概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | シリコーン |
| 略記号 | SI、Silicone。ゴムではVMQ、PVMQ、FVMQ、液状ゴムではLSR、代表ポリマーではPDMSを用いる。 |
| IUPAC | Poly(dimethylsiloxane)を代表とするpolyorganosiloxane類 |
| 英語名 | Silicone / Polysiloxane / Polyorganosiloxane |
| 日本語名 | シリコーン、ポリシロキサン、有機ケイ素系ポリマー。形態によりシリコーンゴム、シリコーン樹脂、シリコーンオイル、シリコーンゲルとも呼ばれる。 |
| 分類 | 有機ケイ素系ポリマー、ポリシロキサン系材料 |
| プラスチック分類 | 単一のプラスチックではなく、熱硬化性エラストマー、熱硬化性樹脂、液状樹脂、オイル、ゲルを含む材料群 |
| 化学式・代表構造 | 主鎖:-Si-O-Si-、PDMSの代表構造単位:-[Si(CH3)2-O]-n |
| CAS No. | 63148-62-9(ポリジメチルシロキサンの代表例。組成、末端基、分子量により別CASとなる場合がある) |
| 構造・主成分 | シロキサン結合を主鎖とし、メチル基、フェニル基、ビニル基、フルオロアルキル基等を側鎖又は架橋点として持つ。 |
| 主な用途 | シール、ガスケット、Oリング、チューブ、電線被覆、医療・食品用途部品、電子封止、熱伝導材、接着剤、シーラント、離型剤、塗料・コーティング等 |
シリコーンは、ケイ素原子と酸素原子が交互に結合したシロキサン結合を主鎖に持つ有機ケイ素系ポリマーの総称である。一般的な有機高分子が炭素-炭素結合を主骨格とするのに対し、シリコーンは-Si-O-Si-骨格を持つため、耐熱性、耐寒性、耐候性、電気絶縁性、撥水性及び低表面エネルギーを示す。
シリコーンは単一材料ではなく、シリコーンオイル、シリコーンゴム、液状シリコーンゴム、シリコーン樹脂、ゲル、接着剤、シーラント、コーティング剤等を含む材料群である。材料選定では、ポリマー骨格だけでなく、側鎖、分子量、架橋方式、補強シリカ、フィラー、触媒、硬化条件及び後硬化条件を区別する必要がある。
一般的なシリコーンゴムは-50℃程度から150~200℃程度まで使用されるが、連続使用限界はグレード、空気中又は密閉中、圧縮状態、油・薬品接触、荷重及び寿命要求で変わる。実使用では、グレード、温度、濃度、荷重、応力、湿度、時間、試験片形状及び成形条件を確認する必要がある。
特徴
長所
- 耐熱性及び耐寒性に優れ、広い温度範囲で弾性を維持しやすい。
- 紫外線、オゾン、酸素及び屋外曝露に対する耐候性が高い。
- 電気絶縁性に優れ、絶縁、封止、防水及び応力緩和に適する。
- 透明、半透明、着色、難燃、熱伝導、導電、自己接着等の機能設計が可能である。
- 食品接触及び医療用途向けの個別適合グレードが存在する。
短所
- 芳香族・脂肪族炭化水素、燃料、塩素系溶剤及び同系シリコーンオイルで膨潤しやすい。
- 一般に耐摩耗性、引裂強さ及び機械強度は、NR、PU、NBR等に劣る場合がある。
- 低表面エネルギーのため、接着、塗装、印刷及びめっきには表面処理又はプライマーを要することが多い。
- 低分子環状シロキサン及び未反応成分の移行、アウトガス、接点障害、塗装はじきに注意を要する。
- 架橋後は再溶融できず、熱可塑性樹脂のようなマテリアルリサイクルは難しい。
外観
標準グレードは透明、半透明、乳白色又は白色が多い。顔料、カーボン、難燃剤、アルミナ、窒化ホウ素等の配合により、黒色、灰色、各種着色、導電、熱伝導等の外観と機能に調整される。
耐熱性
標準VMQの連続使用温度は一般に150~200℃程度が目安である。耐熱配合では200℃を超える場合があるが、高温での硬化、脆化、質量減少、圧縮永久ひずみ及び接着界面劣化を評価する必要がある。
耐薬品性
常温の水、希薄酸、希薄アルカリ、アルコール及び多価アルコールには比較的安定である。一方、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、燃料及び塩素系溶剤では膨潤しやすい。耐薬品性はSP値だけでなく、架橋密度、充填材、薬品反応性、温度、濃度、応力及び時間で判定する。
加工性
ミラブル型HCRは圧縮、トランスファー及び押出成形、LSRは射出成形、RTV及びゲルは注型、接着、シーリング及びポッティングに適する。熱可塑性樹脂のような再溶融成形は一般にできない。
分類上の注意
「シリコーン」は材料群名であり、物性表には対象形態を明記する必要がある。本ページの数値比較は、原則として非発泡、非導電、非熱伝導の標準的な架橋シリコーンゴムを中心とし、オイル、樹脂、ゲル及び特殊高充填材は別材料として扱う。
構造式
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 代表的な構造単位 | -[Si(CH3)2-O]-n |
| 主鎖構造 | -Si-O-Si-O-Si-O- |
| 代表材料 | ポリジメチルシロキサン(PDMS) |
| モノマー・中間体 | ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアルコキシシラン、環状シロキサンD3~D6等 |
| 変性・共重合 | メチルビニル、メチルフェニル、フロロアルキル、アミノ、エポキシ、ポリエーテル、長鎖アルキル等 |
