熱可塑性加硫ゴム

概要

項目内容
材料名熱可塑性加硫ゴム
略記号TPV、TPE-V
IUPAC単一のIUPAC名を持たない。一般にpolypropyleneとcrosslinked ethylene-propylene-diene rubberからなる動的架橋ブレンドである。
英語名Thermoplastic Vulcanizate、Thermoplastic Vulcanized Elastomer
日本語名熱可塑性加硫ゴム、動的架橋型熱可塑性エラストマー、加硫型TPE
分類熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、動的架橋ポリマーブレンド
プラスチック分類エラストマー、熱可塑性エラストマー、汎用プラスチック系材料
化学式又は代表構造PP連続相中に架橋EPDM相が微細分散した海島構造。PP:[-CH2-CH(CH3)-]n、EPDM:エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体。
CAS No.TPV全体を表す単一CAS No.はない。PP、EPDM、プロセス油、添加剤ごとにCAS No.が異なる。
構造・主成分一般にPP、EPDM、プロセス油、加硫剤、酸化防止剤、光安定剤、充填材など。
主な用途自動車ウェザーストリップ、ガラスラン、ブーツ、ダクト、シール、ホース、建築ガスケット、電線被覆、家電・生活用品の軟質部品。

熱可塑性加硫ゴムは、熱可塑性樹脂相と架橋ゴム相を組み合わせた熱可塑性エラストマーである。代表的なPP/EPDM系TPVでは、PPが連続相を形成し、動的加硫されたEPDMが微細な分散相として存在する。この構造により、加硫ゴムに近い弾性、耐候性及び圧縮永久ひずみ特性と、熱可塑性樹脂に近い射出・押出加工性を両立する。

TPVは材料群であり、硬度、PP/EPDM比、架橋密度、油量、充填材及び安定剤により物性範囲が広い。したがって、材料比較では標準・非強化グレードを基準とし、耐油、難燃、摺動、接着、医療、食品接触などの特殊グレードを分けて扱う必要がある。

実使用では、グレード、温度、薬品濃度、接触時間、荷重、圧縮率、応力、湿度、成形履歴及び部品形状を確認し、実部品又は実薬品で評価する必要がある。

特徴

項目内容
長所低比重、良好な耐候性・耐オゾン性・耐水性、広い硬度範囲、射出・押出・ブロー成形性、ランナー・端材の再利用可能性、PPとの二色成形性、一般TPEより良好な高温弾性及び圧縮永久ひずみ。
短所芳香族炭化水素、塩素系溶剤、燃料、鉱油などで膨潤しやすい。高温長期荷重ではクリープ及び圧縮永久ひずみに注意する。シリコーンゴム、FKM、完全加硫EPDMより耐熱・耐油・永久変形特性が劣る場合がある。
外観自然色、黒色、着色品。通常は不透明で、表面はゴム調又は半光沢である。
耐熱性連続使用は一般に約90~125℃が目安であり、耐熱グレードでは条件により135℃前後を対象とする場合がある。短時間耐熱はさらに高いが、荷重、酸素、油、圧縮条件で変化する。
耐薬品性水、希酸、希アルカリ、アルコール、塩水、オゾンには比較的良好である。芳香族・塩素系溶剤、燃料、鉱油、低分子炭化水素では膨潤に注意する。
加工性一般の熱可塑性成形設備で射出、押出、ブロー、二色成形が可能である。多くのグレードは原則として強制乾燥不要であるが、吸湿、結露、保管状態及び外観要求により予備乾燥を行う。
分類上の注意TPOは非架橋又は低架橋のオレフィン系TPEを含むのに対し、TPVはゴム相を動的加硫した材料である。商品名だけでは架橋状態を断定できないため、技術資料を確認する。

構造式

TPVは単一の繰返し単位で表せる共重合体ではなく、PP連続相と架橋EPDM分散相からなる多相材料である。代表構造を下図に示す。

熱可塑性加硫ゴムTPVの代表的多相構造

ここに構造式直下の任意ブロックを挿入できる。

代表的な構造単位
構成成分代表構造又は役割注意点
PP相[-CH2-CH(CH3)-]n。連続相を形成し、加熱時の流動と冷却時の形状保持を担う。PPの結晶性、MFR、分子量及び添加量が剛性、耐熱性及び流動性に影響する。
EPDM相エチレン、プロピレン及び少量の非共役ジエンからなる共重合ゴム。動的加硫により架橋粒子となり、弾性、耐候性、耐オゾン性を担う。
プロセス油主としてパラフィン系油など。硬度、流動性及び低温柔軟性を調整するが、耐油性、移行性、臭気及びアウトガスに影響する。
加硫系フェノール樹脂系、過酸化物系など。架橋密度、残留物、色、臭気、圧縮永久ひずみ及び法規制適合性に影響する。

