概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | カルボキシメチルセルロース |
| 略記号 | CMC。ナトリウム塩は CMC-Na、NaCMC と表記される。 |
| IUPAC | 単一低分子化合物のような一意のIUPAC名を持つ材料ではない。一般には cellulose, carboxymethyl ether、ナトリウム塩は cellulose, carboxymethyl ether, sodium salt と表記される。 |
| 英語名 | Carboxymethyl Cellulose、Carboxymethylcellulose、Sodium Carboxymethyl Cellulose、Cellulose Gum |
| 日本語名 | カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルメロースナトリウム、繊維素グリコール酸ナトリウム。一般工業用途ではCMCと呼ばれることが多い。 |
| 分類 | セルロース誘導体、水溶性高分子、アニオン性高分子、増粘剤・分散安定剤・バインダー |
| プラスチック分類 | 一般的な射出成形用プラスチック、エンプラ、スーパーエンプラには通常分類されない。天然セルロースを化学修飾した半合成・機能性高分子であり、水系配合剤、バインダー、皮膜形成材、レオロジー調整剤として扱われることが多い。 |
| 化学式または代表構造 | 主にCMC-Naでは [C6H7O2(OH)x(OCH2COONa)y]n、x+y=3。yは置換度(DS)に相当する概念値である。 |
| CAS No. | 9004-32-4(カルボキシメチルセルロースナトリウムとして一般に使用)。酸型CMCや他の塩型では別の識別が用いられる場合がある。 |
| 構造・主成分 | β-1,4-グリコシド結合で連結したセルロース骨格を持ち、無水グルコース単位の水酸基の一部がカルボキシメチル基 −CH2COOH またはその塩 −CH2COO−M+ に置換されている。工業品ではCMC-Naが最も一般的である。 |
| 主な用途 | 塗料・コーティング、接着剤、紙加工、繊維加工、セラミックス、建材、洗剤、食品、医薬・化粧品、鉱業、鋳造、リチウムイオン電池・ナトリウムイオン電池電極用バインダーなど。 |
カルボキシメチルセルロース(CMC)は、セルロースの水酸基の一部をカルボキシメチル化した代表的な水溶性セルロース誘導体である。実用上はナトリウム塩であるCMC-Naが広く流通しており、水に溶解またはコロイド状に分散して粘度を発現し、増粘、保水、分散安定、保護コロイド、接着、皮膜形成などの機能を付与する。
CMCの性能は、単純な「分子量」だけでなく、重合度、置換度(DS)、カルボキシメチル基の置換分布、純度、粒度、水分、塩濃度、溶液pHによって大きく変化する。特にDSと粘度はグレード選定の主要指標であり、低粘度から極高粘度、低DSから高DS、食品・医薬相当の高純度品から工業用グレードまで幅広い。
一般の熱可塑性樹脂のように溶融して射出成形する材料ではなく、通常は水溶液・水分散系で使用する。乾燥皮膜や複合体として利用する場合も、吸湿、水への再溶解、電解質による粘度変化、多価金属イオンによるゲル化・不溶化、強酸による析出などを考慮する必要がある。
特徴
長所
- 水系で高い増粘性、保水性、分散安定性を付与できる。
- セルロース由来であり、各種粉体、顔料、無機材料、繊維へのバインダー性を得やすい。
- DS、重合度、純度、粒度の選択により、粘度と溶解速度を広範囲に調整できる。
- 多くの炭化水素系溶剤、油類、低極性有機溶剤には溶解しにくい。
- 水系塗料、電池スラリー、セラミックススラリーなどでレオロジー制御と沈降抑制を両立しやすい。
短所
- 吸湿性があり、水分により寸法、強度、電気特性、皮膜の硬さが変化しやすい。
- 強酸性では遊離酸型への変化や析出、粘度低下が起こる場合がある。
- Ca2+、Al3+、Fe3+など多価金属イオンでは架橋的相互作用、凝集、ゲル化を生じることがある。
- 高温では溶融より先に熱分解が進行しやすく、一般的な熱可塑性溶融成形には適さない。
- 高せん断、長時間加熱、微生物汚染、極端なpH条件により溶液粘度が変化する場合がある。
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 外観 | 一般に白色~淡黄色の粉末、粒状または繊維状。吸湿性を有する。 |
| 耐熱性 | 乾燥状態でも高温で熱分解しやすく、明確な実用融点を持つ通常の熱可塑性樹脂とは異なる。連続高温構造材用途には適さない。 |
| 耐薬品性 | 有機溶剤には比較的耐性を示す一方、水に溶解する。強酸、酸化剤、多価金属塩、高塩濃度では粘度低下、析出、架橋、分解に注意する。 |
| 加工性 | 水への溶解・分散、溶液塗工、スラリー調整、乾燥皮膜形成が中心である。粉末投入時のダマ形成を避ける分散工程が重要である。 |
| 分類上の注意 | CMCとCMC-Naは実務上混用されることがあるが、イオン形、DS、純度、用途規格が異なる場合がある。医薬分野ではカルメロースナトリウムの名称も用いられる。 |