| 構造上の要点 | 側鎖、分岐度、M・D・T・Q単位比、分子量、末端基及び架橋密度が、粘度、硬度、耐熱、耐寒、耐油、屈折率及び反応性を左右する。 |
種類・代表グレード
| 種類の名称 | 主成分又は特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| シリコーンオイル | 低~中分子量PDMS等の液状ポリマー | 耐熱性、粘度温度特性、離型性、撥水性 | 移行、塗装はじき、接点障害 | 潤滑、離型、消泡、化粧品、熱媒体 |
| シリコーンゴム | 架橋したVMQ、PVMQ、FVMQ等 | 耐熱、耐寒、耐候、電気絶縁 | 耐摩耗、引裂、燃料膨潤 | シール、チューブ、電線、キーパッド |
| 液状シリコーンゴム | 2液付加硬化型LSRが代表 | 自動射出成形、精密成形、低バリ化 | 専用設備、触媒毒、金型管理 | 医療、食品、電気電子、精密シール |
| RTVシリコーン | 1液又は2液の常温硬化系 | 現場施工、接着、シール、注型 | 深部硬化、副生成物、接着性管理 | シーラント、接着、型取り、封止 |
| シリコーン樹脂 | T、Q単位を含む三次元架橋性樹脂 | 耐熱、耐候、絶縁、撥水 | 硬化収縮、脆性、再加工不可 | 耐熱塗料、絶縁ワニス、ハードコート |
| シリコーンゲル | 低架橋密度の柔軟架橋体 | 応力緩和、防水、絶縁、柔軟性 | 機械強度、汚染、粘着 | 電子封止、医療パッド、振動吸収 |
| フロロシリコーン | フルオロアルキル基含有シロキサン | 一般VMQより耐燃料・耐油性が高い | 高価格、低温性・加工性は配合依存 | 燃料系シール、航空・自動車部品 |
代表グレード区分
| グレード区分 | 主な改質方法 | 代表的特徴・物性への影響 | 主用途 |
|---|---|---|---|
| 非強化・標準 | 補強シリカ、架橋剤を基本配合 | 基準となる弾性、耐熱、絶縁性 | 一般シール、チューブ、成形品 |
| 高引裂・高強度 | 高比表面積シリカ、架橋設計最適化 | 引裂強さ、引張強さを向上 | 薄肉膜、ダイヤフラム、複雑成形品 |
| 耐熱 | 熱安定剤、酸化鉄、架橋設計 | 長時間高温での硬化・脆化を抑制 | 高温ガスケット、オーブン部品 |
| 難燃 | 難燃助剤、白金系難燃化等 | UL 94 V-0等の認証グレードが存在 | 電気電子、鉄道、航空用途 |
| 熱伝導 | アルミナ、窒化ホウ素等を高充填 | 熱伝導率を向上、一般に硬度・密度も上昇 | TIM、放熱シート、封止材 |
| 導電・帯電防止 | カーボン、金属、導電フィラー | 体積抵抗率を低下 | EMI、接地、静電気対策 |
| 低圧縮永久ひずみ | 架橋密度、フィラー、後硬化を最適化 | 長期シール性を向上 | Oリング、ガスケット |
| 食品接触・医療 | 抽出物、触媒、揮発分を管理 | 適合証明を取得した個別グレードが存在 | 食品機械、医療機器、乳幼児用品 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 理由・主な注意点 |
|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | LSR又は射出用HCRに適する。混合比、金型温度、硬化時間、バリ、触媒毒を管理する。 |
| 押出成形 | ◎ | チューブ、ホース、異形材、電線被覆に適する。熱風、塩浴、マイクロ波等で連続加硫する。 |
| 圧縮成形 | ◎ | ミラブル型のシート、ガスケット、厚肉品、小ロット品に適する。 |
| トランスファー成形 | ○ | インサートや複雑形状に適するが、ランナー損失と硬化時間を要する。 |
| ブロー成形 | × | 熱可塑性樹脂のような再溶融ブロー成形には一般に適さない。 |
| 真空・圧空成形 | × | 架橋後シートの再加熱賦形には一般に適さない。 |
| 注型・ポッティング | ◎ | RTV、ゲル、低粘度付加硬化系で広く用いる。脱泡と硬化阻害に注意する。 |
| 3Dプリント | △ | 専用の押出・DIW・光硬化シリコーン系で可能であるが、一般材料では設備と材料が限定される。 |
| 切削加工 | △ | 柔軟ゴムは変形しやすい。凍結加工、支持治具、鋭利な工具が必要となる場合がある。 |
| 接着・二次接合 | △ | 低表面エネルギーのため、専用プライマー、自己接着グレード、未硬化材同士の架橋接合を検討する。 |
| 塗装・印刷 | △ | コロナ、プラズマ、フレーム処理又はプライマーが必要となることが多い。 |
| インサート成形 | ◎ | LSRで金属・樹脂インサートへ成形可能。接着仕様では基材耐熱性とプライマーを確認する。 |
成形条件の一般的な目安
| 項目 | 単位 | 一般的な目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 予備乾燥 | - | 通常は不要又はグレード指定 | LSRは吸湿乾燥よりA/B液の保管、温度、異物及び混合比管理が重要である。 |
| HCRロール混練温度 | ℃ | 室温~50程度 | スコーチ、過混練、フィラー分散及び架橋剤添加順を管理する。 |
| LSR供給温度 | ℃ | 15~25 | 配管内硬化を防ぐため低温側で管理する。 |
| LSR金型温度 | ℃ | 140~200 | 硬化速度、肉厚、離型、バリ及びインサート耐熱性で調整する。 |
