系及び高温条件では特に注意する。 |
| 水酸化カリウム | 5% | 23℃ | 24 h | なし | △ | 加水分解、界面剥離 | 濃度及び温度上昇で劣化が加速する。 |
| アンモニア水 | 5% | 23℃ | 24 h | なし | △ | 膨潤、変色、接着低下 | アミン類は配合成分及び界面へ影響する場合がある。 |
| エタノール | 99% | 23℃ | 24 h | なし | ○ | 軽微な膨潤、抽出 | 低架橋・柔軟型では△となる場合がある。 |
| IPA | 99% | 23℃ | 24 h | なし | ○ | 膨潤、光沢低下 | 洗浄接触では概ね使用可能な場合が多いが実膜で確認する。 |
| グリセリン | 99% | 23℃ | 7日 | なし | ◎ | 軽微な吸収 | 高温では可塑化及び界面への影響を確認する。 |
| MMB | 99% | 23℃ | 24 h | なし | △ | 膨潤、軟化 | グリコールエーテルは溶解力が高く、硬化度依存が大きい。 |
| アセトン | 99% | 23℃ | 1~24 h | なし | × | 著しい膨潤、軟化、溶解 | 高架橋ハードコートでも外観又は密着が低下する場合がある。 |
| MEK | 99% | 23℃ | 1~24 h | なし | × | 膨潤、軟化、抽出 | 耐MEKラブ性は硬化度指標として使用されるが、長期浸漬適性とは異なる。 |
| 酢酸エチル | 99% | 23℃ | 1~24 h | なし | × | 膨潤、軟化、溶解 | SP値が近く、未硬化樹脂の溶剤として使用される場合がある。 |
| トルエン | 99% | 23℃ | 1~24 h | なし | △ | 膨潤、光沢低下 | 低極性骨格及び柔軟型では影響が大きい場合がある。 |
| キシレン | 99% | 23℃ | 1~24 h | なし | △ | 膨潤、軟化 | 高架橋型では短時間耐性を得られる場合がある。 |
| n-ヘキサン | 99% | 23℃ | 24 h | なし | ○ | 軽微な膨潤 | 疎水性ソフトセグメントでは膨潤に注意する。 |
| ミネラルスピリット | 工業品 | 23℃ | 7日 | なし | ○ | 膨潤、可塑化 | 芳香族含有量により結果が変わる。 |
| ジクロロメタン | 99% | 23℃ | 短時間 | なし | × | 急速な膨潤、剥離 | 塩素系溶剤は一般に不適である。 |
| エンジン油 | 市販油 | 80℃ | 168 h | なし | ○ | 膨潤、変色 | 添加剤パッケージ及び温度の影響を実測する。 |
| 作動油 | 鉱物油系 | 60℃ | 168 h | なし | ○ | 膨潤、軟化 | リン酸エステル系作動油は別途評価する。 |
| ブレーキ液 | グリコール系 | 80℃ | 168 h | なし | △ | 膨潤、軟化、界面剥離 | 自動車用途では実液、温度サイクル及び応力下で確認する。 |
| ガソリン | 市販燃料 | 23℃ | 24 h | なし | △ | 膨潤、抽出、光沢低下 | 芳香族分、酸素含有成分及びバイオ燃料混合率により変動する。 |
| 次亜塩素酸ナトリウム | 0.1~1% | 23℃ | 1~24 h | なし | △ | 酸化、黄変、脆化 | 有効塩素濃度、pH及び光の影響を確認する。 |
| 過酸化水素 | 3% | 23℃ | 24 h | なし | ○ | 酸化、変色 | 高濃度、高温又は金属触媒共存では劣化が加速する。 |
| 塩水・海水 | 3.5% NaCl | 23℃ | 30日 | なし | ◎ | 吸水、界面腐食 | 塗膜自体よりピンホール及び金属基材の防食設計が重要である。 |
| 界面活性剤水溶液 | 1% | 40℃ | 7日 | なし | ○ | 吸水、膨潤、添加剤抽出 | 種類、HLB、pH及び温度により異なる。 |
SP値(溶解度パラメータ)
