概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体 |
| 略記号 | SBS |
| IUPAC系統名 | poly(styrene-block-buta-1,3-diene-block-styrene)。ブタジエン部の微細構造及び分子構造により単一の厳密名へ限定しにくい。 |
| 英語名 | Styrene-Butadiene-Styrene Block Copolymer / Styrenic Block Copolymer |
| 日本語名・別名 | スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、SBS樹脂、非水添スチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン系TPE |
| 分類 | 熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ブロック共重合体 |
| プラスチック分類 | 汎用熱可塑性エラストマーであり、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックには分類されない。 |
| 化学式又は代表構造 | PS-b-PB-b-PS。PSはポリスチレン硬質ブロック、PBはポリブタジエン軟質ブロックである。 |
| CAS No. | 9003-55-8がスチレン・ブタジエン共重合体の代表CASとして用いられるが、SBS専用の一義的識別ではなく、製品SDSを確認する必要がある。 |
| 構造・主成分 | 両末端のポリスチレンブロックと中央のポリブタジエンブロックからなる直鎖型又は星型ブロック共重合体である。 |
| 主な用途 | 粘着剤、ホットメルト接着剤、アスファルト改質、樹脂改質、履物、透明・軟質成形品、フィルム、シート、シーラント、コンパウンド基材。 |
| 代表グレード | 線状、星型、高スチレン、高分子量、低粘度、高透明、接着剤用、アスファルト改質用、樹脂改質用、食品接触用途向け適合グレードなど。 |
SBSは、ポリスチレン(PS)ブロックを硬質相、ポリブタジエン(PB)ブロックを軟質相とする非水添スチレン系熱可塑性エラストマーである。常温ではPSミクロドメインが物理架橋点として働くためゴム弾性を示し、加熱するとPS相が軟化して熱可塑性樹脂と同様に流動する。
加硫工程を必須とせず、射出、押出、フィルム、カレンダー、ホットメルト及び溶液加工へ適用できる点が大きな特徴である。粘着付与樹脂、プロセスオイル、PS、PP、アスファルト等との配合設計により、硬度、粘着性、強度、流動性及びコストを広範囲に調整できる。
一方、PBブロックに炭素-炭素二重結合を有するため、熱、酸素、紫外線及びオゾンによる劣化を受けやすい。高温長期、屋外、油・燃料又は強溶剤接触用途では、SEBS、TPV、NBR等との比較及び実使用条件での確認が必要である。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 長所 | 常温でゴム弾性を示し、加熱時には熱可塑性樹脂として加工できる。低温柔軟性、透明性、粘着付与樹脂及びPSとの相溶性、再加工性に優れる。 |
| 短所 | PBブロックに不飽和結合を有するため、熱酸化、紫外線、オゾン及び高温長期使用に弱い。油、燃料、芳香族・塩素系溶剤で膨潤又は溶解しやすい。 |
| 外観 | 原料は白色~淡黄色のペレット、クラム、粉末又は多孔質ペレットが一般的である。透明性は分子構造、スチレン量、配合剤及び成形条件に依存する。 |
| 耐熱性 | 軟質PB相の低温特性は良好であるが、PS相の軟化及びPB相の酸化により高温連続使用は限定的である。一般的な連続使用温度は概ね60~80℃を目安とし、長時間用途では実グレード確認が必要である。 |
| 耐薬品性 | 水、希薄酸、希薄アルカリ及び低級アルコールには比較的安定な場合がある。炭化水素油、燃料、芳香族溶剤、ケトン、エステル及びハロゲン化溶剤には注意が必要である。 |
| 加工性 | 射出、押出、Tダイ、インフレーション、カレンダー、圧縮、発泡及びホットメルト加工に適用できる。乾燥不要のグレードが多いが、吸湿した添加剤や外観要求によって予備乾燥を行う場合がある。 |
| 難燃性 | 未難燃SBSは一般に可燃性であり、UL 94はHB相当又は未取得が多い。V-0等は難燃コンパウンドの個別認証と厚さを確認する必要がある。 |
| 分類上の注意 | SBSは非水添系であり、水添SBSであるSEBSとは耐熱老化性、耐候性及び耐オゾン性が異なる。SBRはランダム共重合ゴムで通常は加硫して使用するため別材料である。 |
構造式
代表構造はPS-b-PB-b-PSで表される。実際のSBSは、線状、星型、ラジアル型、ジブロック併有型等があり、PBブロックにはcis-1,4、trans-1,4及び1,2-ビニル構造が含まれる。

代表的な構造単位
- PSブロック:–CH2–CH(C6H5)–。常温ではガラス状ドメインを形成し、物理架橋点となる。
- PBブロック:–CH2–CH=CH–CH2–を代表とし、cis-1,4、trans-1,4及び1,2-ビニル構造を含む。
