概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | ニトリルゴム |
| 略記号 | NBR |
| IUPAC | poly(buta-1,3-diene-co-prop-2-enenitrile)(代表的な共重合体表現) |
| 英語名 | Nitrile Rubber、Nitrile Butadiene Rubber、Acrylonitrile-Butadiene Rubber |
| 日本語名 | ニトリルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブタジエン・アクリロニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム |
| 分類 | 合成ゴム、ジエン系共重合ゴム、耐油性エラストマー |
| プラスチック分類 | 未加硫状態では熱可塑的に混練できるが、通常は架橋後に使用する熱硬化性エラストマーである。 |
| 化学式又は代表構造 | [-CH2-CH=CH-CH2-]x-co-[-CH2-CH(C≡N)-]y |
| CAS No. | 9003-18-3(アクリロニトリル・ブタジエン共重合体として一般に用いられる番号) |
| 構造・主成分 | 1,3-ブタジエンとアクリロニトリルのランダム共重合体である。結合アクリロニトリル量は一般に約18~50質量%であり、含有量が高いほど耐油・耐燃料・ガスバリア性が向上する一方、低温柔軟性は低下する傾向がある。 |
| 主な用途 | Oリング、オイルシール、ガスケット、パッキン、燃料・油圧ホース、ダイヤフラム、ロール、ベルト、手袋、接着剤、摩擦材、発泡体、NBRラテックス製品。 |
ニトリルゴムは、耐油性、耐燃料性、耐摩耗性、機械強度及び加工性のバランスに優れる代表的な合成ゴムである。特に鉱物油、潤滑油、脂肪族炭化水素及び一部の燃料に対する膨潤が比較的小さく、自動車、油圧・空圧機器、産業機械及びシール部品に広く使用される。
特性は結合アクリロニトリル量、ムーニー粘度、分岐、重合温度、充填材、可塑剤、架橋方式及び加硫密度に強く依存する。低ニトリルグレードは低温柔軟性に優れ、高ニトリルグレードは耐油・耐燃料・ガスバリア性に優れる。したがって、単に「NBR」と指定するだけでは材料選定条件として不十分であり、ACN量、硬度、配合、温度、接触薬品、圧縮率及び要求寿命を明確にする必要がある。
耐候性、耐オゾン性及び高温長期耐久性はEPDM、HNBR、FKM及びシリコーンゴムより劣る場合が多い。屋外、オゾン、高温油又は酸化性薬品を伴う用途では、NBR/PVC、HNBR、ACM、ECO、FKM等との比較が必要である。
特徴
| 項目 | 内容 | 設計・選定上の注意 |
|---|---|---|
| 長所 | 鉱物油、潤滑油、脂肪族炭化水素及び燃料に対する耐膨潤性、耐摩耗性、引張強さ、接着性、ガスバリア性、コスト性能に優れる。 | 高ACN化により耐油性は向上するが、低温性と弾性回復が低下する傾向がある。 |
| 短所 | 耐オゾン、耐候、耐熱酸化、耐蒸気、耐強酸化剤、耐芳香族溶剤、耐ケトン・エステルが不十分な場合がある。 | 屋外静的シールでも伸張状態ではオゾンクラックが発生し得る。保護剤又は他材料を検討する。 |
| 外観 | 原料ゴムは淡黄色~褐色のベール、クラム、粉末又はラテックスである。加硫品はカーボンブラック配合の黒色が多い。 | 色、表面性、抽出物及び汚染性は配合剤に依存する。 |
| 耐熱性 | 一般的な連続使用温度の目安は約80~100℃である。耐熱配合では約110~120℃程度まで検討される。 | 高温油中では酸化、硬化、圧縮永久ひずみ増大が進む。長期用途は実液老化試験で確認する。 |
| 耐寒性 | 低ACNグレードはおおむね-40℃付近まで柔軟性を保持しやすい。高ACNグレードは低温硬化しやすい。 | TR10、脆化温度、低温圧縮永久ひずみ及び実シール漏れを確認する。 |
| 耐薬品性 | 油、脂肪族炭化水素、動植物油に比較的良好である。芳香族炭化水素、ケトン、エステル、塩素系溶剤では膨潤又は劣化しやすい。 | 薬品濃度、温度、時間、応力、配合及びACN量で大きく変化する。 |
| 加工性 | ロール混練、バンバリー混練、押出、圧縮、トランスファー及びゴム射出成形に適する。 | スコーチ、可塑剤移行、金型汚染、加硫不足、収縮及びバリに注意する。 |
| 分類上の注意 | HNBR、XNBR、NBR/PVC、NBRラテックス及び液状NBRは、標準NBRとは特性及び加工法が異なる。 | 材料名だけでなく、変性種、ACN量、ムーニー粘度、硬度及び架橋系を指定する。 |
構造式

NBRは、1,3-ブタジエン由来の不飽和主鎖と、極性の高いニトリル基を持つアクリロニトリル由来単位からなる。ニトリル基は油及び非極性溶剤への耐膨潤性とガスバリア性を高める一方、分子鎖運動を制約し、ガラス転移温度を上昇させる。
| 構成要素 | 説明 |
|---|---|