ウレタンアクリレートは単一構造ではないため、代表的なHildebrand SP値は一般に18~24 MPa1/2程度の広い範囲として扱うのが妥当である。ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、芳香族含有率、ウレタン結合濃度及び反応性希釈剤により変動する。比較用の暫定代表値として21 MPa1/2を用いる場合でも、個別製品の実測値又はHansen溶解度パラメータを優先する必要がある。
SP値差は未硬化オリゴマー又は低架橋材料の溶解・膨潤スクリーニングには有用であるが、硬化膜では架橋密度、反応転化率、加水分解、酸化、界面剥離、応力、温度及び接触時間が支配的となるため、SP値だけで耐薬品性を判断してはならない。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
| 薬品名 | SP値 MPa1/2 | UAとの差 代表値21基準 | 評価 | 実務上の補足 |
|---|---|---|---|---|
| n-ヘキサン | 14.9 | 6.1 | ○ | 疎水性ソフトセグメントでは膨潤する場合がある。 |
| トルエン | 18.2 | 2.8 | △ | 架橋密度及び芳香族含有率に依存する。 |
| 酢酸エチル | 18.2 | 2.8 | △ | 未硬化樹脂又は低架橋膜には強い溶解力を示す。 |
| ジクロロメタン | 20.2 | 0.8 | × | 急速な膨潤及び界面剥離に注意する。 |
| アセトン | 19.9 | 1.1 | × | 短時間でも光沢低下、膨潤又は軟化が生じ得る。 |
| MEK | 19.0 | 2.0 | × | MEKラブ試験と長期浸漬耐性を区別する。 |
| IPA | 23.5 | 2.5 | △ | 実測では高架橋膜が短時間洗浄に耐える場合が多い。 |
| エタノール | 26.5 | 5.5 | ○ | 水素結合及び吸水の影響を受ける。 |
| 水 | 47.9 | 26.9 | ◎ | SP差は大きいが、親水基、加水分解及び界面欠陥は別途考慮する。 |
環境応力割れ・界面剥離
UA硬化膜では、熱可塑性樹脂の典型的なESCとは異なり、溶剤膨潤と基材の残留応力、硬化収縮、熱膨張差及び界面密着の組合せによるクラック又は剥離が問題となる。PC、PMMA、ABS、PS等の溶剤感受性基材へ塗工する場合は、未硬化配合中の反応性希釈剤及び溶剤が基材へ浸透し、基材側にクレージングを生じる可能性がある。実部品では、曲げ又は引張応力を付与した状態で塗工液接触、UV硬化及び薬品浸漬を組み合わせて評価することが望ましい。
製法

| 工程 | 代表原料・条件 | 主反応・管理項目 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 原料乾燥・仕込み | ポリオール、ジイソシアネート、触媒、重合禁止剤 | 水分、酸価、OH価、NCO当量、色相を管理する | 水分はNCOと反応してCO2を発生し、気泡及び尿素結合増加の原因となる。 |
| NCO末端プレポリマー化 | NCO/OHモル比を1より高くし、一般に50~90℃で反応 | ポリオールのOHとジイソシアネートのNCOが重付加する | 発熱、局所ゲル化、粘度上昇、触媒量及び残存NCOを管理する。 |
| 末端アクリレート化 | 2-ヒドロキシエチルアクリレート、HEMA、HPMA、ペンタエリスリトールトリアクリレート等 | 残存NCOとヒドロキシアクリレートのOHを反応させる | アクリレートの熱重合を防ぐため、温度、酸素、重合禁止剤及び光を管理する。 |
| 反応終点管理 | FT-IR、NCO滴定、粘度、酸価、色相 | NCOピーク及び残存NCOを規格内にする | 未反応NCO、遊離モノマー及び触媒残渣は安全性、貯蔵性及び硬化物性に影響する。 |
| 希釈・配合 | 反応性希釈剤、光開始剤、増感剤、レベリング剤、消泡剤、密着付与剤 | 粘度、官能基濃度、硬化速度、濡れ及び貯蔵安定性を調整する | 反応性希釈剤の皮膚刺激性、臭気、収縮及び抽出物を確認する。 |
| 充填・複合化 | シリカ、アルミナ、ガラス粉、顔料、難燃剤、導電材 | 硬度、耐擦傷、熱伝導、収縮、色調及び導電性を調整する | 分散、沈降、増粘、光遮蔽、硬化深度及び界面処理を確認する。 |
