熱可塑性ポリエステルエラストマー

概要

項目 内容
材料名 熱可塑性ポリエステルエラストマー
略記号 TPEE、TPC、TPC-ET、TEEE
IUPAC 単一のIUPAC名で表される材料ではない。芳香族ポリエステル硬質セグメントとポリエーテルまたはポリエステル軟質セグメントからなるブロック共重合体群である。
英語名 Thermoplastic Polyester Elastomer / Thermoplastic Copolyester Elastomer
日本語名・別名 熱可塑性ポリエステルエラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、熱可塑性コポリエステル、コポリエステルエラストマー
分類 熱可塑性エラストマー、ポリエステル系ブロック共重合体
プラスチック分類 エンジニアリング系熱可塑性エラストマー。ISO 18064ではTPC系に分類され、代表的なポリエーテルエステル系はTPC-ETと表記される。
化学式または代表構造 単一分子式では表せない。代表構造:−[PBT系硬質セグメント]ₘ−[ポリエーテル系軟質セグメント]ₙ−
CAS No. 単一物質ではないため一般に一意のCAS No.では扱わない。共重合組成・製品登録により異なる。
構造・主成分 主にPBT系結晶性芳香族ポリエステルを硬質セグメント、PTMG等のポリエーテルまたはポリエステル系長鎖ジオール由来成分を軟質セグメントとする。
主な用途 自動車ブーツ、CVJブーツ、エアダクト、コルゲートチューブ、ホース、電線被覆、コネクタシール、ダンパー、ギア消音部品、フィルム、ベルト、スポーツ用品など。

熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)は、結晶性芳香族ポリエステルを主体とする硬質セグメントと、低ガラス転移温度を持つポリエーテルまたはポリエステル系の軟質セグメントを同一主鎖中に持つブロック共重合体である。硬質セグメントの結晶領域が物理架橋点として機能し、軟質セグメントがゴム弾性、低温柔軟性、反発弾性を担うため、加硫ゴムに近い弾性と熱可塑性樹脂の成形加工性を両立しやすい。

一般に、耐屈曲疲労性、耐摩耗性、反発弾性、耐油性、低温特性に優れ、自動車用CVJブーツ、ダクト、ホース、電線被覆、工業用ベルト、シール、ダンパーなどの動的部品で採用される。硬度や融点、引張特性、吸水性はソフトセグメント種とハードセグメント比率で大きく変わるため、「TPEE」という材料名だけで物性を固定値として扱わないことが重要である。

一方、主鎖にエステル結合を含むため、高温高湿、熱水、蒸気、強酸、強アルカリでは加水分解による分子量低下が起こる場合がある。成形時にも吸湿ペレットを高温で溶融すると加水分解が進み、外観不良だけでなく引張強さ、伸び、疲労寿命の低下につながる。実使用では、グレード、硬度、温度、湿度、薬品濃度、荷重、応力、使用時間、試験片形状、成形条件を確認する必要がある。

特徴

項目 内容
長所 耐屈曲疲労性、反発弾性、耐油性、耐摩耗性、低温柔軟性、繰返し変形耐久性に優れる。熱可塑性であるため射出・押出・ブロー成形が可能で、加硫工程を必要としない。
短所 ポリエステル結合を含むため、高温高湿、熱水、蒸気、強酸、強アルカリで加水分解や分子量低下が生じる場合がある。柔軟グレードでは剛性・HDTが低い。
外観 自然色は乳白色~半透明が多い。結晶性、硬度、添加剤、顔料、難燃剤により透明性・光沢は変化する。透明化グレードも存在する。
耐熱性 一般的な軟質TPEより高い耐熱性を示すことが多い。融点は概ね150~220℃程度で、連続使用温度はグレード・荷重・熱老化条件により大きく異なる。
耐薬品性 油、グリース、脂肪族炭化水素、燃料に比較的良好な場合が多い。一方、強酸・強アルカリ・高温水・蒸気・一部の極性溶剤には注意が必要である。
加工性 射出成形、押出成形、ブロー成形、フィルム成形に適するグレードがある。吸湿した状態で高温溶融すると加水分解するため、成形前乾燥が重要である。
分類上の注意 TPEE、TPC、TPC-ET、TEEEは文献・規格・メーカーで用語が異なる場合がある。同義・近縁材料として扱われるが、ソフトセグメント種により耐加水分解性、低温特性、ガス透過性などは異なる。

構造式

TPEEは単一の繰り返し構造式で表しにくい材料群である。代表的なポリエーテルエステル型では、PBT系の硬質セグメントとPTMG系の軟質セグメントからなる。ポリエステルエステル型では、軟質セグメントが脂肪族ポリエステルジオール由来となる場合がある。

熱可塑性ポリエステルエラストマー TPEEの代表構造

項目 内容
代表的な構造単位 −[PBT系硬質セグメント]ₘ−[ポリエーテル系またはポリエステル系軟質セグメント]ₙ−
硬質セグメント 代表例:−O−(CH₂)₄−O−C(=O)−C₆H₄−C(=O)−。PBT系結晶領域が物理架橋点として働く。
軟質セグメント 代表例:PTMG由来の−O−[(CH₂)₄−O]ₓ−。低Tgで柔軟性と弾性回復を担う。
モノマー・構成成分 テレフタル酸またはDMT、1,4-ブタンジオール、PTMG等の長鎖ジオール。
共重合・変性 ソフトセグメント種・分子量・ブロック比率の変更、耐熱安定化、耐加水分解化、難燃化、耐候化、摺動化、GF強化など。

