| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | シリコーンゴム |
| 略記号 | VMQ、PVMQ、PMQ、FVMQ、LSR、HCR、RTV |
| IUPAC | Poly(dimethylsiloxane) を主骨格とする架橋シロキサン系エラストマー |
| 英語名 | Silicone Rubber、Silicone Elastomer、Polysiloxane Rubber |
| 日本語名 | シリコーンゴム、シリコンゴム、シロキサンゴム、ポリシロキサンゴム |
| 分類 | 合成ゴム、熱硬化性エラストマー、シリコーン系エラストマー |
| プラスチック分類 | エラストマー、熱硬化性ゴム、機能性ゴム材料 |
| 化学式または代表構造 | 主鎖:[-Si(CH3)2-O-]n を基本とする。架橋後は三次元網目構造となる。 |
| CAS No. | 9016-00-6(ポリジメチルシロキサンの代表例。シリコーンゴム全体としては配合、架橋系により異なる) |
| 構造・主成分 | シロキサン結合(Si-O-Si)を主鎖とし、メチル基、ビニル基、フェニル基、フルオロアルキル基などを側鎖または共重合成分として含む。 |
| 主な用途 | パッキン、Oリング、ガスケット、チューブ、電気絶縁部品、医療部品、食品機械部品、キーパッド、放熱シート、シーリング材など。 |
概要
シリコーンゴムは、ポリシロキサンを主成分とするゴム状材料である。一般的な有機ゴムの主鎖が炭素-炭素結合を主体とするのに対し、シリコーンゴムはシロキサン結合(Si-O-Si)を主鎖とするため、耐熱性、耐寒性、耐候性、電気絶縁性に優れることが特徴である。
代表的には、ミラブル型シリコーンゴム、液状シリコーンゴム、室温硬化型シリコーンゴムに分類される。加硫・硬化方式としては、過酸化物加硫、付加反応硬化、縮合反応硬化などがあり、成形方法や使用環境により適切なグレードを選定する必要がある。
シリコーンゴムは、広い温度範囲で柔軟性を維持しやすい一方、引裂強さ、耐摩耗性、耐油性、耐溶剤性はフッ素ゴム、NBR、ポリウレタンゴムなどと比較して劣る場合がある。実使用では、グレード、硬さ、充填材、架橋方式、温度、薬品濃度、荷重、応力、使用時間を確認することが重要である。
特徴
長所
- 耐熱性、耐寒性に優れ、一般に -50℃前後から 200℃前後までの広い温度範囲で使用できる。
- 耐候性、耐オゾン性、耐紫外線性に優れ、屋外用途で劣化しにくい。
- 電気絶縁性が高く、温度や湿度変化に対して電気特性が比較的安定である。
- 生理的安定性に優れるグレードがあり、医療、食品、乳幼児用品などにも使用される。
- 圧縮永久ひずみが比較的小さいグレードがあり、シール材として使いやすい。
- 透明性、着色性、柔軟性を調整しやすい。
短所
- 引裂強さ、耐摩耗性、機械的強度は、一般的な有機ゴムより低い場合がある。
- 芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、燃料油、鉱物油、一部の溶剤により膨潤しやすい。
- 強酸、強アルカリ、高温高圧蒸気では劣化する場合がある。
- 低分子シロキサンの移行や揮発が問題となる用途では、低揮発グレードや後加硫処理が必要となる。
- 加硫阻害物質に接触すると、付加硬化型では硬化不良を起こす場合がある。
外観
未充填または高透明グレードでは透明から半透明である。一般グレードでは乳白色、灰色、赤褐色、黒色などが多い。着色剤、シリカ、熱伝導フィラー、導電性フィラー、難燃剤などの配合により外観は大きく変化する。
耐熱性
シリコーンゴムは、一般に 150℃程度では長時間の使用に耐えやすく、200℃前後でも条件により使用される。耐熱グレードでは 230℃から 250℃程度の短時間使用に対応する場合がある。ただし、圧縮応力、酸素、薬品、油分、厚み、使用時間により劣化速度は変化する。
耐薬品性
水、希酸、希アルカリ、低級アルコールには比較的安定である。一方、トルエン、キシレン、ガソリン、ヘキサン、鉱物油、塩素系溶剤などでは膨潤しやすい。耐油性や耐燃料性が必要な場合は、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)やフッ素ゴムとの比較が必要である。
加工性
