概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | ポリイミド |
| 略記号 | PI |
| IUPAC | Polyimide。代表例として、poly[oxy-1,4-phenyleneimino(1,3-dioxo-1,3-dihydro-2-benzofuran-5,2-diyl)imino-1,4-phenyleneoxy] などの芳香族ポリイミド構造で表される場合がある。ただし、ポリイミドは単一構造の樹脂名ではなく、イミド結合を主鎖または側鎖に持つ高分子群の総称である。 |
| 英語名 | Polyimide |
| 日本語名 | ポリイミド、芳香族ポリイミド、熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、PI樹脂 |
| 分類 | 高耐熱性樹脂、特殊エンジニアリングプラスチック、耐熱フィルム材料、電気絶縁材料 |
| プラスチック分類 | 一般にスーパーエンジニアリングプラスチックに分類される。フィルム、ワニス、成形品、粉末、複合材など形態により加工方法と用途が大きく異なる。 |
| 化学式または代表構造 | 代表構造単位:-CO-N-CO- を含む環状イミド構造。芳香族ポリイミドでは、芳香環とイミド環が主鎖に連続する構造を取る。 |
| CAS No. | ポリイミドは構造・組成によりCAS No.が異なるため、単一のCAS No.で表すことは適切ではない。代表的なポリイミドフィルムや樹脂には、個別製品・組成ごとにCAS No.が設定される場合がある。 |
| 構造・主成分 | 一般に芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンから得られるポリアミック酸を、加熱または化学的にイミド化して得られる。代表原料としてPMDA、BPDA、ODPA、BTDAなどの酸二無水物、ODA、PDA、MDAなどのジアミンが用いられる。 |
| 主な用途 | フレキシブルプリント基板、絶縁フィルム、耐熱テープ、モーター絶縁、半導体保護膜、耐熱ワッシャー、軸受、シール、摺動部品、航空宇宙部品、分析機器部品、耐熱コーティングなど。 |
ポリイミドは、分子内にイミド結合を持つ高耐熱性高分子の総称である。特に芳香族ポリイミドは、芳香環とイミド環による剛直な分子構造を持つため、一般的な熱可塑性樹脂と比較して極めて高い耐熱性、寸法安定性、電気絶縁性、耐放射線性を示す材料である。
代表的な形態はフィルム、ワニス、粉末、成形品、複合材であり、一般の射出成形用樹脂とは異なる材料選定が必要である。多くの芳香族ポリイミドは溶融しにくく、通常の射出成形や押出成形が困難であるため、フィルム化、焼結、圧縮成形、切削加工、ワニス塗布後のイミド化などの加工法が用いられる。一方で、熱可塑性ポリイミドや変性ポリイミドでは、限定的に射出成形や押出成形が可能なグレードも存在する。
ポリイミドは、耐熱限界、アウトガス、吸水、熱酸化、アルカリ加水分解、寸法変化、摺動摩耗などが用途判断上の重要項目である。実使用では、グレード、フィルム厚み、成形方法、配向、充填材、温度、湿度、荷重、応力、薬品濃度、接触時間、雰囲気を確認する必要がある。
特徴
長所
- 非常に高い耐熱性を持ち、代表的な芳香族ポリイミドでは連続使用温度が200〜260℃程度に達するグレードがある。
- 短時間では300℃以上の高温に耐える場合があり、熱硬化型・非溶融型では分解温度が400℃を超えるものもある。
- 電気絶縁性、誘電特性、耐アーク性に優れ、FPC、モーター絶縁、半導体絶縁膜に適する。
- 寸法安定性が高く、低温から高温まで機械的性質を保持しやすい。
- 耐摩耗性、低摩擦性、耐クリープ性に優れる摺動グレードがある。
- アウトガスが比較的少ないグレードがあり、真空、半導体、宇宙関連用途で使用される。
- 耐放射線性、難燃性に優れるグレードが多い。
短所
- 材料価格が高く、汎用樹脂や一般エンプラと比較して採用コストが大きい。
- 多くの芳香族ポリイミドは溶融成形が困難であり、加工方法が限定される。
- 吸水により寸法変化、誘電特性変化、機械特性低下が起こる場合がある。
- 強アルカリ、高温水蒸気、加水分解条件では劣化することがある。
- フィルムや薄肉品では折り曲げ疲労、エッジ割れ、熱履歴による寸法変化に注意が必要である。
- 熱酸化雰囲気では長期使用により脆化、変色、重量減少が起こる場合がある。
- ワニスや前駆体では溶媒、乾燥条件、イミド化条件により膜物性が大きく変化する。
外観
