概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | スチレン系熱可塑性エラストマー |
| 略記号 | TPS、SBC。日本ではスチレン系TPE、スチレン系エラストマーとも呼ばれる。 |
| IUPAC | 材料群であるため単一のIUPAC名はない。代表例はpoly(styrene-block-butadiene-block-styrene)、poly(styrene-block-ethylene-co-butylene-block-styrene)などである。 |
| 英語名 | Styrenic Thermoplastic Elastomer / Styrenic Block Copolymer |
| 日本語名 | スチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン系ブロック共重合体、スチレン系TPE |
| 分類 | 熱可塑性エラストマー、ブロック共重合体 |
| プラスチック分類 | エラストマー。一般的なエンジニアリング・プラスチック又はスーパーエンジニアリング・プラスチックには分類しない。 |
| 化学式又は代表構造 | PS-b-PB-b-PS、PS-b-PI-b-PS、PS-b-PEB-b-PS、PS-b-PEP-b-PS、PS-b-PEEP-b-PS |
| CAS No. | 材料群であり単一番号ではない。代表例としてSBS:9003-55-8、SIS:25038-32-8、SEBS:66070-58-4が用いられる場合がある。変性品及びコンパウンドは別管理となる。 |
| 構造・主成分 | ポリスチレン硬質ブロックと、ポリブタジエン、ポリイソプレン又はその水添物からなるゴム状軟質ブロックで構成される。 |
| 主な用途 | グリップ、軟質成形品、シール、チューブ、電線被覆、医療・衛生材料、粘着剤、接着剤、アスファルト改質、樹脂改質、靴材など。 |
スチレン系熱可塑性エラストマーは、ポリスチレンブロックを硬質相、ジエン系又は水添ジエン系ポリマーブロックを軟質相とするブロック共重合体群である。常温ではポリスチレンのミクロドメインが物理架橋点として働き、ゴム状軟質相が変形を受け持つため、加硫を行わなくてもゴム弾性を示す。
加熱するとポリスチレン相が軟化して流動可能となるため、射出成形、押出成形、ブロー成形、カレンダー加工、ホットメルト加工などに適用できる。ポリプロピレン、ポリエチレン、プロセスオイル、粘着付与樹脂、充填材及び各種添加剤との配合により、硬度、流動性、粘着性、透明性、耐熱性及びコストを広範囲に調整できる。
性能はSBS、SIS、SEBS、SEPS、SEEPSなどの骨格、水添率、スチレン含有率、分子量、ブロック配列、オイル量及び配合樹脂に大きく依存する。したがって、材料群の代表値だけで設計せず、実使用グレードについて温度、荷重、応力、薬品濃度、接触時間、屋外暴露及び法規制適合性を確認する必要がある。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 長所 | 柔軟性、ゴム弾性、低温特性、着色性、成形加工性に優れる。加硫工程を省略でき、成形端材を再利用しやすい。水添系は耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性が比較的良好である。 |
| 短所 | 高温で物理架橋が弱まり、永久変形や圧縮永久ひずみが増えやすい。芳香族炭化水素、鉱油、燃料、塩素系溶剤などで膨潤・軟化する場合がある。 |
| 外観 | 原料は透明から乳白色のペレット、粉末又はクラム状である。コンパウンドは透明、半透明、不透明及び各種着色品がある。 |
| 耐熱性 | 一般的な連続使用温度は60~100℃程度が目安である。SBS、SISより水添系の方が熱老化性に優れる傾向があるが、硬度、オイル量及び荷重条件により大きく変わる。 |
| 耐薬品性 | 水、希酸、希アルカリ、低級アルコールには比較的安定な場合が多い。炭化水素溶剤、芳香族溶剤、燃料、油及び塩素系溶剤では膨潤、抽出又は強度低下に注意する。 |
| 加工性 | 射出、押出、フィルム、ブロー、カレンダー、発泡及び二色成形に適用できる。乾燥不要のグレードが多いが、吸湿、保管状態、添加剤及び外観要求により予備乾燥が必要な場合がある。 |
| 難燃性 | 未難燃グレードは一般に可燃性であり、UL 94はHB相当又は未取得の場合が多い。V-0等は難燃コンパウンド及び試験片厚さごとの認証確認が必要である。 |
| 分類上の注意 | TPSは材料群であり、SBS及びSISの非水添系と、SEBS、SEPS及びSEEPSの水添系では耐候性、耐熱老化性及び相溶性が異なる。TPU、TPEE、TPO、TPV及び加硫ゴムとは別系統である。 |
構造式
代表構造を以下に示す。TPSは単一構造ではなく、硬質PSブロックと軟質ブロックの組合せ、水添の有無及び線状・星型などの分子構造により分類される。

| 種類 | 代表構造 | 説明 |
|---|---|---|
| SBS | PS-b-PB-b-PS | ポリブタジエン軟質ブロックを持つ非水添系。 |
| SIS | PS-b-PI-b-PS | ポリイソプレン軟質ブロックを持つ非水添系。 |
| SEBS | PS-b-PEB-b-PS | SBSのブタジエン部を水素添加した水添系。 |
| SEPS | PS-b-PEP-b-PS | SIS由来の水添ポリイソプレン系軟質ブロックを持つ。 |
| SEEPS | PS-b-PEEP-b-PS | エチレン・エチレン/プロピレン系軟質ブロックを持つ水添系。 |
代表的な構造単位
- 硬質ブロック:ポリスチレン。常温ではガラス状ミクロドメインを形成し、物理架橋点となる。
- 軟質ブロック:ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレンなど。
