概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | アクリロニトリルブタジエンゴム |
| 略記号 | NBR |
| IUPAC | poly(buta-1,3-diene-co-acrylonitrile) 又は poly(acrylonitrile-co-buta-1,3-diene)。共重合組成及び配列により厳密な構造は異なる。 |
| 英語名 | Acrylonitrile Butadiene Rubber / Nitrile Butadiene Rubber / Nitrile Rubber |
| 日本語名・別名 | アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ニトリルゴム、NBRゴム、ブナN(Buna-N) |
| 分類 | 合成ゴム、ジエン系ゴム、耐油性ゴム、熱硬化性エラストマー |
| プラスチック分類 | ゴム・熱硬化性エラストマー。加硫後は一般的な熱可塑性プラスチックのように再溶融成形できない。 |
| 化学式又は代表構造 | −[CH2−CH=CH−CH2]m−[CH2−CH(CN)]n− |
| CAS No. | 9003-18-3が一般的に用いられる。資料又は規格により別番号が併記される場合があるため、SDSで確認する。 |
| 構造・主成分 | 1,3-ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体。結合アクリロニトリル量、分子量、ムーニー粘度、加硫系及び配合剤により特性が大きく変化する。 |
| 主な用途 | Oリング、オイルシール、ガスケット、パッキン、燃料・油圧ホース、ダイヤフラム、ロール、ベルト、手袋、耐油シート、接着剤、発泡体。 |
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)は、1,3-ブタジエンとアクリロニトリルを共重合して得られる代表的な耐油性合成ゴムである。一般にはニトリルゴムとも呼ばれ、鉱物油、潤滑油、燃料油などに接触するOリング、オイルシール、ガスケット、ホース及びダイヤフラムに広く使用される。
NBRの性質は、結合アクリロニトリル量に強く依存する。一般にアクリロニトリル量が高いほど、耐油性、耐燃料性及びガスバリア性は向上する一方、ガラス転移温度が上昇し、低温柔軟性及び反発弾性は低下しやすい。したがって、耐油性だけでなく、最低使用温度、圧縮永久ひずみ、燃料組成及び動的疲労を合わせて選定する必要がある。
市販部品は、NBRポリマー単体ではなく、カーボンブラック、シリカ、可塑剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤及び加工助剤を含む加硫配合物である。物性及び耐薬品性は配合差が大きいため、以下の値は特に断らない限り、非発泡・一般工業用の加硫NBR配合物の代表範囲であり、特定メーカーの保証値ではない。
特徴
長所
- 鉱物油、潤滑油、グリース、軽油及び脂肪族炭化水素に対する耐性が一般に良好である。
- 耐摩耗性、引裂強さ、機械的強度及びシール性のバランスがよい。
- 結合アクリロニトリル量と配合設計により、耐油性、低温性、硬さ及び加工性を広く調整できる。
- 耐油性ゴムとして流通性が高く、性能と価格のバランスに優れる。
短所
- 主鎖に炭素-炭素二重結合を含むため、耐オゾン性、耐候性及び耐紫外線性は低い。
- 芳香族炭化水素、ケトン、エステル、エーテル及び塩素系溶剤では膨潤又は軟化しやすい。
- 高ニトリル品では低温柔軟性が低下しやすい。
- 加硫後は再溶融できず、熱可塑性樹脂よりマテリアルリサイクルが難しい。
外観
原料ゴムは淡黄色から褐色のベール、クラム、粉末又はラテックスで供給される。実用品はカーボンブラック補強により黒色が多いが、白色又は淡色配合も可能である。
耐熱性
標準NBRの連続使用温度上限は一般に80~100℃程度であり、耐熱配合では120℃前後まで使用される場合がある。高温では硬化、亀裂、圧縮永久ひずみ増大及び油中での物性低下が進行するため、長期寿命は実油中で確認する必要がある。
耐薬品性
鉱物油、潤滑油及び脂肪族炭化水素には一般に良好である。水、希酸、希アルカリ及び低級アルコールにも比較的安定であるが、高温水、蒸気、酸化剤、芳香族溶剤、ケトン、エステル及びハロゲン化炭化水素には注意が必要である。
加工性
ロール又は密閉式混練機で配合し、押出、カレンダー、圧縮、トランスファー又はゴム射出成形後に加硫する。ラテックスは手袋、含浸、フォーム及びコーティングに用いられる。
分類上の注意
NBRはABS樹脂とは異なる。ABSはアクリロニトリル、ブタジエン及びスチレンを主成分とする熱可塑性樹脂である。また、HNBRはNBRの主鎖二重結合を水素化した別材料であり、耐熱性及び耐オゾン性が大きく異なる。
難燃性
標準NBRは一般に可燃性であり、材料名だけでUL 94等級を断定できない。難燃配合は可能であるが、試験片厚さ、色、難燃剤、発煙性及び燃焼ガスを含めて認証グレードを確認する。
法規制
