概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | ビスマレイミドトリアジン樹脂 |
| 略記号 | BT、BTレジン、BT樹脂 |
| IUPAC | 単一のIUPAC名で表される物質ではない。一般にビスマレイミド化合物とシアネートエステル化合物を共硬化して得る三次元架橋樹脂系である。 |
| 英語名 | Bismaleimide Triazine Resin、Bismaleimide-Triazine Resin、BT Resin |
| 日本語名 | ビスマレイミドトリアジン樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、BTレジン、BT樹脂 |
| 分類 | 熱硬化性樹脂、電子材料用樹脂、高耐熱絶縁樹脂 |
| プラスチック分類 | 熱硬化性プラスチック。高耐熱・高信頼電子用途ではスーパーエンプラ相当の性能領域で比較されるが、熱可塑性スーパーエンプラではない。 |
| 化学式または代表構造 | 組成一定の分子式はない。代表的には芳香族骨格、マレイミド由来イミド環、シアネートエステルの三量化で生じる1,3,5-トリアジン環からなる架橋構造である。 |
| CAS No. | 樹脂系全体を表す統一CAS No.は一般化困難である。代表原料例:4,4′-ビスマレイミドジフェニルメタン 13676-54-5、ビスフェノールAジシアネート 1156-51-0。 |
| 構造・主成分 | ビスマレイミド、シアネートエステルを主成分とし、エポキシ樹脂、フェノール系成分、触媒、難燃剤、シリカ、ガラスクロス等で変性・複合化される。 |
| 主な用途 | 半導体パッケージ基板、BGA・CSP基板、プリント配線板、Chip LED基板、高周波・高速伝送基板、電気絶縁積層板。 |
ビスマレイミドトリアジン樹脂は、一般にビスマレイミド化合物とシアネートエステル化合物を主成分とする高耐熱熱硬化性樹脂である。シアネートエステル基の三量化により1,3,5-トリアジン環が形成され、ビスマレイミド由来のイミド環および芳香族骨格とともに高い架橋密度を形成する。
実用上は樹脂単体の成形品よりも、ガラスクロスへ樹脂ワニスを含浸したプリプレグ、銅張積層板、半導体パッケージ基板として使用されることが多い。高いガラス転移温度、低吸湿性、良好な電気絶縁性、低熱膨張化のしやすさから、BGA、CSP、FC-BGA、Chip LED、高周波・高速伝送基板に用いられる。
一方、BT樹脂は組成一定の単一高分子ではなく、エポキシ変性、低誘電変性、難燃化、フィラー高充填化、ガラスクロス構成により物性幅が大きい。実使用ではグレード、硬化条件、板厚、銅箔、温度、湿度、薬品濃度、荷重、応力、電圧、周波数および使用時間を確認する必要がある。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 長所 | 高いガラス転移温度、耐リフロー性、低吸湿性、良好な電気絶縁性、低誘電化設計のしやすさ、ガラスクロス積層板としての寸法安定性に優れる。 |
| 短所 | 熱硬化後は再溶融できず、脆性、硬化収縮、残留応力、加工粉じん、ドリル摩耗、材料・加工コストに注意が必要である。 |
| 外観 | 樹脂硬化物は淡黄色~褐色の透明又は半透明が多い。積層板はガラスクロス、フィラー、難燃剤、銅箔により黄褐色~不透明となる。 |
| 耐熱性 | 一般的なBT積層材料のTgは約200~300℃、長期耐熱温度の目安は約160~230℃とされるが、配合、測定法、硬化条件で変わる。 |
| 耐薬品性 | 硬化物は水、アルコール、油、脂肪族炭化水素に比較的安定である。強酸・強アルカリ、高温高湿、ケトン、塩素系溶剤では劣化・膨潤・界面剥離を確認する。 |
| 加工性 | ワニス含浸、プリプレグ化、積層プレス、加熱硬化に適する。通常の熱可塑性射出・押出・ブロー成形には適さない。 |
| 分類上の注意 | BT樹脂、BTエポキシ、シアネートエステル樹脂、BMI樹脂は近縁だが同一ではない。基板物性は樹脂だけでなくガラスクロス、フィラー、銅箔、層構成の影響が大きい。 |
構造式

上図は代表的な構造概念である。BT樹脂は単一の繰返し単位を持つ線状高分子ではなく、ビスマレイミド成分、シアネートエステル成分および必要に応じた変性樹脂が共硬化した三次元ネットワークである。
代表的な構造単位
| 構成要素 | 構造の表記例 | 主な役割 |
|---|---|---|
| マレイミド基 | –CO–N–CO–を含む五員環、C=C反応部位 | イミド環による耐熱性・剛直性、付加反応による架橋形成 |
| シアネートエステル基 | Ar–O–C≡N | 加熱三量化によりトリアジン環を形成 |
| 1,3,5-トリアジン環 | C3N3環 | 耐熱性、架橋密度、低誘電・低吸湿特性に寄与 |
| 芳香族骨格 | Ph、Ar、ビスフェノール骨格等 | 剛性、耐熱性、寸法安定性に寄与 |
代表反応式
