ポリアセタール

概要

項目内容
材料名ポリアセタール
略記号POM
IUPACPoly(oxymethylene)
英語名Polyacetal / Polyoxymethylene / Acetal Resin
日本語名・別名ポリアセタール、ポリオキシメチレン、アセタール樹脂、POM樹脂
分類熱可塑性樹脂、結晶性樹脂、アセタール系樹脂
プラスチック分類エンジニアリング・プラスチック
化学式または代表構造(CH2O)n、[-CH2-O-]n
CAS No.9002-81-7(ポリオキシメチレンとして記載されることが多い)
構造・主成分オキシメチレン単位を主鎖に持つ高結晶性ポリマーである。ホモポリマーPOMとコポリマーPOMに大別される。
主な用途ギア、軸受、カム、ローラー、ファスナー、ポンプ部品、燃料系部品、電気・電子部品、精密機械部品、食品機械部品など

ポリアセタール(POM)は、オキシメチレン構造を主鎖に持つ結晶性エンジニアリング・プラスチックである。高い剛性、耐摩耗性、低摩擦性、寸法安定性、疲労特性を持つため、ギア、軸受、カム、ローラー、スライダー、ファスナー、精密機械部品などに広く使用される。

POMには、主鎖がほぼオキシメチレン単位で構成されるホモポリマーPOMと、少量のコモノマーを導入したコポリマーPOMがある。一般に、ホモポリマーは剛性、引張強さ、疲労特性に優れ、コポリマーは熱安定性、耐熱水性、耐アルカリ性、成形安定性に優れる傾向がある。ただし、実際の性能はメーカー、グレード、分子量、安定剤、添加剤、成形条件により変化する。

POMはナイロン6ナイロン66と比較して吸水率が低く、湿度による寸法変化が小さい。一方で、強酸、酸化性薬品、塩素系薬品、高温水、蒸気、紫外線、過熱分解には注意が必要である。実使用では、グレード、温度、濃度、荷重、応力、使用時間、成形残留応力、相手材との摺動条件を確認する必要がある。

特徴

項目内容
長所機械的強度、剛性、耐摩耗性、低摩擦性、耐疲労性、寸法安定性、低吸水性、切削加工性に優れる。
短所強酸、酸化剤、塩素系薬品、高温水、紫外線、難燃化、接着、塗装、印刷には注意が必要である。高温分解時にはホルムアルデヒドを発生する可能性がある。
外観自然色は白色から乳白色で、不透明である。黒色、着色、摺動改質、導電、GF強化などのグレードがある。
耐熱性連続使用温度は一般に約80〜105℃程度が目安である。GF強化グレードや耐熱グレードでは高めに設計される場合があるが、荷重、薬品、水分、酸素、寿命要求により実用温度は変化する。
耐薬品性油、燃料、脂肪族炭化水素、多くのアルコール、弱アルカリには比較的良好である。一方、強酸、酸化性酸、塩素系溶剤、フェノール類、高温水、蒸気には注意が必要である。
加工性射出成形、押出成形、切削加工に適する。過熱、長時間滞留、酸性物質混入、PVCなどの異材混入により分解する場合があるため、成形温度管理が重要である。
分類上の注意POMはエンジニアリング・プラスチックに分類される。ホモポリマー、コポリマー、摺動グレード、GF強化グレード、食品接触対応グレードでは特性が異なるため、材料名だけで判断しない。
代表グレード汎用、耐熱、耐候、摺動、低摩擦、耐摩耗、導電、帯電防止、GF強化、難燃、食品接触、低VOC、低アウトガスなどがある。
難燃性標準グレードは一般に燃えやすく、UL94 HB相当のものが多い。難燃グレードもあるが、POMの熱分解特性上、難燃設計には制約がある。
法規制RoHS、REACH、食品衛生法、FDA、EU食品接触、医療用途などは、材料名ではなく個別グレード、添加剤、色材、製造履歴、適合証明書で確認する必要がある。

