概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン・ブロック共重合体 |
| 略記号 | SEPS |
| IUPAC | 単一の厳密なIUPAC名で表すことは困難である。代表的には poly(styrene)-block-poly(ethylene-co-propylene)-block-poly(styrene) と表記される。 |
| 英語名 | Styrene-Ethylene/Propylene-Styrene Block Copolymer、Hydrogenated Styrene-Isoprene-Styrene Block Copolymer |
| 日本語名 | スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロック共重合体、水添SIS、水添スチレン系ブロック共重合体、水添スチレン系熱可塑性エラストマー |
| 分類 | スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、水添スチレン系ブロック共重合体(HSBC) |
| プラスチック分類 | 熱可塑性エラストマーであり、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックには通常分類しない。 |
| 化学式又は代表構造 | PS-b-PEP-b-PS。PSはポリスチレン硬質ブロック、PEPはポリ(エチレン-co-プロピレン)軟質ブロックを示す。 |
| CAS No. | 単一CAS No.で一律に定義できない高分子材料である。製品SDSに記載されたCAS No.を個別に確認する必要がある。 |
| 構造・主成分 | ポリスチレン末端ブロックと、ポリイソプレンを選択的に水素添加して得られるエチレン/プロピレン系中間ブロックからなる。室温ではPSドメインが物理架橋点となり、PEP相がゴム弾性を担う。 |
| 主な用途 | 軟質TPEコンパウンド、粘接着剤、シーリング材、オイルゲル、フィルム、日用品、医療用途向け部材、自動車内装・防振部品、電線被覆、樹脂改質剤、相容化剤。 |
SEPSは、SISのポリイソプレン中間ブロックを選択的に水素添加したスチレン系熱可塑性エラストマーである。末端のポリスチレンブロックが常温で物理架橋点として働き、中央のエチレン/プロピレン系軟質ブロックが柔軟性、低温弾性及び伸びを与える。加熱するとPSドメインが軟化し、一般的な熱可塑性樹脂設備で成形・再加工できる。
未水添SIS又はSBSと比べ、主鎖中の炭素-炭素二重結合が大幅に減少しているため、一般に耐熱老化性、耐候性、耐オゾン性及び色安定性に優れる。一方、芳香族炭化水素、鉱油、燃料油等には膨潤しやすく、耐油シール材としては用途条件を慎重に確認する必要がある。
実用材料はSEPS単体よりも、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロセスオイル、粘着付与樹脂、酸化防止剤、無機充填材等を配合したコンパウンドとして使われることが多い。硬度、強度、圧縮永久ひずみ、表面タック、抽出物、耐薬品性及び法規制適合性は配合に大きく依存する。
特徴
長所
- 常温でゴム弾性を示し、加硫工程なしで熱可塑成形が可能である。
- 未水添SIS・SBSより耐熱老化性、耐候性、耐オゾン性及び低温特性に優れる。
- 軟質化しやすく、オイル配合により低硬度ゲルから硬質TPEまで設計できる。
- ポリオレフィンとの相容性が比較的良好で、PP・PE改質や多層・複合用途に使いやすい。
- 酸、アルカリ、水、低級アルコール及び電気絶縁用途で比較的安定なグレードが多い。
短所
- 芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、鉱油、燃料及び一部塩素系溶剤で膨潤・軟化しやすい。
- 高温ではPS物理架橋が弱まり、剛性、シール力及び耐クリープ性が低下する。
- 単体では難燃性が低く、一般にUL 94 HB相当となることが多いが、等級はグレードと厚さに依存する。
- 低表面エネルギーであり、未処理では接着、塗装、印刷が難しい場合がある。
- 油展グレードではブリード、曇り、抽出、アウトガス、接点汚染に注意が必要である。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 外観 | ベースポリマーは白色~淡色のペレット又はクラム状が一般的である。コンパウンドは透明、半透明又は着色品となる。 |
| 耐熱性 | 未水添TPSより良好であるが、連続使用温度は一般に約70~100℃を目安とし、硬度、荷重、寿命基準及び配合により異なる。 |
| 耐薬品性 | 水、希薄酸、希薄アルカリ、低級アルコールには比較的良好である。炭化水素油、芳香族溶剤、燃料、塩素系溶剤には膨潤しやすい。 |
| 加工性 | 射出、押出、フィルム、ブロー、カレンダー、ホットメルト加工に対応する。高分子量グレードは流動性が低く、加工助剤又はオイル配合が必要な場合がある。 |
| 分類上の注意 | SEPS、SEBS、SEEPS、SEPはいずれも水添スチレン系ブロック共重合体であるが、中間ブロック構造、相容性、オイル保持性、機械特性が異なるため同一材料として扱わない。 |
構造式

| 項目 | 構造・内容 |
|---|---|
| 代表的な構造単位 | PS-b-PEP-b-PS。PEP部分は-CH2-CH2-及び-CH2-CH(CH3)-に相当する構成単位を含む。 |
| モノマー又は構成原料 | スチレン、イソプレン、水素。実製造では炭化水素系溶媒、開始剤、重合停止剤及び水素添加触媒を用いる。 |
| 硬質セグメント | ポリスチレン。室温でガラス状ドメインを形成し、引張強さ、硬度、形状保持及び物理架橋に寄与する。 |
