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概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | アクリルゴム |
| 略記号 | ACM |
| IUPAC | 単一化合物ではなく、アルキルアクリレートを主体とし、少量の架橋点モノマーを含む共重合エラストマー群である。代表構造は poly(alkyl acrylate-co-cure-site monomer) と表現できる。 |
| 英語名 | Acrylic Rubber、Polyacrylate Rubber、Acrylic Elastomer |
| 日本語名・別名 | アクリルゴム、ポリアクリレートゴム、アクリレートゴム |
| 分類 | 合成ゴム、アクリレート系エラストマー、耐熱・耐油性ゴム |
| プラスチック分類 | 一般的なプラスチック、エンジニアリング・プラスチック、スーパーエンジニアリング・プラスチックには分類しない。通常は架橋して使用する熱硬化性エラストマーである。 |
| 化学式・代表構造 | −[CH2−CH(C(=O)−OR)]n− を基本骨格とする。Rはエチル、n-ブチル、2-メトキシエチル等であり、実際には少量の架橋点モノマーを共重合する。 |
| CAS No. | ACM全体を一つのCAS No.で表すことは困難である。モノマー組成、架橋点モノマー、製品登録により異なるため、個別製品のSDSで確認する。 |
| 構造・主成分 | 主鎖は炭素−炭素結合で、側鎖に極性の高いエステル基を持つ。主鎖に二重結合をほとんど持たないため耐オゾン性・耐熱老化性に優れ、エステル基により鉱油・潤滑油に対する耐性を得やすい。 |
| 主な用途 | 自動車用オイルシール、Oリング、ガスケット、パッキン、エンジン・トランスミッション周辺シール、ターボ・エアマネジメントホース、工業用ホース、ゴムロール、接着剤・シーラント改質など。 |
アクリルゴム(ACM)は、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレートなどのアルキルアクリレートを主体に、加硫反応点となる少量のモノマーを共重合した合成ゴムである。一般に耐熱性、耐熱老化性、耐オゾン性、耐候性、高温の鉱物油・潤滑油に対する耐性に優れ、自動車の高温油シールやホースに用いられる。
NBRより高温側の耐熱・耐油用途で有利となる場合が多く、FKMより低コストで性能バランスを取りやすい。一方、低温柔軟性、耐水・耐熱水性、耐燃料性、ケトン・エステルなど極性溶剤への耐性には制約がある。グレードによりエステル側鎖、架橋点、加硫系、可塑剤、補強剤が異なるため、ACMという材料名だけで限界温度や耐薬品性を一律に決めるべきではない。
実使用では、グレード、硬度、加硫系、温度、薬品濃度、油種、燃料組成、荷重、圧縮率、応力、湿度、接触時間、要求寿命を確認し、実液浸漬後の体積変化、硬度変化、引張物性保持率、圧縮永久ひずみ、シール性を評価する必要がある。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 長所 | 耐熱性、耐熱老化性、耐オゾン性、耐候性、高温潤滑油・鉱物油への耐性に優れる。高温下でシール力を維持しやすく、圧縮永久ひずみを低く設計できるグレードがある。 |
| 短所 | 低温柔軟性はシリコーンゴムや一部HNBRより劣る。水・熱水、アルカリ、ケトン、エステル、芳香族溶剤、一部燃料では膨潤、軟化、加水分解又は物性低下に注意する。 |
| 外観 | 未配合ポリマーは白色~淡色のガム状、ベール、クラム等で供給される。実用加硫品はカーボンブラック配合により黒色が多いが、着色配合も可能である。 |
| 耐熱性 | 一般に連続使用の目安は約150~175℃であり、配合・グレードによっては短時間200℃近傍まで検討される。高温油中では空気中とは劣化機構が異なるため、実油試験が必要である。 |
| 耐薬品性 | 鉱物油、潤滑油、ATFなどに良好なグレードが多い。強酸、強アルカリ、高温水、一部の極性溶剤、燃料、ブレーキ液では個別確認が必要である。 |
| 加工性 | ゴム用の圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、押出成形に対応する。熱可塑性樹脂のような再溶融成形はできない。スコーチ、金型汚染、二次加硫、接着処理を管理する。 |
| 分類上の注意 | ACMはアルキルアクリレート主体のアクリルゴムである。エチレンを主鎖に含むAEM(エチレン・アクリルゴム)とは別材料であり、耐寒性、耐油性、加硫系が異なる。 |
構造式
ACMの代表構造は、アルキルアクリレート由来の −CH2−CH(COOR)− 単位を主体とし、少量の架橋点モノマーを含むランダム共重合体として表される。R基の種類と共重合比率は、ガラス転移温度、低温柔軟性、耐油性、加工性に影響する。

| 構成要素 | 化学式・役割 |
|---|---|
| エチルアクリレート(EA) | CH2=CH−C(=O)−O−CH2CH3。ACMの代表的な主モノマーで、耐熱・耐油性の基本骨格を形成する。 |