RoHS、REACH、SVHC、ELV、食品接触、FDA、医療及びULへの適合は、ポリマー名ではなく、配合剤、色、製造拠点及び用途条件を含む個別グレードの証明書で確認する必要がある。アクリロニトリル残留量、抽出物及びニトロソアミンは、食品、医療及び手袋用途で特に重要である。
構造式

代表的な構造単位
| 構成単位 | 代表構造 | 主な役割 |
|---|---|---|
| ブタジエン単位 | −CH2−CH=CH−CH2− | ゴム弾性、低温柔軟性及び加工性に寄与する。 |
| アクリロニトリル単位 | −CH2−CH(CN)− | 極性、耐油性、耐燃料性及びガスバリア性に寄与する。 |
| 架橋構造 | 硫黄架橋又は炭素-炭素架橋 | 弾性回復、耐熱性、圧縮永久ひずみ及び耐久性を左右する。 |
モノマー又は構成単位
主モノマーは1,3-ブタジエン及びアクリロニトリルである。日本ゼオンの製品分類例では、結合アクリロニトリル量により、低ニトリル25質量%未満、中ニトリル25~31質量%、中高ニトリル31~36質量%、高ニトリル36~43質量%、超高ニトリル43質量%以上に区分される。
共重合体及び変性グレード
標準NBRのほか、カルボキシル化NBR(XNBR)、NBR/PVC、NBRラテックス、液状NBR、粉末NBR及び水素化NBR(HNBR)がある。これらは耐摩耗性、耐候性、加工形態又は耐熱性を改善するが、標準NBRと物性及び加工条件が異なる。
種類・代表グレード
| 種類・グレード区分 | 主成分又は特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 低ニトリルNBR | ACN 25質量%未満が目安 | 耐寒性、反発弾性 | 耐油性、ガスバリア性は低め | 低温シール、航空・寒冷地部品 |
| 中ニトリルNBR | ACN 25~31質量%程度 | 耐油性と低温性のバランス | 極端な燃料又は低温には専用品が必要 | 一般シール、ホース、ロール |
| 中高ニトリルNBR | ACN 31~36質量%程度 | 汎用耐油性、加工性 | 低温柔軟性は低ニトリル品に劣る | Oリング、オイルシール、ガスケット |
| 高ニトリルNBR | ACN 36~43質量%程度 | 耐油・耐燃料・ガスバリア性 | 低温硬化、反発低下 | 燃料系シール、ホース |
| 超高ニトリルNBR | ACN 43質量%以上 | 非常に高い耐燃料・低透過性 | 耐寒性と加工性に注意 | 特殊燃料シール、低透過部品 |
| XNBR | カルボキシル基を導入 | 耐摩耗、引裂、接着性 | 加工条件と金属酸化物架橋に注意 | ロール、ベルト、耐摩耗シール |
| NBR/PVC | NBRとPVCのブレンド | 耐候、耐オゾン、難燃性を改善 | 低温性、可塑剤移行に注意 | ケーブル、ホース、シート |
| NBRラテックス | 水分散体 | 薄膜形成、含浸、ディップ加工 | 残留界面活性剤、抽出物に注意 | 手袋、含浸紙、不織布、接着剤 |
| 液状・粉末NBR | 低分子液状又は粉末形態 | 樹脂改質、分散、配合が容易 | 単独構造材には不向き | PVC改質、接着剤、摩擦材 |
| HNBR | NBRの二重結合を水素化 | 耐熱、耐オゾン、耐油、機械強度 | 標準NBRより高価 | 高温シール、ベルト、油田部品 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 理由及び主な注意点 |
|---|---|---|
| ゴム射出成形 | ◎ | 複雑形状及び量産に適する。スコーチ、金型温度、加硫時間を管理する。 |
| 圧縮成形 | ◎ | Oリング、ガスケット、厚肉品に一般的。プリフォーム質量と加硫均一性を管理する。 |
| トランスファー成形 | ◎ | インサート品や精密形状に適する。ランナー廃材と型内圧に注意する。 |
| 押出成形 | ◎ | ホース、チューブ、異形材に適する。押出後に連続加硫する。 |
| カレンダー成形 | ○ | シート、布引き、積層材に適する。厚み、収縮及び気泡を管理する。 |
| ブロー成形 | × | 加硫ゴムの一般的な加工法ではない。 |
| 真空・圧空成形 | × | 加硫前後とも一般的な熱可塑シート成形とは異なる。 |
| 発泡成形 | ○ | 独立気泡又は連続気泡品が可能。発泡剤と加硫速度の整合が必要である。 |
| 3Dプリント | △ | 未加硫ペースト又は特殊配合に限定され、一般的ではない。 |
| 切削加工 | △ | 硬質配合、凍結又は専用工具で可能。軟質品は変形しやすい。 |
| 接着・ライニング | ○ | 専用接着剤、プライマー及び表面処理が必要になる場合がある。 |
| 溶着 | × | 架橋後は熱融着できない。未加硫接合後の共加硫を検討する。 |
代表的な成形・加硫条件
| 項目 | 単位 | 代表的な目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 予備乾燥 | - | 通常は不要 | 吸湿した充填材又は配合剤を用いる場合は別途管理する。 |