| 軟質セグメント | ポリ(エチレン-co-プロピレン)。柔軟性、伸び、低温弾性、耐候性及びオイルとの親和性に寄与する。 |
| 共重合・変性 | スチレン含有量、ブロック分子量、分子量分布、ジブロック量、残存不飽和度、末端官能基等が調整される。無水マレイン酸、OH基等を導入した官能化品は接着・相容化用途に使われる。 |
種類・代表グレード
| 種類・グレード区分 | 主成分又は改質方法 | 長所・物性への影響 | 短所・注意点 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 非強化・標準SEPS | PS-b-PEP-b-PSベースポリマー | 低温柔軟性、伸び、耐候性、電気絶縁性 | 高温クリープ、油・炭化水素膨潤 | TPEコンパウンド、改質剤、フィルム |
| 高流動グレード | 比較的低分子量又は分子設計調整 | 射出成形、薄肉成形、混練性が良好 | 強度、圧縮永久ひずみ、耐クリープが低下しやすい | 射出成形品、接着剤、シーラント |
| 高分子量グレード | 高分子量・高絡み合い設計 | 引張強さ、耐クリープ、オイル保持性が向上しやすい | 流動性が低く、混練負荷が高い | 高強度コンパウンド、ゲル、フィルム |
| 低硬度・油展グレード | パラフィン系プロセスオイル等を配合 | 低硬度、柔軟性、触感、制振性 | ブリード、抽出、曇り、耐油性低下 | グリップ、ゲル、クッション、日用品 |
| PP/PEコンパウンド | PP又はPE、SEPS、オイル、安定剤 | 成形性、剛性、耐熱性、コストを調整可能 | 相構造と配合で物性幅が大きい | 自動車内装、家電、一般軟質部品 |
| 難燃グレード | リン系、窒素系、無機系等の難燃剤を配合 | UL 94 V等級を取得可能な製品が存在する | 機械特性、色、電気特性、ブリードに影響 | 電線、電子部品、筐体周辺 |
| 耐候グレード | UV吸収剤、HALS、顔料、酸化防止剤 | 屋外色調・強度保持を改善 | 無安定品よりコスト上昇、長期評価が必要 | 屋外グリップ、建材、自動車外装周辺 |
| 食品接触用途向け | 適合原料・添加剤を選定したコンパウンド | 食品接触規制に適合可能なグレードが存在する | 材料名だけでは適合を断定できない | 食品容器部材、パッキン、日用品 |
| 医療用途向け | 低抽出、低臭、滅菌適合性を考慮した配合 | 柔軟性、透明性、PVC代替性 | 滅菌方法、薬液、抽出物、生体適合性の確認が必要 | チューブ、バッグ、シール、グリップ |
| 接着・粘着グレード | 粘着付与樹脂、オイル、酸化防止剤を配合 | ホットメルト加工、柔軟接着、低温タック | 耐熱保持力、移行、臭気、耐油性に注意 | 粘着剤、接着剤、シーリング材 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 主な理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | 一般射出グレード及びコンパウンドは良好 | 高分子量品は流動不足、過熱滞留、ヒケ、離型変形に注意する。 |
| 押出成形 | ◎ | チューブ、異形、シート、電線被覆に適する | ダイスウェル、メルトフラクチャー、冷却変形を管理する。 |
| ブロー成形 | ○ | 高溶融張力グレードで適用可能 | パリソン保持性と肉厚均一性はグレード依存である。 |
| インフレーション成形 | ○ | 弾性フィルム用途に適用される | ブロッキング、ゲージ変動、巻取り張力に注意する。 |
| Tダイフィルム成形 | ◎ | 薄膜・弾性フィルムに適する | ネックイン、ダイライン、熱履歴を管理する。 |
| 真空成形 | △ | シート化できるが弾性回復が大きい | 形状保持、離型、肉厚分布の確認が必要である。 |
| 圧空成形 | △ | 配合・硬度により適用可能 | 深絞り品ではスプリングバックが問題となる。 |
| 圧縮成形 | ○ | 試験片、厚肉品、少量成形に利用可能 | サイクルが長く、量産効率は射出に劣る。 |
| 発泡成形 | ○ | 軽量・緩衝・制振用途に適する | セル安定性、収縮、表面品質を配合と条件で調整する。 |
| 3Dプリント | ○ | 柔軟フィラメント又はペレット方式で可能 | 送材性、糸引き、層間接着、硬度に注意する。 |
| 切削加工 | △ | 硬質グレード・低速加工で可能 | 弾性変形、発熱、バリ、寸法戻りが大きい。 |
| 溶着 | ○ | 熱板、振動、レーザー等を検討可能 | 配合、油分、硬度、相手材との相容性で強度が変わる。 |
| 接着 | △ | 専用プライマー・接着剤で可能 | 低表面エネルギーとオイル移行が接着を阻害する。 |
| 塗装・印刷 | △ | 前処理と専用インキで対応可能 | コロナ、プラズマ、フレーム、プライマー処理を検討する。 |
| めっき | × | 一般的な直接めっきには不向き | 特殊プライマー又は複合設計が必要である。 |
| 二次成形・インサート成形 | ◎ | PP等へのオーバーモールドに適する場合が多い | 相手材、成形温度、表面汚染、収縮差を確認する。 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下は非強化・無充填のSEPSベースポリマー又は代表的なSEPS系コンパウンドの一般的な目安である。SEPSはスチレン含有量、分子量、油展量、ポリオレフィン配合量及び硬度で物性が大きく変わるため、比較機能では材料状態とグレード区分を必ず分離する必要がある。
標準SEPSベースポリマー及び一般コンパウンドの代表値
