概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | 液状シリコーンゴム |
| 略記号 | LSR(Liquid Silicone Rubber)。液状射出成形システムはLIM又はLIMSと呼ばれることがある。 |
| IUPAC | 主成分はpoly(dimethylsiloxane)。LSR配合物全体は、架橋剤、補強材、触媒等を含むため単一IUPAC名では表しにくい。 |
| 英語名 | Liquid Silicone Rubber / Liquid Silicone Elastomer |
| 日本語名 | 液状シリコーンゴム、液状シリコーン、液状シリコーンエラストマー、液状VMQ |
| 分類 | 熱硬化性エラストマー、ポリシロキサン系合成ゴム、一般に二液付加硬化型材料 |
| プラスチック分類 | 一般的な熱可塑性プラスチック、エンプラ又はスーパーエンプラではなく、架橋によりゴム弾性を発現する熱硬化性エラストマーである。 |
| 化学式・代表構造 | 代表主鎖:[-Si(CH3)2-O-]n。ビニル基含有PDMSとSi-H含有シロキサンを白金触媒で付加架橋する。 |
| CAS No. | 63148-62-9(PDMSの代表CAS)。ビニル末端PDMS、架橋剤及び配合物は別CAS又は混合物として扱われる。 |
| 構造・主成分 | ビニル基含有PDMS、補強性シリカ、メチルハイドロジェンシロキサン、白金触媒、反応抑制剤、顔料及び機能性添加剤。 |
| 主な用途 | Oリング、ガスケット、コネクターシール、ダイヤフラム、キーパッド、医療部品、乳幼児用品、食品接触部品、光学部品、電気絶縁部品、一体成形部品。 |
液状シリコーンゴム(LSR)は、流動性を持つ二液型シリコーンゴム配合物を定量混合し、加熱金型内で架橋して得られる熱硬化性エラストマーである。一般的な付加硬化型LSRでは、ビニル基含有ポリジメチルシロキサンとSi-H基含有シロキサンを白金触媒で反応させ、低分子副生成物をほとんど生じない三次元網目を形成する。
高流動性と高速硬化性を利用し、複雑形状、薄肉、微細形状、バリを抑えた精密部品、熱可塑性樹脂又は金属との一体成形に適する。物性は硬度、補強性シリカ、架橋密度、ポストキュア、フィラー及び添加剤により大きく変わるため、材料群の代表値と特定グレードの保証値を区別する必要がある。
実使用では、グレード、温度、薬品濃度、荷重、圧縮率、応力、湿度、使用時間、滅菌回数、試験片形状及び成形条件を確認し、実部品で評価することが重要である。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 長所 | 広い温度範囲で弾性を保持しやすく、耐候性、耐オゾン性、電気絶縁性、離型性、透明性、生体適合用途への展開性に優れる。高流動性により微細・薄肉形状へ充填しやすい。 |
| 短所 | 引裂強さ及び耐摩耗性は高強度有機ゴムやTPUより劣る場合がある。燃料、鉱油、芳香族炭化水素及び塩素系溶剤で膨潤しやすい。未硬化時は白金触媒毒に注意を要する。 |
| 外観 | 一般に透明から半透明である。顔料、難燃剤、熱伝導フィラー、導電フィラーにより白色、黒色、着色、不透明となる。 |
| 耐熱性 | 標準品の連続使用温度は一般に約150~200℃が目安である。短時間では200℃超に耐えるグレードもあるが、圧縮永久ひずみ、揮発分、強度保持を確認する。 |
| 低温性 | 一般に-50℃以下でも柔軟性を保持しやすく、フェニル変性品ではさらに低温性が向上する場合がある。 |
| 耐薬品性 | 水、希薄酸・アルカリ、アルコール、多価アルコールには比較的良好である。炭化水素油、燃料、芳香族溶剤、ハロゲン化溶剤では膨潤に注意する。 |
| 加工性 | A/B二液を定量混合し、冷却した射出部から加熱金型へ注入する。自動化、バリ低減、短サイクル化に適するが、専用供給装置と精密な温度管理が必要である。 |
| 分類上の注意 | 液状シリコーンにはRTV、シリコーンゲル、シリコーンオイル、液状樹脂も含まれ得る。本ページは主として射出成形用二液付加硬化型LSRを対象とする。 |
構造式
代表的な付加硬化型LSRは、ビニル末端又はビニル側鎖を持つPDMSと、Si-H基を持つメチルハイドロジェンシロキサンを白金触媒でヒドロシリル化し、Si-C-C-Si架橋を形成する。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 代表的な構造単位 | -Si(CH3)2-O- |
| 主鎖 | Si-O-Siからなるシロキサン骨格 |
| 主剤 | ビニル基含有ポリジメチルシロキサン |
| 架橋剤 | Si-H基含有メチルハイドロジェンシロキサン |
| 触媒 | 白金錯体触媒が代表的 |
| 補強材 | 表面処理したヒュームドシリカ又は沈降シリカ |
| 変性例 | フェニル変性、フルオロ変性、自己接着、導電、熱伝導、難燃、低揮発、医療用途向け等 |
種類・代表グレード
| 種類・グレード区分 | 主成分又は特徴 | 長所 | 短所・注意点 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 標準・汎用 | 一般的な二液付加硬化型LSR | 物性、成形性、透明性のバランスが良い | 耐油・耐燃料性は限定的 | シール、日用品、電気部品 |
