ポリエーテルブロックアミド

概要

項目内容
材料名ポリエーテルブロックアミド
略記号PEBA
IUPAC単一のIUPAC名で表される材料ではなく、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックからなるブロック共重合体である
英語名Polyether Block Amide、Polyether-block-amide、Poly(ether-b-amide)
日本語名ポリエーテルブロックアミド、ポリエーテルブロック共重合ポリアミド、ポリアミド系熱可塑性エラストマー
分類熱可塑性エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ブロック共重合体
プラスチック分類エンジニアリング・プラスチック系熱可塑性エラストマーである
化学式または代表構造HO−[CO−PA−CO−O−PE−O]n−H
PA:ポリアミドブロック、PE:ポリエーテルブロック
CAS No.グレード、構成ポリアミド、ポリエーテル成分により異なるため、一般的には製品SDSで確認する必要がある
構造・主成分PA12、PA11、PA6などの硬質ポリアミドブロックと、PTMG、PEGなどの軟質ポリエーテルブロックからなる
主な用途スポーツ用品、ランニングシューズ部材、医療用カテーテル、チューブ、フィルム、ケーブル被覆、電気電子部品、低温用弾性部品

ポリエーテルブロックアミド(PEBA)は、硬質成分であるポリアミドブロックと、軟質成分であるポリエーテルブロックを結合した熱可塑性エラストマーである。ポリアミドブロックが強度、耐薬品性、耐熱性を担い、ポリエーテルブロックが柔軟性、低温特性、反発弾性を担う構造である。

一般にPEBAは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)やポリエステル系エラストマーに近い用途で検討される材料であるが、低密度、低温柔軟性、反発弾性、耐疲労性のバランスに特徴がある。特にスポーツ用途、医療チューブ用途、薄肉押出用途、柔軟で軽量な機械部品で使用される。

一方、PEBAの特性はポリアミドブロックの種類、ポリエーテルブロックの種類、硬度、結晶化度、可塑剤の有無、安定剤、導電材、発泡状態により大きく変化する。実使用では、グレード、温度、湿度、薬品濃度、応力、荷重、使用時間を確認して材料選定する必要がある。

特徴

  • 長所:低密度で軽量であり、柔軟性、反発弾性、耐屈曲疲労性、低温衝撃性に優れる。
  • 長所:ポリアミド由来の耐摩耗性、耐油性、機械強度を持ち、一般的なゴムより成形加工しやすい。
  • 長所:射出成形、押出成形、フィルム成形、チューブ成形、発泡成形などに対応するグレードがある。
  • 短所:強酸、強アルカリ、高温水、蒸気、一部の極性溶剤では加水分解、膨潤、軟化、物性低下を生じる場合がある。
  • 短所:紫外線、熱履歴、吸湿、成形乾燥不足により、黄変、寸法変化、機械物性低下が起こる場合がある。
  • 外観:一般に乳白色から半透明、または透明に近いペレットである。着色、黒色、導電、発泡グレードもある。
  • 耐熱性:融点は代表的に約130〜175℃であり、連続使用温度は一般に約60〜100℃程度が目安である。
  • 耐薬品性:油、脂肪族炭化水素、弱酸、弱アルカリには比較的安定なグレードが多いが、溶剤、温水、応力条件では確認が必要である。
  • 加工性:熱可塑性樹脂として再溶融成形できる。吸湿による成形不良を避けるため、成形前乾燥が重要である。
  • 分類上の注意:PEBAはポリアミドであると同時に熱可塑性エラストマーであり、硬質ナイロンとは設計上の考え方が異なる。

構造式

化学式の画像用表記

白黒の構造式画像を作成する場合は、MS Pゴシック等で以下の代表構造を表記するとよい。

HO−[CO−PA−CO−O−PE−O]n−H

項目内容
代表的な構造単位−CO−PA−CO−O−PE−O−
PAブロックPA12、PA11、PA6、共重合ポリアミドなど
PEブロックPTMG、PEG、ポリエーテルジオールなど
モノマーまたは構成単位両末端カルボン酸型ポリアミドオリゴマーと、両末端水酸基型ポリエーテルオリゴマー
共重合体・変性グレードPA12系、PA11系、親水性、帯電防止、導電、耐候、発泡、医療用、食品接触対応などがある

PEBAでは、ポリアミドブロックが結晶性の物理架橋点として働き、ポリエーテルブロックがゴム弾性を与える。硬質ブロック比率が高いほど剛性、硬度、耐熱性は高くなりやすく、軟質ブロック比率が高いほど柔軟性、低温特性、反発弾性は高くなりやすい。