構造式

ポリアセタール
ポリアセタール

ポリアセタールは、オキシメチレン単位−CH2−O−を主鎖に持つ結晶性高分子である。 ホモポリマーPOMは主鎖がほぼオキシメチレン単位で構成されるため、結晶性と機械的強度が高い。 

コポリマーPOMは、少量のコモノマーを導入することで主鎖中に熱安定性を高める構造を持つ。 この違いにより、ホモポリマーは強度や剛性に優れ、コポリマーは熱安定性、耐熱水性、耐アルカリ性に優れる。

項目構造・内容
代表的な構造単位-CH2-O-
繰り返し構造[-CH2-O-]n
化学式(CH2O)n
モノマーまたは構成単位ホルムアルデヒド、トリオキサン、ジオキソランなどが代表的である。
ホモポリマーPOM主鎖がほぼオキシメチレン単位で構成されるPOMである。高い結晶性、剛性、機械強度、疲労特性を示す。
コポリマーPOMトリオキサンに少量の環状エーテルなどを共重合したPOMである。熱安定性、耐熱水性、耐アルカリ性を改善しやすい。
変性グレードPTFE、シリコーン、潤滑剤、ガラス繊維、導電フィラー、耐候剤、難燃剤などを配合したグレードがある。

POMは主鎖中に酸素原子を含むため、結晶性が高く、剛性と摺動性に優れる。一方で、強酸性条件や過熱条件では主鎖の分解が起こりやすく、ホルムアルデヒドを発生する場合がある。成形時には過熱、滞留、酸性物質との接触、塩素系樹脂との混入を避ける必要がある。

種類

種類の名称主成分または特徴長所短所主な用途
ホモポリマーPOMオキシメチレン単位を主体とする高結晶性POM剛性、引張強さ、疲労特性、耐クリープ性に優れる。熱安定性、耐熱水性、耐アルカリ性ではコポリマーに劣る場合がある。高荷重ギア、精密機械部品、軸受、カム、ローラー
コポリマーPOMトリオキサンと環状エーテルなどの共重合体熱安定性、耐熱水性、耐アルカリ性、成形安定性に優れる傾向がある。剛性や機械強度はホモポリマーよりやや低い場合がある。自動車部品、食品機械部品、ポンプ部品、水回り部品、燃料系部品
摺動グレードPOMPTFE、シリコーン、潤滑剤、特殊添加剤などを配合摩擦係数が低く、摩耗量を低減しやすい。接着、塗装、印刷、機械強度、食品接触適合性に影響する場合がある。ギア、軸受、スライダー、ローラー、カム、搬送部品
GF強化POMガラス繊維を配合した強化グレード剛性、荷重たわみ温度、寸法安定性、耐クリープ性が向上する。摺動相手材を摩耗させやすく、成形収縮の異方性が大きくなる場合がある。構造部品、ブラケット、ハウジング、荷重部品、精密部品
耐候グレードPOM紫外線安定剤、光安定剤、カーボンブラックなどを配合屋外暴露での変色、脆化、物性低下を抑えやすい。長期屋外用途では紫外線、熱、応力、薬品の複合劣化を確認する必要がある。屋外機構部品、自動車外装周辺部品、建材部品
導電・帯電防止グレードPOMカーボンブラック、導電フィラー、帯電防止剤などを配合静電気対策、粉塵付着対策、電子部品搬送用途に適する。機械特性、摩耗性、色調、食品接触適合性は個別確認が必要である。電子部品搬送治具、ローラー、静電気対策部品、精密搬送部品
食品接触対応グレードPOM食品接触用途を想定した添加剤設計のPOM食品機械、飲料機器、厨房機器で採用しやすい。日本、米国、EUなどの法規適合はグレード別の証明書確認が必要である。食品機械部品、飲料部品、ポンプ、バルブ、ギア、スクレーパー
難燃グレードPOM難燃剤を配合した特殊POM電気・電子用途で難燃要求に対応できる場合がある。標準POMより選択肢が限られ、機械特性、熱安定性、発生ガスに注意が必要である。電気・電子部品、コネクタ周辺部品、機構部品
低VOC・低アウトガスグレードPOM揮発成分やホルムアルデヒド発生量を抑えたグレード自動車内装、電気・電子、精密機器で使いやすい。標準品より選定範囲が限られ、要求規格に応じた確認が必要である。自動車内装機構部品、精密機器部品、電子機器部品