| 項目 | 単位 | 代表値 | 代表範囲 | 試験規格・条件 | 材料状態 | 信頼度 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 0.91 | 0.89~0.93 | 23℃、代表値 | 標準状態 | B | 油・PP・充填材配合で変化する。 |
| 比重 | - | 0.91 | 0.89~0.93 | 23℃ | 標準状態 | B | 密度との換算値。 |
| 硬度 | Shore A | 70 | 30~98 | ISO 868又はASTM D2240相当 | 標準状態 | A | ベースポリマー銘柄及び配合で極めて広い。 |
| 引張強さ・破断 | MPa | 12 | 5~30 | ISO 37/ISO 527相当、代表範囲 | 23℃・標準状態 | B | 硬度、スチレン量、油展量で変化する。 |
| 引張破断伸び | % | 700 | 400~1200 | ISO 37/ISO 527相当 | 23℃・標準状態 | B | SEPSは一般に高伸びを示す。 |
| 引張弾性率 | GPa | データなし | 一般化困難 | 硬度依存 | 標準状態 | 0 | エラストマーでは100%モジュラス等で評価する場合が多い。 |
| 100%引張応力 | MPa | 2.0 | 0.8~5.0 | ISO 37相当 | 23℃・標準状態 | C | 配合依存が大きい。 |
| 300%引張応力 | MPa | 4.0 | 1.5~10 | ISO 37相当 | 23℃・標準状態 | C | 高スチレン、高分子量ほど上昇しやすい。 |
| 引裂強さ | kN/m | 35 | 20~70 | ISO 34-1相当 | 標準状態 | C | 形状、方向、配合で変化する。 |
| 圧縮永久ひずみ | % | 40 | 20~70 | 70℃×22h、25%圧縮の代表例 | 標準状態 | C | 高温シール用途ではグレードデータ必須。 |
| アイゾット衝撃強さ・ノッチ付き | kJ/m² | 該当なし | 一般化困難 | エラストマーでは適用性が低い | - | 0 | NBを数値化しない。 |
| ガラス転移温度・PEP相 | ℃ | -55 | -65~-45 | DSC又はDMA、代表範囲 | ベースポリマー | B | 組成と測定法で変化する。 |
| ガラス転移温度・PS相 | ℃ | 95 | 90~105 | DSC又はDMA | ベースポリマー | B | 物理架橋の耐熱限界に関係する。 |
| 融点 | ℃ | 該当なし | - | 一般に非晶性ブロック構造 | ベースポリマー | B | 明確な結晶融点を示さないことが多い。 |
| 荷重たわみ温度・0.45 MPa | ℃ | データなし | グレード依存 | ISO 75、材料群一般化困難 | - | 0 | 軟質材料ではHDTが選定指標になりにくい。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 80 | 70~100 | 無荷重~低荷重の一般的目安 | 安定化グレード | C | 荷重、寿命、空気、油、薬品で低下する。 |
| 低温使用限界 | ℃ | -50 | -60~-40 | 柔軟性保持の目安 | 標準状態 | C | 硬度・配合・衝撃条件に依存する。 |
| 熱伝導率 | W/(m・K) | 0.20 | 0.17~0.25 | 23℃、非充填の代表値 | 標準状態 | C | 充填材で増加する。 |
| 線膨張係数 | 10-5/K | 18 | 12~25 | 23~80℃の代表範囲 | 標準状態 | C | 剛性材より大きい。 |
| 吸水率・24時間 | % | 0.05 | 0.01~0.10 | 23℃水中、代表範囲 | 乾燥成形品 | B | 低吸水であるが添加剤により変化する。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1×1015 | 1×1014~1×1016 | 23℃、乾燥状態 | 乾燥状態 | C | 導電材、湿度、油、汚染で低下する。 |
| 絶縁破壊強さ | kV/mm | 20 | 15~30 | 代表値、厚さ依存 | 乾燥状態 | C | 試験片厚さ・電極・周波数を確認する。 |
| 比誘電率・1 kHz | - | 2.3 | 2.2~2.6 | 1 kHz、23℃ | 乾燥状態 | C | 配合材により変化する。 |
| 誘電正接・1 kHz | - | 0.003 | 0.001~0.010 | 1 kHz、23℃ | 乾燥状態 | C | 周波数及び温度依存。 |
| UL 94燃焼性 | 等級 | HB相当が一般的 | グレード依存 | 厚さ未特定 | 標準コンパウンド | C | 認証値ではない。難燃グレードは個別UL Yellow Cardを確認する。 |
| 限界酸素指数・LOI | % | 18 | 17~20 | 代表値、規格不明 | 非難燃 | D | 参考値であり確定値として使用しない。 |
改質グレードの物性傾向
| グレード区分 | 強化材・改質材 | 硬度・剛性 | 強度・伸び | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 油展軟質 | パラフィン系オイル | 低下 | 強度低下、伸び維持又は増加 | ブリード、抽出、耐油性、アウトガス |
| PP強化コンパウンド | PP | 上昇、耐熱向上 | 伸び低下、引張強さ上昇傾向 | 相分散、ウェルド、低温衝撃 |
| 無機充填 | 炭酸カルシウム、タルク等 | 上昇、収縮低減 | 伸び・引裂低下 | 比重上昇、表面、摩耗粉 |
| GF強化 | GF、含有率は製品依存 | 大幅上昇 | 伸びと弾性回復を損ないやすい | SEPSの軟質用途では一般的でない。標準値と混在不可。 |
| CF強化 | CF、含有率は製品依存 | 導電性・剛性向上 | 伸び大幅低下 | 特殊用途。一般化可能な代表値はデータなし。 |
