概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | 塩素化ポリ塩化ビニル |
| 略記号 | CPVC、PVC-C |
| IUPAC | Chlorinated poly(1-chloroethylene)。後塩素化による統計的置換構造であるため、単一の厳密な構造名で表しにくい。 |
| 英語名 | Chlorinated Polyvinyl Chloride、Chlorinated Poly(vinyl chloride) |
| 日本語名 | 塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化塩化ビニル樹脂、塩素化PVC、耐熱塩ビ、耐熱塩化ビニル樹脂 |
| 分類 | 熱可塑性樹脂、非晶性樹脂、塩素含有ビニル系樹脂、PVC誘導体 |
| プラスチック分類 | 高機能汎用樹脂又は耐熱性特殊塩ビとして扱われる。代表グレードは引張強度及び耐熱性がエンプラ相当となる場合があるが、一般的な5大エンプラとは別系統である。 |
| 化学式または代表構造 | −[CH2−CHCl]x−[CHCl−CHCl]y−[CH2−CCl2]z−。塩素化位置は統計的であり、塩素含有率は一般に約62~68質量%である。 |
| CAS No. | 68648-82-8が塩素化ポリ塩化ビニルの代表的なCAS No.として用いられることがある。製品・登録体系により確認が必要である。 |
| 構造・主成分 | ポリ塩化ビニル(PVC)を後塩素化し、主鎖の水素原子の一部を塩素原子へ置換した非晶性ポリマーである。市販成形材料は熱安定剤、加工助剤、滑剤、耐衝撃改良剤、顔料等を含むコンパウンドであることが多い。 |
| 主な用途 | 給湯・給水管、工業用配管、継手、バルブ、消火スプリンクラー配管、耐熱板・シート、ダクト、電気絶縁部品、フィルター、接着剤、耐食設備部材 |
塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)は、PVCを後塩素化して塩素含有率を高めた熱可塑性樹脂である。塩素化により分子鎖の運動性が抑えられ、一般的な硬質PVCよりガラス転移温度、ビカット軟化温度、荷重たわみ温度及び高温クリープ特性が向上する。
耐酸・耐アルカリ・耐塩類、難燃性、電気絶縁性及び接着施工性を維持しながら、温水配管や高温薬液配管へ適用できる点が大きな特徴である。一方、加工温度と熱分解温度の差が小さく、長時間滞留、過大せん断又は局所過熱により脱塩酸、変色、ゲル化、金型腐食が生じやすい。
実使用では、樹脂単体の一般値だけでなく、塩素化度、分子量、安定剤系、耐衝撃改良剤、顔料、成形履歴、温度、薬品濃度、応力、接触時間及び配管圧力を確認する必要がある。
特徴
| 区分 | 内容 | 材料選定上の注意 |
|---|---|---|
| 長所 | 硬質PVCより耐熱性が高く、酸、アルカリ、塩水、酸化性水溶液に比較的強い。自己消火性、電気絶縁性、耐食性、接着・溶着施工性にも優れる。 | 耐薬品性は温度上昇により低下する。高温、高濃度、応力負荷及び長時間浸漬では実液試験が必要である。 |
| 短所 | 溶融粘度が高く、熱安定域が狭い。芳香族炭化水素、ケトン、エステル、塩素系溶剤では膨潤、軟化又は溶解のおそれがある。低温衝撃性は改質に依存する。 | 滞留、焼け、脱塩酸及び設備腐食を防ぐため、CPVC専用又は適合する加工条件と耐食設備が必要である。 |
| 外観 | 樹脂粉末は白色が一般的である。成形品は自然色、灰色、アイボリー、橙色等があり、配合により半透明又は透明化も可能である。 | 色調、透明性及び発煙性は安定剤、耐衝撃改良剤、顔料及び厚さに左右される。 |
| 耐熱性 | 一般的な硬質PVCより熱軟化温度が約20~40℃高い。代表的なHDTは約95~110℃、ビカット軟化温度は約96~119℃である。 | 連続使用温度は圧力、寿命、薬液、肉厚及び規格で異なる。配管の許容圧力は温度上昇とともに低下する。 |
| 耐薬品性 | 多くの無機酸、アルカリ及び塩類に良好であり、温水条件でもPVCより適用範囲を広げやすい。 | 有機溶剤、アンモニア系、濃硝酸、濃硫酸、高温酸化剤等は条件依存又は不適となる場合がある。 |
| 加工性 | 押出、射出、カレンダー、真空成形、溶着、接着及び切削が可能である。 | せん断発熱を抑え、樹脂温度を厳密に管理する。PVCとの混入、異種樹脂混入及び長時間停止を避ける。 |
| 分類上の注意 | 「耐熱PVC」「PVC-C」と表記される場合がある。 | 耐熱配合した通常PVCと、化学的に後塩素化したCPVCを混同しない。 |
構造式

代表構造単位は、PVC由来の−CH2−CHCl−単位に加え、後塩素化により生じる−CHCl−CHCl−及び−CH2−CCl2−単位を含む。塩素化位置と連鎖配列は統計的であり、単一の規則的な繰返し単位として固定できない。