シアネートエステルの代表的な三量化反応は、概念的に次式で表される。
3 Ar–O–C≡N → Ar–O–[1,3,5-C3N3]–O–Ar を含む架橋構造
ビスマレイミド成分はマレイミド二重結合を介して付加反応、自己重合、共硬化反応に関与する。実際の反応経路は、ビスマレイミド/シアネート比、触媒、エポキシ成分、フェノール性成分、アリル成分、硬化温度により変化する。
モノマーまたは構成成分
- 4,4′-ビスマレイミドジフェニルメタン等のビスマレイミド化合物
- ビスフェノールAジシアネート等のシアネートエステル化合物
- エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アリル化合物等の変性成分
- 硬化触媒、難燃剤、シリカ、ガラスクロス、低誘電フィラー
共重合体・変性グレード
純BT系、BTエポキシ系、高Tg系、低CTE系、低誘電・低損失系、ハロゲンフリー難燃系、高靭性系がある。特定用途の性能は樹脂骨格だけでなく、フィラー量、ガラスクロス種、銅箔粗さ、樹脂含有率、硬化度および積層構成に依存する。
種類・代表グレード
| 種類・グレード区分 | 主成分または特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 標準BT積層材料 | BMI/シアネートエステル+ガラスクロス | 耐熱性、絶縁性、耐湿性のバランス | 脆性、再成形不可 | ICパッケージ基板 |
| BTエポキシ系 | BT樹脂にエポキシ成分を併用 | 接着性、加工性、コスト調整 | 純BT系よりTg・誘電特性が低下する場合 | 多層基板、一般パッケージ基板 |
| 高Tg・耐熱系 | 高架橋密度、芳香族・イミド成分増量 | 耐リフロー、熱寸法安定性 | 硬化温度上昇、靭性低下 | 高温実装、高信頼パッケージ |
| 低CTE・高フィラー系 | シリカ等の無機フィラー高充填 | 低熱膨張、反り抑制 | 粘度上昇、加工性・密着性管理 | 薄型パッケージ、FC-BGA |
| 低誘電・低損失系 | 低極性変性、低損失成分とのアロイ | 高速伝送、高周波損失低減 | 密着、耐熱、加工性との両立が必要 | 5G、高速サーバー、RF基板 |
| ハロゲンフリー難燃系 | 非ハロゲン難燃設計 | 環境要求への対応、難燃性 | 吸湿、誘電、耐熱とのバランス | 半導体パッケージ、電子機器 |
| 高靭性系 | 熱可塑性樹脂、アリル化成分、ゴム・ナノ成分等で変性 | クラック、層間剥離を抑制 | Tg・弾性率・誘電特性が変化 | 薄板、微細配線、高信頼基板 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 理由・主な注意点 |
|---|---|---|
| 射出成形 | × | 通常の熱可塑性射出成形には不適。封止用成形材料として専用配合した場合は別評価。 |
| 押出成形 | × | 硬化反応を伴い、連続溶融押出には一般に不適。 |
| ブロー成形 | × | 中空熱可塑性成形には不適。 |
| インフレーション成形 | × | フィルム溶融成形材料ではない。 |
| Tダイフィルム成形 | × | 単独樹脂では不適。キャリアフィルム上への塗工は可能。 |
| 真空成形・圧空成形 | × | 硬化積層板は再加熱軟化しない。 |
| 圧縮成形 | ○ | プリプレグ、シートモールディング、積層板の加熱加圧硬化に適する。 |
| トランスファー成形 | △ | 専用配合では可能だが、BT積層材料の主工程ではない。 |
| 3Dプリント | × | 一般的な溶融積層方式には不適。 |
| 切削加工 | ○ | 硬化板の穴あけ、ルータ、研削が可能。ガラス繊維・フィラーによる工具摩耗に注意。 |
| 接着 | ○ | 表面処理、接着剤、硬化条件を最適化すれば可能。 |
| 塗装・印刷 | ○ | 銅箔処理面、ソルダーレジスト等との密着は表面状態と硬化度に依存。 |
| めっき・蒸着 | ○ | 粗化、触媒化、密着促進処理を伴う電子基板工程で用いられる。 |
| レーザーマーキング | ○ | フィラー、色、レーザー波長による。 |
| インサート・二次成形 | △ | 熱膨張差、残留応力、密着界面を確認する。 |
代表的な加工・硬化条件
| 項目 | 単位 | 代表範囲・状態 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 予備乾燥 | - | プリプレグ・積層材料はメーカー指定に従う | 吸湿材は成形前ベークが必要な場合がある。 |
| ワニス調製温度 | ℃ | 20~80 | 溶剤、粘度、反応性により異なる。 |
| Bステージ乾燥温度 | ℃ | 100~170 | 溶剤除去と部分硬化を行う。絶対条件ではない。 |
| Bステージ乾燥時間 | min | 2~15 | 設備、クロス、樹脂量に依存。 |
| 積層硬化温度 | ℃ | 170~240 | 高Tg系では後硬化を併用する場合がある。 |