| 低硬度 | 低架橋密度又は柔軟配合 | 柔軟、低荷重シール、触感性 | 引裂・寸法安定性が低下しやすい | 乳首、ダイヤフラム、ウェアラブル |
| 高強度・高引裂 | 補強性シリカと架橋設計を最適化 | 薄肉、脱型、耐久性に有利 | 粘度上昇、型充填条件に注意 | 膜、バルブ、精密シール |
| 自己接着 | 接着付与成分を配合 | PC、PA、PBT、金属等との一体成形が可能なグレードがある | 基材、前処理、金型温度、触媒毒の影響が大きい | 二色成形、コネクター、センサー |
| 医療用途向け | 低揮発・生体適合評価を行った個別グレード | 医療・ヘルスケア用途へ展開可能 | 材料名だけでUSP Class VI又はISO 10993適合を断定できない | 呼吸器、カテーテル部品、バルブ |
| 食品接触用途向け | 食品接触規制への適合を想定した個別グレード | 臭気・溶出を管理しやすい | 国・温度・食品種別・接触時間を確認 | 調理器具、乳幼児用品、シール |
| 難燃 | 難燃フィラー・添加剤配合 | UL 94 V-0等を取得した個別グレードが存在 | 厚さ、色、認証ファイル単位で確認 | 電装シール、絶縁部品 |
| 熱伝導 | アルミナ等の熱伝導フィラーを高充填 | 放熱と柔軟性を両立 | 比重、粘度、引裂、金型摩耗が増加 | TIM、封止、放熱部品 |
| 導電・帯電防止 | カーボン又は導電フィラー配合 | 導電、ESD対策 | 黒色化、機械物性低下、接触抵抗変動 | 導電シール、接点周辺 |
| フルオロLSR | フッ素置換シロキサンを含む | 燃料・油への耐性向上 | 価格、低温性、加工性を個別確認 | 燃料系シール、自動車部品 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 理由・主な注意点 |
|---|---|---|
| 液状射出成形(LIM/LIMS) | ◎ | 最も代表的。二液定量混合、冷却ランナー、加熱金型、真空引きを用いる。 |
| 圧縮成形 | ○ | 試作、小ロット、単純形状に適用可能。計量と気泡管理が必要である。 |
| トランスファー成形 | ○ | インサート周辺への充填に適する場合がある。流路内硬化と材料ロスに注意する。 |
| 押出成形 | △ | 連続加硫型の液状材料はあるが、一般的な射出用LSRとは設備・粘度設計が異なる。 |
| ブロー成形 | × | 熱可塑性樹脂の溶融ブローのような加工には適さない。 |
| 真空成形・圧空成形 | × | 架橋後シートの再加熱賦形には一般に適さない。 |
| 回転成形 | △ | 特殊用途に限定される。反応・膜厚・気泡制御が必要である。 |
| 3Dプリント | △ | 専用材料・装置による積層が可能であるが、汎用射出成形ほど一般化していない。 |
| 切削加工 | △ | 軟質で変形しやすく寸法精度を得にくい。凍結又は専用治具を用いる場合がある。 |
| 接着 | △ | 低表面エネルギーのため、自己接着グレード、プライマー、プラズマ処理等を検討する。 |
| 印刷・塗装 | △ | 専用インク、コロナ・プラズマ処理、プライマーが必要となる場合が多い。 |
| インサート・二次成形 | ◎ | 自己接着グレードでは熱可塑性樹脂や金属との複合化に適する。 |
一般的な成形条件の目安
| 項目 | 単位 | 代表範囲 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 予備乾燥 | — | 原則不要 | 吸湿性は低いが、容器開放による汚染及び結露を避ける。 |
| A/B混合比 | 質量比 | 1:1 | 製品設計に従う。比率ずれは硬化不良の原因となる。 |
| 供給・計量部温度 | ℃ | 15~25 | 早期硬化を防ぐため冷却する。 |
| 金型温度 | ℃ | 120~200 | 低温では硬化時間増加、高温ではスコーチ・接着・バリに注意。 |
| 射出圧力 | MPa | 20~100 | 粘度、ゲート、肉厚、真空度により調整。 |
| 保圧 | MPa | 5~50 | 収縮、ボイド、バリを見ながら調整。 |
| 硬化時間 | s | 10~180 | 肉厚、金型温度、触媒系に依存。 |
| 成形収縮率 | % | 2.0~4.0 | 流動方向、肉厚、ポストキュア、フィラーで変動。 |
| 推奨肉厚 | mm | 0.2~10 | 薄肉対応性は高いが、流動長とベントを確認。 |
| ポストキュア | ℃×h | 150~200×2~4 | 低揮発、臭気、圧縮永久ひずみ改善のため採用する場合がある。不要グレードもある。 |
| 滞留時間 | — | 最小化 | 混合後材料の高温部滞留を避ける。 |
接合・表面処理適性
| 方法 | 適性 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 自己接着LSRによる一体成形 | ◎ | 基材樹脂、金属表面、金型温度、保持時間、離型剤残留を確認する。 |
| プライマー接着 | ○ | 専用プライマーを薄く均一塗布し、乾燥条件と耐久性を確認する。 |
| プラズマ・コロナ処理 | ○ | 処理効果の時間減衰があるため、処理後の接着時間を管理する。 |
| シリコーン系接着剤 | ○ | 同系統材料として適合しやすいが、完全硬化と溶出を確認する。 |
| 瞬間接着剤 | △ | 専用プライマー併用が必要な場合が多く、柔軟追従性に注意する。 |