ミラブル型はロール混練、押出、カレンダー、圧縮成形に適する。液状シリコーンゴムは射出成形に適し、自動化、精密成形、インサート成形に向く。RTVタイプはシーリング材、ポッティング材、型取り材などに使用される。
分類上の注意
シリコーンゴムは「ゴム」または「熱硬化性エラストマー」に分類される材料であり、一般的な熱可塑性プラスチックではない。架橋後は再溶融成形できないため、熱可塑性エラストマーとは区別する必要がある。
構造式
代表的な構造単位
| 項目 | 構造 |
|---|---|
| PDMS基本構造 | [-Si(CH3)2-O-]n |
| ビニルメチルシロキサン単位 | [-Si(CH3)(CH=CH2)-O-] |
| フェニルメチルシロキサン単位 | [-Si(CH3)(C6H5)-O-] |
| フルオロシリコーン単位の代表例 | [-Si(CH3)(CH2CH2CF3)-O-] |
モノマーまたは構成単位
工業的には、ジメチルジクロロシラン、環状シロキサン、ビニル基含有シロキサン、フェニル基含有シロキサンなどを原料として、ポリシロキサンを合成する。シリコーンゴムでは、ベースポリマーに補強性シリカ、架橋剤、触媒、加硫剤、熱安定剤、顔料などを配合し、硬化によりゴム弾性を発現させる。
共重合体や変性グレード
一般的なシリコーンゴムは VMQ が中心である。耐寒性を高めた PVMQ、耐油性を改良した FVMQ、透明性や低揮発性を高めたグレード、熱伝導性、導電性、難燃性、自己接着性を付与したグレードなどがある。構造と配合により、同じシリコーンゴムでも物性と耐薬品性は大きく異なる。
種類
| 種類の名称 | 主成分または特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| VMQ | ビニルメチルシリコーンゴム。最も一般的なシリコーンゴムである。 | 耐熱性、耐寒性、電気絶縁性、成形性のバランスがよい。 | 耐油性、耐燃料性、耐摩耗性は限定的である。 | パッキン、Oリング、チューブ、電気絶縁部品、食品機械部品。 |
| PMQ | フェニルメチルシリコーンゴム。 | 低温柔軟性、耐放射線性が改良される場合がある。 | 一般グレードより高価で、採用範囲は限定される。 | 低温シール、航空宇宙、特殊電気部品。 |
| PVMQ | フェニル基とビニル基を含むシリコーンゴム。 | 低温特性と成形性を両立しやすい。 | 標準 VMQ より材料選定の確認が必要である。 | 低温用シール、特殊パッキン、精密部品。 |
| FVMQ | フルオロアルキル基を含むフルオロシリコーンゴム。 | シリコーンゴムの耐寒性を保ちながら、燃料油、潤滑油への耐性を改良できる。 | VMQ より高価で、引裂強さや圧縮永久ひずみは用途ごとに確認が必要である。 | 燃料系シール、航空機、自動車燃料系部品。 |
| HCR / HTV | 高粘度のミラブル型シリコーンゴム。加熱加硫して使用する。 | 押出、圧縮成形、カレンダー加工に適する。 | 混練、加硫、後加硫の管理が必要である。 | チューブ、シート、ガスケット、電線被覆。 |
| LSR | 2液付加硬化型の液状シリコーンゴム。 | 射出成形性、精密成形性、自動化適性に優れる。 | 白金触媒の加硫阻害、金型管理、材料保管に注意が必要である。 | 医療部品、乳首、キーパッド、コネクタシール、防水部品。 |
| RTV | 室温硬化型シリコーンゴム。1液型、2液型がある。 | 現場施工、接着、シール、ポッティングに使いやすい。 | 硬化速度、深部硬化、発生副生成物、接着性の確認が必要である。 | シーリング材、接着剤、ポッティング材、型取り材。 |
| 熱伝導性シリコーンゴム | アルミナ、窒化ホウ素、酸化亜鉛などの熱伝導フィラーを高充填したグレード。 | 柔軟性と放熱性を両立しやすい。 | 比重が高く、柔軟性や引裂強さが低下する場合がある。 | 放熱シート、電子部品、パワーモジュール、LED部品。 |
| 導電性シリコーンゴム | カーボン、金属粉、導電フィラーを配合したグレード。 | 柔軟な導電部品や静電気対策部品に使用できる。 | 絶縁性は失われ、接触抵抗や圧縮条件の確認が必要である。 | 導電パッド、EMIシールド、接点部品。 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 内容 |
|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | LSR、LIMSに適する。精密シール、医療部品、コネクタ部品などで多用される。 |