| 積層圧力 | MPa | 1~5 | 材料、プレス、厚さに依存。 |
| 後硬化温度 | ℃ | 200~260 | 必要性はグレード依存。 |
| 後硬化時間 | h | 1~8 | 反応完結、Tg向上、残留応力低減のため。 |
| 成形収縮率・流動方向 | % | 該当なし | 射出成形材ではない。積層寸法変化を別管理する。 |
| 許容含水率 | % | グレード依存 | メーカー規格値を確認する。 |
上記は材料群としての一般的な目安であり、特定グレードの成形条件ではない。実際には樹脂流動、ゲルタイム、揮発分、昇温速度、真空度、積層圧力、後硬化、銅箔およびガラスクロスとの界面を確認する。
代表的な物性値又は機械的性質
以下は公開情報と一般的なBT系樹脂の傾向を整理した代表範囲であり、保証値ではない。比較用には非強化・低充填の硬化樹脂と、ガラスクロス積層板を分離した。特定メーカーの特定グレード値と材料群の値を混同してはならない。
非強化・低充填BT樹脂硬化物
| 項目 | 単位 | 代表範囲 | 下限値 | 上限値 | 備考 | 材料状態 | 試験条件・規格 | 信頼度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 1.20~1.35 | - | - | 硬化樹脂単体の代表範囲。フィラーを含まない又は低充填の目安。 | 絶乾又は成形直後 | 代表値、規格不明 | C |
| 比重 | 無次元 | 1.20~1.35 | - | - | 密度と同程度。配合依存。 | 絶乾又は成形直後 | 代表値、規格不明 | C |
| 吸水率・24時間 | % | 0.2~1.0 | - | - | 23℃水浸漬の代表的目安。硬化度・試験片厚さ依存。 | 硬化後 | 規格不明 | C |
| 引張強さ・破断 | MPa | 70~120 | - | - | 樹脂硬化物。降伏点を示さず破断値として扱われることが多い。 | 23℃、乾燥状態 | 規格不明 | C |
| 引張弾性率 | GPa | 3.0~5.0 | - | - | 架橋密度・変性成分依存。 | 23℃、乾燥状態 | 規格不明 | C |
| 引張破断伸び | % | 1~4 | - | - | 熱硬化性で伸びは小さい。 | 23℃、乾燥状態 | 規格不明 | C |
| 曲げ強さ | MPa | 120~200 | - | - | 樹脂硬化物の代表範囲。 | 23℃、乾燥状態 | 規格不明 | C |
| 曲げ弾性率 | GPa | 3.0~5.5 | - | - | 引張弾性率と同一値として扱わない。 | 23℃、乾燥状態 | 規格不明 | C |
| アイゾット衝撃強さ・ノッチ付き | kJ/m² | データなし | - | - | J/m表記の資料が多く、ISO値への一律換算は行わない。 | 不明 | - | - |
| ガラス転移温度 | ℃ | 190~290 | - | - | DSC、DMA、TMAで値が異なる。 | 完全硬化 | 測定法依存 | B |
| 融点 | ℃ | 該当なし | - | - | 熱硬化性架橋樹脂であり明確な融点を持たない。 | 完全硬化 | - | - |
| 熱分解開始温度 | ℃ | 350~450 | - | - | 雰囲気、昇温速度、重量減少基準に依存。 | 完全硬化 | TGA条件依存 | C |
| 連続使用温度 | ℃ | 160~230 | - | - | 機械・電気特性の保持基準と雰囲気で変わる一般的目安。 | 完全硬化 | 長期耐熱の目安 | B |
| 熱伝導率 | W/(m・K) | 0.2~0.4 | - | - | 樹脂単体。フィラー高充填品は上昇する。 | 23℃ | 規格不明 | C |
| 線膨張係数 | 10⁻⁵/K | 4~7 | - | - | Tg以下の樹脂単体目安。積層板とは分けて扱う。 | Tg以下 | TMA条件依存 | C |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1×10¹⁴~1×10¹⁶ | - | - | 乾燥状態。吸湿で低下する。 | 23℃、乾燥状態 | 規格不明 | C |
| 絶縁破壊強さ | kV/mm | 15~30 | - | - | 試験片厚さ、電極、昇圧法に依存。 | 乾燥状態 | 規格不明 | C |
| 比誘電率・1 MHz | 無次元 | 2.8~3.5 | - | - | 樹脂系の代表範囲。積層板ではガラスクロス影響あり。 | 23℃、乾燥状態 | 1 MHz | B |
| 誘電正接・1 MHz | 無次元 | 0.0004~0.010 | - | - | 低損失配合と汎用配合の幅を含む。 | 23℃、乾燥状態 | 1 MHz | B |
ガラスクロス・無機フィラー強化BT積層板
| 項目 | 単位 | 代表範囲 | 下限値 | 上限値 | 備考 | 材料状態 | 試験条件・規格 | 信頼度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 1.70~2.05 | - | - | ガラスクロス・シリカを含む積層板。銅箔は除外。 | 乾燥状態 | 代表値、規格不明 | C |