- 相構造:スチレン含有率、分子量及びブロック比により球状、円柱状、ラメラ状などのミクロ相分離構造を形成し得る。
共重合体及び変性グレード
線状トリブロック、ジブロック、星型又はラジアル型、官能基変性、水添率調整及び高スチレンタイプがある。マレイン酸変性SEBSなどは、ポリアミド、ポリエステル、無機充填材、ガラス繊維又は金属との接着・相容化に用いられる。
種類・代表グレード
| 種類の名称 | 主成分又は特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| SBS | スチレン・ブタジエン・スチレン | 加工性、弾性、樹脂改質性が良好 | 耐候性、熱酸化及びオゾンに注意 | 靴底、アスファルト改質、接着剤、樹脂改質 |
| SIS | スチレン・イソプレン・スチレン | 粘着性、低温柔軟性、タックに優れる | 耐熱性、耐候性、油及び溶剤に注意 | ホットメルト粘着剤、衛生材料、ラベル |
| SEBS | スチレン・エチレン/ブチレン・スチレン | 耐候性、耐熱老化性、低温特性が良好 | 油、燃料、芳香族溶剤で膨潤し得る | グリップ、医療チューブ、シール、電線被覆 |
| SEPS | スチレン・エチレン/プロピレン・スチレン | 柔軟性、透明性、低温特性が良好 | 高温圧縮永久ひずみと耐油性に注意 | 透明軟質品、医療、ゲル、粘着剤 |
| SEEPS | スチレン・エチレン/エチレン・プロピレン・スチレン | 高い柔軟性、制振性、耐候性 | 配合によっては低流動、高コスト | 制振材、医療、日用品、オイルゲル |
| 官能基変性TPS | 無水マレイン酸、OH基などを導入 | 極性樹脂、充填材、金属との接着・相容化を改善 | 吸湿、熱安定性、反応性及び変色に注意 | 相容化剤、接着層、複合材料 |
| 高スチレン・高硬度 | PS比率又は硬質相を増加 | 剛性、強度、耐熱変形を改善 | 伸び、柔軟性及び低温弾性が低下 | 硬質グリップ、樹脂改質、半硬質部品 |
| オイル展開・超軟質 | パラフィン系オイル等を高配合 | 低硬度、柔軟触感、ゲル化が可能 | ブリード、抽出、移行、アウトガスに注意 | ゲル、クッション、軟質グリップ |
| グレード区分 | 主な改質方法 | 物性への影響・特徴 | 主用途 |
|---|---|---|---|
| 非強化・標準 | 未充填TPS又は標準コンパウンド | 柔軟性、伸び、成形性の基準 | 一般軟質成形品 |
| 一般射出成形 | 流動性、離型性を調整 | 複雑形状、二色成形に対応 | グリップ、キャップ、筐体オーバーモールド |
| 押出・フィルム | メルト強度とダイス安定性を調整 | チューブ、異形材、シート、フィルムに適する | ホース、電線被覆、シート |
| 高流動 | 低分子量又は配合調整 | 薄肉充填性向上、機械強度低下に注意 | 薄肉成形、複雑形状 |
| 高粘度 | 高分子量又は高いネットワーク性 | 溶融強度、引張強さ、圧縮特性を改善 | 押出、ブロー、コンパウンド |
| 耐熱・耐候 | 水添系、安定剤、架橋可能タイプ | 熱老化、UV、オゾン耐性を改善 | 自動車、屋外部材 |
| 難燃 | リン・窒素・無機系難燃剤など | UL 94 V等級を狙える | 電線、電気部品 |
| 無機フィラー充填 | 炭酸Ca、タルク、シリカ等 | コスト、寸法安定性、硬度を調整 | シート、雑貨、制振材 |
| 導電・帯電防止 | カーボン、導電フィラー又は帯電防止剤 | 表面抵抗を制御 | 電子部品搬送、グリップ |
| 食品接触・医療 | 低抽出オイル、添加剤を選定 | 適合グレードが存在 | チューブ、シール、医療・衛生部材 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 理由・主な注意点 |
|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | 最も一般的である。低硬度品はバリ、離型、ゲート白化、粘着及び収縮に注意する。 |
| 押出成形 | ◎ | チューブ、ホース、異形材、電線被覆及びシートに適する。ダイスウェルとメルトフラクチャーを管理する。 |
| ブロー成形 | ○ | 高粘度又は専用グレードで可能である。パリソン安定性が必要である。 |
| インフレーション成形 | ○ | フィルムグレードで可能である。ブロッキング及び厚みムラに注意する。 |
| Tダイフィルム成形 | ◎ | シート、フィルム及び積層用途に適する。ネックイン、ロール粘着及び冷却を管理する。 |
| 真空・圧空成形 | △ | シートグレードで可能だが、弾性回復、肉厚ムラ及び寸法保持に注意する。 |
| 圧縮成形 | △ | 試験片及びシート作製には可能であるが、量産は射出・押出が一般的である。 |
| 回転成形 | △ | 粉末化及び溶融融合性を満たす専用配合が必要である。 |
| 発泡成形 | ○ | 靴底、クッション及びシールに用いられる。気泡構造と圧縮永久ひずみを確認する。 |
| 3Dプリント | ○ | 柔軟フィラメント又はペレット方式で可能。送給安定性、糸引き及び層間接着が課題となる。 |
| 切削加工 | △ | 柔軟で逃げやすく寸法精度が出にくい。冷却、刃物形状及び固定方法を工夫する。 |
| 溶着 | ○ | 熱板、超音波、振動、レーザー等が可能な場合がある。配合及び硬度により条件が変わる。 |
| 接着 | △ | 低極性グレードは接着しにくい。プラズマ、コロナ、フレーム又はプライマー処理が有効な場合がある。 |
| 塗装・印刷 | △ | 表面エネルギーが低く、オイルブリードも影響する。表面処理とインキ適合性を確認する。 |
| 二色・インサート成形 | ◎ | PP、PE、PS、ABS、PC、PAなどとの接着はTPS種類及び官能基変性に依存する。実成形評価が必要である。 |
代表的な成形条件