種類

種類の名称主成分または特徴長所短所主な用途
標準PEBAPA12系または共重合PA系ブロックとポリエーテルブロック柔軟性、耐摩耗性、耐油性、成形性のバランスがよい強溶剤、高温水、紫外線には注意が必要であるチューブ、ケーブル被覆、一般弾性部品
軟質PEBAポリエーテル成分が多い低硬度グレード柔軟性、低温特性、反発弾性に優れる剛性、耐熱性、寸法安定性は低下しやすいスポーツ用品、シューズ部材、クッション部材
硬質PEBAポリアミド成分が多い高硬度グレード強度、耐摩耗性、形状保持性が高い柔軟性、反発性は軟質グレードより低い機械部品、スキー靴部材、薄肉成形品
親水性PEBAPEG系など親水性ポリエーテルを含むグレード帯電防止性、湿潤時の潤滑性、透湿性を付与しやすい吸水、寸法変化、湿度依存性に注意が必要である医療チューブ、透湿フィルム、帯電防止部品
発泡PEBA物理発泡またはビーズ発泡グレード軽量性、反発弾性、衝撃吸収性に優れる圧縮永久ひずみ、耐熱性、寸法精度は設計確認が必要であるランニングシューズミッドソール、スポーツパッド
導電・帯電防止PEBA導電材、帯電防止成分、親水性成分を含むグレード静電気対策、粉塵付着低減に有効である機械物性、色調、耐薬品性が標準品と異なる場合がある電子部品搬送材、ホース、フィルム
医療用PEBA医療用途向けに管理されたグレード柔軟性、キンク抵抗、押出成形性に優れる滅菌方法、抽出物、生体適合性は個別確認が必要であるカテーテル、チューブ、医療用バルーン
食品接触対応PEBA食品接触規制を考慮したグレードチューブ、フィルム、搬送部材に使用しやすい適用国、温度、食品種、接触時間の確認が必要である食品機械部品、ホース、搬送部材

成形加工

加工方法適性備考
射出成形一般的な成形方法である。乾燥、金型温度、離型性、ゲート設計を確認する。
押出成形チューブ、ホース、フィルム、シート、ケーブル被覆に適する。
ブロー成形グレードにより対応可能である。溶融張力、肉厚制御の確認が必要である。
圧縮成形シート、試験片、小ロット加工で使用される場合がある。
真空成形シートグレードでは可能な場合があるが、軟化範囲と戻り弾性に注意する。
発泡成形発泡専用グレード、ビーズ発泡、押出発泡で使用される。
3DプリントFDM用フィラメントがある。吸湿、糸引き、ノズル温度、押出安定性に注意する。
溶着熱溶着、高周波溶着、レーザー溶着はグレードと着色により適性が異なる。
接着表面処理やプライマーが必要となることが多い。
切削加工柔軟グレードは変形しやすいため、固定方法と刃物条件に注意する。
代表的な成形条件
項目代表値・範囲備考
乾燥温度60〜80℃吸湿しやすいため、成形前乾燥が推奨される
乾燥時間4〜8時間程度吸湿状態、ペレット形状、乾燥機性能により調整する
シリンダー温度190〜260℃硬度、融点、押出・射出条件により異なる
金型温度20〜60℃外観、寸法、結晶化、離型性に影響する
成形収縮率0.8〜2.0%程度流動方向、肉厚、結晶化度、充填材により変化する
注意点過熱、滞留、吸湿に注意気泡、銀条、粘度低下、物性低下を避けるため、グレード別条件を確認する

代表的な物性値又は機械的性質

項目単位標準PEBA硬質PEBA発泡PEBA導電・充填PEBA備考
密度g/cm31.00〜1.031.01〜1.050.10〜0.50程度1.05〜1.30程度発泡倍率、充填材により大きく変化する
比重約1.0約1.0〜1.050.1〜0.5程度1.05以上軽量エラストマーとして扱われる
引張強さMPa30〜5535〜601〜15程度25〜60硬度、発泡状態、試験速度により変化する
伸び%300〜750150〜500100〜500程度100〜500柔軟グレードほど大きい傾向である
曲げ弾性率MPa10〜500300〜800程度1〜50程度50〜1,000程度硬度により幅が大きい
アイゾット衝撃強さJ/m非破壊〜高い高い高いグレードによる低温でも靭性を保持しやすい
荷重たわみ温度40〜8060〜12030〜70程度60〜130程度荷重、アニール、充填材により変化する
融点130〜175150〜180程度130〜175130〜180程度PAブロックの種類に依存する
ガラス転移温度-60〜-30程度-50〜-20程度-60〜-30程度グレードによる軟質ポリエーテルブロックに依存する
連続使用温度-40〜80-40〜100程度-40〜70程度-40〜100程度長期荷重、酸化、湿熱条件で確認する
吸水率%0.4〜1.2程度0.5〜1.5程度グレードによるグレードによる親水性グレードでは高くなる
体積抵抗率Ω・cm109〜1013程度109〜1013程度グレードによる103〜109程度導電材、帯電防止剤、湿度に依存する
硬さShoreA 70〜D 70程度D 50〜D 75程度A 20〜A 70程度グレードによる材料選定では硬度指定が重要である
難燃性UL94HB相当が多いHB〜Vグレードありグレードによる難燃配合あり難燃グレードは物性と規制適合を確認する
酸素指数%20〜25程度20〜26程度グレードによる難燃配合で上昇代表値であり、UL認証は個別確認が必要である

