概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | パーフロロエラストマー |
| 略記号 | FFKM |
| IUPAC | 単一化学物質ではないため単一のIUPAC名は定義しにくい。一般には、主鎖及び置換基が実質的に全フッ素化されたポリメチレン型エラストマー群として扱われる。 |
| 英語名 | Perfluoroelastomer / Perfluorinated Elastomer / Perfluorocarbon Elastomer |
| 日本語名 | パーフロロエラストマー、パーフルオロエラストマー、全フッ素ゴム、全フッ素化エラストマー |
| 分類 | フッ素系合成ゴム、高機能エラストマー、架橋型エラストマー |
| プラスチック分類 | プラスチックではなく高機能ゴム材料に分類される。性能水準はスーパーエンジニアリングプラスチックと比較されることがあるが、材料分類としてはエラストマーである。 |
| 化学式または代表構造 | 代表例:−[CF2−CF2]m−[CF2−CF(ORf)]n−。Rfはパーフルオロアルキル基であり、架橋サイトモノマーを共重合して三次元網目を形成する。 |
| CAS No. | FFKMは材料群であり単一CAS No.に統一できない。個別ポリマー、コンパウンド、架橋剤のCAS No.はメーカーSDSで確認する必要がある。 |
| 構造・主成分 | TFE(テトラフルオロエチレン)とPAVE(パーフルオロアルキルビニルエーテル、例:PMVE)等を主体とし、架橋可能な少量のサイトモノマーを導入した全フッ素化共重合体である。フッ素含有率は製品群により異なるが、一般にFKMより高い。 |
| 主な用途 | Oリング、ガスケット、バルブシール、メカニカルシール、半導体製造装置シール、化学プラント、石油・ガス、航空宇宙、高温薬液設備、分析・医療機器の高信頼シール。 |
パーフロロエラストマー(FFKM)は、炭化水素系ゴムの水素原子を実質的にフッ素原子で置換した高フッ素含有の架橋型エラストマーである。代表的にはTFEとPAVEを共重合し、さらに架橋サイトを導入して加硫する。C−F結合の高い結合エネルギーと、全フッ素化骨格による低い化学反応性により、酸、アルカリ、アミン、炭化水素、燃料、ケトン、エステル、多くの有機溶剤に対して極めて広い耐薬品性を示す。
最大の特徴は、PTFEに近い広範な耐薬品性と、ゴム材料としての弾性シール性を両立する点である。一般的な市販グレードの連続使用温度はおおむね200~300℃級であり、高耐熱グレードでは300℃を超える使用温度が示される例もある。ただし、耐熱上限はコンパウンド、架橋系、シール形状、圧縮率、薬品、圧力、時間によって大きく変化する。
一方、FFKMは極めて高価であり、低温柔軟性、機械強度、耐摩耗性、加工性の全てが常に最良とは限らない。半導体向けでは低アウトガス、低金属、耐プラズマ、低パーティクル性、湿式薬液耐性などがグレードごとに最適化される。実使用では「FFKM」という材料名だけで選定せず、対象薬品の濃度、温度、圧力、応力、プラズマ種、使用時間、滅菌条件、法規制を個別に確認する必要がある。
特徴
| 項目 | 概要 | 設計・選定上の注意 |
|---|---|---|
| 長所 | 最高水準の耐薬品性、高温シール性、耐オゾン性、耐候性、低ガス透過性、耐燃料性、低吸水性を持つ。 | 強薬品と高温を同時に受けるシール用途で特に有効である。グレードによって耐アミン、耐蒸気、耐プラズマ、低アウトガス性が異なる。 |
| 短所 | 極めて高価格であり、低温性、加工性、引裂・摩耗特性はグレード依存が大きい。 | 汎用FKMで十分な用途にFFKMを用いると過剰品質になりやすい。ライフサイクルコストで判断する。 |
| 外観 | 黒色、白色、クリーム色、半透明など。 | 充填材、架橋系、高純度仕様により外観が異なる。色だけで組成や耐薬品性を判断しない。 |
| 耐熱性 | 一般に非常に高い。代表的な連続使用温度は200~300℃級で、特殊グレードでは300℃超の例がある。 | 高温では圧縮永久ひずみ、応力緩和、熱酸化、媒体との複合劣化を確認する。 |
| 耐薬品性 | エラストマー中で最上位クラス。酸、塩基、燃料、油、ケトン、エステル等へ広く耐える。 | 溶融アルカリ金属、一部高温フッ素化媒体、強い求核剤、プラズマ等ではグレード選定が必要である。 |
| 加工性 | ゴム混練後、圧縮・トランスファー・射出成形等で加硫する。 | 熱可塑性樹脂のように再溶融成形できない。ポストキュア条件は高純度性・圧縮永久ひずみに大きく影響する。 |
| 分類上の注意 | FFKMはASTM D1418で用いられる材料記号であり、FKMとは区別される。 | 「フッ素ゴム」の総称の中にFKM、FEPM、FFKM等が含まれる場合があるため、仕様書では略号まで明記する。 |
構造式

FFKMは単一の繰り返し単位だけで表せる材料ではなく、TFE由来の−CF2−CF2−単位と、PAVE由来の−CF2−CF(ORf)−単位を主体とする共重合体が代表的である。PAVEにはPMVE等が用いられ、さらに架橋反応を可能にする少量のサイトモノマーが導入される。
| 構成要素 | 代表的な構造 | 役割 |
|---|---|---|