| 項目 | 代表値又は範囲 | 単位 | 条件 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 予備乾燥 | 通常は不要又は40~80 | ℃ | 1~3 h | 吸湿性は低いが、表面水分、外観要求、官能基変性品及び再生材では乾燥を検討する。 |
| シリンダー温度・供給部 | 140~190 | ℃ | 一般目安 | SBS/SISは過熱酸化、水添系は高温滞留に注意する。 |
| シリンダー温度・圧縮部 | 160~210 | ℃ | 一般目安 | 硬度、オイル量、流動性により調整する。 |
| シリンダー温度・計量部 | 170~230 | ℃ | 一般目安 | 高温ほど流動性は上がるが、ガス、変色、分解及びブリードが増える場合がある。 |
| ノズル温度 | 170~230 | ℃ | 一般目安 | 糸引き、鼻垂れ及びコールドスラッグを確認する。 |
| 金型温度 | 20~60 | ℃ | 一般目安 | 外観、ウェルド、収縮及び離型性に影響する。 |
| 射出圧力 | 40~120 | MPa | 一般目安 | 低硬度品はバリ発生に注意し、必要以上の保圧を避ける。 |
| 背圧 | 0.5~5 | MPa | 一般目安 | 混練と脱気に有効だが、せん断発熱を増やす。 |
| スクリュー回転数 | 30~150 | rpm | 一般目安 | 高回転は発熱と分解を招く場合がある。 |
| 成形収縮率・流動方向 | 0.8~2.5 | % | コンパウンド代表範囲 | PP量、フィラー、硬度、ゲート及び保圧で変動する。 |
| 成形収縮率・流動直角方向 | 1.0~3.0 | % | コンパウンド代表範囲 | 異方性と反りを実金型で確認する。 |
| 推奨肉厚 | 0.8~5 | mm | 一般成形品 | 極端な厚肉ではヒケ、冷却時間及び内部ボイドに注意する。 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下は非強化TPSコンパウンド及びベースポリマーを含む材料群の代表範囲である。TPSは配合設計による変動が非常に大きいため、比較用の単一代表値を設定せず、原則として範囲を示す。特定メーカーの単一グレード値ではない。
| 項目 | 単位 | 代表範囲 | 試験規格 | 材料状態・条件 | 備考 | 信頼度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 0.88~1.20 | ISO 1183相当 | 23℃、非強化・標準又はオイル展開コンパウンド | オイル、PP、充填材及び難燃剤で変動 | B |
| 比重 | 無次元 | 0.88~1.20 | 代表値、規格不明 | 23℃ | 密度とほぼ同値 | B |
| 吸水率・24時間 | % | 0.01~0.20 | ISO 62又はASTM D570相当 | 23℃、水中、成形品 | 官能基変性及び充填材で増加する場合がある | C |
| 硬度 | Shore A | 20~95 | ISO 868又はASTM D2240相当 | 23℃、15 s等 | 高硬度品はShore Dで管理する場合がある | B |
| 成形収縮率・流動方向 | % | 0.8~2.5 | 代表値、金型依存 | 射出成形 | PP比率、硬度及び保圧で変動 | C |
| 成形収縮率・流動直角方向 | % | 1.0~3.0 | 代表値、金型依存 | 射出成形 | 反りと異方性を実測する | C |
| 線膨張係数 | 10⁻⁵/K | 10~25 | 代表値、規格不明 | 23~80℃程度 | フィラー充填で低下する | C |
| 色調及び外観 | - | 透明~不透明 | 目視 | グレード依存 | SBS、SIS及び水添系、配合により異なる | A |
| 項目 | 単位 | 代表範囲 | 試験規格 | 試験条件 | 備考 | 信頼度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 引張強さ・破断 | MPa | 2~35 | ISO 37 / ISO 527又はASTM D412 | 23℃ | 硬度、スチレン量及びオイル量で大幅に変動 | B |
| 引張破断伸び | % | 200~1200 | ISO 37 / ISO 527又はASTM D412 | 23℃ | 高硬度・高スチレン品では低下する | B |
| 引張弾性率 | GPa | 0.002~0.30 | ISO 527相当 | 23℃ | 低硬度品では初期弾性率又は100%モジュラスを用いることが多い | C |
| 100%モジュラス | MPa | 0.5~12 | ISO 37又はASTM D412相当 | 23℃ | エラストマー設計で重要 | B |
| 300%モジュラス | MPa | 1~20 | ISO 37又はASTM D412相当 | 23℃ | 軟質グレードでは測定可能、高硬度品は300%に達しない場合がある | B |
| 引裂強さ | kN/m | 10~80 | ISO 34又はASTM D624相当 | 23℃ | 形状及び試験法依存 | C |
| 圧縮永久ひずみ | % | 20~80 | ISO 815又はASTM D395相当 | 70℃×22 h等 | 温度、圧縮率、硬度及び水添の有無で大幅に変化 | C |
| アイゾット衝撃強さ・ノッチ付き | kJ/m² | データなし | ISO 180 | - | 軟質TPSは破壊せずとなる場合が多く、数値比較に不向き | - |
| 反発弾性 | % | 20~70 | ISO 4662又はASTM D2632相当 | 23℃ | SBS、SEBS、オイル量等で変動 | C |
| 項目 | 単位 | 代表範囲 | 試験規格・条件 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|---|