| 押出成形 | ◎ | HCR、HTVに適する。チューブ、コード、パッキン、電線被覆に用いられる。 |
| ブロー成形 | × | 熱可塑性樹脂のような溶融ブロー成形には一般に適さない。 |
| 圧縮成形 | ◎ | HCR、RTV、成形用コンパウンドに適する。比較的単純形状のシール材に用いられる。 |
| トランスファー成形 | ○ | インサート部品や比較的複雑な形状に適用される。 |
| カレンダー加工 | ◎ | シート、フィルム状ゴム、ガラスクロス補強シートなどに使用される。 |
| 真空成形 | × | 熱可塑性シートのような真空成形には一般に適さない。 |
| 切削加工 | △ | 柔軟性が高いため寸法精度を出しにくい。高硬度品やシート材では条件により加工可能である。 |
| 注型・ポッティング | ◎ | RTV、液状シリコーンに適する。電気絶縁、封止、型取りに用いられる。 |
| 3Dプリント | △ | 専用の液状シリコーン材料と装置を用いる場合に限られる。 |
代表的な物性値又は機械的性質
| 項目 | 単位 | 標準VMQ | LSR | FVMQ | 熱伝導性 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm3 | 1.10 ~ 1.25 | 1.10 ~ 1.20 | 1.25 ~ 1.45 | 1.8 ~ 3.2 | 充填材量により大きく変化する。 |
| 硬さ | Shore A | 20 ~ 80 | 10 ~ 80 | 40 ~ 80 | 20 ~ 90 | シール用途では 40 ~ 70 Shore A が多い。 |
| 引張強さ | MPa | 5 ~ 12 | 5 ~ 11 | 6 ~ 10 | 1 ~ 6 | 高引裂グレードではさらに高い場合がある。 |
| 伸び | % | 150 ~ 700 | 200 ~ 800 | 150 ~ 500 | 30 ~ 300 | 硬さ、補強性シリカ、フィラー量に依存する。 |
| 引裂強さ | kN/m | 10 ~ 40 | 15 ~ 50 | 10 ~ 35 | 3 ~ 20 | 形状や試験方法により数値差が大きい。 |
| 曲げ弾性率 | MPa | 該当しにくい | 該当しにくい | 該当しにくい | 該当しにくい | ゴム材料では通常、硬さ、引張応力、圧縮応力で評価する。 |
| 100%モジュラス | MPa | 0.5 ~ 4 | 0.4 ~ 4 | 1 ~ 5 | 1 ~ 8 | ゴム弾性の実用指標として使われる。 |
| アイゾット衝撃強さ | kJ/m2 | 該当しにくい | 該当しにくい | 該当しにくい | 該当しにくい | 硬質プラスチック向け試験であり、ゴム材料には通常適用しない。 |
| 荷重たわみ温度 | ℃ | 該当しにくい | 該当しにくい | 該当しにくい | 該当しにくい | 熱可塑性樹脂の指標であり、シリコーンゴムでは連続使用温度を確認する。 |
| ガラス転移温度 | ℃ | 約 -120 | 約 -120 | 約 -80 ~ -100 | 約 -120 | 低温柔軟性の目安である。 |
| 融点 | ℃ | 明確な融点なし | 明確な融点なし | 明確な融点なし | 明確な融点なし | 架橋ゴムであり、加熱しても熱可塑性樹脂のように溶融しない。 |
| 連続使用温度 | ℃ | -50 ~ 200 | -50 ~ 200 | -50 ~ 175 | -40 ~ 200 | 耐熱グレードでは 230℃程度まで使用される場合がある。 |
| 短時間使用温度 | ℃ | 約 250 | 約 250 | 約 200 | 約 200 ~ 250 | 使用時間、酸素、荷重、薬品接触により判断する。 |
| 吸水率 | % | 0.1 ~ 1.0 | 0.1 ~ 0.8 | 0.1 ~ 0.8 | 0.1 ~ 1.5 | 充填材と試験条件により変化する。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1014 ~ 1016 | 1014 ~ 1016 | 1013 ~ 1015 | 1010 ~ 1015 | 導電性グレードでは大幅に低下する。 |
| 熱伝導率 | W/m・K | 0.15 ~ 0.25 | 0.15 ~ 0.25 | 0.15 ~ 0.25 | 0.8 ~ 8.0 | 放熱グレードでは高熱伝導フィラーを配合する。 |
