アクリルメラミン樹脂

概要

項目 内容
材料名 アクリルメラミン樹脂
略記号 AMR(Acrylic Melamine Resin。業界慣用略号であり、国際的に一義的な規格略号ではない)
IUPAC 単一物質ではないため一義的なIUPAC名はない。水酸基含有アクリル共重合体とアルキルエーテル化メラミン・ホルムアルデヒド樹脂からなる架橋系である
英語名 Acrylic melamine resin / Acrylic-melamine baking enamel / Melamine-crosslinked acrylic coating
日本語名 アクリルメラミン樹脂、アクリルメラミン焼付樹脂、アクリル・メラミン焼付塗料
分類 熱硬化性樹脂、アミノ樹脂架橋型塗料、焼付塗料用バインダー
プラスチック分類 塗料・コーティング用熱硬化性樹脂。一般的な射出成形用プラスチックとは異なる
化学式・代表構造 固定化学式なし。アクリル主鎖−OHとメラミン樹脂の−CH2ORが縮合し、−O−CH2−架橋を形成する
CAS No. 混合物・反応生成物であるため単一CAS No.はない。構成樹脂および各モノマーごとにCAS No.を確認する
構造・主成分 水酸基含有アクリル共重合体、メチル化・ブチル化等のメラミン樹脂、酸触媒、溶剤または水、顔料、添加剤
主な用途 自動車・家電・建材・金属製品・缶・機械部品の焼付塗装、クリヤー、上塗り、着色塗膜

アクリルメラミン樹脂は、水酸基を有するアクリル共重合体を主剤とし、アルキルエーテル化メラミン樹脂を架橋剤として加熱硬化させる塗料・コーティング用熱硬化性樹脂である。一般に、アクリル樹脂の耐候性、光沢、透明性と、メラミン樹脂の硬度、耐溶剤性、耐汚染性を組み合わせた焼付塗膜を形成する。

最終性能は、アクリル樹脂のOH価、酸価、Tg、分子量、メラミン樹脂のエーテル化種、混合比、酸触媒、顔料、膜厚、被塗物温度、焼付時間により大きく変化する。したがって、材料名だけで物性や耐薬品性を一律に断定することはできない。

用途決定時には、実際の基材、前処理、下塗り、塗装方法、膜厚、焼付炉の温度履歴、薬品濃度、温度、接触時間、応力、湿度を再現した塗膜評価が必要である。

特徴

項目 内容
長所 高光沢、高硬度、耐候性、耐汚染性、耐溶剤性、色保持性、外観性のバランスが良い。量産焼付工程に適する
短所 焼付設備が必要であり、低温硬化性は限定的である。架橋密度を上げると脆化、屈曲性低下、付着性低下が生じる場合がある
外観 樹脂液は無色〜淡黄色透明が一般的である。塗膜は透明または顔料色で、高光沢から艶消しまで設計できる
耐熱性 一般的な焼付塗膜の連続使用目安は約80〜120℃である。高耐熱設計ではこれを上回る場合があるが、色差、硬度、密着性で評価する
耐薬品性 常温水、アルコール、油、弱酸・弱アルカリには比較的良好である。強酸、強アルカリ、NMP、DMF、ケトン、エステル、芳香族溶剤では軟化・膨潤・白化に注意する
加工性 スプレー、ロール、フロー、ディップ等に適用できる。焼付温度、被塗物温度、フラッシュオフ、膜厚管理が重要である
分類上の注意 PMMA板材や熱可塑性アクリル樹脂とは別材料である。最終塗膜は三次元架橋体であり、再溶融成形や一般的なマテリアルリサイクルは困難である

構造式

アクリルメラミン樹脂は単一の繰返し構造を持つ樹脂ではなく、水酸基含有アクリル共重合体とメラミン樹脂の反応で形成される架橋ネットワークである。代表反応は、アクリル側の水酸基とメラミン側のアルコキシメチル基との縮合である。