- モノマー:スチレン及び1,3-ブタジエン。
- 相構造:スチレン含有率、分子量、ブロック比及び熱履歴により、球状、円柱状、ラメラ状等のミクロ相分離構造を形成し得る。
種類・代表グレード
| 種類・代表グレード | 主成分又は特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 線状SBS | PS-b-PB-b-PSの直鎖型 | 高い弾性、透明性、加工性 | 高温・耐候性は限定的 | 透明成形品、樹脂改質、接着剤 |
| 星型・ラジアルSBS | カップリング反応で多分岐化 | 高強度、高粘度、高凝集力 | 加工粘度が高くなりやすい | アスファルト改質、接着剤 |
| 高スチレンSBS | PS含有率を高めたグレード | 硬さ、剛性、耐ブロッキング性 | 柔軟性、低温伸びが低下 | 履物、硬質コンパウンド、樹脂改質 |
| 低スチレン・高ゴム分SBS | PB比率が高い | 柔軟性、低温弾性、伸び | 耐熱変形、表面粘着に注意 | 粘着剤、軟質成形品 |
| 高分子量SBS | 分子量を高めたグレード | 強度、凝集力、耐クリープ性 | 溶融粘度が高く加工負荷が増える | アスファルト、シーラント、接着剤 |
| 低粘度・高流動SBS | 分子量又は分岐を調整 | 射出・押出流動性、溶液粘度調整 | 強度・耐クリープが低下する場合 | 射出成形、溶液接着剤 |
| 油展・コンパウンド | プロセスオイル、PP、充填材等を配合 | 硬度とコストを広く調整可能 | ブリード、抽出、物性ばらつき | グリップ、玩具、履物、一般軟質部品 |
| 食品接触用途向け | 適合原料・添加剤を選定した特定グレード | 包装、食品容器へ展開可能 | 材料名だけでは適合を断定できない | 食品包装、トレー、シール材 |
難燃、導電、帯電防止、医療、食品接触及び低アウトガス等は、SBS材料群全体の特性ではなく、特定配合又は特定グレードとして成立する。認証、添加剤、色、製造拠点及び変更管理を個別に確認する必要がある。
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 理由・主な注意点 |
|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | ペレット又はコンパウンドで適用しやすい。過熱・滞留によるゲル、黄変及び臭気に注意。 |
| 押出成形 | ◎ | シート、プロファイル、ホース、コンパウンド及び改質材に広く用いる。ダイスウェルとメルトフラクチャーを確認。 |
| ブロー成形 | △ | 溶融強度を持つグレードでは可能であるが、一般用途は限定的。肉厚均一性と冷却を確認。 |
| インフレーション成形 | ○ | フィルムグレード又はブレンドで可能。粘着性、ブロッキング、ゲージ変動に注意。 |
| Tダイフィルム成形 | ◎ | 透明・軟質フィルムに適する。ロール離型、ネックイン、表面粘着を管理。 |
| 真空成形 | ○ | シート成形後に可能。加熱窓が狭く、たれ及び弾性回復に注意。 |
| 圧空成形 | ○ | 薄肉シートで可能。温度均一性と金型離型を確認。 |
| 圧縮成形 | ○ | 試験片、厚肉品、シートに適用可能。温度履歴による酸化を避ける。 |
| 発泡成形 | ○ | 化学発泡又は物理発泡コンパウンドで可能。セル安定性は粘度と添加剤に依存。 |
| 3Dプリント | △ | 専用フィラメント又はペレットで可能。柔軟材の送り安定性と層間接着を確認。 |
| 切削加工 | △ | 軟質で変形しやすく、寸法精度を得にくい。低温固定又は専用治具が必要。 |
| 溶着 | ○ | 熱板、熱風、超音波等が可能な場合がある。配合剤と厚さで強度が変化。 |
| 接着 | ◎ | 粘着剤基材として使用され、溶剤系・ホットメルト系に適する。被着体との相溶性を確認。 |
| 塗装・印刷 | △ | 表面エネルギーと添加剤ブリードの影響を受ける。コロナ、プラズマ又はプライマーを検討。 |
| 二次成形・インサート成形 | ○ | PS、PP等との組合せで可能。接着性、収縮差、インサート応力を確認。 |
成形条件の一般的な目安
| 条件項目 | 代表条件 | 備考 |
|---|---|---|
| 予備乾燥 | 通常不要 | 吸水性は低い。ただし吸湿した充填材、再生材、外観要求又は長期開封品では40~60℃×1~3 hを検討する。 |
| シリンダー温度・供給部 | 140~170℃ | 低温から段階的に上げ、供給不良と過熱を避ける。 |
| シリンダー温度・圧縮部 | 160~190℃ | グレード、硬度、流動性、配合剤で調整する。 |
| シリンダー温度・計量部 | 170~210℃ | 高温滞留による酸化、ゲル、黄変、臭気に注意する。 |
| ノズル温度 | 170~210℃ | 糸引き、固化、滞留を見ながら調整する。 |
| 樹脂温度 | 170~220℃ | 一般的な目安。メーカー推奨値を優先する。 |
| 金型温度 | 20~60℃ | 外観、流動、離型、収縮及びサイクルで最適化する。 |
| 射出圧力 | 40~120 MPa | 製品形状、ゲート、硬度及び流動性に依存する。 |