| TFE | CF2=CF2 | 耐熱性、耐薬品性の高い全フッ素化主鎖を形成する。 |
| PAVE(例:PMVE) | CF2=CF−ORf | ゴム弾性、低温性、共重合性、加工性の調整に寄与する。 |
| 架橋サイトモノマー | メーカー・グレード依存 | 過酸化物系等の架橋反応点を導入し、三次元ネットワークを形成する。 |
種類・代表グレード
| 種類・グレード区分 | 主成分・改質方法 | 長所 | 短所・注意 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 汎用FFKM | TFE/PAVE系+標準架橋系 | 耐薬品性、耐熱性、圧縮永久ひずみのバランスが良い。 | 価格が非常に高い。低温限界は通常FKMより必ずしも優れない。 | 化学設備、バルブ、ポンプ、メカニカルシール。 |
| 超耐熱グレード | 高耐熱ポリマー設計+高耐熱架橋系 | 300℃級又はそれ以上の高温シールに対応する例がある。 | 低温性や一部薬品適合性とのトレードオフがあり得る。 | 高温化学プロセス、航空宇宙、石油・ガス。 |
| 耐アミン・耐塩基グレード | 架橋系、共重合組成を塩基環境向けに最適化 | アミン、アンモニア、アルカリ水溶液に対する耐久性を高める。 | すべての高温蒸気・プラズマ条件に万能ではない。 | 化学プラント、油田薬品、洗浄設備。 |
| 耐蒸気・熱水グレード | 加水分解・高温水環境向け架橋設計 | 高温蒸気での物性保持と圧縮シール性を重視する。 | 条件によって体積変化や圧縮永久ひずみが進行する。 | 蒸気配管、SIP設備、化学プロセス。 |
| 半導体ドライプロセス用 | 低金属・低アウトガス配合、耐プラズマ設計 | 低パーティクル、低アウトガス、耐F/O系プラズマ。 | プラズマ種と温度によって侵食速度が大きく異なる。 | Etch、CVD、ALD、PVD、チャンバーシール。 |
| 半導体ウェットプロセス用 | 高純度配合、薬液耐性重視 | 酸、アルカリ、酸化剤、洗浄液に対する低抽出性を狙う。 | 高温強酸化剤では個別評価が必要である。 | Wet Etch、洗浄、CMP周辺、薬液供給。 |
| 食品・医薬対応グレード | 抽出物、充填材、配合剤を規制用途向けに管理 | FDA、3-A、USP Class VI等へ適合する製品例がある。 | 材料群全体の適合ではない。色、サイズ、製造拠点を含む証明書確認が必要である。 | 食品設備、医薬・バイオプロセス、分析機器。 |
| 低摩擦・耐摩耗グレード | PTFE等のフッ素系充填材を配合する例 | 摩擦・摩耗、パーティクル、摺動性を改善できる。 | フィラーは清浄度、プラズマ侵食、硬度へ影響する。 | 動的シール、半導体搬送、摺動シール。 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 理由 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 射出成形 | ○ | 専用コンパウンドでは量産成形が可能である。 | 金型温度、スコーチ、滞留時間、加硫速度をグレード別に管理する。 |
| 圧縮成形 | ◎ | Oリング、ガスケット等で一般的な加工法である。 | 成形圧、金型温度、一次加硫、ポストキュア条件を管理する。 |
| トランスファー成形 | ◎ | 複雑形状やインサートシールに適する。 | 流動長、ウェルド、スコーチを確認する。 |
| 押出成形 | △ | 専用配合では可能であるが、一般的な熱可塑押出とは異なる。 | 未加硫ゴムの流動性と連続加硫条件が必要である。 |
| ブロー成形 | × | 架橋ゴムであり、熱可塑性ブロー成形には適さない。 | 中空部品は他材料又は成形後接合を検討する。 |
| インフレーション成形 | × | フィルム用熱可塑溶融成形材料ではない。 | PFA、FEP、ETFE等を比較する。 |
| Tダイフィルム成形 | × | 通常の溶融フィルム成形には適さない。 | 薄膜用途はフッ素樹脂を比較する。 |
| 真空成形 | × | 熱可塑性シートではない。 | 該当なし。 |
| 圧空成形 | × | 熱可塑性シートではない。 | 該当なし。 |
| 3Dプリント | - | 一般的な市販FFKMの標準加工法ではない。 | 特殊材料・研究用途を除き一般化困難である。 |
| 切削加工 | △ | 加硫成形品の仕上げ加工は可能である。 | 軟質・弾性材料のため寸法保持とバリに注意する。 |
| 接着剤接合 | △ | 低表面エネルギーのため未処理では難しい。 | プラズマ、化学処理、専用プライマー、接着剤選定が必要である。 |
| インサート成形 | ○ | 金属等への一体シール部品が可能である。 | 金属前処理、接着系、熱膨張差、残留応力を管理する。 |
成形条件の一般的な目安
| 項目 | 単位 | 一般的な目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 予備乾燥 | - | 通常は樹脂ペレットのような乾燥管理ではない | 未加硫コンパウンドは保管温度、保管期限、吸湿・汚染防止をメーカー指示に従う。 |
| 金型温度 | ℃ | 150~200 | 代表的な加硫成形域の目安。架橋系で大きく異なる。 |