| n-ブチルアクリレート(BA) | CH2=CH−C(=O)−O−(CH2)3CH3。側鎖を長くしてTgを低下させ、低温柔軟性を改善する方向に働く。 |
| アルコキシアルキルアクリレート | 2-メトキシエチルアクリレート等。低温性、極性、油中膨潤、加工性を調整するため使用される場合がある。 |
| 活性塩素系架橋点 | 少量の塩素含有共重合成分を導入し、金属石鹸/硫黄系などで加硫可能にするタイプがある。 |
| カルボキシル系架橋点 | 少量のカルボキシル官能基を導入し、アミン系などの加硫系を使用するタイプがある。耐熱性、圧縮永久ひずみ、加工性の設計自由度が高い。 |
種類・代表グレード
| 種類・グレード区分 | 主成分・改質方法 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 標準耐熱ACM | EA等を主体とする標準組成 | 耐熱、耐油、耐候性のバランスが良い | 低温性、水・極性溶剤に制約 | オイルシール、ガスケット |
| 耐寒ACM | BA、アルコキシアルキルアクリレート等を利用しTgを低下 | 低温柔軟性を改善 | 油中膨潤や耐熱性とのトレードオフ | 寒冷地シール、ホース |
| 高耐寒ACM | 低Tgモノマー比率を高めた特殊組成 | −40℃級までの低温性能を狙える | 一般耐熱型より耐油・圧縮永久ひずみが不利な場合 | 低温シール、エアホース |
| 活性塩素系 | 塩素系架橋点モノマーを共重合 | 迅速加硫、成形性、実績が豊富 | 金属腐食、加硫系、保管安定性に注意 | 型物、オイルシール |
| カルボキシル系 | カルボキシル架橋点を導入 | 高耐久、圧縮永久ひずみ、耐熱性を設計しやすい | 加硫剤・スコーチ管理が必要 | 高温シール、ホース |
| 押出用 | ムーニー粘度、架橋速度、粘着性を押出向けに調整 | ホース・チューブの形状安定性 | 押出温度と連続加硫条件の最適化が必要 | CACホース、工業ホース |
| 接着剤・シーラント用 | 溶液化・粘着性を利用する特殊グレード | 耐熱・耐油性と弾性を付与 | 溶剤選定、VOC、乾燥管理が必要 | 接着剤、シーラント |
| 難燃・導電・食品・医療 | 配合設計又は特定用途向け製品 | 用途要求に対応可能 | 材料群全体の認証ではない | 個別仕様品 |
代表グレードの考え方
ACMでは、熱可塑性樹脂で一般的なGF強化、CF強化、光学グレードのような区分よりも、耐熱・耐寒性、架橋点種類、ムーニー粘度、押出適性、圧縮永久ひずみ、油中膨潤性でグレードを選定する。ガラス繊維又は炭素繊維を高含有した成形材料は一般的なACMの代表グレードではない。
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 理由・主な注意点 |
|---|---|---|
| 圧縮成形 | ◎ | Oリング、シール、ガスケット等の代表的加工法。金型温度、加硫時間、エア抜き、二次加硫を管理する。 |
| トランスファー成形 | ◎ | 複雑形状、インサート部品に適する。スコーチとランナー残留に注意する。 |
| ゴム射出成形 | ○ | 射出対応コンパウンドで量産性が高い。熱可塑性樹脂用の成形条件とは異なる。 |
| 押出成形 | ◎ | 押出用グレードはホース、チューブに適する。連続加硫、ダイスウェル、表面肌を管理する。 |
| ブロー成形 | × | 一般的な熱可塑性ブロー成形には適さない。 |
| インフレーション成形 | × | 架橋型ゴムであり、熱可塑フィルム成形には適さない。 |
| Tダイフィルム成形 | × | 一般的な熱可塑フィルムとしては成形しない。 |
| 真空成形・圧空成形 | × | 熱可塑性シートの二次成形には不向きである。 |
| カレンダー加工 | ○ | シート、ゴム引布等で使用できる。粘着性、厚み、気泡を管理する。 |
| 切削加工 | △ | 加硫ゴムは変形しやすく、精密切削には不向き。研削又は専用治具を用いる。 |
| 接着 | ○ | 金属接着剤、専用プライマー、加硫接着が使用される。配合剤のブルームと表面清浄度に注意する。 |
| 塗装・印刷 | △ | 表面処理とインキ・塗料選定が必要。可塑剤・離型剤の影響を確認する。 |
| レーザーマーキング | △ | 顔料・カーボンブラックとレーザー波長に依存する。 |
| インサート成形 | ○ | 金属との加硫接着に適用される。金属表面処理と熱膨張差を管理する。 |
| 3Dプリント | △ | 一般的な量産法ではない。特殊ペーストや反応性材料に限られる。 |
代表的な成形条件
| 項目 | 単位 | 一般的な目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 予備乾燥 | - | 通常は樹脂ペレットのような高温乾燥を前提としない | 保管中の水分、凝縮水、異物を避ける。コンパウンド仕様を優先する。 |
| コンパウンド予熱 | ℃ | 必要に応じ40~70 | 流動改善に用いる場合があるが、スコーチを避ける。 |
| 金型温度 | ℃ | 150~190 | 加硫系、肉厚、成形方式により調整する。 |
| 一次加硫時間 | min | 3~20 | 加硫曲線、肉厚、温度で決定する。 |