| 曲げ強さ | MPa | 350~700 | - | - | 面内方向、クロス構成、板厚で変わる。 | 23℃、乾燥状態 | 規格不明 | C |
| 曲げ弾性率 | GPa | 16~30 | - | - | ガラスクロス量・方向性に依存。 | 23℃、乾燥状態 | 規格不明 | C |
| ガラス転移温度 | ℃ | 200~300 | - | - | TMA・DMA・DSCで差がある。 | 完全硬化 | 測定法依存 | B |
| HDT・1.80 MPa | ℃ | データなし | - | - | 積層板ではHDTよりTg、T288、CTE、はんだ耐熱を用いることが多い。 | - | - | - |
| 成形収縮率・流動方向 | % | 該当なし | - | - | 射出成形材料ではない。積層硬化収縮・面内寸法変化を個別管理する。 | - | - | - |
| 線膨張係数・面内 | 10⁻⁵/K | 1.2~1.8 | - | - | Tg以下、ガラスクロス積層板の代表目安。 | 乾燥状態 | TMA条件依存 | C |
| 線膨張係数・厚さ方向 | 10⁻⁵/K | 4~8 | - | - | Tg以下の代表目安。Tg以上で急増する。 | 乾燥状態 | TMA条件依存 | C |
| 吸水率 | % | 0.1~0.5 | - | - | 板厚・前処理・試験法に依存。 | 乾燥後の吸水試験 | 規格不明 | C |
| UL 94燃焼性 | 等級 | V-0取得グレードあり | - | - | 材料群一律ではない。厚さ、色、配合、認証ファイルを確認する。 | 認証グレード | 厚さ依存 | A |
| 比誘電率・1 MHz | 無次元 | 3.5~4.5 | - | - | ガラスクロスを含む積層板の代表範囲。 | 23℃、乾燥状態 | 1 MHz | C |
| 誘電正接・1 MHz | 無次元 | 0.003~0.015 | - | - | 低損失グレードはより低い場合がある。 | 23℃、乾燥状態 | 1 MHz | C |
燃焼性・難燃性
BT積層材料にはUL 94 V-0取得グレードが存在するが、材料名だけで一律にV-0と断定できない。試験片厚さ、色、難燃剤、ガラスクロス、製造拠点、ULファイル番号を個別に確認する必要がある。限界酸素指数、GWIT、GWFIは一般化困難であり、データなしとして扱う。
寸法精度・設計特性
- 面内方向はガラスクロスにより低CTE化できるが、厚さ方向はTg以上でCTEが大きく増加する。
- 樹脂含有率、ガラスクロス開繊状態、銅残存率、層構成の非対称性により反りが生じる。
- 吸湿後のリフローでは水蒸気圧により膨れ、ポップコーン、層間剥離が生じる場合がある。
- 短時間曲げ強さを長期設計許容応力として使用せず、クリープ、熱サイクル、湿熱、界面疲労を評価する。
耐薬品性
以下は完全硬化したBT樹脂又はBT積層板の一般的傾向であり、保証値ではない。銅箔、めっき、ソルダーレジスト、接着層、ガラスクロス界面を含む実基板では、樹脂単体と異なる劣化が生じる。評価基準は、◎:影響が小さい、○:概ね使用可能、△:膨潤・軟化・強度低下・変色・界面劣化に注意、×:著しい劣化の可能性が高い、-:データなし又は評価困難である。
| 薬品名 | 濃度 | 温度 | 接触時間・方法 | 応力 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | 100% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 吸水、誘電特性低下 | 低吸水だが板厚・界面・硬化度を確認。 |
| 温水 | 100% | 60~90℃ | 24~168 h浸漬 | 無応力 | △ | 吸水、加水分解、層間剥離 | 高温高湿用途はHAST、PCT等で確認。 |
| 水蒸気 | 飽和 | 121℃ | PCT条件 | 加圧 | △ | 界面剥離、絶縁低下 | 基板信頼性上の重要評価。 |
| 塩酸 | 5~10% | 23℃ | 24 h浸漬 | 無応力 | ○ | 変色、界面影響 | 濃酸・高温では再評価。 |
| 硫酸 | 5~10% | 23℃ | 24 h浸漬 | 無応力 | ○ | 表面劣化 | 濃硫酸・高温は△~×。 |
| 酢酸 | 5~10% | 23℃ | 24 h浸漬 | 無応力 | ○ | 吸収、変色 | 高濃度・高温で確認。 |
| 水酸化ナトリウム | 5% | 23℃ | 24 h浸漬 | 無応力 | △ | 加水分解、表面粗化 | 高濃度・高温では×寄り。 |
| アンモニア水 | 5% | 23℃ | 24 h浸漬 | 無応力 | △ | 吸水、加水分解 | 銅・界面材料を含めて確認。 |
| メタノール | 100% | 23℃ | 24 h浸漬 | 無応力 | ○ | 膨潤、抽出 | 長時間・高温は確認。 |
