概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | アクリロニトリル・スチレン・アクリレート共重合体 |
| 略記号 | ASA |
| IUPAC名 | Poly(acrylonitrile-co-styrene-co-alkyl acrylate) |
| 英語名 | Acrylonitrile Styrene Acrylate |
| 日本語名(別名) | アクリロニトリル・スチレン・アクリレート樹脂、ASA樹脂、耐候性ABS |
| 分類 | 汎用エンジニアリングプラスチック(準エンプラ) |
| プラスチック分類 | 熱可塑性プラスチック |
| 化学式または代表構造 | アクリロニトリル(AN)・スチレン(ST)・アクリル酸エステル(アクリレート)の三元共重合体。アクリレートゴム相がマトリックスに分散したグラフト共重合体構造。 |
| CAS No. | 26299-47-8(代表的な登録番号。グレードにより異なる場合あり) |
| 構造・主成分 | アクリロニトリル(AN)、スチレン(ST)、アルキルアクリレート(ブチルアクリレートなど)の三成分からなるグラフト共重合体。アクリレートゴム相が耐候性・耐衝撃性を付与する。 |
| 主な用途 | 屋外用途全般(外装材、農業用品)、自動車外装部品、建材、OA機器外装、スポーツ用品、電気製品筐体 |
ASA樹脂(アクリロニトリル・スチレン・アクリレート)は、ABS樹脂のブタジエンゴム相をアクリレートゴム(主にブチルアクリレート)に置き換えた三元グラフト共重合体である。ブタジエンゴムに比べてアクリレートゴムは二重結合を持たないため、紫外線・酸素・オゾンによる劣化を受けにくく、優れた耐候性・耐光性を発現する。
ABS樹脂と比較すると、耐候性は飛躍的に向上する一方、衝撃強さや流動性はやや劣る場合がある。しかし成形加工性はABSと同等に良好であり、塗装・メッキ・印刷などの二次加工にも対応できる。屋外で長期間使用される用途においてはABSの有力な代替材料として広く採用されている。
一般にASA樹脂は、射出成形による量産部品から押出成形によるシート・プロファイル製品まで幅広く展開される。グレードにより、難燃性・耐熱性・ガラス繊維強化・対UV安定化などの改良が加えられており、用途に応じた材料選定が重要である。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 長所 |
|
| 短所 |
|
| 外観 | 不透明。乳白色〜自然色。光沢は良好でABS同等またはそれ以上の場合もある。着色性に優れ、多様な色調に対応できる。 |
| 耐熱性 | 荷重たわみ温度(HDT)は概ね80〜100℃(グレードにより異なる)。連続使用温度は一般に80〜90℃程度。耐熱グレードでは改善される場合あり。 |
| 耐薬品性 | 希酸・希アルカリ・油脂類には比較的安定。芳香族炭化水素・ケトン・塩素系溶剤には侵される。耐薬品性はABSと同等レベル。 |
| 加工性 | 射出成形、押出成形、ブロー成形が可能。ABSとほぼ同等の加工性を持つ。乾燥処理(80〜90℃、2〜4時間)が推奨される。 |
| 分類上の注意 | ASTMおよびISO規格上では「ASA」として定義されているが、メーカーにより「耐候性ABS」「改質ABS」等の呼称で販売される場合がある。ABSとの混合グレード(ASA/ABS合金)も広く流通している。 |
構造式
ASA樹脂はアクリロニトリル(AN)、スチレン(ST)、アルキルアクリレート(ACA)の三成分からなるグラフト共重合体である。アクリレートゴム粒子がスチレン-アクリロニトリル(SAN)マトリックス中に分散した海島構造を形成する。
ASA樹脂の構造的特徴は、飽和のアクリレートゴム相を用いる点にある。ABS樹脂のブタジエンゴム(C=C二重結合を持つ)と異なり、アクリレートゴムは主鎖に二重結合がないため、紫外線・酸化劣化を受けにくく、屋外での長期安定性に優れる。代表的なアクリレートとしてはブチルアクリレート(BA)が用いられることが多いが、2-エチルヘキシルアクリレートなどが使われる場合もある。
種類(グレード分類)
| グレード種別 | 主成分・特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 汎用グレード | 標準的なAN/ST/アクリレートバランス | 耐候性・加工性・コストのバランスに優れる | 耐熱性・衝撃強さはやや平均的 | 屋外外装部品、農業用品、看板 |