耐薬品性
以下の評価は、非強化SEPS又は一般的なSEPS系コンパウンドを23℃、無応力、短時間~数日接触させた場合の概略である。油展量、スチレン量、添加剤、温度、濃度、接触時間及び残留応力により結果は変わる。
| 分類 | 薬品名 | 濃度 | 温度 | 接触条件 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | 水 | - | 23℃ | 浸漬 | ◎ | 影響小 | 添加剤溶出は別途確認する。 |
| 温水 | 温水 | - | 60~80℃ | 長時間 | ○ | 軟化、抽出、圧縮永久ひずみ | 高温シールでは実試験が必要。 |
| 熱水・蒸気 | 熱水・水蒸気 | - | 100℃以上 | 長時間 | △ | 軟化、物理架橋低下、添加剤抽出 | 蒸気滅菌は医療グレードごとに確認する。 |
| 無機酸 | 塩酸 | 10% | 23℃ | 浸漬 | ◎ | 影響小 | 高濃度・高温は確認する。 |
| 無機酸 | 硫酸 | 10% | 23℃ | 浸漬 | ○ | 長期で変色・添加剤影響 | 濃硫酸、酸化性条件は不適。 |
| 有機酸 | 酢酸 | 10% | 23℃ | 浸漬 | ○ | 軽微な膨潤の可能性 | 氷酢酸は別評価。 |
| 強アルカリ | 水酸化ナトリウム | 10% | 23℃ | 浸漬 | ◎ | 影響小 | 高温・高濃度では配合材を確認する。 |
| 強アルカリ | 水酸化カリウム | 10% | 23℃ | 浸漬 | ◎ | 影響小 | 長期シールは圧縮永久ひずみも確認。 |
| 低級アルコール | エタノール | 99% | 23℃ | 短時間~浸漬 | ○ | 軽微な膨潤、抽出 | 油展品は質量変化を確認する。 |
| 低級アルコール | IPA | 99% | 23℃ | 短時間~浸漬 | ○ | 軽微な膨潤 | 応力下・高温では注意。 |
| 多価アルコール | グリセリン | 99% | 23℃ | 浸漬 | ◎ | 影響小 | 添加剤との相互作用を確認。 |
| グリコールエーテル | 3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(MMB) | 100% | 23℃ | 浸漬 | △ | 膨潤、軟化 | 配合・時間依存。実液試験推奨。 |
| ケトン | アセトン | 100% | 23℃ | 浸漬 | △ | 膨潤、軟化、抽出 | 短時間拭取りでも外観確認が必要。 |
| ケトン | MEK | 100% | 23℃ | 浸漬 | × | 著しい膨潤、強度低下 | 非推奨。 |
| エステル | 酢酸エチル | 100% | 23℃ | 浸漬 | × | 膨潤、軟化 | 接着剤溶剤との接触に注意。 |
| エーテル | THF | 100% | 23℃ | 浸漬 | × | 溶解又は著しい膨潤 | 非推奨。 |
| 芳香族炭化水素 | トルエン | 100% | 23℃ | 浸漬 | × | 溶解又は著しい膨潤 | SEPSの良溶媒側である。 |
| 芳香族炭化水素 | キシレン | 100% | 23℃ | 浸漬 | × | 著しい膨潤、軟化 | 非推奨。 |
| 脂肪族炭化水素 | n-ヘキサン | 100% | 23℃ | 浸漬 | × | 著しい膨潤、抽出 | PEP相との親和性が高い。 |
| 脂肪族炭化水素 | イソオクタン | 100% | 23℃ | 浸漬 | × | 膨潤、軟化 | 燃料用途では不適となる場合が多い。 |
| ハロゲン化炭化水素 | ジクロロメタン | 100% | 23℃ | 浸漬 | × | 溶解又は著しい膨潤 | 非推奨。 |
| 燃料 | ガソリン | 市販相当 | 23℃ | 浸漬 | × | 著しい膨潤、抽出 | 燃料シールにはNBR、FKM等を検討。 |
| 潤滑油 | 鉱物油 | - | 23℃ | 浸漬 | △ | 膨潤、軟化 | オイルゲル用途では意図的に吸油させる。 |
| 作動油 | 鉱油系作動油 | - | 40~80℃ | 長時間 | × | 膨潤、圧縮永久ひずみ | 動的シールには一般に不向き。 |
| ブレーキ液 | グリコール系 | - | 23℃ | 浸漬 | △ | 添加剤抽出、軟化 | 実液・高温試験が必要。 |
| 冷却液 | エチレングリコール水溶液 | 50% | 80℃ | 長時間 | ○ | 軟化、添加剤抽出 | 圧縮永久ひずみと熱老化を確認。 |
| 酸化剤 | 過酸化水素水 | 3% | 23℃ | 短時間 | ○ | 長期で酸化・変色 | 高濃度・高温は実試験必須。 |
| 次亜塩素酸塩 | 次亜塩素酸ナトリウム | 0.1~1% | 23℃ | 短時間 | ○ | 酸化、変色 | 有効塩素濃度、pH、時間で変化。 |
| 塩水 | 塩化ナトリウム水溶液 | 3.5% | 23℃ | 浸漬 | ◎ | 影響小 | 金属インサートの腐食は別途確認。 |
| 食品油 | 植物油 | - | 23℃ | 浸漬 | △ | 吸油、膨潤、軟化 | 温度上昇で影響が増える。 |
| 界面活性剤 | 中性洗剤水溶液 | 1% | 23℃ | 浸漬 | ○ | 添加剤抽出 | 長期・高温洗浄は確認する。 |
SP値(溶解度パラメータ)
SEPSはPS相とPEP相からなるミクロ相分離材料であり、単一のSP値で完全に表すことはできない。材料全体の見かけのHildebrand SP値は、組成により概ね16.5~18.5 MPa1/2程度を目安とできるが、PS相はより高く、PEP相はより低い。以下では比較用代表値としてδ=17.5 MPa1/2を用いる。