| 背圧 | 0.5~5 MPa | 混練性と発熱のバランスを取る。 |
| スクリュー回転数 | 30~100 rpm | 過剰せん断発熱を避ける。 |
| 成形収縮率 | 0.8~2.0% | 流動方向、硬度、PS量、油、充填材、保圧で変動する。 |
| 推奨肉厚 | 0.8~5 mm | 薄肉では充填性、厚肉では冷却・ヒケ・ボイドを確認する。 |
| 滞留時間 | 短く管理 | 停止時は温度を下げ、長時間滞留後はパージする。 |
| アニール | 通常不要 | 残留応力又は寸法安定性が問題となる場合のみ、実グレードで低温条件を検討する。 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下は非強化・無充填の標準SBS又は一般的SBSコンパウンドの代表値・代表範囲である。特定メーカーの単一グレード値ではない。試験規格、スチレン含有率、分子量、線状・星型、油展量、成形方向及び温度により大きく変動する。
| 項目 | 単位 | 代表値 | 代表範囲 | 試験規格 | 試験温度 | 材料状態・グレード区分 | 備考 | 信頼度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 0.94 | 0.93~0.96 | ISO 1183相当 | 23℃ | 標準グレード | スチレン量・分岐・添加剤で変動 | A |
| 比重 | 無次元 | 0.94 | 0.93~0.96 | 代表値、規格不明 | 23℃ | 標準グレード | 密度とほぼ同等の数値 | B |
| 硬度 | Shore A | 80 | 60~95 | ISO 7619相当 | 23℃ | 標準~高スチレン | 高スチレン量・油展量で大きく変動 | A |
| 引張強さ・破断 | MPa | 20 | 10~35 | ISO 37相当 | 23℃ | 標準グレード | 分子量、スチレン量、線状・星型で変動 | B |
| 引張破断伸び | % | 700 | 500~1000 | ISO 37相当 | 23℃ | 標準グレード | 高スチレン、高温、酸化劣化で低下 | B |
| 300%モジュラス | MPa | 3.0 | 2.0~6.0 | ISO 37相当 | 23℃ | 標準グレード | 代表的市販SBSの範囲 | A |
| 引張弾性率 | GPa | 0.01 | 0.005~0.05 | 代表値、規格不明 | 23℃ | 軟質SBS | 非線形弾性体であり初期弾性率の比較には注意 | C |
| 曲げ弾性率 | GPa | 0.02 | 0.01~0.20 | 代表値、規格不明 | 23℃ | 高スチレン又はコンパウンド | 軟質材では一般化困難 | C |
| 圧縮永久ひずみ | % | 45 | 25~70 | ISO 815相当 | 23~70℃ | コンパウンド | 温度、硬度、圧縮率、時間に強く依存 | C |
| ガラス転移温度・PB相 | ℃ | -85 | -95~-70 | DMA/DSC代表値 | — | 標準グレード | ブタジエン微細構造で変動 | A |
| ガラス転移温度・PS相 | ℃ | 95 | 90~105 | DMA/DSC代表値 | — | 標準グレード | PSドメインの軟化温度目安 | B |
| 融点 | ℃ | 該当なし | 該当なし | — | — | 非晶性ブロック共重合体 | 明確な単一融点を持たない | A |
| 荷重たわみ温度・0.45 MPa | ℃ | データなし | データなし | — | — | 材料群 | 軟質TPEでは一般化困難 | — |
| 連続使用温度 | ℃ | 70 | 60~80 | 用途上の目安 | — | 標準グレード | 酸化、荷重、空気、紫外線で寿命が変化 | B |
| 短時間耐熱温度 | ℃ | 100 | 90~120 | 用途上の目安 | 短時間 | 標準グレード | 無荷重又は軽荷重。PS相軟化に注意 | C |
| 低温使用限界 | ℃ | -50 | -70~-40 | 用途上の目安 | — | 標準グレード | PB相Tg、配合油及び衝撃条件による | B |
| 吸水率・24時間 | % | 0.1 | 0.05~0.3 | ISO 62相当 | 23℃ | 標準グレード | 低吸水だが添加剤・フィラーで増加 | B |
| 成形収縮率・流動方向 | % | 1.2 | 0.8~2.0 | 代表値、規格不明 | — | 射出コンパウンド | 硬度、充填材、ゲート、保圧で変動 | C |
| 熱伝導率 | W/(m・K) | 0.18 | 0.14~0.25 | 代表値、規格不明 | 23℃ | 標準コンパウンド | 油、充填材、発泡で変動 | B |
| 線膨張係数 | 10⁻⁵/K | 15 | 10~25 | 代表値、規格不明 | — | 標準グレード | 温度、配向、充填材で変動 | C |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1×10¹⁴ | 1×10¹³~1×10¹⁶ | IEC 60093相当 | 23℃ | 未導電標準グレード | 吸湿、添加剤、導電材で大きく変化 | C |