| HCR圧縮成形金型温度 | ℃ | 150~190 | 架橋剤、厚さ、製品形状により異なる。 |
| 射出圧力 | MPa | 20~100程度 | 材料粘度、ゲート、製品形状及び成形機仕様に依存する。 |
| 硬化時間 | s~min | 肉厚及び温度依存 | 中心部硬化、バリ、型内圧及び離型性を確認する。 |
| 二次加硫 | ℃×h | 150~200℃×2~8h程度 | 揮発分、臭気、圧縮永久ひずみ、食品・医療要求に応じ、メーカー指定を優先する。 |
| 成形収縮率 | % | 1.5~4.0 | 架橋系、フィラー、金型温度、後硬化及び製品形状に依存する。 |
| 滞留時間 | - | 短く管理 | 付加硬化LSRは混合後の高温滞留、HCRは局所過熱を避ける。 |
品質・成形不良
| 不良 | 主な原因 | 材料側の要因 | 成形条件側の要因 | 主な対策 |
|---|---|---|---|---|
| 未硬化・硬化不足 | 触媒毒、混合不良、温度不足 | 白金触媒阻害物、A/B比異常 | 金型温度不足、硬化時間不足 | 硫黄、アミン、スズ、リン化合物等の混入防止、混合比・温度確認 |
| 気泡・ボイド | 混入空気、揮発分、水分 | 低粘度、充填材水分、反応副生成物 | 脱泡不足、急速加熱 | 真空脱泡、低水分管理、注型速度及び硬化プロファイル最適化 |
| バリ | 低粘度、型締不足 | LSR粘度、硬化速度 | 金型隙間、射出圧過大 | 金型精度、型締力、射出速度及びゲート最適化 |
| ウェルド・接合不良 | 流動合流、表面汚染 | 自己接着性不足 | 金型温度、流動バランス不良 | ゲート設計、表面洗浄、プライマー又は自己接着グレード採用 |
| 変色・黒点 | 過熱、異物、金属汚染 | 顔料・触媒・充填材の熱安定性 | 滞留、局所過熱、設備汚染 | 滞留短縮、設備洗浄、温度均一化、原料ろ過 |
| 離型不良 | 金型表面、硬化不足、過接着 | 自己接着グレード、低分子成分 | 離型温度不適、抜き勾配不足 | 金型表面処理、硬化条件、抜き勾配及び離型剤を最適化 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下は非発泡、非導電、非熱伝導の標準的な架橋シリコーンゴムを中心とした代表値又は代表範囲である。比較機能へ登録する場合、代表値、下限、上限、単位、規格、材料状態及びグレード区分を分離して格納する。
| 項目 | 単位 | 代表値 | 代表範囲 | 試験規格 | 試験条件 | 材料状態・グレード | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 1.05 | 1.05~1.30 | ISO 1183相当 | 23℃ | 標準VMQ、補強シリカ配合 | 熱伝導・難燃配合では1.5~3.2程度まで上昇し得る。 |
| 比重 | - | 1.05 | 1.05~1.30 | 代表値 | 23℃ | 標準VMQ | 密度と同傾向である。 |
| 硬度 | Shore A | 50 | 20~80 | ISO 7619-1相当 | 23℃ | 標準VMQ | ゲル、スポンジ、超軟質、硬質配合を除く。 |
| 引張強さ・破断 | MPa | 8 | 4~12 | ISO 37相当 | 23℃ | 標準VMQ | 配合、二次加硫、試験片形状で変動する。 |
| 引張破断伸び | % | 400 | 150~700 | ISO 37相当 | 23℃ | 標準VMQ | 高伸びLSRでは700%超の例もある。 |
| 引裂強さ | kN/m | 25 | 10~50 | ISO 34-1相当 | 23℃ | 標準VMQ | 高引裂グレードでは50kN/m超の例がある。 |
| 100%引張応力 | MPa | 1.5 | 0.5~3.5 | ISO 37相当 | 23℃ | 標準VMQ | 硬度及び架橋密度に依存する。 |
| 圧縮永久ひずみ | % | 20 | 5~40 | ISO 815-1相当 | 条件依存 | 標準VMQ | 温度、時間、圧縮率、後硬化条件を必ず併記して比較する。 |
| ガラス転移温度 | ℃ | -115 | -125~-105 | DSC/DMA代表値 | - | PDMS系 | フェニル・フルオロ置換で変化する。 |
| 融点 | ℃ | 該当なし | 該当なし | - | - | 架橋体 | 架橋シリコーンは再溶融せず、加熱で劣化又は分解する。 |
| 連続使用温度・上限 | ℃ | 180 | 150~200 | メーカー熱老化評価 | 空気中 | 標準VMQ | 耐熱グレードでは200℃超の例がある。密閉、蒸気、油中では別評価が必要である。 |
| 低温使用限界 | ℃ | -50 | -60~-40 | 代表値 | - | 標準VMQ | PVMQではより低温まで弾性を保持する場合がある。 |
| 熱伝導率 | W/(m・K) | 0.20 | 0.15~0.30 | 代表値 | 23℃ | 標準VMQ | 高熱伝導配合では0.8~5以上の例がある。 |
| 線膨張係数 | 10⁻⁵/K | 25 | 20~35 | 代表値 | - | 標準VMQ | 金属・樹脂との接合部では熱膨張差を考慮する。 |
| 吸水率・24時間 | % | 0.2 | 0.05~0.5 | ISO 62相当 | 23℃水 | 標準VMQ | 充填材及び表面状態により変動する。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1×10¹⁵ | 1×10¹⁴~1×10¹⁶ | IEC 60093相当 | 23℃ | 絶縁グレード | 導電グレードは別物性として扱う。 |