| 機械締結 | △ | 軟質材のクリープ、締付け過多、局部応力を避ける。 |
| 溶剤接着 | × | 架橋LSRは一般的な溶剤溶着に適さない。 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下は非強化・標準グレードを中心とする材料群の代表値又は代表範囲であり、保証値ではない。比較用代表値は数値として扱いやすい形式とし、規格、温度、材料状態、備考を分離した。
| 項目 | 単位 | 比較用代表値 | 代表範囲 | 試験規格 | 試験温度 ℃ |
材料状態 | 備考 | 信頼度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm3 | 1.08 | 1.05~1.20 | ISO 1183相当 | 23 | 標準LSR | 補強シリカ量、顔料、フィラーで変動。低密度・発泡品は別扱い。 | A |
| 比重 | 無次元 | 1.08 | 1.05~1.20 | 代表値、規格不明 | 23 | 標準LSR | 密度とほぼ同値として扱う。 | B |
| 硬度 | Shore A | 40 | 10~80 | ISO 48-4 / ASTM D2240相当 | 23 | 標準LSR | 選定上の主要指標。 | A |
| 引張強さ・破断 | MPa | 8.0 | 4~11 | ISO 37相当 | 23 | 標準LSR | 硬度及び補強設計で変動。 | A |
| 引張破断伸び | % | 650 | 300~1000 | ISO 37相当 | 23 | 標準LSR | 低硬度品ほど高い傾向。 | A |
| 引裂強さ | kN/m | 25 | 10~50 | ASTM D624 / ISO 34相当 | 23 | 標準LSR | 試験片形状で値が大きく変わる。 | A |
| 100%モジュラス | MPa | 1.2 | 0.4~3.0 | ISO 37相当 | 23 | 標準LSR | 硬度・架橋密度に依存。 | B |
| 圧縮永久ひずみ | % | 20 | 5~35 | ISO 815相当 | 150 | 22 h、標準LSR | 圧縮率及びポストキュア条件を確認。 | A |
| 成形収縮率 | % | 2.5 | 2.0~4.0 | メーカー法 | 150 | 流動方向の目安 | 金型、肉厚、ポストキュアで変動。 | A |
| ガラス転移温度 | ℃ | -120 | -125~-110 | DSC/DMA | — | PDMS系 | 明確な単一点ではなく測定法依存。 | B |
| 連続使用温度 | ℃ | 180 | 150~200 | 長期熱老化の目安 | — | 標準LSR | 荷重、空気、密閉、蒸気、薬品で低下し得る。 | B |
| 短時間耐熱温度 | ℃ | 230 | 200~250 | 代表値、規格不明 | — | 標準LSR | 時間及び強度保持率を個別確認。 | C |
| 低温使用限界 | ℃ | -50 | -60~-40 | 代表値、規格不明 | — | 標準LSR | 低温シール性は圧縮率と硬度に依存。 | B |
| 熱伝導率 | W/(m・K) | 0.20 | 0.15~0.30 | ISO 22007相当 | 23 | 標準LSR | 熱伝導グレードでは1~数W/(m・K)以上の場合がある。 | B |
| 線膨張係数 | 10-5/K | 25 | 20~35 | TMA | — | 標準LSR | フィラー充填品では低下。 | C |
| 吸水率・24時間 | % | 0.2 | 0.1~0.5 | ASTM D570相当 | 23 | 標準LSR | 透湿性は高めであり、吸水率だけでバリア性を判断しない。 | C |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1×1015 | 1×1014~1×1016 | IEC 60093相当 | 23 | 絶縁グレード | 湿度、充填材で変動。 | B |
| 絶縁破壊強さ | kV/mm | 20 | 15~30 | IEC 60243相当 | 23 | 絶縁グレード | 厚さ及び電極条件に依存。 | B |
| 比誘電率・1 MHz | 無次元 | 3.0 | 2.7~3.3 | IEC 60250相当 | 23 | 絶縁グレード | 周波数と温湿度を明記して比較する。 | B |
| 誘電正接・1 MHz | 無次元 | 0.003 | 0.001~0.01 | IEC 60250相当 | 23 | 絶縁グレード | 配合、周波数、温湿度で変動。 | C |
改質・機能性グレードの傾向
| グレード | 代表的な改質 | 物性への主な影響 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 熱伝導LSR | アルミナ、窒化物等を高充填 | 熱伝導率上昇、比重・硬度上昇 | 粘度、引裂、金型摩耗、沈降を確認。 |
| 導電LSR | カーボンブラック、金属又は導電フィラー | 体積抵抗率低下、ESD又は導電性付与 | 黒色化、伸び・引裂低下、接触抵抗変動。 |
| 難燃LSR | 難燃フィラー、難燃設計 | UL 94 V-0等の取得グレードが存在 | 認証は厚さ、色、グレード、製造拠点単位で確認。 |