原料ポリマーは通常PVCであり、モノマーを直接共重合してCPVCとするのではなく、PVC粒子を塩素ガスで後塩素化する。塩素含有率、分子量及び塩素分布により耐熱性、溶融粘度、加工性及び衝撃特性が変化する。
種類・代表グレード
| 種類・グレード区分 | 主成分・改質方法 | 長所・物性への影響 | 短所・注意点 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 標準・汎用グレード | 標準塩素化度のCPVC | 耐熱性、耐薬品性、加工性のバランスが良い | 用途に応じたコンパウンド化が必要 | 板、シート、一般耐熱成形品 |
| 押出・パイプグレード | 高分子量又は押出安定配合 | 溶融強度、耐圧、長期クリープ特性を重視 | 高粘度で加工負荷が大きい | 給湯管、工業配管、スプリンクラー管 |
| 射出・継手グレード | 流動性、耐衝撃性を調整 | 複雑形状、厚肉継手、バルブ部品に適する | ウェルド、焼け、残留応力に注意 | 継手、バルブ、フランジ、筐体 |
| 高耐熱グレード | 高塩素化度CPVC | HDT、ビカット軟化温度が高い | 溶融粘度及び加工難度が上がりやすい | 高温配管、耐熱板、電気部品 |
| 耐衝撃グレード | アクリル系等の耐衝撃改良剤 | 低温及びノッチ衝撃を改善 | 耐熱性、剛性、透明性が低下する場合がある | 継手、筐体、屋外カバー |
| 難燃グレード | CPVC本来の高塩素含有と難燃配合 | 自己消火性、高LOI、低発煙設計が可能 | UL 94等級は厚さ・色・配合ごとに確認が必要 | 電気絶縁部品、ダクト、シート |
| 透明・半透明グレード | 屈折率差を抑えた安定剤・改質剤配合 | 内部確認性、耐熱透明性 | 耐衝撃性、耐候性、色調の管理が必要 | 透明継手、液面確認板、装置窓 |
| 食品接触用途向け | 適合添加剤を選定した配管用コンパウンド | 給湯・飲料水用途に適合可能 | 材料名だけでは適合を断定できず、グレード証明書が必要 | 給湯・給水管、食品設備配管 |
| GF・CF強化 | 一般流通では限定的 | 剛性、寸法安定性を改善し得る | 繊維による流動性低下、溶着性低下、腐食摩耗に注意 | 特殊成形品。一般化困難 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 理由 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | 継手、バルブ及び複雑形状部品へ広く用いられる。 | 高せん断、滞留、焼け、ウェルド及び残留応力を管理する。 |
| 押出成形 | ◎ | 管、異形材、板、シートの主要成形法である。 | 溶融温度、ダイス滞留、メルトフラクチャー及び口金腐食に注意する。 |
| ブロー成形 | ○ | 高流動・高溶融強度グレードで容器等に適用可能である。 | グレード選定と均一なパリソン温度管理が必要である。 |
| インフレーション成形 | △ | フィルム化は可能であるが一般的用途は限定される。 | 熱安定性及びバブル安定性が課題となる。 |
| Tダイフィルム・シート | ○ | 耐熱フィルム、シート及びライニング材に使用できる。 | ダイライン、焼け、板厚偏差を管理する。 |
| 真空・圧空成形 | ○ | 加熱シートの二次成形が可能である。 | 加熱幅が狭く、局部過熱及び白化に注意する。 |
| 圧縮成形 | △ | 板材等で適用可能であるが主流ではない。 | 均一加熱とガス抜きが必要である。 |
| 3Dプリント | △ | 技術的には可能であるが市販フィラメント及び装置適合が限定的である。 | 腐食性ガス、反り、層間接着及び換気に注意する。 |
| 切削加工 | ○ | 板、丸棒及び成形品の追加工が可能である。 | 発熱、欠け、クランプ応力及び切削油適合性を確認する。 |
| 熱風・熱板溶着 | ○ | PVC系の溶着技術を応用できる。 | 適合する溶接棒、温度及び脱塩酸防止が必要である。 |
| 溶剤接着 | ◎ | 配管施工で広く用いられる。 | 専用セメント、挿入長、養生時間、温度及び残留溶剤を管理する。 |
| 塗装・印刷 | ○ | 表面処理又は適合インキにより可能である。 | 溶剤による応力割れ、膨潤及び密着不良を確認する。 |
| めっき・蒸着 | △ | 特殊前処理により可能である。 | 薬液耐性、前処理による劣化及び熱履歴を確認する。 |
代表的な成形条件
| 項目 | 単位 | 一般的な目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 予備乾燥 | - | 通常は必須でない | 吸湿性は低いが、結露、保管状態又は表面水分がある場合は乾燥する。 |
| 乾燥温度 | ℃ | 60~80 | 必要時の目安。メーカー推奨を優先する。 |
| 乾燥時間 | h | 2~4 | 粉体・ペレット形態及び保管状態に依存する。 |
| シリンダー温度・供給部 | ℃ | 170~185 | 射出成形用コンパウンドの一般的目安。 |