種類・代表グレード

グレード区分主な改質方法・特徴長所短所・注意点主な用途
標準射出成形PP/EPDM系、Shore A 40~90程度流動性、外観、量産性高温クリープ、油膨潤グリップ、シール、カバー
押出成形高溶融強度、低ダイスウェル設計異形押出、表面平滑性押出温度・引取条件依存ウェザーストリップ、ホース
ブロー成形溶融張力とパリソン安定性を調整中空・蛇腹形状グレード選定が限定ダクト、ブーツ
耐熱架橋密度、安定剤、PP相を最適化熱老化、高温弾性硬度上昇、コストエンジン周辺シール
低圧縮永久ひずみゴム相・架橋系を最適化シール保持性成形流動性との両立が必要ガスケット、Oリング代替
耐油極性成分、特殊ゴム相又は配合を採用する場合がある標準TPVより油膨潤を抑制NBR、HNBR、FKMほどではないホース、油接触部
難燃ハロゲン系又はノンハロゲン難燃剤電気用途に対応可能物性、密度、外観、ブリードケーブル、電装カバー
接着・二色成形基材への接着性を付与組立削減、ソフトタッチ基材、乾燥、温度、金型設計依存PP複合部品、グリップ
導電・帯電防止導電性カーボン等を配合静電気対策弾性、外観、摩耗粉電装・工業部品
食品・医療原料・添加剤・溶出を管理した特定グレード規制対応可能材料群全体の適合ではないチューブ、シール、医療部品

成形加工

加工方法適性理由・主な注意点
射出成形最も一般的である。低せん断過熱、滞留、ゲート白化、ヒケ及びバリを管理する。
押出成形異形押出、ホース、チューブに適する。ダイスウェル、表面粗れ及び冷却条件を確認する。
ブロー成形専用グレードでダクト、ブーツ等に適用される。
インフレーション成形一般用途では限定的であり、フィルム専用グレードが必要である。
Tダイシートシート、表皮材に使用可能である。
真空・圧空成形シートグレード及び温度窓の確認が必要である。
圧縮成形試作や特殊用途では可能だが、量産の主流ではない。
発泡成形化学又は物理発泡グレードで軽量化可能である。
3Dプリントペレット式又は専用フィラメントで可能だが、反り、層間接着及び供給安定性に注意する。
切削加工軟質で変形しやすく、寸法精度が出にくい。
溶着熱板、振動、レーザー等を適用できる場合がある。材料、硬度及び接合設計依存である。
接着低表面エネルギーのため、プライマー、コロナ、プラズマ処理を要する場合が多い。
塗装・印刷表面処理、インキ及びプライマーの適合確認が必要である。
二色・インサート成形PP系基材とは相性がよい。他樹脂では接着グレード又は機械的アンカーが必要である。
代表的な成形条件
項目単位代表範囲備考
予備乾燥通常不要吸湿、結露又は外観不良時はメーカー推奨に従う。
乾燥温度70~90必要時の目安。長時間高温乾燥によるブロッキングに注意する。
乾燥時間h1~3必要時の目安。
シリンダー温度・供給部160~190グレード及び成形機による。
シリンダー温度・圧縮部175~210過熱及び滞留を避ける。
シリンダー温度・計量部180~230高硬度・高流動グレードで変動する。
ノズル温度180~225糸引き、コールドスラッグを確認する。
金型温度20~60外観、収縮及び接着性に影響する。
射出圧力MPa40~120製品形状、硬度及び流動長依存である。
スクリュー回転数rpm30~100過剰せん断による発熱を避ける。
成形収縮率・流動方向%1.0~2.5硬度、流動、金型温度及び保圧で変化する。
成形収縮率・流動直角方向%1.2~2.8異方性及び肉厚依存がある。