SP値差は溶解・膨潤傾向の一次スクリーニングにすぎない。ブロック相ごとの選択溶解、結晶性、分子量、架橋、温度、混合溶剤、酸化、添加剤抽出及び応力状態を反映しないため、耐薬品性の最終判定には使用できない。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
| 薬品名 | SP値 δ | SEPSとの差 | 評価 | 実務上の補正・注意 |
|---|---|---|---|---|
| n-ヘキサン | 14.9 MPa1/2 | 2.6 | × | 差だけなら△域であるが、PEP相を強く膨潤させるため×寄り。 |
| トルエン | 18.2 MPa1/2 | 0.7 | × | PS相・PEP相双方への親和性が高く、著しい膨潤又は溶解。 |
| キシレン | 18.0 MPa1/2 | 0.5 | × | 著しい膨潤が予想される。 |
| 酢酸エチル | 18.6 MPa1/2 | 1.1 | × | 膨潤・軟化に注意。 |
| MEK | 19.0 MPa1/2 | 1.5 | × | PS相への作用と添加剤抽出が起こり得る。 |
| アセトン | 19.9 MPa1/2 | 2.4 | △ | グレード・時間により膨潤。短時間でも外観確認。 |
| IPA | 23.5 MPa1/2 | 6.0 | ○ | 一般に比較的良好だが、油展品は抽出に注意。 |
| エタノール | 26.0 MPa1/2 | 8.5 | ○ | SP差では◎域でも、添加剤抽出等を考慮し○。 |
| 水 | 47.9 MPa1/2 | 30.4 | ◎ | ポリマー本体への影響は小さい。高温・抽出物は別評価。 |
成形条件
| 項目 | 単位 | 一般的な目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 予備乾燥 | - | 通常は必須でない | 低吸水であるが、吸湿、結露、開封保管、添加剤によっては乾燥する。 |
| 推奨乾燥温度 | ℃ | 60~80 | 必要時の目安。高温乾燥によるペレット融着・酸化を避ける。 |
| 推奨乾燥時間 | h | 2~4 | 除湿乾燥機を使用し、メーカー推奨を優先する。 |
| シリンダー温度・供給部 | ℃ | 150~180 | コンパウンド硬度と流動性で調整する。 |
| シリンダー温度・圧縮部 | ℃ | 170~210 | 局所過熱と長時間滞留を避ける。 |
| シリンダー温度・計量部 | ℃ | 180~230 | 高スチレン又は高分子量品では高めとなる場合がある。 |
| ノズル温度 | ℃ | 180~220 | 糸引き、鼻垂れ、コールドスラッグを調整する。 |
| 樹脂温度 | ℃ | 180~230 | グレードの熱安定性と粘度を確認する。 |
| 金型温度 | ℃ | 20~60 | 外観、流動、離型、サイクル、接着性で最適化する。 |
| 射出圧力 | MPa | 50~120 | 流路、肉厚、硬度、ゲートで変化する。 |
| 背圧 | MPa | 2~10 | 混練均一性と発熱のバランスを取る。 |
| 射出速度 | - | 中速~高速 | 焼け、ジェッティング、エア巻込みを防ぐ。 |
| スクリュー回転数 | rpm | 30~100 | せん断発熱と可塑化安定性を確認する。 |
| 成形収縮率・流動方向 | % | 1.0~2.5 | PP配合、充填、硬度、保圧で変化する。 |
| 成形収縮率・流動直角方向 | % | 1.2~3.0 | 異方性と反りを実型で確認する。 |
| 推奨肉厚 | mm | 1~4 | 薄肉では流動、厚肉ではヒケ・冷却時間に注意する。 |
| アニール | - | 通常不要 | 寸法安定、接着、残留応力対策で低温熱処理を検討する場合がある。 |
成形条件はメーカー、グレード、配合、成形機、製品形状及び金型によって異なる。上記は材料群の一般的な目安であり、実成形では材料メーカーの加工条件を優先する。
製法

原料
主原料はスチレン、イソプレン及び水素である。重合には高純度の炭化水素系溶媒、有機リチウム系開始剤等が用いられる。水分、酸素及び極性不純物はアニオン重合を停止させるため、原料と設備の厳密な乾燥・精製が必要である。
重合方法
代表的にはリビングアニオン重合により、スチレン、イソプレン、スチレンを逐次重合してSIS前駆体を得る。その後、ポリイソプレン中間ブロックの二重結合を選択的に水素添加し、PS-b-PEP-b-PS構造へ変換する。
代表反応経路:スチレン+イソプレン+スチレン → PS-b-PI-b-PS(SIS) →[H2、水素添加触媒]→ PS-b-PEP-b-PS(SEPS)
ペレット化・コンパウンド
水素添加後に触媒残渣を除去し、脱溶媒、凝固、乾燥してクラム又はペレットとする。用途に応じてPP、PE、プロセスオイル、粘着付与樹脂、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、着色剤、無機充填材等を二軸押出機で混練する。
品質管理
スチレン含有量、分子量、分子量分布、ジブロック量、残存不飽和度、MFR、溶液粘度、硬度、揮発分、灰分、触媒残渣、色調及びゲル分等が管理対象となる。
詳細な利用用途
| 分野 | 主な用途 | 採用理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自動車 | 内装表皮、グリップ、防振材、シール、ワイヤーハーネス部材 | 低温柔軟性、触感、耐候性、軽量性、オーバーモールド性 | 高温クリープ、VOC、フォギング、油・燃料接触を確認する。 |
| 電気・電子 | ケーブル被覆、コネクタ周辺シール、グロメット、絶縁部材 | 電気絶縁性、柔軟性、低温性 | 難燃認証、アウトガス、接点汚染、耐熱寿命を確認する。 |
| 医療 | チューブ、バッグ、栓、シール、グリップ | 柔軟性、透明性、PVC代替、熱可塑加工 | USP Class VI、ISO 10993、抽出物、滅菌耐久性はグレード別確認。 |