| エタノール | 100% | 23℃ | 24 h浸漬 | 無応力 | ○ | 軽微な膨潤 | 硬化不足品では影響増大。 |
| IPA | 100% | 23℃ | 短時間接触 | 無応力 | ○ | 膨潤、白化 | 洗浄用途は実基板で確認。 |
| グリセリン | 100% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ◎ | 吸湿 | 高温では界面影響を確認。 |
| MMB | 100% | 23℃ | 24 h浸漬 | 無応力 | △ | 膨潤、軟化 | SP値差だけで判断不可。 |
| ヘキサン | 100% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 添加剤抽出 | 油成分・添加剤で変動。 |
| トルエン | 100% | 23℃ | 24 h浸漬 | 無応力 | △ | 膨潤、接着低下 | 長時間・高温・応力下に注意。 |
| キシレン | 100% | 23℃ | 24 h浸漬 | 無応力 | △ | 膨潤 | 同上。 |
| アセトン | 100% | 23℃ | 短時間接触 | 無応力 | △ | 膨潤、表面軟化 | 硬化度と接触時間を確認。 |
| MEK | 100% | 23℃ | 短時間接触 | 無応力 | △ | 膨潤、抽出 | 洗浄工程で要評価。 |
| 酢酸エチル | 100% | 23℃ | 24 h浸漬 | 無応力 | △ | 膨潤、接着低下 | 長期浸漬は避ける。 |
| ジクロロメタン | 100% | 23℃ | 短時間接触 | 無応力 | × | 著しい膨潤、界面剥離 | 原則として不適。 |
| 鉱物油 | 原液 | 80℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | ○ | 添加剤抽出、膨潤 | 油種・添加剤に依存。 |
| ガソリン相当燃料 | 原液 | 23℃ | 168 h浸漬 | 無応力 | △ | 膨潤、抽出 | BT基板の一般用途外。 |
| 過酸化水素水 | 3% | 23℃ | 24 h浸漬 | 無応力 | △ | 酸化、表面劣化 | 濃度・金属触媒・温度に注意。 |
| 次亜塩素酸ナトリウム | 0.1~1% | 23℃ | 24 h浸漬 | 無応力 | △ | 酸化、変色 | 長期接触を避け、実試験を行う。 |
SP値(溶解度パラメータ)
BT樹脂は組成と硬化度が一定でないため、単一の公定SP値はない。硬化BT樹脂の代表的な目安として、δ=20~23 MPa1/2程度を用いることがある。本ページの比較計算では22 MPa1/2を便宜的な代表値とする。
SP値は溶解・膨潤傾向の一次スクリーニングであり、熱硬化性樹脂の耐薬品性を単独では決定できない。架橋密度、反応性、加水分解、酸化、分子サイズ、温度、濃度、応力、時間、界面、添加剤抽出を併せて評価する。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
| 薬品名 | 代表SP値 MPa1/2 |
BT樹脂との差 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 水 | 47.9 | 25.9 | ◎ | 高温高湿では吸水・界面劣化を別途評価。 |
| メタノール | 29.7 | 7.7 | ○ | 低分子・極性溶剤であり長時間は確認。 |
| エタノール | 26.0 | 4.0 | △ | 硬化度により膨潤差。 |
| IPA | 23.5 | 1.5 | △ | 差は小さいが架橋硬化物は直ちに溶解しない。 |
| アセトン | 20.3 | 1.7 | × | 膨潤・軟化・抽出に注意。 |
| MEK | 19.0 | 3.0 | △ | 洗浄条件で確認。 |
| 酢酸エチル | 18.6 | 3.4 | △ | 長時間浸漬には不向き。 |
| トルエン | 18.2 | 3.8 | △ | 芳香族溶剤による膨潤に注意。 |
| ヘキサン | 14.9 | 7.1 | ○ | 添加剤抽出は別要因。 |
| ジクロロメタン | 20.2 | 1.8 | × | 膨潤・界面剥離のおそれ。 |
| グリセリン | 33.8 | 11.8 | ◎ | 高温では吸湿影響を確認。 |
上表はSP値差による理論的な目安であり、耐薬品性表の実務評価と一致しない場合がある。特にIPA、アセトン、ジクロロメタン等では、架橋樹脂が完全溶解しなくても膨潤、界面剥離、残留応力解放、抽出が生じるため、実浸漬試験を優先する。
製法

原料
- ビスマレイミド化合物
- シアネートエステル化合物
- エポキシ樹脂、フェノール系成分、アリル成分等の変性樹脂
- 硬化触媒、反応促進剤、安定剤、難燃剤
- シリカ等の無機フィラー、ガラスクロス、銅箔
- ワニス化に必要な工程溶剤
重合・硬化方法