| 1,3-ブタジエン | ゴム弾性、低温柔軟性及び加硫反応点となる炭素-炭素二重結合を与える。 |
| アクリロニトリル | 極性ニトリル基を導入し、耐油性、耐燃料性、ガスバリア性及び接着性を高める。 |
| ランダム共重合構造 | 一般的なNBRはランダム共重合体であり、モノマー配列及びミクロ構造は重合条件により変化する。 |
| 変性構造 | カルボキシ基を導入したXNBR、水素化したHNBR、イソプレンを共重合したNBIR、PVCブレンド等がある。 |
種類・代表グレード
| 種類 | 主成分・改質 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 低ニトリルNBR | 結合ACN量25質量%未満 | 低温柔軟性、反発弾性、加工性 | 耐油、耐燃料、ガスバリアは低い | 低温シール、ホース、柔軟部品 |
| 中ニトリルNBR | 結合ACN量25~31質量% | 低温性と耐油性のバランス | 極端な低温又は燃料用途では不足する場合がある | 一般Oリング、ガスケット、ホース |
| 中高ニトリルNBR | 結合ACN量31~36質量% | 耐油、機械強度、加工性の標準バランス | 低温性は低ニトリル品より劣る | オイルシール、油圧シール、工業用品 |
| 高・極高ニトリルNBR | 結合ACN量36~50質量%程度 | 耐燃料、耐油、ガスバリア | 低温硬化、圧縮永久ひずみ、加工性に注意 | 燃料系シール、燃料ホース、ガスケット |
| XNBR | カルボキシル基導入 | 耐摩耗、引裂強さ、接着性、剛性 | 加工窓、スコーチ、金属酸化物架橋に注意 | ロール、ベルト、耐摩耗シール、手袋 |
| HNBR | NBR主鎖二重結合を水素化 | 耐熱、耐オゾン、耐酸化、機械強度 | 高価格、低温性と耐薬品性はグレード依存 | 自動車高温シール、ベルト、油田用途 |
| NBR/PVC | NBRとPVCのポリマーブレンド | 耐候、耐オゾン、難燃性、加工性 | 低温性、可塑剤移行、比重増加 | ホース、電線被覆、シート、成形品 |
| NBRラテックス | 水分散体 | 浸漬成形、紙・繊維含浸、接着性 | 乾燥、残留界面活性剤、アレルゲン管理 | 手袋、バインダー、含浸紙、接着剤 |
| 液状・粉末NBR | 低分子量液状又は粉末形態 | 樹脂改質、接着、摩擦材への分散性 | 通常のベールゴムと加工法が異なる | 接着剤、エポキシ改質、ブレーキ材、PVC改質 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 理由 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| ゴム射出成形 | ◎ | 複雑形状、短サイクル、自動化に適する。 | スコーチ安全性、金型温度、滞留時間、バリ、ガス抜きを管理する。 |
| 圧縮成形 | ◎ | Oリング、パッキン、厚肉品に広く用いられる。 | 予備成形重量、加硫時間、型内空気、離型を管理する。 |
| トランスファー成形 | ○ | インサート及び比較的複雑なシールに適する。 | ランナー廃棄、スコーチ、圧力損失に注意する。 |
| 押出成形 | ◎ | ホース、チューブ、異形材、電線被覆に適する。 | ダイスウェル、寸法変化、加硫収縮、表面肌を確認する。 |
| ブロー成形 | × | 一般的な加硫NBRコンパウンドには適用しにくい。 | 熱可塑性NBR系材料又は特殊ラテックス工程は別途検討する。 |
| 真空成形・圧空成形 | × | 通常の加硫ゴムコンパウンドは熱可塑シート成形に適さない。 | NBR/PVCシート等の特殊材料では可能性がある。 |
| カレンダー成形 | ○ | シート、ゴム引布、ライニングに適する。 | 粘着性、厚み精度、収縮、気泡、繊維との接着を管理する。 |
| 浸漬成形 | ◎ | NBRラテックスによる手袋等に適する。 | 凝固剤、膜厚、乾燥、加硫、残留物、ピンホールを管理する。 |
| 切削加工 | △ | 硬質配合又は凍結加工では可能である。 | 弾性変形、発熱、バリ、寸法復元に注意する。 |
| 接着 | ○ | 極性があり、適切な表面処理と接着剤で接合しやすい。 | 離型剤、ブルーム、可塑剤、加硫状態を管理する。 |
| 塗装・印刷 | △ | 表面処理により可能である。 | 可塑剤移行、屈曲追従性、密着及び耐油性を確認する。 |
成形条件の一般的な目安
| 項目 | 単位 | 代表的な目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 予備乾燥 | - | 通常不要 | 加硫済みペレットではなく未加硫ゴムコンパウンドを使用する。吸湿性フィラー配合では保管管理が必要である。 |
| 混練排出温度 | ℃ | 90~120 | 配合及び加硫系により異なる。スコーチ防止のため過度の発熱を避ける。 |
| 金型温度 | ℃ | 150~190 | 硫黄加硫、過酸化物加硫、製品肉厚及び成形方式に依存する。 |