構造式

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 代表的な構造単位 | [C6H7O2(OH)x(OCH2COONa)y]n。x+y=3で、yはDSの概念値である。 |
| 構成単位 | セルロース由来の無水D-グルコース単位。2位、3位、6位の水酸基の一部がカルボキシメチルエーテル化される。 |
| モノマー | ビニルモノマーを重合して得る材料ではない。天然セルロースを高分子反応で化学修飾して製造する。 |
| 置換度(DS) | 無水グルコース1単位当たりの平均カルボキシメチル基数。理論最大は3であるが、一般実用品はこれより低い。DS増加により一般に水溶性、電荷密度、耐塩性などが変化する。 |
| 変性・派生グレード | 低DS、高DS、低粘度、高粘度、耐塩型、低ゲル粒子型、高純度、架橋CMC、カルシウム塩などがある。 |
種類・代表グレード
| 種類・グレード区分 | 主成分・改質方法 | 長所・物性への影響 | 短所・注意点 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 標準CMC-Na | セルロースの部分カルボキシメチル化ナトリウム塩 | 水溶性、増粘、保水、分散安定、接着性のバランスが良い。 | 吸湿性、水への再溶解、塩・pH依存性がある。 | 塗料、紙、接着剤、建材、一般工業 |
| 低粘度グレード | 比較的低重合度または粘度調整品 | 高濃度配合しやすく、含浸・塗工性を得やすい。 | 少量添加での増粘効果は低い。 | 食品、コーティング、含浸、分散補助 |
| 高粘度グレード | 高重合度側 | 低添加量で高粘度、保水、沈降防止を得やすい。 | 溶解時にダマができやすく、ポンプ負荷が高くなる。 | 増粘剤、建材、電池スラリー、掘削用途 |
| 高DS・耐塩型 | カルボキシメチル置換度を高めたグレード | 水溶性や電解質共存下での粘度保持を改善できる場合がある。 | 高DS化だけで全塩種への耐性が保証されるわけではない。 | 高塩濃度系、特殊スラリー |
| 低DSグレード | 置換度を低く制御 | セルロース的性質を残し、吸水・膨潤や特殊なゲル特性を利用できる。 | 完全水溶化しにくい場合がある。 | 吸水材、特殊食品・工業用途 |
| 高純度・食品用 | 副生塩、グリコール酸塩などを高度除去 | 食品用途などの規格に適合するグレードが存在する。 | 規格適合は個別グレード・製造拠点・用途条件の確認が必要。 | 食品、飲料、増粘・安定化 |
| 医薬・化粧品用 | 高純度、微生物・不純物管理品 | 粘度調整、懸濁、結合、保湿、製剤補助に使用可能。 | 薬局方、GMP、ISO 10993等の適合を材料名だけで判断しない。 | 医薬品、歯磨き、化粧品 |
| 架橋CMC | CMC鎖を化学的または熱的に架橋 | 水に溶けず膨潤する吸水性、崩壊性を付与できる。 | 通常CMC-Naとは溶解挙動が大きく異なる。 | 医薬崩壊剤、吸水材 |
| 電池用グレード | 純度、分子量、DS、粒度、金属不純物等を用途最適化 | 水系負極スラリーの増粘・分散・バインダー機能を付与。 | 活物質、SBR、導電助剤、pH、固形分、混練条件との適合確認が必要。 | LIB・SIB負極 |
一般射出、GF強化、CF強化、難燃、摺動、光学などの区分は、CMC単独の代表的な市販形態には通常対応しないため、熱可塑性エンプラと同じ区分で数値比較しないことが重要である。
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 理由・主な注意点 |
|---|---|---|
| 射出成形 | × | 一般CMCは溶融前に熱分解しやすく、通常の熱可塑性射出成形材料ではない。 |
| 押出成形 | △ | 単独溶融押出は一般的でない。水・可塑剤を用いた特殊湿式押出、複合体、ペースト押出では可能な場合がある。 |
| ブロー成形 | × | 通常の溶融ブロー成形には適さない。 |
| インフレーション成形 | × | 通常の溶融フィルム成形には適さない。 |
| Tダイフィルム成形 | × | 通常の溶融Tダイ成形には適さない。溶液キャスト法は別途可能。 |
| 真空成形 | × | 一般的な熱可塑性シートとしての再加熱成形には適さない。 |
| 圧空成形 | × | 同上。 |
| 圧縮成形 | △ | 単独樹脂の熱圧縮成形は一般的でないが、複合体や乾燥ゲルの成形研究例はある。 |
| 発泡成形 | △ | 凍結乾燥、化学架橋、フォーム化など特殊プロセスでは可能。 |
| 3Dプリント | ○ | 水系ゲル・ペーストの押出型3Dプリント用レオロジー調整剤として利用できる。 |
| 切削加工 | △ | CMC単体粉末では該当しない。乾燥成形体・複合体では可能だが吸湿寸法変化に注意。 |
| 溶着 | × | 通常の熱可塑性溶着の対象ではない。 |
| 接着 | ◎ | 水系バインダー・接着助剤として有用。基材、含水率、乾燥条件で接着強度が変化する。 |
| 塗装・コーティング | ◎ | 増粘、保水、レベリング、分散安定、バインダー補助として利用される。 |