ポリイミドは、フィルムでは一般に黄褐色、琥珀色、褐色透明の外観を示すことが多い。成形品や焼結品では茶褐色、黒褐色、黒色に近い外観を示す場合がある。フィラー、黒鉛、PTFE、ガラス繊維、炭素繊維などの添加により色調は大きく変化する。
耐熱性
ポリイミドの最大の特徴は耐熱性である。代表的な芳香族ポリイミドでは、連続使用温度はおおむね200〜260℃程度、短時間耐熱では300℃以上の領域で使用される場合がある。ただし、空気中、真空中、不活性ガス中、水蒸気中では劣化挙動が異なるため、熱酸化、加水分解、アウトガスを分けて評価する必要がある。
耐薬品性
ポリイミドは、一般に油類、脂肪族炭化水素、弱酸、低級アルコールに対して比較的安定である。一方、強アルカリ、高温水、加水分解条件、極性非プロトン性溶媒、濃酸、酸化性薬品ではグレードや条件により劣化、膨潤、強度低下が生じる場合がある。特にポリアミック酸前駆体、可溶性ポリイミド、熱可塑性ポリイミドでは、一般の非溶融型芳香族ポリイミドと耐溶剤性が異なる。
加工性
ポリイミドは、一般の熱可塑性樹脂のように単純な射出成形で広く加工できる材料ではない。フィルムではキャスト後のイミド化、ワニスでは塗布・乾燥・熱イミド化、成形品では粉末圧縮成形・焼結・切削加工が用いられる。熱可塑性ポリイミドでは射出成形可能なグレードもあるが、成形温度が高く、乾燥、金型温度、滞留時間管理が重要である。
分類上の注意
ポリイミドは、熱硬化性樹脂、非溶融型高耐熱樹脂、熱可塑性ポリイミド、可溶性ポリイミド、感光性ポリイミド、ポリイミド前駆体などを含む広い材料群である。そのため「PI」と表記されていても、フィルム用、半導体用、摺動部品用、成形用、コーティング用では物性、耐薬品性、加工方法が大きく異なる。
構造式

芳香族イミド環を含む剛直な高分子構造。構造中の官能基、結晶性、架橋密度、芳香族骨格、充填材の有無により、耐熱性、耐薬品性、機械的性質、成形性が変化する。
代表的な構造単位
代表構造単位:-Ar-CO-N(R)-CO-Ar-
芳香族ポリイミドの代表表記:[-Ar-CO-N-Ar’-N-CO-Ar-]n
ここで、ArおよびAr’は芳香族骨格を示す。代表的なポリイミドでは、ピロメリット酸二無水物由来の芳香族イミド環と、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル由来の芳香族エーテル骨格を含む。
モノマーまたは構成単位
| 分類 | 代表例 | 役割 |
|---|---|---|
| 酸二無水物 | PMDA(ピロメリット酸二無水物) BPDA(ビフェニルテトラカルボン酸二無水物) ODPA (オキシジフタル酸無水物) BTDA(ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物) 6FDA(テトラカルボン酸二無水物)など | イミド環を形成し、耐熱性、剛性、寸法安定性、溶解性に影響する。 |
| ジアミン | ODA (ジアミノジフェニルエーテル) p-PDA (パラフェニレンジアミン) MDA (メチレンジアニリン) DDS (ジアフェニルスルホン) TFMB (ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン)など | 主鎖構造、柔軟性、誘電特性、透明性、加工性に影響する。 |
| 前駆体 | ポリアミック酸 ポリアミック酸エステル | フィルム、ワニス、半導体絶縁膜の成膜後、熱または化学的にイミド化される。 |
共重合体や変性グレード
ポリイミドには、熱可塑性ポリイミド、可溶性ポリイミド、感光性ポリイミド、フッ素含有ポリイミド、低誘電ポリイミド、透明ポリイミド、摺動用複合ポリイミドなどがある。透明性、溶解性、低誘電率、低熱膨張、柔軟性、接着性を付与するため、酸二無水物やジアミンの選択、共重合、側鎖導入、フィラー添加が行われる。
種類
| 種類の名称 | 主成分または特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 芳香族ポリイミドフィルム | 芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンから得られる高耐熱フィルム | 耐熱性、電気絶縁性、寸法安定性、難燃性が高い。 | 高価であり、吸湿、折り曲げ疲労、アルカリ劣化に注意が必要である。 | FPC、耐熱テープ、モーター絶縁、電線被覆、ヒーター基材 |
| ポリイミドワニス | ポリアミック酸または可溶性ポリイミドを溶媒に溶解した液状材料 | 薄膜形成、コーティング、半導体絶縁膜に適する。 | 溶媒管理、乾燥条件、イミド化条件により物性が変化する。 | 半導体保護膜、絶縁膜、耐熱コーティング、接着層 |