| 加硫時間 | min | 1~20 | 薄肉射出品から厚肉圧縮品まで幅が大きい。レオメータでt90を確認する。 |
| 射出圧力 | MPa | 50~150 | ゴム射出成形機、粘度、流路、製品形状により調整する。 |
| 成形収縮率 | % | 1.5~3.0 | 硬度、充填量、金型温度、加硫収縮、二次加硫により変化する。 |
| 二次加硫 | - | 必要により実施 | 過酸化物加硫、低圧縮永久ひずみ、抽出物低減等で実施する場合がある。 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下は非強化・一般配合の加硫NBRについて、複数の一般的な技術資料でみられる代表範囲を整理したものである。特定メーカーの特定グレード値ではなく、硬度、ACN量、カーボンブラック量、可塑剤、加硫系及び試験規格により大きく変動する。
物理・機械特性
| 項目 | 単位 | 下限値 | 代表値 | 上限値 | データ信頼度 | 条件・備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 1.00 | 1.15 | 1.30 | B | 加硫配合物。フィラー量により変動する。 |
| 比重 | 無次元 | 1.00 | 1.15 | 1.30 | B | 23℃付近の一般配合。 |
| 硬度 | Shore A | 40 | 70 | 90 | A | 一般工業用配合。特殊軟質・硬質品を除く。 |
| 引張強さ・破断 | MPa | 8 | 15 | 25 | B | ISO 37又はASTM D412相当。配合及び硬度依存。 |
| 引張破断伸び | % | 100 | 300 | 600 | B | 23℃、加硫状態。高硬度・高充填品では低い。 |
| 100%引張応力 | MPa | 2 | 5 | 12 | B | 硬度及び架橋密度に依存。 |
| 引裂強さ | kN/m | 15 | 35 | 60 | C | 試験片形状及び規格差が大きい。 |
| 反発弾性 | % | 20 | 35 | 50 | C | 温度、硬度、可塑剤及びフィラーに依存。 |
| 圧縮永久ひずみ | % | 10 | 25 | 50 | C | 例:70℃×22~24h。条件及び加硫系を必ず併記する。 |
| 動摩擦係数 | 無次元 | データなし | グレード依存 | データなし | 0 | 相手材、潤滑、荷重、速度、表面粗さに強く依存する。 |
| 吸水率・24時間 | % | 0.2 | 0.5 | 1.5 | C | 配合、ACN量、抽出性成分に依存。代表値、規格不明。 |
| ガス透過性 | - | データなし | 中~低 | データなし | C | 高ACNほど一般にガス透過性が低い。ガス種、温度、厚さ条件が必要である。 |
熱・電気・燃焼特性
| 項目 | 単位 | 下限値 | 代表値 | 上限値 | 信頼度 | 条件・備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ガラス転移温度 | ℃ | -45 | -25 | -5 | B | ACN量増加により高温側へ移動する。可塑剤でも変化する。 |
| 融点 | ℃ | 該当なし | 該当なし | 該当なし | A | 一般的なNBRは非晶性共重合ゴムであり、明確な融点を持たない。 |
| 連続使用温度 | ℃ | -30 | 90 | 120 | B | 下限は低温側、上限は耐熱配合の短~中期目安。一般連続使用は約80~100℃。 |
| 短時間耐熱温度 | ℃ | 100 | 120 | 140 | C | 短時間、無応力の目安。熱老化及び圧縮永久ひずみを確認する。 |
| 熱伝導率 | W/(m・K) | 0.15 | 0.20 | 0.30 | B | 一般配合。熱伝導性フィラー配合を除く。 |
| 線膨張係数 | 10-5/K | 10 | 16 | 25 | C | 温度範囲、フィラー量、拘束条件で変化する。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1×108 | 1×1011 | 1×1014 | C | カーボンブラック配合では大幅に低下する。絶縁配合と導電配合を混同しない。 |
| 絶縁破壊強さ | kV/mm | 8 | 15 | 25 | C | 厚さ、配合、電極、周波数、湿度依存。 |
| 比誘電率・1 kHz | 無次元 | 5 | 10 | 20 | C | ACN量及び配合依存。代表値、規格不明。 |
| UL 94燃焼性 | - | グレード依存 | HB相当が多い | グレード依存 | C | 材料群一律の認証ではない。厚さ、色、難燃剤及び個別ULファイルを確認する。 |
| 限界酸素指数 | % | 18 | 20 | 24 | C | 配合により変動。一般NBRは自己消火性材料ではない。 |
比較用評価スコア