アクリルメラミン樹脂の代表構造と架橋反応

種類・代表グレード

種類・代表グレード 主成分・改質方法 長所 短所 主な用途
標準焼付型 OH含有アクリル+ブチル化またはメチル化メラミン 硬度、外観、耐候性のバランス 焼付設備が必要 自動車部品、家電、金属製品
高硬度型 高OH価アクリル、メラミン比率高め 耐擦傷性、耐溶剤性 脆化、屈曲性低下 金属筐体、機械部品
高耐候型 耐候性モノマー、UV吸収剤、HALS等 光沢・色保持性 添加剤相互作用、コスト 自動車外装、建材
柔軟型 低Tgアクリル、長鎖アクリレート等 屈曲性、加工性 硬度、耐溶剤性低下 プレコートメタル、曲げ加工材
ハイソリッド型 低粘度アクリル、多官能メラミン VOC低減、厚膜化 ポット安定性、塗装粘度管理 工業塗装、自動車
水系型 水分散・水溶性アクリル+水分散メラミン VOC低減 乾燥、耐水性、金属腐食管理 家電、金属、一般工業
顔料配合型 酸化チタン、無機・有機顔料等 着色、隠ぺい、防食補助 顔料分散、色差、耐候差 上塗りエナメル
クリヤー型 高透明アクリル+低着色メラミン 光沢、透明性、保護性 黄変、焼付むら 自動車、装飾金属

成形加工・塗装加工

本材料は塗膜形成用の熱硬化性樹脂であり、射出成形や押出成形を主用途としない。以下の適性は、塗料としての加工および塗装済み部品の二次加工を含む。

加工方法 適性 理由・主な注意点
射出成形 × 架橋塗膜系であり、一般的な射出成形材料ではない
押出成形 × 再溶融押出には不適
ブロー成形 × 対象外
圧縮成形 粉体塗料や特殊成形系を除き一般的ではない
真空成形 × 硬化塗膜単独では対象外。塗装済み基材の後加工は割れに注意
切削加工 塗膜単独加工ではなく塗装部品の後加工。欠け、剥離に注意
スプレー塗装 代表的な適用法。霧化、粘度、膜厚、フラッシュオフを管理
ロールコート コイルコーティング等で量産性が高い
ディップ・フロー 形状、タレ、溜まり、溶剤抜けを確認
電着上塗り 下塗り電着膜との層間付着、焼付条件を確認
塗装後の曲げ加工 柔軟設計が必要。膜厚、焼付過多、基材曲率で割れやすい
接着・印刷 硬化表面は低反応性となるため、研磨、プライマー、表面処理を検討
代表的な塗装・硬化条件
項目 単位 代表値 代表範囲 注意点
予備乾燥 不要 基材・下塗りにより必要 塗料は攪拌・ろ過・粘度調整を行う
塗装粘度 mPa・s 100 50〜500 塗装方式、固形分、温度で調整
乾燥膜厚 µm 25 15〜50 厚膜ではワキ、薄膜では隠ぺい・防食不足に注意
フラッシュオフ min 10 5〜20 溶剤・水分を十分に除去する
焼付温度・被塗物 140 120〜160 炉内雰囲気温度ではなくPMTで管理する
焼付時間 min 20 10〜30 被塗物が設定温度に到達してからの時間を確認
酸触媒 樹脂固形分% 0.5 0〜2 触媒種・ブロック酸・メラミン反応性で変動
成形収縮率 % 該当なし 該当なし 塗膜材料であり一般的な成形収縮率は適用しない
アニール 通常不要 基材・多層膜により実施 追加加熱で過焼付・黄変・付着低下に注意

代表的な物性値又は機械的性質

以下は非強化・無顔料の標準的な硬化塗膜を中心とした代表値である。アクリルメラミン樹脂は配合系であり、特定メーカーの単一グレード値ではない。自由塗膜の物性と基材上塗膜の性能は一致しない場合がある。

