概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | ポリエーテルブロックアミド |
| 略記号 | PEBA |
| IUPAC | 単一のIUPAC名で表される材料ではなく、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックからなるブロック共重合体である |
| 英語名 | Polyether Block Amide、Polyether-block-amide、Poly(ether-b-amide) |
| 日本語名 | ポリエーテルブロックアミド、ポリエーテルブロック共重合ポリアミド、ポリアミド系熱可塑性エラストマー |
| 分類 | 熱可塑性エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ブロック共重合体 |
| プラスチック分類 | エンジニアリング・プラスチック系熱可塑性エラストマーである |
| 化学式または代表構造 | HO−[CO−PA−CO−O−PE−O]n−H PA:ポリアミドブロック、PE:ポリエーテルブロック |
| CAS No. | グレード、構成ポリアミド、ポリエーテル成分により異なるため、一般的には製品SDSで確認する必要がある |
| 構造・主成分 | PA12、PA11、PA6などの硬質ポリアミドブロックと、PTMG、PEGなどの軟質ポリエーテルブロックからなる |
| 主な用途 | スポーツ用品、ランニングシューズ部材、医療用カテーテル、チューブ、フィルム、ケーブル被覆、電気電子部品、低温用弾性部品 |
ポリエーテルブロックアミド(PEBA)は、硬質成分であるポリアミドブロックと、軟質成分であるポリエーテルブロックを結合した熱可塑性エラストマーである。ポリアミドブロックが強度、耐薬品性、耐熱性を担い、ポリエーテルブロックが柔軟性、低温特性、反発弾性を担う構造である。
一般にPEBAは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)やポリエステル系エラストマーに近い用途で検討される材料であるが、低密度、低温柔軟性、反発弾性、耐疲労性のバランスに特徴がある。特にスポーツ用途、医療チューブ用途、薄肉押出用途、柔軟で軽量な機械部品で使用される。
一方、PEBAの特性はポリアミドブロックの種類、ポリエーテルブロックの種類、硬度、結晶化度、可塑剤の有無、安定剤、導電材、発泡状態により大きく変化する。実使用では、グレード、温度、湿度、薬品濃度、応力、荷重、使用時間を確認して材料選定する必要がある。
特徴
- 長所:低密度で軽量であり、柔軟性、反発弾性、耐屈曲疲労性、低温衝撃性に優れる。
- 長所:ポリアミド由来の耐摩耗性、耐油性、機械強度を持ち、一般的なゴムより成形加工しやすい。
- 長所:射出成形、押出成形、フィルム成形、チューブ成形、発泡成形などに対応するグレードがある。
- 短所:強酸、強アルカリ、高温水、蒸気、一部の極性溶剤では加水分解、膨潤、軟化、物性低下を生じる場合がある。
- 短所:紫外線、熱履歴、吸湿、成形乾燥不足により、黄変、寸法変化、機械物性低下が起こる場合がある。
- 外観:一般に乳白色から半透明、または透明に近いペレットである。着色、黒色、導電、発泡グレードもある。
- 耐熱性:融点は代表的に約130〜175℃であり、連続使用温度は一般に約60〜100℃程度が目安である。
- 耐薬品性:油、脂肪族炭化水素、弱酸、弱アルカリには比較的安定なグレードが多いが、溶剤、温水、応力条件では確認が必要である。
- 加工性:熱可塑性樹脂として再溶融成形できる。吸湿による成形不良を避けるため、成形前乾燥が重要である。
- 分類上の注意:PEBAはポリアミドであると同時に熱可塑性エラストマーであり、硬質ナイロンとは設計上の考え方が異なる。
構造式
化学式の画像用表記
白黒の構造式画像を作成する場合は、MS Pゴシック等で以下の代表構造を表記するとよい。
HO−[CO−PA−CO−O−PE−O]n−H
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 代表的な構造単位 | −CO−PA−CO−O−PE−O− |
| PAブロック | PA12、PA11、PA6、共重合ポリアミドなど |
| PEブロック | PTMG、PEG、ポリエーテルジオールなど |
| モノマーまたは構成単位 | 両末端カルボン酸型ポリアミドオリゴマーと、両末端水酸基型ポリエーテルオリゴマー |
