概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | ポリケトン |
| 略記号 | PK |
| IUPAC | 代表例:poly(1-oxoethylene)、または一酸化炭素・エチレン・プロピレン交互共重合体として表記される |
| 英語名 | Polyketone、Aliphatic Polyketone、Carbon monoxide-olefin copolymer |
| 日本語名 | ポリケトン、脂肪族ポリケトン、一酸化炭素・オレフィン共重合体 |
| 分類 | 熱可塑性樹脂、結晶性樹脂、脂肪族ポリケトン系樹脂 |
| プラスチック分類 | エンジニアリング・プラスチック |
| 化学式または代表構造 | 代表構造:−[−CO−CH2−CH2−]m−[−CO−CH(CH3)−CH2−]n− |
| CAS No. | 代表例:204719-89-1(一酸化炭素・エチレン・プロピレン共重合体)。組成、登録形態により異なる場合がある |
| 構造・主成分 | 一酸化炭素とエチレン、または一酸化炭素・エチレン・プロピレンを交互に近い配列で共重合した結晶性ポリマーである |
| 主な用途 | 自動車燃料系部品、チューブ、ギア、摺動部品、電気・電子部品、コネクタ、食品機械部品、産業機械部品など |
ポリケトン(PK)は、主鎖中にケトン基(−CO−)を規則的に持つ結晶性の熱可塑性エンジニアリング・プラスチックである。一般に、一酸化炭素とエチレン、または一酸化炭素・エチレン・プロピレンを原料とする脂肪族ポリケトンを指すことが多い。
分子鎖中のケトン基による分子間相互作用と結晶性により、耐摩耗性、耐薬品性、耐燃料性、ガスバリア性、耐加水分解性に優れる傾向がある。ポリアミド系材料と比較して吸水による寸法変化が小さく、ポリアセタール(POM)やポリアミド(PA)の代替候補として検討される場合がある。
一方で、流通しているグレード、成形条件、充填材の有無により物性差が大きい材料である。実使用では、温度、薬品濃度、応力、荷重、接触時間、乾燥条件、成形履歴を確認して選定する必要がある。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 長所 | 耐摩耗性、耐薬品性、耐燃料性、耐加水分解性、耐衝撃性、ガスバリア性に優れる。吸水率が比較的低く、寸法安定性を得やすい。 |
| 短所 | 強酸化性薬品、高温強酸、高温強アルカリ、特定溶剤、長期高温負荷では劣化や膨潤を生じる場合がある。国内での採用実績や流通グレードはPA、POM、PBTほど多くない。 |
| 外観 | 自然色は乳白色から淡黄色系である。着色グレード、黒色グレード、GF強化グレードもある。 |
| 耐熱性 | 融点は代表的に約220℃前後である。荷重たわみ温度は未強化で約90〜130℃、GF強化で約180〜210℃が目安である。 |
| 耐薬品性 | 油、燃料、脂肪族炭化水素、アルコール、弱酸、弱アルカリに比較的強い。芳香族炭化水素、ケトン、エステル、塩素系溶剤では条件により膨潤や物性低下を確認する必要がある。 |
| 加工性 | 射出成形、押出成形、チューブ成形、コンパウンド加工に適する。乾燥条件、滞留時間、金型温度の管理が重要である。 |
| 分類上の注意 | PEEK、PEKKなどの芳香族ポリケトン系スーパーエンプラとは区別する。一般的な材料名としての「ポリケトン」は、脂肪族ポリケトンを指す場合が多い。 |
構造式
代表的な構造単位
| 項目 | 構造 |
|---|---|
| エチレン・一酸化炭素交互共重合単位 | −[−CO−CH2−CH2−]n− |
| エチレン・プロピレン・一酸化炭素共重合単位 | −[−CO−CH2−CH2−]m−[−CO−CH(CH3)−CH2−]n− |
| 化学式の画像 | 白黒の構造式としては、主鎖にケトン基とアルキレン基が交互に並ぶ構造を表示する。HTML本文ではテキスト構造式で示す。 |