| 射出圧力 | MPa | 50~150 | ゴム射出機、製品形状、ムーニー粘度に依存。 |
| 二次加硫温度 | ℃ | 150~190 | 高耐熱・低圧縮永久ひずみ用途では実施する場合が多い。 |
| 二次加硫時間 | h | 2~24 | 製品厚さ、配合、要求物性で変動。 |
| 成形収縮率 | % | 1.5~4.0 | 配合、硬度、加硫条件、金型拘束、二次加硫で変わる。代表目安。 |
| 滞留時間 | - | 最小化 | スコーチ、ゲル化、焼け、金型汚染を防ぐ。 |
接合・表面処理適性
| 方法 | 適性 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 熱板・超音波・振動溶着 | × | 加硫ゴムは熱可塑溶着できない。 |
| 接着剤接合 | ○ | ACM対応接着剤、プライマー、表面脱脂を用いる。 |
| 金属加硫接着 | ◎ | 代表的な接合方法。金属前処理、接着剤塗布、加硫条件を管理する。 |
| 機械締結 | ○ | 局部圧縮、クリープ、切欠きに注意し、座面積を確保する。 |
| コロナ・プラズマ処理 | ○ | 接着・印刷の濡れ性改善に有効な場合がある。処理後の経時変化を確認する。 |
| プライマー処理 | ◎ | 金属・樹脂との接着で一般的。加硫系との相性を確認する。 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下は非発泡・加硫ACM配合物の代表範囲であり、特定メーカーの単一グレードを示すものではない。補強剤、可塑剤、架橋点、加硫系、硬度、試験規格、温度により変動する。比較機能では「加硫ACM標準配合物」として扱い、未加硫ポリマー又は特殊配合を混在させないことが望ましい。
物理的・機械的性質
| 項目 | 単位 | 代表値 | 代表範囲 | 試験規格 | 試験条件・材料状態 | 備考 | 信頼度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 1.30 | 1.20~1.40 | ASTM D297相当 | 23℃、加硫配合物 | 充填材量で変動 | B |
| 比重 | 無次元 | 1.30 | 1.20~1.40 | ASTM D297相当 | 23℃、加硫配合物 | 標準配合目安 | B |
| 硬度 | Shore A | 70 | 50~80 | ASTM D2240相当 | 23℃ | シール用途では硬度別グレードあり | A |
| 引張強さ・破断 | MPa | 10 | 7~14 | ISO 37 / ASTM D412相当 | 23℃、加硫配合物 | 補強剤、硬度依存 | A |
| 引張破断伸び | % | 200 | 150~250 | ISO 37 / ASTM D412相当 | 23℃、加硫配合物 | 高硬度で低下 | A |
| 100%引張応力 | MPa | データなし | グレード依存 | ISO 37相当 | 23℃ | 比較には個別配合データを使用 | - |
| 引裂強さ | kN/m | データなし | グレード依存 | ISO 34 / ASTM D624相当 | 23℃ | 形状・配合依存が大きい | - |
| 圧縮永久ひずみ | % | 30 | 5~60 | ASTM D395相当 | 150℃×70 hの代表範囲 | 加硫系と硬度で大幅変動。小さいほど良い | A |
| 曲げ弾性率 | GPa | 該当なし | 一般化困難 | - | - | ゴムでは引張応力、硬度、動的弾性率を用いる | - |
| アイゾット衝撃強さ・ノッチ付き | kJ/m² | 該当なし | 該当なし | - | - | 加硫ゴムの設計指標として通常使用しない | - |
| 吸水率・24時間 | % | データなし | グレード依存 | ISO 62相当 | 23℃水、24 h | ACMは水・熱水影響を受け得るため実測推奨 | - |
熱的性質・電気特性・難燃性
| 項目 | 単位 | 代表値 | 代表範囲 | 試験規格 | 試験条件・備考 | 材料状態 | 信頼度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ガラス転移温度 | ℃ | -25 | -45~-10 | DSC / DMA相当 | モノマー組成で大きく変動。低温型では低い | ベースポリマー | B |
| 融点 | ℃ | 該当なし | 該当なし | - | 非晶性・架橋エラストマーとして明確な融点を持たない | 加硫後 | - |
| 荷重たわみ温度・0.45 MPa | ℃ | 該当なし | 該当なし | ISO 75 | ゴム材料の設計指標ではない | 加硫後 | - |
| 荷重たわみ温度・1.80 MPa | ℃ | 該当なし | 該当なし | ISO 75 | ゴム材料の設計指標ではない | 加硫後 | - |
| 連続使用温度・上限 | ℃ | 175 | 150~175 | 長期耐熱目安 | 空気中又は油中。寿命基準により異なる | 加硫配合物 | A |
| 短時間耐熱温度 | ℃ | 200 | 180~200 | 短時間目安 | 特殊配合では異なる。時間を明示して評価 | 加硫配合物 | B |