代表的な物性値又は機械的性質

以下はPP/EPDM系、非強化・標準TPVの代表範囲である。硬度が異なるグレード間では引張強さ、伸び、弾性率及び圧縮永久ひずみを単純比較できない。

項目単位代表範囲代表値試験条件・規格の例備考
密度g/cm³0.88~1.050.95ISO 1183又はASTM D792充填材、難燃剤で上昇する。
比重無次元0.88~1.050.9523℃低比重で軽量化に有利である。
硬度Shore A35~9570ISO 868又はASTM D2240高硬度品はShore D表示の場合がある。
引張強さ・破断MPa3~158ISO 37又はASTM D412硬度、流れ方向、試験片で変化する。
引張破断伸び%200~700450ISO 37又はASTM D412低硬度グレードで大きい傾向。
引張弾性率GPa0.005~0.30データなし規格・硬度依存エラストマーでは100%モジュラス等を用いる場合が多い。
100%モジュラスMPa1.5~84ISO 37又はASTM D412シール設計に有用である。
引裂強さkN/m15~6035ISO 34又はASTM D624形状及び方向依存。
圧縮永久ひずみ・23℃×22h%10~3522ASTM D395又はISO 815圧縮率及び試験片厚さを確認する。
圧縮永久ひずみ・70℃×22h%20~5535ASTM D395又はISO 815高温シールでは重要である。
脆化又は低温使用限界-60~-35-45グレード依存衝撃、圧縮、屈曲条件で変化する。
融点・PP相155~170163DSCTPV全体の単一融点ではない。
ガラス転移温度・EPDM相-60~-40-50DMA又はDSC配合及び油量で変化する。
連続使用温度90~125110用途別目安熱老化、荷重、油、空気条件による。
短時間耐熱温度130~150140用途別目安形状保持及び永久変形を確認する。
吸水率・24h%0.01~0.100.0523℃水中、代表値低吸水であるが配合依存。
体積抵抗率Ω・cm1×1012~1×10161×1014IEC 60093等導電グレードを除く。
絶縁破壊強さkV/mm15~3022試験片厚さ依存配合及び吸湿条件を確認する。
熱伝導率W/(m・K)0.15~0.300.2223℃代表値充填材で変化する。
線膨張係数10-5/K10~2216流動方向、温度範囲依存PP相及び配向の影響を受ける。
UL 94燃焼性等級HB~V-0グレード依存厚さ及び色を明記材料群全体の認証ではない。
比較用評価スコア
評価項目スコア評価理由
引張強度2エラストマーとして標準的であり、硬質樹脂より低い。
衝撃強度5柔軟で低温衝撃に強い。
耐熱性3一般TPEより良好だが、シリコーン、FKM、耐熱熱硬化ゴムより低い。
低温特性4一般に-40℃以下まで柔軟性を維持するグレードがある。
耐薬品性3水、酸、アルカリに良好だが、炭化水素油・芳香族溶剤に弱い。
耐候性5EPDM相により耐候・耐オゾン性に優れる。
寸法安定性3低吸水だが、熱膨張、収縮及びクリープは大きい。
電気絶縁性4一般グレードは高い体積抵抗率を示す。
成形加工性5射出、押出、ブロー、二色成形が可能である。
接着性2低表面エネルギーのため未処理では難しい。
リサイクル性4熱可塑性加工が可能で、清浄な工程内端材を再利用できる。
価格優位性3一般ゴムより加工合理化が可能だが、汎用TPOや軟質PVCより高い場合がある。