項目 単位 比較用代表値 代表範囲 備考・条件 試験規格・条件 信頼度
密度 g/cm³ 1.10 1.05〜1.25 硬化塗膜。顔料入りは1.2〜1.8程度まで上がる場合がある 代表範囲、グレード依存 B
比重 無次元 1.10 1.05〜1.25 クリヤー硬化塗膜の目安 代表範囲 B
鉛筆硬度 尺度 H HB〜4H JIS K 5600-5-4相当。膜厚・焼付条件に依存 代表範囲 B
引張強さ・破断 MPa 45 20〜70 自由塗膜での目安。塗膜試験は基材拘束の影響が大きい 規格不明の代表範囲 C
引張破断伸び % 8 1〜30 柔軟型ほど高い 代表範囲 C
引張弾性率 GPa 1.8 0.8〜3.0 架橋密度、温度、顔料で変動 代表範囲 C
ガラス転移温度 80 40〜120 DMA/DSCで差が出る。配合・硬化度依存 代表範囲 B
連続使用温度 100 80〜120 外観・付着・硬度保持を含む一般的目安 用途別確認 C
短時間耐熱温度 150 130〜180 焼付工程や短時間暴露の目安。連続使用温度ではない 用途別確認 C
吸水率・24時間 % 1.0 0.3〜2.0 自由塗膜の目安。架橋密度と親水基量に依存 代表範囲 C
体積抵抗率 Ω・cm 1×1014 1×1012〜1×1015 乾燥塗膜。顔料、湿度、膜厚で変動 代表範囲 C
絶縁破壊強さ kV/mm 20 10〜30 乾燥塗膜の目安。ピンホール、膜厚に依存 代表範囲 C
線膨張係数 10−5/K 7 5〜12 自由塗膜の目安。基材上では基材拘束を受ける 代表範囲 C
光線透過率 % 90 85〜92 無着色クリヤー、薄膜。膜厚・着色で変化 代表範囲 C
UL 94燃焼性 等級 データなし データなし 材料群一律の等級は設定できない。認証グレードごとに確認 該当製品の証明書確認 A
比較用評価スコア
評価項目 スコア 評価理由
引張強度 3 塗膜として標準的。自由塗膜値は配合差が大きい
剛性 4 架橋により高硬度・高弾性率を得やすい
衝撃強度 2 高硬度型は脆く、基材変形への追従性が低い
耐熱性 3 一般工業塗膜として中程度。高耐熱樹脂には劣る
耐薬品性 4 常用薬品には良好だが、強溶剤・強酸塩基には注意
耐候性 4 アクリル骨格により良好。顔料・添加剤・膜厚で変動
耐加水分解性 3 常温水は良好、高温水・アルカリでは低下
寸法安定性 4 薄膜架橋体として良好。ただし基材拘束と熱膨張差に注意
低吸水性 3 中程度。親水基量と硬化度に依存
電気絶縁性 4 乾燥塗膜は良好。吸湿・顔料で低下
難燃性 0 材料群一律評価は不能。認証グレードごとに確認
透明性 5 クリヤーでは高透明・高光沢を得やすい
塗装加工性 5 焼付塗料として量産適性が高い
接着性 3 前処理と下塗り依存。硬化後表面への二次接着は処理が必要
リサイクル性 1 硬化塗膜は再溶融できない
価格優位性 3 工業塗料として標準〜やや高い
難燃性・電気特性上の注意

UL 94、CTI、GWFI、GWIT、RTI等は、アクリルメラミン樹脂という材料群だけでは決定できない。顔料、難燃剤、膜厚、基材、硬化条件、色、認証対象部品により異なるため、個別製品のUL Yellow Card、メーカー証明書および最終部品試験を確認する。