熱可塑性コポリエステル(TPC/TPEE)は実質的に同じ材料群を別表記で扱うページである。ISO等の分類ではTPC、TPC-ETという表記も用いられる。

種類・代表グレード

グレード区分 主な改質方法・構造 代表的特徴 物性への影響・注意 主用途
非強化・標準 PBT系ハード+ポリエーテル/ポリエステル系ソフト 物性バランス、疲労性、成形性 硬度域が広く、標準比較の基準 ブーツ、ダンパー、機構部品
一般射出成形 流動性・離型性を調整 複雑形状・薄肉成形 乾燥不足でシルバー・物性低下 コネクタ周辺、グロメット
押出成形 溶融強度・粘度を調整 チューブ・異形押出に適する 滞留・含水・ダイスウェルに注意 ホース、電線被覆
ブロー成形 溶融強度を高めた高粘度系 蛇腹形状や中空品に適する 肉厚均一化とパリソン制御が必要 CVJブーツ、エアダクト
耐熱 高融点ハードセグメント、安定剤 高温下の強度保持を改善 柔軟性や成形温度とのトレードオフ 高温チューブ、電装周辺
難燃 リン系等の難燃処方 UL94 V系に対応可能なグレードがある 比重上昇、物性・加工性変化 電線被覆、電気部品
耐加水分解 末端封鎖、安定剤、構造最適化 高温高湿・冷却水環境で寿命向上 永久耐久ではなく条件確認が必要 自動車ホース、湿熱部品
GF強化 ガラス繊維10~30質量%程度の例 剛性・寸法安定性・耐熱変形を向上 エラストマー性低下、異方性・繊維浮き 半剛性機構部品
摺動・低摩擦 潤滑剤、PTFE等を配合する場合がある 摩擦・摩耗低減 接着・印刷・塗装性が低下する場合 ギア、摺動部品
導電・帯電防止 カーボン系等の導電材 静電対策 機械物性・色・表面性が変化 電子搬送部品
食品接触用途向け 添加剤・着色剤を規制対応設計 食品接触用途に選択可能 材料名だけで適合を断定できない 食品機械、チューブ
医療用途向け 低抽出・規制対応を意識したグレード 柔軟性・耐屈曲性を活用 滅菌法・生体適合性は個別確認 医療チューブ、機器部品
バイオベース 一部ソフトセグメント等を再生可能原料化 LCA低減の選択肢 生分解性とは別概念 スポーツ、消費材、自動車

成形加工

加工方法 適性 理由・主な注意点
射出成形 標準的な加工法である。乾燥、溶融温度、滞留時間を管理する。
押出成形 チューブ、ホース、電線被覆、異形押出に適する。高粘度グレードを用いることが多い。
ブロー成形 高溶融強度グレードではCVJブーツやダクトに広く使われる。
インフレーション成形 フィルム用グレードで可能。バブル安定性・粘度設計が必要。
Tダイフィルム成形 フィルム・シート用グレードで適用可能。
真空成形 シートグレード・厚み・結晶化挙動に依存する。
圧空成形 真空成形と同様にシート設計が必要。
圧縮成形 評価試験片等では可能だが量産主流ではない。
トランスファー成形 × 熱硬化性材料向けの代表工程であり通常選択しない。
回転成形 一般的ではなく専用粉末・熱履歴管理が必要。
発泡成形 発泡グレード・発泡剤・セル制御が必要。
3Dプリント フィラメント化は可能だが吸湿・反り・層間接着条件に依存する。
切削加工 可能であるが柔軟グレードは保持・発熱・バリに注意。
溶着 熱板、振動、超音波、レーザー等が適用可能な場合がある。
接着 接着剤・表面処理・硬度で差が大きい。
塗装 表面処理やプライマーが必要な場合がある。
印刷 コロナ・プラズマ等で濡れ性を改善する場合がある。
めっき 一般用途では限定的。専用前処理が必要。
蒸着 グレード・表面処理・真空アウトガスを確認する。
レーザーマーキング 添加剤設計グレードで対応しやすい。
二次成形 オーバーモールド用途に使用される。相手材との接着性はグレード依存。
インサート成形 金属インサート周囲の応力集中と熱収縮差に注意。
代表的な射出成形条件
成形条件 単位 代表範囲・設定 備考
予備乾燥 必要 多くのグレードで必須。未乾燥では溶融加水分解のリスクが高い。
推奨乾燥温度 80~110 メーカー・硬度により異なる。SKYPEL P128DFの例では100℃×2~3h。
推奨乾燥時間 h 2~4 低温乾燥ではより長時間を要する。除湿乾燥機を推奨。
許容含水率 % 0.02~0.08 代表的な管理目安。個別メーカー値を優先する。
シリンダー温度・供給部 180~220 軟質・低融点グレードでは低め、高耐熱グレードでは高め。
シリンダー温度・圧縮部 190~235 一般的な目安。
シリンダー温度・計量部 195~245 熱分解・滞留を避ける。
ノズル温度 195~245 糸引き・冷え栓・滞留をバランスする。
樹脂温度 200~250 融点+適切な過熱幅を確保する。
金型温度 20~70 結晶化、表面、収縮、離型を見て設定する。
射出圧力 MPa 50~120 形状・ゲート・流動長に依存。
保圧 MPa 30~80 過大保圧は残留応力・バリに注意。
背圧 MPa 2~10 混練に必要な最小限。
スクリュー回転数 rpm 30~100 せん断発熱と混練を考慮。
成形収縮率・流動方向 % 0.8~2.0 非強化代表。硬度、結晶化、肉厚で変化。
成形収縮率・流動直角方向 % 0.8~2.0 非強化代表。GF強化では異方性が増える。
推奨肉厚 mm 0.8~4 一般射出成形品の目安。薄肉・厚肉は流動・ヒケ・冷却を要検討。
アニール 条件により実施 寸法安定化や結晶化促進に用いる場合がある。