| 低温使用限界 | ℃ | -30 | -40~-10 | Gehman/TR相当 | 耐寒グレードで-40℃級。標準品はより高温側 | 加硫配合物 | A |
| 熱伝導率 | W/(m・K) | データなし | グレード依存 | - | 充填材の影響が大きいため一律値を置かない | 加硫配合物 | - |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | データなし | グレード依存 | IEC 60093相当 | カーボンブラック配合で大幅変動。導電配合は別扱い | 乾燥 | - |
| 比誘電率・1 kHz | 無次元 | データなし | グレード依存 | IEC 60250相当 | 配合・周波数・温湿度依存 | 乾燥 | - |
| UL 94燃焼性 | - | 一律評価不可 | グレード依存 | UL 94 | グレード、厚さ、色、難燃剤ごとに認証を確認 | 加硫配合物 | - |
| 限界酸素指数・LOI | % | データなし | グレード依存 | ISO 4589相当 | 材料名だけで難燃性を断定しない | 加硫配合物 | - |
油中物性変化の代表指標
| 項目 | 単位 | 代表範囲 | 条件 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| IRM 901 油中体積変化 | % | -5~5 | 150℃×70 hの代表例 | ACMの鉱油耐性を示す代表指標。配合で変化する。 |
| IRM 903 油中体積変化 | % | 10~60 | 150℃×70 hの代表例 | より膨潤性の高い試験油。耐寒型では膨潤が大きくなる場合がある。 |
寸法精度・設計特性
- 加硫ゴムであるため、剛性樹脂の寸法公差ではなく、ゴム成形品の収縮、バリ、型ずれ、圧縮変形を考慮する。
- 圧縮シールでは短時間引張強さより、圧縮永久ひずみ、応力緩和、熱老化後硬度、媒体中体積変化が重要である。
- 温度上昇で弾性率が低下し、熱膨張も金属より大きいため、溝率、つぶし率、熱膨張逃げを設計する。
- 鋭いノッチ、切欠き、パーティングライン、インサート端部は応力集中源となる。短時間物性値をそのまま設計許容応力に用いない。
耐薬品性
下表は標準的な加硫ACMの一般傾向である。実際の耐薬品性は、モノマー組成、架橋密度、硬度、可塑剤、加硫系、温度、濃度、時間、応力、薬品添加剤によって変化する。特に水・熱水、燃料、ケトン、エステル、強アルカリは個別確認が必要である。
| 薬品・流体 | 濃度 | 温度 | 接触条件 | 応力 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | 純水 | 23℃ | 長時間浸漬 | なし | ○ | 吸水、軟化 | 常温は概ね使用可能だが長期は確認する。 |
| 温水・熱水 | - | 80~100℃ | 長時間 | あり | △ | 吸水、加水分解、物性低下 | 高温水用途はEPDM等と比較する。 |
| 水蒸気 | 飽和蒸気 | 100℃以上 | 反復 | あり | × | 加水分解、硬度変化 | 蒸気シールには通常第一選択としない。 |
| 塩酸 | 10% | 23℃ | 浸漬 | なし | ○ | 長期で物性変化 | 濃酸・高温は実測する。 |
| 硫酸 | 10% | 23℃ | 浸漬 | なし | ○ | 長期劣化 | 高濃度・高温・酸化性条件は不利。 |
| 酢酸 | 10% | 23℃ | 浸漬 | なし | △ | 膨潤、軟化 | 濃度と温度依存。 |
| NaOH | 10% | 23℃ | 浸漬 | なし | △ | エステル結合の加水分解、膨潤 | 高温・高濃度では不適となりやすい。 |
| KOH | 10% | 23℃ | 浸漬 | なし | △ | 加水分解、軟化 | 強アルカリ長期は避ける方向。 |
| エタノール | 原液 | 23℃ | 浸漬 | なし | ○ | 軽度膨潤 | 含水率と温度を確認。 |
| IPA | 原液 | 23℃ | 浸漬 | なし | ○ | 軽度膨潤 | 洗浄接触は比較的良好な場合が多い。 |
| グリセリン | 原液 | 23~80℃ | 浸漬 | なし | ○ | 吸湿、わずかな物性変化 | 高温長期は確認する。 |
| MMB | 原液 | 23℃ | 浸漬 | なし | △ | 膨潤、軟化 | グリコールエーテル系は極性相互作用を確認。 |
| n-ヘキサン | 原液 | 23℃ | 浸漬 | なし | ◎ | 比較的小さい膨潤 | 脂肪族炭化水素に比較的強い。 |
| 鉱物油・エンジン油 | 市販油 | 150℃ | 長時間 | あり | ◎ | 膨潤、硬化 | ACMの代表用途。油添加剤差を確認する。 |
| ATF・ギア油 | 市販油 | 120~175℃ | 長時間 | あり | ◎ | 膨潤、圧縮応力低下 | 実油で評価する。 |
| ガソリン | 市販燃料 | 23~80℃ | 浸漬 | あり | △ | 膨潤、抽出 | 芳香族・含酸素成分で悪化し得る。FKM/NBR/HNBRと比較。 |
| 軽油 | 市販燃料 | 23~100℃ | 浸漬 | あり | ○ | 膨潤 | バイオ成分、添加剤を含む場合は実液試験。 |