| 熱硬化性・非溶融型ポリイミド | 高温でも明確な融点を示しにくい高架橋性または剛直構造のPI | 高温強度、耐クリープ性、耐摩耗性に優れる。 | 射出成形が困難で、圧縮成形、焼結、切削が中心となる。 | 軸受、シール、ワッシャー、航空宇宙部品、分析機器部品 |
| 熱可塑性ポリイミド | 溶融加工性を持たせたPIまたはポリエーテルイミド系材料 | 射出成形や押出成形が可能なグレードがある。 | 非溶融型PIより耐熱性が低い場合があり、成形温度が高い。 | コネクタ、電気電子部品、耐熱成形部品、機械部品 |
| 摺動用ポリイミド複合材 | 黒鉛、PTFE、MoS2、炭素繊維などを配合したPI | 低摩擦、耐摩耗、耐クリープ、高温摺動性に優れる。 | 電気絶縁性や強度が配合により変化し、相手材選定が重要である。 | ブッシュ、ベアリング、スラストワッシャー、シールリング |
| 感光性ポリイミド | フォトリソグラフィー対応のPI前駆体またはPI樹脂 | 微細パターン形成が可能で、半導体工程に適する。 | 露光、現像、キュア条件が物性に強く影響する。 | 半導体バッファコート、再配線層、MEMS、パッシベーション |
| 透明ポリイミド | フッ素含有、脂環式骨格、非対称構造などにより着色を抑えたPI | 耐熱性と透明性を両立しやすい。 | 通常の芳香族PIより耐熱性、耐薬品性、価格のバランス確認が必要である。 | フレキシブルディスプレイ、光学フィルム、透明基板 |
| GF・CF強化ポリイミド | ガラス繊維、炭素繊維、無機フィラーを配合したPI複合材 | 剛性、寸法安定性、耐クリープ性、線膨張抑制に優れる。 | 異方性、切削摩耗、フィラー脱落、相手材攻撃性に注意が必要である。 | 精密機械部品、治具、耐熱構造部品、半導体製造装置部品 |
成形加工
| 加工方法 | 適正 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 射出成形 | △ | 熱可塑性ポリイミドや一部の変性グレードで可能である。 | 一般的な非溶融型芳香族PIでは困難である。高温成形、乾燥、滞留劣化管理が必要である。 |
| 押出成形 | △ | 熱可塑性PI、PI系フィルム、可溶性PIの一部で適用される。 | 多くの芳香族PIでは溶融押出が困難であり、フィルムはキャスト法が中心である。 |
| ブロー成形 | × | 一般的なポリイミドでは適用例は少ない。 | 高温加工性、溶融粘度、材料価格の点で一般用途には適しにくい。 |
| 圧縮成形 | ◎ | 粉末PIや非溶融型PIの成形品で代表的に用いられる。 | 焼結、後硬化、残留応力、寸法精度の管理が重要である。 |
| 真空成形 | △ | 熱可塑性PIシートや薄膜材料で限定的に検討される。 | 一般的なPIフィルムは熱成形性が限定的で、割れ、白化、寸法戻りに注意が必要である。 |
| 切削加工 | ◎ | 圧縮成形材、焼結材、棒材、板材から精密加工される。 | 吸湿、熱膨張、バリ、エッジ欠け、加工熱による寸法変化に注意する。 |
| フィルムキャスト | ◎ | ポリアミック酸ワニスを塗布し、乾燥・イミド化してフィルム化する。 | 膜厚、乾燥勾配、残留溶媒、イミド化温度、熱収縮が重要である。 |
| コーティング | ◎ | ワニス塗布により耐熱絶縁膜、保護膜、接着層を形成する。 | 基材密着性、熱膨張差、ピンホール、アウトガス、キュア収縮を確認する。 |
| レーザー加工 | ○ | フィルム、FPC、微細加工で使用される。 | 炭化、デブリ、熱影響層、絶縁信頼性を確認する必要がある。 |
代表的な成形条件
| 項目 | 代表条件 | 備考 |
|---|---|---|
| 乾燥温度 | 120〜180℃程度 | 熱可塑性PI、PI系成形材料の目安である。吸湿状態により時間を調整する。 |
| 乾燥時間 | 3〜8時間程度 | 厚み、ペレット形状、包装状態、要求外観により異なる。 |
| シリンダー温度 | 340〜420℃程度 | 射出成形可能な熱可塑性PIの目安である。グレードにより大きく異なる。 |
| 金型温度 | 120〜220℃程度 | 結晶性、残留応力、寸法安定性、外観に影響する。 |
| 成形収縮率 | 0.2〜1.0%程度 | 無充填、GF、CF、鉱物充填、成形方向により異なる。 |
| フィルムイミド化温度 | 250〜400℃程度 | 前駆体、膜厚、溶媒、要求物性により段階昇温が必要である。 |
| 圧縮成形・焼結 | 高温高圧成形後、後硬化を行う場合がある。 | 詳細条件は成形材料メーカーの指定条件に従う必要がある。 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下の値は代表値または目安であり、フィルム、圧縮成形品、熱可塑性グレード、摺動グレード、GF・CF強化グレードで大きく異なる。実設計ではメーカーの個別グレードデータで確認する必要がある。