上記は材料群としての一般的な目安である。実際にはメーカー、硬度、融点、MFR、製品形状、成形機、乾燥機、ゲート設計で最適条件が変わる。SK chemicalsのSKYPEL P128DF公開例では、100℃で2~3時間の除湿乾燥、射出シリンダー190~200℃、ノズル205℃、金型30℃が示されているが、これは当該グレードの例でありTPEE全体の固定条件ではない。

接合・表面処理適性
接合・表面処理 適性 理由・注意点
熱板溶着 融着性は良好。過熱・変形を管理する。
超音波溶着 硬度が高いほどエネルギー伝達しやすい。軟質品は治具・エネルギーダイレクタを要検討。
振動溶着 面積の大きい部品に適用可能。
レーザー溶着 透過/吸収材の組合せと添加剤設計が必要。
高周波溶着 誘電損失・厚み・電極設計に依存し、PVCほど容易ではない。
熱風溶着 シート・チューブで可能。酸化と過熱に注意。
溶剤接着 溶剤選択が難しく、膨潤・ESC・残留溶剤に注意。
接着剤接合 PU系、エポキシ系等を候補とし、プライマーや表面処理を評価する。
機械締結 ボルト、クランプ等が可能。クリープと座面変形に注意。
コロナ/プラズマ処理 表面エネルギーを上げ、印刷・接着性を改善できる。
プライマー処理 接着剤と組み合わせて有効。
寸法精度・設計特性
  • 非強化材の成形収縮率は概ね0.8~2.0%程度の範囲でみられるが、硬度、結晶化、肉厚、金型温度、保圧で変化する。
  • GF強化材では流動方向と直角方向の異方性が増え、反りや線膨張係数差を考慮する必要がある。
  • 弾性材料であるため、短時間の引張強さや曲げ弾性率をそのまま長期設計許容応力として用いてはならない。クリープ、応力緩和、繰返し疲労を実温度・実荷重で確認する。
  • 圧入、インサート、タッピングねじでは局所ひずみと応力集中を低減し、十分なR、肉厚、締結荷重管理を行う。
品質・成形不良
不良 主原因 発生しやすい条件 影響 主な対策
シルバーストリーク 吸湿、加水分解、揮発分 乾燥不足、高温 外観不良、強度低下 除湿乾燥、材料保管、滞留短縮
ガス焼け 過熱分解、エアトラップ 高温・高速射出 焦げ、変色 温度低下、ベント改善
黒点・変色 長時間滞留、異物、酸化 停止再開、デッドスポット 外観不良 パージ、設備清掃、滞留管理
フローマーク 流動不安定、金型温度不足 低速/低温 筋状外観 温度・速度・ゲート調整
ウェルドライン 流動合流、低温 多点ゲート、薄肉 外観・強度低下 金型温度、ベント、ゲート設計
ヒケ・ボイド 厚肉、保圧不足 厚肉部 寸法不良 肉厚均一化、保圧・冷却最適化
反り 結晶化差、収縮差、GF異方性 非対称形状 寸法不良 金型温度均一化、ゲート・肉厚最適化
バリ 低粘度、過大圧力、型締不足 高温・高圧 仕上げ不良 温度・圧力・型締調整
ダイスウェル 弾性回復 押出高速 寸法肥大 ダイ設計、温度、引取速度調整
メルトフラクチャー せん断過大 高吐出 表面荒れ 温度上昇、吐出低下、ダイ改善

代表的な物性値又は機械的性質

以下は主に非強化・無充填TPEEの材料群としての代表範囲である。硬度域が広いため、単一代表値よりも範囲表示を優先している。比較機能に登録する場合は、特定グレードの公開データをACFへ別レコードとして格納し、試験規格、温度、材料状態、硬度、強化材含有率を紐付けることを推奨する。