成形加工

加工方法適正主な製品例注意点
射出成形ギア、ファスナー、クリップ、軸受、精密部品、自動車部品最も一般的である。過熱、長時間滞留、PVCなどの異材混入を避ける。
押出成形丸棒、板材、パイプ、シート、異形押出材溶融安定性、冷却条件、結晶化収縮、寸法変動に注意する。
ブロー成形特殊容器、燃料関連部品、中空部品一般的なPE、PPほど容易ではなく、対応グレード選定が重要である。
圧縮成形板材、ブロック材、素材成形品熱履歴、結晶化、内部応力、気泡、寸法変化に注意する。
真空成形×一般熱成形品には不向き結晶性が高く、加熱窓が狭いため、一般的な真空成形には適しにくい。
切削加工ギア、摺動部品、治具、ローラー、機械加工部品発熱、寸法変化、残留応力、切削油との相性を確認する。
溶着超音波溶着、熱板溶着、スピン溶着など結晶性と低表面エネルギーの影響で条件設定が難しい場合がある。
接着△〜×小型部品、仮固定、表面処理後の接着表面処理なしでは接着しにくい。プラズマ処理、コロナ処理、プライマーを検討する。
塗装・印刷加飾部品、識別表示、マーキング密着性が低いため、脱脂、表面処理、プライマー、密着試験が必要である。
代表的な成形条件
項目代表条件備考
乾燥温度一般に80〜100℃程度POMは吸水率が低いが、保管状態、結露、再生材使用時には乾燥が推奨される。
乾燥時間2〜4時間程度メーカー推奨条件を優先する。過乾燥や高温乾燥による熱履歴にも注意する。
シリンダー温度一般に180〜220℃程度高温滞留により分解し、ホルムアルデヒドが発生する場合がある。
金型温度一般に60〜100℃程度結晶化、寸法安定性、外観、成形収縮、そりに影響する。
成形収縮率標準POMで約1.5〜2.5%、GF強化POMで約0.5〜1.2%程度グレード、肉厚、ゲート位置、金型温度、保圧、繊維配向により大きく変化する。
金型設計結晶化収縮を考慮する精密部品ではゲート位置、肉厚、ウェルド、そり、後収縮、アニール要否を確認する。
再生材使用条件付きで可能熱履歴により分解が進むため、混合率、臭気、色調、機械物性、MFR変化を確認する。
成形時の禁止事項過熱、長時間滞留、酸性物質混入、PVC混入を避けるPOMは分解時にホルムアルデヒドを発生する可能性があるため、換気とパージ管理が重要である。