| 印刷 | ◎ | 印刷ペーストの粘度・保水・流動性調整に適するグレードがある。 |
| めっき | × | CMC自身を成形基材としてめっきする用途は一般的でない。 |
| レーザーマーキング | - | 材料単体として一般化困難。 |
溶解・配合条件の一般的な目安
| 項目 | 単位 | 一般的な目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 予備乾燥 | - | 通常は不要 | 粉末の吸湿・固結を避けるため密封保管する。乾燥皮膜を熱処理する場合は用途条件に合わせる。 |
| 溶解水温 | ℃ | 15~60 | グレードにより冷水分散性が異なる。高温水へ直接投入すると表面ゲル化によるダマを生じる場合がある。 |
| 溶解濃度 | % | 0.1~5 | 一般的な増粘用途の目安。低粘度品ではさらに高濃度も可能。高粘度品は低濃度でも大きく増粘する。 |
| 溶解pH | - | 6~10 | 安定使用の一般的な目安。酸性側では遊離酸化・析出、強アルカリ・高温では分子量低下に注意。 |
| 添加順序 | - | 粉末を均一分散後に水和 | 強撹拌下へ少量ずつ添加、糖・アルコール等で予備分散、スラリー化などでフィッシュアイを抑制する。 |
| シリンダー温度 | ℃ | 該当なし | 通常の熱可塑性溶融成形材ではない。 |
| 金型温度 | ℃ | 該当なし | 同上。 |
| 成形収縮率 | % | 一般化困難 | 乾燥皮膜・複合体では配合、含水率、乾燥速度、基材拘束に大きく依存する。 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下はCMC-Naを中心とした材料群の代表的な整理である。CMCはDS、重合度、純度、水分、溶液濃度によって物性幅が非常に大きいため、熱可塑性樹脂のように単一の機械物性値を材料群代表値として扱うことは適切でない。比較機能では数値化可能な項目のみを用い、機械強度などは個別皮膜または配合物の実測値を使用することが望ましい。
物理・化学特性
| 項目 | 単位 | 代表値 | 代表範囲 | 材料状態・条件 | 備考・信頼度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 外観 | - | 白色系 | 白~淡黄色 | 粉末・粒・繊維状 | 一般品。A |
| 置換度 DS | mol/C6 | データなし | 0.20~1.60 | 市販CMC-Na | グレード幅。日本製紙SUNROSE公開範囲を含む。A |
| 1%水溶液粘度・25℃ | mPa·s | データなし | 3~15000 | 1 mass%、25℃ | 材料群の単一代表値は設定しない。範囲は実在グレード幅。信頼度A。 |
| 高純度品の純度 | % | データなし | 99.0~99.5以上 | 乾燥基準または製品規格 | 食品等高純度品の例。規格ごとに定義が異なる。A |
| 1%水溶液pH | - | データなし | 5.0~8.5 | 1%コロイド溶液 | 食品規格等の一般範囲。A |
| 分子量 | g/mol | 一般化困難 | 17000~300000 | 用途規格例 | OIV規格例。工業品全体ではさらに幅を持ちうる。B |
| 吸水率・24時間 | % | データなし | グレード依存 | 粉末/皮膜 | 吸湿性が高く、試験片形状とRHの影響が大きいため材料群代表値を設定しない。 |
| 密度 | g/cm³ | データなし | グレード依存 | 真密度/かさ密度で異なる | 比較DBでは測定法を分けて登録する。 |
| 屈折率 | - | データなし | グレード依存 | 乾燥皮膜 | 水分・塩型・DS依存。 |
機械・熱・電気特性
| 項目 | 単位 | 代表値 | 代表範囲 | 条件・材料状態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 引張強さ・降伏 | MPa | データなし | 一般化困難 | 乾燥皮膜・配合依存 | 可塑剤、含水率、DS、分子量で大きく変化するため材料群代表値を設定しない。 |
| 引張強さ・破断 | MPa | データなし | 一般化困難 | 乾燥皮膜・配合依存 | 同上。 |
| 引張弾性率 | GPa | データなし | 一般化困難 | 乾燥皮膜 | 吸湿により大きく低下しうる。 |
| 引張破断伸び | % | データなし | 一般化困難 | 乾燥皮膜 | 可塑剤・水分の影響が大きい。 |
| 曲げ強さ | MPa | 該当なし | - | 粉末・水溶性高分子 | 一般材料群としての標準試験片データなし。 |
| アイゾット衝撃強さ・ノッチ付き | kJ/m² | 該当なし | - | - | 一般射出成形材料ではない。 |
| ガラス転移温度 | ℃ | 一般化困難 | グレード依存 | 乾燥度依存 | 水は強い可塑化剤として作用し、測定法で大きく変化する。 |
| 融点 | ℃ | 該当なし | - | - | 実用上は明確な溶融より熱分解が先行する。 |