| 共重合体・変性グレード | PA12系、PA11系、親水性、帯電防止、導電、耐候、発泡、医療用、食品接触対応などがある |
PEBAでは、ポリアミドブロックが結晶性の物理架橋点として働き、ポリエーテルブロックがゴム弾性を与える。硬質ブロック比率が高いほど剛性、硬度、耐熱性は高くなりやすく、軟質ブロック比率が高いほど柔軟性、低温特性、反発弾性は高くなりやすい。
種類
| 種類の名称 | 主成分または特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 標準PEBA | PA12系または共重合PA系ブロックとポリエーテルブロック | 柔軟性、耐摩耗性、耐油性、成形性のバランスがよい | 強溶剤、高温水、紫外線には注意が必要である | チューブ、ケーブル被覆、一般弾性部品 |
| 軟質PEBA | ポリエーテル成分が多い低硬度グレード | 柔軟性、低温特性、反発弾性に優れる | 剛性、耐熱性、寸法安定性は低下しやすい | スポーツ用品、シューズ部材、クッション部材 |
| 硬質PEBA | ポリアミド成分が多い高硬度グレード | 強度、耐摩耗性、形状保持性が高い | 柔軟性、反発性は軟質グレードより低い | 機械部品、スキー靴部材、薄肉成形品 |
| 親水性PEBA | PEG系など親水性ポリエーテルを含むグレード | 帯電防止性、湿潤時の潤滑性、透湿性を付与しやすい | 吸水、寸法変化、湿度依存性に注意が必要である | 医療チューブ、透湿フィルム、帯電防止部品 |
| 発泡PEBA | 物理発泡またはビーズ発泡グレード | 軽量性、反発弾性、衝撃吸収性に優れる | 圧縮永久ひずみ、耐熱性、寸法精度は設計確認が必要である | ランニングシューズミッドソール、スポーツパッド |
| 導電・帯電防止PEBA | 導電材、帯電防止成分、親水性成分を含むグレード | 静電気対策、粉塵付着低減に有効である | 機械物性、色調、耐薬品性が標準品と異なる場合がある | 電子部品搬送材、ホース、フィルム |
| 医療用PEBA | 医療用途向けに管理されたグレード | 柔軟性、キンク抵抗、押出成形性に優れる | 滅菌方法、抽出物、生体適合性は個別確認が必要である | カテーテル、チューブ、医療用バルーン |
| 食品接触対応PEBA | 食品接触規制を考慮したグレード | チューブ、フィルム、搬送部材に使用しやすい | 適用国、温度、食品種、接触時間の確認が必要である | 食品機械部品、ホース、搬送部材 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 備考 |
|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | 一般的な成形方法である。乾燥、金型温度、離型性、ゲート設計を確認する。 |
| 押出成形 | ◎ | チューブ、ホース、フィルム、シート、ケーブル被覆に適する。 |
| ブロー成形 | △ | グレードにより対応可能である。溶融張力、肉厚制御の確認が必要である。 |
| 圧縮成形 | △ | シート、試験片、小ロット加工で使用される場合がある。 |
| 真空成形 | △ | シートグレードでは可能な場合があるが、軟化範囲と戻り弾性に注意する。 |
| 発泡成形 | ○ | 発泡専用グレード、ビーズ発泡、押出発泡で使用される。 |
| 3Dプリント | ○ | FDM用フィラメントがある。吸湿、糸引き、ノズル温度、押出安定性に注意する。 |
| 溶着 | ○ | 熱溶着、高周波溶着、レーザー溶着はグレードと着色により適性が異なる。 |
| 接着 | △ | 表面処理やプライマーが必要となることが多い。 |
| 切削加工 | ○ | 柔軟グレードは変形しやすいため、固定方法と刃物条件に注意する。 |
代表的な成形条件
| 項目 | 代表値・範囲 | 備考 |
|---|---|---|
| 乾燥温度 | 60〜80℃ | 吸湿しやすいため、成形前乾燥が推奨される |
| 乾燥時間 | 4〜8時間程度 | 吸湿状態、ペレット形状、乾燥機性能により調整する |
| シリンダー温度 | 190〜260℃ | 硬度、融点、押出・射出条件により異なる |
| 金型温度 | 20〜60℃ | 外観、寸法、結晶化、離型性に影響する |
| 成形収縮率 | 0.8〜2.0%程度 | 流動方向、肉厚、結晶化度、充填材により変化する |