| 食品・日用品 | 容器部材、パッキン、歯ブラシグリップ、玩具、衛生用品 | 触感、着色性、低臭、柔軟性 | 食品衛生法、FDA、EU食品接触、移行・抽出を確認する。 |
| 粘接着 | ホットメルト接着剤、粘着剤、シーリング材 | 粘着付与樹脂との配合自由度、低温タック、熱可塑性 | 耐熱保持力、クリープ、移行、臭気、耐溶剤性に注意する。 |
| 建築・設備 | 目地材、ガスケット、グリップ、保護部材 | 耐候性、施工性、柔軟性 | 屋外耐久、難燃、可塑剤移行、シーラント汚染を確認する。 |
| スポーツ・履物 | 靴部材、衝撃吸収材、グリップ、保護具 | 低温弾性、反発性、触感、軽量性 | 汗、皮脂、洗剤、摩耗、黄変を評価する。 |
| フィルム・不織布 | 弾性フィルム、衛生材、不織布改質 | 伸縮性、柔軟性、ポリオレフィン相容性 | ブロッキング、永久伸び、熱シール条件を確認する。 |
| 樹脂改質 | PP・PE・PS系樹脂の耐衝撃改質、相容化 | 柔軟性、相容性、界面接着改善 | 添加量過多による剛性・耐熱低下に注意する。 |
用途別選定
| 用途 | 適性 | 理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ギア・軸受・ブッシュ | × | 剛性、耐摩耗、寸法安定性が不足 | POM、PA、PBT等を優先する。 |
| ローラー・グリップ | ◎ | 柔軟性、摩擦、触感、低温性 | 摩耗、圧縮永久ひずみ、油分移行を確認。 |
| シール・ガスケット | ○ | 柔軟性、成形性、低温弾性 | 高温、油、燃料、長期圧縮には注意。 |
| Oリング | △ | 低圧・低温・水系で検討可能 | 寸法公差、圧縮永久ひずみ、耐油性で加硫ゴムに劣る場合がある。 |
| チューブ・ホース | ◎ | 柔軟性、押出性、透明性、低温性 | 薬液、ガス透過、キンク、抽出物を確認。 |
| 配管・タンク | × | 構造強度・クリープ耐性が不足 | ライニング又は軟質接続部材として限定使用。 |
| フィルム・シート | ◎ | 高伸び、弾性回復、熱可塑加工 | ブロッキング、永久伸び、温度依存。 |
| ボトル・容器 | △ | 軟質容器用途で可能 | ガス・香気バリア性、クリープ、法規制を確認。 |
| 電気絶縁部品 | ○ | 低吸水、絶縁性、柔軟性 | 難燃、RTI、CTI、厚さ別認証を確認。 |
| 透明カバー・レンズ | △ | 透明グレードは存在する | 光学ひずみ、表面傷、剛性、耐溶剤性に制約。 |
| 自動車内装 | ◎ | 触感、低温性、成形性 | VOC、フォギング、耐熱、耐光を確認。 |
| 自動車外装 | ○ | 耐候性と柔軟性 | 傷、汚染、熱変形、塗装性を確認。 |
| エンジンルーム・燃料系 | × | 高温・油・燃料で膨潤しやすい | FKM、HNBR、耐油TPU等を検討。 |
| 食品機械部品 | △ | 適合グレードでシール・グリップに使用可能 | 温水、洗剤、食品油、溶出、衛生設計を確認。 |
| 医療機器部品 | ○ | 柔軟性、透明性、PVC代替性 | 滅菌、生体適合性、抽出物、薬液適合性を個別確認。 |
| 半導体・真空装置 | × | 一般品はアウトガスと粒子管理が困難 | 専用低アウトガス品以外は不向き。 |
| 接着剤・シーラント | ◎ | 粘着付与樹脂との配合性と熱可塑性 | 耐熱保持力、耐油、移行、リワーク性を確認。 |
| 塗料・コーティング | ○ | 柔軟バインダー・改質剤として利用可能 | 溶剤選定、乾燥、タック、耐汚染性を確認。 |
寸法精度・設計特性
- SEPSは弾性体であり、短時間引張強さを設計許容応力として直接用いてはならない。クリープ、応力緩和、繰返し変形、温度及び使用時間を考慮する。
- 成形収縮は一般に大きく、硬度、PP配合、油展量、保圧、ゲート方向及び肉厚で変化する。実型で流動方向・直角方向を測定する。
- 高温ではPS物理架橋が弱まり、圧縮永久ひずみ及びクリープが増える。締結、圧入、シールでは高温時の保持力を確認する。
- インサート周辺や鋭いノッチでは応力集中により裂けが生じる。大きなR、均一肉厚、適切な抜き勾配を設ける。
- 低吸水で寸法変化は小さいが、油、燃料、溶剤を吸収すると著しく膨潤するため、薬品環境での寸法評価が必要である。
品質・成形不良
| 不良 | 材料側の要因 | 成形条件側の要因 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| シルバーストリーク | 水分、揮発分、油分 | 過熱、背圧不足、ガス抜き不足 | 原料乾燥、保管改善、温度低減、ベント清掃 |
| ガス焼け・変色 | 酸化劣化、安定剤不足 | 滞留過多、局所過熱、排気不足 | 滞留短縮、温度低減、パージ、ベント改善 |
| フローマーク | 粘度不適、相分離 | 低金型温度、速度不適 | 温度、速度、ゲート、材料流動性を最適化 |
| ジェッティング | 高弾性・高流動 | 射出速度過大、ゲート不適 | 初速低減、扇形ゲート、金型温度調整 |
| ウェルドライン | 低界面融合、充填材 | 樹脂温度不足、排気不良 | 樹脂・金型温度上昇、ベント、ゲート配置見直し |
| ヒケ・ボイド | 収縮大、軟質 | 保圧不足、厚肉、冷却不足 | 肉盗み、保圧・ゲート径・冷却最適化 |
| 反り | 収縮差、異方性、相分離 | 冷却不均一、ゲート偏り | 均一肉厚、冷却均一化、材料・ゲート見直し |
| 離型不良 | 低硬度、表面タック | 抜き勾配不足、過保圧 | 抜き勾配、表面仕上げ、冷却、離型設計改善 |
| バリ | 高流動、低弾性率 | 型締不足、圧力過大 | 型締、圧力、温度、金型合わせ面を見直す |
| プレートアウト | 油、添加剤、低分子成分 | ダイ・金型温度不適、長時間運転 | 配合見直し、清掃周期、温度、濾過を最適化 |