| 熱分解開始温度 | ℃ | データなし | 220~300 | 乾燥試料、測定法依存 | 参考範囲。DS、塩型、水分、昇温速度で変動。信頼度C。 |
| 荷重たわみ温度・0.45 MPa | ℃ | 該当なし | - | - | 通常の熱可塑性成形材ではない。 |
| 荷重たわみ温度・1.80 MPa | ℃ | 該当なし | - | - | 同上。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 一般化困難 | - | 用途依存 | 乾燥皮膜、溶液、食品、電池等で評価軸が異なる。 |
| 体積抵抗率 | Ω·cm | データなし | グレード依存 | 乾燥状態 | 吸湿・イオン含有量の影響が大きい。 |
| UL 94 | - | 一般化困難 | - | グレード別 | 材料群全体として一律のUL 94等級を設定しない。 |
| 限界酸素指数 LOI | % | データなし | - | - | 一般化しない。 |
比較用評価スコア
| 評価項目 | スコア | 評価理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 0 | 材料群の標準成形試験片データを一般化できない。 |
| 剛性 | 0 | 乾燥皮膜、含水状態、配合による差が大きい。 |
| 耐熱性 | 1 | 高温で溶融加工する構造材料ではなく、熱分解に注意が必要。 |
| 耐薬品性 | 2 | 多くの有機溶剤には強いが、水に溶解し、酸・多価金属塩・酸化剤の影響を受ける。 |
| 耐候性 | 2 | 親水性で湿度影響が大きく、屋外構造材としては限定的。 |
| 耐加水分解性 | 2 | 水系で使用可能だが、長時間・高温・極端なpHでは分子量低下に注意。 |
| 低吸水性 | 1 | 吸湿・吸水性が高い。 |
| 電気絶縁性 | 2 | 乾燥時は絶縁性を得られる場合があるが、吸湿とNaイオンで変動する。 |
| 成形加工性 | 2 | 溶融成形には不向きだが、水系塗工・スラリー加工性は高い。 |
| 接着性 | 4 | 紙、無機粉体、電極活物質などの水系バインダーとして広く用いられる。 |
| リサイクル性 | 3 | 熱可塑性再溶融リサイクルとは異なるが、セルロース由来であり用途に応じて水系回収・処理の可能性がある。 |
| 価格優位性 | 4 | 高機能特殊樹脂より一般に低~中価格帯で流通するが、純度・粘度・用途規格で大きく変動する。 |
耐薬品性
CMC-Naの耐薬品性は、固体・乾燥皮膜・水溶液のどの状態を評価するかで結論が変わる。以下は主としてCMC-Na粉末または乾燥皮膜を薬品へ接触させた場合、および水溶液中での安定性を総合した一般的な目安である。実使用では濃度、温度、接触時間、pH、金属イオン、応力、含水状態を確認する必要がある。
| 分類 | 薬品名 | 濃度 | 温度 | 接触条件 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | 純水 | - | 20~25℃ | 浸漬 | × | 溶解・膨潤 | CMC-Naは水溶性であり、耐水構造材としては不適。 |
| 温水・熱水 | 温水 | - | 60~90℃ | 長時間 | × | 溶解、粘度変化 | 高温で水和・溶解が進み、長時間では分子量低下にも注意。 |
| 無機酸 | 塩酸 | 1~5% | 20~25℃ | 水溶液 | △ | 酸型化、析出、粘度低下 | pH低下によりCMC酸が析出しやすくなる。 |
| 無機酸 | 硫酸 | 1~5% | 20~25℃ | 水溶液 | △ | 析出、加水分解 | 高濃度・高温では著しい分解に注意。 |
| 強酸 | 濃硫酸 | 濃厚 | 20~25℃ | 接触 | × | 脱水・分解・炭化 | 不適。 |
| 有機酸 | 酢酸 | 5~20% | 20~25℃ | 水溶液 | △ | 粘度変化、酸型化 | pHと濃度に依存。 |
| 強アルカリ | NaOH | 1~5% | 20~25℃ | 水溶液 | ○ | 粘度変化 | 短時間・常温では比較的安定だが、高濃度・高温では鎖切断に注意。 |
| 強アルカリ | KOH | 1~5% | 20~25℃ | 水溶液 | ○ | 粘度変化 | NaOHと同様に条件依存。 |
| 低級アルコール | エタノール | 99% | 20~25℃ | 浸漬 | ◎ | 溶解しにくい | 一般に不溶。水混合系では水分率により膨潤・分散挙動が変化。 |
| 低級アルコール | IPA | 99% | 20~25℃ | 浸漬 | ◎ | 溶解しにくい | 水混合率に注意。 |
| 多価アルコール | グリセリン | 高濃度 | 20~25℃ | 接触 | △ | 可塑化、吸湿、膨潤 | CMCフィルムの可塑剤として作用しうる。 |
| 高級アルコール | MMB | 100% | 20~25℃ | 短時間 | ○ | 限定的膨潤 | 水分を含む系では挙動が変化。実配合試験推奨。 |
| ケトン | アセトン | 100% | 20~25℃ | 浸漬 | ◎ | 溶解しにくい | 乾燥CMC-Naは一般に不溶。含水皮膜では抽出・収縮に注意。 |