| 一次加硫時間 | min | 数分~数十分 | 製品肉厚、金型温度、架橋速度による。 |
| ポストキュア温度 | ℃ | 200~300級 | 段階昇温を用いる場合がある。過度の昇温は変形や表面劣化に注意する。 |
| ポストキュア時間 | h | 数時間~数十時間 | 低アウトガス、高温圧縮永久ひずみ、揮発分低減に重要。グレード固有条件を優先する。 |
| 成形収縮率 | % | データなし | コンパウンド、金型、加硫・ポストキュアで変動が大きく、材料群として一般化困難である。 |
接合・表面処理適性
| 方法 | 適性 | 概要 |
|---|---|---|
| 熱板溶着 | × | 架橋ゴムのため再溶融溶着はできない。 |
| 超音波溶着 | × | 熱可塑性樹脂のような溶融接合には適さない。 |
| レーザー溶着 | × | 通常の樹脂溶着用途には適さない。 |
| 接着剤接合 | △ | 専用プライマー、表面活性化、接着系の組合せで可能である。 |
| 機械締結 | ○ | ガスケット等ではフランジ締結が一般的である。締付率とクリープ・応力緩和を管理する。 |
| プラズマ処理 | ○ | 接着性向上に有効な場合があるが、処理条件が強すぎると表面劣化・エッチングが生じる。 |
| プライマー処理 | ○ | 金属接着や二次接着で一般的に検討される。 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下はFFKM材料群の比較用代表範囲である。特定メーカーの単一グレード値ではなく、主として市販高性能シール用FFKMの公開データ範囲を整理したものである。比較用数値は非強化・一般的なコンパウンドを想定するが、FFKMは充填材・架橋系の影響が大きく、実設計では必ず対象グレードのTDSを優先する。
物理・機械特性
| 項目 | 単位 | 代表値 | 代表範囲 | データ信頼度 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 1.95 | 1.85~2.05 | B | 充填材、色、架橋系により変動する。 |
| 比重 | - | 1.95 | 1.85~2.05 | B | 23℃付近の概略。 |
| 硬度 | Shore A | 75 | 70~95 | A | 市販シール材では70~90台が多い。DuPont公表例では75及び91。 |
| 引張強さ・破断 | MPa | 18 | 10~22 | A | ASTM D412等。配合、硬度、試験片で変動する。 |
| 引張破断伸び | % | 150 | 100~200 | A | DuPont公表例では125~160%等。 |
| 100%モジュラス | MPa | 11 | 7~17 | A | 硬度、充填材、架橋密度で変動する。 |
| 圧縮永久ひずみ 70 h・204℃ | % | 15 | 10~30 | A | ASTM D395系。試験片形状で結果が異なる。高耐熱グレード例を含む。 |
| 引裂強さ | kN/m | データなし | グレード依存 | C | シール設計ではノッチ・バリ・組付け傷に注意する。 |
| 吸水率・24時間 | % | データなし | 一般に低い | C | FFKMは低吸水性であるが、統一条件の材料群代表値は一般化しない。 |
熱的・電気的性質
| 項目 | 単位 | 代表値 | 代表範囲 | データ信頼度 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| ガラス転移温度 | ℃ | -5 | -20~0 | B | PAVE組成により低温性が変化する。低温特殊グレードは別範囲となる。 |
| 融点 | ℃ | 該当なし | 該当なし | A | 架橋エラストマーであり、熱可塑性樹脂の明確な融点による再溶融成形は行わない。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 275 | 200~300 | A | 材料群の一般的目安。特殊品では300℃超の公表例がある。 |
| 短時間耐熱温度 | ℃ | データなし | 300超の例あり | B | 時間、薬品、圧力、圧縮率で変化する。 |
| 低温使用限界 | ℃ | -15 | -40~-5 | B | 低温グレードを含めると範囲が広い。シール復元性はTR10等で確認する。 |
| 熱伝導率 | W/(m・K) | データなし | グレード依存 | C | 充填材依存が大きい。 |
| 線膨張係数 | 10⁻⁵/K | データなし | グレード依存 | C | シール溝設計では金属との熱膨張差を確認する。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | データなし | グレード依存 | C | カーボンブラック配合では導電性が上がる場合がある。 |
| 比誘電率・1 MHz | - | データなし | グレード依存 | C | 周波数・温度・配合依存。 |
燃焼性・難燃性
| 項目 | 代表的傾向 | 注意 |
|---|---|---|
| UL 94 | グレード依存 | FFKMという材料名だけでV-0等を断定しない。認証グレード、色、厚さごとにUL Yellow Card等を確認する。 |