| メルトフラクチャー | 高分子量・高弾性 | せん断速度過大、ダイ不適 | 押出速度低減、ダイ温度・形状、加工助剤を見直す |
注意点・劣化・故障モード
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 外観・性能への影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 熱酸化劣化 | 残存不飽和、PS相、添加剤の酸化 | 高温、空気、銅等との接触 | 硬化、変色、伸び低下、亀裂 | 酸化防止剤、金属不活性化剤、温度低減 | 70~120℃熱老化後の硬度、引張、伸び |
| 紫外線劣化 | UVと酸素 | 屋外、淡色、無安定グレード | 黄変、退色、表面亀裂、強度低下 | HALS、UV吸収剤、顔料、遮光 | キセノンアーク、色差、光沢、引張保持率 |
| 膨潤・溶解 | 炭化水素・溶剤吸収 | 燃料、油、トルエン、ヘキサン、MEK | 体積増加、軟化、強度低下 | バリア層、薬品変更、耐油材料へ変更 | 実液浸漬、質量・体積・硬度・引張変化 |
| 環境応力割れ | 溶剤と残留応力の相乗 | 圧入、曲げ、ウェルド、洗浄剤接触 | 白化、亀裂、破断 | 残留応力低減、R付与、薬品変更 | 定ひずみ又は定荷重下の実薬品ESC試験 |
| クリープ・応力緩和 | 物理架橋の緩和 | 高温、長時間荷重、圧縮 | 永久変形、シール力低下、締結緩み | 高スチレン・高分子量品、形状・温度見直し | 温度別圧縮永久ひずみ、クリープ試験 |
| 疲労・引裂 | 繰返しひずみ、ノッチ、発熱 | ベローズ、ローラー、可動シール | 亀裂成長、破断、摩耗粉 | R付与、ひずみ低減、硬度・厚さ最適化 | 屈曲疲労、引裂、実部品繰返し試験 |
| オイルブリード | 油保持力不足、配合過多 | 高温、長期保管、接触材との相溶 | べたつき、曇り、汚染、硬化 | 高分子量品、油種・量最適化、バリア設計 | 促進保管、質量減少、接触移行、表面分析 |
| 添加剤抽出 | アルコール、洗剤、油、薬液 | 浸漬、温水、繰返し洗浄 | 硬度・色・臭気変化、抽出物増加 | 低抽出配合、添加剤選定、後処理 | 抽出試験、GC-MS、ICP、機械物性保持率 |
| アウトガス | 油、低分子、残留溶媒 | 真空、高温、密閉、光学・電子機器 | 曇り、接点障害、汚染 | 低揮発グレード、予備加熱、材料変更 | TML/CVCM、ヘッドスペースGC-MS、フォギング |
| 摩耗 | 摩擦、低硬度、相手材粗さ | ローラー、シール、摺動接触 | 寸法低下、表面荒れ、粉発生 | 硬度、潤滑、相手材、表面粗さ最適化 | DIN摩耗、Taber摩耗、実機摩耗 |
| 滅菌劣化 | 熱、蒸気、放射線、薬剤 | オートクレーブ、γ線、EtO、過酸化水素 | 変色、硬化、伸び低下、抽出増加 | 滅菌適合グレード、線量・回数制限 | 所定滅菌回数後の外観、引張、抽出物、生体適合性 |
推奨確認試験
- 実薬品浸漬試験:実液、実濃度、最低・最高使用温度、想定最大時間で質量、体積、硬度、引張強さ及び伸びを測定する。
- 環境応力割れ試験:実部品又は試験片に実使用相当の曲げ・引張・圧縮ひずみを与え、薬品接触下で亀裂発生時間を確認する。
- 熱老化・高温高湿試験:70~120℃及び必要な湿度条件で、硬度、色差、圧縮永久ひずみ、引張保持率を評価する。
- クリープ・圧縮永久ひずみ試験:使用温度、圧縮率、時間及び回復時間を実部品条件に合わせる。
- アウトガス・抽出試験:電子、光学、医療、食品用途ではGC-MS、フォギング、溶出、TOC等を用途規格に合わせて実施する。
- 実成形・実部品耐久試験:成形収縮、ウェルド、接合、表面処理、繰返し変形、温度サイクル及び経時変化を確認する。
法規制・認証
| 規制・認証 | 一般的な対応状況 | 確認事項 |
|---|---|---|
| RoHS | 対応可能なグレードが一般的 | 顔料、難燃剤、安定剤を含む最終コンパウンドの証明書を確認する。 |
| REACH・SVHC | 登録・適合確認が必要 | 製造者、輸入者、添加剤、最新候補リスト及び用途を確認する。 |
| ELV | 自動車用途向け適合グレードが存在 | 重金属、添加剤、リサイクル情報をグレード別に確認する。 |
| PFAS関連規制 | SEPS骨格自体はフッ素を含まない | 加工助剤、離型剤、難燃剤等にPFASが含まれないことをサプライヤーへ確認する。 |
| FDA食品接触 | 適合可能なグレードが存在 | 21 CFRの適用条項、食品種、温度、接触時間、添加剤及び最終製品適合を確認する。 |
| EU食品接触規則 | 適合可能なグレードが存在 | EU 10/2011等への適合、SML、総移行量、NIASを確認する。 |
| 日本の食品衛生法 | ポジティブリスト対応グレードが存在 | 最終コンパウンド、着色剤、油、接触条件を含む証明書確認が必要。 |
| USP Class VI・ISO 10993 | 医療用途向け評価品が存在 | 材料名だけでは適合しない。滅菌方法、接触部位、期間、抽出物を含め個別評価する。 |
| UL認証 | 難燃・電気用途グレードで取得例あり | グレード、色、厚さ、UL 94、RTI、CTI等をYellow Cardで確認する。 |
| ハロゲンフリー | 非難燃SEPS骨格は一般にハロゲンを含まない | 難燃剤、顔料、添加剤を含む最終配合で確認する。 |
規制適合はメーカー、グレード、色、添加剤、製造拠点、用途、使用温度及び接触条件により異なる。材料名だけで適合を断定せず、最新のSDS、規制証明書、食品接触宣言、医療評価資料及びUL認証情報を確認する必要がある。
環境・リサイクル性、価格・供給性