| 項目 | 単位 | 芳香族PIフィルム | PI成形品・無充填 | 摺動・充填PI | GF・CF強化PI | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm3 | 1.39〜1.45 | 1.38〜1.45 | 1.40〜1.70 | 1.50〜1.80 | フィラー量、配向、空隙により変化する。 |
| 引張強さ | MPa | 150〜250 | 70〜140 | 40〜120 | 100〜250 | フィルムは配向により高く出る場合がある。 |
| 伸び | % | 30〜90 | 5〜20 | 2〜15 | 1〜8 | 充填材、熱履歴、吸湿で変化する。 |
| 曲げ弾性率 | GPa | 2.5〜4.0 | 2.5〜4.5 | 3.0〜8.0 | 6.0〜20 | GF・CF配合では異方性が大きい。 |
| アイゾット衝撃強さ | kJ/m2 | 該当しにくい | 3〜10 | 2〜8 | 3〜15 | 試験片、ノッチ、成形方法に依存する。 |
| 荷重たわみ温度 | ℃ | 該当しにくい | 250〜360以上 | 250〜360以上 | 300〜400以上 | 非溶融型PIでは明確なHDT表記が困難な場合がある。 |
| 融点 | ℃ | 明確な融点なし | 明確な融点なし | 明確な融点なし | 明確な融点なし | 多くの芳香族PIは溶融前に分解または炭化する。 |
| ガラス転移温度 | ℃ | 300〜400程度 | 250〜400程度 | 250〜400程度 | 250〜400程度 | 構造により大きく異なる。熱可塑性PIではTgが加工性に直結する。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 200〜260 | 240〜300程度 | 240〜300程度 | 240〜300程度 | 空気中、真空中、荷重条件で変わる。 |
| 吸水率 | % | 1.0〜3.0程度 | 0.5〜2.5程度 | 0.3〜2.0程度 | 0.3〜1.5程度 | 23℃水中、24時間または飽和吸水で値が異なる。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1016〜1017 | 1015〜1017 | 108〜1016 | 106〜1016 | 導電性フィラー、黒鉛、CF配合では大きく低下する。 |
| 線膨張係数 | ×10-6/K | 10〜30 | 30〜60 | 20〜60 | 5〜30 | 低CTEフィルム、充填材配合では低くなる。 |
| 難燃性 | UL94 | V-0相当のグレードが多い | V-0相当のグレードが多い | 配合により異なる | 配合により異なる | 正式な難燃認証はグレード、厚み、色で確認する。 |
| 酸素指数 | % | 35〜50程度 | 35〜50程度 | 配合により異なる | 配合により異なる | 代表値であり、燃焼性は規格試験で確認する。 |
耐薬品性
ポリイミドの耐薬品性は、芳香族非溶融型PI、熱可塑性PI、可溶性PI、ポリアミック酸前駆体、フィラー配合品で大きく異なる。以下は常温、短時間〜中時間接触を想定した一般的な目安である。高温、長時間、応力下、薄膜、吸湿状態では評価が低下する場合がある。
| 薬品分類 | 代表薬品 | 評価 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 酸類 | 希塩酸、希硫酸、リン酸 | ○ | 常温・低濃度では比較的安定な場合が多いが、濃酸、高温、長時間では劣化に注意する。 |
| 酸化性酸 | 濃硝酸、発煙硫酸、クロム酸混酸 | × | 酸化分解、変色、脆化、重量変化のリスクが高い。 |
| アルカリ類 | 水酸化ナトリウム、KOH、水酸化カリウム、アンモニア水 | △〜× | イミド結合の加水分解、表面劣化、強度低下が起こる場合がある。高温アルカリは避けるべきである。 |
| 低級アルコール類 | メタノール、エタノール、IPA | ○〜◎ | 一般に比較的安定であるが、可溶性PIや前駆体では膨潤・抽出を確認する。 |
| 高級アルコール類 | ブタノール、グリセリン、MMB | ○ | 常温では概ね安定な場合が多い。高温・長時間では吸湿や抽出を確認する。 |
| 芳香族炭化水素類 | トルエン、キシレン、エチルベンゼン | ○〜△ | 非溶融型PIは比較的安定な場合があるが、可溶性PIや熱可塑性PIでは膨潤に注意する。 |