項目 単位 代表範囲/代表値 比較用代表値 試験規格 試験温度 材料状態 グレード区分 信頼度 備考
密度 g/cm³ 1.07~1.29 ASTM D792等 23℃ 不明 非強化・標準 A 硬度・ソフトセグメント・難燃剤で変化。
比重 無次元 1.07~1.29 ASTM D792等 23℃ 不明 非強化・標準 A 代表範囲。
吸水率・24時間 % 0.3~2.0 ASTM D570等 23℃ 成形後乾燥品 非強化・標準 B グレード差が大きい。SKYPEL P128DF例1.8%。
平衡吸湿率 % 0.15~0.5 メーカー法 23℃ 23℃・50%RH調節後 非強化・標準 B Arnitel公開例0.15~0.4%。
成形収縮率・流動方向 % 0.8~2.0 ISO 294/ASTM D955等 成形条件依存 乾燥 非強化・標準 B 結晶化・硬度で変化。
線膨張係数・流動方向 10⁻⁵/K 11~22 ISO 11359等 23℃付近 乾燥 非強化・標準 B 軟質ほど大きい傾向。
硬度 Shore D 28~72 ASTM D2240/ISO 868 23℃ 標準状態 非強化・標準 A Shore A 80前後の軟質品からShore D 70前後まで広い。
引張強さ・破断 MPa 12~45 ISO 527/ASTM D638 23℃ 乾燥/標準 非強化・標準 A 硬度により大幅に変化。
引張弾性率 GPa 0.02~1.0 ISO 527等 23℃ 乾燥/標準 非強化・標準 A Arnitel例0.02~1.0 GPa。
引張破断伸び % 300~900 ISO 527/ASTM D638 23℃ 乾燥/標準 非強化・標準 A 軟質グレードで大きい。
曲げ弾性率 GPa 0.03~0.40 ASTM D790/ISO 178 23℃ 乾燥/標準 非強化・標準 B 軟質~中硬度の代表範囲。高硬度ではより高い。
アイゾット衝撃強さ・ノッチ付き kJ/m² データなし ISO 180 23℃ 不明 非強化・標準 NB(破壊せず)と記載されるグレードが多く、数値一般化しにくい。
低温衝撃特性 良好 メーカー法/ISO -30℃等 標準状態 非強化・標準 B ソフトセグメントTgが低く、低温靱性に優れるグレードが多い。
ガラス転移温度 -80~-30 DSC/DMTA 乾燥 ソフトセグメント A ソフトセグメント由来の代表範囲。
融点 150~220 DSC 乾燥 非強化・標準 A ハードセグメント結晶融点。
荷重たわみ温度・0.45 MPa 45~120 ISO 75/ASTM D648 乾燥 非強化 B 柔軟材では低く、高硬度・耐熱材で高い。
連続使用温度 80~140 長期熱老化等 材料群目安 C メーカーRTI/長期熱老化データを優先。
低温使用限界 -50~-70 メーカー評価 材料群目安 C グレード・荷重・衝撃条件による。
熱伝導率 W/(m・K) 0.15~0.25 代表値 23℃ 乾燥 非強化 C 固体一般値の目安。個別データ優先。
比熱 J/(g・K) 1.5~2.0 代表値 23℃ 乾燥 非強化 C 温度依存性あり。
体積抵抗率 Ω・cm 1E14~1E17 ASTM D257/IEC 60093 23℃ 乾燥 絶縁グレード A 吸湿・添加剤で低下する場合。
絶縁破壊強さ kV/mm 20~25 IEC 60243等 23℃ 乾燥 絶縁グレード B 試験片厚さ依存。
比誘電率・1 MHz 無次元 3.3~4.4 IEC 60250等 23℃ 乾燥 絶縁グレード A Arnitel公開例。
誘電正接・1 MHz 無次元 0.017~0.081 IEC 60250等 23℃ 乾燥 絶縁グレード A 組成・吸湿で変化。
耐トラッキング性・CTI V 600 IEC 60112 23℃ 標準 一部グレード A 個別グレード例。材料群一律ではない。
UL 94燃焼性 等級 HB~V-0 UL 94 グレード依存 A 厚さ・色・難燃処方に依存。
UL 94試験片厚さ mm 1.0~3.0 UL 94 グレード依存 A 認定ファイルで確認。
強化・改質グレードの扱い

GF強化、難燃、摺動、導電、耐加水分解、耐熱グレードは標準材と物性を混在させない。GF強化では引張・曲げ弾性率、HDT、寸法安定性が上がる一方、伸び、エラストマー性、低温柔軟性が低下し、異方性と繊維浮きが増える。CF強化TPEEは一般的な標準グレードとしては流通が限定的であり、十分な公開データなしに代表値を設定しない。

燃焼性・難燃性

標準TPEEはUL 94 HB相当のグレードが多いが、難燃剤を配合したV-2、V-0等の認定グレードも存在する。UL 94は材料群全体の固有値ではなく、グレード、試験片厚さ、色、添加剤によって変わる。酸素指数、GWIT、GWFI、RTIも個別ULファイルまたはメーカー資料で確認する必要がある。

比較用評価スコア
評価項目 スコア(5段階) 評価理由
引張強度 4 硬度域によるがTPEとして高い。
剛性 3 軟質~高硬度まで設計幅が広い。
衝撃強度 5 低温を含め靱性が高いグレードが多い。
耐熱性 4 一般TPEより高い。
低温特性 5 ソフトセグメントTgが低く柔軟性を保持しやすい。
耐薬品性 4 油・燃料に強いが、強酸・強アルカリ・高温水に注意。
耐候性 3 安定剤なしではUV劣化に注意。耐候グレードで改善可能。
耐加水分解性 3 標準材は高温高湿で注意。安定グレードで改善可能。
寸法安定性 3 吸湿はPAほど大きくないが、収縮・クリープはエラストマーとして考慮。
低吸水性 3 グレード差があり0.3~2%程度の例。
摺動性 4 耐摩耗性は良好。摩擦特性は専用グレードでさらに改善。
耐摩耗性 5 代表的長所。
電気絶縁性 4 体積抵抗率・耐トラッキング性が良好なグレードがある。
難燃性 3 標準はHB相当が多いがV-0等の難燃グレードが存在。
透明性 2 一般材は半透明~不透明。透明化グレードは例外。
成形加工性 5 射出・押出・ブローが可能。ただし乾燥管理は必須。
切削加工性 3 可能だが柔軟材は保持・バリが課題。
接着性 3 表面処理・接着剤選定で改善。
リサイクル性 4 熱可塑性として再溶融可能。熱履歴・加水分解に注意。
価格優位性 2 汎用TPEより高価なことが多い。