| モノマーまたは構成単位 | 一酸化炭素(CO)、エチレン(CH2=CH2)、プロピレン(CH2=CH−CH3) |
| 共重合体・変性グレード | プロピレン共重合により融点、結晶化挙動、靭性、成形性を調整したグレードがある。GF強化、摺動、耐熱、難燃、食品接触対応などのコンパウンド品もある。 |
種類
| 種類の名称 | 主成分または特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 未強化PK | 標準的な脂肪族ポリケトン | 靭性、耐薬品性、耐摩耗性、成形性のバランスが良い | 高温剛性はGF強化品に劣る | ギア、摺動部品、チューブ、一般機構部品 |
| 高流動グレード | 薄肉・複雑形状向けに流動性を調整 | 薄肉成形、コネクタ、複雑形状に適する | グレードにより衝撃性や耐熱性が低下する場合がある | 電気・電子部品、小型機構部品 |
| GF強化PK | ガラス繊維を10〜50%程度配合 | 剛性、寸法安定性、HDT、耐クリープ性が向上する | 異方性、反り、相手材摩耗に注意が必要である | 構造部品、ブラケット、ハウジング、燃料系部品 |
| 摺動グレード | PTFE、シリコーン、潤滑剤、無機充填材などを配合する場合がある | 摩擦係数、摩耗量、鳴き音を低減しやすい | 接着、塗装、二次加工性が低下する場合がある | ギア、軸受、ローラー、スライダー |
| 難燃グレード | 難燃剤、難燃助剤を配合 | 電装部品で必要な難燃性を付与できる | 機械特性、流動性、耐トラッキング性はグレード確認が必要である | コネクタ、電装ケース、端子台 |
| 食品接触・低溶出グレード | 食品接触用途や低VOC用途を想定した管理グレード | 食品機械、飲料関連部品で検討しやすい | 適合規格、使用温度、洗浄薬品への適合確認が必要である | 食品機械部品、搬送部品、チューブ |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 備考 |
|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | 代表的な加工方法である。乾燥、樹脂温度、金型温度、滞留時間を管理する。 |
| 押出成形 | ○ | チューブ、シート、異形押出で使用される。グレード選定が重要である。 |
| ブロー成形 | △ | 溶融粘度、ドローダウン、結晶化速度により専用グレードが必要となる場合がある。 |
| 圧縮成形 | △ | 板材、試験片、少量成形では可能な場合があるが、量産では射出成形が一般的である。 |
| 真空成形 | △ | 結晶性樹脂であり、加熱条件とシートグレードの確認が必要である。 |
| 切削加工 | ○ | 丸棒、板材が入手できる場合は可能である。熱変形、バリ、吸湿状態に注意する。 |
| 溶着 | △ | 超音波溶着、熱板溶着などは形状とグレードにより確認する。 |
| 接着 | △ | 表面エネルギー、結晶性、薬品耐性のため接着剤選定と表面処理が必要である。 |
成形条件の目安
| 項目 | 代表値・目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 乾燥温度 | 80〜100℃ | 2〜4時間程度が目安である。吸湿状態、包装状態、グレードにより調整する。 |
| シリンダー温度 | 230〜260℃ | 過度な滞留や高温設定では熱劣化、変色、ガス発生に注意する。 |
| 金型温度 | 60〜100℃ | 結晶化、外観、寸法安定性、収縮率に影響する。 |
| 成形収縮率 | 未強化:約1.5〜2.2%、GF強化:約0.3〜1.0% | 流動方向、肉厚、金型温度、充填材量により異なる。 |
| 樹脂管理 | 乾燥保管、再生材管理、滞留時間管理 | 再生材使用時は分子量低下、色調、機械強度を確認する。 |
代表的な物性値又は機械的性質
| 項目 | 単位 | 未強化PK | GF30%強化PK | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm3 | 1.20〜1.25 | 1.40〜1.50 | 充填材量により増加する。 |