| フルオロLSR | フルオロシリコーン成分 | 耐燃料・耐油性向上 | 価格上昇、低温性・加工性を個別確認。 |
| 低密度LSR | 中空フィラー又は発泡設計 | 密度低下、軽量化 | 強度、収縮、表面外観が変化。 |
燃焼性・難燃性
| 項目 | 一般的傾向 | 注意点 |
|---|---|---|
| UL 94 | 一般LSRの等級はグレード依存。V-0等を取得した難燃グレードが存在する。 | 試験片厚さ、色、ULファイル及び製造拠点を確認する。 |
| 限界酸素指数(LOI) | 一般に約25~35%の範囲が目安とされるが、配合依存が大きい。 | 代表範囲であり、比較には同一規格の実測値を用いる。 |
| 燃焼時発生物 | 主にシリカ、二酸化炭素、水蒸気等を生じ得る。条件により低分子シロキサン等も発生する。 | 換気、煙、添加剤由来成分を個別SDSで確認する。 |
| ハロゲン | 標準PDMS骨格はハロゲンを含まない。 | フルオロLSR、難燃添加剤、顔料等は別途確認する。 |
耐薬品性
耐薬品性は、薬品濃度、温度、接触時間、浸漬又は短時間接触、応力、圧縮率、硬度、フィラー及びポストキュア条件により変化する。以下は標準LSR硬化物の一般的な目安である。
| 薬品名 | 濃度 | 温度 | 接触条件 | 応力 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | — | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ◎ | 影響小 | 温水・蒸気では透過、圧縮永久ひずみ、加水分解性添加剤を確認。 |
| 温水 | — | 80℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 膨潤・物性変化は比較的小さい | 高温長期では抽出物とシール荷重保持を確認。 |
| 水蒸気 | — | 121~134℃ | 滅菌サイクル | 圧縮あり得る | △ | 物性低下、圧縮永久ひずみ | 医療グレードでも繰返し回数を実測する。 |
| 塩酸 | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 表面変化は小さい傾向 | 高濃度・高温では実測する。 |
| 硫酸 | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 影響小~中 | 濃硫酸及び高温は別評価。 |
| 酢酸 | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 軽微な膨潤の可能性 | 濃度・温度依存。 |
| 水酸化ナトリウム | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 影響小~中 | 高温濃厚アルカリではSi-O骨格への影響を確認。 |
| アンモニア水 | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 影響小~中 | 高温・長期条件は確認。 |
| エタノール | 100% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 軽微な膨潤又は抽出 | 医療・食品用途では溶出も確認。 |
| IPA | 100% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 軽微な膨潤 | 繰返し洗浄条件を確認。 |
| グリセリン | 100% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ◎ | 影響小 | 高温条件では実測。 |
| MMB(3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール) | 100% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | △ | 膨潤の可能性 | 総SP値だけでなく水素結合性を考慮。 |
| アセトン | 100% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | △ | 膨潤・抽出 | 短時間拭取りと長期浸漬を区別。 |
| MEK | 100% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | △ | 膨潤・軟化 | 実使用条件で評価。 |
| 酢酸エチル | 100% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | × | 大きな膨潤の可能性 | 接着剤溶剤として接触する場合に注意。 |
| トルエン | 100% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | × | 著しい膨潤 | 非極性芳香族溶剤は不適となりやすい。 |
| キシレン | 100% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | × | 著しい膨潤 | 長期接触を避ける。 |
| n-ヘキサン | 100% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | × | 著しい膨潤 | 脂肪族炭化水素でも膨潤しやすい。 |