| ガラス転移温度・軟質相 | ℃ | -90~-30 | DSC又はDMA | SBS、SIS、水添系で異なる | B |
| ガラス転移温度・PS相 | ℃ | 90~105 | DSC又はDMA | 物理架橋相の軟化に関係 | B |
| 融点 | ℃ | 該当なし又はグレード依存 | - | 非晶性軟質相が主で明確な融点を持たない材料が多い。PEB等の結晶性により融解ピークを示す場合がある | B |
| 荷重たわみ温度・0.45 MPa | ℃ | データなし | ISO 75 | 軟質材料では一般化困難 | - |
| ビカット軟化温度 | ℃ | 40~100 | ISO 306相当 | 硬度及びスチレン量依存 | C |
| 連続使用温度 | ℃ | 60~100 | 一般目安 | 無荷重又は低荷重、水添系で上限が高い傾向 | C |
| 短時間耐熱温度 | ℃ | 80~130 | 一般目安 | 変形、荷重、時間及び配合で異なる | C |
| 低温使用限界 | ℃ | -60~-20 | 一般目安 | 軟質相Tg及び配合で異なる | C |
| 熱伝導率 | W/(m・K) | 0.15~0.30 | 代表値、規格不明 | 未充填~標準コンパウンド | C |
| 項目 | 単位 | 代表範囲 | 試験規格・条件 | 備考 | 信頼度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 10¹²~10¹⁶ | IEC 60093又はASTM D257相当 | 乾燥状態、未帯電防止グレード | C |
| 絶縁破壊強さ | kV/mm | 15~30 | IEC 60243又はASTM D149相当 | 試験片厚さ依存 | C |
| 比誘電率・1 kHz | 無次元 | 2.2~3.0 | IEC 60250相当 | 配合及び吸湿で変動 | C |
| 誘電正接・1 kHz | 無次元 | 0.001~0.03 | IEC 60250相当 | オイル及び極性添加剤で変動 | C |
| 表面抵抗率 | Ω | 10¹²~10¹⁶ | IEC 60093相当 | 標準品。帯電防止・導電品は大幅に低い | C |
燃焼性及び難燃性
標準TPSは炭化水素系高分子であり一般に可燃性である。UL 94等級、LOI、GWFI及びGWITは材料群では一律に定められず、難燃剤、試験片厚さ、色及び認証グレードごとに確認する。燃焼時には一酸化炭素、二酸化炭素、すす及び未燃炭化水素が発生し得る。
耐薬品性
| 薬品名 | 濃度 | 温度 | 接触時間 | 応力 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | - | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ◎ | 影響が小さい場合が多い | 吸水、白化、添加剤抽出を確認 |
| 温水 | - | 60~80℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 軟化、物性低下 | 水添系でも高温変形を確認 |
| 塩酸 | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 一般に化学分解は小さい | 配合剤、金属接触及び応力下を確認 |
| 硫酸 | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 濃度上昇で酸化・劣化懸念 | 濃硫酸は別評価 |
| 酢酸 | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 臭気、膨潤、添加剤抽出 | 高濃度・高温は注意 |
| 水酸化ナトリウム | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ◎ | 主鎖加水分解は起こりにくい | 変性基、添加剤及び高温を確認 |
| アンモニア水 | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 一般に影響は小さい | 臭気吸着、変色及び配合剤を確認 |
| エタノール | 99.5% | 23℃ | 24~168 h | 無応力 | ○ | 軽度膨潤又は抽出の可能性 | 高オイル品及び接着界面に注意 |
| IPA | 99% | 23℃ | 24~168 h | 無応力 | ○ | 軽度膨潤又は抽出 | 長期接触を実測 |
| グリセリン | 99% | 23℃ | 168 h | 無応力 | ◎ | 影響が小さい場合が多い | 高温及び添加剤移行を確認 |
| MMB | 100% | 23℃ | 24 h | 無応力 | △ | 膨潤、軟化又は抽出の可能性 | グレード差が大きい |
| アセトン | 100% | 23℃ | 短時間~24 h | 無応力 | △ | PS相への影響、白化、軟化 | 応力下で割れ・接着低下に注意 |
| MEK | 100% | 23℃ | 短時間~24 h | 無応力 | × | 著しい膨潤又は軟化の可能性 | 使用非推奨 |
| 酢酸エチル | 100% | 23℃ | 短時間~24 h | 無応力 | × | 膨潤、溶解又は接着破壊 | 使用非推奨 |
| THF | 100% | 23℃ | 短時間 | 無応力 | × | 溶解又は著しい膨潤 | 使用非推奨 |
| トルエン | 100% | 23℃ | 短時間 | 無応力 | × | PS相・ゴム相双方に強く作用 | 使用非推奨 |
| キシレン | 100% | 23℃ | 短時間~24 h | 無応力 | × | 著しい膨潤・軟化 | 使用非推奨 |
| n-ヘキサン | 100% | 23℃ | 24 h | 無応力 | × | 軟質相の膨潤、オイル抽出 | 短時間でも要評価 |