代表的な物性値又は機械的性質

項目単位ホモポリマーPOMコポリマーPOM摺動グレードPOMGF強化POM備考
比重・密度g/cm3約1.41〜1.43約1.39〜1.42約1.40〜1.45約1.50〜1.65充填材、添加剤、結晶化度により変化する。
引張強さMPa約65〜80約55〜70約45〜65約80〜130ホモポリマーは高強度傾向、GF強化品は高剛性傾向である。
伸び約10〜40約20〜75約5〜40約2〜6試験片形状、成形条件、グレードにより大きく変化する。
曲げ弾性率MPa約2,800〜3,500約2,400〜3,000約2,000〜3,000約5,000〜9,000GF強化により剛性が大きく向上する。
アイゾット衝撃強さkJ/m2約4〜10約5〜12約4〜10約4〜9ノッチ有無、温度、グレードにより差が大きい。
荷重たわみ温度約100〜130約90〜120約90〜120約140〜170荷重条件により数値が変わる。GF強化品は高い傾向がある。
融点約175〜180約165〜170約165〜175約165〜180ホモポリマーとコポリマーで差がある。
ガラス転移温度約-60付近約-60付近約-60付近約-60付近測定方法により幅がある。
連続使用温度約80〜100約80〜105約80〜105約90〜110空気中、荷重、薬品、水分、寿命要求により変わる。
吸水率約0.2〜0.5約0.2〜0.5約0.2〜0.5約0.2〜0.6PA6PA66PBTPET、PUなどと比較する際は吸水による寸法変化を確認する。
体積抵抗率Ω・cm約1014〜1016約1014〜1016約1013〜1016約1013〜1016導電・帯電防止グレードでは大きく低下する。
摩擦係数約0.2〜0.4約0.2〜0.4約0.1〜0.3約0.25〜0.5相手材、面圧、速度、潤滑、表面粗さにより変化する。
線膨張係数×10-5/K約8〜12約8〜12約7〜12約3〜7GF強化では繊維配向により異方性が出る。
酸素指数約15〜16約15〜16約15〜17約15〜18標準グレードは燃えやすい部類であり、難燃要求がある場合はUL94グレードを確認する。
UL94HB相当が多いHB相当が多いHB相当が多いHB相当が多い難燃グレードでは異なる。肉厚、色、認証ファイルで確認する。

耐薬品性

POMは、油、燃料、脂肪族炭化水素、多くのアルコール、弱アルカリに対して比較的良好な耐性を示す。一方で、強酸、酸化性酸、塩素系薬品、高温水、蒸気には弱い場合がある。以下の評価は代表的な目安であり、実使用では濃度、温度、接触時間、応力、成形残留応力、グレード、添加剤、洗浄頻度を確認する必要がある。

薬品分類代表薬品評価注意点
酸類希塩酸、希硫酸、酢酸、クエン酸低濃度・短時間では使用可能な場合があるが、酸性条件では分解が進む場合がある。
強酸・酸化性酸濃硫酸、濃硝酸、クロム酸、過酸化水素高濃度品×POMの分解、脆化、変色、ガス発生のリスクが高い。
アルカリ類NaOH、KOH、炭酸ナトリウム、アンモニア水コポリマーPOMは比較的良好な傾向がある。高温・高濃度では確認が必要である。
低級アルコール類メタノール、エタノール、IPA○〜△短時間接触では比較的安定な場合があるが、応力下では膨潤、割れ、寸法変化を確認する。
高級アルコール類グリセリン、ブタノール、MMB一般に大きな溶解性は低いが、温度上昇時や長期接触では確認が必要である。
芳香族炭化水素類トルエン、キシレン、エチルベンゼン○〜△短時間では比較的安定な場合があるが、膨潤、寸法変化、応力割れを確認する。
脂肪族炭化水素類ヘキサン、ヘプタン、ミネラルスピリット、灯油◎〜○一般に良好であるが、添加剤抽出や長期膨潤は確認する。
ケトンアセトン、MEK、MIBK○〜△溶解しにくい場合が多いが、応力下、長期接触、温度上昇では注意する。
エステル酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル○〜△短時間接触では比較的安定な場合があるが、膨潤や表面変化を確認する。
塩素系溶剤ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン△〜×膨潤、割れ、抽出、劣化のリスクがあるため、原則として慎重に扱う。
水・温水水、温水、蒸気○〜△常温水では比較的安定である。高温水、蒸気、長期浸漬では加水分解や寸法変化を確認する。
鉱物油、潤滑油、グリース、動植物油◎〜○一般に良好であるが、添加剤、酸化劣化油、高温油では確認が必要である。
燃料ガソリン、軽油、灯油、アルコール混合燃料燃料組成、アルコール含有量、温度、圧力、規格要求により確認が必要である。
洗剤・水溶液中性洗剤、弱アルカリ洗剤、界面活性剤水溶液○〜△pH、界面活性剤、キレート剤、酸化剤、温度、濃度、洗浄時間により変化する。
SP値(溶解度パラメータ)
項目値・内容
POMの代表的なSP値約22〜24 MPa1/2
代表値の扱い文献、測定方法、結晶化度、ホモポリマー・コポリマー差、添加剤、温度により差があるため、目安として扱う必要がある。
耐薬品性判断上の注意SP値が近い薬品ほど膨潤・軟化しやすい傾向はあるが、POMでは酸分解、酸化、加水分解、応力割れ、添加剤抽出も重要である。
実務上の確認項目濃度、温度、接触時間、応力、荷重、流速、洗浄頻度、成形残留応力、グレード差を確認する。
溶解性の目安
SP値差溶解・膨潤の目安判定
0〜2膨潤・軟化しやすい×
2〜5条件により膨潤する
5〜8短時間接触では比較的安定
8以上溶解・膨潤しにくい
SP値から見た耐溶剤性

