プラスチックの耐薬品性一覧表

本表は、主要なプラスチック材料に対する代表的な薬品・溶剤の耐性を、 ◎・○・△・×で整理した参考表です。 材料選定、洗浄剤選定、薬液タンク、配管、治具、部品設計などの初期判断に利用できます。

評価条件:
・温度:20〜25℃
・応力:無負荷
・NaOH:5 wt% / 30 wt%
・HCl:5 wt% / 30 wt%
・有機溶剤:特記なき場合は原液または高濃度を想定

※高温、応力下、長時間浸漬、実成形品の残留応力、添加剤、ガラス繊維強化グレードでは結果が変わる場合があります。

評価記号の意味

記号意味目安
長期使用可能外観変化、膨潤、強度低下が少ない
条件付き使用可能軽微な変化はあるが、短期〜中期使用可能
短時間接触のみ膨潤、白化、軟化、強度低下の可能性あり
×使用不可溶解、クラック、著しい劣化の可能性あり

耐薬品性一覧表

材料 IPA EtOH アセトン MEK トルエン キシレン THF NaOH 5% NaOH 30% HCl 5% HCl 30% 硫酸 次亜塩素酸Na ガソリン
PE×××
PP×××
PS××××××××
PVC××
PET×××
PC××××××××××
ABS××××××
PA×
POM×
PBT×××
PMMA×××××××
COP/COC×××
PEEK
PPS
PEI
PSU
PPSU
LCP
PTFE
PVDF

※次亜塩素酸Naは、一般的な次亜塩素酸ナトリウム水溶液を想定しています。 弱酸性の次亜塩素酸水とは条件が異なります。

実務上注意すべきNG組み合わせ

組み合わせ起こりやすい現象注意点
PC × IPA / エタノール応力クラック無応力では短時間耐える場合があるが、成形残留応力があると割れやすい
PC × アセトン / MEK溶解・白化・クラック洗浄溶剤としては不適
ABS × アセトン / MEK溶解・軟化ABS表面を侵しやすい
PMMA × アセトンクラック・溶解透明部材では特に外観不良になりやすい
PET / PBT × 強アルカリ加水分解NaOH高濃度・高温条件では劣化しやすい
PA × 水・酸・アルカリ吸水・寸法変化溶けなくても寸法安定性に注意

薬品別の材料選定ポイント

アセトン・MEKに強い樹脂

PTFE、PVDF、PEEK、PPS、LCPなどは比較的耐性が高い傾向があります。 一方で、PC、ABS、PMMA、PSは影響を受けやすいため注意が必要です。

NaOHに強い樹脂

PP、PE、PTFE、PVDF、PEEK、PPS、LCPはアルカリに強い傾向があります。 PET、PBT、PC、PMMAは高濃度アルカリや高温条件では劣化に注意が必要です。

HClに強い樹脂

PP、PE、PTFE、PVDF、PEEK、PPS、LCPは酸に対して比較的安定です。 ただし、濃度、温度、応力条件により評価は変動します。

芳香族溶媒に注意すべき樹脂

トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒は、PS、ABS、PMMA、PCなどに影響を与える場合があります。 洗浄、接着、塗装、インキ用途では事前確認が必要です。

SP値との関係

プラスチックと溶剤の溶解性は、SP値(溶解度パラメータ)の差からある程度予測できます。 一般に、樹脂と溶剤のSP値が近いほど、溶解または膨潤しやすくなります。

ただし、SP値だけでは応力クラック、加水分解、酸化劣化、結晶性、添加剤の影響までは判断できません。 そのため、SP値は「溶けやすさの一次判定」として使用し、最終的には実使用条件での確認が必要です。

本表を使用する際の注意

  • 本表は代表的な一般グレードを想定した参考値です。
  • ガラス繊維強化、難燃、可塑剤、耐候グレードでは結果が異なる場合があります。
  • 成形品の残留応力がある場合、薬品によりクラックが発生しやすくなります。
  • 高温では薬品の浸透、膨潤、加水分解、酸化が進みやすくなります。
  • 実際の製品採用時には、使用温度、濃度、接触時間、応力状態に近い条件で確認してください。

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