| 高耐衝撃グレード | アクリレートゴム量増量 | 低温衝撃強さに優れる | 剛性・HDTがやや低下 | 自動車外装、スポーツ用品 |
| 耐熱グレード | α-メチルスチレン変性など | HDT向上(100℃超も可) | 流動性がやや低下、コスト上昇 | エンジンルーム周辺、自動車ミラーハウジング |
| 難燃グレード | 難燃剤添加(ハロゲン系またはノンハロゲン系) | UL94 V-0対応可能 | 物性バランスが若干低下する場合あり | 電気・電子機器筐体、建材 |
| GF強化グレード | ガラス繊維(GF)10〜30%添加 | 剛性・寸法安定性が大幅に向上 | 成形収縮の異方性・外観悪化 | 構造部品、精密部品 |
| ASA/ABSアロイ | ABS樹脂との混合(アロイ化) | コスト低減・衝撃強さ向上 | 純ASAより耐候性がやや劣る | 自動車内外装、OA機器外装 |
| ASA/PCアロイ | ポリカーボネート(PC)との混合 | 耐熱性・衝撃強さが大幅向上 | コスト上昇、比重増加 | 自動車外装部品、電気部品 |
| 食品接触グレード | 食品安全規制適合添加剤使用 | 食品衛生法・FDA対応 | グレード選択が限定される | 食品機械カバー、農業用ハウス部材 |
成形加工
| 成形・加工方法 | 適性 | 備考 |
|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | 最も一般的な成形法。ABSとほぼ同等の条件で成形可能。 |
| 押出成形 | ◎ | シート・フィルム・プロファイル成形に適する。屋外用建材・看板に多用される。 |
| ブロー成形 | ○ | 中空部品の成形に対応。グレード選択が重要。 |
| 真空成形・圧空成形 | ○ | 押出シートからの二次成形として適用可能。 |
| 圧縮成形 | △ | 一般的ではない。特殊用途に限定される。 |
| 切削・機械加工 | ○ | 試作・少量生産に対応。切削性はABSと同等。 |
| 塗装 | ◎ | 溶剤系・水系塗料ともに対応可。自動車外装での塗装実績が多い。 |
| メッキ(電気・無電解) | ○ | エッチング処理後にメッキ可能。ABSほど容易ではない場合あり。グレード依存。 |
| 溶着(超音波・熱板・振動) | ○ | 各種溶着法に対応。 |
| 接着 | ○ | 溶剤系・エポキシ系・シアノアクリレート系接着剤が有効。 |
主要成形条件(射出成形)
| 条件 | 代表値・目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 乾燥温度 | 80〜90℃ | 乾燥時間2〜4時間推奨。除湿乾燥機使用が望ましい。 |
| 乾燥後水分率 | 0.1%以下 | シルバーストリーク防止のため管理が重要 |
| シリンダー温度(ホッパー側) | 200〜220℃ | グレードにより異なる |
| シリンダー温度(ノズル側) | 220〜250℃ | 過熱による変色・分解に注意 |
| 金型温度 | 40〜70℃ | 外観重視の場合は60〜70℃推奨 |
| 射出圧力 | 70〜140 MPa | 形状・肉厚による |
| 成形収縮率 | 0.4〜0.7% | GFグレードでは低下。流動方向と直角方向で差異あり。 |
| スクリュー圧縮比 | 2.0〜2.5 | ABS成形用スクリューが流用可 |
代表的な物性値(機械的性質)
| 物性項目 | 単位 | ASA汎用 | ASA耐熱 | ASA GF20% | ASA/PC |
|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 1.05〜1.07 | 1.05〜1.08 | 1.20〜1.25 | 1.10〜1.15 |
| 引張強さ | MPa | 40〜55 | 45〜58 | 70〜90 | 50〜65 |
| 引張破断伸び | % | 15〜40 | 10〜25 | 2〜5 | 20〜50 |
| 曲げ強さ | MPa | 60〜80 | 70〜90 | 110〜140 | 75〜95 |
| 曲げ弾性率 | GPa | 2.0〜2.5 | 2.3〜2.8 | 5.0〜7.0 | 2.4〜3.0 |
| アイゾット衝撃強さ(ノッチ付) | J/m | 150〜350 | 100〜250 | 80〜120 | 300〜600 |