| 脱泡・ろ過・包装 | 真空脱泡、精密ろ過、遮光容器 | 気泡、ゲル、異物及び水分を低減する | 紫外線、熱、金属汚染及び空気混入を避ける。保管期限を遵守する。 |
代表的な反応式
プレポリマー化:HO–R1–OH + 2 OCN–R2–NCO → OCN–R2–NH–C(=O)–O–R1–O–C(=O)–NH–R2–NCO
末端アクリレート化:NCO末端プレポリマー + 2 HO–R3–O–C(=O)–CH=CH2 → CH2=CH–C(=O)–O–R3–O–C(=O)–NH–PU–NH–C(=O)–O–R3–O–C(=O)–CH=CH2
光硬化:n CH2=CH–C(=O)–O–UA + 光開始剤 + hν → 三次元架橋ポリ(アクリレート)ネットワーク
品質・硬化不良
| 不良 | 材料側の主因 | 工程側の主因 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| 表面べたつき | 開始剤不足、低官能、阻害剤過多 | 酸素阻害、照度不足、波長不一致 | 窒素置換、開始剤最適化、照度・積算光量確認、アミン共開始剤又は表面硬化型樹脂を検討する。 |
| 内部硬化不足 | 顔料・フィラーの光吸収、開始剤不適 | 膜厚過大、片面照射 | 長波長開始剤、多段照射、両面照射、膜厚低減又はEB硬化を検討する。 |
| 黄変 | 芳香族イソシアネート、黄変性開始剤、アミン | 過照射、過熱、長期UV暴露 | 脂肪族UA、低黄変開始剤、UV吸収剤及びHALSを検討し、硬化と耐候性を両立させる。 |
| 密着不良 | 高架橋、低極性、添加剤ブリード | 基材汚染、濡れ不足、硬化収縮 | 洗浄、コロナ・プラズマ処理、プライマー、柔軟型UA、密着性モノマー及び段階硬化を検討する。 |
| クラック・反り | 多官能、低分子モノマー過多、高Tg | 急速硬化、厚膜、基材拘束 | 官能基数低減、柔軟UA併用、フィラー、薄膜化、低照度プレキュア後の本硬化を検討する。 |
| 気泡・ピンホール | 高粘度、水分、揮発分 | 高速撹拌、溶剤残留、急速硬化 | 真空脱泡、静置、低泡添加剤、予備乾燥及び段階硬化を行う。 |
| ゲル・異物 | 暗反応、熱重合、金属汚染 | 高温保管、紫外線漏れ、長期滞留 | 遮光、温度管理、阻害剤管理、ろ過、配管洗浄及び先入先出を徹底する。 |
| 白化・膨れ | 親水基過多、硬化不足、界面活性剤残留 | 高湿度、温水、基材水分 | 乾燥、疎水化、硬化度向上、ポリカーボネート系採用及び耐湿試験を行う。 |
注意点・劣化及び故障モード
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 外観・性能への影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 熱酸化劣化 | 酸素、熱、触媒残渣 | 80℃以上、長時間、薄膜 | 黄変、硬化、脆化、強度低下 | 耐熱骨格、酸化防止剤、温度低減 | 80~120℃熱老化、500~2000 h、色差及び引張保持率 |
| 紫外線劣化 | 芳香族骨格、開始剤残渣 | 屋外、短波長UV | 黄変、光沢低下、クラック | 脂肪族UA、UV吸収剤、HALS | キセノンアーク又はサンシャイン、色差・光沢・密着 |
| 加水分解 | エステル結合、水、酸・アルカリ | 高温高湿、熱水、強アルカリ | 軟化、白化、強度及び密着低下 | ポリエーテル又はポリカーボネート系、十分な硬化 | 85℃・85%RH、500~2000 h、熱水又はアルカリ浸漬 |
| 溶剤膨潤 | SP値の近い溶剤 | ケトン、エステル、塩素系溶剤 | 軟化、寸法増加、剥離 | 高架橋化、耐溶剤骨格、膜厚及び界面最適化 | 実薬品浸漬、質量・体積・硬度・密着測定 |
| 硬化収縮・内部応力 | 高官能、低分子アクリレート | 厚膜、高照度、拘束基材 | 反り、クラック、接着剥離 | 柔軟型UA、フィラー、段階硬化 | 収縮率、反り、90°剥離、温度サイクル |