| 評価項目 | スコア | 評価理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 4 | 一般ゴムとして高い。配合及びXNBR化でさらに向上可能である。 |
| 耐油性 | 5 | 鉱物油及び脂肪族炭化水素に対して代表的な耐油ゴムである。 |
| 低温特性 | 3 | 低ACNでは良好だが、高ACNでは低温硬化しやすい。 |
| 耐熱性 | 3 | 一般に80~100℃級。HNBR、FKM、VMQより低い。 |
| 耐候性 | 2 | 主鎖二重結合によりオゾン・紫外線・熱酸化に弱い。 |
| 耐摩耗性 | 4 | 一般に良好であり、XNBRではさらに向上する。 |
| 電気絶縁性 | 3 | 極性があり、EPDMやシリコーンより誘電損失が大きい場合がある。 |
| 成形加工性 | 4 | 混練、押出、圧縮及び射出成形に広く適用できる。 |
| リサイクル性 | 1 | 加硫後は再溶融できず、マテリアルリサイクルが難しい。 |
| 価格優位性 | 4 | HNBR、FKM、VMQ等の高機能ゴムより一般に低価格で供給性が高い。 |
耐薬品性
以下は中ニトリル~中高ニトリルの一般加硫NBRを、23℃付近、無応力、短~中時間接触として整理した概略評価である。高温、長時間、圧縮・引張応力、動的変形、異種材料界面及び高ACN/低ACN差により結果は変化する。
| 分類 | 薬品名 | 濃度 | 温度 | 接触 | 応力 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | 水 | - | 23℃ | 浸漬 | 無 | ◎ | 軽微な吸水 | 一般に良好。 |
| 温水 | 温水 | - | 60~80℃ | 連続 | 有/無 | ○ | 硬化、圧縮永久ひずみ | 高温長期では配合確認が必要。 |
| 熱水・蒸気 | 熱水・水蒸気 | - | 100℃以上 | 連続 | 有 | △ | 硬化、膨潤、物性低下 | EPDM、FKM、VMQ等を比較する。 |
| 無機酸 | 塩酸 | 10% | 23℃ | 浸漬 | 無 | ○ | 長期で硬化・強度低下 | 濃度・温度上昇で悪化する。 |
| 無機酸 | 硫酸 | 10% | 23℃ | 浸漬 | 無 | ○ | 酸化、硬化 | 濃硫酸及び高温は不適。 |
| 有機酸 | 酢酸 | 10% | 23℃ | 浸漬 | 無 | △ | 膨潤、軟化 | 濃度と温度依存。 |
| 強アルカリ | 水酸化ナトリウム | 10% | 23℃ | 浸漬 | 無 | ○ | 長期で物性低下 | 高温濃厚液は実液試験が必要。 |
| 低級アルコール | エタノール | 99% | 23℃ | 浸漬 | 無 | ○ | 軽度膨潤、抽出 | 配合剤抽出に注意。 |
| 低級アルコール | IPA | 99% | 23℃ | 浸漬 | 無 | ○ | 軽度膨潤 | 長時間及び高温では確認する。 |
| 多価アルコール | グリセリン | 100% | 23℃ | 浸漬 | 無 | ◎ | 影響小 | 一般に良好。 |
| 高級アルコール | 3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(MMB) | 100% | 23℃ | 浸漬 | 無 | △ | 膨潤、可塑剤抽出 | エーテル結合を持つため実測推奨。 |
| 脂肪族炭化水素 | n-ヘキサン | 100% | 23℃ | 浸漬 | 無 | ○ | 膨潤 | 高ACNほど一般に良好。 |
| 脂肪族炭化水素 | ミネラルスピリット | 100% | 23℃ | 浸漬 | 無 | ○ | 膨潤、硬度低下 | 芳香族含有量に注意。 |
| 芳香族炭化水素 | トルエン | 100% | 23℃ | 浸漬 | 無 | × | 著しい膨潤、軟化 | 一般に不適。 |
| 芳香族炭化水素 | キシレン | 100% | 23℃ | 浸漬 | 無 | × | 著しい膨潤 | 高ACNでも慎重な評価が必要。 |
| ケトン | アセトン | 100% | 23℃ | 短時間/浸漬 | 無 | × | 膨潤、軟化、抽出 | 不適。 |
| ケトン | MEK | 100% | 23℃ | 浸漬 | 無 | × | 著しい膨潤 | 不適。 |
| エステル | 酢酸エチル | 100% | 23℃ | 浸漬 | 無 | × | 膨潤、軟化 | 一般に不適。 |
| エーテル | THF | 100% | 23℃ | 浸漬 | 無 | × | 著しい膨潤又は溶解傾向 | 不適。 |
| ハロゲン化炭化水素 | ジクロロメタン | 100% | 23℃ | 浸漬 | 無 | × | 著しい膨潤、抽出 | 不適。 |
| 潤滑油 | 鉱物系潤滑油 | - | 23~100℃ | 連続 | 有 | ◎ | 高温で硬化・圧縮永久ひずみ | NBRの代表用途。油種と添加剤を確認する。 |
| 作動油 | 鉱物油系作動油 | - | 23~100℃ | 連続 | 有 | ◎ | 高温老化、摩耗 | リン酸エステル系作動油は別評価。 |