| ロール温度 | ℃ | 30~60 | スコーチを避け、分散と温度履歴を管理する。 |
| 押出機温度 | ℃ | 40~90 | 配合、スクリュー及び連続加硫方式により変化する。 |
| 金型温度 | ℃ | 150~190 | 硫黄又は過酸化物加硫系で異なる。 |
| 加硫時間 | min | 2~20 | 肉厚、金型温度、加硫曲線及び後加硫の有無で決定する。 |
| 射出圧力 | MPa | 50~150 | 粘度、形状、ゲート及び成形機に依存する。 |
| 成形収縮率 | % | 1.0~3.0 | 配合、硬さ、加硫、金型拘束及び後収縮で変化する。 |
| 推奨肉厚 | mm | 1~10 | 厚肉では加硫不足、ボイド及び温度差に注意する。 |
| 抜き勾配 | ° | 0.5~3 | 形状、硬さ、表面粗さ及び離型剤に依存する。 |
| 後加硫 | - | 必要に応じ実施 | 過酸化物配合、低アウトガス又は圧縮永久ひずみ改善で検討する。 |
上記は材料群の一般的な目安である。実際には、加硫曲線、ムーニースコーチ、金型構造、肉厚及び製品要求に基づき、メーカー又は配合設計者の条件を優先する。
接合・表面処理適性
| 方法 | 適性 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 共加硫接合 | ◎ | 未加硫ゴム同士又は金属用接着剤を介した一体加硫が有効。 |
| 接着剤接合 | ○ | 表面研磨、脱脂、プライマー及びNBR適合接着剤を用いる。可塑剤移行を確認する。 |
| 機械締結 | ○ | 圧縮量、座面、クリープ及び締付け過多に注意する。 |
| 熱融着 | × | 加硫後は熱可塑的に溶融しない。 |
| コロナ・プラズマ処理 | ○ | 表面エネルギーを高め、接着又は印刷性を改善できるが、効果の経時低下を確認する。 |
| 塗装・印刷 | △ | 可塑剤、離型剤及びブリードにより密着性が低下する場合がある。 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下は非発泡・一般工業用の加硫NBR配合物を対象とする代表値である。標準グレードとXNBR、HNBR、導電、難燃及び発泡配合の値は混在させていない。ゴムの物性は硬さ、補強剤、可塑剤及び架橋密度で大きく変化する。
| 項目 | 単位 | 代表値 | 代表範囲 | 試験規格 | 材料状態・条件 | 備考 | 信頼度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 1.00 | 0.98~1.25 | ISO 1183相当 | 23℃、加硫配合 | 充填材及び可塑剤で変動。未充填ポリマーは約0.98~1.02。 | B |
| 比重 | 無次元 | 1.00 | 0.98~1.25 | JIS K 6268相当 | 23℃、加硫配合 | 密度と同傾向。 | B |
| 硬度 | Shore A | 70 | 40~90 | ISO 48-4相当 | 23℃ | 一般工業配合。軟質から硬質まで配合可能。 | B |
| 引張強さ・破断 | MPa | 15 | 7~25 | ISO 37相当 | 23℃、標準状態 | カーボンブラック補強加硫物の代表範囲。 | B |
| 引張破断伸び | % | 300 | 100~600 | ISO 37相当 | 23℃、標準状態 | 硬さ、架橋密度、補強剤で変動。 | B |
| 引張弾性率 | GPa | データなし | データなし | - | - | ゴムは非線形であり、100%又は300%モジュラスを用いることが多い。 | - |
| 100%引張応力 | MPa | 4 | 2~10 | ISO 37相当 | 23℃ | 配合及び硬さ依存。 | C |
| 引裂強さ | kN/m | 35 | 20~60 | ISO 34-1相当 | 23℃ | 形状及び規格依存。 | C |
| 圧縮永久ひずみ | % | 25 | 10~45 | ISO 815-1相当 | 100℃×22~24 hの例 | 値が小さいほど良い。加硫系と硬さに強く依存。 | C |
| 反発弾性 | % | 30 | 20~45 | ISO 4662相当 | 23℃ | 高ニトリルほど低下しやすい。 | C |
| ガラス転移温度 | ℃ | -30 | -50~-15 | DSC又はDMA | 乾燥状態 | ACN量が高いほど上昇する傾向。 | B |
| 融点 | ℃ | 該当なし | 該当なし | - | 非晶性架橋ゴム | 明確な融点を持たない。 | A |
| 連続使用温度・上限 | ℃ | 100 | 80~120 | 代表値、規格不明 | 空気中 | 耐熱配合では上限が高くなるが、HNBRとは区別する。 | C |
| 低温使用限界 | ℃ | -30 | -50~-15 | 代表値、規格不明 | 無荷重目安 | 低ニトリル品が有利。TR10等で確認する。 | C |
| 熱伝導率 | W/(m・K) | 0.23 | 0.18~0.28 | 代表値、規格不明 | 23℃ | 充填材、発泡、硬さで変動。 | B |
