| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | 熱可塑性オレフィン |
| 略記号 | TPO、TPE-O、POE系TPE |
| IUPAC | 単一のIUPAC名は持たない。一般にポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・プロピレン系ゴムなどを主成分とするオレフィン系高分子材料の総称である。 |
| 英語名 | Thermoplastic Olefin、Thermoplastic Polyolefin、Olefinic Thermoplastic Elastomer |
| 日本語名 | 熱可塑性オレフィン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリオレフィン、TPO |
| 分類 | 熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系樹脂、オレフィン系コンパウンド |
| プラスチック分類 | エラストマー、熱可塑性エラストマー、汎用プラスチック系材料 |
| 化学式または代表構造 | 主成分例:ポリプロピレン [-CH2-CH(CH3)-]n、ポリエチレン [-CH2-CH2-]n、EPDM系ゴム成分 |
| CAS No. | TPOとしての単一CAS No.は一般に定義されない。構成樹脂の例として、ポリプロピレン:9003-07-0、ポリエチレン:9002-88-4、EPDM:25038-36-2などがある。 |
| 構造・主成分 | ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・プロピレン系ゴム、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、鉱物フィラー、安定剤など |
| 主な用途 | 自動車内外装部品、バンパー、エアバッグカバー、インストルメントパネル表皮、建材シート、防水シート、ガスケット、電線被覆、日用品、軟質成形品など |
概要
熱可塑性オレフィンは、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂に、エチレン・プロピレン系ゴムやオレフィン系エラストマー成分を組み合わせた熱可塑性エラストマーである。一般にTPOまたはTPE-Oと呼ばれ、ゴム的な柔軟性と熱可塑性樹脂としての成形加工性を併せ持つ材料である。
TPOは、軽量性、耐候性、耐薬品性、リサイクル性に優れることから、自動車分野で広く使用されている。特にポリプロピレン系材料との相溶性が高く、PP部品との一体設計、再資源化、軽量化が求められる用途に適している。
一方で、TPOは単一の化学構造を持つ材料ではなく、ブレンド型、重合型、動的架橋型、フィラー強化型などにより物性範囲が大きく異なる。実使用では、グレード、温度、薬品濃度、荷重、応力、使用時間、屋外曝露条件を確認して選定する必要がある。
特徴
長所
- 比重が小さく、一般に軽量である。
- 耐候性、耐オゾン性、耐水性に優れるグレードが多い。
- 酸、アルカリ、アルコール類に対して比較的安定である。
- 射出成形、押出成形、真空成形などの熱可塑性樹脂加工に対応しやすい。
- ポリプロピレン系材料との接着性、溶着性、再資源化性に優れる場合がある。
- 軟質PVCの代替、ゴム部品の軽量化、成形工程の簡略化に使いやすい。
短所
- 芳香族炭化水素、塩素系溶剤、ガソリン、鉱物油などでは膨潤や軟化が起こる場合がある。
- 耐油性はNBR、FKM、TPUなどに比べて劣ることが多い。
- 高温下での圧縮永久ひずみ、クリープ、寸法安定性には注意が必要である。
- 表面エネルギーが低く、塗装、印刷、接着には表面処理やプライマーが必要になる場合がある。
- グレード差が大きく、TPOという名称だけでは物性を特定できない。
外観
ペレットは自然色、乳白色、半透明、黒色、着色品などがある。成形品はグレードにより軟質ゴム状から半硬質樹脂状まで幅広い。タルクなどの無機フィラーを含むグレードでは不透明で剛性が高くなる。
耐熱性
一般的な連続使用温度は約80~120℃程度である。軟質グレードでは80~100℃程度、耐熱グレードやフィラー強化グレードでは100~120℃程度を目安とする。短時間であればさらに高温に耐える場合もあるが、荷重、応力、変形許容値により評価が変わる。
耐薬品性
水、温水、希酸、希アルカリ、低級アルコール類には比較的良好な耐性を示す。一方、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、塩素系溶剤、ガソリン、鉱物油では膨潤や軟化が起こりやすい。実使用では薬品濃度、温度、接触時間、応力の有無を確認する必要がある。
加工性