| 引張強さ | MPa | 55〜70 | 120〜170 | 標準状態での代表値である。 |
| 伸び | % | 50〜200以上 | 2〜5 | 未強化品は靭性が高い。GF強化品は伸びが小さい。 |
| 曲げ弾性率 | GPa | 1.5〜2.0 | 6〜10 | GF強化により大きく向上する。 |
| アイゾット衝撃強さ | kJ/m2 | 8〜15 | 6〜12 | ノッチ付きの目安である。試験法で差が出る。 |
| 荷重たわみ温度 | ℃ | 90〜130 | 180〜210 | 1.8MPa条件の目安である。 |
| 融点 | ℃ | 約220 | 約220 | プロピレン共重合量やグレードにより変動する。 |
| ガラス転移温度 | ℃ | 約10〜20 | 約10〜20 | 参考値である。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 約90〜110 | 約110〜130 | 荷重、雰囲気、寿命要求で変わる。 |
| 吸水率 | % | 0.3〜0.6 | 0.2〜0.5 | 23℃水中24時間または類似条件の目安である。PAより小さい傾向がある。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1013〜1015 | 1012〜1014 | 充填材、吸湿、温度により変動する。 |
| 難燃性 | UL94 | HB相当が多い | HB〜V-0グレードあり | 難燃グレードは個別認証の確認が必要である。 |
| 酸素指数 | % | 約20〜25 | グレードにより異なる | 難燃剤配合により向上する場合がある。 |
代表グレード
| グレード区分 | 特徴 | 代表用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 汎用 | 標準的な流動性と機械特性を持つ | 一般機構部品、摺動部品、チューブ | 耐熱性、寸法精度は要求値に合わせて確認する。 |
| 耐熱 | 結晶化、分子量、充填材により高温特性を調整 | 自動車部品、機械部品 | 連続使用温度と長期熱老化を確認する。 |
| 難燃 | UL94 V-0相当を狙ったグレードがある | コネクタ、電装ケース | 認証厚み、色、電気特性を確認する。 |
| GF強化 | 剛性、HDT、寸法安定性を向上 | 構造部品、ブラケット、ハウジング | 反り、ウェルド、異方性、相手材摩耗に注意する。 |
| 摺動 | 低摩擦、耐摩耗、低騒音を狙う | ギア、軸受、ローラー | 潤滑剤、相手材、面圧、速度条件で評価する。 |
| 食品接触 | 食品接触規格への対応を想定 | 食品機械、搬送部品、チューブ | FDA、EU、食品衛生法などの適合範囲を確認する。 |
耐薬品性
| 薬品分類 | 代表薬品 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 酸類 | 希塩酸、希硫酸、酢酸 | ○ | 常温・低濃度では比較的安定な場合が多い。濃酸、高温、長時間では確認が必要である。 |
| 強酸・酸化性酸 | 濃硫酸、濃硝酸、クロム酸 | × | 酸化劣化、分解、物性低下のおそれがある。 |
| アルカリ類 | 水酸化ナトリウム、KOH、アンモニア水 | ○ | 常温・低〜中濃度では使用可能な場合がある。高温高濃度では確認する。 |
| 低級アルコール類 | メタノール、エタノール、IPA | ◎〜○ | 短時間接触では良好な場合が多い。 |
| 高級アルコール類 | グリセリン、MMB、ブタノール | ○ | 温度、濃度、添加剤により膨潤確認が必要である。 |
| 芳香族炭化水素類 | トルエン、キシレン | ○〜△ | 常温短時間では耐える場合があるが、膨潤や応力割れを確認する。 |