| 未反応成分・アウトガス | 硬化不足、低分子モノマー、開始剤分解物 | 厚膜、遮光部、真空、高温 | 臭気、曇り、汚染、接点障害 | 硬化条件最適化、低揮発原料、後硬化 | GC-MS、TGA、TML/CVCM、ヘッドスペース分析 |
| 添加剤ブリード | 相溶性不足、過剰添加 | 高温、長期保管、低架橋 | 表面べたつき、密着・印刷性低下 | 相溶性評価、添加量最適化、高分子型添加剤 | 高温保管、表面分析、テープ密着、接触移行試験 |
| 金属腐食 | 酸価、イオン性不純物、水分 | 高湿度、薄膜欠陥、異種金属 | 膨れ、変色、接点抵抗増加 | 低酸価・低イオン配合、防食プライマー | 塩水噴霧、恒温恒湿、イオン抽出、電気化学評価 |
法規制・認証
| 規制・認証 | 一般的な対応可能性 | 確認事項 |
|---|---|---|
| RoHS、ELV | 適合グレードが存在する | 顔料、触媒、難燃剤、金属不純物及び製造拠点を含む個別証明書を確認する。 |
| REACH、SVHC | 個別確認が必要 | 未反応モノマー、光開始剤、スズ触媒、溶剤、安定剤及び最新SVHC候補リストを確認する。 |
| TSCA等の各国化学物質登録 | 登録製品が存在する | 同一ブランドでも地域により登録状況が異なる場合がある。 |
| PFAS関連規制 | 配合依存 | UA主骨格だけでなく、フッ素系レベリング剤、界面活性剤、離型剤及び添加剤の意図的添加を確認する。 |
| 食品接触・FDA・EU食品接触 | 専用低移行グレードが存在する | 硬化条件、膜厚、食品種、温度、接触時間、移行試験及びGMPを確認する。材料名だけで適合を断定しない。 |
| 日本の食品衛生法・ポジティブリスト | 用途及び層構成依存 | 直接接触か非接触か、印刷インキ工業連合会の自主規制及び個別原料を確認する。 |
| USP Class VI、ISO 10993 | 医療用適合グレードが存在する | 硬化物、抽出物、滅菌条件、着色剤、製造変更及び最終医療機器での評価が必要である。 |
| UL認証 | 認証配合が存在する場合がある | 樹脂単体ではなく、配合、膜厚、基材及び部品構成に対する認証範囲を確認する。 |
環境・リサイクル性及び供給性
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 熱可塑性/熱硬化性 | 硬化後は熱硬化性架橋体である。 |
| マテリアルリサイクル | 再溶融が困難であり、一般に適性は低い。粉砕充填材、塗膜分離又は基材ごとの回収設計を検討する。 |
| ケミカルリサイクル | 研究・個別プロセスはあるが、一般化された回収系は限定的である。 |
| バイオベース | 植物油由来ポリオール、バイオベースジオール又はバイオマス炭素を含む製品が存在する。バイオベースと生分解性は同義ではない。 |
| VOC | 100%固形分UV系では溶剤VOCを低減できるが、反応性希釈剤の作業環境及び未反応残留を管理する必要がある。水系及び溶剤系も存在する。 |
| 価格区分 | 比較的高価格から高価格。脂肪族、ポリカーボネート系、低移行、医療、バイオベース及び高機能グレードは高くなりやすい。 |
| 供給形態 | 無希釈液状、高粘度液状、反応性希釈剤希釈品、溶剤溶液、水分散体、完成配合液として供給される。 |
| 国内入手性 | 主要化学メーカー及び商社から入手可能であるが、少量販売、最低購入量及び危険物区分は製品により異なる。 |
詳細な利用用途
| 分野 | 用途 | 適性 | 採用理由 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 自動車 | 内装ハードコート、加飾フィルム、ランプ周辺、補修塗料 | ◎ | 耐擦傷、透明性、柔軟性、高速硬化 | 耐候、黄変、耐サンスクリーン、耐薬品、熱サイクル及びVOCを確認する。 |
| 電気・電子 | コンフォーマルコート、絶縁、接着、光学部材 | ◎ | 低温短時間硬化、絶縁性、薄膜形成 | 遮光部硬化、イオン性不純物、アウトガス、吸湿及びリワーク性を確認する。 |