シアネートエステル基は加熱により三量化し、1,3,5-トリアジン環を形成する。ビスマレイミド成分はマレイミド二重結合を介した付加反応、自己重合又は共硬化反応によりネットワークへ組み込まれる。エポキシ変性系では、エポキシ反応とシアネート反応が併存し、硬化触媒や官能基比により相互侵入型又は共架橋型の構造となる。
プリプレグ・積層板化
BT樹脂は熱可塑性樹脂のようなペレット溶融成形が主ではない。樹脂ワニスをガラスクロスへ含浸し、乾燥炉で溶剤を除去しながら部分硬化したBステージのプリプレグを作製する。プリプレグを必要枚数積層し、銅箔とともに加熱加圧して完全硬化させ、銅張積層板又はパッケージ基板材料とする。
添加剤・充填材・強化材
シリカは厚さ方向CTE、反り、樹脂流動、ドリル加工性を調整する。ガラスクロスは面内剛性、寸法安定性、機械強度を付与する。難燃剤、低誘電成分、靭性改良材、カップリング剤は、難燃性、誘電損失、層間接着、耐クラック性を調整するが、一特性の改善が他特性を低下させる場合がある。
詳細な利用用途
| 用途分野 | 代表用途 | 適性 | 選定理由 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 半導体パッケージ | BGA、CSP、FC-BGA、SiP基板 | ◎ | 高Tg、低吸湿、低CTE、電気特性 | 反り、吸湿リフロー、微細加工性 |
| プリント配線板 | 多層板、高密度配線板 | ◎ | 耐熱、絶縁、寸法安定性 | ドリル摩耗、銅箔密着、CAF |
| 高周波・高速通信 | 5G、サーバー、RFモジュール | ○ | 低誘電・低損失グレードが利用可能 | 周波数依存、銅箔粗さ、吸湿 |
| Chip LED | LEDパッケージ基板 | ○ | 耐熱、絶縁、寸法安定性 | 光・熱劣化、白色化材料との組合せ |
| 自動車 | ECU、パワーモジュール周辺基板 | ○ | 高温信頼性、熱サイクル耐性 | 振動、冷熱衝撃、湿熱、長期絶縁 |
| 航空宇宙 | 高耐熱電子基板、複合材 | △ | 高耐熱・低密度化の可能性 | 認証、アウトガス、難燃・発煙性 |
| 医療 | 診断装置用電子基板 | △ | 電子基板用途として使用可能 | 生体接触・滅菌適合は個別確認 |
| 食品機械 | 制御基板、絶縁板 | △ | 機械内部の電子用途 | 食品直接接触材としては通常選定しない |
| 建築・設備 | 高信頼制御機器の基板 | △ | 耐熱・絶縁性 | 屋外UV、結露、長期湿熱 |
用途別選定
| 用途 | 適性 | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| 電気コネクタ | △ | 成形材料ではなく積層・絶縁板用途が中心。切削部品なら可能。 |
| 半導体パッケージ基板 | ◎ | BT樹脂の代表用途。Tg、CTE、吸湿、誘電、反りのバランスが良い。 |
| 高周波基板 | ○ | 低誘電・低損失グレードが適する。周波数、銅箔粗さ、吸湿を確認。 |
| 一般筐体 | × | コストと成形性の点で不適。 |
| 透明カバー・レンズ | × | 透明成形品用途ではない。 |
| ギア・軸受・ブッシュ | × | 量産摺動成形部品には不適。 |
| 絶縁部品 | ○ | 積層板、切削絶縁部品として適する。 |
| 自動車電子基板 | ○ | 高温信頼性が必要なECU等で候補。振動・湿熱を確認。 |
| 医療機器部品 | △ | 一般材料として医療適合を断定できない。認証グレード確認が必要。 |
| 食品機械部品 | × | 通常は食品接触用成形材料として選定しない。 |
| 半導体製造装置部品 | △ | 絶縁板・治具用途は可能。アウトガス・粒子・薬液耐性を確認。 |
| 複合材料マトリックス | ○ | 高耐熱複合材として可能だが、電子積層材用途が中心。 |
| 接着剤・コーティング | △ | 専用配合で可能。硬化温度と脆性に注意。 |
用途適性は材料群としての一般的な評価である。実使用ではグレード、荷重、温度、薬品、湿度、寿命、電圧、周波数、法規制、成形・加工条件を確認する。
接合・表面処理適性
| 方法 | 適性 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 熱板・超音波・振動溶着 | × | 硬化後は再溶融しないため、熱可塑性溶着には不適。 |
| レーザー溶着 | × | 樹脂同士の溶融接合には不適。 |
| 接着剤接合 | ○ | 表面粗化、プラズマ処理、プライマー、接着剤選定が重要。 |
| 機械締結 | ○ | 穴周りの応力集中、層間剥離、締付トルクに注意。 |
| めっき | ○ | 粗化・触媒化・無電解銅・電解銅工程に適する。 |
| 印刷・ソルダーレジスト | ○ | 表面清浄度、粗さ、硬化度、吸湿が密着へ影響。 |
| プラズマ・コロナ処理 | ○ | 過処理による樹脂劣化と表面残渣に注意。 |
品質・成形不良