耐薬品性

薬品・分類濃度・条件例評価主な劣化形態備考
23℃、168h影響小低吸水である。
温水80℃、168h軟化、圧縮永久ひずみ高温長期では物性保持を確認する。
塩酸10%、23℃添加剤抽出、表面変化濃酸、高温、長時間では試験する。
硫酸10%、23℃酸化、表面劣化濃硫酸及び高温は不適となる場合がある。
酢酸10%、23℃膨潤、臭気吸着濃度及び温度依存。
水酸化ナトリウム10%、23℃影響小高温濃アルカリは確認する。
エタノール99%、23℃わずかな膨潤、添加剤抽出長時間浸漬及び応力下で確認する。
IPA99%、23℃わずかな膨潤配合依存。
グリセリン23℃影響小高温では確認する。
MMB23℃膨潤、軟化グレード差が大きい。
アセトン23℃膨潤、軟化、抽出短時間拭取りでも外観を確認する。
MEK23℃×著しい膨潤、軟化一般TPVには不適である。
酢酸エチル23℃×膨潤、軟化長時間接触を避ける。
トルエン23℃×著しい膨潤、寸法変化SP値が近く、ゴム相及び油相へ浸透しやすい。
キシレン23℃×著しい膨潤一般TPVには不適である。
n-ヘキサン23℃膨潤、油分抽出非極性成分との親和性が高い。
ジクロロメタン23℃×著しい膨潤、軟化使用を避ける。
鉱物油23~100℃膨潤、硬度低下耐油TPVを選定し、体積変化を測定する。
ガソリン・燃料23℃×膨潤、抽出、強度低下燃料連続接触にはNBR、HNBR、FKM等を比較する。
ブレーキ液・グリコール系23~100℃膨潤、熱劣化自動車規格及び高温条件で確認する。
冷却液・EG水溶液50%、100℃熱老化、膨潤長期熱水条件で確認する。
次亜塩素酸ナトリウム0.1%、23℃酸化、変色濃度、pH、温度、時間により劣化する。
SP値(溶解度パラメータ)

PP/EPDM系TPVの見掛けのSP値は、一般に約16.5~18.5 MPa1/2を目安とする。ただし、TPVは架橋ゴム、PP、油、充填材からなる多相材料であるため、単一のSP値で溶解・膨潤を完全には表せない。架橋相は溶解せず膨潤し、低分子油及び添加剤は抽出される場合がある。

溶解性の目安
SP値差溶解・膨潤の目安判定
0~2膨潤・軟化しやすい×
2~5条件により膨潤する
5~8短時間接触では比較的安定
8以上溶解・膨潤しにくい
SP値から見た耐溶剤性
溶剤SP値 MPa1/2TPV基準値17.5との差SP値評価実務評価注意点
47.930.4常温水には安定。
メタノール29.712.2極性は高いが長期抽出を確認する。
エタノール26.08.5長時間及び高温で確認する。
アセトン20.32.8膨潤、軟化、添加剤抽出。
MEK19.01.5××著しい膨潤の可能性。
トルエン18.20.7××芳香族溶剤で膨潤しやすい。
キシレン18.00.5××寸法変化及び強度低下。
n-ヘキサン14.92.6非極性でゴム相・油相へ浸透する。
ジクロロメタン20.22.7×塩素系溶剤のため実務上不適。

SP値差は一次スクリーニングであり、架橋密度、結晶性、拡散速度、温度、応力、酸化・加水分解反応、添加剤抽出及び可塑剤移行を考慮する必要がある。

製法

TPVは、PPなどの熱可塑性樹脂とEPDMなどの未架橋ゴムを溶融混練しながら、混練機内でゴム相を選択的に架橋する動的加硫により製造される。架橋の進行と強いせん断により相反転及び粒子微細化が起こり、PP連続相中に架橋EPDM粒子が分散する。

熱可塑性加硫ゴムTPVの代表的製造工程

ここに製法直下の任意ブロックを挿入できる。

工程主な内容管理項目
原料配合PP、EPDM、プロセス油、加硫剤、促進剤、酸化防止剤、光安定剤、充填材、顔料等を計量する。配合精度、原料水分、異物、油の粘度。
溶融混練二軸押出機又は連続混練機でPPを溶融し、EPDMを分散する。温度、トルク、比エネルギー、滞留時間。
動的加硫混練中にEPDM相を架橋する。加硫速度、架橋密度、粒子径、相反転。
脱揮・安定化揮発分及び反応副生成物を除去し、安定剤を均一化する。真空度、臭気、VOC、ゲル、変色。
押出・ペレット化ストランドカット又は水中カットによりペレット化する。粒径、ブロッキング、含水、金属異物。
品質評価硬度、引張、伸び、圧縮永久ひずみ、MFR、外観、臭気、耐薬品性等を確認する。ロット変動、規格適合、トレーサビリティ。