| シリンダー温度・圧縮部 | ℃ | 180~195 | せん断発熱を含む実樹脂温度を監視する。 |
| シリンダー温度・計量部 | ℃ | 185~200 | 高温滞留を避ける。グレード差が大きい。 |
| ノズル温度 | ℃ | 185~200 | 糸引きと焼けのバランスを取る。 |
| 金型温度 | ℃ | 40~80 | 外観、残留応力、ウェルド強度に影響する。 |
| 射出圧力 | MPa | 70~140 | 製品形状、肉厚及び流動長に依存する。 |
| 成形収縮率・流動方向 | % | 0.3~0.7 | 非強化コンパウンドの目安。 |
| 成形収縮率・流動直角方向 | % | 0.4~0.8 | 形状、保圧、金型温度及び配合に依存する。 |
| 推奨肉厚 | mm | 2~5 | 厚肉部ではヒケ、ボイド、焼け及び冷却時間に注意する。 |
| 滞留時間 | min | できるだけ短くする | 停止時はメーカー指定パージ材で速やかに置換する。 |
上記は材料群としての一般的な目安であり、特定グレードの保証条件ではない。CPVCは熱分解時に塩化水素を発生し得るため、局所過熱防止、十分な換気、耐食性のある設備、適切なパージ及び温度監視が必要である。
代表的な物性値又は機械的性質
非強化・標準CPVCコンパウンド
| 項目 | 単位 | 代表値 | 代表範囲 | 試験規格・条件 | 材料状態・信頼度 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 1.55 | 1.49~1.59 | 23℃、代表値 | 標準状態、A~B | 塩素含有率及び配合により変動する。 |
| 比重 | - | 1.55 | 1.49~1.59 | 23℃、代表値 | 標準状態、A~B | 樹脂粉末とコンパウンドを区別する。 |
| 吸水率・24時間 | % | 0.05 | 0.03~0.10 | 23℃水中、24 h、規格差あり | 乾燥成形品、B~C | 低吸水性であるが、配合剤及び表面状態に依存する。 |
| 引張強さ・降伏 | MPa | 54 | 51~56 | ASTM D638、23℃ | 標準状態、A | 代表グレード公開値。保証値ではない。 |
| 引張弾性率 | GPa | 2.85 | 2.8~2.9 | ASTM D638、23℃ | 標準状態、A | 温度上昇で低下する。 |
| 引張破断伸び | % | 100 | 80~120 | ASTM D638、23℃ | 標準状態、A | 耐衝撃改質量及び試験速度に依存する。 |
| 曲げ強さ | MPa | 90 | 80~105 | ASTM D790又はISO 178相当 | 標準状態、B~C | 規格差があるため単純比較に注意する。 |
| 曲げ弾性率 | GPa | 2.8 | 2.4~3.2 | ASTM D790又はISO 178相当 | 標準状態、B~C | 引張弾性率と同一値として扱わない。 |
| アイゾット衝撃強さ・ノッチ付き | kJ/m² | データなし | グレード依存 | ISO 180 | 不明、C | J/m表記のASTM値を直接換算しない。 |
| シャルピー又はASTM衝撃値 | J/m | 285 | 245~358 | 公開資料はASTM D256表記 | 標準状態、A | 資料上の名称と規格に不整合の可能性があり、比較時は原データ確認が必要である。 |
| 荷重たわみ温度・1.80 MPa | ℃ | 104 | 95~110 | ASTM D648、1.82 MPa | 標準状態、A | 塩素化度及び配合に依存する。 |
| ビカット軟化温度 | ℃ | 110 | 96~119 | ASTM D1525、5 kg荷重 | 標準状態、A | 試験法・荷重条件を併記して比較する。 |
| ガラス転移温度 | ℃ | 115 | 105~125 | DSC又はDMA、条件依存 | 標準状態、B~C | 塩素含有率により変動する。 |
| 融点 | ℃ | 該当なし | 該当なし | 非晶性樹脂 | - | 明確な結晶融点を持たない。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 90 | 80~100 | 用途・圧力・寿命依存 | 参考値、B~C | 配管規格、設計圧力、薬液及び寿命を優先する。 |
| 熱伝導率 | W/(m・K) | 0.14 | 0.12~0.17 | 23℃、代表値 | 標準状態、B~C | フィラー及び温度で変動する。 |
| 線膨張係数 | 10−5/K | 7.0 | 6.0~8.0 | 23~80℃付近 | 標準状態、B~C | 金属配管より大きいため伸縮設計が必要である。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1×10¹⁵ | 1×10¹⁴~1×10¹⁶ | 23℃、乾燥状態 | 乾燥状態、B~C | 温度、湿度、添加剤で変動する。 |