| トルエン | 原液 | 23℃ | 浸漬 | なし | × | 大きな膨潤、軟化 | 芳香族溶剤には不利。 |
| キシレン | 原液 | 23℃ | 浸漬 | なし | × | 膨潤、軟化 | 長時間接触を避ける。 |
| アセトン | 原液 | 23℃ | 浸漬 | なし | × | 著しい膨潤、軟化 | ケトン類は一般に不適。 |
| MEK | 原液 | 23℃ | 浸漬 | なし | × | 著しい膨潤 | 溶剤接触用途には不向き。 |
| 酢酸エチル | 原液 | 23℃ | 浸漬 | なし | × | 膨潤、軟化 | エステル類は注意。 |
| ジクロロメタン | 原液 | 23℃ | 浸漬 | なし | × | 膨潤、抽出 | 塩素系溶剤は一般に不利。 |
| エチレングリコール系冷却液 | 50%水溶液 | 80~120℃ | 長時間 | あり | △ | 吸水、軟化、加水分解 | 高温水成分の影響が大きい。 |
| ブレーキ液 | グリコール系 | 23~120℃ | 長時間 | あり | × | 膨潤、軟化 | 通常はEPDM系を優先。 |
| 次亜塩素酸Na | 200~1000 ppm | 23℃ | 反復 | なし | △ | 酸化劣化、表面変化 | 濃度、pH、遊離塩素、温度で変化。 |
| 過酸化水素 | 3% | 23℃ | 短時間 | なし | △ | 酸化劣化 | 高濃度・高温は実測必須。 |
| 塩水・海水 | 3.5% NaCl | 23℃ | 長時間 | なし | ○ | 吸水 | 高温では加水分解を確認。 |
SP値(溶解度パラメータ)
ACMは単一組成ではないためSP値も一定ではない。アルキルアクリレート主体のACMについて、代表的な総SP値δは概ね18.5~20.5 MPa1/2程度を目安とし、比較用代表値として19.5 MPa1/2を用いることができる。ただし、R基、共重合比、架橋度、可塑剤によって変化するため、ACM材料群の確定値として扱わない。
SP値差が小さいほど未架橋ポリマーは相溶・膨潤しやすい傾向を示すが、加硫ACMの耐薬品性は架橋網目、極性、水素結合、加水分解、酸化、添加剤抽出、温度に支配される。したがってSP値だけで耐薬品性を決定してはならない。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
| 溶剤 | SP値 δ MPa1/2 | ACMとの差 (δ=19.5) | SP判定 | 実務上の補正 |
|---|---|---|---|---|
| n-ヘキサン | 14.9 | 4.6 | △ | 架橋ACMでは脂肪族炭化水素・鉱油に比較的良好。SPのみでは過小評価しやすい。 |
| トルエン | 18.2 | 1.3 | × | 実際にも膨潤しやすく、不適となる場合が多い。 |
| 酢酸エチル | 18.2 | 1.3 | × | エステル側鎖との親和性が高く、膨潤に注意。 |
| MEK | 19.0 | 0.5 | × | 一般に強い膨潤・軟化が想定される。 |
| アセトン | 20.0 | 0.5 | × | ケトン類は不適となりやすい。 |
| IPA | 23.5 | 4.0 | △ | 実用上は短時間接触で○となる場合がある。含水・温度を確認。 |
| エタノール | 26.0 | 6.5 | ○ | 常温では比較的良好。高温・含水条件は確認。 |
| エチレングリコール | 29.9 | 10.4 | ◎ | SP上は良好だが、実液では水分と高温による加水分解が支配し得る。 |
| 水 | 47.9 | 28.4 | ◎ | SP差は大きいが、ACMは高温水で化学劣化することがあり、SPだけでは判断不可。 |
評価基準:◎=非常に良好、○=概ね良好、△=注意が必要、×=不適。SP判定は物理的な溶解・膨潤傾向の一次スクリーニングであり、耐薬品性表の実務評価を優先する。
環境応力・劣化の考え方
ACMはPCやPMMAのような典型的ESC樹脂とは異なるが、引張・圧縮応力下で溶剤膨潤、熱老化、加水分解が重なると、シールリップの亀裂、ホース内層の割れ、接着界面剥離が生じることがある。特に高温油中では体積膨潤と圧縮応力緩和、高温水では加水分解、溶剤では膨潤と添加剤抽出を同時に評価する。
製法
ACMは、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、アルコキシアルキルアクリレート等のアクリレートモノマーと、少量の架橋点モノマーを共重合して製造する。工業的には水系の乳化重合が代表的であり、開始剤、乳化剤、分子量調整剤等を用いて反応を制御する。

代表的な共重合反応
一般化すると、n CH2=CH−C(=O)−OR + 少量の架橋点モノマー → −[CH2−CH(C(=O)−OR)]n−(架橋点を含む共重合体)で表される。実際には複数のアクリレートを共重合し、耐寒性、耐油性、Tg、加硫速度を調整する。
重合後のラテックスは凝固、洗浄、脱水、乾燥して原料ゴムとする。成形前にカーボンブラック、シリカ等の補強剤、老化防止剤、加工助剤、可塑剤、加硫剤、促進剤を混練してコンパウンド化する。活性塩素系では金属石鹸/硫黄系等、カルボキシル系ではアミン系等の加硫系が用いられる場合がある。