| 線膨張係数 | 10⁻⁵/K | 18 | 12~25 | 代表値、規格不明 | ゴム状領域 | 金属より大きく、拘束設計に注意。 | C |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1×10¹² | 1×10⁸~1×10¹⁵ | IEC 60093相当 | 23℃、乾燥 | カーボンブラック量で大幅に変動。導電配合は別扱い。 | C |
| 絶縁破壊強さ | kV/mm | 15 | 10~25 | IEC 60243相当 | 試験片厚さ依存 | 一般配合の目安。導電配合には適用しない。 | C |
| 吸水率・24 h | % | 0.5 | 0.2~1.5 | ISO 62相当 | 23℃水、24 h | 配合、ACN量及び抽出成分に依存。 | C |
燃焼性・電気特性
| 項目 | 単位 | 代表的な扱い | 備考 |
|---|---|---|---|
| UL 94燃焼性 | 等級 | グレード依存 | 一般NBRを一律のHB又はV等級としない。認証グレードと厚さを確認する。 |
| 限界酸素指数・LOI | % | データなし | 配合依存が大きく、難燃剤及びハロゲン含有の確認が必要。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1×108~1×1015 | 導電性カーボンブラック量により絶縁から導電まで設計可能。 |
| 比誘電率・1 kHz | 無次元 | 約8~20 | ACN量、充填材、温度及び周波数に依存する参考範囲。 |
| 誘電正接・1 kHz | 無次元 | 0.05~0.3 | 極性ゴムであり、周波数及び温度依存性が大きい。 |
寸法精度・設計特性
- 成形収縮及び後収縮は配合、加硫温度、金型拘束、肉厚及び後加硫に依存する。
- 油又は溶剤による体積膨潤と、熱老化による硬化・収縮を同時に評価する必要がある。
- 短時間の引張強さを設計許容応力として直接使用せず、クリープ、応力緩和、圧縮永久ひずみ及び疲労を考慮する。
- Oリングでは溝充填率、つぶし代、伸張率、押出隙間、圧力及び温度を規格に基づき設計する。
- 金属インサート周辺は応力集中、熱膨張差、接着界面及び腐食を確認する。
品質・成形不良
| 不良 | 材料側の主因 | 成形条件側の主因 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| スコーチ | 促進剤過多、保管劣化 | 混練・押出温度過高、滞留長い | 低温管理、配合見直し、先入先出。 |
| 加硫不足 | 加硫剤不足、分散不良 | 温度不足、時間不足、厚肉 | 加硫曲線確認、温度・時間補正。 |
| 過加硫・硬化 | 加硫系不適 | 温度過高、時間過長 | リバージョン特性を確認し条件を最適化。 |
| ボイド・気泡 | 水分、揮発分、分散不良 | 急加硫、エア抜き不足 | 原料管理、真空成形、ベント改善。 |
| ウェルド弱化 | 充填材凝集、表面汚染 | 流動合流、金型温度不足 | ゲート、金型温度、流動設計を改善。 |
| バリ | 粘度低下、過剰可塑剤 | 型締不足、型摩耗、圧力過大 | 配合粘度、型締、パーティング面を管理。 |
| 離型不良 | 粘着、加硫不足 | 金型表面不良、温度不均一 | 離型処方、表面処理、加硫条件を調整。 |
| ブルーム・ブリード | 配合剤の溶解度超過 | 高温保管、過度の圧縮 | 配合剤選定、添加量低減、保管条件改善。 |
耐薬品性
評価は一般的な加硫NBRの傾向であり、保証値ではない。◎は一般的条件で影響が小さい、○は概ね使用可能だが条件確認が必要、△は膨潤、軟化、硬化又は強度低下に注意、×は著しい膨潤、分解又は割れが生じる可能性が高いことを示す。
| 薬品 | 濃度 | 温度・時間 | 接触条件 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | - | 23℃、168 h | 浸漬、無応力 | ○ | わずかな吸水、添加剤抽出 | 長期又は高温では体積変化を確認する。 |
| 温水 | - | 80℃、168 h | 浸漬、無応力 | △ | 硬化、抽出、圧縮永久ひずみ増大 | 熱水用途はEPDM又は専用配合と比較する。 |
| 水蒸気 | 飽和 | 100℃以上 | 連続接触 | △ | 熱老化、硬化 | 高温蒸気には一般に不向き。 |
| 塩酸 | 10% | 23℃、168 h | 浸漬 | ○ | 軽微な膨潤又は硬化 | 濃酸及び高温は要確認。 |
| 硫酸 | 10% | 23℃、168 h | 浸漬 | ○ | 軽微な変化 | 濃硫酸、熱硫酸は不適となる場合がある。 |
| 硝酸 | 10% | 23℃、168 h | 浸漬 | △ | 酸化、硬化、亀裂 | 酸化性酸のため濃度と温度に注意。 |
| 酢酸 | 10% | 23℃、168 h | 浸漬 | ○ | 軽微な膨潤 | 高濃度又は高温は確認する。 |
| 水酸化ナトリウム | 10% | 23℃、168 h | 浸漬 | ○ | 軽微な変化 | 高温・高濃度では配合剤への影響を確認。 |