| 鉱油 | — | 100℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | △ | 膨潤、硬度低下 | 油種、粘度、添加剤、温度で差が大きい。 |
| ガソリン | — | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | × | 膨潤、抽出 | フルオロLSR又はFKMを検討。 |
| エチレングリコール水溶液 | 50% | 100℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 比較的良好 | 冷却液添加剤を含めて評価。 |
| 塩化メチレン | 100% | 23℃ | 24 h浸漬 | 無応力 | × | 著しい膨潤 | ハロゲン化溶剤は不適となりやすい。 |
| 次亜塩素酸ナトリウム | 0.1%有効塩素相当 | 23℃ | 24 h | 無応力 | ○ | 変色・表面変化の可能性 | 濃度、pH、温度、繰返し回数を確認。 |
| 過酸化水素水 | 3% | 23℃ | 24 h | 無応力 | ○ | 酸化影響は比較的小さい | 高濃度・高温・金属触媒共存は実測。 |
SP値(溶解度パラメータ)
PDMS系硬化物の代表的なSP値(δ)は、約15.0~16.0 MPa1/2が目安である。ただし、LSRは架橋体であり、溶解せずに膨潤する場合が多い。補強性シリカ、架橋密度、抽出可能な低分子、温度及び溶剤のHansen三成分を考慮する必要がある。
| 材料・溶剤 | SP値 δ MPa1/2 |
LSRとの関係 |
|---|---|---|
| LSR / PDMS硬化物 | 15.0~16.0 | 低極性。架橋密度とシリカ充填で見かけの膨潤挙動が変わる。 |
| n-ヘキサン | 14.9 | 差が小さく膨潤しやすい。 |
| 鉱油 | 約15~17 | 油種により差が大きい。 |
| トルエン | 18.2 | 膨潤しやすい。 |
| 酢酸エチル | 18.2 | 膨潤しやすい。 |
| MEK | 19.0 | 条件により膨潤。 |
| アセトン | 20.0 | 条件により膨潤。 |
| IPA | 23.5 | 比較的差が大きい。 |
| エタノール | 26.0 | 比較的差が大きい。 |
| 水 | 47.9 | SP差は大きいが、透湿性や界面挙動は別評価。 |
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
上表は熱可塑性高分子に用いられる簡易目安をLSRの膨潤傾向へ適用したものである。架橋体では「溶解しない」ことと「寸法・硬度・シール性を維持する」ことは同義ではない。SP値差だけで耐薬品性を決定してはならない。
SP値から見た耐溶剤性
| 溶剤 | SP値 δ MPa1/2 |
LSR代表値との差 | 簡易評価 | 実務上の注意 |
|---|---|---|---|---|
| n-ヘキサン | 14.9 | 0.6 | × | 著しい膨潤が起こりやすい。 |
| 鉱油 | 15~17 | 0~2 | × | 油種と温度で膨潤量が大きく変わる。 |
| トルエン | 18.2 | 2.7 | △ | 実際には大きく膨潤し、不適となる場合が多い。 |
| 酢酸エチル | 18.2 | 2.7 | △ | 架橋密度と接触時間を含め実測する。 |
| MEK | 19.0 | 3.5 | △ | 膨潤・抽出の可能性。 |
| アセトン | 20.0 | 4.5 | △ | 短時間拭取りと浸漬を区別。 |
| IPA | 23.5 | 8.0 | ◎ | 一般に比較的良好だが、繰返し洗浄は確認。 |
| エタノール | 26.0 | 10.5 | ◎ | 一般に比較的良好。溶出は別評価。 |
| 水 | 47.9 | 32.4 | ◎ | 膨潤は小さいが透湿性と蒸気耐久は別評価。 |
製法
LSRの主ポリマーは、ジメチルシロキサン環状オリゴマー等を原料として開環平衡重合し、末端又は側鎖へビニル基を導入して製造する。主剤へ補強性シリカ、表面処理剤、反応抑制剤、顔料等を混練し、A剤には主に白金触媒、B剤には主にSi-H架橋剤を分離して配合する。使用時にA/Bを定量混合し、加熱金型内でヒドロシリル化により架橋する。

代表的な反応式
≡Si-CH=CH2 + H-Si≡ →(白金触媒・加熱)→ ≡Si-CH2-CH2-Si≡
| 工程 | 内容 | 管理上の注意 |
|---|---|---|
| ポリマー合成 | 環状シロキサンの開環平衡重合、分子量調整、ビニル基導入 | 低分子シロキサン量、粘度、末端基濃度を管理。 |
| 補強コンパウンド | PDMSへ補強性シリカを混練し、必要に応じて表面処理 | 粘度、分散、透明性、チキソ性を管理。 |
| A剤調製 | 白金触媒、抑制剤、顔料等を配合 | 触媒毒となる硫黄、リン、アミン、錫等の混入を防止。 |
| B剤調製 | Si-H架橋剤、抑制剤等を配合 | A剤との誤混合、湿気、異物を防止。 |
| 脱泡・ろ過 | 真空脱泡、異物除去 | 気泡、ゲル、金属異物を管理。 |
| 包装 | ペール、ドラム、カートリッジ等へA/B別包装 | 温度、遮光、保管期限、先入先出を管理。 |
| 成形 | 1:1定量混合後、加熱金型へ射出し硬化 | 混合比、金型温度、真空、ゲート、ベントを管理。 |