成形後は一次加硫を行い、要求される圧縮永久ひずみ、耐熱性、抽出物低減に応じて二次加硫を実施する。二次加硫条件が不足すると高温シール性が低下する場合があり、過度な熱履歴は硬化・脆化を招く可能性がある。
詳細な利用用途
| 用途分野 | 適性 | 採用理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自動車オイルシール | ◎ | 高温潤滑油、耐熱老化、圧縮シール性 | 軸周速、偏心、油添加剤、リップ温度を確認 |
| エンジン・トランスミッションガスケット | ◎ | 高温油中でのシール力保持 | 圧縮永久ひずみ、フランジ面粗さ、熱サイクル |
| ターボ/CACホース | ◎ | 高温空気、オイルミスト、耐オゾン性 | 補強布、層間接着、脈動、ブローオイル |
| 一般Oリング | ○ | 高温油用途に適する | 水、燃料、極性溶剤なら他材料と比較 |
| 燃料系シール | △ | 一部燃料には使用可能 | 芳香族、エタノール混合燃料で膨潤しやすい。FKM/HNBRを比較 |
| ブレーキ液シール | × | 一般的には第一選択でない | グリコール系ブレーキ液ではEPDMが一般的 |
| 工業用油圧シール | ○ | 鉱油・作動油と高温に対応しやすい | 耐摩耗、押出破壊、圧力、添加剤を確認 |
| ゴムロール | ○ | 耐熱、耐油、耐候性 | 電気特性、摩耗、表面粗さ、溶剤接触を確認 |
| 接着剤・シーラント | ○ | 柔軟性、耐熱・耐油性を付与 | 溶剤、VOC、乾燥、相溶性を評価 |
| 食品機械シール | △ | 油脂・高温用途で候補 | 食品接触適合は個別グレード証明が必要 |
| 医療機器部品 | △ | 耐熱・弾性が有利な場合 | USP Class VI、ISO 10993、抽出物、滅菌適合を個別確認 |
| 屋外建築ガスケット | ○ | 耐オゾン・耐候性 | 水・低温性ではEPDMが有利な場合が多い |
用途別選定
| 用途 | 適性 | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| ギア・軸受・ブッシュ | × | 柔軟ゴムであり、剛性摺動部品の材料としては通常使用しない。 |
| ローラー | ○ | 耐熱・耐油ロールに適用可能。摩耗、表面電気特性を確認。 |
| ポンプ・バルブのシール | ○ | 油系流体に適する。水・薬品ならEPDM/FKM等と比較。 |
| シール・ガスケット・Oリング | ◎ | 代表用途。高温油、圧縮永久ひずみ、低温を確認。 |
| チューブ・ホース | ◎ | 押出グレードで高温油・エアホースに適する。 |
| フィルム・シート | △ | カレンダーシートは可能だが、熱可塑フィルム用途ではない。 |
| 電気コネクタ・筐体 | × | 剛性部材ではなくシール材として使用する。 |
| 自動車内装・外装 | △ | 単独意匠部材より機能シール用途が中心。 |
| エンジンルーム部品 | ◎ | 高温、オイルミスト、オゾン環境に適する。 |
| 燃料系部品 | △ | 燃料組成によって膨潤。FKM/HNBR/NBRと比較。 |
| 半導体・真空装置部品 | △ | 高純度・低アウトガス用途では専用FKM/FFKM等が一般的。ACMは抽出・アウトガス確認が必要。 |
| 接着剤・コーティング | ○ | 特殊グレードを耐熱・耐油性付与材として利用できる。 |
品質・成形不良
| 不良 | 材料側の要因 | 成形条件側の要因 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| スコーチ | 加硫剤、促進剤、保管履歴 | 高温滞留、せん断発熱 | 混練温度低減、滞留短縮、スコーチ安全性確認 |
| ガス焼け・ボイド | 揮発分、水分、加硫反応ガス | エア抜き不足、急速加硫 | 真空、ベント、予熱、加硫速度調整 |
| ウェルド・接合弱化 | コンパウンド粘度、表面汚染 | 流動不足、低金型温度 | 流動バランス、金型温度、射出速度を調整 |
| バリ | 低粘度、過可塑化 | 型締不足、高圧 | 金型合わせ、射出量・圧力・粘度調整 |
| 離型不良 | 粘着性、加硫不足 | 低温、短時間、金型表面 | 加硫条件、離型処理、金型表面を最適化 |
| 表面荒れ | 分散不良、ブルーム | 押出せん断、ダイス温度 | 配合分散、押出速度、ダイス設計を見直す |
| 金型腐食 | 塩素系架橋点、加硫副生成物 | 凝縮水、清掃不足 | 耐食材、換気、清掃、防錆、加硫系見直し |
注意点・劣化故障モード
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 外観・性能への影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 熱酸化劣化 | 高温・酸素 | 150~200℃長時間 | 硬化、伸び低下、亀裂 | 耐熱グレード、適切な老化防止系 | 熱老化後の引張・硬度・圧縮永久ひずみ |
| 加水分解 | エステル基と水・アルカリ | 高温水、蒸気、強アルカリ | 軟化、強度低下、表面劣化 | 媒体変更又はEPDM/FKM等へ変更 | 80~120℃熱水浸漬、質量・体積・引張保持率 |