| 脂肪族炭化水素類 | ヘキサン、ヘプタン、ミネラルスピリット | ◎ | 一般に良好である。油脂、燃料との混合系では添加剤の影響を確認する。 |
| ケトン | アセトン、MEK、MIBK、シクロヘキサノン | ○〜△ | 一般的な芳香族PIは比較的耐える場合があるが、ワニス系、可溶性PI、薄膜では膨潤や応力割れを確認する。 |
| エステル | 酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート | ○〜△ | 常温短時間では使用可能な場合があるが、膨潤、抽出、接着層への影響を確認する。 |
| 塩素系溶剤 | ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン | △ | グレードにより膨潤や表面変化が生じる。安全衛生・環境規制にも注意する。 |
| 極性非プロトン性溶媒 | NMP、DMAc、DMF、DMSO | △〜× | ポリアミック酸や可溶性PIの溶媒として用いられる場合があり、膨潤・溶解リスクがある。 |
| 水・温水 | 水、温水、熱水 | ○〜△ | 常温水では概ね使用できる場合があるが、吸水、寸法変化、熱水・蒸気による加水分解に注意する。 |
| 油 | 鉱物油、潤滑油、シリコーン油、作動油 | ◎〜○ | 一般に良好であり、摺動部品用途に使われる。ただし添加剤、酸化劣化油、高温条件は確認する。 |
| 燃料 | ガソリン、軽油、ジェット燃料 | ○ | 燃料組成、芳香族分、アルコール混合、温度、圧力により評価が変わる。 |
SP値(溶解度パラメータ)
ポリイミドの代表的なSP値(δ)は、文献値、推算法、組成、イミド化率、結晶性、架橋性、フィラー、吸水状態により差がある。芳香族ポリイミドの代表値としては、概ね24〜30 MPa1/2程度を目安とすることが多い。実務上は、代表値として27 MPa1/2前後を仮置きし、実測の膨潤率、重量変化、寸法変化、機械強度保持率で補正するのが現実的である。
SP値は溶解・膨潤傾向を推定する指標であるが、ポリイミドの耐薬品性をSP値だけで判断することはできない。ポリイミドでは、イミド結合の加水分解、熱酸化、吸水、フィラー界面、残留溶媒、膜厚、内部応力、結晶性・配向、分子量、架橋度、HSPの水素結合項、薬品の酸化性・アルカリ性が重要である。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0〜2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2〜5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5〜8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
以下ではポリイミドの代表SP値を27 MPa1/2と仮定し、代表溶剤とのSP値差を示す。評価はSP値差による一次スクリーニングであり、実際の耐薬品性はHSP、温度、濃度、接触時間、応力、膜厚、吸水、加水分解、酸化性を含めて判断する必要がある。
| 薬品名 | 代表SP値 MPa1/2 | PIとの差 | SP値からの目安 | 実務評価 |
|---|---|---|---|---|
| 水 | 47.9 | 20.9 | ◎ | ○〜△。SP差は大きいが、吸水・加水分解・熱水条件に注意する。 |
| メタノール | 29.7 | 2.7 | △ | ○。常温短時間では比較的安定な場合が多いが、薄膜では確認が必要である。 |
| エタノール | 26.0 | 1.0 | × | ○〜◎。SP値だけでは過小評価になりやすい。 |
| IPA | 23.5 | 3.5 | △ | ○〜◎。洗浄用途では残留応力、接着層、印刷層を確認する。 |
| アセトン | 20.0 | 7.0 | ○ | ○〜△。可溶性PI、前駆体、接着層では膨潤に注意する。 |
| MEK | 19.0 | 8.0 | ◎ | ○〜△。グレード差があり、長時間浸漬では確認が必要である。 |
| NMP | 23.1 | 3.9 | △ | △〜×。PI前駆体や可溶性PIの溶媒として使われるため注意が必要である。 |
| DMF | 24.8 | 2.2 | △ | △〜×。膨潤・溶解リスクがある。 |
| DMAc | 22.7 | 4.3 | △ | △〜×。ワニス系・前駆体系では特に注意する。 |
| DMSO | 26.7 | 0.3 | × | △〜×。高極性溶媒であり、可溶性PIでは影響が大きい。 |
| トルエン | 18.2 | 8.8 | ◎ | ○〜△。非溶融型PIでは比較的安定だが、可溶性PIでは確認する。 |