POMの代表SP値を23 MPa1/2として、代表的な溶剤とのSP値差を整理する。SP値差が小さいほど膨潤や軟化の可能性が高くなるが、実際の耐薬品性は化学反応性、結晶化度、温度、応力、濃度、添加剤、接触時間に強く依存する。

薬品名代表SP値
MPa1/2
POMとの差SP値上の目安実務評価
約47.9約24.9常温水は比較的良好だが、高温水・蒸気では加水分解確認が必要である。
メタノール約29.7約6.7短時間は比較的安定な場合があるが、長期接触や応力下では確認する。
エタノール約26.0約3.0一般には使用例があるが、膨潤、寸法変化、応力割れを確認する。
IPA約23.5約0.5×SP値上は近いが、実際には短時間接触で使用可能な場合もある。応力下評価が重要である。
アセトン約20.0約3.0短時間では大きな溶解がない場合もあるが、膨潤、白化、割れを確認する。
MEK約19.0約4.0応力下、長期接触、温度上昇では注意が必要である。
酢酸エチル約18.6約4.4短時間接触では使用可能な場合があるが、膨潤と寸法変化を確認する。
トルエン約18.2約4.8大きな溶解はしにくい場合があるが、長期接触では注意する。
キシレン約18.0約5.0短時間では比較的安定な場合があるが、膨潤、臭気、抽出を確認する。
ヘキサン約14.9約8.1一般に良好である。ただし添加剤抽出や燃料混合成分は確認する。
ジクロロメタン約20.2約2.8塩素系溶剤として注意が必要であり、膨潤、割れ、劣化を確認する。
グリセリン約33.8約10.8SP値上は膨潤しにくいが、高温、吸湿、水混合系では確認する。
評価意味
非常に良好。一般に溶解・膨潤しにくいが、実使用条件での確認は必要である。
概ね良好。短時間接触や常温では使用可能な場合が多い。
注意が必要。濃度、温度、応力、接触時間により膨潤、軟化、割れが起こる場合がある。
×不適。溶解、膨潤、分解、脆化、応力割れのリスクが高い。

製法

ポリアセタールは、ホルムアルデヒドまたはトリオキサンを原料として製造される。 ホモポリマーPOMは主にホルムアルデヒドを重合して得られ、コポリマーPOMはトリオキサンに少量のコモノマーを共重合して得られる。 