| 難燃性 | UL94 | HB ~ V-0相当 | HB ~ V-0相当 | グレードによる | グレードによる | 難燃グレードでは規格適合を個別に確認する。 |
耐薬品性
| 薬品分類 | 代表的な薬品 | VMQ | FVMQ | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 酸類 | 希塩酸、希硫酸、希酢酸 | ○ | ○ | 希酸には比較的安定である。濃酸、高温では劣化に注意する。 |
| 強酸 | 濃硫酸、濃硝酸、発煙酸 | × | △ | 酸化性酸や濃酸では分解、硬化、膨潤が起こる場合がある。 |
| アルカリ類 | 希水酸化ナトリウム、希水酸化カリウム | ○ | ○ | 希アルカリでは使用可能な場合がある。 |
| 強アルカリ | 高濃度 NaOH、高濃度 KOH | × | △ | シロキサン結合が切断される場合があり、長期使用には不向きである。 |
| 低級アルコール類 | メタノール、エタノール、IPA | ◎ | ◎ | 常温短時間では比較的安定である。 |
| 高級アルコール類 | グリセリン、ブタノール、MMB | ○ | ○ | 高温、長時間では膨潤や抽出を確認する。 |
| 芳香族炭化水素類 | トルエン、キシレン、ベンゼン | × | △ | VMQは大きく膨潤しやすい。FVMQでも条件確認が必要である。 |
| 脂肪族炭化水素類 | ヘキサン、ヘプタン、ガソリン | × | ○ | VMQは膨潤しやすい。燃料系ではFVMQが候補となる。 |
| ケトン | アセトン、MEK、MIBK | △ | △ | 短時間では使用できる場合があるが、膨潤、抽出、硬化変化を確認する。 |
| エステル | 酢酸エチル、酢酸ブチル | △ | △ | 溶剤接触では膨潤しやすく、長期使用には注意が必要である。 |
| 塩素系溶剤 | ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン | × | × | 膨潤、軟化、抽出が起こりやすい。 |
| 水・温水 | 水、温水、純水 | ◎ | ◎ | 一般に安定である。ただし高温蒸気、加圧蒸気では劣化する場合がある。 |
| 蒸気 | 飽和蒸気、高温高圧蒸気 | △ | △ | 滅菌用途では専用グレード、温度、時間、回数を確認する。 |
| 油 | 鉱物油、潤滑油、シリコーン油 | △ ~ × | ○ | VMQは油種により膨潤しやすい。FVMQは耐油性を改良したグレードである。 |
| 動植物油 | 大豆油、菜種油、ラード | △ | ○ | 食品接触用途では法規制、抽出、膨潤を確認する。 |
SP値(溶解度パラメータ)
シリコーンゴムの代表的なSP値(δ)は、VMQで約 15.5 ~ 16.5 MPa1/2 程度が目安である。FVMQはフルオロアルキル基を含むため、VMQとは溶剤親和性が異なる。
SP値は溶解・膨潤傾向を推定するための目安であり、架橋密度、充填材、結晶性、温度、薬品濃度、接触時間、応力、抽出成分の有無を考慮する必要がある。特にシリコーンゴムは架橋体であるため、完全に溶解せずに大きく膨潤する場合が多い。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0 ~ 2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2 ~ 5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5 ~ 8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
VMQのSP値を 16.0 MPa1/2 とした場合の代表的な溶剤とのSP値差を示す。評価はSP値差を中心にした目安であり、実際の耐薬品性は必ず浸漬試験、膨潤率、硬度変化、引張物性変化で確認する必要がある。
| 薬品名 | 薬品のSP値 MPa1/2 | VMQとの差 | 評価 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| ヘキサン | 約 14.9 | 約 1.1 | × | 膨潤しやすい。脂肪族炭化水素との長期接触は不向きである。 |