| 不良 | 材料側の要因 | 工程側の要因 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| ボイド・膨れ | 揮発分、吸湿、低い硬化度 | 急速昇温、真空不足、圧力不足 | 乾燥、真空脱泡、昇温・加圧プロファイル最適化 |
| 層間剥離 | 界面密着不足、吸湿、CTE差 | 表面汚染、硬化不足、過酷リフロー | 表面処理、乾燥、硬化度・樹脂流動管理 |
| 反り | 層構成非対称、CTE異方性 | 温度分布、冷却不均一 | 対称設計、銅バランス、プレス・冷却条件最適化 |
| 樹脂かすれ | 樹脂量不足、高粘度 | 圧力・温度不足、流動距離過大 | 樹脂含有率、流動性、プレス条件見直し |
| 樹脂流れ過多 | 低粘度、反応遅延 | 高温・高圧・長時間 | ゲルタイム、昇温速度、圧力の調整 |
| ドリルスミア | 樹脂軟化、局所発熱 | 送り・回転数不適、工具摩耗 | 工具・条件最適化、デスミア工程管理 |
| クラック | 脆性、高架橋密度 | 急冷、機械加工応力、熱サイクル | 靭性改良、面取り、応力集中低減 |
| 絶縁低下 | 吸湿、イオン残渣 | 洗浄不足、CAF経路形成 | 清浄度、乾燥、絶縁距離、HAST評価 |
注意点・劣化・故障モード
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 吸湿・絶縁低下 | 極性基、界面、イオン残渣 | 高温高湿、結露、長期通電 | 誘電率上昇、抵抗低下、CAF | 乾燥、低吸湿グレード、清浄度管理 | 85℃/85%RH通電、HAST |
| 層間剥離 | 水蒸気圧、CTE差、密着不足 | 吸湿後リフロー、PCT | 膨れ、クラック、導通不良 | 前処理ベーク、界面設計、硬化管理 | 吸湿リフロー、PCT、超音波探傷 |
| 熱酸化劣化 | 高温・酸素 | 長期高温、局所過熱 | 脆化、変色、強度低下 | 温度低減、耐熱グレード、酸化安定化 | 熱老化、TGA、強度保持率 |
| 熱サイクル疲労 | 異材CTE差、残留応力 | -40~125℃等の反復 | ビア・界面クラック、反り | 低CTE化、対称設計、応力緩和 | 温度サイクル、断面観察 |
| 溶剤膨潤 | SP値近接、低硬化度 | ケトン、塩素系溶剤、高温 | 軟化、密着低下、抽出 | 溶剤変更、接触短縮、完全硬化 | 実薬品浸漬、重量・寸法・強度測定 |
| アルカリ加水分解 | 強アルカリ、高温水 | 高pH洗浄、長時間浸漬 | 表面粗化、強度・絶縁低下 | 濃度・温度・時間制限 | 実液浸漬、FT-IR、絶縁測定 |
| アウトガス | 残留溶剤、未反応成分 | 真空、高温、硬化不足 | 汚染、接点・光学部品不良 | 十分な乾燥・後硬化、低揮発配合 | TML/CVCM、GC-MS、真空加熱 |
| 加工粉じん | ガラス繊維、シリカ、硬化樹脂 | 切削・研削・穴あけ | 作業環境、設備摩耗、粒子汚染 | 局所排気、集じん、保護具 | 粒子測定、作業環境評価 |
推奨確認試験
- 実薬品浸漬試験:実濃度・実温度で24~1000時間、重量、寸法、曲げ強さ、絶縁抵抗を確認する。
- 高温高湿試験:85℃・85%RH、必要に応じ通電し、168~1000時間の絶縁・CAF・剥離を確認する。
- 吸湿リフロー試験:実装前吸湿条件とピーク温度を再現し、膨れ、層間剥離、反りを確認する。
- 温度サイクル試験:想定下限~上限温度で500~2000サイクルを目安に導通、クラック、界面を確認する。
- アウトガス試験:真空・高温用途ではTML、CVCM、GC-MS等を用途条件に合わせて実施する。
- 実基板評価:銅箔、めっき、ソルダーレジスト、ビア、部品実装を含む実構成で評価する。
法規制・認証
| 項目 | 一般的な扱い | 確認事項 |
|---|---|---|
| RoHS | 対応可能なグレードが存在する。 | 均質材料中の規制物質、難燃剤、顔料、製造拠点の適合証明を確認。 |
| REACH・SVHC | 対応可能なグレードが存在する。 | 最新候補リスト、意図的添加、含有濃度、サプライヤー証明を確認。 |
| ハロゲンフリー | ハロゲンフリーBT積層材料が存在する。 | 判定基準、臭素・塩素濃度、難燃剤種類を確認。 |
| UL 94 | V-0等の認証グレードが存在する。 | ULファイル、試験片厚さ、色、製造拠点を確認。 |
| FDA・EU食品接触・日本食品衛生法 | 一般的な代表用途ではない。 | 食品接触用途は個別グレードの適合証明と溶出条件を確認。 |
| USP Class VI・ISO 10993 | 材料群として一律適合ではない。 | 医療用途は生体適合性、滅菌、抽出物・溶出物を個別評価。 |
| PFAS関連規制 | BT骨格自体は通常フッ素必須ではないが、変性剤等に含む場合がある。 | 低誘電添加剤、離型剤、工程助剤、表面処理剤を含めて確認。 |
規制適合はメーカー、グレード、色、添加剤、製造拠点、用途、使用温度、接触条件で異なる。材料名だけで適合を断定せず、最新版のSDS、chemSHERPA、適合証明書、UL認証情報を確認する。
