ポリオキシベンゾイル

項目内容
材料名ポリオキシベンゾイル
略記号POB、P(p-HBA)、P(4-HBA) などと表記される場合がある
IUPACpoly(oxy-1,4-phenylenecarbonyl) または poly(4-oxybenzoyl) と表記される場合がある
英語名Polyoxybenzoyl、Poly(p-oxybenzoyl)、Poly(4-hydroxybenzoate)、Aromatic polyester
日本語名ポリオキシベンゾイル、ポリ-p-オキシベンゾイル、ポリ(p-ヒドロキシ安息香酸)、芳香族ポリエステル
分類全芳香族ポリエステル、液晶性ポリマー系材料、耐熱性樹脂
プラスチック分類スーパーエンプラ相当、特殊耐熱樹脂、PTFE用耐摩耗フィラーとして扱われることが多い
化学式または代表構造繰り返し単位:[-O-C6H4-CO-]n
CAS No.一般に単一CASで管理されない場合がある。ポリ(p-ヒドロキシ安息香酸)系ポリマーとして扱われることがある
構造・主成分p-ヒドロキシ安息香酸由来の芳香環とエステル結合からなる、直鎖状の全芳香族ポリエステルである
主な用途PTFEコンパウンド用フィラー、摺動部品、シール、軸受、ポンプ部品、摩耗低減材、高温耐摩耗部材

概要

ポリオキシベンゾイルは、p-ヒドロキシ安息香酸を基本構成単位とする全芳香族ポリエステルである。芳香環とエステル結合が主鎖中に連続して存在するため、一般に耐熱性、寸法安定性、耐摩耗性、耐薬品性に優れる材料として扱われる。高結晶性で剛直な分子構造を持つため、通常の熱可塑性樹脂のように容易に溶融流動させて成形する材料ではなく、粉末状フィラーや圧縮成形材料として利用されることが多い。

実用上は単独樹脂としてよりも、PTFEに配合する耐摩耗フィラーとして知られる場合が多い。特にシール、軸受、ポンプ部品、摺動部材などにおいて、PTFEの低摩擦性を維持しながら、摩耗、クリープ、荷重支持性を改善する目的で使用される。ガラス繊維などに比べて相手材を傷つけにくいとされ、アルミニウム、ステンレス、軟鋼、真鍮などの相手材と組み合わせて検討されることがある。

一方で、ポリオキシベンゾイルは高い結晶性と剛直性のため、射出成形や押出成形などの一般的な成形加工には適しにくい。材料選定では、単体樹脂としての使用可否だけでなく、PTFEコンパウンド、摺動材、フィラーとしての配合率、粒径、相手材、荷重、速度、温度、雰囲気を含めて評価する必要がある。

特徴

長所
  • 全芳香族ポリエステルであり、一般に耐熱性が高い。
  • 高結晶性で、寸法安定性、耐クリープ性、荷重支持性に優れる傾向がある。
  • 耐摩耗性、摺動特性が良好で、PTFE用フィラーとして有用である。
  • 芳香環主体の構造で、溶剤に対する抵抗性が比較的高い。
  • ガラス繊維系フィラーに比べ、相手金属を摩耗させにくいとされる。
  • 連続使用温度は条件により260〜316℃程度が目安とされる。
短所
  • 通常の熱可塑性樹脂のような射出成形、押出成形には適しにくい。
  • 高結晶性で硬く、脆さが問題となる場合がある。
  • 単独成形品としての流通は限定的で、粉末フィラーやコンパウンド用途が中心である。
  • 強アルカリ、濃硫酸などでは分解、劣化、性能低下を生じる場合がある。
  • グレード、粒径、配合樹脂により物性差が大きい。
外観

一般に淡褐色、黄褐色、白色〜淡色の粉末として扱われることが多い。粒径は用途により異なり、PTFEコンパウンド用では数µm〜数十µm程度の粉末グレードが用いられる。

耐熱性

ポリオキシベンゾイルは高い熱安定性を持つ全芳香族ポリエステルである。単体ポリマーとしては明確な通常融点を示しにくく、結晶転移や分解温度に近い領域で挙動が変化する。実使用では、260〜316℃程度を連続使用温度の目安とし、短時間では316〜371℃程度まで検討される場合がある。ただし、酸化雰囲気、荷重、摩擦熱、応力、使用時間により実用限界は変化する。