| 絶縁破壊強さ | kV/mm | 20 | 15~30 | 厚さ・電極・規格依存 | 乾燥状態、B~C | 試験片厚さを揃えて比較する。 |
| 限界酸素指数・LOI | % | 60 | 45~70 | 配合・厚さ依存 | 参考値、B~C | 高塩素含有のため高い傾向であるが、グレード値を確認する。 |
| UL 94燃焼性 | - | V-0取得グレードあり | HB~V-0等 | 試験片厚さ・色ごと | グレード依存、A~C | 材料群全体の認証として扱わない。 |
複合材・特殊グレードの扱い
CPVCではパイプ・継手用の耐衝撃改質コンパウンドが中心であり、GF又はCF強化材の公開汎用データは限定的である。確認できない強化材の数値を標準CPVCの値へ混在させない。強化グレードを採用する場合は、繊維種類、含有率、流動方向、ウェルド強度、耐薬品性及び溶着・接着適性を個別に確認する。
耐薬品性
以下は主として非強化CPVCの一般的傾向である。評価は◎:一般的条件で影響が小さい、○:概ね使用可能であるが条件確認が必要、△:膨潤・軟化・強度低下・変色・応力割れ等に注意、×:不適、-:データなし又は評価困難を示す。
| 薬品名 | 濃度 | 温度 | 接触条件 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | - | 20℃ | 長期浸漬 | ◎ | 影響小 | 配管、タンク用途で一般に良好である。 |
| 温水 | - | 60~80℃ | 長期 | ○ | クリープ、圧力低下 | 給湯管では規格、圧力及び寿命設計を確認する。 |
| 塩酸 | 20~35% | 20~60℃ | 30日浸漬相当 | ◎ | 影響小 | 80℃では○程度となる代表例がある。 |
| 硫酸 | 30% | 20℃ | 浸漬 | ◎ | 影響小 | 60~80℃では○。50%、80℃では×となる代表例がある。 |
| 硝酸 | 40% | 20℃ | 浸漬 | ◎ | 酸化、変色 | 60~80℃では△。60%では温度上昇により×となり得る。 |
| 酢酸 | 60% | 20℃ | 浸漬 | ◎ | 膨潤、強度低下 | 60~80℃では△。95%では20℃○、高温×の代表例がある。 |
| 水酸化ナトリウム | 40~60% | 20~60℃ | 浸漬 | ◎ | 影響小 | 80℃では○程度。長期応力下は確認する。 |
| 水酸化カリウム | ~50% | 20~60℃ | 浸漬 | ○ | 高温で強度低下 | NaOH類似傾向だが実液確認が必要である。 |
| アンモニア水 | 濃度依存 | 20℃ | 浸漬 | △ | 脱塩素反応、脆化の可能性 | アンモニア及びアンモニウム化合物は慎重に評価する。 |
| メタノール | 100% | 20℃ | 浸漬 | ◎ | 影響小~膨潤 | 60℃では△の代表例がある。 |
| エタノール | 100% | 20℃ | 浸漬 | ◎ | 影響小 | 60℃では○。接着部及び残留応力を確認する。 |
| IPA | 100% | 20~80℃ | 浸漬 | ○ | 軽度膨潤 | 公開代表例では20℃◎、60~80℃○。 |
| ブタノール | 100% | 20℃ | 浸漬 | ◎ | 膨潤 | 60℃○、80℃△の代表例がある。 |
| グリセリン | 100% | 20~80℃ | 浸漬 | ◎ | 影響小 | 多価アルコールに良好な代表例である。 |
| MMB | 100% | 20℃ | 浸漬 | △ | 膨潤、軟化 | 3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール。エーテル・アルコール両性のため実測推奨。 |
| アセトン | 100% | 20℃ | 接触 | × | 著しい膨潤、軟化、溶解 | ケトン系溶剤は原則不適である。 |
| MEK | 100% | 20℃ | 接触 | × | 膨潤、溶解 | 専用接着剤成分となることがあり、構造材の連続接触には不適である。 |
| 酢酸エチル | 100% | 20℃ | 接触 | × | 膨潤、軟化 | エステル系は一般に注意又は不適である。 |
| トルエン | 100% | 20℃ | 接触 | × | 膨潤、軟化、強度低下 | 芳香族炭化水素は不適となりやすい。 |
| キシレン | 100% | 20℃ | 接触 | × | 膨潤、軟化 | 短時間でも応力下割れに注意する。 |
| n-ヘキサン | 100% | 20℃ | 浸漬 | ○ | 添加剤抽出、軽度膨潤 | 脂肪族炭化水素は芳香族より良好な傾向である。 |
| ジクロロメタン | 100% | 20℃ | 接触 | × | 急速な膨潤、溶解 | 塩素系溶剤は原則不適である。 |
| 潤滑油・鉱物油 | - | 20~60℃ | 長期 | ○ | 添加剤抽出、膨潤 | 油種、添加剤、温度及びシール材との組合せを確認する。 |