| 荷重たわみ温度(1.82MPa) | ℃ | 80〜95 | 95〜110 | 105〜120 | 100〜115 |
| 連続使用温度(目安) | ℃ | 80〜90 | 90〜100 | 90〜105 | 95〜110 |
| ガラス転移温度(Tg) | ℃ | 約100〜110 | 約110〜120 | - | 約110〜120 |
| 吸水率(23℃水中24h) | % | 0.2〜0.4 | 0.2〜0.4 | 0.15〜0.3 | 0.15〜0.3 |
| 体積抵抗率 | Ω·cm | 10¹⁴〜10¹⁵ | 10¹⁴〜10¹⁵ | 10¹³〜10¹⁴ | 10¹⁴〜10¹⁵ |
| 難燃性(UL94) | - | HB | HB | HB〜V-0(グレードによる) | V-0(PCアロイ難燃品) |
| 成形収縮率 | % | 0.4〜0.7 | 0.4〜0.6 | 0.2〜0.4 | 0.4〜0.6 |
※ 上記物性値はいずれも代表値・目安である。実際のグレード・試験条件・サンプル形状によって大きく異なる場合があるため、実設計では各メーカーのデータシートを参照し、必要に応じて実測試験を行うこと。
耐薬品性
| 薬品・溶剤 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|
| 希塩酸(5〜10%) | ○ | 短時間接触では安定。長時間・高温では注意。 |
| 濃塩酸(30%以上) | △ | 長時間浸漬により膨潤・変色する場合あり。 |
| 希硫酸(10%以下) | ○ | 短時間使用では概ね安定。 |
| 濃硫酸 | × | 侵される。使用不可。 |
| 希酢酸(5%以下) | ○ | 比較的安定。 |
| NaOH(水酸化ナトリウム 10%以下) | ○ | 希アルカリには比較的安定。 |
| NaOH(高濃度) | △ | 高濃度・高温では劣化する場合あり。 |
| エタノール(エチルアルコール) | ○ | 短時間では安定。長時間接触・高温は要確認。 |
| イソプロパノール(IPA) | ○ | 短時間接触では概ね安定。 |
| グリセリン | ◎ | 安定。 |
| ガソリン・軽油(脂肪族炭化水素) | ○ | 短時間では比較的安定。長時間接触では膨潤注意。 |
| トルエン・キシレン(芳香族炭化水素) | × | 溶解または著しく膨潤する。使用不可。 |
| アセトン(ケトン類) | × | 侵される。使用不可。 |
| MEK(メチルエチルケトン) | × | 侵される。使用不可。 |
| 酢酸エチル(エステル類) | × | 侵される。使用不可。 |
| 塩化メチレン(塩素系溶剤) | × | 侵される。溶解する。 |
| トリクロロエチレン | × | 侵される。使用不可。 |
| 水(常温) | ◎ | 安定。吸水率はやや低め。 |
| 温水(60℃以上) | ○ | 吸水による寸法変化に注意。長期高温浸漬は要評価。 |
| 鉱油・潤滑油 | ○ | 短時間では安定。長時間浸漬は要確認。 |
| 植物油 | ◎ | 安定。 |
※ 上記評価はあくまで目安であり、実際の使用では濃度・温度・接触時間・応力条件により大きく変化する。実用前には実条件での浸漬試験・応力割れ試験を実施することを強く推奨する。
SP値(溶解度パラメータ)
| 材料 | SP値(δ) [MPa1/2] | 備考 |
|---|---|---|
| ASA樹脂(代表値) | 19〜21 | グレード・組成により変化 |
| ABS樹脂(参考) | 19〜20 | ASAと近似 |
| ABS樹脂(参考) | 約19.4 |
※ SP値のみで耐薬品性を判断することはできない。実際には結晶性・架橋度・添加剤・残留応力・温度・接触時間なども影響するため、必ず実条件での試験で確認すること。SP値は参考指標に過ぎない。
SP値の溶解性の目安
| SP値差 [MPa1/2] | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0〜2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2〜5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5〜8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た代表的溶剤との耐溶剤性