| 脂肪族炭化水素類 | ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン | ◎ | 燃料系、油系用途で比較的良好である。 |
| 燃料 | ガソリン、軽油、アルコール混合燃料 | ◎〜○ | バリア性、耐燃料性が評価される。実燃料組成で確認する。 |
| ケトン | アセトン、MEK、MIBK | △ | SP値が近く、膨潤や軟化を生じる場合がある。 |
| エステル | 酢酸エチル、酢酸ブチル | △ | 溶剤接触、応力下使用では注意が必要である。 |
| 塩素系溶剤 | ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン | △〜× | 膨潤、応力割れ、抽出を確認する。 |
| 水・温水 | 水、温水、冷却水 | ◎〜○ | ポリアミドより吸水寸法変化が小さい傾向がある。熱水長期では確認する。 |
| 油 | 鉱物油、潤滑油、作動油 | ◎ | 耐油性は良好な場合が多い。添加剤入り油では個別評価が必要である。 |
| 洗浄剤 | 界面活性剤、弱アルカリ洗浄液 | ○ | 食品機械用途では温度、pH、洗浄時間を確認する。 |
SP値(溶解度パラメータ)
ポリケトンの代表的なSP値(δ)は、約21〜22 MPa1/2程度を目安として扱われる。SP値は溶剤との親和性を推定する指標であり、値が近いほど膨潤や溶解が起こりやすい傾向がある。
ただし、耐薬品性はSP値だけでは判断できない。結晶化度、分子量、充填材、添加剤、薬品濃度、温度、応力、接触時間、成形品の残留応力により結果が変わる。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0〜2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2〜5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5〜8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
| 薬品名 | SP値 MPa1/2 | PKとの差 | SP値上の評価 | 実用上の注意 |
|---|---|---|---|---|
| 水 | 47.9 | 約26 | ◎ | SP値上は離れているが、熱水、加圧水、長期接触では物性確認が必要である。 |
| エタノール | 26.0 | 約4.5 | △ | 実際には比較的安定な場合が多いが、温度と濃度を確認する。 |
| IPA | 23.5 | 約2 | △ | SP値は近い。応力下、長期浸漬では確認が必要である。 |
| アセトン | 20.0 | 約1.5 | × | 膨潤、軟化、応力割れに注意する。 |
| MEK | 19.0 | 約2.5 | △ | 条件により膨潤する場合がある。 |
| 酢酸エチル | 18.6 | 約3 | △ | エステル系溶剤として実液評価が必要である。 |
| トルエン | 18.2 | 約3.3 | △ | 短時間接触は可能な場合があるが、膨潤や寸法変化に注意する。 |
| ヘキサン | 14.9 | 約6.6 | ○ | 脂肪族炭化水素には比較的良好な傾向がある。 |
| ジクロロメタン | 20.2 | 約1.3 | × | 塩素系溶剤では膨潤や抽出に注意する。 |
| 鉱物油 | 16〜18 | 約3.5〜5.5 | △〜○ | 実用上は良好な場合が多い。添加剤入り油は確認する。 |
評価基準:◎非常に良好、○概ね良好、△注意が必要、×不適。SP値による評価と実際の耐薬品性は一致しない場合があるため、最終判断は実液浸漬試験、応力負荷試験、寸法変化、重量変化、強度保持率で行う。
10. 製法
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原料 | 一酸化炭素、エチレン、プロピレンを主原料とする。グレードにより添加剤、安定剤、潤滑剤、ガラス繊維、無機充填材を配合する。 |