| ガソリン・混合燃料 | - | 20℃ | 浸漬 | △ | 芳香族分による膨潤 | 燃料組成、含酸素成分及び温度に依存する。 |
| 過酸化水素 | 30%以下 | 20℃ | 浸漬 | ◎ | 酸化、変色 | 60℃○、80℃×の代表例がある。濃度及び安定剤を確認する。 |
| 次亜塩素酸ナトリウム | 有効塩素依存 | 20~60℃ | 長期 | ○ | 酸化、変色、表面劣化 | pH、有効塩素、温度、紫外線及び応力を確認する。 |
| 塩水・海水 | 飽和以下 | 20~60℃ | 長期 | ◎ | 影響小 | 金属部品との接合部及び外部応力を確認する。 |
SP値(溶解度パラメータ)
CPVCのHildebrand SP値は、塩素化度及び算出法により幅があり、代表的な目安として約20~23 MPa1/2と扱われることがある。本ページでは比較用代表値を21.5 MPa1/2とするが、公開値のばらつきが大きいためデータ信頼度はCである。
SP値は溶解・膨潤傾向を推定する一次指標にすぎない。CPVCでは塩素化度、結晶性のないガラス状構造、温度、溶剤の水素結合性、混合溶剤、添加剤抽出、脱塩酸、酸化、環境応力割れ及び拡散速度が影響するため、SP値差だけで耐薬品性を判定してはならない。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
| 薬品名 | SP値 MPa1/2 | CPVCとの差 | 評価 | 実務上の補正・注意 |
|---|---|---|---|---|
| アセトン | 19.9 | 1.6 | × | 実際にも強い膨潤・溶解性を示しやすい。 |
| MEK | 19.0 | 2.5 | × | 接着剤溶剤として利用されるため連続接触には不適である。 |
| 酢酸エチル | 18.2 | 3.3 | △ | 実際には膨潤が大きく、構造用途では×寄りに判断する。 |
| トルエン | 18.2 | 3.3 | △ | 芳香族相互作用と拡散により実用評価は×となりやすい。 |
| ジクロロメタン | 20.2 | 1.3 | × | 強溶剤であり急速な膨潤・溶解に注意する。 |
| THF | 18.6 | 2.9 | × | PVC系に対する強溶剤であり不適である。 |
| エタノール | 26.0 | 4.5 | △ | SP差だけでは過小評価となり、20℃では一般に良好な例が多い。 |
| IPA | 23.5 | 2.0 | △ | 実際には20℃で良好な例があり、水素結合・分子体積の影響が大きい。 |
| グリセリン | 36.1 | 14.6 | ◎ | 実際にも良好な代表例である。 |
| n-ヘキサン | 14.9 | 6.6 | ○ | 添加剤抽出及び長期膨潤は確認する。 |
| 水 | 47.9 | 26.4 | ◎ | 耐水性は良好であるが、高温圧力下のクリープは別評価である。 |
環境応力割れ・ESC
CPVCはPCやABSほど典型的なESC材料として扱われないが、残留応力、ノッチ、溶剤、接着剤、ねじ締結、インサート及び高温の組合せでは割れが生じ得る。特にケトン、芳香族炭化水素、塩素系溶剤、混合洗浄剤及び接着剤の過剰塗布に注意する。実部品では定ひずみ治具又は実締結状態で薬液暴露し、外観、質量、寸法、引張強度及び漏れを評価する。
製法

CPVCは、一般に懸濁重合等で得たPVC粉末を水系媒体中に分散し、塩素ガス、光、熱又は開始剤を用いて後塩素化することにより製造する。代表的な概念反応は、−CH2−CHCl− + Cl2 → −CHCl−CHCl− + HClであるが、実際には複数位置の置換が統計的に進行する。
反応後は未反応塩素及び副生塩化水素を除去し、中和、水洗、脱水及び乾燥を行ってCPVC粉末を得る。その後、熱安定剤、加工助剤、滑剤、耐衝撃改良剤、顔料、紫外線安定剤等を高速混合し、押出混練又は粉体ドライブレンドとして成形用コンパウンド化する。
塩素化度を高めると一般に耐熱性が向上する一方、溶融粘度上昇及び熱加工性低下が起こりやすい。均一な塩素分布、粒子形態、分子量、残留揮発分及び安定剤設計が製品性能を左右する。
詳細な利用用途
| 分野 | 具体例 | 適性 | 採用理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 建築・設備 | 給湯・給水管、継手、排水継手 | ◎ | 耐熱、耐食、軽量、施工性 | 温度別許容圧力、接着養生、熱伸縮を確認する。 |
| 消防設備 | 消火スプリンクラー管・継手 | ◎ | 難燃性、耐食性、軽量性 | 認証規格、設置条件、塗料・シーラント適合を確認する。 |
| 化学プラント | 薬液配管、バルブ、タンク、ダクト | ◎ | 酸・アルカリ・塩類への耐性 | 濃度、温度、圧力、酸化性及び混合薬品を確認する。 |
| 半導体・電子 | 洗浄槽、耐薬品板、排気ダクト | ○ | 耐薬品性、絶縁性、加工性 | 純度、溶出、発塵、アウトガス及び難燃規格を確認する。 |