| 絶縁破壊強さ | kV/mm | 20 | 15~30 | IEC 60243相当 | 23℃ | 絶縁グレード | 厚さ、電極、周波数、温湿度に依存する。 |
| 比誘電率・1 MHz | - | 3.0 | 2.8~3.5 | IEC 60250相当 | 23℃ | 標準VMQ | フロロシリコーン、熱伝導配合では上昇し得る。 |
| 誘電正接・1 MHz | - | 0.003 | 0.001~0.01 | IEC 60250相当 | 23℃ | 標準VMQ | 配合、周波数、温度、吸湿に依存する。 |
| UL 94燃焼性 | 等級 | グレード依存 | HB~V-0等 | UL 94 | 厚さ依存 | 個別認証グレード | 材料群として一律の等級ではない。UL Yellow Cardを確認する。 |
特殊配合グレードの物性傾向
| グレード | 密度 g/cm³ | 硬度 Shore A | 引張強さ MPa | 伸び % | 熱伝導率 W/(m・K) | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 標準VMQ | 1.05~1.30 | 20~80 | 4~12 | 150~700 | 0.15~0.30 | 基準となる一般配合。 |
| LSR | 1.05~1.20 | 10~80 | 5~12 | 200~800 | 0.15~0.30 | 射出成形条件、触媒毒、後硬化条件で変動する。 |
| FVMQ | 1.30~1.60 | 40~80 | 5~10 | 100~400 | 0.15~0.30 | 燃料・油に有利だが、低温性と価格を確認する。 |
| 熱伝導配合 | 1.5~3.2 | 30~90 | 2~8 | 30~400 | 0.8~5以上 | 高充填により硬度、粘度、比重、伸び及び接着性が変化する。 |
| シリコーンスポンジ | 0.2~0.8 | - | データなし | データなし | 0.05~0.10 | セル構造、圧縮率、独立気泡率及び吸水を確認する。 |
燃焼性・難燃性
シリコーンは炭化水素系ゴムより燃焼後にシリカ状残渣を形成しやすいが、材料群全体が難燃認証を持つわけではない。UL 94、LOI、GWIT、GWFI及び鉄道・航空燃焼規格は、グレード、色、厚さ及び製造拠点ごとに証明書を確認する必要がある。
寸法精度・設計特性
- ゴム弾性体であるため、短時間の引張強さを設計許容応力として直接使用しない。
- 圧縮シールでは圧縮率、圧縮永久ひずみ、温度、薬品及び寿命を組み合わせて設計する。
- 線膨張係数が金属及び多くの硬質樹脂より大きいため、接着界面及びインサート周辺の熱応力に注意する。
- 薄肉部、ノッチ、ウェルド、切欠き及びバリ根元は引裂起点となり得る。
- 安全率は温度、時間依存性、ばらつき、劣化及び成形履歴を含めて設定する。
耐薬品性
以下は標準VMQを想定した一般的な傾向である。耐薬品性は、濃度、温度、接触時間、浸漬又は飛沫、応力、圧縮率、架橋密度、充填材及び後硬化条件で変化する。
| 分類 | 薬品名 | 濃度 | 温度 | 接触条件 | 応力 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | 純水・水道水 | - | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | ◎ | 影響は比較的小さい | 高温水、蒸気では別評価が必要である。 |
| 温水 | 水 | - | 80℃ | 168h浸漬 | 無 | ○ | 硬度・強度変化、加水分解 | 架橋系、充填材、抽出物を確認する。 |
| 水蒸気 | 飽和蒸気 | - | 100℃以上 | 長時間 | 有 | △ | 膨潤、物性低下、圧縮永久ひずみ | EPDM等との比較が必要である。 |
| 塩酸 | HCl | 10% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | ○ | 表面変化、長期劣化 | 高濃度・高温は避ける。 |
| 硫酸 | H₂SO₄ | 10% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | ○ | 長期で硬化・脆化の可能性 | 濃硫酸では不適となる場合が多い。 |
| 硝酸 | HNO₃ | 10% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | △ | 酸化、硬化、変色 | 濃度・温度上昇で急速に悪化し得る。 |
| 酢酸 | CH₃COOH | 10% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | ○ | 軽微な膨潤又は抽出 | 高温・濃酢酸は確認する。 |
| 水酸化ナトリウム | NaOH | 10% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | ○ | 長期でシロキサン結合劣化 | 高濃度・高温では△~×となり得る。 |
| アンモニア水 | NH₃ | 10% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | ○ | 軽微な物性変化 | 触媒残渣、充填材の影響を確認する。 |