| ヘプタン | 約 15.3 | 約 0.7 | × | VMQは大きく膨潤する可能性がある。 |
| トルエン | 約 18.2 | 約 2.2 | × | 芳香族溶剤であり、膨潤が大きい。 |
| キシレン | 約 18.0 | 約 2.0 | × | 膨潤、軟化、寸法変化に注意する。 |
| 酢酸エチル | 約 18.2 | 約 2.2 | △ | 短時間接触でも膨潤確認が必要である。 |
| MEK | 約 19.0 | 約 3.0 | △ | 条件により膨潤や抽出が起こる。 |
| アセトン | 約 20.1 | 約 4.1 | △ | 短時間接触の用途でも硬度変化を確認する。 |
| IPA | 約 23.5 | 約 7.5 | ○ | 常温短時間では比較的安定である。 |
| エタノール | 約 26.0 | 約 10.0 | ◎ | 一般に良好であるが、添加剤抽出には注意する。 |
| 水 | 約 47.9 | 約 31.9 | ◎ | 高温蒸気では別途確認が必要である。 |
| 評価 | 基準 |
|---|---|
| ◎ | 非常に良好。常温短時間から中長期接触で使用候補となる。 |
| ○ | 概ね良好。温度、濃度、使用時間により確認する。 |
| △ | 注意が必要。膨潤、硬度変化、抽出、応力条件を確認する。 |
| × | 不適。膨潤、軟化、劣化が大きい可能性がある。 |
製法
原料
主な原料は、金属ケイ素、メチルクロライド、ジメチルジクロロシラン、環状シロキサン、ビニル基含有シロキサン、フェニル基含有シロキサン、フルオロアルキル基含有シロキサンなどである。シリコーンゴムとして使用する場合は、ベースポリマーに補強性シリカ、加硫剤、架橋剤、触媒、安定剤、顔料、各種フィラーを配合する。
重合方法
代表的には、ジメチルジクロロシランを加水分解してシロキサンを生成し、環状シロキサンを経由して開環重合により高分子量ポリシロキサンを得る。必要に応じてビニル基やフェニル基を導入し、加硫または硬化に適したポリマーとする。
代表的な反応式
| 工程 | 反応式の例 |
|---|---|
| ジメチルジクロロシランの加水分解 | n(CH3)2SiCl2 + nH2O → [-O-Si(CH3)2-]n + 2nHCl |
| 環状シロキサンの開環重合 | [(CH3)2SiO]4 → HO-[Si(CH3)2-O]n-H |
| 付加硬化の代表例 | ≡Si-CH=CH2 + H-Si≡ → ≡Si-CH2-CH2-Si≡ |
| 縮合硬化の代表例 | ≡Si-OH + HO-Si≡ → ≡Si-O-Si≡ + H2O |
ペレット化やコンパウンド
シリコーンゴムは、一般的な熱可塑性樹脂のようなペレット溶融成形材料ではない。HCRではロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどで混練し、シート、ブロック、ストリップ状のコンパウンドとして供給される。LSRではA液、B液の2液材料として供給され、成形機内で混合して硬化させる。
添加剤、充填材、強化材
補強性シリカは機械的強度を高める主要な充填材である。その他、熱伝導性を付与するアルミナ、窒化ホウ素、酸化亜鉛、導電性を付与するカーボンブラックや金属粉、難燃剤、顔料、耐熱安定剤、低分子シロキサン低減処理などが用いられる。ガラスクロス補強シートや繊維補強品も存在するが、一般的なガラス繊維強化プラスチックとは設計思想が異なる。
詳細な利用用途
| 分野 | 主な用途 | 採用理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自動車 | Oリング、ガスケット、コネクタシール、プラグブーツ、ターボホース、燃料系シール | 耐熱性、耐寒性、耐候性、電気絶縁性に優れる。 | 燃料、オイル接触ではFVMQやFKMとの比較が必要である。 |
| 電気・電子 | 絶縁シート、キーパッド、コネクタ、防水パッキン、放熱シート、ポッティング材 | 絶縁性、柔軟性、耐熱性、耐湿性を併せ持つ。 | 低分子シロキサン、接点障害、アウトガスの確認が必要である。 |
| 機械部品 | パッキン、ダイヤフラム、ローラー、クッション材、防振部品 | 広い温度範囲で柔軟性を保ちやすい。 | 摩耗、引裂、摺動部では他のゴム材料を検討する場合がある。 |
| 医療 | チューブ、カテーテル、シール、人工呼吸器部品、医療用膜、乳首 | 生体適合性グレード、透明性、柔軟性、滅菌適性が利用される。 | 医療規格、抽出物、滅菌条件、ロット管理を確認する。 |