| 光学 | 光学フィルム、プリズム、レンズコート、OCA周辺 | ◎ | 透明性、屈折率調整、耐擦傷、微細転写 | 黄変、複屈折、収縮、屈折率、ヘーズ及び光学均一性を確認する。 |
| 印刷・包装 | UVインキ、OPニス、フレキソ、インクジェット | ◎ | 高速ライン、低温硬化、光沢、耐摩耗 | 移行、臭気、開始剤残渣、脱墨性及び食品接触規制を確認する。 |
| 木工・建築 | 床、家具、化粧板、建材表面 | ◎ | 耐擦傷、耐汚染、高光沢又は艶消し | 木材水分、目止め、膜割れ、屋外耐候及び現場照射安全を確認する。 |
| 医療・歯科 | 接着、封止、歯科修復、光造形 | ○ | 短時間硬化、透明性、精密成形 | 生体適合、抽出物、残留モノマー、滅菌耐久及び最終製品評価が必要である。 |
| 食品機械 | 保護コート、表示部、非直接接触部 | △ | 耐汚染、平滑性、短時間補修 | 直接接触、熱水、アルカリ洗浄、次亜塩素酸及び溶出規制を確認する。 |
| 3Dプリント | SLA、DLP、LCD造形 | ◎ | 高速反応、靭性設計、透明又は着色造形 | 収縮、反り、層間強度、洗浄溶剤、二次硬化及び長期耐久性を確認する。 |
| 接着剤 | フィルムラミネート、ガラス、プラスチック、電子部品 | ◎ | 速硬化、柔軟性、透明性、密着 | 光遮蔽部、厚膜、界面汚染、剥離モード及び耐湿熱を確認する。 |
| 複合材料 | ガラス繊維、炭素繊維、天然繊維マトリックス | ○ | 低温・高速硬化、含浸性、靭性 | 粘度、光遮蔽、厚肉硬化、発熱、繊維表面処理及びボイドを確認する。 |
用途別選定
| 用途 | 適性 | 理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ギア・軸受・ブッシュ | × | 通常はバルク摺動部品用材料ではない | 表面耐摩耗コート又は3D造形の試作に限定し、PV値、摩耗粉及び長期荷重を評価する。 |
| チューブ・ホース | △ | 柔軟光硬化配合で形成可能 | 未硬化部、内面照射、抽出物、屈曲疲労及び薬液耐性を確認する。 |
| フィルム・シートコーティング | ◎ | 高速塗工、透明性、耐擦傷及び柔軟性 | 巻取りブロッキング、延伸追従、カール及び層間密着を確認する。 |
| 電気コネクタ・絶縁部品 | ○ | コーティング、封止及び付着防止に有効 | 接点汚染、アウトガス、難燃性、CTI及び長期絶縁を確認する。 |
| 電子部品筐体 | △ | 3D造形又は表面保護に使用可能 | 耐熱、衝撃、難燃、寸法安定及び量産性では熱可塑性樹脂と比較する。 |
| 透明カバー・レンズ | ○ | 透明性及び微細転写性 | 黄変、傷、収縮、複屈折及び長期耐候を確認する。 |
| 自動車内装 | ◎ | 意匠、触感、耐擦傷及び耐薬品を調整できる | 耐サンスクリーン、耐ハンドクリーム、低VOC及びフォギングを確認する。 |
| 自動車外装 | ○ | 脂肪族系で耐候性を設計できる | 長期UV、飛石、熱サイクル、層間密着及び補修性を確認する。 |
| 医療機器部品 | ○ | 精密光造形及び短時間接着 | ISO 10993、抽出物、滅菌、残留モノマー及びロット変更管理が必要である。 |
| 半導体・真空装置 | △ | 局所接着及び保護コートに使用可能 | 低アウトガス、イオン汚染、耐プラズマ、真空紫外線及びパーティクルを確認する。 |
| 接着剤・塗料・コーティング | ◎ | 主要用途である | 基材、硬化深度、酸素阻害、収縮、耐薬品及び法規制を確認する。 |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | ウレタンアクリレートとの違い |
|---|---|---|
| エポキシアクリレート | 高硬度、高反応性、耐薬品性及び密着性に優れる。 | UAは一般に柔軟性、耐衝撃性、伸び及び耐摩耗性を付与しやすい。エポキシアクリレートは硬化収縮及び脆さが大きくなる場合がある。 |
| ポリエステルアクリレート | 比較的低粘度で、硬化性、塗工性及び価格バランスを調整しやすい。 | UAは一般に強靭性、弾性回復、耐摩耗性及び密着性に優れるが、高粘度・高価格になりやすい。 |