TPOは熱可塑性材料であるため、射出成形、押出成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形などに対応する。溶融温度は主成分のポリプロピレンやポリエチレンに近く、一般に160~230℃程度の範囲で加工されることが多い。高流動グレードは薄肉成形や大型成形品に適する。
分類上の注意
TPOは、熱可塑性エラストマーの一種であるが、動的架橋によりゴム相を架橋した材料はTPVとして区別されることが多い。また、ポリプロピレンを主体とする軟質コンパウンド、反応器TPO、POE改質PP、オレフィン系TPEが同じTPOと呼ばれる場合があり、材料分類では注意が必要である。
構造式
代表的な構造単位
| 構成成分 | 代表構造 | 役割 |
|---|---|---|
| ポリプロピレン相 | [-CH2-CH(CH3)-]n | 結晶性、剛性、耐熱性、成形性を付与する。 |
| ポリエチレン相 | [-CH2-CH2-]n | 柔軟性、耐寒性、耐薬品性を補助する。 |
| エチレン・プロピレン系ゴム相 | [-CH2-CH2-]x[-CH2-CH(CH3)-]y | 弾性、衝撃性、柔軟性を付与する。 |
| EPDM系成分 | エチレン、プロピレン、少量ジエン成分の共重合体 | 耐候性、耐オゾン性、ゴム弾性を付与する。 |
モノマーまたは構成単位
主な構成単位は、エチレン CH2=CH2、プロピレン CH2=CH-CH3、1-ブテン、1-オクテン、エチリデンノルボルネンなどである。TPOの多くは、これらのオレフィン系単位から構成されるため、主鎖は炭素と水素を主体とする非極性構造である。
共重合体や変性グレード
TPOには、PP/EPDMブレンド、PP/POEブレンド、エチレン・オクテン共重合体系、反応器TPO、タルク強化TPO、ガラス繊維強化TPO、難燃TPO、塗装対応TPO、接着性改良TPOなどがある。無水マレイン酸変性ポリオレフィンを併用し、接着性やフィラー分散性を改良する場合もある。
種類
| 種類の名称 | 主成分または特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| ブレンド型TPO | PP、PE、EPDM、POEなどを溶融混練した材料 | 設計自由度が高く、コストと物性のバランスを取りやすい。 | ゴム相の分散状態により物性が変動しやすい。 | 自動車内装、日用品、軟質成形品、シート |
| 反応器TPO | 重合工程でPP相とゴム状相を形成した材料 | 分散性が良く、衝撃性と成形安定性に優れる。 | グレード設計の自由度はコンパウンド型より限定される場合がある。 | バンパー、外装部品、大型射出成形品 |
| 動的架橋型TPO | PP中のEPDM相などを混練中に架橋した材料 | ゴム弾性、圧縮永久ひずみ、耐熱性が向上しやすい。 | 一般のTPOより価格が高くなる場合がある。 | シール材、ガスケット、ウェザーストリップ、ホース |
| タルク強化TPO | PP系TPOにタルクを配合した剛性改良品 | 寸法安定性、剛性、耐熱性が向上する。 | 伸びや柔軟性、低温衝撃性が低下する場合がある。 | 自動車バンパー、フェンダー、外装カバー |
| 高流動TPO | 高MFR設計の射出成形用グレード | 大型部品、薄肉部品、複雑形状に成形しやすい。 | 耐衝撃性や耐熱性とのバランス確認が必要である。 | 自動車内外装部品、エアバッグカバー |
| 軟質TPO | ゴム成分またはPOE成分を多く含む柔軟グレード | 柔軟性、耐寒性、触感に優れる。 | 耐熱変形、圧縮永久ひずみ、耐油性に注意が必要である。 | グリップ、表皮材、パッキン、ケーブル被覆 |
| 難燃TPO | 難燃剤を配合した電気・電子向けグレード | ハロゲンフリー設計が可能な場合がある。 | 難燃剤により比重、柔軟性、耐熱性が変化する。 | 電線被覆、コネクタ、電装部品 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 内容 |
|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | 自動車部品、軟質部品、大型部品に広く使用される。高流動グレードでは薄肉成形にも対応しやすい。 |
| 押出成形 | ◎ | シート、フィルム、異形押出、電線被覆、ガスケットに適する。 |
| ブロー成形 | ○ | 中空成形品に使用可能であるが、溶融張力とグレード選定が重要である。 |
| 圧縮成形 | △ | 試験片や特殊用途では可能であるが、量産では射出成形や押出成形が一般的である。 |
| 真空成形 | ○ | シートグレードでは自動車内装表皮、トレイ、カバー類に使用される。 |
| カレンダー成形 | ○ | シート、フィルム、表皮材に使用される場合がある。 |
| 熱溶着 | ○ | PP系、PE系材料との溶着に適する場合がある。グレードと表面状態の確認が必要である。 |
| 接着 | △ | 表面エネルギーが低いため、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、プライマー処理が必要になることが多い。 |