耐薬品性

芳香族ポリエステル構造により、一般に炭化水素類、油類、多くの有機溶剤に対して比較的安定である。ただし、エステル結合を有するため、強アルカリ、高温水、濃酸、加水分解条件では注意が必要である。実使用では、薬品濃度、温度、接触時間、応力負荷を確認する必要がある。

加工性

一般的な溶融成形材料としての加工性は低い。単独では圧縮成形、焼結、粉末冶金に近い加工、特殊成形が検討される。実用上はPTFE、ポリイミドPEEKなどの高性能樹脂との複合化、またはPTFEコンパウンド用フィラーとして使用されることが多い。

分類上の注意

ポリオキシベンゾイルは、広義にはポリアリレート系、全芳香族ポリエステル系、液晶性ポリマー系材料として説明されることがある。ただし、一般的な非晶性ポリアリレート(PAR)や射出成形用LCPとは加工性、用途、流通形態が異なる。類似材料としては液晶ポリマー(LCP)ポリアリレート(PAR)があるが、同一材料として扱う場合は組成とグレード確認が必要である。

構造式

代表的な構造単位

ポリオキシベンゾイルの代表構造単位は、p-置換ベンゼン環、エーテル状酸素、カルボニル基を含むエステル結合からなる。

項目内容
代表構造単位[-O-C6H4-CO-]n
構造式表記–O–C6H4–C(=O)–
構成単位p-ヒドロキシ安息香酸、またはその誘導体
主鎖構造芳香環とエステル結合が連続する剛直な直鎖状構造
結晶性高結晶性を示す場合が多い
モノマーまたは構成単位

基本構成単位はp-ヒドロキシ安息香酸である。工業的にはp-ヒドロキシ安息香酸、アセチル化p-ヒドロキシ安息香酸、または対応するエステル誘導体を用い、脱酢酸縮合、溶融縮合、固相重合に近い工程で高分子量化する考え方が用いられる。

共重合体や変性グレード

ポリオキシベンゾイル単独のホモポリマーは高結晶性で加工が難しいため、実用的な液晶ポリマーではp-ヒドロキシ安息香酸単位に加え、2,6-ヒドロキシナフトエ酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ビスフェノール類などを組み合わせた共重合芳香族ポリエステルとして設計される場合がある。これらは一般にLCPとして扱われる。

種類

種類の名称主成分または特徴長所短所主な用途
POBホモポリマーp-ヒドロキシ安息香酸由来の全芳香族ポリエステル耐熱性、耐摩耗性、寸法安定性に優れる溶融加工性が低く、脆さが出やすい特殊成形品、耐摩耗材、研究用途
POB粉末フィラー高結晶性芳香族ポリエステル粉末PTFEの耐摩耗性、耐クリープ性を改善しやすい単体では成形材料として扱いにくいPTFEコンパウンド、シール、軸受
POB/PTFEコンパウンドPTFEにPOB粉末を10〜20%程度配合した摺動材料低摩擦性、耐摩耗性、相手材攻撃性の低さを両立しやすいPTFE単体より柔軟性や伸びが低下する場合があるシールリング、ベアリング、ポンプ部品
POB系LCP共重合体p-ヒドロキシ安息香酸単位を含む液晶性芳香族ポリエステル射出成形可能なグレードがあり、高流動、高耐熱を得やすいホモポリマーPOBとは物性、用途が異なる電気・電子部品、コネクタ、精密部品
POB複合材料POBに炭素繊維、カーボン、固体潤滑材などを組み合わせた材料摺動性、剛性、熱伝導性を調整できる配合設計により成形性、脆性、摩耗粉が変化する高荷重摺動材、摩擦材、機械部品

成形加工

加工方法適性備考
射出成形×POBホモポリマーは通常の射出成形には適しにくい。共重合LCPでは可能なグレードがある。
押出成形×単体POBは溶融流動性が低く、一般的な押出成形は困難である。
ブロー成形×中空成形に必要な溶融強度と加工温度範囲を得にくい。
圧縮成形粉末材料として高温高圧で圧縮成形、焼結に近い加工が検討される。
真空成形×シート化および熱軟化成形が一般的ではない。
切削加工成形体またはコンパウンド品では可能であるが、脆性、欠け、粉塵に注意する。
粉末成形POB粉末を用いた圧縮、焼結、特殊成形に適用される場合がある。
PTFEコンパウンド成形実用上最も多い形態であり、PTFEの圧縮成形、押出、ラム押出、切削加工と組み合わせる。
コンパウンド化PTFEや高性能樹脂に配合し、耐摩耗性、耐クリープ性、摺動性を調整する。