| エタノール | 99% | 23℃、168 h | 浸漬 | ○ | わずかな膨潤、抽出 | 燃料中エタノールは混合燃料として別途評価。 |
| IPA | 99% | 23℃、168 h | 浸漬 | ○ | わずかな膨潤 | 配合差を確認。 |
| グリセリン | 99% | 23℃、168 h | 浸漬 | ◎ | 一般に影響小 | 高温では確認。 |
| MMB | 99% | 23℃、168 h | 浸漬 | △ | 膨潤、軟化の可能性 | エーテルアルコールであり実浸漬必須。 |
| n-ヘキサン | 99% | 23℃、168 h | 浸漬 | ○ | 軽度~中程度の膨潤 | 高ニトリル品が有利。 |
| トルエン | 99% | 23℃、168 h | 浸漬 | × | 著しい膨潤、軟化 | 芳香族炭化水素。 |
| キシレン | 99% | 23℃、168 h | 浸漬 | × | 著しい膨潤 | 長時間接触を避ける。 |
| アセトン | 99% | 23℃、168 h | 浸漬 | × | 膨潤、軟化、強度低下 | ケトン類には一般に不適。 |
| MEK | 99% | 23℃、168 h | 浸漬 | × | 著しい膨潤 | 実用上不適となることが多い。 |
| 酢酸エチル | 99% | 23℃、168 h | 浸漬 | × | 膨潤、軟化 | エステル類に注意。 |
| THF | 99% | 23℃、168 h | 浸漬 | × | 著しい膨潤又は溶解傾向 | エーテル系強溶剤。 |
| ジクロロメタン | 99% | 23℃、168 h | 浸漬 | × | 著しい膨潤 | ハロゲン化溶剤。 |
| エンジン油 | 市販油 | 100℃、168 h | 浸漬 | ◎ | 体積・硬さ変化 | 油種、添加剤、温度で確認する。 |
| 作動油・鉱物油系 | 市販油 | 100℃、168 h | 浸漬 | ◎ | 体積変化 | NBRの代表用途。 |
| リン酸エステル作動油 | 市販油 | 23~100℃ | 浸漬 | × | 膨潤、軟化 | EPDM等との比較が必要。 |
| ガソリン | 市販燃料 | 23℃、72 h | 浸漬 | ○ | 膨潤、抽出 | 高ニトリル品を選び、E10等は個別評価。 |
| 軽油 | 市販燃料 | 23℃、168 h | 浸漬 | ◎ | 軽度の体積変化 | バイオディーゼル混合は別途確認。 |
| ブレーキ液・グリコール系 | 市販液 | 100℃、168 h | 浸漬 | × | 膨潤、物性低下 | 一般にEPDMが候補。 |
| 冷却液・EG水溶液 | 50% | 100℃、168 h | 浸漬 | △ | 硬化、抽出 | 高温長期は専用配合で確認。 |
| 次亜塩素酸Na | 1000 ppm | 23℃、168 h | 浸漬 | △ | 酸化、硬化 | 濃度、pH、温度、交換頻度で確認。 |
| 過酸化水素 | 3% | 23℃、168 h | 浸漬 | △ | 酸化、硬化 | 高濃度・高温では不向き。 |
| 海水 | 約3.5%塩 | 23℃、168 h | 浸漬 | ○ | 軽微な吸水 | 金属との組合せでは腐食も確認。 |
| 食品油 | 市販植物油 | 23~100℃ | 浸漬 | ○ | 膨潤、抽出 | 食品適合はグレード証明が必要。 |
SP値(溶解度パラメータ)
NBRのHildebrand SP値は、結合アクリロニトリル量により大きく変化し、一般に約18~26 MPa1/2程度の範囲で扱われる。中ニトリルNBRの代表的な目安は約20~22 MPa1/2である。ただし、加硫、充填材、可塑剤及び温度を含む実用配合物を単一SP値で表すことには限界がある。
SP値差が小さい溶剤ほど膨潤しやすい傾向はあるが、耐薬品性は、Hansenの分散力・極性・水素結合成分、架橋密度、反応性、酸化性、温度、応力及び添加剤抽出にも左右される。SP値だけで採否を決定してはならない。
溶解性の目安
| SP値差 Δδ | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
| 溶剤 | SP値 MPa1/2 | NBRとの概略SP値差 | 概略評価 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| n-ヘキサン | 14.9 | 約4~8 | ○~△ | ACN量と配合で膨潤差が大きい。 |
| ガソリン相当 | 14~16 | 約3~9 | ○~△ | 混合燃料のため組成依存。 |
| トルエン | 18.2 | 約0~5 | ×~△ | 芳香族溶剤で膨潤しやすい。 |
| 酢酸エチル | 18.6 | 約0~5 | ×~△ | エステル系で膨潤しやすい。 |
| MEK | 19.0 | 約0~5 | × | 極性と水素結合性を含め強い相互作用。 |
| アセトン | 19.9 | 約0~4 | × | 短時間でも膨潤に注意。 |
| IPA | 23.5 | 約1~8 | ○~△ | SP差だけでは過小評価しやすい。 |
| エタノール | 26.0 | 約3~11 | ○ | 一般に比較的良好だが混合燃料は別。 |