ホモポリマー
  • 99.9%以上に精製したホルムアルデヒドを低温でアニオン重合し、適当な分子量の重合体を製造する。
  • 重合体はそのままだと末端からモノマーに戻る可能性があるため、末端をエステル化して生成する。
  • 市販されているホモポリマーは、通常1000個以上のアルデヒド基を持っており、結晶化度は85~90%である。
ポリアセタールーホモポリマー
コポリマー
  •  ホルムアルデヒドの3分子環状重合物であるトリオキサンに数%のエチレンオキシドを混合し、触媒を用いてカチオン重合する。
  • 重合体は、エチレンオキシドが連鎖中に入っているので、酸性不純物による加水分解が防止出来、末端はエステル化を行うことで安定する。
  • コポリマー(ジュラコン)共重合体の結晶化度は80~85%である。
ポリアセタール-コポリマー
工程内容注意点
原料ホルムアルデヒド、トリオキサン、ジオキソランなどが代表的である。高純度原料、触媒、水分、不純物、酸性成分の管理が重要である。
重合方法ホルムアルデヒドまたはトリオキサンを重合してPOMを得る。ホモポリマーとコポリマーで工程が異なる。熱安定性を高めるため、末端安定化や共重合設計が行われる。
ホモポリマー製造ホルムアルデヒドを重合し、高結晶性POMを得る。高強度・高剛性が得られる一方、末端安定化が重要である。
コポリマー製造トリオキサンにジオキソランなどを共重合し、熱安定性や耐アルカリ性を改善する。共重合成分量により結晶性、融点、機械特性が変化する。
ペレット化重合後に安定剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤などを配合し、押出混練してペレット化する。熱履歴、揮発成分、ホルムアルデヒド発生、異物混入を管理する。
コンパウンドGF、摺動改質剤、導電フィラー、耐候剤、難燃剤、食品接触対応添加剤などを配合する。配合により機械特性、摺動性、成形収縮、摩耗性、法規適合性が変わる。
代表的な反応式
種類反応式・工程イメージ
ホルムアルデヒドの重合n HCHO → [-CH2-O-]n
トリオキサンの開環重合n (CH2O)3 → 3[-CH2-O-]n
コポリマー化の概念トリオキサン + 環状エーテル → オキシメチレン単位を主体とするPOMコポリマー
末端安定化POM末端の不安定構造を安定化し、熱分解やホルムアルデヒド発生を抑える。

POMの製造では、重合後の安定化処理が重要である。成形加工時の熱分解を抑えるため、安定剤、酸化防止剤、捕捉剤、滑剤などが用いられる。GF強化品や摺動グレードでは、添加剤の種類により摩擦摩耗、寸法精度、相手材攻撃性、発生ガス、食品接触適合性が変わるため、用途別にグレードを選定する必要がある。

詳細な利用用途

分野主な用途採用理由注意点
自動車燃料系部品、ドアロック部品、シート機構、クリップ、ギア、レバー、スライダー耐燃料性、摺動性、寸法安定性、耐疲労性が求められる部品に適する。燃料組成、アルコール燃料、熱老化、低VOC、低アウトガス、耐候性を確認する。
電気・電子スイッチ部品、コネクタ周辺部品、リレー部品、精密機構部品、搬送治具寸法安定性、絶縁性、耐摩耗性、成形精度に優れる。難燃性、トラッキング、アウトガス、接点汚染、帯電防止性を確認する。
機械部品ギア、軸受、カム、ローラー、ブッシュ、スプロケット、スペーサー金属代替、低摩擦、自己潤滑性、耐摩耗性が期待できる。面圧、速度、温度、相手材、潤滑条件、摩耗粉、クリープを確認する。
医療医療機器部品、機構部品、ハンドル、ポンプ部品寸法安定性、機械強度、切削加工性が有用である。医療グレード、滅菌方法、抽出物、薬液接触、規格適合を確認する。
食品機械ギア、スクレーパー、搬送部品、ローラー、ポンプ、バルブ、ノズル低吸水、摺動性、耐油性、洗浄性が評価される。食品接触適合、アルカリ洗浄、酸洗浄、熱水洗浄、異物混入リスクを確認する。
建築・設備水回り部品、ファスナー、戸車、摺動部品、調整部品耐摩耗性、寸法安定性、静音性に優れる。屋外UV、高温水、洗剤、塩素系薬品、応力割れに注意する。
日用品ファスナー、バックル、文具部品、玩具部品、精密可動部品成形性、耐久性、摺動性、寸法精度に優れる。色材、衝撃、誤使用、燃焼性、法規制を確認する。
用途別選定ギア、軸受、チューブ、筐体、フィルム、コネクタ、ポンプ部品、食品機械部品ギア・軸受は摺動性、チューブ・ポンプは耐薬品性、筐体は寸法安定性が重視される。POMは一般にフィルム用途の主材料では少ない。用途ごとに摩耗、薬品、荷重、温度、法規、異物混入を分けて評価する必要がある。