| 溶剤膨潤 | SPが近い溶剤 | ケトン、エステル、芳香族溶剤 | 体積増加、軟化、シール力低下 | 耐溶剤材料へ変更 | 実液浸漬70 h以上、体積変化・硬度変化 |
| 低温硬化 | Tg接近 | -10~-40℃ | 弾性低下、漏れ、亀裂 | 耐寒グレード、AEM/VMQ/HNBR比較 | TR10、Gehman、低温圧縮復元 |
| 圧縮応力緩和 | 熱・架橋劣化 | 高温長期シール | 面圧低下、漏れ | 加硫系・二次加硫最適化 | CSR、圧縮永久ひずみ、実シール寿命 |
| 添加剤抽出・ブリード | 油・溶剤との相互作用 | 高温油、洗浄溶剤 | 表面析出、硬度変化、接着低下 | 低抽出配合、可塑剤選定 | 抽出物、質量変化、GC/MS等 |
| 接着界面剥離 | 表面汚染、熱膨張差、加硫不足 | 金属接着シール、熱サイクル | 剥離、漏れ | 表面処理、専用接着剤、加硫条件管理 | 剥離強度、熱サイクル、油中接着耐久 |
| アウトガス | 残留低分子、可塑剤、加硫副生成物 | 真空・高温 | 汚染、曇り、質量減少 | 低アウトガス配合、十分なポストキュア | TML/CVCM又は用途別アウトガス試験 |
推奨確認試験
- 高温油シール:実油150~175℃、70~500 h程度で体積変化、硬度、引張強さ、伸び、圧縮永久ひずみ、シール漏れを確認する。
- 熱水用途:80~120℃の実水又は冷却液で168~1000 h程度の質量・体積・硬度・引張保持率を測定する。
- 低温用途:TR10、Gehman、低温圧縮復元及び実部品漏れ試験を最低使用温度以下で実施する。
- ホース用途:熱老化、油ミスト、圧力脈動、曲げ疲労、層間接着、オゾン及び熱サイクルを組み合わせて評価する。
- 接着・真空用途:接着強度、抽出物、アウトガス、ポストキュア条件を確認する。
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | ACMとの違い |
|---|---|---|
| アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR) | 耐油、耐燃料、耐摩耗性とコストバランスに優れる。 | ACMは高温油・耐候・耐オゾンで有利。NBRは低温性、機械強度、燃料適性、価格で有利な場合が多い。 |
| フッ素ゴム(FKM) | 耐熱、耐油、耐燃料、耐薬品性に非常に優れる高機能ゴム。 | FKMは高温・燃料・溶剤に強いが高価。ACMは高温潤滑油用途でコスト性能が良い。 |
| エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM) | 耐水、耐蒸気、耐候、耐オゾン性に優れる。 | EPDMは水・蒸気・ブレーキ液で有利。ACMは鉱油・潤滑油で大幅に有利。 |
| クロロプレンゴム(CR) | 耐候、難燃、接着、耐油性のバランス型。 | ACMは高温油で優れる。CRは一般耐候・難燃・接着用途で扱いやすい。 |
| シリコーンゴム(VMQ) | 非常に広い高低温域、耐候、電気特性。 | VMQは低温・高温限界に優れるが、一般に耐油・耐摩耗・引裂でACMが有利な場合がある。 |
| 水素化ニトリルゴム(HNBR) | NBRを水素化し、耐熱、耐オゾン、機械強度を向上した高機能ゴム。 | HNBRは機械強度、耐摩耗、低温、高圧用途で有利。ACMは高温潤滑油用途でコスト面が有利な場合がある。個別HNBRページが確認できない場合はNBRページ内のHNBR項目を参照する。 |
| エチレン・アクリルゴム(AEM) | エチレンとアクリレートを主成分とする耐熱・耐油エラストマー。 | AEMは一般に低温性、機械強度、耐熱水性でACMより有利な場合がある。ACMは油中膨潤や高温油シールで有利なグレードがある。個別ページ未確認のためトップページへリンク。 |
| エピクロルヒドリンゴム(ECO) | 耐油、耐燃料、耐オゾン、低ガス透過性を持つ特殊ゴム。 | ECOは燃料・ガスバリアで有利な場合があり、ACMは高温油・耐熱老化で有利。個別ページ未確認のためトップページへリンク。 |
比較用評価スコア
| 評価項目 | スコア | 理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 3 | 一般ゴムとして標準的。HNBR、PU等の高強度材料には劣る。 |
| 剛性 | 2 | 柔軟な加硫ゴムであり、剛性部品向けではない。 |
| 衝撃強度 | 4 | ゴム弾性により衝撃吸収性は高いが、樹脂用衝撃値では評価しない。 |
| 耐熱性 | 4 | 150~175℃級の連続使用が可能な配合があり、一般ゴムより高い。 |
| 低温特性 | 2 | 標準ACMは低温性が弱点。耐寒型で改善可能。 |
| 耐薬品性 | 3 | 油に強いが、極性溶剤、水、アルカリ、燃料には制約。 |
| 耐候性 | 5 | 主鎖に不飽和結合が少なく、オゾン・耐候性に優れる。 |
| 耐加水分解性 | 2 | エステル基を持ち、高温水・アルカリで注意。 |
| 寸法安定性 | 3 | 油中膨潤、圧縮永久ひずみ、温度依存を考慮する。 |
| 低吸水性 | 3 | 常温水では大きな吸水はしにくいが、高温水劣化を考慮。 |