| 限界酸素指数(LOI) | データなし | 高フッ素含有により一般に燃焼しにくいが、統一代表値は一般化しない。 |
| 燃焼時の主な発生ガス | フッ素系分解生成物 | 過熱・火災・不適切な焼却ではHF等の有害な分解生成物が生じ得るため、局所排気・保護具・廃棄基準を確認する。 |
| ハロゲン含有 | あり(フッ素) | 一般的な「ハロゲンフリー」用途には該当しない。 |
比較用評価スコア
| 評価項目 | スコア | 評価理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 3 | シール材として十分な強度を持つが、高強度樹脂・PU等と比較すると標準的である。 |
| 剛性 | 1 | エラストマーであり、構造剛性を目的とする材料ではない。 |
| 衝撃強度 | 4 | ゴム弾性により衝撃吸収性は高いが、規格化された樹脂衝撃値での単純比較は不適切である。 |
| 耐熱性 | 5 | エラストマー中で最高水準である。 |
| 低温特性 | 2 | 一般FFKMは低温柔軟性が主目的ではなく、特殊低温グレードを除くとVMQ等に劣る。 |
| 耐薬品性 | 5 | エラストマー中で最上位クラスであり、PTFEに近い範囲を狙える。 |
| 耐候性 | 5 | UV、オゾン、酸化環境に一般に強い。 |
| 耐加水分解性 | 5 | 一般に非常に高いが、高温蒸気では専用グレード確認が必要である。 |
| 寸法安定性 | 3 | 吸水は低いが、ゴム弾性、熱膨張、圧縮永久ひずみを設計に含める必要がある。 |
| 低吸水性 | 5 | 全フッ素化骨格により一般に低い。 |
| 摺動性 | 4 | フッ素系材料として比較的良好。専用低摩擦配合ではさらに改善する。 |
| 耐摩耗性 | 3 | 配合依存が大きく、動的シールでは専用グレードが必要である。 |
| 電気絶縁性 | 4 | 未導電配合では良好だが、カーボンブラック等の影響を受ける。 |
| 難燃性 | 5 | 高フッ素含有で燃焼しにくい傾向。ただしUL認証はグレード別確認が必要である。 |
| 透明性 | 1 | 一般にシールコンパウンドであり、透明材料用途ではない。 |
| 成形加工性 | 2 | 加硫、ポストキュア、専用設備が必要であり、熱可塑性樹脂より工程負荷が高い。 |
| 切削加工性 | 2 | 弾性体のため高精度切削には不向きである。 |
| 接着性 | 1 | 低表面エネルギーのため未処理接着は難しい。 |
| リサイクル性 | 1 | 架橋体で再溶融できず、マテリアルリサイクルは難しい。 |
| 価格優位性 | 1 | エラストマー中でも極めて高価格である。 |
耐薬品性
FFKMの耐薬品性は一般に非常に高いが、以下は材料群としての代表評価である。温度、濃度、接触時間、圧力、応力、架橋系、充填材により結果は変化する。特に高温アミン、高温蒸気、強酸化剤、フッ素系プラズマ等は専用グレードの確認が必要である。
| 分類 | 薬品名 | 濃度 | 温度 | 接触時間 | 応力 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | 水 | - | 23℃ | 長期 | 無 | ◎ | 影響小 | 一般に非常に良好。 |
| 温水 | 温水 | - | 80~100℃ | 長期 | 無 | ◎ | 圧縮永久ひずみ | 高温長期ではシール力保持を確認する。 |
| 水蒸気 | 飽和蒸気 | - | 150~260℃級 | 条件依存 | 有 | ○ | 体積変化、シール力低下 | 耐蒸気専用グレードを推奨。 |
| 無機酸 | 塩酸 | ~35% | 23℃ | 長期 | 無 | ◎ | 影響小 | 高温・加圧条件は個別確認。 |
| 無機酸 | 硫酸 | ~98% | 23℃ | 長期 | 無 | ◎ | 影響小 | 発煙硫酸、高温条件は個別確認。 |
| 無機酸 | 硝酸 | ~60% | 23℃ | 長期 | 無 | ◎ | 酸化劣化の可能性 | 高濃度・高温では酸化性を考慮する。 |
| 有機酸 | 酢酸 | 100% | 23℃ | 長期 | 無 | ◎ | 影響小 | 一般に良好。 |
| 強アルカリ | 水酸化ナトリウム | 10~50% | 23℃ | 長期 | 無 | ◎ | 影響小 | 高温濃厚アルカリでは専用品確認。 |
| 強アルカリ | 水酸化カリウム | 10~50% | 23℃ | 長期 | 無 | ◎ | 影響小 | 高温では架橋系依存。 |
| 弱アルカリ | アンモニア水 | ~28% | 23℃ | 長期 | 無 | ○ | 膨潤、架橋系への影響 | 耐アミン系グレードを優先する。 |
| アミン | MEA、DEA等 | 実液 | 23~150℃ | 長期 | 有 | ○ | 膨潤、硬化、シール力低下 | 高温アミンはグレード差が大きい。 |
| 低級アルコール | エタノール | 100% | 23℃ | 長期 | 無 | ◎ | 影響小 | 一般に良好。 |
| 低級アルコール | IPA | 100% | 23℃ | 長期 | 無 | ◎ | 影響小 | 半導体洗浄用途でも候補となる。 |
| 多価アルコール | グリセリン | 100% | 23℃ | 長期 | 無 | ◎ | 影響小 | 一般に良好。 |