| エタノール | EtOH | 95% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | ◎ | 影響は比較的小さい | 長期シールでは体積変化を測定する。 |
| IPA | 2-propanol | 99% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | ○ | 軽微な膨潤又は抽出 | 洗浄用途では乾燥後物性も確認する。 |
| グリセリン | 多価アルコール | 99% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | ◎ | 影響は比較的小さい | 添加物を含む製品は個別確認する。 |
| アセトン | ケトン | 99% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | △ | 膨潤、抽出、硬度変化 | 短時間洗浄と長期浸漬を分けて評価する。 |
| MEK | ケトン | 99% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | △ | 膨潤、軟化 | 長期シール用途では不適となる場合がある。 |
| 酢酸エチル | エステル | 99% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | △ | 膨潤、軟化 | 配合及び架橋密度の影響が大きい。 |
| トルエン | 芳香族炭化水素 | 99% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | × | 著しい膨潤、強度低下 | 一般VMQには不向きである。 |
| n-ヘキサン | 脂肪族炭化水素 | 99% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | × | 著しい膨潤 | PDMSとSP値が近い。 |
| ジクロロメタン | ハロゲン化炭化水素 | 99% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | × | 著しい膨潤・軟化 | 一般VMQには不向きである。 |
| ガソリン | 燃料 | 市販相当 | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | × | 膨潤、抽出、強度低下 | FVMQ又はFKMを比較する。 |
| 鉱物油 | 潤滑油 | 製品依存 | 100℃ | 168h浸漬 | 有 | △ | 膨潤、圧縮永久ひずみ | 油種、添加剤、温度により大差がある。 |
| シリコーンオイル | PDMS | 製品依存 | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | △ | 同系溶解・膨潤、移行 | 粘度及び架橋密度を確認する。 |
| 次亜塩素酸ナトリウム | NaClO | 0.1% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | ○ | 酸化、変色 | 有効塩素濃度、pH、温度を確認する。 |
| 過酸化水素 | H₂O₂ | 30% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | △ | 酸化、硬化、表面変化 | 濃度・温度・金属触媒汚染に注意する。 |
| 塩水・海水 | NaCl水溶液 | 3.5% | 23℃ | 168h浸漬 | 無 | ◎ | 影響は比較的小さい | 金属接合部の腐食は別途評価する。 |
環境応力・シール評価上の注意
シリコーンは硬質非晶性樹脂の典型的なESCとは異なるが、引張又は圧縮応力下で溶剤膨潤、界面剥離、引裂、圧縮永久ひずみ及び疲労が加速する。Oリング、ダイヤフラム及び接着シールでは、無応力浸漬だけでなく、実圧縮率又は実変形を与えた薬品曝露試験が必要である。
SP値(溶解度パラメータ)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象材料の代表的なSP値 | PDMS:14.9~15.5 MPa1/2程度 |
| 単位 | MPa1/2 |
| 注意 | SP値は物理的な溶解・膨潤傾向の目安であり、架橋密度、反応性、酸化、加水分解、温度、濃度、時間、応力、添加剤抽出及び可塑剤移行を表さない。 |
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
PDMSはSP値が低く、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン等の低極性炭化水素とSP値が近いため、架橋体であっても大きく膨潤しやすい。水及び低級アルコールはSP値差が大きいが、熱水、蒸気、酸化剤等は化学劣化を別に評価する必要がある。
| 薬品名 | 代表SP値 MPa1/2 | PDMSとの差 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| n-ヘキサン | 14.9 | 0.0~0.6 | × | 膨潤しやすい代表的溶剤である。 |
| n-ヘプタン | 15.3 | 0.0~0.4 | × | 燃料系・脂肪族炭化水素との接触に注意する。 |