| ミネラルスピリット | 100% | 23℃ | 24~168 h | 無応力 | × | 膨潤、軟化、質量増加 | 配合油との相互作用大 |
| ジクロロメタン | 100% | 23℃ | 短時間 | 無応力 | × | 溶解又は著しい膨潤 | 使用非推奨 |
| ガソリン | 市販燃料 | 23℃ | 24~168 h | 無応力 | × | 膨潤、抽出、強度低下 | 燃料系部品には通常不適 |
| 軽油 | 市販燃料 | 23℃ | 168 h | 無応力 | △ | 膨潤、軟化 | 長期・高温で悪化 |
| 鉱物油 | - | 23~100℃ | 168 h | 無応力 | △ | 吸油、体積膨張、硬度低下 | オイル展開品では配合平衡が変化 |
| エンジン油 | - | 100℃ | 168 h | 無応力 | × | 高温膨潤、抽出、永久変形 | 耐油用途はTPU、TPEE、NBR等と比較 |
| ブレーキ液・グリコール系 | - | 23~100℃ | 168 h | 無応力 | ○ | 配合により影響小~中 | 添加剤及び高温を確認 |
| 50%エチレングリコール水溶液 | 50% | 80℃ | 168 h | 無応力 | ○ | 軟化、抽出 | 冷却液用途は長期確認 |
| 次亜塩素酸Na | 500 ppm | 23℃ | 168 h | 無応力 | ○ | SBS/SISでは酸化劣化懸念 | 水添系を優先し変色と強度保持を確認 |
| 過酸化水素 | 3% | 23℃ | 24~168 h | 無応力 | ○ | 酸化劣化の可能性 | 高濃度・高温では別評価 |
| 塩水 | 3.5% NaCl | 23℃ | 168 h | 無応力 | ◎ | 影響が小さい場合が多い | 金属インサート腐食に注意 |
| 界面活性剤水溶液 | 1% | 40℃ | 168 h | 無応力 | ○ | 抽出、応力下の界面剥離 | 洗浄剤組成ごとに評価 |
| 食品油 | 100% | 23~60℃ | 168 h | 無応力 | △ | 吸油、膨潤、臭気移行 | 食品接触適合と溶出を確認 |
評価は一般的な材料群の目安であり、配合オイル、充填材、スチレン量、水添率、硬度、残留応力及び接着界面により変わる。実使用では実薬品を用い、質量・体積・硬度・引張特性・外観・圧縮永久ひずみを確認する。
SP値(溶解度パラメータ)
TPS材料群を単一SP値で表すことは困難である。ポリスチレン硬質相は概ね18.0~19.0 MPa1/2、ポリブタジエン及びポリイソプレン軟質相は概ね16.5~17.5 MPa1/2、水添軟質相は概ね16~17 MPa1/2付近が目安である。実用コンパウンドではオイル、PP、PE、粘着付与樹脂等の影響を受けるため、見掛けの相溶挙動は単一値からずれる。
溶解性の目安
| SP値差 Δδ | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
| 薬品名 | SP値 MPa1/2 | TPS各相との概算SP値差 | 評価 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| n-ヘキサン | 14.9 | 1.6~3.6 | × | 軟質相に近く、膨潤しやすい |
| トルエン | 18.2 | 0~1.7 | × | PS相及びゴム相に作用しやすい |
| キシレン | 18.0 | 0~2.0 | × | 著しい膨潤が起こり得る |
| 酢酸エチル | 18.6 | 0~2.1 | × | PS相に近く、膨潤・溶解に注意 |
| MEK | 19.0 | 0~2.5 | × | 硬質相を軟化させやすい |
| アセトン | 20.0 | 1.0~3.5 | △ | 配合と接触時間で白化・軟化 |
| IPA | 23.5 | 4.5~7.5 | ○ | 短時間は比較的安定だが抽出に注意 |
| エタノール | 26.0 | 7.0~10.0 | ○ | 低オイル品では比較的安定 |
| 水 | 47.9 | 28.9~31.9 | ◎ | SP差は大きいが界面、添加剤、温水条件を確認 |
SP値差は溶解・膨潤の初期スクリーニングであり、ブロック共重合体の選択溶解、ミクロ相構造、結晶性、水素結合、酸化、応力、温度、時間及び添加剤抽出を表現できない。耐薬品性の最終判断には実測が必要である。
製法
代表的には、炭化水素溶媒中で有機リチウム系開始剤を用いるリビングアニオン重合によりスチレンブロックとジエンブロックを逐次形成する。逐次重合のほか、ジブロックをカップリング剤で結合して線状又は星型構造を得る方法がある。水添TPSでは、SBS又はSISのジエン部を選択的に水素添加し、SEBS、SEPS又はSEEPS系構造とする。

| 工程 | 内容 |
|---|---|
| 原料 | スチレン、1,3-ブタジエン、イソプレン、水素、炭化水素溶媒、開始剤、カップリング剤など。 |
| 重合 | リビングアニオン重合でPSブロックとジエンブロックを制御する。分子量、ブロック比及び残留ジブロック量を管理する。 |
| カップリング | 線状トリブロック又は星型構造を形成する。カップリング効率は強度、粘度及び加工性に影響する。 |
| 水素添加 | 非水添ジエン部の二重結合を選択的に飽和させ、耐熱老化、耐候及び耐オゾン性を改善する。 |
| 回収・精製 | 重合停止、触媒残渣除去、溶媒回収、脱揮、乾燥を行う。残留溶媒、揮発分及び色調を管理する。 |
| コンパウンド | TPS、PP又はPE、プロセスオイル、充填材、安定剤、顔料、難燃剤、粘着付与樹脂などを二軸押出機等で溶融混練する。 |
| ペレット化 | ストランドカット又は水中カットで造粒し、硬度、MFR、引張、外観、揮発分及び異物を検査する。 |