| 溶剤名 | 溶剤SP値 [MPa1/2] | SP値差(目安) | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 水 | 47.9 | 27〜29 | ◎ | 非常に安定 |
| エタノール | 26.2 | 5〜7 | ○ | 短時間では安定 |
| IPA | 23.5 | 3〜5 | △ | 条件次第 |
| 酢酸エチル | 18.6 | 0〜2 | × | 侵される |
| アセトン | 20.0 | 0〜1 | × | 侵される |
| トルエン | 18.3 | 1〜3 | × | 溶解・膨潤 |
| 塩化メチレン | 19.8 | 0〜1 | × | 溶解 |
| ヘキサン | 14.9 | 4〜6 | △〜○ | 短時間では概ね安定 |
| 鉱油 | 15〜17 | 3〜6 | ○ | 短時間では安定 |
評価基準:◎ 非常に良好、○ 概ね良好、△ 注意が必要、× 不適(使用不可)
製法
ASA樹脂の製造は、大きく「グラフト重合工程」と「ブレンド・コンパウンド工程」の2段階に分けられる。
原料
- アクリロニトリル(AN):ニトリル基による剛性・耐薬品性付与
- スチレン(ST):成形加工性・表面光沢付与
- アルキルアクリレート(主にブチルアクリレート BA):ゴム相形成・耐候性・耐衝撃性付与
- 架橋剤(ジビニルベンゼン等、少量):ゴム粒子内架橋
- 開始剤(過硫酸カリウム等)、乳化剤
重合方法
- 乳化重合:まずアルキルアクリレートを乳化重合してアクリレートゴムラテックスを製造。次にゴムラテックス存在下でANとSTをグラフト重合する。
- 得られたグラフト共重合体(ASAゴム成分)をSAN樹脂(スチレン-アクリロニトリル共重合体)とブレンドし、押出機でペレット化する。
代表的な反応式
詳細な利用用途
| 産業分野 | 代表的な用途・部品 | 採用理由・備考 |
|---|---|---|
| 自動車 | ドアミラーハウジング、グリル、ルーフレール、エクステリアモール、スポイラー、ホイールキャップ | 耐候性・塗装性・外観品質が要求される屋外外装部品に最適。PCアロイグレードは高衝撃対応。 |
| 建材・建築 | 窓枠(押出プロファイル)、雨樋、屋外看板、フェンス、屋外ルーバー | 押出成形による長尺プロファイルに多用。長期屋外使用での色調保持が評価される。 |
| 農業・農業機械 | 農業用ハウス部材、農機カバー、農薬散布機部品 | 屋外長期使用・紫外線曝露環境での安定性が要求される。 |
| 電気・電子 | 屋外用OA機器筐体、ATM外装、屋外通信機器カバー、太陽光発電関連部品 | 難燃グレードはUL94対応。耐UV・外観安定性が重要。 |
| スポーツ・レジャー | ゴルフカート部品、自転車ヘルメット外装、スキー用品、アウトドア用品筐体 | 屋外使用・耐候性・衝撃強さのバランスが必要。 |
| 家電・日用品 | 屋外照明器具、室外機カバー、ガーデニング用品、ポスト・表札 | 耐候性・美観保持・加工性のバランスで採用。 |
| 産業機械 | 屋外設備カバー、計測機器筐体(屋外設置) | GF強化グレードでは剛性と耐候性を両立。 |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | ASA樹脂との違い・選定ポイント |
|---|---|---|
| ABS樹脂 | アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体。汎用エンプラの代表。 | ABSはコスト・衝撃強さでやや有利だが、屋外耐候性は著しく劣る。屋外用途ではASAが圧倒的に優位。 |
| ASA/ABSアロイ | ASAとABSの混合材料。 | コストと耐候性の中間点。純ASAより耐候性は劣るが、ABS単体より向上。コストを抑えつつ耐候性が必要な場合に有効。 |
| PC(ポリカーボネート) | 高い透明性・耐衝撃性・耐熱性。 | PCは耐熱性・衝撃強さでASAを大幅に上回るが、耐候性(特に耐UV)はASAが優れる。PCはUV安定化処理(UV安定剤・コーティング)が必要になる場合が多い。ASA/PCアロイでバランスを取ることも有効。 |
| PP(ポリプロピレン) | 低コスト・軽量・耐薬品性。 | PPはコスト・耐薬品性で有利だが、剛性・外観品質・二次加工性はASAが優れる。UV安定化PPと比較すると耐候性はほぼ同等レベルの場合もある。 |