| 食品機械 | 食品用パッキン、チューブ、ホース、へら、シール材 | 耐熱性、柔軟性、食品接触グレードの入手性がある。 | 食品衛生法、FDA、BfRなどの適合性確認が必要である。 |
| 建築・設備 | シーリング材、ガスケット、防水材、照明部品、屋外パッキン | 耐候性、耐紫外線性、耐オゾン性に優れる。 | 塗装性、汚染性、接着性、低分子成分の移行に注意する。 |
| 日用品 | 調理器具、時計バンド、スマートフォンケース、ベビー用品 | 柔軟性、着色性、耐熱性、肌触りが良い。 | 汚れ付着、摩耗、引裂、臭気、規格適合を確認する。 |
| 化学・実験 | 栓、チューブ、型取り材、ラボ用シール | 柔軟性、耐熱性、成形の容易さがある。 | 有機溶剤や強酸・強アルカリとの接触には不向きな場合が多い。 |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | シリコーンゴムとの違い |
|---|---|---|
| フッ素ゴム(FKM) | 耐油性、耐燃料性、耐薬品性、耐熱性に優れる高機能ゴムである。 | FKMは耐油・耐燃料性に優れるが、低温柔軟性や柔らかさではシリコーンゴムが有利な場合がある。 |
| EPDM | 耐候性、耐水性、耐オゾン性に優れる汎用ゴムである。 | EPDMは水系用途に強いが、耐熱性、耐寒性、電気特性ではシリコーンゴムが有利な場合がある。 |
| NBR | 耐油性に優れるニトリルゴムである。 | NBRは鉱物油に強いが、耐熱性、耐候性、低温性ではシリコーンゴムが有利な場合がある。 |
| クロロプレンゴム(CR) | 耐候性、難燃性、機械強度のバランスがよい。 | CRは機械強度や汎用性に優れるが、200℃級の耐熱性ではシリコーンゴムが有利である。 |
| 天然ゴム(NR) | 高い弾性、引張強さ、耐摩耗性を持つ。 | NRは機械強度に優れるが、耐熱性、耐候性、耐オゾン性ではシリコーンゴムが有利である。 |
| 熱可塑性ポリウレタン(TPU) | 耐摩耗性、機械強度、成形性に優れる熱可塑性エラストマーである。 | TPUは射出成形や摩耗用途に強いが、耐熱性、耐候性、電気絶縁性ではシリコーンゴムが有利な場合がある。 |
| 熱可塑性エラストマー(TPE) | 再溶融成形できるゴム状材料である。 | TPEはリサイクル性と量産性に優れるが、シリコーンゴムほどの耐熱性、耐候性を得にくい場合がある。 |
| PTFE | 耐薬品性、非粘着性、耐熱性に優れるフッ素樹脂である。 | PTFEは耐薬品性に優れるが、ゴム弾性はなく、シール設計では用途が異なる。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 信越化学工業 | KEシリーズ、KEPシリーズ、LIMSシリーズ、RTVシリコーンゴム | シリコーン材料の主要メーカーであり、ミラブル型、液状、RTV、放熱材料、医療・食品向けなど幅広いグレードを展開している。 |
| Dow | SILASTIC | シリコーンエラストマー、液状シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴムなどを展開する主要メーカーである。 |
| Wacker Chemie | ELASTOSIL | HCR、LSR、RTVなどのシリコーンゴムを展開し、自動車、医療、電気電子、食品関連用途に使用される。 |
| Momentive Performance Materials | Silopren、Addisil、Tufel、LIM | 液状シリコーンゴム、高粘度シリコーンゴム、医療・自動車・電子向けエラストマーを展開する。 |
| Elkem Silicones | BLUESIL、SILBIONE | 産業用途、医療用途、電気電子用途向けのシリコーン材料を展開している。 |
| Avantor | NuSil | 医療、ヘルスケア、航空宇宙などの高信頼用途向けシリコーン材料の代表例である。 |
| KCC Silicone | KCC Silicone Rubber、LSR、RTV製品群 | シリコーンゴム、液状シリコーン、RTV材料などを展開するシリコーンメーカーである。 |
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