| 高級アルコール | MMB(3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール) | 100% | 23℃ | 長期 | 無 | ◎ | 影響小 | 実液評価を推奨。 |
| ケトン | アセトン | 100% | 23℃ | 長期 | 無 | ◎ | 影響小 | FKMとの差が大きい代表溶剤。 |
| ケトン | MEK | 100% | 23℃ | 長期 | 無 | ◎ | 影響小 | 一般に良好。 |
| エステル | 酢酸エチル | 100% | 23℃ | 長期 | 無 | ◎ | 影響小 | 一般に良好。 |
| エーテル | THF | 100% | 23℃ | 長期 | 無 | ○ | 膨潤の可能性 | FFKMでも配合差を確認する。 |
| 芳香族炭化水素 | トルエン | 100% | 23℃ | 長期 | 無 | ◎ | 影響小 | 一般に非常に良好。 |
| 脂肪族炭化水素 | n-ヘキサン | 100% | 23℃ | 長期 | 無 | ◎ | 影響小 | 一般に非常に良好。 |
| ハロゲン化炭化水素 | ジクロロメタン | 100% | 23℃ | 長期 | 無 | ○ | 膨潤の可能性 | グレード別実浸漬を推奨。 |
| 燃料 | ガソリン、芳香族含有燃料 | 実液 | 23~100℃ | 長期 | 有 | ◎ | 影響小 | 燃料種、添加剤、バイオ成分を確認する。 |
| 潤滑油 | 鉱物油・合成油 | 実液 | 23~200℃ | 長期 | 有 | ◎ | シール力低下 | 高温油では添加剤との相互作用を確認する。 |
| ブレーキ液 | グリコール系 | 実液 | 23~150℃ | 長期 | 有 | ◎ | 影響小 | 実液評価を推奨。 |
| 冷却液 | EG/水 | 50/50 | 80~150℃ | 長期 | 有 | ◎ | シール力低下 | 防錆剤、pH、温度を確認する。 |
| 界面活性剤 | 非イオン・アニオン系洗浄剤 | 実用濃度 | 23~80℃ | 長期 | 無 | ◎ | 抽出・膨潤の可能性 | 混合溶剤を含む洗浄剤は実液評価する。 |
| 酸化剤 | 過酸化水素 | 3~35% | 23~80℃ | 長期 | 無 | ○ | 酸化、体積変化 | 高純度・半導体用途は専用グレードを確認。 |
| 次亜塩素酸塩 | 次亜塩素酸ナトリウム | 0.01~12% | 23℃ | 長期 | 無 | ○ | 酸化劣化 | 有効塩素濃度、pH、温度で評価する。 |
| 塩水 | NaCl水溶液 | 3.5% | 23~80℃ | 長期 | 無 | ◎ | 影響小 | 金属側腐食との組合せに注意する。 |
| 食品油 | 植物油 | 100% | 23~180℃ | 長期 | 有 | ◎ | 影響小 | 食品接触規制はグレード別確認。 |
SP値(溶解度パラメータ)
FFKMは架橋された全フッ素化エラストマーであり、通常の熱可塑性ポリマーや低分子液体のように「溶解してSP値を求める」扱いが困難である。公開一次資料で材料群全体に適用できる代表Hildebrand SP値又はHansen HSP値を確認できないため、本ページでは比較機能用の確定値を設定しない。
したがって、FFKMの耐薬品性をSP値差だけで推定することは推奨しない。実務では、メーカーの浸漬データ、体積膨潤率、硬度変化、引張保持率、圧縮シール力、温度、圧力、時間、架橋系を優先する。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
上表は一般的な非架橋ポリマーの溶解・膨潤予測に用いられる簡易目安であり、FFKMへ直接適用できる保証はない。FFKMは架橋体であるため通常は「溶解」よりも体積膨潤、硬度変化、架橋構造の劣化として現れる。
SP値から見た耐溶剤性
| 溶剤 | SP値 δ | 単位 | FFKMとのSP値差 | 実務評価 |
|---|---|---|---|---|
| n-ヘキサン | 14.9 | MPa1/2 | 算出せず | ◎ |
| トルエン | 18.2 | MPa1/2 | 算出せず | ◎ |
| 酢酸エチル | 18.2 | MPa1/2 | 算出せず | ◎ |
| MEK | 19.0 | MPa1/2 | 算出せず | ◎ |
| アセトン | 19.9 | MPa1/2 | 算出せず | ◎ |
| IPA | 23.5 | MPa1/2 | 算出せず | ◎ |
| エタノール | 26.0 | MPa1/2 | 算出せず | ◎ |
| 水 | 47.9 | MPa1/2 | 算出せず | ◎ |
FFKMの確定SP値を設定していないため、SP値差は意図的に算出していない。上記溶剤のSP値は溶剤側の比較情報であり、耐薬品性評価は公開されているFFKMの耐薬品傾向を優先した。評価基準は◎:非常に良好、○:概ね良好、△:注意が必要、×:不適である。
環境応力割れ・長期シール挙動
FFKMはPCやPSのような典型的なESC材料ではないが、シール部品では圧縮応力、引張応力、ノッチ、押出し隙間、急減圧、高温媒体が同時に作用する。したがって「薬品浸漬で膨潤が小さい」だけでは適合判断できない。高圧ガスではRapid Gas Decompression(RGD)、高温では圧縮応力緩和、動的シールでは摩耗・発熱を評価する必要がある。