| 電気・電子 | ケーブル保護管、絶縁板、筐体 | ○ | 電気絶縁性、難燃性、耐熱性 | UL認証、CTI、RTI、厚さ及び色を確認する。 |
| 自動車 | 耐熱ダクト、バッテリー周辺シート | △ | 難燃、耐熱、耐薬品 | 振動、低温衝撃、燃料・油、VOC及び自動車規格を確認する。 |
| 食品機械 | 温水・洗浄配管、薬液配管 | ○ | 耐食、洗浄性、軽量 | 食品接触適合、温度、洗浄剤及び溶出を確認する。 |
| 医療 | 装置配管、筐体、耐薬品部材 | △ | 耐薬品性、難燃性 | USP Class VI、ISO 10993、滅菌耐久はグレードごとに確認する。 |
| フィルム・シート | 耐熱フィルム、難燃シート、ライニング | ○ | 難燃、耐熱、耐薬品 | 可とう性、透明性、折曲げ及び二次加工性を確認する。 |
| 接着剤 | CPVC配管用溶剤セメント | ◎ | 溶剤溶着による一体接合 | 専用品、施工温度、塗布量、養生時間及び換気を管理する。 |
用途別選定
| 用途 | 適性 | 理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ギア・軸受・ブッシュ | × | 摺動性及び耐摩耗性を主目的とする材料ではない。 | POM、PA、PTFE等を比較する。 |
| ポンプ・バルブ部品 | ◎ | 耐食性、耐熱性、剛性を生かせる。 | 薬液、圧力、シール材、キャビテーション及び温度を確認する。 |
| 配管・継手 | ◎ | CPVCの代表用途である。 | 規格、長期水圧、接着施工及び熱伸縮を確認する。 |
| タンク・ライニング | ○ | 酸・アルカリ・塩類への耐食性が高い。 | 大型構造のクリープ、溶接部、支持方法及び薬液温度を確認する。 |
| フィルム・シート | ○ | 難燃・耐熱シートとして利用できる。 | 加工性、折曲げ、可塑剤、透明性及び難燃規格を確認する。 |
| 電気コネクタ | △ | 絶縁性と難燃性は良好である。 | 精密寸法、端子保持、リフロー耐熱及びCTIでは他エンプラが有利な場合がある。 |
| 一般筐体 | ○ | 難燃、耐薬品、耐熱を要求する筐体に適する。 | 外観、衝撃、ねじボス及び成形性を確認する。 |
| 透明カバー・レンズ | △ | 透明グレードは存在する。 | 光学透明性、耐候性、複屈折ではPC又はPMMAが有利である。 |
| 屋外部品 | ○ | 耐候配合で使用可能である。 | 無安定グレード、濃色、熱蓄積及び紫外線による退色を確認する。 |
| 塗料・コーティング | △ | 溶液又は分散体として特殊コーティングに使用できる。 | 溶剤選択、残留溶剤、密着性、塗膜脆性及び環境規制を確認する。 |
寸法精度・設計特性
- 非晶性で成形収縮率は比較的小さいが、肉厚差、流動配向、保圧及び金型温度により反りが生じる。
- 線膨張係数は金属より大きいため、長尺配管では伸縮継手、オフセット、支持間隔及び温度勾配を考慮する。
- 高温長期荷重ではクリープが支配的となる。短時間引張強度を設計許容応力として使用しない。
- ねじ締結、圧入、インサート周辺では残留応力とノッチ効果を抑え、座面、締付トルク及びボス肉厚を管理する。
品質・成形不良
| 不良 | 材料側の主因 | 成形条件側の主因 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| 変色・黒点 | 熱安定性不足、異物、再生材劣化 | 高温、長時間滞留、デッドスポット | 温度低下、滞留短縮、設備清掃、適正パージ、安定剤確認 |
| ガス焼け | 脱塩酸、揮発分 | 高速充填、ベント不足、局部圧縮 | ベント改善、射出速度調整、樹脂温度管理 |
| フローマーク・ジェッティング | 高粘度、流動性不足 | ゲート設計不良、金型温度不足 | ゲート拡大、速度多段化、金型温度最適化 |
| ウェルド強度不足 | 低融着性、改質剤影響 | 低温、空気巻込み、会合角不良 | 樹脂・金型温度最適化、ベント改善、ゲート位置見直し |
| ヒケ・ボイド | 高粘度、厚肉 | 保圧不足、冷却不均一 | 肉厚均一化、保圧・ゲート・冷却最適化 |
| 反り | 配向、収縮差 | 金型温度差、偏肉、ゲート偏り | 形状、冷却回路、ゲート及び保圧を見直す |
| 金型腐食 | 脱塩酸、酸性分 | 高温滞留、結露 | 耐食材、換気、温度管理、防錆及び清掃を徹底する |
| プレートアウト | 滑剤・安定剤の過剰又は相溶性不足 | 低温部への析出、長時間運転 | 配合見直し、温度均一化、定期清掃 |
注意点・劣化・故障モード
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 外観・性能への影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 熱分解・脱塩酸 | 高温、長時間滞留、せん断発熱 | 成形停止、デッドスポット、局所過熱 | 黄変、褐変、黒化、脆化、腐食性ガス | 温度・滞留管理、適正安定剤、耐食設備、換気 | 熱安定性試験、実成形連続運転試験 |