| 絶縁破壊強さ | kV/mm | 20 | 15~30 | IEC 60243相当 | 23℃ | 未充填標準グレード | 厚さと欠陥に依存 | C |
| 比誘電率・1 kHz | 無次元 | 2.4 | 2.2~2.8 | IEC 60250相当 | 23℃ | 標準グレード | 配合油、充填材、周波数で変動 | C |
| 誘電正接・1 kHz | 無次元 | 0.01 | 0.003~0.03 | IEC 60250相当 | 23℃ | 標準グレード | 配合と温度で変動 | C |
| UL 94燃焼性 | 等級 | HB | HB又は未取得 | UL 94 | 厚さ依存 | 未難燃標準グレード | 認証は個別グレード・色・厚さで確認 | B |
| 限界酸素指数・LOI | % | 18 | 17~20 | ISO 4589相当 | 23℃ | 未難燃標準グレード | 推定的代表範囲。確定値は個別確認 | C |
標準グレードと改質グレードの分離
| グレード区分 | 主な改質 | 剛性への影響 | 伸びへの影響 | 密度への影響 | 主用途・注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 標準SBS | 無充填、非強化 | 基準 | 基準 | 基準 | 一般成形、接着剤、改質 |
| 高スチレンSBS | PS比率増加 | 上昇 | 低下 | 上昇 | 硬質コンパウンド、履物 |
| 油展SBS | プロセスオイル配合 | 低下 | 上昇し得る | 低下 | グリップ、軟質部品 |
| 無機充填SBS | 炭酸カルシウム、タルク等 | 上昇し得る | 低下 | 上昇 | コスト低減、寸法安定 |
| GF強化SBS | 一般化困難 | 上昇 | 大幅低下 | 上昇 | SBS単独では一般的ではなく、樹脂ブレンド系で検討 |
| 難燃SBS | リン系、窒素系、無機系等 | 配合により低下 | 低下し得る | 上昇又は変動 | 電気部品、被覆材。UL認証を個別確認 |
| 導電SBS | カーボンブラック、CNT等 | 上昇し得る | 低下し得る | 上昇 | 静電気拡散、導電部材 |
耐薬品性
以下は代表的な未充填SBSを想定した概略評価である。耐薬品性は薬品名だけでなく、濃度、温度、時間、浸漬・拭取り、残留応力、硬度、スチレン量、油展量及び添加剤により変化する。
| 薬品名 | 濃度 | 温度 | 接触時間・方法 | 応力 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | — | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ◎ | 影響小 | 長期では添加剤抽出、白化を確認 |
| 温水 | — | 60~80℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 軟化、添加剤抽出 | 温度上昇で酸化・変形が進みやすい |
| 水蒸気 | — | 100℃付近 | 短時間 | 無応力 | △ | 軟化、酸化、変形 | 長時間蒸気用途には水添系を優先検討 |
| 塩酸 | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 変色、添加剤影響 | 高濃度、高温、金属接触を確認 |
| 硫酸 | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 表面変化 | 濃硫酸・高温では不適 |
| 酢酸 | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 軽微な膨潤の可能性 | 濃度と温度で評価 |
| 水酸化ナトリウム | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ◎ | 影響小 | 高温・高濃度では添加剤影響を確認 |
| アンモニア水 | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 臭気・添加剤影響 | 長期密閉条件を確認 |
| メタノール | 100% | 23℃ | 24~168 h | 無応力 | ○ | 軽微な膨潤 | 応力、温度、配合油を確認 |
| エタノール | 100% | 23℃ | 24~168 h | 無応力 | ○ | 軽微な膨潤 | 長期接触では重量変化を測定 |
| IPA | 100% | 23℃ | 24~168 h | 無応力 | ○ | 軽微な膨潤 | 印刷・洗浄用途は実部品試験 |
| グリセリン | 100% | 23℃ | 168 h | 無応力 | ◎ | 影響小 | 高温では酸化・抽出を確認 |
| MMB(3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール) | 100% | 23℃ | 24~168 h | 無応力 | △ | 膨潤、軟化 | エーテル・アルコール両性、実測推奨 |
| トルエン | 100% | 23℃ | 短時間~24 h | 無応力 | × | 著しい膨潤又は溶解 | SBS溶液調製に用いられる代表溶剤 |