詳細な利用用途

分野用途例適性採用理由主な注意点
自動車外装・シールウェザーストリップ、ガラスラン、モール、ブーツ耐候、耐オゾン、低温柔軟性、軽量圧縮永久ひずみ、塗膜汚染、摺動性。
自動車エンジン周辺エアダクト、ベローズ、保護カバー耐熱、ブロー成形性、振動吸収油、燃料、高温空気への耐久性。
燃料系シール、ホース内層×標準TPVでは一般に不適耐油特殊TPVでも実燃料試験が必要。
建築・設備窓枠ガスケット、防水シール、伸縮目地耐候、耐水、押出性長期圧縮、難燃、可塑剤移行。
電気・電子ケーブル被覆、コネクタシール、グロメット絶縁性、柔軟性、難燃グレードUL、温度定格、接触材料適合。
機械部品防振材、カバー、ローラー、シール耐屈曲、成形自由度摩耗、クリープ、油接触。
医療チューブ、シール、グリップ医療グレードで対応可能ISO 10993、USP Class VI、滅菌、溶出確認。
食品機械ガスケット、グリップ、保護部品食品接触グレードが存在日本食品衛生法、FDA、洗浄薬品及び温度。
生活用品グリップ、キャップ、スポーツ用品触感、着色、二色成形臭気、ブリード、皮膚接触。
透明カバー・レンズ光学部品×一般TPVは不透明透明性が必要ならTPU、TPS等を検討。

注意点・劣化及び故障モード

劣化現象主な原因発生しやすい条件影響予防策推奨確認試験
油・溶剤膨潤炭化水素成分の浸透、油分抽出燃料、鉱油、芳香族・塩素系溶剤、高温体積増加、硬度低下、強度低下耐油グレード又はNBR、HNBR、FKMへ変更実薬品浸漬、体積・質量・硬度・引張保持率。
圧縮永久ひずみ高温、過大圧縮、架橋不足、クリープシール、高温長時間シール力低下、漏れ圧縮率最適化、低CSグレード、溝設計ISO 815又はASTM D395、実温度×実時間。
熱酸化劣化酸素、熱、金属触媒100℃以上、長時間、薄肉硬化、亀裂、伸び低下耐熱グレード、遮熱、安定剤熱老化後の引張・伸び・硬度。
紫外線劣化UV、顔料・安定剤不足屋外、淡色、薄肉退色、チョーキング、亀裂耐候グレード、カーボンブラック、HALSキセノンアーク、色差、光沢・引張保持率。
クリープ変形PP連続相の粘弾性、長期荷重高温、締結、圧入、一定荷重寸法変化、緩み荷重低減、リブ、金属併用長期クリープ、応力緩和試験。
ブリード・移行プロセス油、添加剤の移動高温、接触材、長期保管べたつき、汚染、接着低下低移行グレード、接触材適合接触移行、VOC、表面分析。
アウトガス・臭気油、残留反応物、低分子添加剤高温、密閉、真空曇り、臭気、汚染低VOCグレード、脱揮、ベーキングVOC、フォギング、TML/CVCM相当試験。
接着剥離低表面エネルギー、汚染、収縮差二色成形、接着、塗装界面剥離接着グレード、表面処理、アンカー設計180°剥離、引張せん断、熱湿サイクル。

法規制・認証

項目一般的な位置付け確認事項
RoHS・REACH・SVHC適合可能なグレードが多い。最新SDS、chemSHERPA、メーカー適合証明書を確認する。
PFAS関連標準PP/EPDM系TPVはフッ素ポリマーを主成分としないが、添加剤又は加工助剤の有無はグレード依存である。意図的添加、分析閾値、地域規制を確認する。
食品接触FDA、EU、日本食品衛生法対応グレードが存在する。グレード、色、接触食品、温度、時間、製造拠点を確認する。
医療ISO 10993、USP Class VI等の評価グレードが存在する場合がある。生体適合性は最終製品及び滅菌条件を含めて確認する。
UL難燃性及びRTI認証グレードが存在する。UL Yellow Card、厚さ、色、認証ファイルを確認する。
自動車規格OEM規格対応グレードが広く使用される。個別OEM、用途、臭気、フォギング、耐候、熱老化規格を確認する。