上記物性値は代表値・目安であり、保証値ではない。PEBAは硬度範囲が広く、同じPEBAでも軟質グレードと硬質グレードで曲げ弾性率、耐熱性、伸び、反発弾性が大きく異なる。設計時は、メーカー物性表、成形品での実測、使用環境での耐久試験を確認する必要がある。

耐薬品性

薬品分類代表薬品評価備考
酸類希塩酸、希硫酸、酢酸○〜△希薄酸では比較的安定な場合があるが、強酸、高温、長時間では加水分解や劣化に注意する。
強酸濃硫酸、濃硝酸、発煙酸×酸化、分解、膨潤、機械物性低下のリスクが高い。
アルカリ類水酸化ナトリウム、KOH、アンモニア水○〜△低濃度・常温では使用可能な場合があるが、高濃度、高温では注意が必要である。
低級アルコール類メタノール、エタノール、IPA○〜△短時間接触では比較的安定な場合があるが、膨潤、抽出、寸法変化を確認する。
高級アルコール類グリセリン、ブタノール、MMB一般に低級アルコールより影響は小さい場合があるが、温度と接触時間に注意する。
芳香族炭化水素類トルエン、キシレン、エチルベンゼン膨潤、軟化を生じる場合がある。応力下での使用は確認が必要である。
脂肪族炭化水素類ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン比較的良好な場合が多いが、燃料成分や添加剤を含む場合は確認する。
ケトンアセトン、MEK、MIBK△〜×膨潤、軟化、応力割れの可能性がある。長時間接触には注意する。
エステル酢酸エチル、酢酸ブチルSP値が近いものがあり、膨潤や軟化を確認する必要がある。
エーテルTHF、ジオキサン×溶解・膨潤しやすい溶剤があるため、原則として注意が必要である。
塩素系溶剤ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン△〜×膨潤、軟化、抽出、応力割れのリスクがある。
水・温水水、温水、湿熱○〜△常温水では使用可能な場合が多いが、温水、蒸気、長時間では吸水と加水分解に注意する。
鉱油、潤滑油、グリース◎〜○一般に比較的良好であるが、添加剤、温度、燃料混合物では確認が必要である。
燃料ガソリン、軽油、アルコール混合燃料○〜△脂肪族炭化水素には比較的安定な場合があるが、アルコール、芳香族成分の影響を確認する。
SP値(溶解度パラメータ)

ポリエーテルブロックアミドのSP値(δ)は、構成するポリアミドブロック、ポリエーテルブロック、硬度、結晶化度により変動する。代表的な目安は約19.0〜22.0 MPa1/2である。

材料SP値(δ)単位備考
ポリエーテルブロックアミド(PEBA)約19.0〜22.0MPa1/2ポリアミド成分が多いほど極性が高くなる傾向である
軟質PEBA約18.5〜21.0MPa1/2ポリエーテル成分が多い場合の目安である
硬質PEBA約20.0〜22.5MPa1/2ポリアミド成分が多い場合の目安である

SP値は溶解・膨潤の傾向を推定するための目安である。実際の耐薬品性は、結晶性、分子量、添加剤、充填材、温度、薬品濃度、応力、接触時間、成形残留応力により変化するため、SP値だけで判断してはならない。