代表的な反応表現は、PS-Li + n(ブタジエン) → PS-b-PB-Li、続いてスチレンを加えてPS-b-PB-b-PSを得る流れである。水素添加ではPS-b-PB-b-PS + H2 → PS-b-PEB-b-PSと一般化できるが、実際のミクロ構造、1,2-結合率、触媒及び水添選択性は製法により異なる。
詳細な利用用途
| 用途分野 | 具体例 | 適性 | 採用理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 自動車内装 | グリップ、表皮、カップホルダー、シフトノブ、制振材 | ◎ | 触感、低温柔軟性、着色性 | VOC、臭気、耐候、耐熱、フォギングを確認 |
| 自動車外装 | ガーニッシュ、シール、保護材 | ○ | 水添系・耐候グレードで対応 | UV、熱、洗車薬品、塗装接着を確認 |
| エンジンルーム | グロメット、カバー | △ | 一部耐熱品で限定使用 | 高温、油、燃料及び圧縮永久ひずみが制約 |
| グリップ・日用品 | 工具、歯ブラシ、筆記具、家電グリップ | ◎ | ソフトタッチ、二色成形 | 皮脂、洗剤、ブリード、接着性を確認 |
| チューブ・ホース | 医療、食品、一般流体用 | ○ | 柔軟性、透明性、押出性 | 薬液、滅菌、抽出物及び規制適合を確認 |
| シール・ガスケット | 低圧シール、防塵、緩衝 | ○ | 柔軟性、成形性 | 高温圧縮永久ひずみと油膨潤に注意 |
| 電線・ケーブル | 被覆、ストレインリリーフ | ○ | 柔軟性、電気絶縁性 | 難燃、耐熱、耐油、規格認証を確認 |
| 医療・衛生 | チューブ、マスク部材、シール、衛生材粘着剤 | ○ | 低硬度、透明性、加工性 | USP Class VI、ISO 10993、滅菌、抽出物はグレードごとに確認 |
| 食品接触 | シール、チューブ、容器部材 | ○ | 適合グレードが存在 | 日本食品衛生法、EU、FDA、油脂膨潤、移行を確認 |
| 粘着剤・接着剤 | ホットメルトPSA、ラベル、衛生材 | ◎ | SIS/SBSのタック、配合自由度 | 耐熱、クリープ、残留溶剤、黄変を確認 |
| アスファルト改質 | 道路、防水、ルーフィング | ◎ | SBSの弾性、低温割れ改善 | 分散、熱劣化、貯蔵安定性を管理 |
| 樹脂改質 | PS、PP、PE、PA等の耐衝撃・相容化 | ◎ | 靭性、柔軟性、相容性を付与 | 剛性、耐熱、表面外観とのバランス |
| 靴材 | ソール、ミッドソール、部材 | ◎ | 弾性、軽量、成形性 | 摩耗、圧縮永久ひずみ、耐候を確認 |
| 建築・設備 | シール、目地、防水シート改質 | ○ | 柔軟性、施工性 | 屋外耐候、可塑剤移行、接着及び難燃性を確認 |
接合・表面処理適性
| 方法 | 適性 | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| 熱板・熱風溶着 | ○ | 同種TPS間では可能。溶融温度窓、加圧及び冷却を最適化する。 |
| 超音波・振動溶着 | ○ | 高硬度グレードで適用しやすい。軟質品は振動吸収により効率が低下する。 |
| レーザー溶着 | ○ | 透過材と吸収材の組合せ、顔料及び界面密着が必要。 |
| 溶剤接着 | △ | 溶解性溶剤は使用可能だが、膨潤、残留溶剤、VOC及び寸法変化に注意する。 |
| 接着剤接合 | △ | 低極性表面では難接着。変性TPS、プライマー及び表面処理を検討する。 |
| 機械締結・インサート | ○ | 柔軟性により応力緩和するが、クリープ、締付け緩み及び引抜き強度を確認する。 |
| コロナ・プラズマ処理 | ◎ | 表面エネルギーを上げ、印刷・接着性を改善できる。経時失活を考慮する。 |
| フレーム処理 | ○ | 有効な場合があるが、過処理による変形、酸化及び着火に注意する。 |
| プライマー処理 | ◎ | 基材及び接着剤に適合したプライマーで密着を改善する。オイルブリード耐性を確認する。 |
寸法精度・設計特性
TPSは低弾性率でクリープ及び応力緩和が大きいため、短時間引張強さを設計許容応力として直接使用してはならない。高温、長時間荷重、圧縮シール、インサート周辺及びねじ締結では、硬度だけでなく応力緩和、圧縮永久ひずみ、熱膨張及び薬品膨潤を評価する。成形収縮と反りはPP量、オイル量、フィラー、ゲート位置及び冷却条件により変わるため、実金型で確認する。
品質・成形不良
| 不良 | 主な原因 | 主な対策 |
|---|---|---|
| バリ | 低粘度、高射出圧、型締不足、金型摩耗 | 樹脂温度・射出速度・保圧を下げ、型締力とパーティングを確認 |
| ヒケ・ボイド | 厚肉、冷却不足、収縮大、保圧不足 | 肉厚均一化、ゲート拡大、保圧・冷却最適化 |
| フローマーク | 低金型温度、速度変動、ゲート不適 | 金型温度と射出速度を調整し、ゲート形状を見直す |
| ウェルドライン | 流動合流、低温、ガス | 樹脂・金型温度、ベント、ゲート位置を最適化 |
| ガス焼け・臭気 | 高温滞留、せん断発熱、添加剤揮発 | 温度・回転数・滞留時間を下げ、換気とパージを行う |
| 黒点・変色 | 熱劣化、デッドスポット、酸化 | シリンダー清掃、滞留低減、温度管理、酸化防止剤確認 |
| 離型不良 | 軟質・粘着表面、抜き勾配不足 | 抜き勾配、表面仕上げ、冷却、離型剤又は配合を見直す |
| プレートアウト | オイル、ワックス、低分子添加剤の析出 | 配合見直し、金型温度・ベント・清掃周期を最適化 |
| ダイスウェル | 弾性回復、高分子量、剪断履歴 | ダイ設計、温度、吐出量、引取比を調整 |
| メルトフラクチャー | 高せん断速度、低ダイ温度 | 吐出量低減、ダイ温度上昇、流路平滑化 |
注意点・劣化及び故障モード
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 熱酸化劣化 | SBS/SISの残存二重結合、高温、酸素 | 高温滞留、屋外、高温空気中 | 黄変、硬化、亀裂、強度低下 | 水添系、酸化防止剤、遮熱、低温加工 | 熱老化後の引張・伸び・硬度保持率 |