環境・リサイクル性及び供給性

項目評価・内容
熱可塑性又は熱硬化性材料全体として熱可塑性加工が可能である。ただし、分散EPDM相は架橋している。
マテリアルリサイクル工程内端材は汚染がなければ再粉砕・再配合できる場合がある。再生回数増加により外観、流動、臭気及び物性が変化する。
ケミカルリサイクル一般的な商業プロセスは限定的である。PP回収と架橋ゴム分離は容易ではない。
焼却時の注意主成分が炭化水素系であり、適正燃焼が必要である。難燃剤、顔料及び添加剤の組成を確認する。
生分解性一般的なPP/EPDM系TPVは生分解性ではない。
価格区分中価格~比較的高価格。硬度、耐熱、難燃、医療、色及び購入量で変動する。
供給形態主にペレット。黒色、自然色、着色品、射出、押出、ブロー及び接着グレードが流通する。

関連材料との比較

比較材料特徴TPVとの違い
エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)耐候性、耐オゾン性、耐水性に優れる加硫ゴム。EPDMは通常、成形後に加硫が必要で再溶融できない。TPVは熱可塑成形及び工程内リサイクルが可能である。
熱可塑性エラストマー(TPE)加熱で軟化し冷却で固化するエラストマーの総称。TPVはTPEの一種で、ゴム相を動的加硫した材料である。
熱可塑性オレフィン(TPO)PP、PE及び未架橋又は低架橋ゴムを主体とする。TPVは架橋ゴム相により高温弾性及び圧縮永久ひずみが一般に優れる。
熱可塑性ポリウレタン(TPU)耐摩耗性、機械強度、透明性及び接着性に優れる。TPVは低比重、耐候、耐水、低温性に優れやすい。TPUは耐摩耗・耐油で有利な場合がある。
熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)高強度、高反発、耐油、耐熱性に優れる。TPVは低硬度化、耐候、低比重及び加工温度で有利。TPEEは剛性と耐油性が高い。
ニトリルゴム(NBR)耐油・耐燃料性に優れる加硫ゴム。TPVは成形加工性と耐候性に優れるが、油・燃料連続接触ではNBRが優れる。
フッ素ゴム(FKM)高温、燃料、油、薬品に優れる高機能ゴム。TPVは軽量、低コスト、成形サイクル及び再加工性に優れるが、耐熱・耐油性は大幅に劣る。
ポリプロピレン(PP)軽量、耐薬品性及び成形性に優れる汎用樹脂。TPVはPP連続相を持つが、架橋EPDM相により柔軟性とゴム弾性を示す。

代表的なメーカー

メーカー代表製品・ブランド概要
CelaneseSantoprene® TPV代表的なTPVブランド。自動車シール、アンダーフード、建築、工業用途等に展開する。
Teknor ApexSarlink® TPV自動車、建築、工業、家電用途向けの射出・押出TPVを展開する。
三菱ケミカルTREXPRENE™PP/EPDM系動的加硫TPV。射出、押出、ブロー成形及び自動車用途等に展開する。
東洋紡エムシーSARLINK®国内でTPVシリーズを取り扱う。用途及びグレードの詳細は最新製品資料で確認する。
RTP CompanyCustom TPV Compounds用途別の着色、充填、難燃、導電等のカスタムコンパウンドを展開する。

関連キーワード

TPV熱可塑性エラストマーTPOEPDMポリプロピレンTPUTPEENBRFKM耐薬品性SP値動的加硫圧縮永久ひずみウェザーストリップ二色成形環境応力割れUL 94

推奨確認試験

  • 実薬品浸漬試験:使用薬品の実濃度、最低・最高温度及び実接触時間で、質量、体積、硬度、引張強さ及び伸びの保持率を確認する。
  • 圧縮永久ひずみ試験:実圧縮率、実温度及び想定寿命を模擬し、シール反力及び漏れを確認する。
  • 熱老化及び高温高湿試験:70~125℃、500~2000h等を用途に合わせ、硬度、引張、伸び、外観及び臭気を評価する。
  • 紫外線促進耐候試験:キセノンアーク又はUV蛍光ランプで、色差、光沢、亀裂及び物性保持率を確認する。
  • クリープ・応力緩和試験:実温度、実荷重及び実締結条件で長期変形を確認する。
  • 接着・溶着強度試験:基材、表面処理、成形温度、金型温度及び熱湿サイクル後の強度を確認する。
  • VOC・フォギング・溶出試験:自動車内装、医療、食品、電子・光学用途では用途規格に従って確認する。
  • 実成形及び実部品耐久試験:ウェルド、反り、収縮、バリ、外観、組付け、疲労及びシール性能を量産条件で確認する。
タイトルとURLをコピーしました