| 重合方法 | パラジウム系触媒などを用いた一酸化炭素とオレフィンの交互共重合により製造される。工業的には分子量、プロピレン共重合量、結晶化挙動を制御する。 |
| 基本反応式 | n CO + n CH2=CH2 → −[−CO−CH2−CH2−]n− |
| プロピレン共重合例 | m CO + x CH2=CH2 + y CH2=CH−CH3 → −[−CO−CH2−CH2−]x−[−CO−CH(CH3)−CH2−]y− |
| ペレット化 | 重合後の樹脂を洗浄、乾燥、溶融混練し、ペレット化する。必要に応じて熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤を配合する。 |
| コンパウンド | GF、CF、無機フィラー、摺動改質剤、難燃剤などを二軸押出機で混練する。充填材量により剛性、HDT、収縮率、摩耗特性が変化する。 |
11. 詳細な利用用途
| 分野 | 主な用途 | 選定理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自動車 | 燃料系部品、燃料チューブ、クイックコネクタ、ギア、摺動部品 | 耐燃料性、バリア性、耐摩耗性、耐加水分解性が評価される。 | 燃料組成、温度、内圧、耐久時間を確認する。 |
| 電気・電子 | コネクタ、スイッチ部品、ケース、端子周辺部品 | 寸法安定性、耐摩耗性、耐薬品性を利用する。 | 難燃性、トラッキング性、リフロー耐熱はグレード確認が必要である。 |
| 機械部品 | ギア、軸受、ローラー、スライダー、カム、ポンプ部品 | 耐摩耗性、耐疲労性、低吸水性、耐油性が有利である。 | 面圧、速度、潤滑条件、相手材を確認する。 |
| 医療 | チューブ、流体部品、器具部品の候補 | 耐薬品性、低溶出、寸法安定性を利用する場合がある。 | 医療認証、滅菌方法、生体適合性は個別グレードで確認する。 |
| 食品機械 | 搬送部品、ギア、ローラー、洗浄液接触部品 | 耐水性、耐洗浄剤性、耐摩耗性が求められる用途で検討される。 | 食品接触規格、洗浄温度、薬品濃度を確認する。 |
| 建築・設備 | 配管部品、ポンプ部品、バルブ部品、摺動部品 | 水、油、薬品、摩耗環境で性能を発揮しやすい。 | 屋外耐候性、長期クリープ、薬液条件を確認する。 |
| フィルム・包装 | バリアフィルム、燃料・薬品包装材の候補 | ガスバリア性、耐薬品性を利用する。 | 透明性、ヒートシール性、共押出適性を確認する。 |
12. 関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | ポリケトンとの違い |
|---|---|---|
| ナイロン6(PA6) | 靭性、耐摩耗性、成形性に優れるポリアミドである。 | PKは一般に吸水が少なく、寸法安定性と耐加水分解性で有利な場合がある。PA6は流通性と実績で有利である。 |
| ナイロン66(PA66) | PA6より融点と剛性が高い代表的エンプラである。 | PKは燃料、油、水系環境で安定しやすい場合がある。PA66は耐熱剛性と採用実績が多い。 |
| ポリアセタール(POM) | 低摩擦、耐疲労性、寸法安定性に優れる。 | PKは耐薬品性、耐燃料性、耐加水分解性で有利な場合がある。POMは成形性、寸法精度、コスト面で使いやすい場合がある。 |
| PBT | 低吸水、電気特性、寸法安定性に優れる結晶性ポリエステルである。 | PKは摺動性、耐燃料性、耐衝撃性で有利な場合がある。PBTは電装部品と難燃グレードの実績が多い。 |
| PET | 剛性、フィルム性、ガスバリア性に優れるポリエステルである。 | PKは耐衝撃性、耐摩耗性、耐薬品性を必要とする機構用途で検討される。PETはフィルム、ボトル、繊維用途で強い。 |
| PPS | 耐熱性、難燃性、耐薬品性、寸法安定性に優れるスーパーエンプラである。 | PKはPPSより靭性と加工性、コストで有利な場合がある。PPSは高温、難燃、強薬品環境で有利である。 |