| 紫外線・オゾン劣化 | 二重結合、UV、オゾン | 屋外、紫外線、電気機器周辺 | 表面亀裂、退色、粘着化 | SEBS/SEPS/SEEPS、UV安定剤、カーボンブラック | キセノン又はUV促進耐候試験 |
| 膨潤・溶解 | 炭化水素、芳香族、塩素系溶剤 | 燃料、油、溶剤への長期接触 | 体積増加、硬度低下、強度低下 | 耐油系材料へ変更、バリア層、接触回避 | 実薬品浸漬及び体積・質量変化 |
| 添加剤抽出・ブリード | 高オイル配合、低分子添加剤、相溶性不足 | 高温、接触材、洗浄、長期保管 | べたつき、曇り、接着不良、汚染 | 低抽出オイル、配合最適化、移行試験 | 接触移行、フォギング、GC-MS又は重量変化 |
| 圧縮永久ひずみ | 物理架橋の緩和、高温、長時間圧縮 | 高温シール、長期締結 | シール力低下、漏れ | 高分子量・高硬度・架橋可能品、TPV又は加硫ゴム検討 | ISO 815等の温度別圧縮永久ひずみ |
| クリープ・応力緩和 | 低弾性率、温度、オイル量 | 長期荷重、ねじ締結、吊下げ | 変形、緩み、寸法変化 | 応力低減、肉厚・リブ設計、硬質基材併用 | 温度別クリープ及び応力緩和試験 |
| 接着界面剥離 | 低表面エネルギー、オイル移行、基材不適合 | 二色成形、塗装、接着 | 剥離、浮き、気密低下 | 変性TPS、表面処理、プライマー、基材選定 | 180°剥離、引張せん断、熱湿サイクル |
| アウトガス・臭気 | 残留溶媒、オイル、添加剤、熱分解 | 密閉、車内、電子・真空用途 | 曇り、臭気、接点汚染 | 低VOCグレード、乾燥、低温成形、脱揮 | VOC、フォギング、TML/CVCM又はGC-MS |
| 滅菌劣化 | 蒸気、放射線、酸化剤 | オートクレーブ、γ線、電子線、過酸化水素 | 変色、硬化、粘着、強度低下 | 滅菌適合グレード選定 | 反復滅菌後の物性・溶出・外観 |
法規制・認証
| 規制・認証 | 一般的な位置付け | 確認事項 |
|---|---|---|
| RoHS・ELV | 一般に対応可能 | 重金属、臭素系難燃剤、顔料及び添加剤を含め、個別グレードの適合証明を確認する。 |
| REACH・SVHC | 一般に対応可能 | 最新候補リスト、残留モノマー、可塑剤及び添加剤を確認する。 |
| PFAS関連規制 | 材料自体は通常フッ素を必須としない | 加工助剤、表面処理、難燃剤等の意図的添加及び非意図含有をサプライヤーへ確認する。 |
| 日本食品衛生法・ポジティブリスト | 適合グレードが存在 | 用途、食品種類、温度、時間及び油脂接触条件ごとに確認する。 |
| FDA食品接触 | 適合グレードが存在 | 21 CFR該当条項、抽出制限及び配合成分を個別確認する。 |
| EU食品接触 | 適合グレードが存在 | EU 10/2011等の適用可否、SML、OML及びNIAS評価を確認する。 |
| USP Class VI・ISO 10993 | 医療用グレードで取得・評価例あり | 材料群全体の認証ではない。滅菌方法、接触部位、接触期間及び変更管理を確認する。 |
| UL認証・UL 94 | 難燃・電気用途グレードで取得例あり | 試験片厚さ、色、製造拠点及びファイル番号を確認する。 |
| ハロゲンフリー | 設計可能 | 定義及び閾値は顧客規格、IEC等により異なる。難燃剤及び顔料を含めて確認する。 |
環境・リサイクル性及び価格・供給性
| 項目 | 評価 | 内容 |
|---|---|---|
| 熱可塑性 | 該当 | 加熱再成形が可能。ただし熱履歴で分子量低下、黄変及び揮発分増加が起こり得る。 |
| マテリアルリサイクル | ○ | 単一材・同一配合で管理できれば可能。異種材、接着、汚染及びオイル移行が障害となる。 |
| ケミカルリサイクル | △ | 熱分解・油化等の検討対象となるが、地域及び設備に依存する。 |
| サーマルリサイクル | ○ | 炭化水素系で発熱量は高いが、燃焼管理と排ガス処理が必要である。 |
| 生分解性 | 一般に該当しない | バイオベース又は特別設計品を除き、生分解性材料ではない。 |
| 再生材利用 | 可能 | 臭気、色、ゲル、物性低下、揮発分及び規制用途への使用制限を確認する。 |
| 価格区分 | 比較的低価格~比較的高価格 | SBS/SISは比較的低価格、水添系・官能基変性・医療用・高機能品は高くなる傾向がある。 |
| 国内入手性 | 良好 | ベースポリマー、コンパウンド、シート、チューブ、フィルム等が流通するが、特殊グレードはMOQと納期を確認する。 |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | TPSとの違い |
|---|---|---|
| SEBS | TPSの代表的水添系。耐候性、耐熱老化性、低温性が良好。 | TPS総称に含まれる個別材料であり、SBS/SISより酸化安定性が高い。 |
| 熱可塑性エラストマー(TPE) | TPS、TPO、TPV、TPU、TPEE等を含む総称。 | TPSはTPEの一分類であり、硬質相が主にポリスチレンである。 |
| オレフィン系TPE(TPO) | 軽量、耐水、耐酸・アルカリ、耐候性に優れる。 | TPSは透明性、触感、粘着性、低温性で優れる場合があるが、油膨潤に注意する。 |
| 動的架橋TPE(TPV) | PP中に動的架橋EPDMを分散。圧縮永久ひずみと耐熱性が比較的良好。 | 高温シールではTPVが有利な場合が多く、軟質触感・透明性・加工自由度ではTPSが有利な場合がある。 |
| 熱可塑性ポリウレタン(TPU) | 耐摩耗、機械強度、耐油性に優れるグレードが多い。 | TPSは低密度、柔軟触感、低吸水及び加工性で有利。TPUは吸湿・加水分解に注意する。 |