製法

代表的にはTFEとPAVE、架橋サイトモノマーをフッ素系ポリマーの重合技術により共重合し、得られた高分子を凝析、洗浄、乾燥してベースポリマーを得る。その後、架橋剤、必要に応じて補強材、充填材、加工助剤等を混練し、圧縮成形、トランスファー成形又は射出成形で一次加硫する。
代表的な反応概念は、m CF2=CF2 + n CF2=CF−ORf → −[CF2−CF2]m−[CF2−CF(ORf)]n− である。ただし、実際には架橋サイトモノマーを含み、分子量、共重合組成、末端基、乳化剤、開始剤、架橋系はメーカー固有技術を含む。
一次加硫後は高温ポストキュアを実施することが多い。ポストキュアは架橋反応の完結、揮発成分低減、圧縮永久ひずみ改善、半導体用途でのアウトガス低減等に寄与する。高純度グレードでは、低金属、低イオン、低抽出物、低パーティクル化のために配合材や洗浄工程が特別に管理される。
品質・成形不良
| 不良 | 材料側の要因 | 成形条件側の要因 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| 気泡・ボイド | 揮発分、混練時の巻込み | 急加熱、排気不足、加圧不足 | 真空脱気、予熱、成形圧、ポストキュア昇温条件を見直す。 |
| バリ | 低粘度配合、加硫前流動性 | 型締力不足、パーティング精度 | 金型クリアランス、型締、投入量、温度を調整する。 |
| 欠け・クラック | 高硬度、低伸び配合 | 離型時応力、急冷、アンダーカット | 離型設計、金型表面、加硫条件、取出し温度を見直す。 |
| 変色 | 配合剤、熱履歴 | 過加熱、長時間ポストキュア | 温度均一化、酸素雰囲気、昇温プロファイルを管理する。 |
| 寸法ずれ | 架橋収縮、充填材差 | 金型温度、ポストキュア収縮 | ロット・金型補正値を管理し、最終ポストキュア後寸法で保証する。 |
| 表面汚染 | 充填材、加工助剤、異物 | 金型汚染、取扱い汚染 | クリーン環境、専用治具、洗浄、包装管理を行う。 |
寸法精度・設計特性
- ゴムシールであるため、樹脂の寸法公差設計とは異なり、圧縮率、溝充填率、熱膨張、体積膨潤を同時に管理する。
- 高温では圧縮永久ひずみと応力緩和がシール寿命を支配するため、短時間引張強さを設計許容応力として使用しない。
- 圧力が高い場合は押出し隙間によるニブリングを防ぐため、硬度、バックアップリング、溝寸法を検討する。
- 高圧ガスではRGD耐性を確認し、急減圧速度を含む実条件試験を行う。
- 半導体用途では寸法だけでなく、パーティクル、金属、イオン、アウトガス、プラズマ侵食量を管理する。
注意点・劣化故障モード
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 外観・性能への影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 圧縮永久ひずみ | 高温長期圧縮、架橋緩和 | 200℃超、長時間、過大圧縮 | 復元不足、漏れ | 高耐熱グレード、適正圧縮率、温度低減 | ASTM D395相当、実溝シール力保持試験 |
| 膨潤 | 薬品吸収、配合剤との親和性 | 高温溶剤、混合液 | 寸法増加、硬度低下 | 実液適合グレード選定 | 23/80/150℃等で168~1000h浸漬、体積・硬度・引張保持率 |
| 熱劣化 | 主鎖・架橋点の分解 | 温度上限付近、酸化雰囲気 | 硬化、亀裂、シール力低下 | 温度マージン確保 | 熱老化1000h以上、圧縮応力緩和 |
| プラズマ侵食 | F/O/N系ラジカル、イオン衝撃 | 半導体ドライプロセス | 質量減少、パーティクル、表面荒れ | プラズマ専用グレード | 実プラズマ暴露、質量減少、粒子数、表面分析 |
| アウトガス | 残留低分子、配合剤 | 真空・高温 | 汚染、歩留まり低下 | 高純度配合、適正ポストキュア | TML/CVCM、GC-MS、実チャンバー評価 |
| RGD損傷 | 溶解ガスの急膨張 | 高圧CO₂、H₂S、天然ガスの急減圧 | 内部亀裂、ブリスター | RGD対応グレード、減圧速度管理 | NORSOK M-710 / ISO 23936等を用途に応じ確認 |
| 摩耗 | 摺動、相手材粗さ、潤滑不足 | 動的シール、高速軸 | 摩耗粉、漏れ | 低摩擦配合、相手材・潤滑最適化 | 摩耗量、摩擦係数、実軸シール耐久試験 |
推奨確認試験
- 実薬品浸漬試験:実使用濃度で23℃、使用温度、上限温度の3条件を設定し、168h、500h、1000h等で体積変化、質量変化、硬度、引張保持率を確認する。
- 圧縮永久ひずみ・シール力保持試験:実溝圧縮率で使用温度×100~1000h以上を評価する。
- 高温高湿・熱水・蒸気試験:SIP等では実温度・圧力・サイクル数を再現する。
- プラズマ耐久試験:半導体用途では実ガス種、RF条件、温度、時間で質量減少、パーティクル、表面粗さ、シール力を評価する。
- アウトガス試験:真空・高温用途ではTML/CVCM、GC-MS又は実装置による汚染評価を行う。
- 高圧ガス用途ではRGD試験を行い、減圧速度、圧力、温度、ガス組成を実条件に合わせる。
法規制・認証
| 規制・認証 | 一般的な扱い | 確認事項 |
|---|---|---|