| 塗装・印刷 | △ | 塗装対応グレードまたは表面処理が必要である。自動車外装では塗膜密着性の評価が重要である。 |
| 切削加工 | △ | 軟質グレードではバリ、変形、寸法ばらつきが生じやすい。治具固定と刃物条件の調整が必要である。 |
代表的な物性値又は機械的性質
| 項目 | 単位 | 軟質TPO | 一般TPO | タルク強化TPO | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm3 | 0.86~0.92 | 0.88~1.00 | 0.98~1.15 | フィラー量により増加する。 |
| 引張強さ | MPa | 3~12 | 8~25 | 12~30 | 硬度、ゴム成分、フィラー量により変化する。 |
| 伸び | % | 300~800 | 100~600 | 50~300 | 軟質グレードほど大きい。 |
| 曲げ弾性率 | MPa | 20~300 | 300~1,200 | 1,000~2,500 | 自動車外装グレードでは剛性重視の設計が多い。 |
| アイゾット衝撃強さ | kJ/m2 | 破壊せず~高い | 20~破壊せず | 5~50 | 低温衝撃性はグレード依存が大きい。 |
| 荷重たわみ温度 | ℃ | 40~80 | 60~110 | 90~140 | 荷重条件により異なる。 |
| 融点 | ℃ | 120~165 | 130~170 | 160~170 | PP相またはPE相の結晶融解に由来する。 |
| ガラス転移温度 | ℃ | -60~-20 | -50~-10 | -40~-10 | ゴム相の組成により変化する。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 80~100 | 90~110 | 100~120 | 荷重、応力、使用時間を考慮する。 |
| 吸水率 | % | 0.01以下~0.05 | 0.01以下~0.05 | 0.01以下~0.05 | 非極性材料であり吸水は小さい。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1014~1016 | 1014~1016 | 1013~1016 | カーボン配合や帯電防止剤配合では低下する。 |
| ショア硬度 | - | A30~A90 | A70~D50 | D40~D70 | 軟質から半硬質まで幅広い。 |
上記の数値は代表値または目安である。実際の設計では、メーカーのグレード別データシートを確認し、成形品の肉厚、荷重、温度、使用時間、屋外曝露、薬品接触、応力集中を含めて評価する必要がある。
耐薬品性
| 薬品分類 | 代表薬品 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 酸類 | 希塩酸、希硫酸、酢酸水溶液 | ○ | 希酸には比較的安定である。濃酸や高温条件では確認が必要である。 |
| アルカリ類 | 水酸化ナトリウム、KOH、アンモニア水 | ○ | 希アルカリには比較的良好である。 |
| 低級アルコール類 | メタノール、エタノール、IPA | ○ | 短時間接触では比較的安定である。 |
| 高級アルコール類 | ブタノール、グリセリン、MMB | ○ | 一般に大きな膨潤は起こりにくいが、長期接触では確認が必要である。 |
| 芳香族炭化水素類 | トルエン、キシレン、エチルベンゼン | × | SP値が近く、膨潤、軟化、寸法変化が起こりやすい。 |
| 脂肪族炭化水素類 | ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン | △ | グレードにより膨潤する。長期接触や高温では注意が必要である。 |
| ケトン | アセトン、MEK、MIBK | △ | 短時間では比較的安定な場合もあるが、配合や温度により軟化することがある。 |
| エステル | 酢酸エチル、酢酸ブチル | △ | 接触時間が長い場合、膨潤や表面変化に注意する。 |
| 塩素系溶剤 | ジクロロメタン、トリクロロエチレン、クロロホルム | × | 膨潤、軟化、抽出が起こりやすく、原則として避ける。 |
| 水・温水 | 水、温水、海水 | ◎ | 吸水率が低く、耐水性は良好である。高温水では酸化劣化や添加剤溶出を確認する。 |
| 油 | 鉱物油、潤滑油、動植物油 | △ | EPDM系成分を含む場合、鉱物油により膨潤しやすい。耐油用途では確認が必要である。 |
| 燃料 | ガソリン、軽油、灯油 | × | 膨潤や軟化が生じやすく、燃料接触部品には一般に不向きである。 |
SP値(溶解度パラメータ)
TPOの代表的なSP値(δ)は、主成分がポリプロピレン、ポリエチレン、EPDMなどであるため、概ね16~18 MPa1/2程度を目安とする。配合、結晶化度、ゴム相、フィラー、添加剤により実際の耐溶剤性は変化する。