| キシレン | 100% | 23℃ | 短時間~24 h | 無応力 | × | 著しい膨潤、軟化 | 芳香族溶剤は不適 |
| n-ヘキサン | 100% | 23℃ | 24 h | 無応力 | × | PB相の膨潤、抽出 | 油展SBSでは特に注意 |
| イソオクタン | 100% | 23℃ | 24 h | 無応力 | × | 膨潤、体積増加 | 燃料用途には不向き |
| アセトン | 100% | 23℃ | 24 h | 無応力 | △ | PS相への影響、応力割れ | 短時間拭取りでも確認が必要 |
| MEK | 100% | 23℃ | 短時間~24 h | 無応力 | × | 軟化、膨潤、溶解 | 強い溶剤作用 |
| 酢酸エチル | 100% | 23℃ | 短時間~24 h | 無応力 | × | 軟化、膨潤 | 接着剤溶剤として使用される場合がある |
| THF | 100% | 23℃ | 短時間 | 無応力 | × | 急速な膨潤又は溶解 | 不適 |
| ジクロロメタン | 100% | 23℃ | 短時間 | 無応力 | × | 急速な膨潤又は溶解 | 換気・安全管理も必要 |
| ガソリン | 市販燃料 | 23℃ | 24 h | 無応力 | × | 膨潤、強度低下 | 燃料系部品にはNBR、FKM等を比較 |
| 鉱物油 | — | 23~70℃ | 168 h | 無応力 | △ | 油吸収、膨潤 | 油展グレードでは抽出・移行も確認 |
| シリコーン油 | — | 23~70℃ | 168 h | 無応力 | ○ | 配合により膨潤 | 粘度、温度、添加剤で変動 |
| ブレーキ液・グリコール系 | — | 23~100℃ | 168 h | 無応力 | ○ | 添加剤影響 | 高温長期は実液試験 |
| 次亜塩素酸ナトリウム | 0.1~1%有効塩素 | 23℃ | 24~168 h | 無応力 | △ | 酸化、変色、脆化 | 濃度、pH、温度、光を確認 |
| 過酸化水素 | 3% | 23℃ | 24~168 h | 無応力 | △ | 酸化、変色 | 高濃度・高温では不適 |
| 海水 | 約3.5%塩 | 23℃ | 168 h | 無応力 | ◎ | 影響小 | 屋外では紫外線・オゾンが支配的 |
| 食品油 | — | 23~60℃ | 24~168 h | 無応力 | △ | 膨潤、油移行 | 食品適合と物性を別々に確認 |
| 界面活性剤水溶液 | 0.1~5% | 23~60℃ | 168 h | 無応力 | ○ | 添加剤抽出、白化 | 界面活性剤種と温度で変動 |
SP値(溶解度パラメータ)
SBSはPS相とPB相からなるため、単一のSP値で表すことには限界がある。目安として、PSは約18.5~19.0 MPa1/2、PBは約16~18 MPa1/2の範囲が用いられ、SBS全体では組成依存の見掛け値として概ね17~19 MPa1/2程度を参考にすることがある。
SP値差が小さい溶剤ほど膨潤又は溶解しやすい傾向があるが、SBSではミクロ相分離、選択溶媒性、分子量、結晶性の有無、架橋・物理架橋、温度、応力及び添加剤抽出を同時に考慮する必要がある。
溶解性の目安
| SP値差 Δδ | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
| 溶剤 | SP値 MPa1/2 | SBSとの概略SP差 | 評価 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| n-ヘキサン | 14.9 | 約2.5~3.5 | △~× | PB相を強く膨潤させやすい |
| トルエン | 18.2 | 約0~2 | × | PS相・PB相の双方と親和性が高い |
| キシレン | 18.0 | 約0~2 | × | 芳香族炭化水素で膨潤・溶解しやすい |
| 酢酸エチル | 18.6 | 約0~3 | × | PS相への溶剤作用が大きい |
| MEK | 19.0 | 約0~3 | × | 軟化・溶解に注意 |
| アセトン | 19.9 | 約1~4 | △ | ブロック相別の作用と応力割れに注意 |
| ジクロロメタン | 20.2 | 約1~4 | × | 急速な膨潤・溶解が起こり得る |
| IPA | 23.5 | 約4~7 | ○ | 短時間では比較的安定な場合が多い |
| エタノール | 26.0 | 約6~9 | ○ | 長時間・高温では実測が必要 |
| メタノール | 29.7 | 約10以上 | ○~◎ | SP差は大きいが添加剤抽出を確認 |
| 水 | 47.9 | 20以上 | ◎ | SP差は大きいが温水・酸化条件は別評価 |
上表はSP値に基づく概略であり、実際の耐薬品性評価を置き換えるものではない。特にトルエン、キシレン、THF、MEK、酢酸エチル及び塩素系溶剤では、短時間でも大きな膨潤、軟化又は溶解が生じ得る。
製法

| 工程・項目 | 内容 |
|---|---|
| 原料 | 高純度スチレン、1,3-ブタジエン、シクロヘキサン等の炭化水素溶媒、有機リチウム開始剤、必要に応じて極性調整剤、カップリング剤、停止剤、酸化防止剤。 |