| 水 | 47.9 | 約20以上 | ◎~○ | 反応性・添加剤抽出・高温水は別要因。 |
上表のSP値差はNBRのACN量を約20~22 MPa1/2とした概略である。特に水、アルコール及び混合燃料では、単一SP値差と実浸漬結果が一致しない場合がある。
環境応力・ひずみ下での注意
ゴムでは熱可塑性樹脂の典型的な環境応力割れだけでなく、伸張状態でのオゾンクラック、圧縮下での永久ひずみ、動的変形下での疲労亀裂及び溶剤膨潤による界面剥離が問題となる。実部品と同じ伸張率又は圧縮率を与え、薬品、温度及び時間を組み合わせて確認する。
製法

原料及び重合方法
NBRは一般に、1,3-ブタジエンとアクリロニトリルを水中で乳化共重合して製造する。乳化剤、ラジカル開始剤、分子量調整剤及び温度条件により、結合アクリロニトリル量、分子量、分岐、ゲル量及びムーニー粘度を制御する。
代表反応式
m CH2=CH−CH=CH2 + n CH2=CH−C≡N → −[CH2−CH=CH−CH2]m−[CH2−CH(C≡N)]n−
凝固、乾燥及び製品形態
所定転化率で反応を停止し、未反応モノマーを回収する。ラテックス製品は必要な安定化及び濃度調整後に出荷される。固形NBRは塩又は酸等で凝固し、洗浄、脱水、乾燥後、ベール、クラム又は粉末として供給される。
配合及び加硫
原料NBRに補強剤、可塑剤、老化防止剤、加工助剤、加硫剤及び促進剤を混練する。硫黄加硫は加工性及び動的特性に優れ、過酸化物加硫は耐熱性及び圧縮永久ひずみの改善に用いられる場合がある。配合は食品接触、低抽出、低温、耐燃料、導電、難燃等の要求に合わせて設計する。
詳細な利用用途
| 用途分野 | 代表部品 | 適性 | 選定理由 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 自動車 | Oリング、オイルシール、燃料ホース、ダイヤフラム | ◎ | 耐油・耐燃料性とコストのバランス | 高温、バイオ燃料、オゾン、圧縮永久ひずみ。 |
| 油圧・空圧 | シール、パッキン、ホース、ブラダー | ◎ | 鉱物油系作動油に良好 | リン酸エステル油、水グリコール、圧力、押出隙間。 |
| 機械部品 | ロール、ベルト、カップリング、耐油防振材 | ◎ | 耐摩耗、機械強度、耐油性 | 動的疲労、発熱、オゾン亀裂。 |
| 電気・電子 | ケーブル被覆、グロメット、導電部品 | ○ | 柔軟性と耐油性、導電配合が可能 | 耐候、難燃、絶縁特性は個別グレード確認。 |
| 医療・衛生 | 検査手袋、チューブ、シール | ○ | ラテックス加工性、天然ゴムラテックス代替 | 残留アクリロニトリル、促進剤、抽出物、ISO 10993。 |
| 食品機械 | ガスケット、シール、ホース | ○ | 油脂に比較的良好 | 食品衛生法、FDA、温度、洗浄剤、溶出。 |
| 建築・設備 | 耐油シート、パッキン、発泡断熱材 | △ | 耐油及び発泡加工性 | 屋外オゾン、紫外線、火災安全。 |
| 印刷・製紙 | ゴムロール、ブランケット | ◎ | 耐油、耐摩耗、表面調整 | インキ溶剤、洗浄溶剤、硬さ変化。 |
| 接着剤・樹脂改質 | 溶剤型接着剤、PVC改質、エポキシ改質 | ○ | 極性、接着性、耐衝撃改質 | 溶剤、残留モノマー、相溶性、硬化条件。 |
| 発泡材 | 保温材、シール材、防振材 | ○ | 独立気泡化と耐油性 | 難燃性、圧縮永久ひずみ、吸水。 |
用途別選定
| 用途 | 適性 | 理由及び注意点 |
|---|---|---|
| ギア・軸受・ブッシュ | △ | 柔軟部品又は防振用途には使用できるが、高精度剛性部品には不向き。 |
| ポンプ・バルブ部品 | ◎ | シール、ダイヤフラムに適する。流体適合性と温度を確認する。 |
| Oリング・ガスケット | ◎ | 代表用途。圧縮永久ひずみ、溝設計、油種及び温度を確認する。 |
| チューブ・ホース | ◎ | 燃料、油圧用途に適する。補強層、透過性及びオゾン対策を確認する。 |
| タンク・硬質容器 | × | 構造剛性が不足するため、ライニング又はブラダー用途に限定される。 |
| フィルム・シート | ○ | 耐油シート、ラテックス薄膜に適する。厚みと加硫均一性に注意。 |
| 電気コネクタ・絶縁部品 | △ | 柔軟シールには適するが、剛性と高絶縁性を要する本体には不向き。 |
| 一般筐体・透明カバー・レンズ | × | 不透明で剛性が低い。 |
| 自動車内外装 | △ | 耐油部品には有効だが、外装では耐候性対策が必要。 |
| エンジンルーム部品 | ○ | 中温油系で有効。120℃超又は長寿命ではHNBR、ACM、FKMを比較する。 |
| 食品機械部品 | ○ | 適合配合が存在する。食品接触証明と洗浄条件を確認する。 |
| 医療機器部品 | △ | 医療グレードに限定し、生体適合性、抽出物及び滅菌耐久性を確認する。 |
| 半導体・真空装置 | △ | 一般NBRはアウトガス及び粒子に注意。低アウトガス専用品を評価する。 |