| シクロヘキサン | 16.8 | 1.3~1.9 | × | 大きな膨潤を生じる場合がある。 |
| キシレン | 18.0 | 2.5~3.1 | × | 芳香族溶剤で膨潤しやすい。 |
| トルエン | 18.2 | 2.7~3.3 | × | 軟化、寸法変化、強度低下に注意する。 |
| 酢酸エチル | 18.6 | 3.1~3.7 | △ | 架橋密度及び温度で評価が変わる。 |
| MEK | 19.0 | 3.5~4.1 | △ | 長時間接触では体積変化を測定する。 |
| アセトン | 20.3 | 4.8~5.4 | △ | 短時間洗浄と長期浸漬を区別する。 |
| IPA | 23.5 | 8.0~8.6 | ○ | 短時間接触では比較的安定な場合が多い。 |
| エタノール | 26.0 | 10.5~11.1 | ◎ | 一般に膨潤しにくい。 |
| 水 | 47.9 | 32.4~33.0 | ◎ | 常温水の目安。蒸気・熱水は化学劣化を別評価する。 |
評価基準:◎非常に良好、○概ね良好、△注意が必要、×不適。最終判定は、体積変化率、質量変化率、硬度変化、引張強さ保持率、伸び保持率、圧縮永久ひずみ及び外観を実測して行う。
製法
原料
代表原料は金属ケイ素、塩化メチル、メタノール、クロロシラン及びアルコキシシランである。工業的には直接法でジメチルジクロロシラン等を合成し、精留、加水分解、縮合、環状体の分離及び開環重合を経てPDMS系ベースポリマーを得る。
代表的な反応式
| 工程 | 代表反応式 | 内容 |
|---|---|---|
| 直接法 | Si + 2CH3Cl → (CH3)2SiCl2 | 銅系触媒存在下でジメチルジクロロシランを主成分とするクロロシラン混合物を得る。 |
| 加水分解 | (CH3)2SiCl2 + 2H2O → (CH3)2Si(OH)2 + 2HCl | 実工程では加水分解と縮合が連続して進み、環状及び直鎖状シロキサンを形成する。 |
| 縮合 | n(CH3)2Si(OH)2 → HO-[Si(CH3)2-O]n-H + (n-1)H2O | シロキサン結合を形成する代表式である。 |
| 環状体開環重合 | nD4 → -[Si(CH3)2-O]4n- | 酸又は塩基触媒で環状シロキサンを平衡重合し、分子量及び末端基を調整する。 |
| 付加硬化 | Si-CH=CH2 + H-Si → Si-CH2-CH2-Si | 白金触媒によるヒドロシリル化であり、LSR及び付加硬化RTVに用いる。 |
| 縮合硬化 | Si-OH + RO-Si → Si-O-Si + ROH | 水分又は触媒により硬化する。脱アルコール、脱オキシム、脱酢酸等の系がある。 |
| 過酸化物硬化 | ビニル基含有ポリシロキサン + 有機過酸化物 → 架橋体 | HCRの代表的加硫方式であり、分解生成物低減のため二次加硫を行う場合がある。 |
コンパウンド及び添加剤
HCRでは高分子量ベースポリマーに補強シリカ、構造制御剤、架橋剤、熱安定剤、顔料等を混練する。LSRではビニルPDMS、Si-H架橋剤、白金触媒、阻害剤、補強シリカ等をA液・B液へ分けて供給する。熱伝導材ではアルミナ、窒化ホウ素等、導電材ではカーボン又は金属フィラーを高充填する。
詳細な利用用途
| 分野 | 主な用途 | 採用理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自動車 | コネクタシール、ガスケット、点火系、ホース、センサ封止、放熱部材 | 耐熱、耐寒、耐候、絶縁、柔軟性 | 燃料、油、LLC、添加剤、低分子シロキサンを確認する。 |
| 電気・電子 | 絶縁、ポッティング、ゲル封止、キーパッド、熱伝導シート | 絶縁、防水、耐熱、応力緩和 | 接点障害、アウトガス、イオン性不純物、難燃認証を確認する。 |
| 機械・設備 | Oリング、ダイヤフラム、チューブ、ベローズ、ロール | 広い温度範囲、耐候、柔軟性 | 摩耗、引裂、溶剤膨潤、圧縮永久ひずみを確認する。 |
| 医療 | チューブ、シール、呼吸回路、カテーテル部材、成形部品 | 柔軟性、透明性、滅菌対応グレード | ISO 10993、USP Class VI、抽出物、滅菌耐久性は個別グレードで確認する。 |
| 食品機械 | ガスケット、ホース、シール、製菓型、調理部品 | 温度範囲、離型性、食品接触適合グレード | 日本食品衛生法、FDA、EU食品接触、臭気、抽出物を確認する。 |
| 建築・設備 | シーラント、ガスケット、防水、耐候コーティング | 耐候、追従性、防水 | プライマー、目地設計、可塑剤移行、汚染、塗装適合性を確認する。 |
| 半導体・真空 | シール、ヒーター周辺部品、封止、チューブ | 耐熱、低粒子化可能、絶縁 | アウトガス、低分子環状シロキサン、金属汚染、プラズマ耐性を確認する。 |
| 塗料・コーティング | 耐熱塗料、離型、撥水、ハードコート、消泡 | 耐熱、耐候、表面機能付与 | 密着、再塗装性、はじき、ブリード、硬化阻害を確認する。 |
用途別選定
| 用途 | 適性 | 理由 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| Oリング・ガスケット | ◎ | 耐熱、耐寒、耐候及び圧縮追従性に優れる。 | 燃料・溶剤膨潤、圧縮永久ひずみ、蒸気を確認する。 |
| チューブ・ホース | ◎ | 押出性、柔軟性、透明性及び温度範囲に優れる。 | 耐圧、キンク、透過性、抽出物及び薬品を確認する。 |