溶解性の目安
SP値差溶解・膨潤の目安判定
0〜2膨潤・軟化しやすい×
2〜5条件により膨潤する
5〜8短時間接触では比較的安定
8以上溶解・膨潤しにくい
SP値から見た耐溶剤性
薬品名SP値(MPa1/2PEBAとの差評価注意点
47.9約26〜29SP値差は大きいが、吸水と加水分解は別途確認する。
メタノール29.7約8〜11○〜△親水性グレードでは吸収や寸法変化に注意する。
エタノール26.0約4〜7○〜△短時間接触では使用可能な場合がある。
IPA23.5約1.5〜4.5長時間接触、応力下では確認が必要である。
アセトン20.0約0〜2×膨潤、軟化、白化の可能性がある。
MEK19.0約0〜3×耐溶剤用途には適しにくい。
酢酸エチル18.6約0.4〜3.4△〜×膨潤・軟化確認が必要である。
トルエン18.2約0.8〜3.8芳香族炭化水素では膨潤する場合がある。
キシレン18.0約1〜4高温、長時間接触では注意する。
ヘキサン14.9約4〜7一般に比較的安定な場合が多い。
シクロヘキサン16.8約2〜5○〜△グレードと接触時間により確認する。
ジクロロメタン20.2約0〜2×膨潤・軟化しやすい。
THF18.5約0.5〜3.5×溶解・膨潤のリスクが高い。
DMF24.8約2.8〜5.8△〜×極性溶剤であり、温度条件により影響が大きい。

評価基準は、◎非常に良好、○概ね良好、△注意が必要、×不適である。SP値差が大きくても、水、温水、アルコール、酸、アルカリでは吸水、加水分解、抽出、応力割れが問題となる場合がある。

製法

工程内容備考
原料両末端カルボン酸型ポリアミドオリゴマー、両末端水酸基型ポリエーテルオリゴマーPA12、PA11、PA6系、PTMG、PEGなどが用いられる
重合方法エステル化または重縮合によりブロック共重合体を得る高温、減圧、触媒条件で分子量を制御する
反応式n HOOC−PA−COOH + n HO−PE−OH → HO−[CO−PA−CO−O−PE−O]n−H + 2n H2O代表的な模式反応であり、実際の工業プロセスはグレードにより異なる
ペレット化溶融押出、ストランドカット、アンダーウォーターカットなどでペレット化する乾燥管理と熱履歴管理が重要である
コンパウンド安定剤、顔料、紫外線吸収剤、難燃剤、導電材、滑剤、充填材を配合する用途に応じて耐候、難燃、導電、摺動、食品接触、医療用などを設計する
発泡物理発泡、化学発泡、ビーズ発泡などにより低密度化するシューズ、緩衝材、軽量部材で使用される

PEBAの製法では、ポリアミドオリゴマーの分子量、ポリエーテル成分の種類、ブロック比率、末端基バランスが最終物性を大きく左右する。硬度、融点、反発弾性、吸水性、耐薬品性は、これらの設計により調整される。

詳細な利用用途

分野用途例採用理由注意点
自動車燃料系チューブ、空圧チューブ、保護被覆、弾性部品耐油性、柔軟性、低温特性、耐摩耗性燃料組成、温度、圧力、透過性を確認する
電気・電子ケーブル被覆、帯電防止部材、電子部品搬送材柔軟性、耐屈曲性、帯電防止グレードの選択性UL94、絶縁性、アウトガス、難燃規格を確認する
機械部品ギア、軸受、摺動部品、緩衝部品、シール補助材耐摩耗性、衝撃吸収、弾性、低摩擦性荷重、摩耗粉、温度上昇、クリープを確認する
医療カテーテル、チューブ、バルーン、コネクタ、低摩擦部材柔軟性、キンク抵抗、押出成形性、グレード選択性生体適合性、滅菌、抽出物、薬液適合性を確認する
食品機械搬送チューブ、ホース、柔軟部材、保護カバー柔軟性、耐摩耗性、食品接触対応グレード食品衛生法、FDA、EU規制、洗浄薬品を確認する
建築・設備配管保護、シール、緩衝材、ホース柔軟性、耐候グレード、耐寒性紫外線、屋外暴露、温水、薬品洗浄に注意する
スポーツランニングシューズミッドソール、スキー靴、スパイク部材、ラケット部材軽量性、反発弾性、低温衝撃性、疲労耐久性圧縮永久ひずみ、耐候性、接着性を確認する
フィルム・繊維透湿フィルム、弾性フィルム、不織布、繊維改質材柔軟性、透湿性、弾性、親水性グレード吸湿、寸法変化、熱収縮、ブロッキングに注意する