耐薬品性

評価は標準硬化塗膜の一般的傾向である。実際には架橋密度、顔料、下塗り、基材、膜厚、焼付不足、薬品濃度、温度、接触時間、拭き取り摩擦、残留応力で変化する。

薬品名 濃度 温度 接触時間・方法 応力 評価 主な劣化形態 備考
100% 23℃ 24 h浸漬 無応力 白化、吸水、密着低下 長期・高温では確認が必要
温水 100% 60〜80℃ 8〜24 h浸漬 無応力 白化、加水分解、膨れ 焼付不足や親水性配合で悪化
塩酸 5% 23℃ 24 h浸漬 無応力 光沢低下 高濃度・高温では△〜×
硫酸 10% 23℃ 24 h浸漬 無応力 変色、加水分解 濃硫酸は×相当
水酸化ナトリウム 5% 23℃ 24 h浸漬 無応力 エステル加水分解、白化 高温・高濃度で劣化が進む
アンモニア水 3% 23℃ 24 h接触 無応力 光沢低下、膨潤 塗膜組成、硬化度依存
エタノール 99.5% 23℃ 1 h接触 無応力 軟化、艶変化 長時間・擦り試験を確認
IPA 99% 23℃ 1 h接触 無応力 艶変化、軟化 消毒清拭では摩擦を含め評価
グリセリン 99% 23℃ 24 h浸漬 無応力 軽微な吸湿 高温では確認
MMB 100% 23℃ 1 h接触 無応力 膨潤、軟化 グリコールエーテル系は実液試験必須
トルエン 100% 23℃ 30 min接触 無応力 膨潤、光沢低下 長時間では×相当となる場合がある
n-ヘキサン 100% 23℃ 24 h浸漬 無応力 添加剤抽出 芳香族混入に注意
アセトン 100% 23℃ 10 min接触 無応力 × 強い軟化、膨潤、溶解 洗浄用途には不適
MEK 100% 23℃ 10 min接触 無応力 × 軟化、溶解 MEKラブ試験は硬化度管理に使用される
酢酸エチル 100% 23℃ 30 min接触 無応力 × 膨潤、白化、密着低下 塗膜溶剤として親和性が高い
ジクロロメタン 100% 23℃ 10 min接触 無応力 × 急速な膨潤、剥離 使用回避が基本
鉱物油 100% 80℃ 24 h浸漬 無応力 軟化、汚染 添加剤・温度で変動
ガソリン 市販燃料 23℃ 1 h接触 無応力 膨潤、艶変化 芳香族・含酸素成分で差が大きい
次亜塩素酸Na 200 ppm 23℃ 24 h接触 無応力 色差、表面酸化 高濃度・高温・長時間では△
過酸化水素 3% 23℃ 24 h接触 無応力 色差、酸化 高濃度・金属触媒共存は確認
SP値(溶解度パラメータ)
材料・グレード 比較用代表値 δ 代表範囲 δ 備考
アクリルメラミン樹脂・標準硬化塗膜 20.5 19.5〜21.5 架橋塗膜の見かけの代表値。厳密な単一値ではない
高硬度型 21.0 20.0〜22.5 OH価・メラミン比率・硬化度で変動
高耐候型 20.0 19.0〜21.5 耐候性モノマー、添加剤で変動
柔軟型 19.5 18.5〜20.5 低Tg成分増加で低下する傾向

単位はMPa1/2である。架橋塗膜には厳密な単一SP値を与えにくく、上記は膨潤・溶剤親和性を比較するための見かけの目安である。SP値だけで耐薬品性を判断してはならない。

溶解性の目安
SP値差 Δδ 溶解・膨潤の目安 判定
0〜2 膨潤・軟化しやすい ×
2〜5 条件により膨潤する
5〜8 短時間接触では比較的安定
8以上 溶解・膨潤しにくい
SP値から見た耐溶剤性

標準硬化塗膜の代表値を20.5 MPa1/2として比較した。評価は一次スクリーニングであり、架橋密度、反応性、浸透性、加水分解、酸化、界面付着を含まない。

薬品・溶剤 SP値 δ MPa1/2 SP値差 評価 実務上の注意
47.9 27.4 SP差は大きいが、熱水・長期では加水分解と白化を確認
エタノール 26.0 5.5 短時間清拭は概ね良好。擦り・長時間は確認
IPA 23.5 3.0 SP上は注意域。硬化度が高ければ実用可能な場合が多い
アセトン 20.3 0.2 × 軟化・膨潤・溶解リスクが高い
MEK 19.0 1.5 × 代表的な強溶剤。硬化度試験にも利用
酢酸エチル 18.2 2.3 実務上は×相当となる場合が多い
酢酸ブチル 17.4 3.1 未硬化・薄膜・高温で影響大
トルエン 18.2 2.3 膨潤・艶変化に注意
n-ヘキサン 14.9 5.6 非極性。添加剤抽出は別途確認
NMP 23.1 2.6 × 高浸透性で架橋塗膜も強く膨潤し得る
DMF 24.8 4.3 極性が高く、長時間では不適となる場合がある
ジクロロメタン 20.2 0.3 × 急速膨潤・剥離リスク