| 重合方法 | 代表的には不活性雰囲気下でのリビングアニオン溶液重合である。スチレン、ブタジエン、スチレンを順次添加してPS-b-PB-b-PSを形成する。 |
| 分子構造制御 | モノマー添加順序、分子量、スチレン含有率、ブタジエンの1,2-ビニル比、開始剤量及びカップリング条件により、線状・星型、粘度、硬さ及び相分離構造を制御する。 |
| 失活・回収 | 重合末端をアルコール等で失活し、脱溶媒、蒸気ストリッピング、凝集又は直接脱揮によりポリマーを回収する。 |
| ペレット化・製品形態 | 乾燥後、ペレット、クラム、粉末、多孔質ペレット等に仕上げる。粘着防止用の無機粉体を付着させる場合がある。 |
| コンパウンド | プロセスオイル、粘着付与樹脂、PP、PS、充填材、酸化防止剤、UV安定剤、難燃剤、発泡剤、顔料等を二軸押出機や混練機で配合する。 |
| 品質管理 | 結合スチレン量、分子量分布、MFR、溶液粘度、硬度、300%モジュラス、揮発分、ゲル分、色調及び異物を管理する。 |
代表的な反応経路
開始剤をR–Liとすると、概念的には次の逐次反応で表される。
R–Li + n CH2=CH–C6H5 → PS–Li
PS–Li + m CH2=CH–CH=CH2 → PS–PB–Li
PS–PB–Li + p CH2=CH–C6H5 → PS–PB–PS–Li →(失活)→ PS–PB–PS
星型又はラジアル型では、リビングジブロック又はトリブロックを多官能カップリング剤で結合する。実際の工業プロセスでは、溶媒、開始剤、極性調整剤、温度、モノマー濃度及び安全対策を厳密に管理する。
詳細な利用用途
| 用途 | 適性 | 採用理由 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 粘着剤・ホットメルト | ◎ | 粘着付与樹脂、オイルとの相溶性と高い凝集力を利用 | 耐熱クリープ、酸化、臭気、残留溶剤を確認 |
| アスファルト改質 | ◎ | 耐わだち掘れ、低温ひび割れ、弾性回復を改善 | 分散条件、せん断、貯蔵安定性、熱履歴を確認 |
| 樹脂改質 | ◎ | PS、HIPS、PP等の耐衝撃性・柔軟性を調整 | 相溶性、分散径、透明性、成形収縮を確認 |
| 履物・靴底 | ◎ | 柔軟性、反発、着色性、成形性 | 耐摩耗、黄変、耐候、油汚染を確認 |
| フィルム・シート | ○ | 透明性、弾性、ヒートシール性 | ブロッキング、永久変形、耐熱を確認 |
| グリップ・玩具 | ○ | 柔軟触感、二色成形、着色性 | 法規制、臭気、移行、耐候を確認 |
| 自動車内装 | △ | 触感材、制振、改質材として使用可能 | 高温、VOC、フォギング、耐光性ではSEBSが有利 |
| 自動車外装 | × | 非水添PBの耐候性が不足しやすい | 長期屋外はSEBS、TPV等を優先検討 |
| 電線被覆 | △ | 柔軟性、加工性 | 耐熱、難燃、油、規格認証を個別確認 |
| 医療機器部品 | △ | 特定の医療適合グレードでは可能 | 抽出物、滅菌、USP/ISO 10993、変更管理が必要 |
| 食品包装 | ○ | 適合グレードで透明・柔軟包装に利用 | 食品接触証明、温度、油脂接触、移行試験を確認 |
| シール・ガスケット | △ | 低荷重・低温用途では適用可能 | 圧縮永久ひずみ、油・燃料、高温には不向き |
| 接着剤・シーラント基材 | ◎ | 溶液型、ホットメルト型の主ポリマー | 溶剤安全、耐熱、耐候、可塑剤移行を確認 |
| 塗料・コーティング改質 | ○ | 柔軟性、耐衝撃性、密着性を付与 | 溶剤選定、黄変、ブロッキング、耐候を確認 |
用途評価は材料群としての一般的傾向である。実使用では、グレード、荷重、温度、薬品、湿度、寿命、成形条件、接触物、法規制及びリサイクル条件を確認する必要がある。
法規制・認証
| 項目 | 一般的な位置付け | 確認事項 |
|---|---|---|
| RoHS | 一般に対応可能 | SBS主成分はRoHS制限物質を必須としないが、顔料、難燃剤、触媒残渣及び添加剤を含む個別グレード証明を確認する。 |
| REACH・SVHC | 一般に登録・管理対象 | EU供給者のSDS、SVHC含有調査、制限物質、残留モノマー及び添加剤を確認する。 |
| PFAS関連 | 通常はフッ素を必須としない | 加工助剤、離型剤、表面処理剤等の意図的添加・非意図含有をサプライヤーへ確認する。 |
| FDA食品接触 | 適合グレードが存在 | 該当21 CFR、使用温度、食品種、抽出制限、添加剤及び色を個別確認する。 |
| EU食品接触 | 適合グレードが存在 | EU No 10/2011等への適用可否、SML、OML及び多層材構成を確認する。 |
| 日本の食品衛生法・ポジティブリスト | 適合グレードが存在 | 基ポリマー区分、添加剤、使用温度、油脂性食品接触及び溶出試験を確認する。 |
| 医療用途・ISO 10993 | 特定グレードのみ | 生体適合性は最終製品、接触部位、接触時間、滅菌方法、抽出条件で評価する。材料名だけでは適合しない。 |