| 燃料 | ガソリン | 市販燃料 | 23℃ | 連続 | 有 | ○ | 膨潤、抽出 | 高ACN、燃料用配合を選定。エタノール混合率に注意。 |
| 燃料 | 軽油 | 市販燃料 | 23~80℃ | 連続 | 有 | ◎ | 高温で硬化 | バイオディーゼル混合燃料は別途確認する。 |
| ブレーキ液 | グリコール系ブレーキ液 | - | 23~120℃ | 連続 | 有 | △ | 膨潤、物性低下 | EPDMが一般に用いられる。NBRは原則慎重。 |
| 冷却液 | エチレングリコール水溶液 | 50% | 80~120℃ | 連続 | 有 | ○ | 高温硬化、圧縮永久ひずみ | 高温長期ではHNBR又はEPDMと比較する。 |
| 酸化剤 | 過酸化水素水 | 3% | 23℃ | 短時間 | 無 | △ | 酸化、硬化 | 濃度・温度上昇で悪化する。 |
| 次亜塩素酸塩 | 次亜塩素酸ナトリウム | 0.1~1% | 23℃ | 短時間 | 無 | △ | 酸化、表面劣化 | 洗浄後の水洗及び実液試験が必要。 |
| 塩水 | 塩化ナトリウム水溶液 | 3.5% | 23℃ | 浸漬 | 無 | ◎ | 影響小 | 金属との接触腐食は別途評価する。 |
| 食品油 | 植物油 | 100% | 23~80℃ | 連続 | 無 | ○ | 膨潤、抽出 | 食品接触適合配合及び高温耐久を確認する。 |
SP値(溶解度パラメータ)
NBRのHildebrand SP値は、結合アクリロニトリル量及び測定・推算方法により幅があり、代表的には約18~23 MPa1/2程度として扱われる。中ニトリル~中高ニトリルNBRでは約20~22 MPa1/2を概略値として用いる場合がある。
SP値は平衡膨潤の一次スクリーニングに有効であるが、架橋密度、結晶性、分子量、添加剤抽出、酸化、加水分解、温度、応力及び混合溶剤効果を表現しない。耐薬品性の最終判断には実配合・実部品での試験が必要である。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
| 溶剤 | SP値 MPa1/2 | NBRとの差の目安 | 評価 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| n-ヘキサン | 14.9 | 5~7 | ○ | 実際には油・脂肪族炭化水素への耐性が比較的良い。 |
| トルエン | 18.2 | 2~4 | △ | 実際には著しい膨潤を生じる場合が多く、×寄りで評価する。 |
| 酢酸エチル | 18.6 | 2~4 | △ | 実液では膨潤しやすく、一般に不適。 |
| MEK | 19.0 | 1~3 | × | 高い膨潤・軟化リスク。 |
| アセトン | 20.0 | 0~2 | × | SP値が近く、一般に不適。 |
| エタノール | 26.0 | 4~8 | ○ | 短時間では比較的安定だが抽出に注意。 |
| 水 | 47.9 | 25以上 | ◎ | 一般に膨潤は小さいが、熱水・蒸気は別評価。 |
環境応力・長期耐久上の注意
NBRでは、熱可塑性樹脂で用いられるESCの概念だけでなく、伸張状態でのオゾンクラック、圧縮下での永久ひずみ、動的変形下での疲労亀裂、油膨潤による接着界面剥離及び低温硬化によるシール追従性低下が重要である。実部品では、圧縮率、締結状態、溝設計、表面粗さ、潤滑状態及び温度サイクルを含めて評価する。
製法

| 工程 | 内容 |
|---|---|
| 原料 | 1,3-ブタジエン、アクリロニトリル、水、乳化剤、ラジカル開始剤、分子量調整剤、重合停止剤等を用いる。 |
| 乳化共重合 | 低温又は温温乳化重合によりランダム共重合体ラテックスを得る。モノマー比、重合転化率及び連鎖移動剤によりACN量、分子量及びムーニー粘度を調整する。 |
| 停止・脱モノマー | 所定転化率で重合停止剤を添加し、未反応ブタジエン及びアクリロニトリルを回収する。 |
| 凝固・洗浄 | 塩、酸又は凝固剤によりラテックスを凝固し、水洗して乳化剤、電解質及び残留物を低減する。 |
| 脱水・乾燥・ベール化 | 脱水、乾燥後、ベール、クラム又は粉末形態に仕上げる。ラテックス製品は分散状態で調整する。 |
| 配合・コンパウンド | カーボンブラック、シリカ、可塑剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加工助剤、顔料等を混練する。 |
| 成形・加硫 | 圧縮、トランスファー、射出、押出又はカレンダー成形後、硫黄系又は過酸化物系で架橋する。必要により二次加硫を行う。 |
代表反応式は、m CH2=CH-CH=CH2 + n CH2=CH-C≡N → [-CH2-CH=CH-CH2-]m-co-[-CH2-CH(C≡N)-]nで表される。ただし、実際には1,2-結合、1,4-結合、分岐、末端基及び配列分布を含む。
接合・表面処理適性
| 方法 | 適性 | 注意点 |
|---|---|---|