| 注意点 | 過熱、滞留、吸湿に注意 | 気泡、銀条、粘度低下、物性低下を避けるため、グレード別条件を確認する |
代表的な物性値又は機械的性質
| 項目 | 単位 | 標準PEBA | 硬質PEBA | 発泡PEBA | 導電・充填PEBA | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm3 | 1.00〜1.03 | 1.01〜1.05 | 0.10〜0.50程度 | 1.05〜1.30程度 | 発泡倍率、充填材により大きく変化する |
| 比重 | – | 約1.0 | 約1.0〜1.05 | 0.1〜0.5程度 | 1.05以上 | 軽量エラストマーとして扱われる |
| 引張強さ | MPa | 30〜55 | 35〜60 | 1〜15程度 | 25〜60 | 硬度、発泡状態、試験速度により変化する |
| 伸び | % | 300〜750 | 150〜500 | 100〜500程度 | 100〜500 | 柔軟グレードほど大きい傾向である |
| 曲げ弾性率 | MPa | 10〜500 | 300〜800程度 | 1〜50程度 | 50〜1,000程度 | 硬度により幅が大きい |
| アイゾット衝撃強さ | J/m | 非破壊〜高い | 高い | 高い | グレードによる | 低温でも靭性を保持しやすい |
| 荷重たわみ温度 | ℃ | 40〜80 | 60〜120 | 30〜70程度 | 60〜130程度 | 荷重、アニール、充填材により変化する |
| 融点 | ℃ | 130〜175 | 150〜180程度 | 130〜175 | 130〜180程度 | PAブロックの種類に依存する |
| ガラス転移温度 | ℃ | -60〜-30程度 | -50〜-20程度 | -60〜-30程度 | グレードによる | 軟質ポリエーテルブロックに依存する |
| 連続使用温度 | ℃ | -40〜80 | -40〜100程度 | -40〜70程度 | -40〜100程度 | 長期荷重、酸化、湿熱条件で確認する |
| 吸水率 | % | 0.4〜1.2程度 | 0.5〜1.5程度 | グレードによる | グレードによる | 親水性グレードでは高くなる |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 109〜1013程度 | 109〜1013程度 | グレードによる | 103〜109程度 | 導電材、帯電防止剤、湿度に依存する |
| 硬さ | Shore | A 70〜D 70程度 | D 50〜D 75程度 | A 20〜A 70程度 | グレードによる | 材料選定では硬度指定が重要である |
| 難燃性 | UL94 | HB相当が多い | HB〜Vグレードあり | グレードによる | 難燃配合あり | 難燃グレードは物性と規制適合を確認する |
| 酸素指数 | % | 20〜25程度 | 20〜26程度 | グレードによる | 難燃配合で上昇 | 代表値であり、UL認証は個別確認が必要である |
上記物性値は代表値・目安であり、保証値ではない。PEBAは硬度範囲が広く、同じPEBAでも軟質グレードと硬質グレードで曲げ弾性率、耐熱性、伸び、反発弾性が大きく異なる。設計時は、メーカー物性表、成形品での実測、使用環境での耐久試験を確認する必要がある。
耐薬品性
| 薬品分類 | 代表薬品 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 酸類 | 希塩酸、希硫酸、酢酸 | ○〜△ | 希薄酸では比較的安定な場合があるが、強酸、高温、長時間では加水分解や劣化に注意する。 |
| 強酸 | 濃硫酸、濃硝酸、発煙酸 | × | 酸化、分解、膨潤、機械物性低下のリスクが高い。 |
| アルカリ類 | 水酸化ナトリウム、KOH、アンモニア水 | ○〜△ | 低濃度・常温では使用可能な場合があるが、高濃度、高温では注意が必要である。 |
| 低級アルコール類 | メタノール、エタノール、IPA | ○〜△ | 短時間接触では比較的安定な場合があるが、膨潤、抽出、寸法変化を確認する。 |
| 高級アルコール類 | グリセリン、ブタノール、MMB | ○ | 一般に低級アルコールより影響は小さい場合があるが、温度と接触時間に注意する。 |
| 芳香族炭化水素類 | トルエン、キシレン、エチルベンゼン | △ | 膨潤、軟化を生じる場合がある。応力下での使用は確認が必要である。 |