| UL認証 | 特定グレードのみ | UL 94、RTI、色、厚さ、難燃剤及び製造拠点をUL Yellow Card等で確認する。 |
| リサイクル | 熱可塑性として再溶融可能 | 酸化履歴、他樹脂混入、架橋、粘着付与樹脂、油及び充填材により物性低下する。単独回収が前提となる。 |
環境・リサイクル性及び価格・供給性
| 項目 | 評価・区分 | 内容 |
|---|---|---|
| 熱可塑性・熱硬化性 | 熱可塑性エラストマー | 物理架橋型であり、加熱再溶融が可能。化学架橋品は再溶融性が低下する。 |
| マテリアルリサイクル | ○ | 単一材・低劣化スクラップは再配合可能。酸化、ゲル、異材混入で伸びと外観が低下する。 |
| ケミカルリサイクル | △ | 熱分解、油化等の研究・実施例はあるが、一般的な回収インフラは限定的。 |
| サーマルリサイクル | ○ | 炭化水素系で燃焼熱を持つ。燃焼設備、排ガス及び添加剤を確認する。 |
| 生分解性 | なし | 一般的なSBSは生分解性又はコンポスト適合材料ではない。 |
| バイオベース | 限定的 | バイオ由来スチレン又はブタジエンを用いる可能性はあるが、一般流通材全体の属性ではない。 |
| 価格区分 | 比較的低価格~中価格 | SEBS、TPU、TPEE等の高機能TPEより一般に価格優位性があるが、市況、分子構造、購入量で変動する。 |
| 供給性 | 良好 | ペレット、クラム、粉末、多孔質ペレット、コンパウンド、接着剤用グレード等が流通する。 |
| 少量購入 | △~○ | 原料ポリマーは最小ロットが大きい場合がある。コンパウンド又は代理店在庫は比較的入手しやすい。 |
比較用評価スコア
| 評価項目 | スコア(0~5) | 評価理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 4 | 標準SBSはエラストマーとして高い引張強さを示すが、グレード差が大きい。 |
| 剛性 | 2 | 軟質材料であり高剛性用途には不向き。高スチレン化で上げられる。 |
| 衝撃強度 | 5 | 低温を含め高い靭性と弾性を示し、樹脂改質に有効。 |
| 耐熱性 | 2 | PS相軟化とPB相酸化により高温長期用途は限定的。 |
| 低温特性 | 5 | PB相の低Tgにより低温柔軟性に優れる。 |
| 耐薬品性 | 2 | 水系には比較的安定だが、油・燃料・有機溶剤に弱い。 |
| 耐候性 | 1 | 非水添二重結合により紫外線・オゾン劣化を受けやすい。 |
| 耐加水分解性 | 4 | 主鎖に加水分解性官能基を持たず、水系では比較的安定。 |
| 寸法安定性 | 2 | 軟質、熱膨張、クリープ及び弾性回復の影響が大きい。 |
| 低吸水性 | 5 | 非極性で吸水率は低い。 |
| 摺動性 | 2 | 未改質では摩擦・摩耗用途向けではない。 |
| 電気絶縁性 | 4 | 未充填・未導電グレードは良好な絶縁性を示す。 |
| 難燃性 | 1 | 未難燃材は可燃性。 |
| 透明性 | 4 | 組成・屈折率・相構造を調整したグレードは透明性が良好。 |
| 成形加工性 | 5 | 熱可塑加工、溶液加工、ホットメルト加工に適する。 |
| 接着性 | 4 | 粘着剤基材として優れるが、被着体と配合設計に依存。 |
| リサイクル性 | 4 | 熱可塑性として再加工可能だが、酸化と配合混在に注意。 |
| 価格優位性 | 4 | 高機能TPEと比べ比較的低価格で流通性が高い。 |
注意点・劣化及び故障モード
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 外観・性能への影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 熱酸化劣化 | PBブロックの二重結合酸化 | 高温、空気、金属触媒、長時間滞留 | 黄変、臭気、ゲル、伸び低下、脆化 | 酸化防止剤、低温加工、滞留短縮、遮光保管 | 熱老化後の引張・伸び・色差、ゲル分測定 |
| 紫外線・オゾン劣化 | 不飽和結合への光酸化・オゾン攻撃 | 屋外、日光、オゾン、引張応力 | 表面亀裂、チョーキング、脆化 | UV安定剤、遮光顔料、表面被覆、SEBSへの変更 | キセノンアーク、オゾン試験、実屋外暴露 |
| 溶剤膨潤・溶解 | PS又はPB相と溶剤の高い親和性 | 芳香族、脂肪族炭化水素、ケトン、エステル、塩素系溶剤 | 重量増加、軟化、寸法変化、溶解 | 実液選定、バリア層、材料変更 | 23℃及び使用温度で24~1000 h浸漬、質量・体積・硬度測定 |
| 環境応力割れ | 溶剤作用と残留・外部応力の重畳 | 成形残留応力、ノッチ、溶剤拭取り | 白化、亀裂、破断 | 成形条件最適化、R付与、アニール、薬品変更 | 定ひずみ又は定荷重下の実薬品ESC試験 |
| クリープ・永久変形 | 物理架橋点の緩和及びPS相軟化 | 高温、長時間荷重、高圧縮率 | へたり、シール性低下、寸法変化 | 低応力設計、高分子量・高スチレングレード、SEBS/TPV比較 | 圧縮永久ひずみ、長時間クリープ、応力緩和試験 |