| 接着剤接合 | ○ | クロロプレン系、ウレタン系、エポキシ系、シアノアクリレート系等が用いられる。離型剤、ブルーム及び可塑剤を除去し、必要により研磨・プライマー処理を行う。 |
| 加硫接着 | ◎ | 金属、繊維又は他ゴムとの一体加硫に広く用いられる。接着剤の耐油・耐熱・耐疲労性を確認する。 |
| 機械締結 | ○ | 圧縮率、締付けトルク、座面、クリープ及び応力緩和を設計する。 |
| コロナ・プラズマ処理 | ○ | 表面汚染除去及び濡れ性向上に有効であるが、処理効果の経時低下を確認する。 |
| 塗装・印刷 | △ | 可塑剤移行と屈曲追従性が密着を左右する。実配合で耐油・耐摩耗試験を行う。 |
寸法精度・設計特性
- ゴム部品の設計では、硬度だけでなく圧縮率、接触圧、圧縮永久ひずみ、応力緩和及び温度依存性を考慮する。
- 成形収縮率は一般に約1.5~3.0%であるが、流動方向、金型温度、配合、加硫条件及び二次加硫により変化する。
- 油膨潤と低温収縮が同時に生じる用途では、シール溝体積充填率とクリアランスを確認する。
- 短時間の引張強さをそのまま長期設計許容応力に使用してはならない。クリープ、疲労、圧縮永久ひずみ及び実寿命データを用いて安全率を設定する。
- インサート及び金属接着部では、熱膨張差、接着端部の応力集中、油浸漬後の界面強度を確認する。
品質・成形不良
| 不良 | 材料側の主因 | 成形条件側の主因 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| スコーチ | 促進剤過多、保管中の熟成、分散不良 | 混練温度過高、滞留時間過長、射出筒温度過高 | スコーチタイム確認、排出温度低減、冷却、配合見直し。 |
| 加硫不足 | 加硫剤不足、促進剤失活、汚染 | 金型温度低い、時間不足、厚肉中心部未加硫 | レオメータt90確認、温度均一化、時間延長。 |
| ガス焼け・ボイド | 揮発分、水分、分解性添加剤 | 空気抜き不足、急速充填、厚肉 | 真空成形、ベント改善、材料保管、射出速度最適化。 |
| バリ | 低粘度、過加硫、配合ばらつき | 型締力不足、金型摩耗、圧力過大 | 型締・圧力・粘度調整、金型修正。 |
| ウェルド・接着不良 | ブルーム、離型剤、可塑剤移行 | 表面処理不足、温度不足、流動会合不良 | 洗浄、研磨、プライマー、流動設計改善。 |
| 寸法ばらつき | ムーニー粘度、充填量、ロット差 | 金型温度、加硫時間、冷却条件の変動 | 工程能力管理、収縮率実測、熟成条件統一。 |
| 表面ブルーム | 加硫剤、老化防止剤、ワックスの過飽和 | 加硫不足、保管温度変化 | 配合溶解性の見直し、加硫適正化、保管条件管理。 |
注意点・劣化故障モード
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 熱酸化劣化 | 主鎖二重結合の酸化 | 高温空気、高温油、長時間 | 硬化、亀裂、伸び低下 | 耐熱配合、HNBR等への変更 | 100~150℃熱老化、引張・硬度・圧縮永久ひずみ |
| オゾンクラック | 二重結合へのオゾン攻撃 | 屋外、モータ周辺、伸張状態 | 表面亀裂、漏れ | ワックス・老化防止剤、NBR/PVC、HNBR | 静的・動的オゾン試験 |
| 油膨潤 | 油成分とポリマーの親和性 | 芳香族分、燃料、低ACN、高温 | 体積増加、硬度低下、押出し破壊 | 高ACN、低抽出配合、溝設計 | 実油浸漬、体積・質量・硬度・引張測定 |
| 低温硬化 | Tg接近、可塑剤減少 | 寒冷地、高ACN、油中抽出後 | シール追従性低下、漏れ | 低ACN、低温可塑剤、HNBR低温グレード | TR10、脆化温度、低温圧縮復元、実シール試験 |
| 圧縮永久ひずみ | 架橋網目の緩和・切断 | 高温、長時間、高圧縮率 | 接触圧低下、漏れ | 過酸化物加硫、適正圧縮率、耐熱材 | 実温度・実時間で圧縮永久ひずみ試験 |
| 疲労亀裂 | 繰返し変形、ノッチ、発熱 | ダイヤフラム、ベルト、動的シール | 亀裂進展、破断 | 形状改善、XNBR/HNBR、低発熱配合 | 屈曲疲労、繰返し圧縮、実部品耐久 |
| 添加剤抽出 | 可塑剤・老化防止剤の溶出 | 溶剤、燃料、洗浄液、食品接触 | 硬化、質量減少、汚染 | 低抽出配合、適合添加剤 | 溶出、重量変化、GC-MS、臭気試験 |
| 接着界面剥離 | 油浸透、熱膨張差、表面汚染 | 金属接着シール、高温油 | 漏れ、剥離 | 表面処理、耐油接着剤、端部設計 | 油浸漬後180°剥離、引抜き、熱サイクル |
法規制・認証
| 規制・認証 | 一般的な対応 | 確認事項 |
|---|---|---|
| RoHS・REACH・SVHC・ELV | 適合可能なグレード・配合が存在する | ポリマー単体ではなく、加硫剤、促進剤、可塑剤、顔料、金属酸化物及び製造拠点を含む個別証明書を確認する。 |
| 食品衛生法・ポジティブリスト | 食品接触用配合が存在する | 食品種、温度、接触時間、抽出条件及び最終成形品での適合を確認する。 |