評価基準は、◎:非常に良好、○:概ね良好、△:注意が必要、×:不適である。ケトン、エステル、NMP、DMF、塩素系溶剤は、SP値差だけでなく高い浸透性によって架橋塗膜を侵す場合がある。

製法

まず水酸基含有アクリル樹脂をラジカル重合で製造し、これにアルキルエーテル化メラミン樹脂、顔料、添加剤、酸触媒を配合する。塗装後にフラッシュオフを行い、加熱により架橋させる。

アクリルメラミン樹脂塗料の代表的な製造工程

原料・反応・工程
工程 内容 主な管理点
原料 MMA、BA、EA、2-EHA、2-HEA、HEMA、AA等のアクリルモノマー、溶剤または水、ラジカル開始剤、連鎖移動剤 OH価、酸価、Tg、分子量、固形分を設計する
アクリル樹脂重合 溶液重合、エマルション重合、分散重合等 発熱、残留モノマー、ゲル、分子量分布、色相を管理する
メラミン樹脂配合 メチル化、ブチル化、混合エーテル化メラミン樹脂を配合 反応性、相溶性、硬度、柔軟性、黄変性を調整する
塗料化 顔料、分散剤、レベリング剤、消泡剤、UV吸収剤、HALS、酸触媒等を配合 触媒量過多は貯蔵安定性低下、焼付過多、脆化の原因となる
塗装 スプレー、ロール、ディップ、フロー等 膜厚、濡れ、タレ、ピンホール、基材前処理を管理する
フラッシュオフ 常温または加温で溶剤・水分を除去 急速加熱はワキ、ピンホール、沸騰跡の原因となる
焼付硬化 一般に120〜160℃、10〜30分程度。被塗物温度で管理 低温短時間では硬化不足、高温長時間では黄変・脆化・付着低下に注意
品質確認 MEKラブ、鉛筆硬度、付着性、耐水、耐薬品、外観、色差 用途に応じて促進耐候、湿熱、塩水噴霧、加工性も評価する
代表的な反応式