| RoHS | 対応可能なグレードが存在 | FFKM材料名だけで適合を断定せず、製品別証明書を確認する。 |
| REACH / SVHC | 個別確認 | ポリマー本体、配合剤、製造助剤、更新されたSVHC候補リストを確認する。 |
| PFAS関連規制 | 重要な検討対象 | FFKMはフッ素系高分子であり、地域・用途によりPFAS規制の定義や除外条件の影響を受け得る。2026年時点の最新法令、用途別適用除外、サプライヤー声明を必ず確認する。 |
| TSCA | 個別確認 | 米国輸出ではポリマー・添加剤・用途に応じたインベントリ/証明を確認する。 |
| FDA食品接触 | 適合製品例あり | 特定コンパウンド・用途・温度の適合証明を確認する。材料群全体の認証ではない。 |
| 日本の食品衛生法 | 個別確認 | ポジティブリスト対象、用途区分、接触温度、食品種、溶出条件を確認する。 |
| USP Class VI / ISO 10993 | 医療向け適合製品例あり | 製品・色・製造工程別の証明を確認し、最終医療機器の生体適合性評価を別途行う。 |
| UL | グレード依存 | UL 94、RTI等は個別グレード、厚さ、色の認証情報を確認する。 |
| NORSOK / ISO 23936 | 油・ガス向け対応品あり | RGD、H₂S、温度、圧力条件を含め、該当コンパウンドの試験範囲を確認する。 |
環境・リサイクル性
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 熱可塑性/熱硬化性 | 架橋型エラストマーであり、実質的に熱硬化性材料として扱う。 |
| マテリアルリサイクル | 再溶融できないため困難。粉砕再利用等は性能・清浄度要求から限定的である。 |
| ケミカルリサイクル | 一般流通レベルでは限定的。フッ素回収技術を含め専門処理が必要となる場合がある。 |
| サーマルリサイクル | 不適切な焼却ではHF等の有害分解物発生に注意し、適切な排ガス処理設備が必要である。 |
| 再生材利用 | 高信頼シール、半導体、医療用途では一般に限定的である。 |
| 生分解性 | なし。 |
| バイオベース | 一般的なFFKMは該当しない。 |
価格・供給性
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 相対価格 | 極めて高価格 |
| 汎用的な流通性 | 限定的。一般ゴム商社より、メーカー、専門シールメーカー、指定代理店経由が中心である。 |
| 国内入手性 | 主要ブランドは入手可能であるが、グレード・サイズ・納期に制約がある。 |
| 少量購入 | 標準Oリングは比較的入手しやすいが、特殊コンパウンドや大型成形品は最小ロットが大きくなりやすい。 |
| 供給形態 | ベースポリマー、コンパウンド、Oリング、ガスケット、カスタム成形シール等。 |
詳細な利用用途
| 分野 | 代表部品 | 選定理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 半導体 | チャンバーOリング、ゲートバルブ、シャワーヘッド周辺シール | 耐プラズマ、低アウトガス、低パーティクル、耐薬液性 | ドライ/ウェット、ガス種、プラズマ直曝、温度により専用グレードを使い分ける。 |
| 化学プラント | ポンプ、バルブ、メカニカルシール、ガスケット | 強酸、強アルカリ、溶剤、混合薬品への広い耐性 | 温度・圧力・薬品混合物・蒸気条件を確認する。 |
| 石油・ガス | ダウンホールシール、バルブ、コンプレッサー | 高温、炭化水素、H₂S、CO₂への耐性 | RGD、圧力、温度、ガス組成を重視する。 |
| 航空宇宙 | エンジン周辺シール、燃料・潤滑系 | 高温、航空燃料、潤滑油、熱サイクル耐久 | AMS等の適合と低温復元性を確認する。 |
| 医薬・バイオ | バルブ、ポンプ、SIP/CIPシール | 耐薬液、耐蒸気、高純度、低抽出 | USP、FDA、抽出物・溶出物、SIPサイクルを確認する。 |
| 食品機械 | 高温洗浄部シール、充填設備 | 洗浄薬品・熱・油への耐性 | 食品接触認証は特定グレードで確認する。 |
| 分析機器 | 流体経路、ポンプシール、バルブ | 広い薬品適合範囲と低抽出性 | 微量分析ではブランク、アウトガス、抽出物を評価する。 |
用途別選定
| 用途 | 適性 | 理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ギア | × | 構造剛性が不足する。 | PEEK、PPS、POM等を検討する。 |
| 軸受・ブッシュ | △ | 低摩擦グレードはあるが、主用途ではない。 | 荷重、PV値、摩耗粉を確認する。 |
| ポンプ部品 | ○ | シール・ダイヤフラム等で有効。 | 構造体よりシール部材として使用する。 |
| バルブ部品 | ◎ | 弁座、Oリング、ステムシールで高い耐薬品性を活かせる。 | 摺動、圧力、温度を確認する。 |
| シール | ◎ | FFKMの代表用途。 | 溝設計、圧縮率、薬品、温度、RGDを確認する。 |
| ガスケット | ◎ | 強薬品・高温で有効。 | 締付圧、クリープ、フランジ面粗さを確認する。 |