| FDA食品接触 | 適合配合が存在する | 該当する21 CFR用途区分、抽出試験及び配合証明を確認する。 |
| USP Class VI・ISO 10993 | 医療用グレード又は成形品で取得例がある | 材料群全体の認証ではない。滅菌方法、溶出物、細胞毒性、製造変更管理を確認する。 |
| UL | 特定配合で登録例がある | UL 94、厚さ、色、温度指数及びファイル番号を個別確認する。 |
| PFAS関連規制 | 標準NBRポリマー自体はフッ素系ではない | 加工助剤、離型剤、コーティング又はシール組立品にフッ素系成分を含む可能性がある。 |
| ISCC PLUS | マスバランス方式の認証品が供給される場合がある | 対象製品、拠点、割当方法及び証明書をメーカーへ確認する。 |
環境・リサイクル性
- NBRは通常、加硫後に三次元架橋構造となるため再溶融できず、熱可塑性樹脂のようなマテリアルリサイクルは難しい。
- 粉砕ゴムとして充填材、路盤材、床材等へ利用できる場合があるが、物性、臭気、汚染及び異物管理が必要である。
- 脱硫・再生ゴム化、熱分解油化等の技術が検討されるが、品質及び経済性は用途依存である。
- 燃焼時には二酸化炭素、一酸化炭素、窒素酸化物及びシアン化水素等が発生する可能性があるため、適切な排ガス処理が必要である。
- バイオベース原料又はマスバランス認証品が供給される場合があるが、生分解性を意味しない。
価格・供給性
| 項目 | 概略評価 |
|---|---|
| 価格区分 | 比較的低価格~中価格。HNBR、FKM、FVMQより一般に安価である。 |
| 国内入手性 | 良好。原料ゴム、コンパウンド、シート、丸紐、Oリング、ホース等の供給網が広い。 |
| 少量購入 | 標準硬度・標準寸法の成形品及びシートは比較的容易である。特殊配合は最小ロットが大きくなる場合がある。 |
| 供給形態 | ベール、クラム、粉末、ラテックス、液状、未加硫コンパウンド、加硫シート、成形品。 |
| 価格変動要因 | ブタジエン・アクリロニトリル市況、配合剤、購入量、硬度、色、認証、検査及び特殊形状。 |
詳細な利用用途
| 分野 | 用途 | 適性 | 採用理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 自動車 | 燃料ホース、Oリング、オイルシール、ガスケット | ◎ | 耐油・耐燃料・耐摩耗性 | 高温、エタノール燃料、オゾンではHNBR/FKM等と比較する。 |
| 油圧・空圧 | ロッドシール、ピストンシール、ダイヤフラム | ◎ | 鉱物油系作動油への耐性、機械強度 | 押出し破壊、圧縮永久ひずみ、低温漏れを確認する。 |
| 機械 | ロール、ベルト、ブッシュ、カップリング | ○ | 耐摩耗、接着、コスト | 動的疲労、発熱、オゾン亀裂に注意する。 |
| 電気・電子 | ケーブル、グロメット、絶縁部品 | △ | 柔軟性、耐油性、NBR/PVCの加工性 | 電気絶縁、難燃、可塑剤移行及び熱老化を確認する。 |
| 医療 | 手袋、チューブ、シール | ○ | ラテックス成形性、耐穿刺、天然ゴムラテックス代替 | 残留化学物質、加硫促進剤アレルギー、滅菌耐久を確認する。 |
| 食品機械 | ガスケット、スクレーパ、Oリング | ○ | 油脂接触、機械強度 | 食品接触適合、抽出、洗浄薬品、蒸気殺菌条件を確認する。 |
| 建築・設備 | 耐油パッキン、配管シール、防振材 | ○ | 油環境での耐久性 | 屋外・オゾン・蒸気ではEPDM等を比較する。 |
| 印刷・製紙 | 印刷ロール、搬送ロール、ピックアップロール | ○ | 耐摩耗、研磨性、インキ・油への耐性 | 芳香族溶剤、ケトン、エステル系洗浄剤に注意する。 |
| 接着剤・樹脂改質 | 溶剤系接着剤、エポキシ改質、摩擦材 | ◎ | 極性、接着性、靭性付与 | 溶剤選定、残留溶剤、相分離及び硬化反応を確認する。 |
用途別選定
| 用途 | 適性 | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| ギア・軸受・ブッシュ | △ | 弾性部品又は低荷重用途に限る。寸法精度と摩耗条件を確認する。 |
| シール・ガスケット・Oリング | ◎ | 代表用途。油種、温度、圧縮率、ACN量及び硬度を選定する。 |
| チューブ・ホース | ◎ | 燃料・油圧用途に適する。補強層、内外層構成及び透過性を確認する。 |
| タンク・配管 | △ | ライニング又はホース用途では可能だが、大型自立構造材には不向きである。 |
| フィルム・シート | ○ | カレンダー又はラテックスで可能。寸法安定性と表面粘着に注意する。 |
| 電気コネクタ・絶縁部品 | △ | 耐油性は有利だが、高絶縁・高耐熱用途では他材料を比較する。 |
| 透明カバー・レンズ | × | 一般配合は不透明であり、光学用途に適さない。 |