環境・リサイクル性・価格・供給性
| 項目 | 評価・内容 |
|---|---|
| 熱可塑性/熱硬化性 | 熱硬化性。硬化後は再溶融できない。 |
| マテリアルリサイクル | 困難。粉砕材をフィラーとして利用できる場合はあるが、用途限定。 |
| ケミカルリサイクル | 研究・限定用途段階。架橋ネットワークの分解が必要。 |
| サーマルリサイクル | 窒素含有樹脂であるため燃焼ガス処理が必要。難燃剤・ハロゲン含有を確認。 |
| 再生材利用 | 高信頼電子基板では一般に限定的。物性・絶縁・清浄度の保証が課題。 |
| 生分解性 | 一般に生分解性ではない。 |
| 価格区分 | 比較的高価格~高価格。電子材料グレード、銅箔、ガラスクロス、低CTE・低損失設計で上昇。 |
| 供給形態 | 銅張積層板、プリプレグ、樹脂付き銅箔、基板材料。樹脂単体の一般小口流通は限定的。 |
| 国内入手性 | 電子材料用途では入手可能だが、仕様、認証、最小購入量、技術契約が必要な場合がある。 |
比較用評価スコア
| 評価項目 | スコア | 評価理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 3 | 樹脂単体は標準的。積層板ではガラスクロスにより高い。 |
| 剛性 | 4 | 積層板は高剛性だが、樹脂単体は標準的。 |
| 衝撃強度 | 2 | 高架橋熱硬化性で脆性に注意。 |
| 耐熱性 | 5 | 高Tg・耐リフロー性が主要長所。 |
| 低温特性 | 2 | 低温脆化と熱サイクル界面応力を要確認。 |
| 耐薬品性 | 3 | 一般薬品には比較的良好だが、強アルカリ・溶剤・高温水蒸気に注意。 |
| 耐候性 | 2 | 屋外用途は主対象外であり、UV安定化の確認が必要。 |
| 耐加水分解性 | 3 | 低吸湿だが高温高湿・PCTでは界面と絶縁劣化を確認。 |
| 寸法安定性 | 5 | ガラスクロス・低CTE設計で優れる。 |
| 低吸水性 | 4 | 電子基板用熱硬化樹脂として良好。 |
| 電気絶縁性 | 5 | 乾燥時の絶縁性・誘電特性に優れる。 |
| 難燃性 | 4 | V-0取得グレードがあるが、材料群一律ではない。 |
| 成形加工性 | 2 | 通常の溶融成形不可。積層・硬化工程には適する。 |
| 切削加工性 | 3 | 加工可能だが、ガラス繊維・フィラーで工具摩耗。 |
| 接着性 | 3 | 表面処理・硬化条件に依存。 |
| リサイクル性 | 1 | 熱硬化性で再溶融不可。 |
| 価格優位性 | 2 | 汎用樹脂より高価格で、電子材料向け高付加価値用途が中心。 |
スコアは5:非常に優れる、4:優れる、3:標準的、2:やや劣る、1:劣る、0:評価不能又はデータなしである。特定グレードの最高性能ではなく、BT樹脂材料群の一般的傾向を評価している。
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | BT樹脂との違い |
|---|---|---|
| ビスマレイミド樹脂(BMI) | 高耐熱のイミド系熱硬化性樹脂。 | BTはシアネートエステル由来トリアジン構造を含み、電子基板向け誘電・吸湿特性を設計しやすい。 |
| エポキシ樹脂 | 接着性、加工性、コストバランスに優れる。 | BTは一般により高Tg・低吸湿を狙えるが、エポキシの方が汎用性と接着性に優れる。 |
| ポリイミド樹脂 | 非常に高い耐熱性を持つイミド系材料。 | ポリイミドはフィルム・フレキシブル基板に強く、BTは硬質パッケージ基板に強い。 |
| PEEK | 高耐熱・高強度の熱可塑性スーパーエンプラ。 | PEEKは射出・押出・切削部品向け、BTは熱硬化積層板向け。 |
| PPS | 耐薬品性、耐熱性、寸法安定性に優れる熱可塑性樹脂。 | PPSは量産成形部品、BTは高密度電子基板が主用途。 |
| PTFE | 低誘電、低損失、耐薬品性に優れる。 | PTFEは高周波特性に優れるが銅箔密着・加工が難しく、BTは基板加工性とのバランスが良い。 |
| 液晶ポリマー(LCP) | 低吸湿、薄肉流動、低誘電の熱可塑性樹脂。 | LCPは射出成形・フィルム、BTはガラスクロス積層板。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 三菱ガス化学株式会社 | BT材料、CCL-HL832NX type A、GHPL-830NX type A など | BT樹脂およびプリント配線板用BT積層材料の主要メーカー。製品ごとのTg、CTE、誘電、難燃、ハロゲンフリー仕様を確認する。 |
BT樹脂は三菱ガス化学が開発した材料であり、公開製品情報では半導体パッケージ用、Chip LED用、高周波用、ハロゲンフリー低CTE品等が展開されている。メーカー名、製品名、供給状況、認証は変更されるため、採用時点の公式資料を確認する。
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