| PVC(ポリ塩化ビニル) | 低コスト・難燃性・耐薬品性。押出プロファイルに多用。 | 建材用押出プロファイルではPVCが競合。PVCは難燃性・耐薬品性で優れるが、比重が重い・環境規制対応が課題。ASAは軽量・塗装性に優れる。 |
| AES樹脂(アクリロニトリル・エチレン・スチレン) | EPDM系ゴムを使用した耐候性樹脂。 | AESも耐候性樹脂に分類されるが、耐候性はASAが一般に優れる。AESは特定用途に限定される。 |
| PMMA(アクリル樹脂) | 高透明性・優れた耐候性・耐UV性。 | PMMAは透明性と耐候性で最高水準だが、脆く衝撃強さが低い。ASAは不透明だが高い衝撃強さと加工性を持つ。用途によって使い分ける。 |
| PBT(ポリブチレンテレフタレート) | 結晶性エンプラ。耐薬品性・耐熱性に優れる。 | PBTは耐薬品性・耐熱性で優れるが、耐候性はASAが有利。成形収縮が大きい点も異なる。 |
代表的なメーカー・グレード
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要・特徴 |
|---|---|---|
| INEOS Styrolution(ドイツ/英国) | Luran® S | ASA樹脂の代表的ブランド。射出成形・押出成形向けの幅広いグレードを展開。耐候性・外観品質に定評がある。 |
| SABIC(サウジアラビア) | CYCOLAC™(ASAグレード含む) | グローバルに展開する大手サプライヤー。自動車・電気電子向けグレードが充実。 |
| LG Chem(韓国) | LUPOS® | 耐候性ASAブランド。自動車外装・建材向けに展開。 |
| Toray(東レ) | トヨラック®(ASA/ABSグレード含む) | 国内大手。ABS・ASA・アロイグレードを幅広く供給。 |
| UMG ABS(ユーエムジー ABS) | CYCLOLAC®(代表例) | 国内自動車・電機向けサプライヤー。ASA/ABSアロイグレードの実績あり。 |
| Chi Mei Corporation(台湾) | ABSC®(ASAグレード含む) | アジア圏での大手ASA・ABSサプライヤー。 |
※ 上記メーカー・ブランドは代表例である。グレード名・ブランド名は改廃・統合される場合があるため、最新情報は各メーカーに直接確認すること。
規制・法令情報
| 規制・法令 | 対応状況(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| RoHS指令(EU) | ◎ 対応グレードあり | 鉛・カドミウム等の有害物質不使用グレードが主流。使用前にSDS・証明書の確認を推奨。 |
| REACH規則(EU) | ◎ 対応グレードあり | SVHCの含有確認が必要。グレード毎に証明書の取得を推奨。 |
| 食品衛生法(日本) | △ グレード依存 | 食品接触用途には適合グレードを選択する必要がある。スチレン移行への注意が必要。 |
| FDA(米国食品医薬品局) | △ グレード依存 | 食品接触用途の場合、各グレードのFDA適合証明書の確認が必要。 |
| UL94(難燃規格) | ○ 難燃グレードあり | 汎用グレードはHB。V-0対応は難燃グレードを選択する。 |
| 自動車向け規格(ASTM, ISO等) | ◎ | 自動車外装部品での採用実績が豊富。各自動車メーカーの承認仕様に従うこと。 |
注意点(実用上のポイント)
- 吸湿・乾燥管理:成形前の乾燥が不十分だとシルバーストリーク・表面不良・物性低下の原因となる。80〜90℃、2〜4時間の除湿乾燥を徹底すること。
- 応力割れ(ESC):残留応力があると薬品接触時に割れが生じやすい。成形条件・アニール処理・設計上のノッチ回避が重要。
- 熱劣化:シリンダー温度過剰・滞留時間超過により分解・変色が生じる。パージを定期的に実施し、成形温度管理を徹底する。
- 溶剤への暴露:芳香族炭化水素・ケトン・塩素系溶剤に弱い。塗装・洗浄時の溶剤選定に注意が必要。
- GFグレードの異方性:GF強化グレードは流動方向と直角方向で収縮率・物性が異なるため、精密部品設計では注意が必要。
- 耐候性の確認:屋外用途では促進耐候性試験(サンシャインウェザーメーター・QUV等)による確認を推奨する。UV安定化グレードを優先して選定すること。