耐薬品性

TPEEは一般に油、グリース、脂肪族炭化水素、燃料に比較的良好な耐性を示すが、化学薬品への適否はハード/ソフトセグメント比、温度、濃度、接触時間、応力、添加剤、成形時の分子量低下で変化する。特に高温水、蒸気、強酸、強アルカリではポリエステル結合の加水分解を考慮する必要がある。

薬品名 濃度 温度 接触時間 接触形態 応力 評価 主な劣化形態 備考
100% 23℃ 24h~長期 浸漬 なし 大きな膨潤は比較的小さい 長期では吸水・物性変化を確認。
温水 100% 60~80℃ 数百h 浸漬 なし 加水分解・強度低下 耐加水分解グレードを優先。
熱水 100% 90~100℃ 長期 浸漬 なし 加水分解 分子量低下、亀裂、伸び低下に注意。
水蒸気 飽和 100℃以上 反復/長期 曝露 なし 加水分解 高温蒸気は厳しい条件。
塩酸 5~10% 23℃ 24h 浸漬 なし 表面変化・加水分解 高濃度・高温では悪化。
硫酸 5~10% 23℃ 24h 浸漬 なし 酸触媒加水分解 濃硫酸・高温は不適。
酢酸 10% 23℃ 24h 浸漬 なし 軟化・加水分解 濃度・温度依存。
水酸化ナトリウム 1~5% 23℃ 24h 浸漬 なし エステル加水分解 強アルカリ・高温は不適。
水酸化カリウム 1~5% 23℃ 24h 浸漬 なし エステル加水分解 NaOHと同様。
アンモニア水 5~10% 23℃ 24h 浸漬 なし 表面変化 高温・高濃度は確認必要。
エタノール 95% 23℃ 24h 浸漬 なし 軽微な吸収 一般に良好。
IPA 100% 23℃ 24h 浸漬 なし 軽微な吸収 一般に良好。
グリセリン 100% 23℃ 24h 浸漬 なし 吸湿を伴う可能性 高温では確認。
アセトン 100% 23℃ 24h 浸漬 なし 膨潤・軟化 硬度・ソフトセグメント依存。
MEK 100% 23℃ 24h 浸漬 なし 膨潤・軟化 長期浸漬は避ける。
酢酸エチル 100% 23℃ 24h 浸漬 なし 膨潤・軟化 SP近接に加え拡散性に注意。
THF 100% 23℃ 24h 浸漬 なし × 著しい膨潤・溶解の可能性 実使用非推奨。
トルエン 100% 23℃ 24h 浸漬 なし 軽度膨潤~物性変化 長期・応力下は確認。
キシレン 100% 23℃ 24h 浸漬 なし 軽度膨潤 温度上昇で悪化し得る。
n-ヘキサン 100% 23℃ 24h 浸漬 なし 影響小 添加剤抽出に注意。
シクロヘキサン 100% 23℃ 24h 浸漬 なし 影響小 長期確認。
ジクロロメタン 100% 23℃ 短時間 接触 なし × 膨潤・溶解 塩素系強溶剤として注意。
クロロホルム 100% 23℃ 短時間 接触 なし × 膨潤・溶解 長期使用不適。
ガソリン相当燃料 混合 23℃ 数百h 浸漬 なし 膨潤・抽出 燃料組成、アルコール混合率で評価。
エンジン油 100% 100℃ 数百h 浸漬 なし 軽微な膨潤 TPEEの代表用途。油添加剤との相互作用確認。
作動油 100% 80℃ 数百h 浸漬 なし 膨潤・添加剤抽出 油種依存。
ブレーキ液 100% 23~100℃ 長期 浸漬 なし 膨潤・加水分解 グリコール系/シリコーン系で差。
冷却液 EG水溶液50% 80~120℃ 数百h 浸漬 なし 加水分解 耐加水分解グレードを推奨。
次亜塩素酸ナトリウム 0.1~1% 23℃ 短時間 接触 なし 酸化・加水分解 有効塩素濃度・pH・温度で確認。
過酸化水素 3~10% 23℃ 短時間 接触 なし 酸化 高温高濃度は確認。
塩水 3.5% NaCl 23℃ 長期 浸漬 なし 吸水 温度上昇時は加水分解確認。
食品油 100% 23~80℃ 長期 浸漬 なし 軽微な膨潤 食品接触認証は別途必要。
界面活性剤水溶液 0.1~5% 23~60℃ 長期 浸漬 なし 吸水・抽出 pH、溶剤添加、温度を確認。
SP値(溶解度パラメータ)