| 脂肪族炭化水素類 | ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン | ○ | 比較的良好な場合が多いが、燃料成分や添加剤を含む場合は確認する。 |
| ケトン | アセトン、MEK、MIBK | △〜× | 膨潤、軟化、応力割れの可能性がある。長時間接触には注意する。 |
| エステル | 酢酸エチル、酢酸ブチル | △ | SP値が近いものがあり、膨潤や軟化を確認する必要がある。 |
| エーテル | THF、ジオキサン | × | 溶解・膨潤しやすい溶剤があるため、原則として注意が必要である。 |
| 塩素系溶剤 | ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン | △〜× | 膨潤、軟化、抽出、応力割れのリスクがある。 |
| 水・温水 | 水、温水、湿熱 | ○〜△ | 常温水では使用可能な場合が多いが、温水、蒸気、長時間では吸水と加水分解に注意する。 |
| 油 | 鉱油、潤滑油、グリース | ◎〜○ | 一般に比較的良好であるが、添加剤、温度、燃料混合物では確認が必要である。 |
| 燃料 | ガソリン、軽油、アルコール混合燃料 | ○〜△ | 脂肪族炭化水素には比較的安定な場合があるが、アルコール、芳香族成分の影響を確認する。 |
SP値(溶解度パラメータ)
ポリエーテルブロックアミドのSP値(δ)は、構成するポリアミドブロック、ポリエーテルブロック、硬度、結晶化度により変動する。代表的な目安は約19.0〜22.0 MPa1/2である。
| 材料 | SP値(δ) | 単位 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ポリエーテルブロックアミド(PEBA) | 約19.0〜22.0 | MPa1/2 | ポリアミド成分が多いほど極性が高くなる傾向である |
| 軟質PEBA | 約18.5〜21.0 | MPa1/2 | ポリエーテル成分が多い場合の目安である |
| 硬質PEBA | 約20.0〜22.5 | MPa1/2 | ポリアミド成分が多い場合の目安である |
SP値は溶解・膨潤の傾向を推定するための目安である。実際の耐薬品性は、結晶性、分子量、添加剤、充填材、温度、薬品濃度、応力、接触時間、成形残留応力により変化するため、SP値だけで判断してはならない。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0〜2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2〜5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5〜8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
| 薬品名 | SP値(MPa1/2) | PEBAとの差 | 評価 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 水 | 47.9 | 約26〜29 | ○ | SP値差は大きいが、吸水と加水分解は別途確認する。 |
| メタノール | 29.7 | 約8〜11 | ○〜△ | 親水性グレードでは吸収や寸法変化に注意する。 |
| エタノール | 26.0 | 約4〜7 | ○〜△ | 短時間接触では使用可能な場合がある。 |
| IPA | 23.5 | 約1.5〜4.5 | △ | 長時間接触、応力下では確認が必要である。 |
| アセトン | 20.0 | 約0〜2 | × | 膨潤、軟化、白化の可能性がある。 |
| MEK | 19.0 | 約0〜3 | × | 耐溶剤用途には適しにくい。 |
| 酢酸エチル | 18.6 | 約0.4〜3.4 | △〜× | 膨潤・軟化確認が必要である。 |
| トルエン | 18.2 | 約0.8〜3.8 | △ | 芳香族炭化水素では膨潤する場合がある。 |
| キシレン | 18.0 | 約1〜4 | △ | 高温、長時間接触では注意する。 |
| ヘキサン | 14.9 | 約4〜7 | ○ | 一般に比較的安定な場合が多い。 |
| シクロヘキサン | 16.8 | 約2〜5 | ○〜△ | グレードと接触時間により確認する。 |
| ジクロロメタン | 20.2 | 約0〜2 | × | 膨潤・軟化しやすい。 |
| THF | 18.5 | 約0.5〜3.5 | × | 溶解・膨潤のリスクが高い。 |