関連材料との比較

比較材料特徴POMとの違い
ナイロン6(PA6)靭性、耐摩耗性、耐衝撃性に優れるポリアミドである。POMより吸水率が高く、湿度による寸法変化が大きい。一方、衝撃性や耐熱グレードの選択肢が多い。
ナイロン66(PA66)PA6より融点が高く、耐熱性と剛性に優れるポリアミドである。POMより耐熱性が高い場合があるが、吸水による寸法変化が大きい。ギア用途では湿度環境を考慮する。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)電気特性、寸法安定性、成形性に優れる結晶性ポリエステルである。POMより電気・電子用途や難燃グレードで使いやすい場合がある。一方、摺動性や耐摩耗性ではPOMが有利な場合がある。
ポリエチレンテレフタレート(PET)耐薬品性、剛性、寸法安定性に優れるポリエステルである。POMより剛性や耐熱性が高いグレードもあるが、成形時の結晶化管理が重要である。摺動部品ではPOMが選ばれやすい。
ポリカーボネート(PC)透明性、耐衝撃性、寸法安定性に優れる非晶性樹脂である。PCは透明部品や耐衝撃用途に適する。POMは摺動性、耐摩耗性、低吸水性で有利である。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)極めて低い摩擦係数と優れた耐薬品性を持つフッ素樹脂である。PTFEは耐薬品性と低摩擦性で優れるが、機械強度、成形性、寸法精度ではPOMが有利な場合が多い。
ポリフェニレンサルファイド(PPS)耐熱性、耐薬品性、難燃性に優れるスーパーエンプラ系の結晶性樹脂である。PPSは高温・薬品環境に強いが、コストが高い。POMは常温から中温域の摺動・機構部品でコストバランスが良い。
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)高耐熱、高強度、耐薬品性に優れる高機能スーパーエンプラである。PEEKは高温・高荷重・薬品環境に適するが高価である。POMは一般機構部品でのコストと加工性に優れる。

代表的なメーカー

メーカー代表製品・ブランド概要
ポリプラスチックス株式会社DURACON日本で広く使用されるPOMコポリマー系の代表的ブランドである。自動車、電気・電子、機械部品などに用いられる。
DuPontDelrinPOMホモポリマーの代表的ブランドとして知られる。高剛性、高強度、耐疲労性を要求する用途で採用される。
CelaneseHostaform / CelconPOMコポリマーを中心に、標準、摺動、耐候、特殊グレードを展開する主要メーカーである。
BASFUltraformPOMコポリマー系ブランドとして知られ、自動車、機械、電気・電子用途に使用される。
旭化成株式会社TENACPOMホモポリマーおよびコポリマーを展開する代表的メーカーである。摺動、耐候、低VOCなどの用途展開がある。
三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社ユピタールPOMコポリマーの代表的ブランドであり、機械部品、電気・電子部品、自動車部品などに用いられる。
Kolon PlasticsKOCETALPOM樹脂を展開する海外メーカーの一つであり、自動車、産業部品、電気・電子用途に使用される。
Formosa PlasticsFORMOCONPOM樹脂を展開する海外メーカーの一つであり、汎用機構部品や工業用途で使用される。

関連キーワード

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