| キシレン | 18.0 | 9.0 | ◎ | ○〜△。高温・長時間では膨潤を確認する。 |
| ヘキサン | 14.9 | 12.1 | ◎ | ◎。一般に良好である。 |
| 酢酸エチル | 18.6 | 8.4 | ◎ | ○〜△。接着層、可溶性PI、塗膜では確認する。 |
| ジクロロメタン | 20.2 | 6.8 | ○ | △。塩素系溶剤はグレード差と安全衛生上の制約が大きい。 |
| 鉱物油 | 16〜18程度 | 9〜11 | ◎ | ◎〜○。高温酸化油や添加剤の影響は確認する。 |
製法
ジアミンと酸二無水物からポリアミック酸を経てイミド化。

原料
ポリイミドは、一般にテトラカルボン酸二無水物とジアミンを原料として製造される。代表的な酸二無水物にはPMDA、BPDA、ODPA、BTDA、6FDAなどがあり、代表的なジアミンにはODA、PDA、MDA、DDS、TFMBなどがある。原料構造により、耐熱性、溶解性、透明性、低誘電性、低熱膨張性、柔軟性が調整される。
重合方法
代表的な製法は二段階法である。第一段階では、酸二無水物とジアミンをNMP、DMAc、DMFなどの極性溶媒中で反応させ、ポリアミック酸を得る。第二段階では、加熱または脱水剤・触媒を用いた化学イミド化により、ポリアミック酸をポリイミドへ変換する。
代表的な反応式
酸二無水物 + ジアミン → ポリアミック酸 → ポリイミド + 水
PMDA + ODA → polyamic acid → poly(4,4′-oxydiphenylene pyromellitimide) + H2O
一般式:n H2N-Ar’-NH2 + n O(CO)2-Ar-(CO)2O → [-NH-Ar’-NH-CO-Ar-COOH-]n → [-N-Ar’-N-CO-Ar-CO-]n + 2n H2O
ペレット化やコンパウンド
熱可塑性ポリイミドでは、重合後にペレット化し、射出成形、押出成形、コンパウンドに用いられる場合がある。非溶融型ポリイミドでは粉末樹脂として供給され、圧縮成形、焼結、切削加工により部品化される場合が多い。フィルム用途では、ワニスをキャストし、乾燥、延伸、熱イミド化、熱処理を経て製膜される。
添加剤、充填材、強化材
ポリイミドには、用途に応じて黒鉛、PTFE、二硫化モリブデン、炭素繊維、ガラス繊維、鉱物フィラー、シリカ、導電性フィラーなどが配合される。摺動グレードでは摩擦係数と摩耗量の低減、GF・CF強化グレードでは剛性、寸法安定性、耐クリープ性の向上、低熱膨張グレードでは無機フィラーによる寸法制御が目的となる。
詳細な利用用途
| 分野 | 主な用途 | 採用理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自動車 | 耐熱絶縁フィルム、センサー周辺部材、モーター絶縁、摺動部品、ワッシャー | 高温耐久、電気絶縁、耐摩耗、寸法安定性に優れる。 | 燃料、油、熱サイクル、振動、湿熱による長期信頼性を確認する。 |
| 電気・電子 | FPC基材、絶縁テープ、フレキシブルヒーター、電線被覆、コネクタ周辺部品 | 耐熱性、絶縁性、薄膜加工性、難燃性に優れる。 | 吸湿による誘電特性変化、寸法変化、はんだリフロー耐性を確認する。 |
| 半導体 | パッシベーション膜、バッファコート、再配線層、MEMS絶縁膜、耐熱保護膜 | 耐熱性、低応力化、絶縁性、微細加工性に優れる。 | アウトガス、残留溶媒、イオン不純物、キュア条件、密着性が重要である。 |
| 機械部品 | 軸受、ブッシュ、シールリング、スラストワッシャー、ローラー、治具 | 高温下の耐摩耗性、耐クリープ性、低摩擦性に優れる。 | 相手材、面圧、速度、潤滑条件、摩耗粉、熱膨張を確認する。 |
| 航空宇宙 | 絶縁フィルム、耐熱部材、軽量構造部材、宇宙機用フィルム、複合材部品 | 耐熱性、耐放射線性、低アウトガス、軽量性に優れる。 | 真空アウトガス、熱サイクル、紫外線、放射線、規格適合を確認する。 |
| 医療 | 高耐熱部品、分析機器部品、絶縁部材、カテーテル周辺材料の一部 | 耐熱性、寸法安定性、耐薬品性が利用される。 | 体内留置、薬機法、生体適合性、滅菌耐性は個別グレードで確認する。 |
| 食品機械 | 高温部周辺の摺動部品、絶縁部品、治具 | 耐熱性、耐摩耗性、寸法安定性に優れる。 | 食品接触用途ではFDA、EU、食品衛生法、溶出試験、洗浄剤耐性を確認する。 |
| 建築・設備 | 耐熱絶縁材、ヒーター周辺部材、特殊シール材 | 高温環境での絶縁性、難燃性が利用される。 | コストが高く、一般建築材としては過剰性能となる場合が多い。 |