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 熱可塑性/熱硬化性 | 熱可塑性。物理架橋型であり、再溶融・再成形が可能である。 |
| マテリアルリサイクル | 清浄な単一材又は工程端材では可能である。熱履歴、汚染、油・添加剤、異材混入により物性が低下する。 |
| ケミカルリサイクル | 技術的検討は可能であるが、一般的な回収インフラは限定的である。 |
| サーマルリサイクル | 炭化水素系高分子であり発熱量は高い。適切な燃焼管理と排ガス処理が必要である。 |
| 生分解性 | 一般的なSEPSは生分解性ではない。 |
| バイオベース | 一般品は石油由来である。バイオ由来モノマーを含む水添スチレン系ブロック共重合体は別材料として存在する。 |
| 価格区分 | 比較的高価格。PP、PE、SBS等より高く、医療・特殊グレードはさらに高価格となる場合がある。 |
| 供給形態 | クラム、ペレット、コンパウンド、接着剤原料等。板・丸棒等の切削素材より、成形材料・配合原料として流通する。 |
| 国内入手性 | 主要メーカー及びコンパウンダー経由で入手可能である。少量購入、特注色、医療・食品グレードは最小購入量を確認する。 |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | SEPSとの違い |
|---|---|---|
| SEBS | 水添SBS由来のPS-b-PEB-b-PS | SEPSはPEP中間ブロックを持ち、一般に低温伸びや柔軟性に優れる場合がある。SEBSは市場流通と配合例が広い。 |
| スチレン系熱可塑性エラストマー | SBS、SIS、SEBS、SEPS、SEEPS等の総称 | SEPSは水添TPSの一種であり、総称と個別材料を区別する必要がある。 |
| TPO | PP/EP系を中心とするオレフィン系TPE | TPOは一般に低価格、軽量、耐候性良好。SEPSは軟質化、透明性、触感、粘接着配合に有利な場合がある。 |
| TPU | 高強度、耐摩耗、耐油性に優れる | TPUは耐摩耗・耐油で優れるが、吸湿・加水分解や加工乾燥に注意。SEPSは低吸水、低密度、低温柔軟性で有利。 |
| TPEE | 耐熱、耐油、疲労、ばね性に優れる | TPEEは高温・機械部品向け。SEPSはより低硬度、触感、粘接着、低温柔軟性に向く。 |
| PP | 低密度、低価格、耐薬品性、剛性 | PPはゴム弾性を持たない。SEPSを配合して耐衝撃性、柔軟性、触感を付与できる。 |
| PE | 耐水、耐薬品、低温性、低価格 | PEは弾性回復と接着配合性でSEPSに劣る。SEPSはPEとの相容性を利用した改質に使われる。 |
| SBR | 加硫ゴム、耐摩耗、動的特性、低価格 | SBRは加硫が必要で耐候性に制約。SEPSは熱可塑加工と耐候性に優れるが、高温圧縮永久ひずみでは加硫ゴムが有利な場合がある。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 株式会社クラレ | セプトン® 2000シリーズ | SEPSの代表的メーカーであり、スチレン含有量、分子量、流動性及び硬度の異なる複数グレードを展開する。 |
SEPSはSEBS等に比べメーカー・ブランドの公開情報が限定される。銘柄採用時は、製造継続性、供給地域、最小購入量、SDS、規制証明、加工条件及び技術サポートを確認する。
比較用評価スコア
| 評価項目 | スコア | 評価理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 3 | エラストマーとして標準~良好であるが、硬質エンプラより低い。 |
| 剛性 | 1 | 軟質材料であり構造剛性用途には不向き。 |
| 衝撃強度 | 5 | 高伸び・ゴム弾性により低温衝撃改質に有効。 |
| 耐熱性 | 3 | 未水添TPSより良いが、高温でPS物理架橋が弱まる。 |
| 低温特性 | 5 | PEP相の低いTgにより低温柔軟性に優れる。 |
| 耐薬品性 | 3 | 水・酸・アルカリ・アルコールに良好だが、油・炭化水素溶剤に弱い。 |
| 耐候性 | 4 | 水素添加により未水添SBS・SISより良好。 |
| 耐加水分解性 | 5 | エステル・ウレタン結合を持たず、一般に加水分解しにくい。 |
| 寸法安定性 | 2 | 低吸水だが、収縮、熱膨張、クリープ及び溶剤膨潤が大きい。 |
| 低吸水性 | 5 | 非極性骨格で吸水率が低い。 |
| 摺動性 | 2 | 高摩擦で、摩耗条件により粉発生しやすい。 |
| 耐摩耗性 | 2 | TPU等より劣る場合が多い。 |
| 電気絶縁性 | 4 | 低吸水・非極性で絶縁性に優れる。 |
| 難燃性 | 1 | 非難燃品は燃焼しやすく、難燃剤が必要。 |
| 透明性 | 4 | 配合設計により透明・半透明化が可能。 |
| 成形加工性 | 4 | 加硫不要で射出・押出・フィルム成形に対応。 |
| 切削加工性 | 1 | 弾性変形と発熱により寸法精度が得にくい。 |
| 接着性 | 2 | 低表面エネルギーで、前処理・プライマーが必要。 |
| リサイクル性 | 4 | 熱可塑性で工程端材の再利用が可能。ただし配合・汚染に依存。 |
| 価格優位性 | 2 | PP、PE、SBS等より高価格となることが多い。 |
関連キーワード
SEBS / スチレン系熱可塑性エラストマー / 熱可塑性エラストマー / TPO / TPU / TPEE / ポリプロピレン / ポリエチレン / SBR / SIS / 水添SIS / HSBC / リビングアニオン重合 / 水素添加 / オイルゲル / 環境応力割れ / 溶解度パラメータ / UL 94
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