関連材料との比較

比較材料特徴対象材料との違い
熱可塑性エラストマー(TPE)熱可塑性を持つエラストマーの総称であるPEBAはTPEの一種であり、ポリアミド系で低温特性と反発弾性に特徴がある。
ポリウレタン(PU、TPU)耐摩耗性、弾性、機械強度に優れるウレタン系材料であるTPUは耐摩耗性に優れるが、PEBAは低密度、低温柔軟性、反発弾性で有利な場合がある。
ポリアミド(PA)耐摩耗性、強靭性、耐油性を持つ結晶性エンプラであるPEBAはPAブロックを含むが、ポリエーテルブロックにより柔軟性と弾性を持つ。
ナイロン6(PA6)強度、靭性、耐摩耗性に優れる代表的ポリアミドであるPA6は剛性部品向けであり、PEBAは柔軟部品、チューブ、反発部材に向く。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)寸法安定性、電気特性、成形性に優れる結晶性ポリエステルであるPBTは硬質エンプラであり、PEBAは弾性、屈曲性、低温特性を重視する用途で選ばれる。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、繊維、ボトルで用いられるポリエステルであるPETは剛性、透明性、ガスバリア性に優れ、PEBAは柔軟性と弾性に優れる。
ポリアセタール(POM)低摩擦、耐摩耗性、寸法安定性に優れる機械部品用エンプラであるPOMはギアや摺動部品向けの硬質材料であり、PEBAは衝撃吸収や柔軟部品に向く。
ポリフェニレンサルファイド(PPS)耐熱性、耐薬品性、難燃性に優れるスーパーエンプラであるPPSは高温・耐薬品用途向けであり、PEBAは柔軟性、軽量性、低温特性を重視する。
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)非常に高い耐熱性、耐薬品性、機械強度を持つ高性能樹脂であるPEEKは高温高負荷用途向けであり、PEBAは弾性、チューブ、スポーツ、医療用途に適する。

代表的なメーカー

メーカー代表製品・ブランド概要
ArkemaPebax、Pebax RnewPEBAの代表的メーカーである。スポーツ、医療、フィルム、工業用途向けのグレードを展開している。
EvonikVESTAMID EPA12系エラストマーとしてPEBAグレードを展開している。チューブ、スポーツ、工業用途で用いられる。
ダイセル・エボニックDAIAMID E、VESTAMID E日本市場でPEBA系材料を扱う代表例である。用途によりグレード選定が必要である。
EMS-CHEMIEGrilamid系エラストマーグレードポリアミド系材料を展開しており、PEBAまたは近縁のポリアミドエラストマーを検討対象とする場合がある。

法規制・規格上の注意

項目確認内容注意点
RoHS特定有害物質の含有制限着色剤、難燃剤、安定剤を含めてグレード単位で確認する。
REACHSVHC、登録物質、制限物質欧州向け製品では最新版の適合証明を確認する。
食品衛生食品衛生法、FDA、EU食品接触規則など食品種類、温度、接触時間、抽出条件により適用範囲が異なる。
医療用途ISO 10993、生体適合性、滅菌適合性医療用グレードであっても最終製品での評価が必要である。
難燃性UL94、酸素指数、電気安全規格PEBA標準品はHB相当が多いため、電気電子用途では難燃グレードを確認する。
アウトガス揮発成分、抽出物、臭気電子、医療、光学、密閉空間用途では個別評価が必要である。

用途別選定と注意点

用途推奨される確認項目注意点
ギア硬度、摩耗、クリープ、潤滑条件高荷重ギアではPOM、PA、PBTとの比較が必要である。
軸受摩擦係数、摩耗、発熱、寸法安定性柔軟すぎるグレードでは荷重変形が大きくなる。
チューブ柔軟性、耐圧、キンク抵抗、薬液適合性吸水、滅菌、薬品、抽出物を確認する。
筐体剛性、耐衝撃性、耐候性、難燃性硬質PEBAまたは他材料との比較が必要である。
フィルム透湿性、ブロッキング、熱シール性、寸法変化親水性グレードでは湿度依存性が大きい。
コネクタ寸法精度、絶縁性、耐熱性、難燃性PBT、PA、PPSなど硬質材料との比較が重要である。
シューズ部材密度、反発弾性、圧縮永久ひずみ、耐疲労性発泡倍率、接着、紫外線、加水分解を確認する。
  • 加水分解:温水、蒸気、高湿熱環境ではポリアミド結合、エステル結合部の劣化を確認する。
  • 応力割れ:溶剤、油、洗浄剤、残留応力が重なる場合は実部品試験が必要である。
  • 吸湿:寸法変化、硬度変化、電気特性変化、成形時の気泡に注意する。
  • 熱劣化:高温滞留、過乾燥、再生材過多では分子量低下や黄変が起こる場合がある。
  • アウトガス:医療、電子、光学、密閉用途では抽出物、揮発成分、臭気を確認する。

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