SP値は溶解性や膨潤性を推定するための目安であり、耐薬品性を単独で判断する指標ではない。実使用では、温度、濃度、浸漬時間、応力、成形品形状、添加剤抽出、環境劣化を含めて確認する必要がある。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
TPOの代表SP値を17 MPa1/2として、代表的な溶剤とのSP値差を整理する。実際には、TPOは結晶相とゴム相を含む多相材料であるため、SP値差が大きくても添加剤抽出、応力割れ、表面荒れが起こる場合がある。
| 薬品名 | 代表SP値 MPa1/2 | TPOとの差 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 水 | 47.9 | 30.9 | ◎ | SP値差が大きく、吸水も小さい。 |
| エタノール | 26.0 | 9.0 | ○ | 短時間接触では比較的良好である。 |
| IPA | 23.5 | 6.5 | ○ | 洗浄用途では接触時間を確認する。 |
| アセトン | 20.3 | 3.3 | △ | 配合により表面変化や軟化が起こる場合がある。 |
| MEK | 19.0 | 2.0 | △ | 長期接触や高温では注意が必要である。 |
| 酢酸エチル | 18.6 | 1.6 | × | SP値が近く、膨潤の可能性がある。 |
| トルエン | 18.2 | 1.2 | × | 芳香族溶剤で膨潤しやすい。 |
| キシレン | 18.0 | 1.0 | × | 塗料溶剤として接触する場合は不適であることが多い。 |
| ヘキサン | 14.9 | 2.1 | △ | 脂肪族炭化水素でも膨潤する場合がある。 |
| シクロヘキサン | 16.8 | 0.2 | × | SP値が非常に近く、膨潤に注意する。 |
| ジクロロメタン | 20.2 | 3.2 | × | 塩素系溶剤は避けることが望ましい。 |
| グリセリン | 33.8 | 16.8 | ◎ | SP値差は大きいが、実液での添加剤影響を確認する。 |
製法
原料
- ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂
- EPDM、EPR、POEなどのオレフィン系ゴムまたはエラストマー
- タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボンブラックなどの充填材または強化材
- 酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤
- 必要に応じて、無水マレイン酸変性ポリオレフィンなどの相溶化剤
重合方法
TPOは単一の重合反応で得られる材料だけではなく、重合型とコンパウンド型に大別される。重合型では、チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒などを用いて、プロピレン、エチレン、α-オレフィンを重合し、PP相とエラストマー相を形成する。コンパウンド型では、既存のPP、PE、EPDM、POEなどを二軸押出機などで溶融混練する。
代表的な反応式
| 反応または工程 | 代表式 | 説明 |
|---|---|---|
| プロピレン重合 | n CH2=CH-CH3 → [-CH2-CH(CH3)-]n | PP相を形成し、剛性、耐熱性、成形性を付与する。 |
| エチレン重合 | n CH2=CH2 → [-CH2-CH2-]n | PE相またはエチレン系軟質相を形成する。 |
| エチレン・プロピレン共重合 | x CH2=CH2 + y CH2=CH-CH3 → エチレン・プロピレン共重合体 | ゴム状相を形成し、柔軟性と衝撃性を付与する。 |
| EPDM形成 | エチレン + プロピレン + ジエン成分 → EPDM | 少量のジエン成分により、必要に応じて架橋反応点を導入する。 |
| 動的架橋 | PP + EPDM + 架橋剤 → PP連続相中に架橋ゴム粒子が分散したTPOまたはTPV | 混練中にゴム相を架橋し、圧縮永久ひずみや耐熱性を改良する。 |
ペレット化やコンパウンド
一般的なTPOコンパウンドは、原料ポリマー、充填材、添加剤を二軸押出機で溶融混練し、ストランドカットまたは水中カットによりペレット化する。自動車外装用では、流動性、低温衝撃性、塗装密着性、寸法安定性、線膨張係数、耐候性を調整するため、ゴム成分やタルク量を細かく設計する。
添加剤、充填材、強化材
耐候用途では、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤が使用されることが多い。剛性や耐熱性が必要な用途ではタルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維などを配合する。導電性や帯電防止性を付与する場合には、カーボンブラック、導電性フィラー、帯電防止剤を使用する場合がある。
詳細な利用用途
| 分野 | 主な用途 | 採用理由 |