アクリル樹脂の重合:n CH2=C(R)COOR′ → −[CH2−C(R)(COOR′)]n

水酸基含有共重合成分:CH2=CH−R−OHを共重合し、側鎖に−OHを導入する。

架橋反応:Acrylic−OH + Melamine−CH2OR → Acrylic−O−CH2−Melamine + ROH

実際にはメラミン樹脂の自己縮合、メチレンエーテル橋の形成、酸触媒反応が併発し、三次元網目構造を形成する。

詳細な利用用途

用途 適性 選定理由 主な注意点
自動車外装・部品 高光沢、耐候性、耐薬品性 層間付着、チッピング、酸性雨、燃料、洗車薬品を確認
家電・OA機器 外観、硬度、耐汚染性 指紋、洗剤、アルコール清拭、成形品耐熱を確認
建材・PCM 耐候性、着色性、量産性 曲げ加工、屋外暴露、端面腐食、プライマー適合を確認
金属容器・缶 硬度、耐内容物性 食品接触、レトルト、溶出、内容物適合は専用グレードで確認
機械部品 耐油、外観、防汚 潤滑油、切削油、熱、摩耗を確認
医療機器外装 外観、清拭性 消毒薬、溶出、生体適合、滅菌は専用認証グレードのみ
食品機械外装 洗浄性、耐汚染性 食品接触部は法規適合と溶出試験が必要
電子部品筐体 絶縁、外観 UL、CTI、難燃性、アウトガスを個別確認
接着剤 × 主用途ではない 架橋塗膜用バインダーとして使用
塗料・コーティング 本来用途 焼付設備とVOC・触媒・硬化条件を管理
複合材料マトリックス 薄膜マトリックスとしては可能 構造用複合材の主マトリックスには一般的でない
品質・成形不良、劣化・故障モード
劣化現象・不良 主な原因 発生しやすい条件 影響 予防策 推奨確認試験
硬化不足 焼付温度不足、被塗物温度不足、触媒不足、メラミン不足 低温・短時間、厚膜 低硬度、耐溶剤性低下、ブロッキング PMT管理、MEKラブ、硬度測定 焼付条件マップ、DSC/DMA、溶剤ラブ
過焼付・脆化 高温長時間、触媒過多、メラミン過多 薄板、高温炉、再焼付 黄変、割れ、屈曲性低下、付着低下 配合・炉温・時間最適化 色差、屈曲、衝撃、付着、再焼付試験
ワキ・ピンホール 溶剤抜け不足、急速昇温、厚膜 高膜厚、低沸点溶剤 穴、泡、外観不良、防食低下 フラッシュオフ、溶剤バランス、昇温制御 断面観察、膜厚、炉内温度履歴
膨れ・白化 吸水、浸透、界面付着不足 温水、高湿、塩水 外観低下、剥離、腐食 前処理、下塗り、硬化度、膜厚管理 耐水、沸騰水、高温高湿、塩水噴霧
溶剤膨潤 SP近接溶剤、低架橋、残留溶剤 ケトン、エステル、NMP、DMF 軟化、艶変化、剥離 架橋密度向上、溶剤選定、接触回避 実液浸漬、拭き取り、硬度・付着保持率
層間剥離 基材汚染、下塗り相性、過焼付、再塗装窓外 油、離型剤、結露 剥離、防食低下 脱脂、表面処理、再塗装条件管理 クロスカット、碁盤目、プルオフ、湿熱後付着
クラック 高Tg、高架橋、残留応力、基材変形 曲げ、衝撃、熱サイクル 亀裂、腐食進行 柔軟設計、膜厚低減、下塗り最適化 マンドレル屈曲、デュポン衝撃、熱サイクル
アウトガス・臭気 残留モノマー、溶剤、未反応メラミン、副生アルコール 高温、密閉、真空 臭気、曇り、電子部品汚染 脱揮、十分な焼付、低アウトガス原料 TGA、GC-MS、Fogging、TML/CVCM
法規制・認証、環境・供給性
項目 実務上の扱い
RoHS・REACH 一般に対応可能であるが、全構成成分・顔料・触媒・溶剤を含む製品単位でSDS、含有証明を確認する
SVHC・TSCA・Prop 65 製造者、製品、色、添加剤、製造拠点で異なる。最新版の規制証明書を確認する
食品接触 材料群全体で適合するものではない。FDA、EU 10/2011、日本食品衛生法・ポジティブリストへの適合グレードを選定する
医療用途 USP Class VI、ISO 10993等は特定グレード・最終製品で確認する。一般工業用塗料を流用しない
UL・IEC 塗膜単独または塗装部品としての認証条件を確認する。膜厚、基材、色、硬化条件が影響する
PFAS関連 アクリルメラミン骨格自体は通常フッ素を必須としないが、表面調整剤、撥水剤、顔料、助剤に含まれる場合がある
環境・リサイクル 硬化塗膜は再溶融できず、基材リサイクル時の除膜・混入管理が課題となる。VOC、焼付エネルギー、水系化、ハイソリッド化を評価する
価格・供給性 中価格〜比較的高価格。汎用工業塗料として供給性は良いが、少量・特注色・認証品はMOQと納期を確認する