| 環境応力割れ | 残留応力と溶剤の相乗 | ねじ締結、接着剤過剰、ケトン・芳香族溶剤 | クラック、漏れ、破断 | 応力低減、専用接着剤、養生、アニール検討 | 定ひずみESC試験、実締結部品浸漬 |
| 膨潤・溶解 | 強溶剤との接触 | ケトン、エステル、芳香族・塩素系溶剤 | 軟化、寸法増加、強度低下 | 薬品選定、遮蔽、代替材検討 | 実薬品浸漬、質量・寸法・強度測定 |
| クリープ破壊 | 長期応力、温度、内圧 | 高温配管、支持不足、応力集中 | 変形、膨れ、漏れ、破裂 | 温度別許容応力、支持設計、安全率 | 長期静水圧、クリープ試験、ヒートサイクル |
| 紫外線劣化 | UV、熱、酸素 | 屋外、濃色部品、日射加熱 | 退色、チョーキング、衝撃低下 | 耐候グレード、顔料、遮光 | キセノンアーク、屋外暴露、色差・衝撃保持率 |
| 添加剤抽出・溶出 | 水、油、溶剤、温度 | 食品・医療・高純度用途 | 物性低下、汚染、臭気 | 適合配合、事前抽出、証明書確認 | 溶出試験、TOC、ICP、GC-MS等 |
| アウトガス | 残留揮発分、分解生成物 | 真空、高温、クリーン用途 | 汚染、腐食、光学曇り | 低揮発グレード、ベーク、温度制限 | TML/CVCM、GC-MS、実装置評価 |
法規制・認証
| 規制・認証 | 一般的な位置付け | 確認事項 |
|---|---|---|
| RoHS・ELV | 適合可能なグレードが存在する | 鉛、カドミウム、六価クロム、特定難燃剤、フタル酸エステル及び安定剤組成をグレードごとに確認する。 |
| REACH・SVHC | 個別確認が必要 | 樹脂だけでなく安定剤、加工助剤、顔料及び不純物を含む最新SDS・適合証明を確認する。 |
| PFAS関連規制 | CPVC主鎖自体はフッ素樹脂ではない | 加工助剤、シール、コーティング等にフッ素化物を含む可能性があるため、最終製品として確認する。 |
| FDA・EU食品接触 | 適合グレードが存在し得る | 用途、温度、接触食品、時間及び添加剤制限を確認する。材料名のみで適合を断定しない。 |
| 日本の食品衛生法・ポジティブリスト | 個別グレード確認 | 樹脂区分、添加剤、使用温度、接触条件及び事業者証明を確認する。 |
| 飲料水・配管認証 | 認証製品・コンパウンドが存在する | NSF、ASTM、JIS、各国水道・建築・消防規格等を製品単位で確認する。 |
| UL 94・UL Yellow Card | 登録グレードあり | 厚さ、色、成形条件、RTI、CTI及び製造拠点をYellow Cardで確認する。 |
| 医療・USP Class VI・ISO 10993 | 一般化困難 | 医療専用グレード、抽出物、滅菌法、変更管理及び生体適合性を個別確認する。 |
| ハロゲンフリー | 非該当 | CPVCは塩素を高濃度に含むため、ハロゲンフリー要求には適合しない。 |
環境・リサイクル性、価格・供給性
| 項目 | 概略評価 | 内容 |
|---|---|---|
| 熱可塑性・再成形 | 熱可塑性 | 再溶融は可能であるが、熱履歴により安定性、色調及び衝撃特性が低下しやすい。 |
| マテリアルリサイクル | △ | 工程内端材の限定的再利用は可能であるが、異物、PVC混入、安定剤履歴及び用途規格を管理する。 |
| ケミカルリサイクル | 開発・限定段階 | 脱塩素及び塩素回収が課題であり、一般的な回収ルートは限定される。 |
| 焼却時の注意 | 塩素含有 | 不適切な燃焼では塩化水素等が発生するため、適切な排ガス処理設備を持つ処理施設で扱う。 |
| 生分解性 | なし | バイオベース又はコンポスト適合材料ではない。 |
| 相対価格 | 中価格~比較的高価格 | 一般硬質PVCより高く、フッ素樹脂より低い傾向である。市況、購入量、グレード及び地域で変動する。 |
| 国内入手性 | ○ | 樹脂・コンパウンド、管、継手、板等は入手可能であるが、特殊色・医療・高純度品は限定される。 |
比較用評価スコア
| 評価項目 | スコア | 評価理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 3 | 約51~56 MPaで汎用樹脂より高めだが、強化エンプラには及ばない。 |
| 剛性 | 3 | 約2.8~2.9 GPaで標準的な剛性を持つ。 |
| 衝撃強度 | 3 | 耐衝撃改質により改善可能であるが、低温・ノッチ感受性に注意する。 |
| 耐熱性 | 4 | 硬質PVCより20~40℃高く、HDTは約95~110℃である。 |
| 耐薬品性 | 4 | 酸、アルカリ、塩類に強いが、有機溶剤には弱い。 |
| 耐候性 | 3 | 耐候配合で屋外使用可能だが、無安定材では退色・衝撃低下に注意する。 |