| ケトン | MEK | 100% | 20~25℃ | 浸漬 | ◎ | 溶解しにくい | 同上。 |
| エステル | 酢酸エチル | 100% | 20~25℃ | 浸漬 | ◎ | 溶解しにくい | 水の共存に注意。 |
| エーテル | THF | 100% | 20~25℃ | 浸漬 | ◎ | 溶解しにくい | CMC-Na単独では一般に不溶。 |
| 芳香族炭化水素 | トルエン | 100% | 20~25℃ | 浸漬 | ◎ | 影響小 | 低極性でCMC-Naを溶解しにくい。 |
| 脂肪族炭化水素 | ヘキサン | 100% | 20~25℃ | 浸漬 | ◎ | 影響小 | 一般に不溶。 |
| ハロゲン化炭化水素 | ジクロロメタン | 100% | 20~25℃ | 浸漬 | ◎ | 溶解しにくい | 含水・添加剤系は個別確認。 |
| 燃料 | ガソリン | - | 20~25℃ | 短時間 | ◎ | 影響小 | CMC単独乾燥皮膜としての一般傾向。 |
| 油 | 鉱物油 | - | 20~80℃ | 接触 | ◎ | 影響小 | 油中水分や界面活性剤の影響を確認。 |
| 冷却液 | エチレングリコール水溶液 | 50% | 20~80℃ | 浸漬 | × | 水和、溶解、可塑化 | 水を多く含むため耐性は低い。 |
| 塩水 | NaCl水溶液 | 3~10% | 20~25℃ | 水溶液 | ○ | 粘度低下 | 一価塩でもイオン強度上昇で鎖が収縮し粘度低下する場合がある。耐塩グレードあり。 |
| 多価金属塩 | CaCl2 | 1~5% | 20~25℃ | 水溶液 | △ | 凝集、ゲル化 | Ca2+架橋的相互作用に注意。 |
| 多価金属塩 | Al2(SO4)3 | 1~5% | 20~25℃ | 水溶液 | × | 強い凝集、架橋、析出 | Al3+など多価カチオンは影響が大きい。 |
| 酸化剤 | 過酸化水素 | 3% | 20~25℃ | 水溶液 | △ | 酸化鎖切断、粘度低下 | 濃度・金属触媒・温度・時間により加速。 |
| 次亜塩素酸塩 | NaClO | 100~1000 ppm | 20~25℃ | 水溶液 | △ | 酸化分解、粘度低下 | 長時間接触は避ける。 |
| 界面活性剤 | 非イオン界面活性剤 | 1~10% | 20~25℃ | 水系 | ○ | 粘度変化 | 多くは併用可能だがHLB、塩、溶剤組成を確認。 |
SP値(溶解度パラメータ)
CMC-Naはイオン性高分子であり、通常の非イオン性熱可塑性樹脂に用いる単一のHildebrand SP値を材料群の代表値として設定することは一般化困難である。セルロースの参考値として約31.9 MPa1/2(15.6 (cal/cm3)1/2換算)が挙げられるが、CMC-Naではカルボキシメチル基、Naイオン、水和、DSの影響が大きいため、この値をCMC固有値として比較DBへ流用すべきではない。
CMCの溶解性はSP値差だけではなく、イオン化、水素結合、誘電率、塩濃度、対イオン、多価金属架橋、pH、温度によって決まる。特に水に対しては高い親和性を示す一方、エタノールや炭化水素には不溶であり、単一SP値の近接性のみで挙動を説明することはできない。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
上表は非反応性ポリマー/溶剤系の一般的なスクリーニング目安であり、CMC-Naのような高極性・イオン性高分子には直接適用しない。
SP値から見た耐溶剤性
| 薬品 | SP値 MPa1/2 | CMCとのSP値差 | 評価 | 実務上の判断 |
|---|---|---|---|---|
| 水 | 47.9 | 算定非推奨 | × | CMC-Naは水和・溶解する。SP差だけでは逆の結論になり得る代表例である。 |
| エタノール | 26.0 | 算定非推奨 | ◎ | 一般にCMC-Naはエタノールに不溶。 |
| IPA | 23.5 | 算定非推奨 | ◎ | 単独では不溶だが水混合系では注意。 |
| アセトン | 20.0 | 算定非推奨 | ◎ | 一般に不溶。 |
| 酢酸エチル | 18.2 | 算定非推奨 | ◎ | 一般に不溶。 |
| トルエン | 18.2 | 算定非推奨 | ◎ | 低極性で一般に不溶。 |
| n-ヘキサン | 14.9 | 算定非推奨 | ◎ | 一般に不溶。 |
評価基準:◎非常に良好、○概ね良好、△注意が必要、×不適。CMCではSP値よりも実際の溶解・膨潤・イオン反応の確認を優先する。
環境応力割れ・ESC
CMCは一般的な非晶性射出成形プラスチックのようなESCを主要故障モードとする材料ではない。ただし、乾燥皮膜・複合膜・コーティングでは吸湿または溶剤吸収による膨潤応力、乾燥収縮、基材との熱膨張差によりクラック、白化、剥離が発生することがある。実部品では、基材上に塗工した状態で湿潤・乾燥サイクル、薬品接触、曲げまたは引張応力を同時に負荷して確認することが望ましい。
製法