代表的な物性値又は機械的性質

以下は代表値または目安である。POBは単独成形材料としてのデータが限定的であり、粒径、成形条件、配合樹脂、充填率により大きく変化する。実使用ではグレード、温度、荷重、応力、摩擦速度、使用時間を確認する必要がある。

項目POB単体・圧縮成形品 代表値POB粉末フィラー10〜20%POB/PTFE 代表値単位備考
密度約1.40〜1.45見掛密度 約0.18〜0.64約2.05〜2.16g/cm3粉末は真密度ではなく見掛密度の場合がある
引張強さデータ限定、概ね30〜60該当なし約17〜25MPaPTFE系では配合率と成形条件に依存する
伸び低い該当なし約200〜300%PTFEコンパウンドではPTFE相の影響が大きい
曲げ強さ約35〜40該当なしグレードによるMPa圧縮焼結品の代表値
曲げ弾性率約6〜7該当なし約0.5〜1.5GPaPOB単体は高剛性である
圧縮強さ約100該当なしグレードによるMPa荷重支持性に関係する
アイゾット衝撃強さ低〜中該当なしPTFE相により改善kJ/m2脆性破壊に注意
荷重たわみ温度高い該当なし260℃以上を検討可能荷重、応力、時間に依存する
融点または転移温度明確な通常融点を示しにくい。結晶転移 約329℃付近が目安該当なしPTFE相に依存高温域では分解との兼ね合いが重要である
分解温度約426℃以上約426℃以上PTFEおよびPOBに依存空気中、窒素中で値は異なる
連続使用温度約260〜316約260〜316約260摩擦熱、酸化、荷重により低下する
短時間使用温度約316〜371約316〜371約260〜300短時間・低応力条件での目安
吸水率約0.4以下グレードによるPTFE系では低い%高温水、湿熱では加水分解に注意
体積抵抗率1014〜1016程度該当なし1016程度Ω・cm充填材、吸湿、汚染により変化する
熱膨張係数約5.9×10-5該当なしPTFE単体より低下する場合がある1/K温度範囲により変化する
摩擦係数低〜中該当なし約0.12〜0.16相手材、面圧、速度、潤滑条件に依存する

耐薬品性

ポリオキシベンゾイルは全芳香族ポリエステルであり、一般に多くの溶剤、油、炭化水素に対して安定である。ただし、エステル結合を含むため、強アルカリ、濃酸、高温水、加水分解環境では注意が必要である。以下は常温、短時間接触を中心とした目安であり、実使用では濃度、温度、浸漬時間、応力、摩耗条件を確認する必要がある。

薬品分類代表薬品評価備考
酸類希塩酸、希硫酸、酢酸常温短時間では比較的安定な場合が多い。濃硫酸、強酸、高温では注意。
強酸濃硫酸、発煙硫酸、濃硝酸△〜×酸化、スルホン化、加水分解的劣化の可能性がある。
アルカリ類NaOH、KOH、水酸化ナトリウム水溶液△〜×エステル結合の加水分解に注意。高濃度、高温では不適となる場合がある。
低級アルコール類メタノール、エタノール、IPA常温短時間では比較的安定な場合が多い。
高級アルコール類ブタノール、ベンジルアルコール、グリセリン、MMB膨潤は小さいと考えられるが、高温では確認が必要である。
芳香族炭化水素類トルエン、キシレン、ベンゼン一般に耐性は良いが、長時間浸漬では重量変化を確認する。
脂肪族炭化水素類ヘキサン、ヘプタン、ミネラルスピリット溶解・膨潤は起こりにくい。
ケトンアセトン、MEK、MIBK常温では比較的安定な場合が多いが、応力下では確認が必要である。
エステル酢酸エチル、酢酸ブチル短時間接触では比較的安定な場合が多い。
塩素系溶剤ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン一般に溶剤抵抗性は高いが、規制、安全性、応力割れを確認する。
水・温水水、温水、蒸気○〜△常温水では比較的安定。高温水、蒸気、長期湿熱では加水分解に注意。
鉱物油、潤滑油、作動油一般に良好。添加剤、酸化劣化油では確認が必要である。
燃料ガソリン、軽油、灯油○〜◎配合樹脂がPTFEの場合は良好な場合が多い。芳香族成分、添加剤を確認する。
SP値(溶解度パラメータ)