| 屋外部品 | △ | 耐オゾン・耐候配合又はNBR/PVCを用い、促進耐候試験を行う。 |
| 接着剤・コーティング | ○ | 極性と柔軟性を付与できる。溶剤、乾燥及び残留成分を管理する。 |
注意点・劣化及び故障モード
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 熱酸化劣化 | 主鎖二重結合の酸化 | 高温空気、長時間 | 硬化、亀裂、伸び低下 | 耐熱配合、温度低減、HNBR比較 | 熱老化後の引張・硬さ・圧縮永久ひずみ。 |
| オゾン亀裂 | 伸張状態の二重結合へのオゾン攻撃 | 屋外、モーター周辺、静的伸張 | 表面亀裂、破断 | ワックス、老化防止剤、遮光、EPDM/HNBR比較 | JIS K 6259相当の静的オゾン試験。 |
| 油・燃料膨潤 | 溶媒吸収 | 芳香族成分、低ACN品、高温 | 体積増加、硬さ低下、シール抜け | 高ACN品、架橋密度調整、実油評価 | 実油浸漬で体積、質量、硬さ、引張を測定。 |
| 低温硬化 | Tg接近 | 寒冷地、高ACN品 | シール追従性低下、漏れ | 低ACN又は低温配合 | TR10、低温圧縮永久ひずみ、漏れ試験。 |
| 圧縮永久ひずみ | 応力緩和、架橋劣化 | 高温、長時間圧縮 | シール力低下、漏れ | 加硫系、硬さ、つぶし代の最適化 | 実温度・実流体中の圧縮永久ひずみ。 |
| 疲労亀裂 | 繰返し変形、発熱 | ダイヤフラム、ベルト、振動 | 亀裂成長、破断 | 応力集中低減、配合最適化 | 実ひずみ・周波数での疲労試験。 |
| 可塑剤移行・抽出 | 低分子成分の移動 | 油、洗浄剤、接着界面、高温 | 硬化、収縮、汚染、接着低下 | 低抽出配合、適合可塑剤 | 抽出・移行・接着耐久試験。 |
| アウトガス | 揮発分、分解物 | 真空、高温、クリーン環境 | 汚染、曇り、接点障害 | 低揮発配合、後加硫、洗浄 | TML/CVCM又は用途別アウトガス試験。 |
| 滅菌劣化 | 熱、蒸気、酸化剤、放射線 | オートクレーブ、過酸化水素、γ線 | 硬化、変色、物性低下 | 滅菌法適合グレード、回数制限 | 実滅菌サイクル後の物性・抽出物評価。 |
推奨確認試験
- 実薬品浸漬試験:実液、実濃度、最低・最高温度で24、168、500及び1000時間を目安に、質量、体積、硬さ、引張強さ及び伸びを測定する。
- 圧縮永久ひずみ試験:実使用温度及び実液中で、設計つぶし率を模擬して評価する。
- オゾン試験:実部品の伸張率を模擬し、オゾン濃度、温度及び時間を設定する。
- 熱老化・高温高湿・熱水試験:実寿命を想定した加速条件と、物性保持率及びシール力を確認する。
- 疲労及び摩耗試験:実荷重、ひずみ、周波数、相手材、潤滑及び温度で行う。
- 食品・医療・真空用途では、溶出、抽出物、ニトロソアミン、残留モノマー、アウトガス及び滅菌耐久性を確認する。
- 最終的には実成形品及び実機での漏れ、耐久、寸法、外観及び機能試験を行う。
法規制・認証
| 項目 | 一般的な扱い | 確認事項 |
|---|---|---|
| RoHS・REACH・SVHC | 適合可能なグレードが存在する | 配合剤、老化防止剤、加硫促進剤、顔料及び最新証明書を確認する。 |
| ELV・自動車規格 | 自動車用途グレードが存在する | OEM仕様、耐燃料、耐熱老化、フォギング及び臭気を確認する。 |
| FDA・EU食品接触・日本食品衛生法 | 食品接触用配合が存在する | 使用温度、食品種、接触時間、ポジティブリスト及び溶出を確認する。 |
| USP Class VI・ISO 10993 | 医療グレードに限定 | 配合、色、製造管理、滅菌法及び生体接触区分を確認する。 |
| UL | 認証配合に限定 | UL 94、RTI、厚さ、色及びファイル番号を確認する。 |
| PFAS関連規制 | NBR骨格自体はフッ素を含まない | 配合助剤、離型剤、加工助剤及びサプライチェーン宣言を確認する。 |
環境・リサイクル性
NBRは通常、加硫して使用する熱硬化性エラストマーであり、再溶融によるマテリアルリサイクルは困難である。粉砕再生ゴム、脱硫再生、舗装・防振材への利用又は熱回収が検討されるが、再生材では引張、伸び、疲労及びシール性が低下する場合がある。窒素を含むため、焼却では適切な燃焼管理及び排ガス処理が必要である。NBRは一般に生分解性又はコンポスト適合材料ではない。
価格・供給性
| 項目 | 相対評価 | 概要 |
|---|---|---|
| 価格区分 | 中価格 | 汎用ゴムよりやや高い場合があるが、HNBR、FKM、シリコーンより低いことが多い。 |
| 国内入手性 | 良好 | 原料ゴム、コンパウンド、Oリング、シート、ホース、丸紐等が流通する。 |
| 少量購入 | 比較的容易 | 標準硬さ及び標準寸法の成形品・素材は入手しやすい。特殊配合は最小ロットに注意。 |
| 供給形態 | 多様 | ベール、クラム、粉末、ラテックス、コンパウンド、成形品、発泡体。 |
価格は原料市況、購入量、ACN量、配合、認証、色及び成形形状により変動するため、相対評価として扱う。
比較用評価スコア