| DMF | 24.8 | 約2.8〜5.8 | △〜× | 極性溶剤であり、温度条件により影響が大きい。 |
評価基準は、◎非常に良好、○概ね良好、△注意が必要、×不適である。SP値差が大きくても、水、温水、アルコール、酸、アルカリでは吸水、加水分解、抽出、応力割れが問題となる場合がある。
製法
| 工程 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 原料 | 両末端カルボン酸型ポリアミドオリゴマー、両末端水酸基型ポリエーテルオリゴマー | PA12、PA11、PA6系、PTMG、PEGなどが用いられる |
| 重合方法 | エステル化または重縮合によりブロック共重合体を得る | 高温、減圧、触媒条件で分子量を制御する |
| 反応式 | n HOOC−PA−COOH + n HO−PE−OH → HO−[CO−PA−CO−O−PE−O]n−H + 2n H2O | 代表的な模式反応であり、実際の工業プロセスはグレードにより異なる |
| ペレット化 | 溶融押出、ストランドカット、アンダーウォーターカットなどでペレット化する | 乾燥管理と熱履歴管理が重要である |
| コンパウンド | 安定剤、顔料、紫外線吸収剤、難燃剤、導電材、滑剤、充填材を配合する | 用途に応じて耐候、難燃、導電、摺動、食品接触、医療用などを設計する |
| 発泡 | 物理発泡、化学発泡、ビーズ発泡などにより低密度化する | シューズ、緩衝材、軽量部材で使用される |
PEBAの製法では、ポリアミドオリゴマーの分子量、ポリエーテル成分の種類、ブロック比率、末端基バランスが最終物性を大きく左右する。硬度、融点、反発弾性、吸水性、耐薬品性は、これらの設計により調整される。
詳細な利用用途
| 分野 | 用途例 | 採用理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自動車 | 燃料系チューブ、空圧チューブ、保護被覆、弾性部品 | 耐油性、柔軟性、低温特性、耐摩耗性 | 燃料組成、温度、圧力、透過性を確認する |
| 電気・電子 | ケーブル被覆、帯電防止部材、電子部品搬送材 | 柔軟性、耐屈曲性、帯電防止グレードの選択性 | UL94、絶縁性、アウトガス、難燃規格を確認する |
| 機械部品 | ギア、軸受、摺動部品、緩衝部品、シール補助材 | 耐摩耗性、衝撃吸収、弾性、低摩擦性 | 荷重、摩耗粉、温度上昇、クリープを確認する |
| 医療 | カテーテル、チューブ、バルーン、コネクタ、低摩擦部材 | 柔軟性、キンク抵抗、押出成形性、グレード選択性 | 生体適合性、滅菌、抽出物、薬液適合性を確認する |
| 食品機械 | 搬送チューブ、ホース、柔軟部材、保護カバー | 柔軟性、耐摩耗性、食品接触対応グレード | 食品衛生法、FDA、EU規制、洗浄薬品を確認する |
| 建築・設備 | 配管保護、シール、緩衝材、ホース | 柔軟性、耐候グレード、耐寒性 | 紫外線、屋外暴露、温水、薬品洗浄に注意する |
| スポーツ | ランニングシューズミッドソール、スキー靴、スパイク部材、ラケット部材 | 軽量性、反発弾性、低温衝撃性、疲労耐久性 | 圧縮永久ひずみ、耐候性、接着性を確認する |
| フィルム・繊維 | 透湿フィルム、弾性フィルム、不織布、繊維改質材 | 柔軟性、透湿性、弾性、親水性グレード | 吸湿、寸法変化、熱収縮、ブロッキングに注意する |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | 対象材料との違い |
|---|---|---|
| 熱可塑性エラストマー(TPE) | 熱可塑性を持つエラストマーの総称である | PEBAはTPEの一種であり、ポリアミド系で低温特性と反発弾性に特徴がある。 |
| ポリウレタン(PU、TPU) | 耐摩耗性、弾性、機械強度に優れるウレタン系材料である | TPUは耐摩耗性に優れるが、PEBAは低密度、低温柔軟性、反発弾性で有利な場合がある。 |
| ポリアミド(PA) | 耐摩耗性、強靭性、耐油性を持つ結晶性エンプラである | PEBAはPAブロックを含むが、ポリエーテルブロックにより柔軟性と弾性を持つ。 |
| ナイロン6(PA6) | 強度、靭性、耐摩耗性に優れる代表的ポリアミドである | PA6は剛性部品向けであり、PEBAは柔軟部品、チューブ、反発部材に向く。 |