CMCは天然セルロースを出発原料とする高分子反応により製造される。代表的には、セルロースを水酸化ナトリウムで膨潤・活性化してアルカリセルロースとし、モノクロロ酢酸またはそのナトリウム塩でエーテル化する。得られた粗CMCは中和、洗浄、精製、乾燥、粉砕、分級を経て、DS、粘度、純度、粒度、水分などを用途別に調整する。
原料
- 木材パルプ、コットンリンター等の高純度セルロース
- 水酸化ナトリウム
- モノクロロ酢酸またはモノクロロ酢酸ナトリウム
- 反応媒体として水、アルコール系媒体などが用いられる場合がある
代表的な反応式
| 工程 | 代表反応・内容 |
|---|---|
| アルカリセルロース化 | Cell–OH + NaOH ⇄ Cell–O−Na+ + H2O |
| エーテル化 | Cell–O−Na+ + ClCH2COONa → Cell–O–CH2COONa + NaCl |
| 副反応 | モノクロロ酢酸とNaOHの反応によりグリコール酸塩が副生する場合があるため、高純度グレードでは洗浄・精製工程が重要となる。 |
| グレード調整 | セルロース重合度、NaOH量、エーテル化剤量、反応温度・時間、洗浄度、粉砕条件を調整してDS、粘度、純度、粒度を制御する。 |
品質・成形不良
| 不良・現象 | 材料側の要因 | 工程側の要因 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| ダマ・フィッシュアイ | 高粘度、微粉、表面の急速水和 | 一括投入、撹拌不足、高温水への直接投入 | 粉末を少量ずつ分散、強撹拌、予備分散、適切な投入順序を採用。 |
| 未溶解ゲル | 粒度、DS分布、架橋状不溶分 | 溶解時間不足 | 低ゲルグレード選定、溶解時間延長、ろ過。 |
| 粘度不足 | 低分子量化、低DS、微生物分解 | 過度の高せん断、高温保持、酸化剤混入 | 温度・pH・せん断履歴管理、防腐・衛生管理。 |
| 粘度過大 | 高粘度グレード、濃度過多 | 計量誤差、水分蒸発 | 濃度再確認、低粘度品への変更、希釈。 |
| 凝集・ゲル化 | アニオン性カルボキシレート | Ca、Al、Fe等多価金属塩の混入 | 水質管理、キレート剤検討、耐塩型選定、添加順序最適化。 |
| 変色 | 熱・酸化劣化、不純物 | 長時間加熱、局所過熱 | 温度・滞留時間低減、原料純度確認。 |
| 皮膜クラック | 高硬度・低可塑化、吸湿差 | 急速乾燥、厚膜、基材収縮差 | 乾燥勾配緩和、可塑剤・共バインダー検討、膜厚最適化。 |
接合・表面処理適性
| 方法 | 適性 | 説明 |
|---|---|---|
| 熱板・超音波・振動溶着 | × | 通常の熱可塑性溶着対象ではない。 |
| 溶剤接着 | △ | 有機溶剤では溶解しにくい。水系で再湿潤・接着する設計は可能。 |
| 接着剤接合 | ○ | CMC自身がバインダーとして働く。相手基材と耐水性を確認する。 |
| コロナ・プラズマ処理 | △ | CMC皮膜自体は高表面エネルギーだが、複合基材の濡れ性改善目的では有効な場合がある。 |
| プライマー処理 | ○ | 耐水化、基材密着、架橋補助目的で検討可能。 |
寸法精度・設計特性
CMC乾燥皮膜は吸湿により寸法と弾性率が変化するため、精密寸法部品の単独構造材には不向きである。塗膜・電極・複合膜では、乾燥収縮、湿度による膨潤、基材との熱膨張差、繰返し吸脱湿による界面応力を考慮する必要がある。短時間の乾燥皮膜強度をそのまま設計許容応力として用いず、使用RH、温度、含水率、電解液、荷重、サイクル数を含めた実配合物で評価する。
劣化・故障モードと注意点
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 吸湿・膨潤 | 親水性、カルボキシレート基 | 高湿度、水接触 | 軟化、寸法変化、粘着化 | 架橋、疎水性共バインダー、バリア層、湿度管理 | 23℃/50%RHおよび高湿度での吸湿・寸法変化 |
| 溶解・流出 | 水溶性 | 水浸漬、温水 | 皮膜消失、接着力低下 | 架橋、複合化、用途上の水接触回避 | 実液浸漬 24~168 h |
| 酸析出 | カルボキシレートのプロトン化 | 低pH | 白濁、凝集、粘度低下 | pH管理、緩衝、耐酸配合 | pHスイープ、保存安定性 |
| 多価金属架橋 | Ca2+、Al3+、Fe3+ | 硬水、無機顔料、金属塩 | ゲル化、凝集、ろ過性悪化 | 軟水使用、キレート、添加順序最適化 | 実配合粘度・粒度・ゲル量測定 |
| 酸化分解 | 過酸化物、次亜塩素酸、金属触媒 | 高温、長時間 | 分子量低下、粘度低下 | 酸化剤濃度低減、金属管理、低温化 | 粘度保持率、GPC、熱老化 |
| 微生物劣化 | 水系天然由来高分子 | 長期貯蔵、常温水系 | 腐敗、臭気、粘度低下 | 防腐設計、衛生管理、低温保管 | 保存効力・微生物試験 |
| 熱劣化 | 脱水、主鎖分解 | 高温乾燥、局所過熱 | 黄変、脆化、炭化 | 乾燥温度・滞留時間管理 | TGA/DSC、熱老化 |
| アウトガス | 吸着水、低分子不純物 | 真空、高温 | 質量減少、汚染 | 高純度品選定、真空乾燥 | TML/CVCM相当評価、GC-MS |
法規制・認証