TPEEはブロック共重合体であるため、単一のSP値を厳密に割り当てることは難しい。実務上の一次スクリーニングでは、材料全体の代表値としてδ ≈ 20~23 MPa1/2程度を置くことがある。本ページの比較計算では便宜上δ = 21.0 MPa1/2を代表値として使用するが、これは特定グレードの実測値ではなく材料群の目安である。

SP値が近いほど溶解・膨潤しやすい傾向はあるが、TPEEでは結晶性ハードセグメント、ブロック構造、分子量、加水分解、酸化、溶剤拡散、応力、添加剤抽出などが支配的になる場合があるため、SP値だけで耐薬品性を決定してはならない。

溶解性の目安
SP値差 Δδ 溶解・膨潤の目安 判定
0~2 膨潤・軟化しやすい ×
2~5 条件により膨潤する
5~8 短時間接触では比較的安定
8以上 溶解・膨潤しにくい
SP値から見た耐溶剤性
薬品 SP値 δ [MPa1/2] TPEE代表δ=21.0との差 SP差評価 注意
アセトン 19.9 1.1 × SP差のみの一次スクリーニング。反応性・水素結合・加水分解・拡散・応力を別途考慮。
MEK 19.0 2.0 SP差のみの一次スクリーニング。反応性・水素結合・加水分解・拡散・応力を別途考慮。
酢酸エチル 18.2 2.8 SP差のみの一次スクリーニング。反応性・水素結合・加水分解・拡散・応力を別途考慮。
トルエン 18.2 2.8 SP差のみの一次スクリーニング。反応性・水素結合・加水分解・拡散・応力を別途考慮。
キシレン 17.8 3.2 SP差のみの一次スクリーニング。反応性・水素結合・加水分解・拡散・応力を別途考慮。
n-ヘキサン 14.9 6.1 SP差のみの一次スクリーニング。反応性・水素結合・加水分解・拡散・応力を別途考慮。
シクロヘキサン 16.8 4.2 SP差のみの一次スクリーニング。反応性・水素結合・加水分解・拡散・応力を別途考慮。
ジクロロメタン 20.2 0.8 × SP差のみの一次スクリーニング。反応性・水素結合・加水分解・拡散・応力を別途考慮。
クロロホルム 18.9 2.1 SP差のみの一次スクリーニング。反応性・水素結合・加水分解・拡散・応力を別途考慮。
エタノール 26.0 5.0 SP差のみの一次スクリーニング。反応性・水素結合・加水分解・拡散・応力を別途考慮。
IPA 23.5 2.5 SP差のみの一次スクリーニング。反応性・水素結合・加水分解・拡散・応力を別途考慮。
グリセリン 36.1 15.1 SP差のみの一次スクリーニング。反応性・水素結合・加水分解・拡散・応力を別途考慮。
47.8 26.8 SP差のみの一次スクリーニング。反応性・水素結合・加水分解・拡散・応力を別途考慮。

上表はSP値差だけから見た一次スクリーニングであり、実測耐薬品性の評価と一致しない場合がある。特に水、アルコール、酸、アルカリでは、水素結合や化学反応性が支配的である。最終選定では実液浸漬試験と、質量変化、体積変化、硬度、引張強さ、破断伸び、外観、応力割れを確認する。

環境応力割れ・ESC

TPEEはPCやPMMAほど典型的なESC材料ではないが、残留応力、圧入、切欠き、曲げ応力の存在下で、強溶剤や膨潤性薬品に接触すると亀裂が促進される場合がある。実部品では、実際の締結・変形状態を再現した治具を用い、薬液曝露下で亀裂発生時間と物性保持率を評価することが望ましい。

製法

TPEEは、テレフタル酸(PTA)またはジメチルテレフタレート(DMT)、1,4-ブタンジオール(BDO)、PTMG等の長鎖ジオールを主原料として、エステル化またはエステル交換と溶融重縮合により製造される。PBT系ハードセグメントとポリエーテルまたはポリエステル系ソフトセグメントを同一主鎖中に導入し、ブロック比率と分子量を制御することで硬度、融点、弾性、耐熱性、耐油性を調整する。

TPEEの代表的な製造工程

代表的な反応・工程
  • PTA+BDO系では、エステル化により水を除去しながらビスヒドロキシブチルテレフタレート系中間体を形成する。
  • DMT+BDO系では、エステル交換によりメタノールを除去しながら低分子オリゴマーを形成する。
  • PTMG等の長鎖ジオールを共存させ、減圧・高温下で重縮合して高分子量化する。
  • 重合後はストランド化、冷却、ペレット化し、用途に応じて耐熱安定剤、耐加水分解剤、難燃剤、耐候剤、着色剤、GF、摺動剤等をコンパウンドする。

代表的な概念式は「芳香族ジカルボン酸成分+短鎖ジオール+長鎖ジオール → ポリエステル系ブロック共重合体+低分子副生成物」と表せる。ただし、実際の反応経路、触媒、温度、真空度、添加順序、末端制御はメーカー・グレードで異なるため、単一の化学量論式へ固定しない。