| 熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE) | 耐熱、耐油、屈曲疲労、反発弾性に優れる。 | TPEEは高温・油環境に有利、TPSは低硬度、柔軟性及びソフトタッチに有利。 |
| EPDM | 加硫ゴム。耐候、耐オゾン、耐熱水に優れる。 | EPDMは圧縮永久ひずみや高温耐久で有利な場合があるが、TPSは加硫不要で成形・リサイクルしやすい。 |
| 軟質PVC | 難燃性、加工性、価格バランスが良い。 | TPSはハロゲンフリー設計、低温柔軟性及び可塑剤フリー設計が可能。PVCは難燃性と耐油性で有利な場合がある。 |
比較用評価スコア
| 評価項目 | スコア(0~5) | 評価理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 3 | 硬度及びスチレン量で大きく変わるが、一般軟質TPEとして標準的。 |
| 剛性 | 2 | 低弾性率が特徴であり、構造部材用途には向かない。 |
| 衝撃強度 | 5 | 柔軟で低温衝撃に強く、樹脂改質材として有効。 |
| 耐熱性 | 2 | 高温で物理架橋が緩みやすい。水添・耐熱グレードで改善可能。 |
| 低温特性 | 5 | 軟質相Tgが低く、低温柔軟性に優れる。 |
| 耐薬品性 | 3 | 水・希酸・希アルカリは良好だが、炭化水素・油・溶剤に弱い。 |
| 耐候性 | 3 | 水添系は良好、SBS/SISは注意が必要。 |
| 耐加水分解性 | 4 | 主鎖は比較的安定だが、変性基及び添加剤は別評価。 |
| 寸法安定性 | 2 | 収縮、熱膨張、クリープ及び膨潤が大きい。 |
| 低吸水性 | 5 | 一般に吸水率が低い。 |
| 摺動性・耐摩耗性 | 2 | 標準品はTPUやTPEEより劣る場合が多い。 |
| 電気絶縁性 | 4 | 標準品は高い体積抵抗率を示す。 |
| 難燃性 | 1 | 標準品は可燃性。難燃コンパウンドが必要。 |
| 透明性 | 4 | SIS、SEPS等で透明グレードを設計しやすい。 |
| 成形加工性 | 5 | 射出、押出、フィルム、二色成形に適する。 |
| 接着性 | 2 | 低極性で難接着だが、変性・表面処理で改善可能。 |
| リサイクル性 | 4 | 熱可塑性で再溶融可能。ただし混合材・熱履歴に注意。 |
| 価格優位性 | 4 | SBS/SISは比較的安価。水添・特殊品は上昇する。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 旭化成株式会社 | タフテック(TUFTEC)、S.O.E. | 水添スチレン系ブロック共重合体、変性・高機能グレードを展開する。 |
| 株式会社クラレ | セプトン(SEPTON)、ハイブラー(HYBRAR) | SEPS、SEEPS、SEBS等の水添系、制振・透明・低温特性など多様なグレードを展開する。 |
| Kraton Corporation | Kraton | SBS、SIS、水添SBC及び粘着剤・改質用途向け製品を展開する。 |
| TSRC Corporation | VECTOR、TAIPOL | SBS、SIS、SEBS等のスチレン系ブロック共重合体を展開する。 |
| LCY Chemical Corp. | GLOBALPRENE | SBS、SIS、SEBS等を粘着剤、改質、コンパウンド用途向けに展開する。 |
| Dynasol Group | Solprene、Calprene | SBS、SIS及び水添SBCを接着剤、アスファルト改質、コンパウンド等へ供給する。 |
| ENI Versalis | Europrene SOL T | スチレン系ブロック共重合体を接着剤、靴材、改質用途等へ展開する。 |
メーカー及びブランドの製品範囲、製造拠点、販売地域及びグレード名称は変更される場合がある。採用時は最新の技術資料、SDS、ULファイル、食品・医療適合証明及び変更管理条件を確認する。
推奨確認試験
| 試験 | 推奨条件例 | 主な確認項目 |
|---|---|---|
| 実薬品浸漬試験 | 実液、想定濃度、最低・最高使用温度、24 h・168 h・1000 h等 | 質量、体積、硬度、引張強さ、伸び、外観、抽出・ブリード |
| 応力負荷下薬品試験 | 実部品又は定ひずみ試験片、薬品接触、温度上限 | 亀裂、白化、接着剥離、永久変形 |
| 圧縮永久ひずみ | ISO 815等、23℃・70℃・100℃、22~168 h | シール復元率、長期締付け保持 |
| 熱老化 | 使用上限温度及び上限+10~20℃、168~1000 h | 引張、伸び、硬度、色差、臭気 |
| 促進耐候 | キセノン又はUV、散水サイクル、500~2000 h | 色差、亀裂、光沢、引張保持率 |
| クリープ・応力緩和 | 実荷重、最低・最高温度、100~10000 h相当 | 変形量、締付け力保持、安全率 |
| 接着・二色成形評価 | 実基材、実成形条件、熱湿及び薬品後 | 剥離強さ、破壊モード、界面耐久 |
| VOC・フォギング・アウトガス | 自動車・電子・真空等の実規格 | 総VOC、個別成分、凝縮物、臭気 |
| 食品・医療溶出及び滅菌 | 実接触液、温度、時間、反復滅菌 | 溶出物、抽出物、外観、物性、生物学的安全性 |
| 実成形・実部品耐久 | 量産金型、実成形機、実環境サイクル | バリ、収縮、反り、耐久、組付け、機能保持 |
関連キーワード
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本ページの評価及び代表範囲は材料群としての一般的傾向である。実使用では、メーカーの個別グレード、硬度、スチレン含有率、水添率、オイル量、充填材、温度、濃度、荷重、応力、湿度、時間、試験片形状、成形条件、接着基材及び法規制を確認する必要がある。