| 分析機器 | GC部品、シール、フェルール、絶縁部品、高温治具 | 低アウトガス、高温寸法安定性、耐薬品性が必要な部位に適する。 | 溶剤、温度サイクル、締結圧、微粒子発生を確認する。 |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | ポリイミドとの違い |
|---|---|---|
| ポリエーテルエーテルケトン(PEEK) | 高耐熱、高強度、耐薬品性、射出成形性に優れるスーパーエンプラである。 | PEEKは溶融成形しやすく構造部品に使いやすい。一方、PIはより高温の絶縁・摺動・フィルム用途で優位な場合がある。 |
| ポリフェニレンサルファイド(PPS) | 耐熱性、耐薬品性、寸法安定性、難燃性に優れる結晶性スーパーエンプラである。 | PPSは量産射出成形とコストで有利である。PIはさらに高温領域、薄膜絶縁、摺動部品で選定される。 |
| ポリエーテルイミド(PEI) | 透明性を持つ非晶性スーパーエンプラで、射出成形性と耐熱性のバランスが良い。 | PEIは成形加工性に優れるが、PIより連続使用温度や極限耐熱性は低い場合が多い。 |
| ポリアミドイミド(PAI) | イミド結合とアミド結合を併せ持ち、高強度、高耐熱、耐摩耗性に優れる。 | PAIは機械強度と摺動部品で優れる場合がある。PIはフィルム、絶縁、極高温、低アウトガス用途で使われやすい。 |
| ポリテトラフルオロエチレン(PTFE) | 極めて優れた耐薬品性、低摩擦性、非粘着性を持つフッ素樹脂である。 | PTFEは耐薬品性と低摩擦性で優れるが、剛性、耐クリープ性、寸法安定性はPIが有利な場合がある。 |
| PFA樹脂 | 溶融成形可能なフッ素樹脂で、耐薬品性と高純度性に優れる。 | PFAは薬液配管や半導体薬液用途で優れる。PIは高温絶縁、薄膜、摺動、機械強度用途で使い分ける。 |
| ポリエチレンテレフタレート(PET) | フィルム、繊維、成形品に広く使われるポリエステル系樹脂である。 | PETは安価で汎用性が高いが、耐熱性、耐薬品性、絶縁信頼性の高温領域ではPIが優位である。 |
| ポリアミド66(PA66) | 機械強度、耐摩耗性、成形性に優れるエンジニアリングプラスチックである。 | PA66はコストと量産成形性で有利であるが、吸水、耐熱限界、高温寸法安定性ではPIが優れる。 |
代表的なメーカー
以下は代表例であり、製品名、供給形態、販売地域、グレード体系は変更される場合がある。実際の採用では、メーカーの最新版データシート、SDS、規格適合書、食品接触・医療用途可否を確認する必要がある。
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| DuPont | Kapton、Vespel | Kaptonは代表的なポリイミドフィルム、Vespelは高温摺動部品・成形品として知られる代表例である。 |
| UBE株式会社 | UPILEX、UPIA、UIP | ポリイミドフィルム、ワニス、粉末などを展開する代表的な国内メーカーである。 |
| 東レ株式会社 | ポリイミド関連フィルム・電子材料 | 電子材料、FPC、半導体周辺用途向けのポリイミド関連材料を扱う代表的メーカーである。 |
| Kaneka Corporation | Apical | ポリイミドフィルムの代表例として知られ、電子材料や耐熱絶縁用途に用いられる。 |
| 三井化学株式会社 | AURUM | 熱可塑性ポリイミド系材料の代表例として知られ、成形加工性を持つ高耐熱樹脂として扱われる。 |
| Saint-Gobain | Norton TH など | 高機能フィルム、絶縁材料、工業用材料分野でポリイミド関連製品を扱う代表例である。 |
| 東京応化工業株式会社 | 感光性ポリイミド、ポリイミド系電子材料 | 半導体・マイクロファブリケーション用途向けのポリイミド系材料を扱う代表的メーカーである。 |
代表グレード
| グレード分類 | 特徴 | 主な用途 | 選定時の注意点 |
|---|---|---|---|
| 汎用フィルムグレード | 耐熱性、絶縁性、機械特性のバランスが良い。 | FPC、絶縁テープ、ヒーター基材 | 厚み、熱収縮、吸水、接着処理を確認する。 |
| 耐熱グレード | 高温での寸法安定性、熱酸化安定性を重視したグレードである。 | 高温絶縁、航空宇宙、分析機器 | 連続使用温度は雰囲気、荷重、時間に依存する。 |
| 難燃グレード | ポリイミド自体の芳香族構造により難燃性を示すものが多い。 | 電子部品、絶縁材、航空機周辺部材 | UL94、厚み、色、グレード別認証を確認する。 |