| Oリング | ◎ | 最も代表的な用途。 | 規格寸法、圧縮率、バックアップリングを確認する。 |
| チューブ・ホース | △ | 特殊押出で可能な場合がある。 | コストが極めて高く、PFA/PTFE系を比較する。 |
| 配管・タンク | × | 構造材として非効率。 | PTFE、PFA、PVDF等のフッ素樹脂が通常適する。 |
| フィルム・シート | × | 一般フィルム材料ではない。 | FEP、PFA、ETFE等を比較する。 |
| 電気コネクタ | △ | シール部には有効。 | ハウジング材ではなく防水・耐薬品シール用途。 |
| 自動車エンジンルーム | ○ | 高温油・燃料に強い。 | 通常はFKMで十分な場合が多く、コスト比較が必要。 |
| 燃料系部品 | ◎ | 燃料・添加剤・高温に強い。 | 低温性、透過性、法規格を確認する。 |
| 食品機械部品 | ○ | シール用途に優れる。 | 食品接触適合グレード限定。 |
| 医療機器部品 | ○ | 高純度・耐薬品シールに適する。 | 生体適合性・抽出物評価が必要。 |
| 滅菌部品 | ○ | 蒸気・薬液滅菌に対応可能なグレードがある。 | オートクレーブ回数、放射線、薬液を確認する。 |
| 半導体製造装置 | ◎ | 主要用途の一つ。 | ドライ/ウェット専用品の使い分けが重要。 |
| 真空装置 | ◎ | 低アウトガスグレードが選べる。 | 真空度、ベーク温度、抽出物を確認する。 |
| 屋外部品 | ○ | 耐候・耐オゾン性は高い。 | 価格面から通常は他ゴムを優先する。 |
| 接着剤・塗料・コーティング | × | FFKMは通常、完成シール材料として用いる。 | フッ素系コーティングは別材料群を検討する。 |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | FFKMとの違い |
|---|---|---|
| フッ素ゴム(FKM:関連フッ素材料ページ) | 耐熱、耐油、耐燃料、耐薬品性に優れる高機能エラストマー。 | FFKMは耐アミン、ケトン、エステル、強薬品、高温限界で有利な場合が多いが、FKMは価格、加工性、低温グレードの選択肢で有利である。 |
| ポリテトラフルオロエチレン(PTFE) | 最高水準の耐薬品性、低摩擦性、非粘着性を持つフッ素樹脂。 | PTFEは薬品耐性と低摩擦で非常に優れるがゴム弾性がない。FFKMは弾性シールとして圧縮復元性を持つ。 |
| パーフルオロアルコキシアルカン樹脂(PFA) | PTFEに近い耐薬品性を持ち、溶融成形可能なフッ素樹脂。 | PFAはチューブ、配管、ライニング、構造部品に向く。FFKMはOリング等の弾性シール用途に向く。 |
| FEP | 透明性、耐薬品性、溶融成形性に優れるフッ素樹脂。 | FEPはフィルム・電線・チューブ向け。FFKMは高温弾性シール向けである。 |
| PVDF | 機械強度、耐候性、耐薬品性、溶融成形性のバランスが良い。 | PVDFは構造材・配管材に適するが、強溶剤や高温薬品への範囲はFFKMが広い場合が多い。 |
| シリコーンゴム(VMQ) | 低温柔軟性、高温性、電気特性、圧縮特性に優れる。 | VMQは低温性とコストで有利。FFKMは油、燃料、溶剤、強薬品への耐性で大きく優れる。 |
| EPDM / EPM系 | 耐水、耐蒸気、耐候、耐オゾン性に優れる。 | EPDMは水系・コストで有利。FFKMは油、溶剤、燃料を含む広範な薬品と高温で有利である。 |
| NBR | 耐油性と価格バランスに優れる汎用耐油ゴム。 | NBRは低~中温油用途で経済的。FFKMは温度・薬品範囲が圧倒的に広いが高価である。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| DuPont | Kalrez® | 化学、半導体、石油・ガス、航空宇宙等向けのFFKMシール部品を展開。高耐熱、耐薬品、高純度等の複数グレードがある。 |
| ダイキン工業 | DAI-EL Perfluor(ダイエル パーフロ) | 汎用、高耐熱、耐アミン、高純度等のFFKMを展開。半導体、化学、石油・ガス用途向け。 |
| Syensqo | Tecnoflon® PFR FFKM | 高耐熱、高純度、耐プラズマ等のFFKMベースポリマー/材料を展開。NFS(non-fluorosurfactant)技術の製品群もある。 |
| Greene Tweed | Chemraz® | 半導体、化学、エネルギー、航空宇宙、ライフサイエンス向けのFFKMシール製品を展開。 |
関連キーワード
フッ素系材料 / PTFE / PFA / FEP / PVDF / シリコーンゴム / EPDM・EPM / NBR / 耐薬品性 / 耐熱・耐薬品成形品 / TFE / PAVE / PMVE / Oリング / 圧縮永久ひずみ / RGD / NORSOK M-710 / 半導体シール
本ページの評価値は材料群としての一般的傾向であり、特定グレードの保証値ではない。実使用では、グレード、温度、濃度、荷重、圧力、応力、湿度、使用時間、試験片形状、成形条件、架橋系、充填材、法規制を確認し、必要に応じて実薬品浸漬、圧縮永久ひずみ、シール力保持、RGD、プラズマ、アウトガス等の実機条件試験を行う必要がある。