| 規制・認証 | 一般的な位置づけ | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| RoHS | 一般に対応可能なグレードが存在 | CMCという材料名だけで適合を保証しない。重金属、不純物、添加剤、製造拠点を含む個別証明書を確認する。 |
| REACH / SVHC | 個別製品で確認 | 供給者SDS・SVHC宣言を確認する。規則改訂時点の最新版を使用する。 |
| TSCA | 米国流通品は供給者確認 | インベントリ収載、用途、輸入条件を個別確認する。 |
| EU食品用途 | E466として規格が存在 | 食品添加物規格に適合する高純度CMC-Naグレードを選び、用途・純度規格を確認する。 |
| FDA食品関連 | CMC-NaはFDA食品関連データベースに掲載 | 用途ごとの21 CFR適用範囲と使用条件を確認する。 |
| 日本の食品衛生法 | カルボキシメチルセルロースナトリウムは食品添加物として規格・表示上の位置づけがある | 食品添加物公定書、使用基準、表示基準、対象用途を最新資料で確認する。 |
| 医薬用途 | カルメロースナトリウム等として医薬品添加剤用途がある | 薬局方、GMP、微生物、エンドトキシン等は用途・グレード別に確認。 |
| USP Class VI / ISO 10993 | 材料群全体では一律認証ではない | 医療用途は特定製品の生体適合性データを確認する。 |
| ハロゲンフリー | 最終CMC構造は通常ハロゲンを主成分としない | 原料由来残留塩化物や配合添加剤を含む総合判定が必要。 |
環境・リサイクル性
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 熱可塑性/熱硬化性 | 一般的な溶融熱可塑性樹脂には該当しない。セルロース誘導体の水溶性機能性高分子である。 |
| マテリアルリサイクル | 通常の再溶融ペレット化には不向き。水溶解・分離、紙・繊維工程での回収など用途別検討となる。 |
| 生分解性 | セルロース由来であり生分解性を示す場合があるが、速度はDS、分子量、架橋、環境条件で変化する。 |
| バイオベース | セルロース原料部分はバイオマス由来である。 |
| コンポスト適合性 | 材料名だけでは認証を意味しない。EN 13432、ASTM D6400等の認証は最終製品で確認する。 |
| 焼却 | 有機物として燃焼可能だが、Na塩分、不純物、配合物の影響を考慮する。 |
価格・供給性
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 相対価格 | 比較的低価格~中価格。食品・医薬・電池用高純度特殊グレードは高くなる。 |
| 国内入手性 | 良好。国内メーカー、化学品商社、試薬メーカーから入手しやすい。 |
| 供給形態 | 粉末、顆粒、微粉、用途によっては水溶液・調製品。 |
| 少量購入 | 試薬・小分け品は比較的容易。工業用特殊グレードは最小ロット確認が必要。 |
| 価格変動要因 | 純度、粘度、DS、粒度、食品・医薬規格、金属不純物管理、購入量、物流に依存する。 |
詳細な利用用途
| 分野 | 用途 | 適性 | 採用理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 電池 | 負極バインダー・増粘剤 | ◎ | 水系スラリー化、活物質分散、電極密着、レオロジー制御。 | DS、分子量、Na含有量、金属不純物、SBRとの併用比、乾燥条件を管理。 |
| 塗料・コーティング | 増粘、保水、レベリング | ◎ | 水系で粘度と沈降安定性を調整。 | 多価金属顔料、電解質、pH、耐水性に注意。 |
| 接着剤 | 水系バインダー | ◎ | 紙、木材、無機粉体への接着補助。 | 耐水用途では架橋・共バインダーが必要な場合がある。 |
| 紙 | 表面サイズ、コーティング、歩留まり補助 | ◎ | 保水、粘度、顔料分散、表面強度。 | 抄紙薬品とのイオン相互作用を確認。 |
| 繊維 | 糊剤、捺染ペースト | ◎ | 増粘、洗浄除去性、印刷輪郭。 | 塩・染料・pHの影響。 |
| セラミックス | 成形用バインダー | ◎ | 水系スラリーの成形性、グリーン強度。 | 焼成残渣、金属不純物、脱脂挙動を確認。 |
| 建築・土木 | セメント、モルタル、掘削泥水 | ○ | 保水、粘度、材料分離抑制。 | Ca2+、高pH、塩濃度の影響が大きい。 |
| 食品 | 増粘・安定・保水 | ◎ | 食感、分散安定、離水抑制。 | 食品添加物規格適合グレードを選定。 |
| 医薬 | 結合剤、懸濁化、増粘 | ◎ | 製剤粘度と分散性の制御。 | 薬局方、純度、微生物、用途別規格を確認。 |
| 化粧品 | 増粘、安定化 | ◎ | 水系処方のレオロジー制御。 | 電解質、界面活性剤、防腐剤との相性確認。 |
用途別選定
| 用途 | 評価 | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| ギア・軸受・ブッシュ・ローラー | × | 構造用溶融成形材料ではなく、耐水・耐摩耗性も用途に不足する。 |