| GF強化グレード | ガラス繊維により剛性、寸法安定性、耐クリープ性を高めたグレードである。 | 構造部品、治具、精密部品 | 異方性、反り、切削摩耗、相手材攻撃性に注意する。 |
| CF強化グレード | 炭素繊維により高剛性、低熱膨張、導電性を付与できる。 | 高温治具、半導体装置部品、精密機械部品 | 電気絶縁性が低下する場合がある。 |
| 摺動グレード | 黒鉛、PTFE、MoS2などにより摩擦・摩耗特性を改善したグレードである。 | 軸受、ブッシュ、シール、ワッシャー | 面圧、速度、温度、相手材、潤滑条件で評価する。 |
| 食品接触対応グレード | 食品接触規制への適合を想定したグレードが存在する場合がある。 | 食品機械部品、高温治具 | 食品衛生法、FDA、EU規則、溶出試験、SDSを個別確認する。 |
| 医療用途グレード | 医療機器周辺部材向けに管理されたグレードがある場合がある。 | 分析機器、医療機器周辺部材 | 体内留置、滅菌、薬機法、生体適合性は用途ごとに確認する。 |
用途別選定
| 用途 | 推奨されやすい形態 | 重視する特性 | 確認すべき試験 |
|---|---|---|---|
| ギア | 摺動用PI成形品、充填PI | 耐摩耗性、耐クリープ性、寸法安定性 | 摩耗試験、面圧・速度試験、温度サイクル試験 |
| 軸受 | 黒鉛・PTFE配合PI、圧縮成形PI | 低摩擦、高温耐久、耐荷重性 | PV限界試験、摩耗粉評価、相手材摩耗評価 |
| チューブ | 熱可塑性PIまたはPI系特殊チューブ | 耐熱性、耐薬品性、寸法安定性 | 耐圧、曲げ疲労、抽出物、薬液浸漬試験 |
| 筐体 | 熱可塑性PI、PEI、PEEKとの比較選定 | 耐熱性、難燃性、寸法精度 | HDT、UL94、熱老化、成形収縮評価 |
| フィルム | 芳香族PIフィルム | 絶縁性、耐熱性、低熱収縮、耐屈曲性 | 絶縁破壊、熱収縮、屈曲疲労、吸湿後電気特性 |
| コネクタ | 熱可塑性PI、PEI、PPS、LCPとの比較選定 | リフロー耐熱、寸法安定性、難燃性 | リフロー試験、反り評価、端子圧入試験 |
| 半導体絶縁膜 | 感光性PI、PIワニス | 低応力、絶縁性、密着性、低アウトガス | キュア膜物性、密着性、残留溶媒、イオン不純物、耐湿信頼性 |
法規制・規格上の注意
| 項目 | 確認内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| RoHS | 鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、特定臭素系難燃剤、フタル酸エステルなどの制限物質 | ポリイミド樹脂単体だけでなく、添加剤、顔料、フィラー、接着層、表面処理を含めて確認する。 |
| REACH | SVHC、制限物質、登録・届出対象物質 | 欧州向け製品では、グレード別の適合証明が必要である。 |
| 食品衛生 | 食品衛生法、ポジティブリスト、溶出試験 | 食品接触用途では、対象グレードが食品接触対応であるかを必ず確認する。 |
| FDA | 米国食品接触用途への適合 | 一般工業用PIが自動的にFDA適合となるわけではない。 |
| 医療用途 | ISO 10993、USP Class VI、滅菌耐性、薬機法関連 | 体内接触、体液接触、滅菌条件ごとに適合確認が必要である。 |
| 難燃性 | UL94、酸素指数、鉄道・航空機難燃規格 | 厚み、色、フィラー、接着層、積層構成により認証範囲が異なる。 |
| アウトガス | TML、CVCM、GC-MS分析、真空ベーク後残留物 | 宇宙、半導体、光学用途ではグレード別の低アウトガスデータが重要である。 |
注意点
- ポリイミドは高耐熱材料であるが、空気中の長期高温使用では熱酸化による脆化や変色が起こる場合がある。
- 吸水により寸法変化、誘電率変化、絶縁抵抗低下、接着性低下が起こる場合がある。
- 強アルカリ、高温水蒸気、熱水中ではイミド結合の加水分解に注意する。
- 薄膜用途では、残留溶媒、イミド化率、熱収縮、ピンホール、密着性が信頼性に直結する。
- 摺動用途では、材料単体の摩擦係数だけでなく、相手材、表面粗さ、潤滑、面圧、速度、温度の組み合わせで評価する必要がある。
- 炭素繊維や黒鉛配合品は導電性を持つ場合があり、絶縁用途では使用できないことがある。
- 半導体・真空用途では、アウトガス、イオン不純物、金属不純物、パーティクルを確認する。
- 食品・医療用途では、一般工業用グレードをそのまま使用せず、規格適合グレードと証明書を確認する。
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