| 添加剤ブリード・抽出 | オイル、低分子樹脂、滑剤の移行 | 高温、接触材、溶剤、長期保管 | べたつき、汚染、フォギング、接着低下 | 低移行配合、相溶性改善、抽出試験 | GC-MS、フォギング、接触移行、重量減少試験 |
| 成形時の熱劣化 | 過熱、酸素混入、長時間滞留 | 高シリンダー温度、デッドスポット、停止時保温 | 黒点、ゲル、黄変、臭気 | パージ、温度低減、滞留短縮、設備清掃 | 連続成形試験、MFR、色差、異物・ゲル評価 |
| アウトガス | 残留溶媒、低分子、添加剤揮発 | 高温、真空、密閉、電子部品用途 | 曇り、汚染、臭気、接点不良 | 低揮発グレード、予備加熱、配合見直し | TGA、ヘッドスペースGC-MS、真空TML/CVCM相当試験 |
推奨確認試験
- 実薬品浸漬試験:使用薬品の実濃度で、23℃及び最高使用温度、24 h、168 h、500 h又は想定寿命に応じて質量、体積、硬度、引張強さ及び伸びを測定する。
- 環境応力割れ試験:実成形品又は定ひずみ試験片へ使用応力を負荷し、洗浄剤、油、溶剤又は接着剤に接触させる。
- 熱老化試験:空気中60~100℃で168~1000 h保持し、色差、硬度、引張、伸び、圧縮永久ひずみ及び臭気を評価する。
- 紫外線・オゾン試験:屋外用途ではキセノンアーク又はUV促進試験とオゾン曝露を組み合わせ、亀裂及び強度保持率を確認する。
- クリープ・圧縮永久ひずみ:実荷重、実圧縮率、最低・最高温度及び想定時間で評価する。
- アウトガス・移行試験:電子、車室内、食品又は医療用途では、GC-MS、フォギング、溶出、接触移行及び臭気試験を行う。
- 実成形試験:シリンダー温度、滞留時間、せん断速度、金型温度及び再生材比率を振り、ゲル、黒点、黄変、収縮、ウェルド及び離型を確認する。
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | SBSとの違い | 主な選定基準 |
|---|---|---|---|
| SEBS | SBSを水素添加したスチレン系TPE | SEBSは耐熱老化、耐候、耐オゾン性が優れる。SBSは一般に接着剤・アスファルトとの相溶性、コストで有利 | 屋外、高温、医療・自動車内装はSEBSを優先検討 |
| スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS) | SBS、SIS、SEBS等を含む材料群 | SBSはTPSの一種であり、非水添PB中間ブロックを持つ | 材料群ではなく具体的なブロック種を指定する |
| SBR | スチレンとブタジエンのランダム共重合ゴム | SBRは通常加硫が必要で再溶融しない。SBSは物理架橋型で熱可塑加工できる | タイヤ・加硫ゴムはSBR、熱可塑加工はSBS |
| ポリブタジエン(BR) | 低Tg、高反発のジエン系ゴム | BRは加硫ゴムとして用いることが多く、PS硬質ブロックを持たない | 低発熱・反発はBR、成形再加工はSBS |
| ポリスチレン(PS) | 透明、高剛性、脆性を持つ汎用樹脂 | SBSはPSドメインを持つが全体は柔軟なエラストマー | 剛性・透明硬質品はPS、柔軟・衝撃改質はSBS |
| 耐衝撃性ポリスチレン(HIPS) | PS中にゴム粒子を分散した耐衝撃樹脂 | HIPSは硬質樹脂、SBSは軟質TPE又は改質剤 | 筐体はHIPS、柔軟材・改質剤はSBS |
| 熱可塑性エラストマー(TPE) | TPU、TPEE、TPO、TPV等を含む総称 | SBSは低コスト・低温性・接着用途に強いが、耐油・耐熱・耐候は他系統が有利な場合 | 温度、油、屋外、硬度、規制で系統比較 |
| イソプレンゴム(IR) | 天然ゴムに近いポリイソプレン系合成ゴム | IRは加硫ゴム、SBSは熱可塑性ブロック共重合体 | 反発・動疲労はIR、再加工性はSBS |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 旭化成 | タフプレン®、アサプレン® T | 非水添SBS。粘接着剤、食品包装、樹脂改質、アスファルト改質等に展開。 |
| Kraton Corporation | Kraton™ Dシリーズ | 非水添スチレン系ブロック共重合体。SBS、SIS等を含み、接着剤、舗装、防水、包装、シーラント等に展開。 |
| TSRC Corporation | TAIPOL® / VECTOR® SBS | 高強度・加工性を特徴とするSBS。接着剤、樹脂改質、包装、アスファルト等に展開。 |
| LCY Chemical | Globalprene® SBS | SBS及び各種スチレン系ブロック共重合体を展開。グレード・地域供給は最新資料確認が必要。 |
| Sinopec | SBS製品群 | アスファルト改質、履物、接着剤及び樹脂改質向けSBSを供給。具体的グレードは地域・拠点で異なる。 |
メーカー、ブランド、製造拠点、販売地域、製品形態及びグレード名称は変更される場合がある。購入時は最新の技術資料、SDS、規制証明書及び供給条件を確認する。
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