| ポリブチレンテレフタレート(PBT) | 寸法安定性、電気特性、成形性に優れる結晶性ポリエステルである | PBTは硬質エンプラであり、PEBAは弾性、屈曲性、低温特性を重視する用途で選ばれる。 |
| ポリエチレンテレフタレート(PET) | フィルム、繊維、ボトルで用いられるポリエステルである | PETは剛性、透明性、ガスバリア性に優れ、PEBAは柔軟性と弾性に優れる。 |
| ポリアセタール(POM) | 低摩擦、耐摩耗性、寸法安定性に優れる機械部品用エンプラである | POMはギアや摺動部品向けの硬質材料であり、PEBAは衝撃吸収や柔軟部品に向く。 |
| ポリフェニレンサルファイド(PPS) | 耐熱性、耐薬品性、難燃性に優れるスーパーエンプラである | PPSは高温・耐薬品用途向けであり、PEBAは柔軟性、軽量性、低温特性を重視する。 |
| ポリエーテルエーテルケトン(PEEK) | 非常に高い耐熱性、耐薬品性、機械強度を持つ高性能樹脂である | PEEKは高温高負荷用途向けであり、PEBAは弾性、チューブ、スポーツ、医療用途に適する。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| Arkema | Pebax、Pebax Rnew | PEBAの代表的メーカーである。スポーツ、医療、フィルム、工業用途向けのグレードを展開している。 |
| Evonik | VESTAMID E | PA12系エラストマーとしてPEBAグレードを展開している。チューブ、スポーツ、工業用途で用いられる。 |
| ダイセル・エボニック | DAIAMID E、VESTAMID E | 日本市場でPEBA系材料を扱う代表例である。用途によりグレード選定が必要である。 |
| EMS-CHEMIE | Grilamid系エラストマーグレード | ポリアミド系材料を展開しており、PEBAまたは近縁のポリアミドエラストマーを検討対象とする場合がある。 |
法規制・規格上の注意
| 項目 | 確認内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| RoHS | 特定有害物質の含有制限 | 着色剤、難燃剤、安定剤を含めてグレード単位で確認する。 |
| REACH | SVHC、登録物質、制限物質 | 欧州向け製品では最新版の適合証明を確認する。 |
| 食品衛生 | 食品衛生法、FDA、EU食品接触規則など | 食品種類、温度、接触時間、抽出条件により適用範囲が異なる。 |
| 医療用途 | ISO 10993、生体適合性、滅菌適合性 | 医療用グレードであっても最終製品での評価が必要である。 |
| 難燃性 | UL94、酸素指数、電気安全規格 | PEBA標準品はHB相当が多いため、電気電子用途では難燃グレードを確認する。 |
| アウトガス | 揮発成分、抽出物、臭気 | 電子、医療、光学、密閉空間用途では個別評価が必要である。 |
用途別選定と注意点
| 用途 | 推奨される確認項目 | 注意点 |
|---|---|---|
| ギア | 硬度、摩耗、クリープ、潤滑条件 | 高荷重ギアではPOM、PA、PBTとの比較が必要である。 |
| 軸受 | 摩擦係数、摩耗、発熱、寸法安定性 | 柔軟すぎるグレードでは荷重変形が大きくなる。 |
| チューブ | 柔軟性、耐圧、キンク抵抗、薬液適合性 | 吸水、滅菌、薬品、抽出物を確認する。 |
| 筐体 | 剛性、耐衝撃性、耐候性、難燃性 | 硬質PEBAまたは他材料との比較が必要である。 |
| フィルム | 透湿性、ブロッキング、熱シール性、寸法変化 | 親水性グレードでは湿度依存性が大きい。 |
| コネクタ | 寸法精度、絶縁性、耐熱性、難燃性 | PBT、PA、PPSなど硬質材料との比較が重要である。 |
| シューズ部材 | 密度、反発弾性、圧縮永久ひずみ、耐疲労性 | 発泡倍率、接着、紫外線、加水分解を確認する。 |
- 加水分解:温水、蒸気、高湿熱環境ではポリアミド結合、エステル結合部の劣化を確認する。
- 応力割れ:溶剤、油、洗浄剤、残留応力が重なる場合は実部品試験が必要である。
- 吸湿:寸法変化、硬度変化、電気特性変化、成形時の気泡に注意する。
- 熱劣化:高温滞留、過乾燥、再生材過多では分子量低下や黄変が起こる場合がある。
- アウトガス:医療、電子、光学、密閉用途では抽出物、揮発成分、臭気を確認する。
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