ポリオキシベンゾイルのSP値(δ)は、文献値や推算法により差があるが、代表的には約22〜24 MPa1/2程度を目安として扱うことができる。全芳香族ポリエステルであり、芳香環、エステル結合、結晶性の影響を受けるため、単純なSP値だけでは実際の溶解、膨潤、クラック発生を判断できない。

代表値
MPa1/2
備考
約22〜24推算値・類似芳香族ポリエステルからの目安
SP値差、結晶性、分子量、温度、応力を総合評価高結晶性のため、SP値が近くても直ちに溶解しない場合がある
溶解性の目安
SP値差溶解・膨潤の目安判定
0〜2膨潤・軟化しやすい×
2〜5条件により膨潤する
5〜8短時間接触では比較的安定
8以上溶解・膨潤しにくい
SP値から見た耐溶剤性

以下はPOBのSP値を23 MPa1/2と仮定した場合の目安である。高結晶性、エステル結合の加水分解、酸化、応力割れ、配合樹脂の影響により、実際の耐薬品性はSP値差と一致しない場合がある。

薬品名SP値 代表値POBとの差SP値上の評価実用上の注意
47.924.9SP値上は離れるが、高温水では加水分解に注意。
メタノール29.66.6常温短時間では比較的安定な場合が多い。
エタノール26.03.0SP値上は近いが、高結晶性のため大きな溶解は起こりにくい。
IPA23.50.5×SP値上は近いが、実際には短時間接触で問題が出にくい場合もある。
アセトン20.32.7応力下、長時間、高温では確認が必要である。
MEK19.04.0短時間接触では比較的安定な場合がある。
酢酸エチル18.64.4膨潤、表面変化を確認する。
トルエン18.24.8SP値上は注意域だが、POB単体では耐性を示す場合がある。
キシレン18.05.0長時間浸漬と温度条件を確認する。
ヘキサン14.98.1一般に膨潤しにくい。
ジクロロメタン20.22.8SP値上は近いが、結晶性の影響を受ける。安全規制にも注意。
NMP23.00.0×SP値上は近い。高温では膨潤・劣化確認が必要。
DMF24.81.8×極性溶媒であり、高温・長時間では注意。
グリセリン33.810.8高温では吸湿、水分、添加物を確認する。
鉱物油約16〜18約5〜7実用上は良好な場合が多い。

製法

原料
  • p-ヒドロキシ安息香酸
  • p-アセトキシ安息香酸
  • p-ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体
  • 必要に応じて触媒、安定剤、加工助剤
重合方法

ポリオキシベンゾイルは、p-ヒドロキシ安息香酸またはその誘導体を縮合重合して得られる。実用的には、p-ヒドロキシ安息香酸をアセチル化し、p-アセトキシ安息香酸としてから脱酢酸縮合する方法が考えられる。高分子量化には高温での溶融縮合、固相縮合、減圧下での副生成物除去が重要となる。

代表的な反応式
工程反応式の例説明
直接縮合n HO-C6H4-COOH → [-O-C6H4-CO-]n + n H2Op-ヒドロキシ安息香酸を脱水縮合してポリエステル化する考え方である。
アセチル化経由n CH3COO-C6H4-COOH → [-O-C6H4-CO-]n + n CH3COOHp-アセトキシ安息香酸を脱酢酸縮合し、高分子量化する方法である。
共重合LCPp-HBA単位 + HNA単位 + 芳香族ジ酸/ジオール → 共重合芳香族ポリエステル加工性や融点を調整するため、他の芳香族モノマーを導入する。
ペレット化やコンパウンド

POBホモポリマーは通常のペレット化、射出成形用材料として扱いにくい。PTFEコンパウンド用途では、POB粉末をPTFEファインパウダーまたはモールディングパウダーに均一分散し、圧縮成形、焼成、ラム押出、切削加工により部品化する。粒径、分散状態、配合率が摩耗特性、表面粗さ、成形密度に影響する。

添加剤、充填材、強化材

用途により、カーボン、グラファイト、二硫化モリブデン、ブロンズ、ガラス繊維、炭素繊維、ポリイミド粉末などと併用される場合がある。相手材攻撃性を抑えたい場合は、ガラス繊維や鉱物系フィラーよりもPOB系フィラーが検討されることがある。