| 寸法安定性 | 3 | 低吸水で収縮は比較的小さいが、熱膨張とクリープを考慮する。 |
| 低吸水性 | 5 | 24時間吸水率は一般に低い。 |
| 摺動性・耐摩耗性 | 2 | 専用摺動材ではなく、ギア・軸受用途は限定的である。 |
| 電気絶縁性 | 4 | 高い体積抵抗率と難燃性を持つ。 |
| 難燃性 | 5 | 高塩素含有により自己消火性及び高LOIを示しやすい。 |
| 透明性 | 2 | 透明化可能だが、一般グレードは不透明又は半透明である。 |
| 成形加工性 | 2 | 加工可能だが熱安定域が狭く、設備・条件管理が難しい。 |
| 接着性 | 5 | 専用溶剤セメントにより高強度接合が可能である。 |
| リサイクル性 | 2 | 熱履歴及び塩素含有のため一般回収・再利用に制約がある。 |
| 価格優位性 | 3 | PVCより高価だが、高耐食金属やフッ素樹脂より有利な用途がある。 |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | CPVCとの違い |
|---|---|---|
| ポリ塩化ビニル(PVC) | 低価格、耐薬品、難燃、配合自由度が高い。 | CPVCはPVCを後塩素化して耐熱性を約20~40℃向上させた材料である。PVCは加工性と価格で有利である。 |
| ポリプロピレン(PP) | 軽量、耐薬品、良好な成形性。 | PPは軽量で有機溶剤耐性に優れる場合がある。CPVCは難燃性、剛性、温水寸法安定性で有利だが高比重である。 |
| ポリエチレン(PE) | 低温衝撃、耐薬品、柔軟性、低価格。 | PEは低温靭性と軽量性で優れる。CPVCは耐熱、難燃、剛性及び接着施工性で優れる。 |
| ABS樹脂 | 耐衝撃、外観、射出成形性に優れる。 | ABSは筐体成形に有利である。CPVCは耐薬品、難燃及び高温配管用途で優れる。 |
| ポリフッ化ビニリデン(PVDF) | 耐薬品、耐候、高純度、耐熱性に優れる。 | PVDFは溶剤・ハロゲン・高純度用途で優れるが高価である。CPVCはコストと接着施工性で有利である。 |
| ポリテトラフルオロエチレン(PTFE) | 最高水準の耐薬品性、低摩擦、耐熱性。 | PTFEは耐薬品・耐熱で大幅に優れるが、溶融成形・接着・剛性・コスト面でCPVCが有利な用途がある。 |
| ポリフェニレンサルファイド(PPS) | 高耐熱、難燃、耐薬品、寸法安定性。 | PPSは高温機械部品に有利である。CPVCは大型配管、接着施工、酸・アルカリ設備及び価格で有利である。 |
| PFA | 溶融成形可能なフッ素樹脂で、耐薬品・高純度性に優れる。 | PFAは強溶剤と超高純度用途で優れるが極めて高価である。CPVCは一般工業配管のコスト性能に優れる。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 株式会社カネカ | KANEKA™ CPVC、Hシリーズ | 継手、パイプ、シート・プレート、接着剤用途向けのCPVC樹脂を展開する日本の主要メーカーである。 |
| 積水化学工業株式会社 | Durastream、セキスイPVC-HA | CPVC樹脂・コンパウンド及び配管用途を展開し、給湯、スプリンクラー、工業配管向け技術を持つ。 |
| The Lubrizol Corporation | TempRite、Corzan、BlazeMaster、FlowGuard | CPVCコンパウンド及び配管システム技術を世界展開する主要企業である。ブランドと供給地域は用途ごとに異なる。 |
推奨確認試験
- 実薬品浸漬試験:実濃度、実温度及び予定時間で、質量、寸法、外観、硬度、引張強度及び漏れを確認する。
- 応力負荷下ESC試験:実締結、曲げひずみ又は残留応力を再現し、溶剤、洗浄剤及び接着剤へ暴露する。
- 長期静水圧・クリープ試験:配管用途では最高使用温度、設計圧力及び寿命を想定する。
- ヒートサイクル試験:最低温度~最高使用温度を繰り返し、接着部、支持部及び金属接続部の漏れ・割れを確認する。
- 熱老化・紫外線促進耐候試験:屋外用途では色差、光沢、衝撃強度及び引張保持率を評価する。
- 実成形試験:連続運転時の変色、黒点、プレートアウト、金型腐食、ウェルド強度及び寸法安定性を確認する。
- 食品・医療・高純度用途では、溶出、TOC、イオン、金属、VOC及び滅菌耐久を用途規格に従って確認する。
最終的な材料採用では、グレード、塩素化度、配合、温度、濃度、荷重、応力、湿度、接触時間、試験片形状、成形条件及び法規制を確認し、実部品又は実配管で耐久試験を行う必要がある。
関連キーワード
塩素化ポリ塩化ビニル / CPVC / PVC-C / ポリ塩化ビニル / 塩ビ樹脂 / 塩化ビニル / 耐熱プラスチック / 耐熱性・耐薬品性 / PVDF / PTFE / PFA / PP / PE / 給湯管 / 工業用配管 / スプリンクラー配管 / 溶剤接着 / 脱塩酸 / 環境応力割れ / UL 94