| 摺動性・耐摩耗性 | 3 | シール材として使用可能だが、NBR/HNBR/PU等と比較が必要。 |
| 電気絶縁性 | 3 | 配合依存。カーボンブラックで導電性が大きく変化。 |
| 難燃性 | 2 | 標準ACMを難燃材料とは扱わない。認証グレードを確認。 |
| 透明性 | 1 | 実用配合は不透明が一般的。 |
| 成形加工性 | 3 | ゴム成形には適するが、加硫・二次加硫が必要。 |
| 切削加工性 | 2 | 柔軟で変形しやすく精密切削に不向き。 |
| 接着性 | 4 | 専用プライマーと加硫接着で金属複合品に広く使用。 |
| リサイクル性 | 1 | 加硫後は再溶融できず、マテリアルリサイクルが難しい。 |
| 価格優位性 | 3 | NBRより高価だが、FKMより低価格となることが多い。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 日本ゼオン株式会社 | Nipol® AR | ACMを展開する主要メーカー。耐熱、耐寒、高耐寒タイプ、活性塩素系・カルボキシル系など複数グレードを供給する。 |
| Zeon Chemicals L.P. | HyTemp® ACM | 北米を中心にHyTempブランドを展開。自動車エンジン・トランスミッションシール、ホース、接着剤用途等のACMを供給する。 |
| ユニマテック株式会社 | NOXTITE® | 耐熱・耐油・耐候性のバランスを特徴とするACMを展開し、自動車用シール、ガスケット、ホース、接着剤原料等に使用される。 |
メーカー、ブランド、供給グレード、製造拠点は時期・地域・事業再編により変化する。採用時には最新版TDS、SDS、加硫処方、規制証明、供給状況を確認する。
法規制・認証
| 規制・認証 | 一般的な扱い | 確認事項 |
|---|---|---|
| RoHS・REACH・SVHC | 対応可能なグレードが存在 | 原料ゴムだけでなく、加硫剤、老化防止剤、充填材、顔料を含む最終コンパウンドで確認する。 |
| ELV | 自動車用途で個別確認 | 鉛、カドミウム、水銀、六価クロム等の含有証明を確認。 |
| TSCA | 製品ごとに確認 | 米国輸出ではSDSとインベントリステータスを確認。 |
| FDA食品接触 | 特定配合のみ | ACM材料群全体の適合ではない。配合成分、抽出条件、温度を確認。 |
| 日本食品衛生法・ポジティブリスト | 個別確認 | 最終加硫ゴム製品の材質、添加剤、溶出条件を確認。 |
| USP Class VI・ISO 10993 | 医療用途向け特定製品のみ | 生体適合性、抽出物、滅菌方法、製造拠点を個別確認。 |
| UL認証 | 特定コンパウンド単位 | 材料名だけではUL 94、RTI等を断定できない。 |
| PFAS関連規制 | ACM自体は通常フッ素系ポリマーではない | ただし加工助剤、離型剤、添加剤にフッ素化物が含まれる可能性があるため、最終配合で確認。 |
環境・リサイクル性
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 熱可塑/熱硬化 | 加硫後は熱硬化性エラストマーとして扱う。 |
| マテリアルリサイクル | 再溶融できないため限定的。粉砕ゴムの再配合、再生ゴム化等は用途制約が大きい。 |
| ケミカルリサイクル | 一般的な商業リサイクル手法は限定的。 |
| サーマルリサイクル | 可能であるが、配合剤・加硫剤・排ガス処理を含め地域法規に従う。 |
| バイオベース | バイオ由来エタノールを原料とするエチルアクリレートを利用した製品例がある。 |
| 生分解性 | 一般的なACMは生分解性材料として扱わない。 |
| 識別表示 | 加硫ゴムは熱可塑性プラスチックの樹脂識別コードとは別管理。 |
価格・供給性
| 項目 | 一般的な評価 |
|---|---|
| 価格帯 | 比較的高価格。NBR・EPDM等の汎用ゴムより高いが、FKMより低いことが多い。 |
| 国内入手性 | 自動車・工業用特殊ゴムとして入手可能。汎用NBRほど販売チャネルは広くない。 |
| 供給形態 | 原料ゴム、クラム、ベール、用途別コンパウンド等。成形品はシールメーカー、ホースメーカーから供給される。 |
| 少量購入 | 原料ポリマーは最小ロットが大きい場合がある。コンパウンド又は成形品での調達が現実的な場合が多い。 |
| 特注グレード | 硬度、色、低温性、加硫系、接着、導電、規制対応により特注配合となる場合がある。 |
関連キーワード
アクリルゴム / ACM / Polyacrylate Rubber / エチルアクリレート / ブチルアクリレート / NBR / FKM / EPDM / CR / シリコーンゴム / HNBR / AEM / ECO / ゴム類 / SP値 / 耐薬品性 / オイルシール / Oリング / 圧縮永久ひずみ / 乳化重合 / ゴム射出成形 / 加水分解
本ページの評価は材料群としての一般的傾向である。実使用では、個別グレード、硬度、モノマー組成、架橋点、加硫系、温度、薬品濃度、油種、燃料組成、荷重、応力、湿度、接触時間、試験片形状、成形条件、二次加硫、要求寿命を確認し、実部品での耐久試験を行う必要がある。