|---|---|---|
| 自動車 | バンパー、エアバッグカバー、インストルメントパネル、ドアトリム、フェンダー、ピラー、泥よけ、グロメット | 軽量性、耐衝撃性、耐候性、PP系材料とのリサイクル性に優れる。 |
| 電気・電子 | 電線被覆、コネクタカバー、ケーブル保護材、スイッチ部品、軟質カバー | 絶縁性、柔軟性、耐水性があり、ハロゲンフリー設計に対応しやすい。 |
| 機械部品 | カバー、グリップ、緩衝材、防振部品、保護キャップ、シール部品 | 柔軟性、衝撃吸収性、成形加工性に優れる。 |
| 医療 | チューブ、軟質部品、容器部品、器具グリップ | グレードにより低溶出、軽量、PVC代替として使用される。ただし医療適合グレードの確認が必要である。 |
| 食品機械 | パッキン、カバー、容器部品、搬送部材 | 耐水性、軽量性、柔軟性を活かせる。食品接触では法規適合グレードを選定する。 |
| 建築・設備 | 防水シート、屋根材、ガスケット、目地材、保護カバー、配管部材 | 耐候性、耐水性、耐オゾン性に優れる。 |
| 日用品 | グリップ、ケース、マット、容器、玩具、雑貨、スポーツ用品 | 柔軟性、軽量性、着色性、成形性を活かせる。 |
| 包装・シート | 軟質シート、保護フィルム、フォームシート、トレイ | 低密度、柔軟性、耐水性、ヒートシール性を調整しやすい。 |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | 対象材料との違い |
|---|---|---|
| ポリプロピレン | 軽量で耐薬品性と成形性に優れる汎用樹脂である。 | TPOはPPより柔軟性、耐衝撃性、ゴム弾性に優れるが、剛性や耐熱変形性は低くなる場合がある。 |
| ポリエチレン | 耐水性、耐薬品性、低温特性に優れる。 | TPOはPEより高温側の寸法安定性や成形品剛性を調整しやすい。 |
| EPDM | 耐候性、耐オゾン性、耐水性に優れる加硫ゴムである。 | TPOはEPDMより射出成形や押出成形で加工しやすく、リサイクルしやすいが、ゴム弾性や圧縮永久ひずみはEPDMが有利な場合がある。 |
| TPV | 動的架橋ゴム相を持つ熱可塑性エラストマーである。 | TPVは一般TPOよりゴム弾性、圧縮永久ひずみ、耐熱性に優れる場合が多いが、価格は高くなる傾向がある。 |
| スチレン系熱可塑性エラストマー | SBS、SEBSなどを主体とするTPEで、柔軟性と触感に優れる。 | TPOはSBCより耐候性、耐熱性、PPとの相溶性に優れる場合がある。一方、低硬度や透明性ではSBCが有利な場合がある。 |
| 熱可塑性ポリウレタン | 耐摩耗性、機械強度、耐油性に優れるTPEである。 | TPOはTPUより軽量で耐水性に優れ、価格も低い場合があるが、耐摩耗性や耐油性はTPUが有利である。 |
| 軟質ポリ塩化ビニル | 柔軟性、難燃性、加工性に優れる軟質樹脂である。 | TPOは可塑剤を使わない設計が可能で、軽量性とリサイクル性に優れる。難燃性や接着性では軟質PVCが有利な場合がある。 |
| 熱可塑性コポリエステル | 耐油性、耐熱性、反発弾性に優れるエラストマーである。 | TPOはTPCより軽量で耐水性に優れ、コストを抑えやすいが、耐熱性や耐油性ではTPCが有利である。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 三井化学株式会社 | MILASTOMER | オレフィン系熱可塑性エラストマーの代表例であり、自動車、電気電子、建材、日用品などに使用される。 |
| 三菱ケミカル株式会社 | THERMORUN、TREXPRENE、ZELAS | 自動車向けを中心としたTPO、TPV、特殊オレフィン系エラストマーを展開している代表例である。 |
| LyondellBasell | Hifax、Adflex、Softell | 反応器TPOやポリオレフィン系軟質材料を展開しており、自動車部品やコンパウンド用途に使用される。 |
| Celanese | Santoprene | 動的架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマーとして知られる。一般にはTPVとして分類される。 |
| ExxonMobil Chemical | Vistamaxx、Exact | プロピレン系、エチレン系のオレフィン系エラストマーを展開しており、TPO改質成分や軟質ポリオレフィン材料として使用される。 |
| Dow | ENGAGE、INFUSE | エチレン・α-オレフィン共重合体を展開しており、TPO、PP改質、軟質成形品の改質材として使用される。 |
| Teknor Apex | Monprene、Sarlink | 熱可塑性エラストマーコンパウンドを展開しており、TPOおよびTPV系材料の代表例がある。 |
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