詳細な利用用途

用途 適性 理由・注意点
ギア 消音・柔軟歯用途に有効。高荷重精密ギアはPOM/PBT等が有利。
軸受・ブッシュ 低荷重・柔軟摺動用途。摩擦・PV値は専用摺動グレードで確認。
ローラー 反発弾性・耐摩耗性を活用できる。
シール・ガスケット 耐油性は良いが圧縮永久ひずみと高温加水分解を確認。
Oリング 熱可塑性で圧縮永久ひずみに限界。通常は架橋ゴム優位。
チューブ・ホース 耐屈曲、耐油、低温柔軟性を活かす代表用途。
配管 可撓配管に適するが圧力・温度・薬液条件を評価。
フィルム・シート 柔軟フィルム・透湿用途等の専用グレードがある。
ボトル・容器 ブロー可能だがコスト・バリア・剛性で他材優位の場合。
電気コネクタ シール・ストレインリリーフ等に有効。難燃・CTIを確認。
絶縁部品 電気絶縁性は良好。吸湿・温度・難燃要求を確認。
電子部品筐体 柔軟性が必要な筐体に限定。
透明カバー 透明化グレードはあるが一般材は半透明~不透明。
自動車内装 触感・耐疲労性を活用。VOC、耐候、難燃を確認。
自動車外装 耐候安定グレードを選択。塗装性・UVを確認。
エンジンルーム部品 耐熱・耐油グレードで代表用途。熱水・蒸気は注意。
燃料系部品 耐燃料性は比較的良いがアルコール混合燃料・透過を評価。
食品機械部品 適合グレードで可能。洗浄薬品・熱水条件を確認。
医療機器部品 医療グレードがある。滅菌・生体適合性は個別確認。
半導体製造装置部品 低アウトガス・薬液耐性要求が高く、PFA/PEEK等が優位な場面が多い。
真空装置部品 アウトガス評価が必要。
建築部材 防振・シール・膜材で使用可能。耐候安定化を確認。
屋外部品 耐候グレードで使用可能。
接着剤 × TPEE自体は通常成形材料。反応性接着剤とは別。
塗料・コーティング 溶液/分散設計された特殊ポリエステルエラストマーは別体系。
複合材料マトリックス GF等の強化グレードや他材との複合化が可能。
注意点・劣化・故障モード
劣化現象 主な原因 発生しやすい条件 影響 予防策 推奨確認試験
加水分解 エステル結合の加水分解 高温高湿、熱水、蒸気、乾燥不足での溶融 分子量低下、伸び・強度低下、脆化 十分な乾燥、耐加水分解グレード、温度低減 85℃/85%RH、熱水浸漬後の引張保持率
熱酸化劣化 酸素存在下の高温曝露 高温長期、薄肉 硬化、亀裂、変色 耐熱安定剤、使用温度低減 熱老化後の引張・伸び・硬度
紫外線劣化 光酸化 屋外、無着色 退色、表面亀裂、物性低下 UV安定グレード、黒色化 キセノン/UV促進耐候
膨潤・溶剤攻撃 溶剤の吸収 SP近接溶剤、塩素系溶剤 軟化、寸法変化 薬液選定、バリア設計 実液浸漬、質量・寸法・硬度変化
環境応力割れ 薬品+残留/外部応力 切欠き、圧入、曲げ応力 亀裂、破断 応力低減、R付与、アニール検討 曲げ治具+薬液曝露試験
クリープ 粘弾性変形 高温、長期荷重 永久変形、シール低下 荷重低減、硬度アップ、形状補強 実温度・実応力で1000h以上
疲労破壊 繰返しひずみ ブーツ、ベルト、ヒンジ 亀裂進展 ひずみ低減、適正硬度 屈曲疲労、繰返し回数評価
添加剤抽出/ブリード 油・洗浄剤・高温 長期液接触 表面変化、性能低下 低抽出グレード 抽出量、重量変化、分析
アウトガス 低分子成分・熱分解物 真空、高温 汚染、曇り 低アウトガス材、予備ベーク TML/CVCMまたは用途別分析
滅菌劣化 蒸気、放射線、薬剤 反復滅菌 脆化、変色 医療グレード選定 実滅菌サイクル反復試験
推奨確認試験
  • 実薬品浸漬試験:実液濃度、23℃・60℃・80℃等の実温度、24h~1000hを用途寿命に合わせて設定する。
  • 高温高湿・加水分解試験:85℃/85%RHまたは実使用条件で、引張強さ、伸び、硬度、分子量、外観を追跡する。
  • 熱水・冷却液試験:80~120℃、実冷却液濃度で質量・寸法・物性保持率を確認する。
  • クリープ・応力緩和試験:実部品応力と実温度で1000h以上を基本に、シール荷重や変形量を評価する。
  • 屈曲疲労試験:ブーツ、ホース、ベルト等では実ひずみ、温度、回数、油曝露を組み合わせる。
  • UV促進耐候試験:屋外用途ではキセノンまたはUV照射後の色差、表面亀裂、引張保持率を確認する。
  • 接着・溶着強度試験:相手材、表面処理、温湿度、老化後の強度を確認する。
  • 実成形試験:乾燥条件、滞留、金型温度、成形収縮、ウェルド、反り、外観、分子量低下を確認する。
法規制・認証
法規制・認証 一般的な扱い 注意
RoHS 一般に対応可能 特定禁止物質の意図的添加有無は個別SDS・証明書で確認。
REACH / SVHC 一般に対応可能 SVHC候補物質・Annex XVII等はグレードごとに最新証明書確認。
ELV 適合グレードが存在 自動車用途では材料宣言・IMDS等を個別確認。
PFAS関連規制 グレード依存 フッ素系加工助剤や摺動添加剤を含むグレードでは特に確認。
TSCA 供給地域・グレード依存 米国向けはインベントリ・用途制限を確認。
Proposition 65 グレード依存 顔料・難燃剤・添加剤で差。
EU食品接触規則 適合グレードが存在 EU 10/2011等の適合宣言・使用条件を確認。
FDA食品接触用途 適合グレードが存在 21 CFRの適用条項・温度・食品種別を確認。
日本の食品衛生法/ポジティブリスト 適合グレードが存在 製品・添加剤・使用条件をメーカー証明書で確認。
USP Class VI / ISO 10993 医療グレードで対応例 材料名のみで生体適合を断定しない。完成品評価が必要。
UL認証 多数の認定グレードあり UL94、RTI、CTI等は厚さ・色・グレードごとに確認。
ハロゲンフリー 対応グレードあり 難燃グレードでも組成を確認する。
ISCC PLUS等 一部バイオ/マスバランス製品で例あり 認証範囲・拠点・チェーンオブカストディを確認。