| ポストキュア | 必要に応じて加熱処理 | 揮発分、臭気、圧縮永久ひずみ、食品・医療要求を確認。 |
品質・成形不良
| 不良 | 材料側の主因 | 成形条件側の主因 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| 硬化不良 | 触媒毒、混合比ずれ、架橋剤不足、保管劣化 | 金型温度不足、硬化時間不足、低温部残留 | A/B比確認、汚染源除去、温度・時間再設定。 |
| 気泡・ボイド | 材料への空気巻込み、揮発分 | 真空不足、高速射出、ベント不足 | 脱泡、真空引き、射出速度とベント改善。 |
| バリ | 低粘度、硬化遅延 | 型締不足、パーティング面不良、射出過多 | 金型精度、型締力、保圧、硬化速度を調整。 |
| ショートショット | 高粘度、低流動 | 金型温度不適、射出量不足、ゲート過小 | 材料温度・射出条件・ゲート・ベントを見直す。 |
| 焼け・変色 | 顔料・添加剤の熱安定性不足 | 局所過熱、長時間滞留、金型温度過大 | 滞留短縮、温度均一化、材料変更。 |
| 接着不良 | 自己接着成分不足、基材不適合 | 基材汚染、金型温度不足、離型剤残留 | 洗浄、前処理、プライマー、接着グレード選定。 |
| 離型不良・裂け | 引裂強さ不足、硬化不足 | アンダーカット、離型勾配不足、脱型温度不適 | 硬化条件、金型設計、離型方法を改善。 |
| 寸法ばらつき | 粘度・架橋性ばらつき | 計量誤差、温度ばらつき、ポストキュア差 | 供給校正、温調、工程条件を標準化。 |
注意点・劣化・故障モード
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 性能への影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 膨潤 | 炭化水素油、燃料、芳香族・塩素系溶剤の吸収 | 高温、長時間、低架橋密度 | 寸法増加、硬度低下、シール力低下 | フルオロLSR又はFKM検討、接触低減 | 実薬品浸漬、体積・質量・硬度・引張変化 |
| 圧縮永久ひずみ | 高温下での長期圧縮、硬化不足 | 高温、過大圧縮、長時間 | シール復元力低下、漏れ | 適正硬度、ポストキュア、圧縮率最適化 | ISO 815相当、実温度・圧縮率・時間 |
| 熱酸化劣化 | 高温空気中の主鎖・側鎖劣化 | 200℃近傍以上、金属触媒共存 | 硬化、脆化、伸び低下 | 耐熱グレード、温度低減、金属汚染回避 | 熱老化後の引張・伸び・硬度 |
| 触媒毒による硬化阻害 | 硫黄、リン、アミン、錫、有機ゴム添加剤等 | 異材接触、汚染金型、手袋・離型剤 | 未硬化、べたつき、接着不良 | 材料隔離、適合試験、洗浄 | 接触硬化試験、DSC又はレオメータ |
| 低分子シロキサン・アウトガス | 残留環状体、未反応成分 | 高温、真空、密閉電装 | 曇り、接点障害、光学汚染 | 低揮発グレード、ポストキュア | TML/CVCM、GC-MS、フォギング試験 |
| 蒸気・滅菌劣化 | 高温水蒸気、繰返し圧縮 | 121~134℃、多数サイクル | 物性・色・圧縮永久ひずみ変化 | 医療グレード選定、サイクル実証 | オートクレーブ繰返し後物性 |
| UV・屋外劣化 | 紫外線、汚染物、顔料劣化 | 屋外長期、透明・淡色品 | 変色、表面変化 | 耐候顔料、実曝露 | キセノンアーク、屋外曝露 |
| 接着界面剥離 | 表面汚染、熱膨張差、接着不足 | 熱サイクル、湿熱、薬品接触 | 複合部品の剥離・漏れ | 基材選定、前処理、界面設計 | 剥離強度、熱サイクル、高温高湿 |
法規制・認証
| 項目 | 一般的な位置付け | 確認事項 |
|---|---|---|
| RoHS / REACH / SVHC | 適合可能なグレードが広く存在する。 | 材料名だけで断定せず、色、添加剤、製造拠点、最新版証明書を確認。 |
| EU食品接触 / FDA 21 CFR 177.2600 | 食品接触用途向け適合グレードが存在する。 | 食品種、温度、接触時間、抽出条件、ポストキュア要否を確認。 |
| 日本の食品衛生法・ポジティブリスト | 適合を想定したグレードが存在する。 | 対象器具・容器包装、使用温度、事業者証明を確認。 |
| USP Class VI / ISO 10993 | 医療用LSRの一部で評価済みグレードが存在する。 | 最終製品の生物学的安全性、滅菌、抽出物・溶出物は別途評価。 |
| UL 94 / UL認証 | 難燃・電気用途向け認証グレードが存在する。 | 認証ファイル、厚さ、色、用途区分を確認。 |
| PFAS関連規制 | 標準PDMSはフッ素を含まないが、フルオロLSRはフッ素系である。 | 用途地域の定義、対象物質、含有意図、サプライヤー声明を確認。 |
| 医療機器用途 | 材料選定可能であるが、材料適合と最終製品認証は別である。 | ISO 10993、滅菌、粒子、抽出物、トレーサビリティ、変更管理を確認。 |
環境・リサイクル性
| 項目 | 評価・説明 |
|---|---|
| 熱可塑性/熱硬化性 | 架橋後は熱硬化性であり、再溶融成形できない。 |
| マテリアルリサイクル | 成形端材を粉砕し充填材として再利用する例はあるが、物性・外観・規制用途に制約がある。 |