関連材料との比較

比較材料 特徴 アクリルメラミン樹脂との違い
アクリル樹脂 透明性・耐候性に優れる熱可塑性樹脂 AMRはメラミン架橋により耐溶剤性、硬度、耐汚染性が高いが、再溶融できない
メラミン樹脂 硬度、耐熱、耐薬品性に優れるアミノ樹脂 AMRではメラミン樹脂を架橋剤として用い、アクリルの耐候性と組み合わせる
エポキシ樹脂 密着、防食、耐薬品性に優れる 防食・付着ではエポキシが有利、屋外耐候・光沢保持ではAMRが有利な場合が多い
ポリウレタン樹脂 柔軟性、耐摩耗性、低温特性に優れる PUは常温硬化・柔軟性に優れる。AMRは焼付量産性、硬度、外観に優れる
アルキド樹脂 濡れ性、刷毛塗り性、低コスト AMRは耐候、耐薬品、硬度が高い。アルキドは酸化乾燥型が多く硬化が遅い
不飽和ポリエステル樹脂 成形・積層用途に多い熱硬化性樹脂 AMRは薄膜塗装用。UPはFRP等の厚肉成形用が中心
ウレタンアクリレート UV・EB硬化で高硬度・高生産性 UAは光硬化、AMRは加熱縮合硬化。立体形状、影部、設備条件が異なる

代表的なメーカー

メーカー 代表製品・ブランド 概要
DIC株式会社 ACRYDIC、BURNOCK、IDEMIN等 アクリル樹脂およびメラミン樹脂を含む塗料用樹脂を展開。製品ごとに用途、溶剤系、水系、反応性が異なる
allnex SETAL、CYMEL等 アクリルポリオール、アミノ架橋剤を含む工業塗料用樹脂を展開。国内供給・銘柄は最新資料で確認する
三井化学株式会社 ユーバン(U-VAN)等 アミノ樹脂系架橋剤の代表的ブランドとして知られる。適用樹脂、反応性、法規適合は銘柄別に確認する
日本触媒株式会社 アクリル系樹脂・機能性ポリマー各種 用途別アクリルポリマーを展開。アクリルメラミン用途への適合は個別製品資料と技術窓口で確認する

メーカー名・ブランドは実在例であるが、アクリル樹脂とメラミン樹脂の組合せ、国内販売状況、銘柄統廃合、法規適合は時点および地域で変化する。採用時には最新のTDS、SDS、法規証明、供給可否を確認する。

寸法精度・設計上の注意
  • 塗膜単独の短時間引張強さを、塗装部品の設計許容応力として使用しない。
  • 基材と塗膜の線膨張係数差、曲げ変形、熱サイクル、端面形状、膜厚差による応力集中を確認する。
  • ウェルド、鋭角、打抜き端面、圧入部、ねじ締結部では塗膜クラックと剥離が生じやすい。
  • 再塗装、補修、二次接着では、硬化表面の研磨、脱脂、プラズマ処理、プライマー処理を検討する。
推奨確認試験
  • 実薬品浸漬試験:実液、実濃度、使用上限温度、24〜1000時間。質量、硬度、光沢、色差、付着性を評価する。
  • 応力・拭き取り試験:アルコール、洗浄剤、燃料等を用い、荷重、往復回数、乾湿サイクルを設定する。
  • 高温高湿試験:40〜85℃、85〜95%RH、240〜1000時間。膨れ、白化、付着、腐食を確認する。
  • 熱水・沸騰水試験:60〜100℃、1〜24時間。白化、膨れ、硬度、クロスカット付着を確認する。
  • 促進耐候試験:キセノンアークまたはUV蛍光ランプ。色差、光沢保持率、クラック、付着を評価する。
  • 熱サイクル試験:低温〜高温を50〜500サイクル。基材との熱膨張差による割れと剥離を確認する。
  • MEKラブ、鉛筆硬度、クロスカット、デュポン衝撃、マンドレル屈曲試験で硬化度と機械性能を確認する。
  • 電子・真空用途ではGC-MS、Fogging、TML/CVCM等のアウトガス試験を実施する。

関連キーワード

アクリルメラミン樹脂アクリル樹脂メラミン樹脂アルキド樹脂エポキシ樹脂ポリウレタン樹脂ウレタンアクリレート熱硬化性樹脂SP値焼付塗料工業用塗料耐薬品性環境応力割れMEKラブ試験クロスカット試験

タイトルとURLをコピーしました