規制適合は、メーカー、グレード、色、添加剤、製造拠点、用途、接触条件、使用温度によって異なる。材料名だけでRoHS、REACH、FDA、食品衛生法、USP Class VI、ISO 10993、UL等への適合を断定せず、採用グレードの最新証明書を確認する。

環境・リサイクル性・価格・供給性
項目 評価 内容
熱可塑性/熱硬化性 熱可塑性 再溶融加工が可能。
マテリアルリサイクル 同一系統・汚染が少ないスクラップは再利用可能。熱履歴で分子量低下に注意。
ケミカルリサイクル ポリエステル結合の解重合は技術的可能性があるが、TPEEの混合セグメント・添加剤分離が課題。
サーマルリサイクル 通常の炭化水素系高分子と同様に熱回収可能。燃焼条件・添加剤を確認。
再生材利用 可能 反復溶融で加水分解・熱酸化による物性低下が起こり得る。
バイオベース 一部製品あり バイオ由来原料比率は製品ごとに異なる。
生分解性 一般には該当しない バイオベースと生分解性を混同しない。
ハロゲン含有 基本骨格には含まない 難燃剤・摺動剤等の添加剤は別途確認。
価格区分 比較的高価格 汎用TPE・PP等より高いが、耐久性・工程削減を含め総コストで評価する。
国内入手性 良好 複数の国内外メーカー・商社から入手可能。特殊グレードはMOQ・納期を確認。

関連材料との比較

比較材料 特徴 TPEEとの違い
熱可塑性ポリウレタン(TPU) 耐摩耗性、引張強さ、弾性、透明性に優れるTPE。 TPEEは耐熱・耐油・屈曲疲労で有利な場合が多い。TPUは表面耐摩耗や軟質透明性で有利な場合がある。
熱可塑性ポリアミドエラストマー(TPAE/PEBA) 低温柔軟性、軽量性、反発弾性に優れる。 TPAEは低温・軽量で有利な場合、TPEEは耐熱・耐油・成形安定で有利な場合がある。
熱可塑性オレフィン(TPO) 軽量、耐候、耐水、比較的低コスト。 TPEEは機械強度、耐油、耐屈曲、耐熱で優位なことが多いが比重・価格は高い。
SEBS 柔軟性、触感、耐候、低温性に優れる。 SEBSは低硬度化しやすい。TPEEは耐油、耐熱、動的疲労で有利。
EPDMゴム 耐候、耐オゾン、耐水、圧縮永久ひずみに優れる加硫ゴム。 TPEEは熱可塑性で再成形可能、複雑成形に有利。EPDMは長期シール性・蒸気耐性で優位な場合。
PBT 高剛性・寸法安定性に優れる結晶性エンプラ。 TPEEのハードセグメントに近い骨格を持つが、TPEEはソフトセグメントにより柔軟・弾性化される。
PET 高強度、フィルム・ボトル用途が大きい芳香族ポリエステル。 TPEEはエラストマー性・低温柔軟性・屈曲疲労を重視する用途向け。

代表的なメーカー

メーカー 代表製品・ブランド 概要
Celanese Hytrel® 代表的な熱可塑性コポリエステルエラストマーブランド。自動車、電気電子、工業、チューブ、フィルム等で使用される。
東洋紡エムシー PELPRENE®(ペルプレン) 国内代表ブランド。標準、耐熱、難燃、透明・加飾等の展開例がある。
Envalior Arnitel® TPC-ET系。射出、押出、フィルム、電線、自動車、消費材等に広いグレード展開がある。
SK chemicals SKYPEL® 熱可塑性ポリエステルエラストマー。射出・押出グレード等を展開する。
LG Chem KEYFLEX® BT TPEE系ブランド。自動車・電気電子・工業用途向けグレードを展開。
Chang Chun Plastics TPEE PTA/DMT、BDO、ポリエーテルジオールを基礎とするTPEE材料を展開。

ブランド、製造会社、事業移管、供給地域は変更される場合がある。採用時にはメーカーの最新製品一覧、TDS、SDS、UL認証、食品・医療適合書を確認する。

関連キーワード

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