| ねじ・ボルト・ナット | × | 機械締結部品の単独材料には不適。 |
| ポンプ・バルブ・配管・タンク | × | 水溶性のため液体接触構造部材には不適。ただしシール剤・添加剤としての利用は別。 |
| フィルム・シート | ○ | 溶液キャストで形成可能。吸湿・耐水性が課題で、架橋やブレンドで改善する。 |
| ボトル・容器 | × | 一般の自立成形容器材には不向き。 |
| 電気コネクタ・ソケット | × | 吸湿・イオン性・耐熱性の点から絶縁構造材には不向き。 |
| 一般筐体・透明カバー・レンズ | × | 射出成形用透明構造材ではない。 |
| 食品機械部品 | × | 機械部材には不向きだが、食品添加剤としては高適性。 |
| 医療機器部品 | △ | ハイドロゲル、創傷材、製剤補助などでは利用可能だが、構造部品には限定的。 |
| 半導体・真空装置部品 | × | 吸湿・アウトガス・イオン汚染の観点で一般構造材には不向き。 |
| 接着剤 | ◎ | 水系バインダーとして有用。 |
| 塗料・コーティング | ◎ | 増粘・分散・保水・皮膜形成補助として適する。 |
| 複合材料マトリックス | ○ | 水系複合体、セルロース系フィルム、無機粒子複合に適用できる。 |
用途別評価は材料群としての一般傾向である。実使用ではグレード、DS、重合度、純度、温度、濃度、荷重、応力、湿度、薬品、使用時間、成形・乾燥条件、法規制を確認する必要がある。
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | CMCとの違い |
|---|---|---|
| セルロースアセテート(CA) | セルロース水酸基をアセチル化した半合成樹脂。熱可塑加工可能なグレードがある。 | CAはCMCより疎水性で水に溶けにくく、成形材料・フィルム用途に向く。CMCは水溶性と増粘・バインダー機能が中心。 |
| ポリビニルアルコール(PVA) | 水溶性合成高分子で、造膜性、接着性、ガスバリア性に優れる。 | PVAは非イオン性に近く、けん化度で水溶性を制御する。CMCはアニオン性で、塩・多価金属イオンの影響が大きい。 |
| ポリ酢酸ビニル(PVAc) | 接着剤・エマルション用の非晶性ビニル系樹脂。 | PVAcは有機溶剤やエマルションで使用され、CMCほど水溶性ではない。CMCは水系増粘・保水に優れる。 |
| EVOH | 高ガスバリア性を持つ熱可塑性共重合体。 | EVOHは溶融成形可能な包装材料。CMCは通常溶融成形せず、水系機能材として使用する。 |
| デンプン系プラスチック(TPS) | デンプンを可塑化・熱可塑化したバイオマス系材料。 | TPSは成形材料として利用される一方、CMCはレオロジー調整・バインダー用途が中心。両者とも吸湿・耐水性が課題となりやすい。 |
| メチルセルロース(MC) | 非イオン性セルロースエーテル。増粘、保水、熱ゲル化などを利用。 | CMCはアニオン性で金属イオンの影響が大きい。MCは非イオン性で電解質耐性や熱ゲル挙動が異なる。個別ページ未確認のためトップへリンク。 |
| ヒドロキシエチルセルロース(HEC) | 非イオン性水溶性セルロースエーテル。 | HECは非イオン性で広いpH・電解質条件に対応しやすい場合がある。CMCはアニオン性と高い吸着・バインダー性が特徴。個別ページ未確認のためトップへリンク。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 日本製紙株式会社 | SUNROSE®(サンローズ®) | 食品添加物、工業、バインダー、吸水・保水など幅広いCMCグレードを展開。DS、粘度、純度の異なる品種が公開されている。 |
| 株式会社ダイセル | CMC DAICEL | 植物由来セルロースを原料とするCMCを、歯磨き、シャンプー、医薬などの増粘・安定化用途へ展開している。 |
| Ashland | Aqualon™ / Blanose™ CMC | 高純度品から工業グレードまで、増粘、懸濁、安定化、バインダー、フィルム形成用途向けCMCを展開する。 |
推奨確認試験
- 実薬品浸漬試験:実使用濃度、温度、24~168時間を基本に、外観、質量、粘度、溶解・析出を確認する。
- 高温高湿試験:40℃/90%RH、60℃/90%RHなど用途に応じた条件で吸湿、寸法、接着力、膜強度を確認する。
- 熱老化試験:乾燥皮膜または配合物で80~150℃の必要範囲を確認し、黄変、質量減少、粘度低下を測定する。
- 塩・多価金属イオン耐性:NaCl、CaCl2、Al塩など実配合濃度で粘度、ゲル、沈降、ろ過性を確認する。
- 電池用途:スラリー粘度、粒度、電極剥離強度、乾燥収縮、電解液膨潤、サイクル特性を実電極で確認する。
- コーティング用途:基材密着、耐水、耐湿、乾湿サイクル、曲げ、耐擦傷を実膜厚で確認する。
- 食品・医療用途:該当規格の純度、微生物、溶出、用途別法規制適合を個別グレードで確認する。
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