| 自動車エンジンルーム | ○ | 油接触部に適するが、高温・オゾン・長寿命ではHNBR、ACM、FKMを検討する。 |
| 食品機械部品 | ○ | 食品接触認証配合、抽出、洗浄及び蒸気条件の確認が必要。 |
| 医療機器部品 | ○ | 適合グレードが存在する。生体適合性、滅菌、抽出物を個別確認する。 |
| 屋外部品 | △ | 耐オゾン・耐候性が弱い。保護配合、NBR/PVC又は他ゴムを検討する。 |
| 接着剤・コーティング | ◎ | 極性及び接着性を活かせる。溶剤、可塑剤、耐熱及びVOCを確認する。 |
用途適性は材料群としての一般的評価である。実使用では、グレード、硬度、ACN量、配合、荷重、温度、薬品濃度、湿度、時間、試験片形状、成形条件及び法規制を確認する必要がある。
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | NBRとの違い |
|---|---|---|
| エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM) | 耐候、耐オゾン、耐水、耐蒸気、電気絶縁に優れる。 | NBRは鉱物油・燃料に優れ、EPDMは屋外・水系・ブレーキ液に有利である。 |
| シリコーンゴム(VMQ) | 広い使用温度範囲、耐候、電気特性に優れる。 | NBRは耐摩耗、引裂、耐油及び価格で有利。VMQは高温・低温・屋外で有利。 |
| 天然ゴム(NR) | 高弾性、高引張、耐疲労、接着性に優れる。 | NBRは耐油に優れ、NRは反発弾性と疲労性に優れる。 |
| スチレンブタジエンゴム(SBR) | 耐摩耗、加工性、価格のバランスが良い。 | NBRは耐油・耐燃料で大きく優れ、SBRはタイヤ用途と低コストで有利。 |
| ブタジエンゴム(BR) | 低温性、反発弾性、耐摩耗性に優れる。 | NBRは耐油・接着性に優れ、BRは動的特性と低温性に優れる。 |
| クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM) | 耐候、耐オゾン、耐薬品、難燃に優れる。 | NBRは耐油と価格で有利。CSMは屋外・酸化環境で有利。 |
| フッ素ゴム・フッ素系材料 | 高温、燃料、薬品及び真空用途に優れる高機能材料群。 | NBRは低価格・加工性・低温性で有利。FKMは高温・薬品・燃料で有利。 |
| 熱可塑性エラストマー(TPE) | 射出成形、再溶融、短サイクルに優れる。 | NBRは耐油、圧縮シール及び架橋ゴム物性に有利。TPEは生産性とリサイクル性に有利。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 日本ゼオン株式会社 | Nipol | 低ニトリルから極高ニトリル、XNBR、NBIR、液状、粉末等の幅広いNBR製品群を展開する。 |
| ARLANXEO | Perbunan、Krynac | 国際的な合成ゴムメーカーであり、各種ACN量、低温、高粘度、特殊用途向けNBRを展開する。 |
| LG Chem | LBR NBRシリーズ | 一般工業用及び各種ゴム製品向けNBRを供給する。 |
| Kumho Petrochemical | KNBシリーズ | NBR、XNBR、粉末NBR等の合成ゴム製品を展開する。 |
| Versalis | Europrene N | 欧州系の合成ゴムメーカーであり、NBRを含むエラストマー製品を展開する。 |
製品の供給状況、製造拠点、規制適合、色、包装及び最小ロットは変更される場合があるため、採用時にはメーカーの最新技術資料及び証明書を確認する必要がある。
推奨確認試験
- 実薬品浸漬試験:実液、実濃度、実温度、24時間、168時間、500時間等で質量、体積、硬度、引張強さ及び伸びを測定する。
- 圧縮永久ひずみ試験:実使用圧縮率、温度及び時間で評価し、復元後のシール接触圧を確認する。
- 低温試験:TR10、脆化温度、低温圧縮復元及び実部品漏れ試験を行う。
- 熱老化試験:空気中及び実油中で硬度変化、引張保持率、伸び保持率、体積変化を確認する。
- オゾン試験:実使用伸張率、オゾン濃度、温度及び時間で静的・動的亀裂を評価する。
- 疲労・耐久試験:実変位、周波数、温度、圧力及び繰返し回数でダイヤフラム、ベルト、動的シールを評価する。
- 接着耐久試験:金属又は繊維との接着品は、熱老化、油浸漬、熱サイクル後の剥離・引抜き強度を測定する。
- 溶出・アウトガス試験:食品、医療、真空、電子用途では、対象規格に応じて抽出物、揮発成分、臭気及び汚染性を確認する。
関連キーワード
アクリロニトリルブタジエンゴム / ニトリルゴム / NBR / Nitrile Butadiene Rubber / アクリロニトリル / ブタジエン / XNBR / HNBR / NBR/PVC / NBRラテックス / EPDM / シリコーンゴム / SBR / BR / 天然ゴム / CSM / フッ素系材料 / エラストマーの耐薬品性 / SP値 / ゴムの熱伝導率