| ケミカルリサイクル | シロキサンへ戻す技術検討はあるが、一般的な回収インフラは限定的。 |
| サーマルリサイクル | 燃焼条件を管理する。無機シリカ残渣、添加剤由来成分を考慮する。 |
| 再生材利用 | 医療・食品・高信頼性用途ではトレーサビリティと汚染管理上、使用が制限される場合が多い。 |
| 生分解性 | 一般に生分解性材料ではない。バイオベースと生分解性を混同しない。 |
| 識別表示 | 一般的な熱可塑性樹脂の樹脂識別コードへ一律に当てはめにくい。社内材質表示を用いる。 |
価格・供給性
| 項目 | 概略評価 | 説明 |
|---|---|---|
| 価格区分 | 比較的高価格~高価格 | 汎用ゴム、TPEより高い場合が多い。医療、自己接着、熱伝導、フルオロ品はさらに高い。 |
| 国内入手性 | 良好 | 主要シリコーンメーカー及び商社から入手可能である。 |
| 少量購入 | 条件付き | 試作用カートリッジ、小包装品はあるが、工業用標準包装はペール・ドラムが中心。 |
| 供給形態 | A/B二液 | ペール、ドラム、カートリッジ等。専用ポンプ設備との適合を確認。 |
| 特注色・特注グレード | 対応可能 | 最小購入量、色替え、承認期間、規制証明に注意。 |
詳細な利用用途
| 用途分野 | 具体例 | 適性 | 選定理由 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 自動車 | コネクターシール、グロメット、センサー膜、ランプシール | ◎ | 耐熱、耐候、低温、電気絶縁、自動成形 | 燃料・油接触、アウトガス、接着耐久を確認。 |
| 電気・電子 | 絶縁シール、キーパッド、封止、放熱部材 | ◎ | 絶縁性、耐熱性、柔軟性、難燃グレード | 低分子シロキサン、接点障害、UL認証を確認。 |
| 医療 | バルブ、膜、呼吸器部品、ウェアラブル、チューブ | ◎ | 透明性、柔軟性、滅菌対応グレード、生体適合評価 | ISO 10993、抽出物、滅菌サイクル、変更管理。 |
| 食品・乳幼児 | 乳首、調理器具、パッキン、バルブ | ◎ | 耐熱、柔軟、着色性、食品接触グレード | 臭気、溶出、ポストキュア、食品接触規制。 |
| 機械部品 | Oリング、ガスケット、ダイヤフラム | ○ | 広い温度域、圧縮復元性 | 摩耗、引裂、油・燃料膨潤に注意。 |
| 光学 | LEDレンズ、光学封止、導光部品 | ○ | 高透明グレード、耐熱、UV透過設計 | 黄変、屈折率、低分子、表面傷、金型精度。 |
| 建築・設備 | ガスケット、耐候シール、膜部品 | ○ | 耐候、耐オゾン、広い温度域 | 機械締結、長期圧縮、汚染付着を確認。 |
| 半導体・真空 | シール、柔軟部品 | △ | 低温性、絶縁性 | アウトガス、透過、粒子、プラズマ耐久を厳密評価。 |
用途別選定
| 用途 | 適性 | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| ギア・軸受・ブッシュ | × | 耐摩耗性と剛性が不足しやすい。 |
| ローラー | △ | 柔軟性は良いが、摩耗、粘着、膨潤を確認。 |
| シール・ガスケット・Oリング | ◎ | 主要用途。温度、圧縮率、薬品、透過性を確認。 |
| チューブ・ホース | ○ | 医療・食品用途に適するグレードがある。圧力、透過、キンクを確認。 |
| フィルム・膜 | ○ | 薄膜成形可能。引裂、ピンホール、透過を確認。 |
| 電気コネクタ | ◎ | 絶縁、耐熱、低温、自己接着グレードが有効。 |
| 電子部品筐体 | △ | 軟質で構造筐体には不向き。保護カバー・シール用途向け。 |
| 透明カバー・レンズ | ○ | 高透明グレードがある。表面傷、屈折率、黄変を確認。 |
| 自動車外装 | ○ | 耐候性良好。汚染、引裂、接着を確認。 |
| エンジンルーム部品 | ○ | 耐熱性良好。油・燃料接触ではフルオロLSR等を検討。 |
| 燃料系部品 | △ | 標準LSRは膨潤しやすい。フルオロLSR又はFKMを優先検討。 |
| 食品機械部品 | ◎ | 適合グレードを選び、温度、洗浄剤、溶出を確認。 |
| 医療機器部品 | ◎ | 医療グレードと最終製品評価が必要。 |
| 真空装置部品 | △ | アウトガス、透過、圧縮永久ひずみを確認。 |
| 接着剤・コーティング | △ | LSR成形材料としてではなく、専用液状シリコーン系材料を選定。 |
| 複合材料マトリックス | ○ | 柔軟複合材料、センサー、封止へ適用可能。界面接着を確認。 |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | LSRとの違い |
|---|---|---|
| シリコーンゴム | 固形又は液状を含むシリコーン系ゴムの総称 | LSRは液状二液材料を射出成形する点が特徴。個別ページ未確認時は既存LSRページへ誘導する。 |
| EPDM | 耐候、耐水、耐オゾンに優れる架橋ゴム | EPDMは一般に低コストで耐蒸気性に優れる場合があるが、LSRは低温性、透明性、電気特性、自動成形性に優れる。 |
| 熱可塑性エラストマー | 再溶融成形可能なエラストマー群 | TPEは再加工性と設備汎用性で有利。LSRは高温耐久、圧縮永久ひずみ、低温性で優れる場合がある。 |