| UV硬化樹脂 | アクリレート、メタクリレート、エポキシ、ビニルエーテル等を含む総称である。 | UAはUV硬化樹脂を構成する代表的オリゴマーの一種である。 |
| ポリウレタン | 二液型、湿気硬化型、水系、フォーム、エラストマー等を含む広い材料群である。 | UAはアクリレート基を持ち、UV・EBで高速架橋できる。一般的なPUはNCO反応、熱又は湿気で硬化する場合が多い。 |
| 熱可塑性ポリウレタン | 溶融成形可能な熱可塑性エラストマーである。 | UA硬化物は三次元架橋体であり、通常は再溶融成形できない。 |
| ポリメタクリル酸メチル | 高透明、高耐候の熱可塑性アクリル樹脂である。 | PMMAはペレット、板及び成形品として使用される。UAは液状反応性樹脂であり、硬化膜、接着層及び光造形物を形成する。 |
| エポキシ樹脂 | 熱硬化性、接着性、電気絶縁性及び耐薬品性に優れる。 | 一般的なエポキシは熱又は硬化剤反応で硬化する。UAは高速光硬化に適し、柔軟性を設計しやすい。 |
| シリコーンゴム | 耐熱、低温、耐候、撥水及び低表面エネルギーに優れる。 | UAは機械強度、耐摩耗、密着及び高速硬化に優れる。シリコーンは接着性及び耐摩耗性で不利な場合がある。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 東亞合成株式会社 | ARONIX(アロニックス)ウレタンアクリレート | 特殊アクリレート、ウレタンアクリレート及びポリエステルアクリレートを展開する。二官能品等があり、塗料、接着剤、光学及び電子用途で使用される。 |
| DIC株式会社 | LUXYDIR | 溶剤型、無溶剤型及び水系を含むUV硬化型ウレタンアクリレートを展開し、プラスチック、金属、光学フィルム、自動車及び電子用途に用いられる。 |
| allnex | EBECRYL | 脂肪族・芳香族、二官能・多官能、低黄変、低粘度、ハードコート、柔軟及びバイオベース等の幅広いウレタンアクリレートを展開する。 |
| IGM Resins | PHOTOMER | UV・EB硬化用ウレタンアクリレートオリゴマーを展開し、木工、プラスチック、金属、インキ、接着剤及び3Dプリント用途に供給する。 |
製品選定では、ブランド名だけでなく、脂肪族又は芳香族、ポリオール骨格、官能基数、分子量、希釈剤、粘度、色相、酸価、残存NCO、硬化膜物性、各国化学物質登録及び用途別認証を確認する必要がある。
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用途決定前に推奨する確認試験
- 実薬品浸漬試験:実薬品濃度、使用温度、24時間、168時間及び長期条件で、質量、寸法、硬度、色差及び密着を確認する。
- 応力負荷下試験:実基材に曲げ又は引張応力を与え、塗工液、洗浄剤及び使用薬品によるクラック又は剥離を確認する。
- 硬化度評価:FT-IR転化率、ゲル分率、溶剤ラブ、表面べたつき、鉛筆硬度及び膜厚方向の硬化均一性を確認する。
- 高温高湿・加水分解試験:85℃・85%RHで500~2000時間、又は実使用の熱水条件で、白化、膨れ、強度及び密着保持率を確認する。
- 促進耐候試験:キセノンアーク又はサンシャインウェザーメーターで、色差、黄変度、光沢及びクラックを確認する。
- ヒートサイクル試験:基材との線膨張差を考慮し、低温から高温までの反復で反り、クラック及び層間剥離を確認する。
- アウトガス・抽出物試験:電子、光学、医療及び包装用途では、GC-MS、ヘッドスペース、TGA、溶出及び移行試験を実施する。
- 実成形・実部品耐久試験:実際の照射装置、ライン速度、膜厚、基材、温度、湿度、荷重及び応力条件で最終確認する。
本ページの評価は材料群としての一般的な傾向である。実使用では、個別グレード、配合、膜厚、基材、前処理、照射波長、照度、積算光量、酸素濃度、後硬化、温度、湿度、薬品濃度、荷重、応力、接触時間及び法規制を確認する必要がある。