| 電気コネクタシール | ◎ | 絶縁、防水及び温度サイクル耐久性に優れる。 | 低分子シロキサン、接点障害及び圧縮率を確認する。 |
| 軸受・摺動部品 | △ | 低摩擦配合は可能である。 | 耐摩耗性と荷重容量は一般に高くない。 |
| 燃料系部品 | × | 一般VMQは燃料で膨潤しやすい。 | FVMQ又はFKMを比較する。 |
| 蒸気シール | △ | 短時間では使用可能な場合がある。 | 高温蒸気では加水分解及び圧縮永久ひずみを確認する。 |
| 透明カバー・光学 | ○ | 高透明配合及び屈折率調整が可能である。 | 表面傷、ガス透過、黄変、接着及び汚染を確認する。 |
| 医療・食品接触 | ○ | 適合グレードが存在する。 | 材料名だけで適合を断定せず、証明書と接触条件を確認する。 |
| 屋外シール | ◎ | 耐候、耐オゾン及び低温性に優れる。 | 汚染、接着界面、動的疲労を確認する。 |
| 接着剤・シーラント | ◎ | 柔軟性、耐候性及び追従性に優れる。 | 硬化副生成物、プライマー、塗装性及び硬化深さを確認する。 |
注意点・劣化及び故障モード
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 熱酸化劣化 | 酸素、高温、触媒金属 | 150℃超の長時間、薄肉、金属接触 | 硬化、脆化、伸び低下、亀裂 | 耐熱グレード、温度低減、金属汚染防止 | 熱老化後の硬度、引張、伸び、質量変化 |
| 溶剤膨潤 | 低極性炭化水素、燃料、塩素系溶剤 | 長期浸漬、高温、低架橋密度 | 寸法増加、軟化、強度低下、シール抜け | FVMQ/FKM検討、架橋設計、接触回避 | 実薬品浸漬、体積変化、圧縮下試験 |
| 圧縮永久ひずみ | 高温、長時間圧縮、架橋不足 | Oリング、ガスケット、高温油中 | 反力低下、漏れ | 低圧縮永久ひずみ配合、適正圧縮率、後硬化 | ISO 815相当、実温度・時間条件 |
| 引裂・疲労 | ノッチ、薄肉、繰返し変形 | ダイヤフラム、ベローズ、バリ根元 | 亀裂進展、破断 | 高引裂グレード、R付与、バリ低減 | 引裂試験、屈曲疲労、実部品耐久 |
| 接着界面剥離 | 低表面エネルギー、汚染、熱膨張差 | インサート、異材接合、湿熱 | 漏れ、剥離、気密低下 | プラズマ、プライマー、自己接着LSR、界面設計 | 剥離強度、湿熱、ヒートサイクル |
| アウトガス・移行 | 低分子シロキサン、未反応物 | 真空、高温、電子接点、光学部品 | 接点障害、曇り、汚染、塗装はじき | 低揮発グレード、二次加硫、洗浄 | TML/CVCM、GC-MS、接点試験、曇り試験 |
| 蒸気・熱水劣化 | 高温水、加圧蒸気 | オートクレーブ、ボイラー、CIP | 物性低下、膨潤、シール反力低下 | 耐蒸気材比較、温度・時間低減 | 熱水、蒸気、滅菌サイクル試験 |
| プラズマ・放射線劣化 | 活性種、UV、電子線、γ線 | 半導体、滅菌、宇宙用途 | 表面脆化、架橋・主鎖切断、アウトガス | 用途別グレード、遮蔽、交換周期設定 | プラズマ曝露、放射線照射後物性 |
推奨確認試験
- 実薬品濃度及び実温度で168h、500h又は想定寿命相当の浸漬試験を行い、質量、体積、硬度、引張強さ及び伸びを測定する。
- Oリング又はガスケットは、実圧縮率を与えた状態で薬品、温度及びヒートサイクルを負荷し、漏れ、反力及び圧縮永久ひずみを確認する。
- 高温用途は、空気中、密閉中、油中又は蒸気中を区別して熱老化試験を行う。
- 電子、光学及び真空用途は、低分子シロキサン、TML、CVCM、曇り、接点障害及びイオン性不純物を確認する。
- 接着及びインサート成形は、初期強度だけでなく、高温高湿、熱水、薬品及びヒートサイクル後の界面強度を確認する。
法規制・認証
| 項目 | 一般的な考え方 | 確認事項 |
|---|---|---|
| RoHS・REACH・SVHC | 対応可能なグレードが一般に存在する。 | メーカー、グレード、色、添加剤、製造拠点及び最新版証明書を確認する。 |
| PFAS関連規制 | 標準PDMSはフッ素を含まないが、FVMQ及びフッ素変性品は対象範囲の確認が必要である。 | 法域、定義、用途、含有物質及び将来規制を個別確認する。 |
| 日本の食品衛生法・ポジティブリスト | 食品接触用途向け適合グレードが存在する。 | 接触食品、温度、時間、繰返し使用、添加剤及び証明書を確認する。 |
| FDA・EU食品接触 | 適合グレードが存在する。 | 該当条項、使用条件、抽出試験及び製造拠点を確認する。 |
| USP Class VI・ISO 10993 | 医療用途向けグレードで評価例がある。 | 最終医療機器としての生物学的安全性、滅菌及び抽出物評価が必要である。 |
| UL認証 | 難燃・電気用途の個別認証グレードが存在する。 | UL Yellow Card、厚さ、色、RTI、CTI及び製造拠点を確認する。 |
| ハロゲンフリー | 標準PDMSは一般にハロゲン骨格を持たない。 | 難燃剤、顔料、添加剤及びフロロシリコーンを含めて確認する。 |
環境・リサイクル性
架橋シリコーンゴム及びシリコーン樹脂は熱硬化性材料であり、再溶融による通常のマテリアルリサイクルは難しい。粉砕充填材化、熱分解、シロキサン回収等の技術は存在するが、分別、汚染、架橋剤、フィラー及び経済性が課題となる。バイオベースシリコーン又はマスバランス原料の採用例があっても、生分解性又はコンポスト適合を意味しない。