| PEEK | 非常に高い耐熱性、耐薬品性、機械特性を持つスーパーエンプラである。 | PKはPEEKほどの高温性能はないが、燃料系・摺動系の中高性能材料としてコスト面で検討しやすい。 |
| 熱可塑性コポリエステル(TPC/TPEE) | 柔軟性、反発弾性、耐屈曲性に優れる熱可塑性エラストマーである。 | PKは剛性、耐摩耗性、バリア性を重視する用途に向く。TPCは柔軟チューブや弾性部品に向く。 |
13. 代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| Hyosung Chemical | POKETONE | 一酸化炭素・エチレン・プロピレン系の脂肪族ポリケトンを展開する代表的メーカーである。自動車、電気・電子、産業部品向けに各種グレードがある。 |
| AKRO-PLASTIC | AKROTEK PK | ポリケトン系コンパウンドの代表例である。GF強化、摺動、機能性コンパウンドなどがある。 |
| 三井物産ファインケミカル | POKETONE 取扱い代表例 | 日本国内におけるポリケトン材料の取扱い・紹介例として知られる。採用時は最新の供給体制、グレード、規格適合を確認する。 |
法規制・規格上の注意
| 項目 | 確認内容 | 備考 |
|---|---|---|
| RoHS | 鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、PBB、PBDE、フタル酸エステル類など | 樹脂単体ではなく、着色剤、難燃剤、添加剤を含むグレードで確認する。 |
| REACH | SVHC、制限物質、登録状況 | 欧州向け部品では最新の適合証明を確認する。 |
| 食品衛生 | 食品衛生法、ポジティブリスト、溶出条件 | 食品接触用途では対象グレード、色、添加剤、使用温度を確認する。 |
| FDA | 食品接触用途の適合範囲 | 米国向け食品機械、飲料部品ではグレード別に確認する。 |
| 医療用途 | 生体適合性、滅菌適性、抽出物、溶出物 | 医療グレードとして保証された材料を使用し、用途ごとの認証を確認する。 |
| 難燃性 | UL94、RTI、電気特性 | 認証厚み、色、製造拠点により適合範囲が異なる場合がある。 |
用途別選定
| 用途 | 推奨されるグレード傾向 | 確認項目 |
|---|---|---|
| ギア | 摺動グレード、未強化高靭性グレード | 摩耗量、騒音、面圧、潤滑、相手材、疲労寿命 |
| 軸受 | 摺動グレード、潤滑剤配合グレード | PV値、摩擦係数、温度上昇、相手軸材 |
| チューブ | 押出グレード、燃料バリアグレード | 内圧、燃料透過、曲げ、低温衝撃、接続部シール性 |
| 筐体 | GF強化、難燃、耐薬品グレード | 反り、寸法精度、難燃性、締結部クリープ |
| フィルム | 押出・フィルム向けグレード | バリア性、透明性、ヒートシール性、共押出適性 |
| コネクタ | 高流動、難燃、GF強化グレード | 薄肉流動性、ウェルド強度、UL認証、寸法安定性 |
注意点
- ポリケトンは結晶性樹脂であるため、金型温度、冷却条件、肉厚により収縮率と寸法が変化する。
- 吸水率はPAより低い傾向があるが、成形前乾燥を省略できるとは限らない。
- 高温滞留では熱劣化、変色、ガス発生が起こる場合があるため、シリンダー温度と滞留時間を管理する。
- 強酸化性薬品、強酸、強アルカリ、塩素系溶剤、ケトン系溶剤では実液試験を行う。
- GF強化グレードでは流動方向と直角方向で収縮率、強度、反りが異なる。
- 摺動用途では材料単体の摩擦係数だけでなく、相手材、面圧、速度、潤滑、温度を含めて評価する。
- 低アウトガス、食品接触、医療用途では、一般グレードではなく用途適合グレードを選定する。
14. 関連キーワード
ポリケトン PK 脂肪族ポリケトン 一酸化炭素・オレフィン共重合体 エンジニアリング・プラスチック 耐燃料性樹脂 耐摩耗性樹脂 燃料チューブ材料 摺動材料 ポリアミド代替 POM代替 ガスバリア材料