| TPU | 高強度、高耐摩耗の熱可塑性エラストマー | TPUは耐摩耗・引張強度に優れる。LSRは耐熱、耐候、電気絶縁、低温性に優れる。 |
| スチレン系TPE | 柔軟、低コスト、二色成形に適する | TPSは低コストで熱可塑成形可能。LSRは長期耐熱と圧縮永久ひずみで有利。 |
| フッ素ゴム(FKM) | 耐油、耐燃料、耐薬品性に優れる架橋ゴム | FKMは燃料・油に優れる。LSRは低温性、透明性、電気絶縁、成形サイクルで有利な場合がある。 |
| 天然ゴム(NR) | 高弾性、高引裂、動的疲労に優れる | NRは機械強度で優れるが、LSRは耐熱、耐候、耐オゾン、電気特性で優れる。 |
比較用評価スコア
| 評価項目 | スコア 0~5 |
評価理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 3 | エラストマーとして標準~良好だが、TPUや高強度ゴムより低い場合がある。 |
| 剛性 | 1 | 軟質エラストマーであり、構造剛性用途には不向き。 |
| 衝撃強度 | 4 | 大変形を吸収し、低温でも弾性を保ちやすい。 |
| 耐熱性 | 5 | 一般的なエラストマーの中で非常に優れる。 |
| 低温特性 | 5 | PDMSの低いTgにより非常に優れる。 |
| 耐薬品性 | 3 | 水・極性液体には良いが、油・燃料・炭化水素溶剤に弱い。 |
| 耐候性 | 5 | 紫外線、オゾン、屋外曝露に優れる。 |
| 耐加水分解性 | 4 | 主鎖は比較的安定だが、高温蒸気や強酸・強アルカリは確認が必要。 |
| 寸法安定性 | 3 | 吸水は低いが、成形収縮と熱膨張は大きい。 |
| 低吸水性 | 5 | 吸水率は低い。透湿性は別評価。 |
| 摺動性 | 2 | 自己潤滑品はあるが、一般品の耐摩耗性は高くない。 |
| 電気絶縁性 | 5 | 広い温度域で良好。 |
| 難燃性 | 3 | 一般品はグレード依存。難燃認証グレードが存在。 |
| 透明性 | 5 | 高透明グレードを設計可能。 |
| 成形加工性 | 4 | 専用設備が必要だが、自動化・薄肉・精密成形に優れる。 |
| 切削加工性 | 1 | 軟質で変形しやすく不向き。 |
| 接着性 | 2 | 未処理では低い。自己接着品と表面処理で改善可能。 |
| リサイクル性 | 1 | 架橋後は再溶融できない。 |
| 価格優位性 | 2 | 汎用ゴム・TPEより高価な場合が多い。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 信越化学工業 | KE-1950シリーズ、各種LIMS材料(代表例) | 汎用、低粘度、食品規格対応、自己接着、耐熱、電気電子等の製品群を展開。個別グレード資料を確認する。 |
| Dow | SILASTIC™ Liquid Silicone Rubber | 自動車、医療、食品接触、一般工業、自己潤滑等のLSRを展開。 |
| WACKER / 旭化成ワッカーシリコーン | ELASTOSIL® LR | 汎用、高透明、自己接着、医療、食品接触用途等の製品群を展開。 |
| Momentive Performance Materials | Silopren™、LSRシリーズ | 汎用、高引裂、自己接着、医療、難燃、熱伝導、フルオロLSR等を展開。 |
| Elkem Silicones | SILBIONE™、BLUESIL™ LSR | 医療・ヘルスケア、一般工業、自動車用途向け製品群を展開。 |
| KCC Silicone | LSR製品群 | 一般工業、電気電子、自動車用途向け製品群を展開。 |
製品名、ブランド、規制適合、供給地域及びグレード構成は変更される場合がある。採用時はメーカーの最新技術資料、SDS、規制適合書、ULファイル及び個別グレードの成形条件を確認する。
関連キーワード
液状シリコーン / 液状シリコーンゴム / PDMS / VMQ / シリコーンエラストマー / 熱可塑性エラストマー / EPDM / TPU / スチレン系TPE / フッ素ゴム / LIM成形 / 液状射出成形 / ヒドロシリル化 / 白金触媒 / 補強性シリカ / 圧縮永久ひずみ / 耐薬品性 / SP値 / UL 94 / ISO 10993
推奨確認試験
- 実薬品浸漬試験:実濃度・実温度・実接触時間で、質量、体積、硬度、引張強さ、伸び及び外観変化を測定する。
- 圧縮永久ひずみ試験:実温度、実圧縮率、実時間及び熱サイクルを反映する。
- 熱老化試験:使用上限温度及び一段高い加速温度で、硬度、引張、伸び及びシール力を確認する。
- 高温高湿・熱水・蒸気試験:医療、食品、冷却系用途では、実サイクル回数後の物性と溶出を確認する。
- 接着耐久試験:自己接着又はプライマー接着では、剥離強度、熱サイクル、高温高湿、薬品浸漬後の界面破壊を確認する。
- アウトガス・フォギング試験:電気接点、光学、半導体、真空用途では、TML、CVCM、GC-MS又は社内フォギング法で評価する。
- 実成形試験:混合比、金型温度、射出圧力、真空、ゲート、ベント、硬化時間、バリ、収縮及び脱型性を実金型で確認する。
- 実部品耐久試験:荷重、応力、圧縮率、温度、湿度、薬品、振動及び繰返し回数を組み合わせて評価する。
本ページの評価は材料群としての一般的傾向である。実使用では、グレード、温度、濃度、荷重、応力、湿度、時間、試験片形状、成形条件、法規制及び供給者の最新仕様を確認する。