価格・供給性
| 項目 | 相対評価 | 内容 |
|---|---|---|
| 価格帯 | 比較的高価格 | 一般ゴム及び汎用プラスチックより高いことが多い。LSR、医療、光学、FVMQ及び高機能配合はさらに高くなる。 |
| 国内入手性 | 良好 | 複数の国内外メーカー及び加工会社からHCR、LSR、RTV、オイル、樹脂、シート、チューブ等を入手できる。 |
| 少量購入 | 形態依存 | シート、チューブ、RTVは少量入手しやすいが、特注色、医療、自己接着、特殊硬度は最小購入量が大きい場合がある。 |
| 供給形態 | 多様 | コンパウンド、2液材料、1液シーラント、オイル、エマルション、ワニス、シート、スポンジ、チューブ、成形品等がある。 |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | シリコーンとの違い |
|---|---|---|
| シリコーンゴム(VMQ) | 架橋エラストマー、耐熱・耐寒・耐候性 | シリコーン材料群のうち、ゴム成形品に相当する。 |
| 液状シリコーンゴム(LSR) | 2液付加硬化、精密射出成形 | 低粘度で自動成形に適するが、専用設備と触媒毒管理を要する。 |
| シリコーン樹脂 | 硬質三次元架橋、耐熱塗膜・絶縁用途 | ゴム弾性より硬度、耐熱、塗膜形成性を重視する。 |
| シリコーンオイル | 液状PDMS、潤滑・離型・消泡 | 架橋成形体ではなく流体材料であり、移行性を持つ。 |
| EPDM | 耐水、耐蒸気、耐候性に優れる汎用ゴム | コストと水系用途で有利な場合があるが、高温・低温範囲はVMQが広い。 |
| ニトリルゴム(NBR) | 耐鉱物油・燃料性に優れる | 油中ではNBRが有利な場合が多いが、耐候・耐熱・低温性はシリコーンが有利である。 |
| フッ素系材料 | 高耐薬品・高耐熱材料群 | FKMやフッ素樹脂は燃料・溶剤に強いが、低温柔軟性、柔らかさ、透明性ではシリコーンが有利な場合がある。 |
| クロロプレンゴム(CR) | 機械強度、耐候、難燃のバランス | 汎用性と機械強度で有利な場合があるが、200℃級耐熱ではシリコーンが有利である。 |
比較用評価スコア
5は非常に優れる、4は優れる、3は標準的、2はやや劣る、1は劣る、0は評価不能又はデータなしを示す。標準的な架橋シリコーンゴムの一般傾向であり、特殊グレードの最高性能を基準としていない。
| 評価項目 | スコア | 評価理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 3 | 一般ゴムとして標準的であるが、高強度有機ゴムより低い場合がある。 |
| 剛性 | 1 | ゴム状材料であり、構造剛性用途には一般に適さない。 |
| 衝撃吸収 | 5 | 広い温度域で柔軟性と弾性を保持しやすい。 |
| 耐熱性 | 5 | 一般エラストマー中で高い耐熱性を持つ。 |
| 低温特性 | 5 | PDMS系は低いガラス転移温度を持つ。 |
| 耐薬品性 | 3 | 水・極性液体には良好だが、炭化水素・燃料・塩素系溶剤に弱い。 |
| 耐候性 | 5 | 紫外線、オゾン、酸素に対して優れる。 |
| 寸法安定性 | 2 | 熱膨張、圧縮永久ひずみ、クリープに注意を要する。 |
| 低吸水性 | 4 | 一般に低吸水である。 |
| 耐摩耗性 | 2 | 摩耗・引裂に弱い配合が多い。 |
| 電気絶縁性 | 5 | 広い温度域で良好な絶縁性を示すグレードが多い。 |
| 成形加工性 | 4 | LSR、HCR、RTV等の専用工程では良好だが、熱可塑性再成形はできない。 |
| 接着性 | 1 | 未処理表面は接着しにくく、プライマー又は自己接着設計を要する。 |
| リサイクル性 | 1 | 架橋体は再溶融できず、マテリアルリサイクルが難しい。 |
| 価格優位性 | 2 | 一般ゴムより高価格となることが多い。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 信越化学工業株式会社 | KE、KR、KF、Xシリーズ等 | シリコーンゴム、LSR、RTV、オイル、樹脂、各種機能性シリコーンを展開する。 |
| Dow | DOWSIL™、SILASTIC™ | エラストマー、接着剤、シーラント、電子材料、シリコーン流体を世界展開する。 |
| Wacker Chemie AG | ELASTOSIL®、SILRES®、WACKER® | HCR、LSR、RTV、樹脂、エマルション等を展開する。 |
| Momentive Performance Materials | SILOPREN™、TSE、RTV等 | 成形用、電子用、接着・封止用シリコーンを展開する。 |
| Elkem | SILBIONE™、BLUESIL™ | 医療・食品用途、エラストマー、RTV、特殊シリコーンを展開する。 |
| KCC Silicone | KCC Silicone製品群 | シリコーンゴム、オイル、RTV、シーラント等を展開する。 |
製品名、ブランド、供給地域及び販売状況は変更される場合がある。採用時は、メーカー公式資料、現行グレード、認証、供給拠点及び技術データシートを確認する。
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