| 評価項目 | スコア | 評価理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 4 | 補強配合で高い強度を得やすい。 |
| 剛性 | 2 | 柔軟なゴム材料であり、構造剛性用途には不向き。 |
| 衝撃強度 | 5 | ゴム弾性により衝撃吸収性が高い。 |
| 耐熱性 | 3 | 標準NBRは中程度。高温ではHNBR、FKMが有利。 |
| 低温特性 | 3 | ACN量で大きく変化し、低ニトリル品は良好。 |
| 耐薬品性 | 3 | 鉱物油には強いが、ケトン、エステル、芳香族溶剤に弱い。 |
| 耐候性 | 1 | 主鎖二重結合によりオゾン、紫外線に弱い。 |
| 耐加水分解性 | 4 | 主鎖は加水分解しにくいが、高温水と配合剤抽出に注意。 |
| 寸法安定性 | 3 | 圧縮永久ひずみ、熱膨張、膨潤の影響を受ける。 |
| 低吸水性 | 4 | 吸水は比較的小さいが配合差がある。 |
| 摺動性 | 3 | 耐摩耗性は良好だが摩擦係数は条件依存。 |
| 耐摩耗性 | 4 | 一般に良好。XNBRではさらに改善可能。 |
| 電気絶縁性 | 3 | 絶縁配合が可能だが極性が高く、EPDM等より劣る場合がある。 |
| 難燃性 | 2 | 標準配合は可燃性。難燃グレードは個別確認。 |
| 透明性 | 1 | 一般に不透明で、カーボンブラック配合は黒色。 |
| 成形加工性 | 4 | ゴム加工法が確立しているが、加硫管理が必要。 |
| 切削加工性 | 2 | 軟質品は変形しやすい。 |
| 接着性 | 3 | 専用接着剤と表面処理で接合可能。 |
| リサイクル性 | 1 | 加硫後のマテリアルリサイクルは限定的。 |
| 価格優位性 | 4 | 耐油性特殊ゴムとして性能対価格に優れる。 |
スコアは5が非常に優れる、4が優れる、3が標準的、2がやや劣る、1が劣る、0が評価不能又はデータなしを示す。特定グレードの最高性能ではなく、一般的な加硫NBRの傾向である。
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | NBRとの違い |
|---|---|---|
| 水素化ニトリルゴム(HNBR) | NBRを水素化し、耐熱・耐オゾン性を向上 | HNBRは高温、オゾン、動的用途に有利だが高価。 |
| フッ素ゴム(FKM) | 耐熱、耐油、耐燃料、耐薬品性が非常に高い | FKMは高温・厳しい燃料で優れるが、低温性と価格を確認。 |
| エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM) | 耐候、耐オゾン、耐水、耐蒸気性に優れる | EPDMは水系に強いが鉱物油に弱い。NBRは油系に有利。 |
| クロロプレンゴム(CR) | 耐候、難燃、耐油、接着性のバランス | NBRは耐油性、CRは耐候・難燃・接着性で有利。 |
| シリコーンゴム(VMQ) | 広い温度域、耐候、電気特性 | VMQは高低温に優れるが、耐油・耐摩耗はNBRが有利な場合が多い。 |
| アクリルゴム(ACM) | 高温油、耐熱老化性に優れる | ACMは高温油に強いが、低温性、水、加工性を確認。 |
| スチレンブタジエンゴム(SBR) | 汎用性、耐摩耗性、価格バランス | NBRは耐油性、SBRは一般用途と価格で有利。 |
| 天然ゴム(NR) | 高強度、反発弾性、引裂性 | NRは機械特性、NBRは耐油性で有利。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 日本ゼオン | Nipol | 低~超高ニトリル、XNBR、液状、粉末NBR等を展開する。製品構成は地域・時期で確認する。 |
| ENEOSマテリアル | NBR各種グレード | 低~超高アクリロニトリル品、耐熱、加工性、低汚染等の用途別グレードを展開する。 |
| ARLANXEO | Krynac、Perbunan | 世界的なNBR及び特殊NBRブランド。地域別供給状況を確認する。 |
| LG Chem | NBR | 一般工業、ホース、シール等向けのNBRを展開する。 |
| Kumho Petrochemical | KNB | 各種アクリロニトリル量及びムーニー粘度のNBRを展開する。 |
メーカー、ブランド及び供給グレードは地域、時期及び事業再編により変わる場合がある。採用時には最新版の技術資料、SDS、規制証明書及び供給状況を確認する。
関連キーワード
アクリロニトリルブタジエンゴム / ニトリルゴム / HNBR / フッ素ゴム / EPDM / クロロプレンゴム / シリコーンゴム / アクリルゴム / SBR / ブタジエンゴム / 熱硬化性エラストマー / SP値 / 耐薬品性 / Oリング / オイルシール / 圧縮永久ひずみ / オゾン劣化 / 乳化重合 / ゴム射出成形
実使用では、グレード、結合アクリロニトリル量、配合、硬さ、温度、濃度、油種、荷重、応力、湿度、接触時間、試験片形状及び成形条件を確認し、実部品での耐久試験を行う必要がある。