詳細な利用用途

分野用途例採用理由注意点
自動車シール、ブッシュ、摺動リング、燃料・油圧系部品耐摩耗性、耐油性、寸法安定性、高温特性燃料添加剤、摩擦熱、長期荷重を確認する。
電気・電子絶縁摺動部材、耐熱スペーサ、特殊治具耐熱性、電気絶縁性、寸法安定性粉末フィラーでは母材樹脂の電気特性が支配的になる。
機械部品軸受、ベアリング、ガイド、スライダー、ポンプ部品低摩耗、荷重支持性、相手材への攻撃性低減面圧、速度、PV値、潤滑条件を確認する。
化学装置バルブシート、パッキン、シールリング、ポンプベーン耐薬品性、耐熱性、摺動性強アルカリ、濃酸、高温水蒸気では個別確認が必要である。
医療分析装置部品、摺動治具、シール部材耐薬品性、寸法安定性、摩耗粉低減医療適合性、滅菌条件、抽出物を確認する。
食品機械シール、軸受、ポンプ部品、搬送部材PTFEコンパウンドとしての低摩擦性、耐摩耗性食品接触規格、洗浄剤、蒸気殺菌条件を確認する。
建築・設備高温シール、耐薬品パッキン、摺動支持部材耐熱性、耐薬品性、長期寸法安定性屋外紫外線、湿熱、施工時の応力を確認する。
半導体・精密機器耐薬品シール、搬送系摺動部、治具低摩耗、耐薬品性、寸法安定性金属汚染、アウトガス、パーティクル管理を確認する。

関連材料との比較

比較材料特徴対象材料との違い
LCP液晶性芳香族ポリエステルで、高流動、高耐熱、低バリ性を持つ射出成形材料である。POB単体は加工が難しいが、LCPは共重合により射出成形性を付与した材料である。
ポリアリレート(PAR)芳香族ポリエステル系の透明耐熱樹脂として知られる。PARは非晶性グレードが多く、POBは高結晶性で摺動・フィラー用途が中心である。
PTFE低摩擦、耐薬品性、耐熱性に優れるフッ素樹脂である。POBはPTFEに配合して耐摩耗性、耐クリープ性、荷重支持性を改善するフィラーとして使われる。
PEEK耐熱性、機械強度、耐薬品性を持つ結晶性スーパーエンプラである。PEEKは射出成形、押出成形が可能であるが、POBは粉末フィラーや特殊成形用途が中心である。
ポリイミド(PI)高耐熱、高強度、耐摩耗性を持つスーパーエンプラである。PIは高温構造部材として使われる。POBはPTFEフィラーや摺動改質材としての位置付けが強い。
PPS耐熱性、耐薬品性、寸法安定性に優れる結晶性樹脂である。PPSは量産成形に適する。POBは成形自由度よりも耐摩耗性、耐熱安定性を重視する用途に向く。
PBI非常に高い耐熱性と機械特性を持つ特殊耐熱樹脂である。PBIは高温構造部材向け、POBは芳香族ポリエステル系の摺動・フィラー用途向けである。
ガラス繊維フィラー樹脂の剛性、強度、耐クリープ性を高める無機フィラーである。ガラス繊維は相手材を摩耗させる場合があるが、POBは相手材攻撃性を抑えたい摺動用途で検討される。

代表的なメーカー

ポリオキシベンゾイルは、汎用樹脂のように多数メーカーが標準ペレットとして販売する材料ではない。実用上は芳香族ポリエステル粉末フィラー、またはPOB配合PTFEコンパウンドとして流通する場合が多い。以下は実在する代表例である。

メーカー代表製品・ブランド概要
Saint-GobainEkonol芳香族ポリエステル粉末フィラーとして知られる代表例である。PTFEコンパウンド用にT101、M102Aなどのグレードがある。
PBY PlasticsEkonol-filled PTFE 材料Ekonolを配合したPTFE材料を産業用樹脂部品として扱う代表例である。
PTFE IndustriesEkonol PTFE Compoundsシール、ベアリング、摺動部品向けのEkonol配合PTFEコンパウンドを扱う代表例である。
三井化学XYDARp-ヒドロキシ安息香酸単位を含む全芳香族ポリエステル系LCPの代表例である。POBホモポリマーとは異なる共重合LCPとして扱う。
PolyplasticsLAPEROS液晶ポリマーの代表例であり、POB系構造単位を含む芳香族ポリエステル系LCPとして比較対象になる。
CelaneseVectra全芳香族ポリエステル系LCPの代表例である。射出成形用高性能材料として、POBホモポリマーとは加工性が異なる。
SolvayXydar LCP高耐熱LCPの代表例として扱われる。POB系芳香族ポリエステルと近い構造概念を持つが、商用グレードは共重合体である。

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