概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | バイオポリエチレン |
| 略記号 | Bio-PE、バイオPE、Bio-based PE |
| IUPAC | poly(ethene) |
| 英語名 | Bio-based Polyethylene、Bio Polyethylene、Renewable Polyethylene |
| 日本語名 | バイオポリエチレン、バイオマスポリエチレン、植物由来ポリエチレン、再生可能資源由来ポリエチレン |
| 分類 | ポリオレフィン系樹脂、バイオマスプラスチック、熱可塑性樹脂、結晶性樹脂 |
| プラスチック分類 | 汎用プラスチック |
| 化学式または代表構造 | (–CH2–CH2–)n |
| CAS No. | 9002-88-4(ポリエチレンとして) |
| 構造・主成分 | バイオエタノールなど再生可能資源由来のエチレンを重合して得られるポリエチレンである。化学構造は石油由来PEと基本的に同一である。 |
| 主な用途 | 包装フィルム、ボトル、容器、キャップ、袋、チューブ、日用品、衛生材、自動車部材、電線被覆、ブロー成形品など |
バイオポリエチレン(Bio-PE)は、植物由来エタノールなどから得られるバイオエチレンを原料として製造されるポリエチレンである。分子構造は一般的なポリエチレンと同じ(–CH2–CH2–)nであり、いわゆるドロップイン型のバイオマスプラスチックに分類される。
材料特性は、原料由来がバイオマスである点を除けば、LDPE、LLDPE、HDPEなど対応する石油由来PEグレードと概ね同等である。したがって、軽量性、耐水性、耐薬品性、電気絶縁性、低温特性、成形加工性に優れる一方、耐熱性、接着性、印刷性、耐候性、耐芳香族溶剤性には注意が必要である。
一般に、バイオPEは生分解性プラスチックではない。焼却、リサイクル、使用時の耐久性、食品接触適合、バイオマス度、カーボンフットプリント、ISCC PLUSなどの認証範囲は、メーカー、グレード、供給方式により異なる。実使用では、密度、MFR、分子量分布、添加剤、成形条件、温度、荷重、応力、薬品接触時間を確認する必要がある。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 長所 | 石油由来PEと同等の加工性・物性を持ち、既存設備で成形しやすい。軽量、低吸水、耐水性、耐薬品性、電気絶縁性に優れる。 |
| 短所 | 耐熱性は高くない。芳香族炭化水素、塩素系溶剤、一部油類では膨潤・軟化する場合がある。接着・印刷には表面処理が必要になることが多い。 |
| 外観 | 乳白色から半透明。HDPEは白色不透明に近く、LDPE、LLDPEは半透明で柔軟性がある。 |
| 耐熱性 | 一般にLDPEは80℃前後、HDPEは100℃前後が目安である。荷重下ではクリープ、軟化、寸法変化に注意する。 |
| 耐薬品性 | 水、酸、アルカリ、アルコールに対しては比較的安定である。芳香族炭化水素、塩素系溶剤、燃料油では条件により膨潤する。 |
| 加工性 | 射出成形、押出成形、ブロー成形、フィルム成形、チューブ成形、ラミネートに適する。MFR、密度、分岐構造により成形性が変わる。 |
| 分類上の注意 | バイオPEはバイオマス由来であるが、一般には生分解性ではない。生分解性ポリエステルやPETとは区別して扱う必要がある。 |
構造式
化学式の画像
画像タグは使用しない。白黒構造式として表す場合は、MS Pゴシック相当の読みやすい書体で、次のように表記できる。
n CH2=CH2 → [–CH2–CH2–]n
代表的な構造単位
| 項目 | 構造 |
|---|---|
| 繰り返し単位 | –CH2–CH2– |
| 分子式 | (C2H4)n |
| 代表構造 | H–[–CH2–CH2–]n–H |
モノマーまたは構成単位
主なモノマーはエチレン(CH2=CH2)である。バイオPEでは、一般に植物由来糖質を発酵して得たバイオエタノールを脱水し、バイオエチレンを製造する。このエチレンを重合することで、石油由来PEと同じポリエチレン鎖が形成される。
共重合体や変性グレード
バイオPEには、HDPE、LDPE、LLDPEなどがあり、用途に応じて密度、分岐構造、分子量、MFR、添加剤が調整される。LLDPEでは、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどのα-オレフィン共重合成分を含む場合がある。完全バイオマス由来か、マスバランス方式によるバイオ由来割当品かは、グレードと認証範囲により確認が必要である。
種類
| 種類の名称 | 主成分または特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| バイオHDPE | 高密度ポリエチレン。直鎖状構造が多く、結晶性が高い。 | 剛性、耐薬品性、耐水性、ブロー成形性に優れる。 | 透明性、接着性、耐候性は高くない。 | ボトル、キャップ、容器、タンク、パイプ、射出成形品 |
| バイオLDPE | 低密度ポリエチレン。長鎖分岐を持ち、柔軟性が高い。 | 柔軟性、透明性、ヒートシール性、フィルム成形性に優れる。 | HDPEより剛性、耐熱性、強度は低い。 | フィルム、袋、ラミネート、チューブ、軟質包装 |
| バイオLLDPE | 直鎖状低密度ポリエチレン。α-オレフィンとの共重合体。 | 引裂強さ、耐ピンホール性、低温衝撃性に優れる。 | 加工条件によってメルトフラクチャーや外観不良に注意する。 | ストレッチフィルム、包装フィルム、農業用フィルム |
| 食品接触グレード | 食品包装や容器向けに添加剤、溶出性を管理したグレード。 | 食品包装、容器用途に適用しやすい。 | 国・用途ごとの法規制確認が必要である。 | 食品包装、ボトル、キャップ、容器、ラミネート |
| 耐候グレード | カーボンブラック、紫外線吸収剤、HALSなどを配合したグレード。 | 屋外耐候性を高められる。 | 透明性や色調、食品接触適合に制限が出る場合がある。 | 屋外容器、農業資材、建築資材、配管関連 |
| 充填・強化グレード | タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維などを配合した複合材料。 | 剛性、寸法安定性、耐熱変形性を改善できる。 | 衝撃性、伸び、外観、リサイクル性に注意する。 | 自動車部材、工業部品、構造部材、成形品 |
| 難燃グレード | 難燃剤を配合したPE系材料。 | 電線、建材、設備部材などで難燃性を付与できる。 | PEは本質的に燃えやすく、機械物性や加工性とのバランスが必要である。 | 電線被覆、配管、建築・設備部材 |
成形加工
| 成形加工法 | 適性 | 内容 |
|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | HDPE、LDPE、LLDPEとも成形可能である。MFR、収縮、反り、冷却条件を確認する。 |
| 押出成形 | ◎ | フィルム、シート、チューブ、パイプ、電線被覆に適する。 |
| ブロー成形 | ◎ | HDPEボトル、容器、タンクに適する。メルト強度、パリソン安定性が重要である。 |
| インフレーション成形 | ◎ | LDPE、LLDPEフィルムに適する。厚み精度、ブロッキング、滑り性を確認する。 |
| キャストフィルム成形 | ○ | 包装フィルム、ラミネート基材に用いられる。透明性、ヒートシール性の調整が可能である。 |
| 圧縮成形 | ○ | 板材、厚肉品、特殊グレードで使用される。冷却収縮と内部応力に注意する。 |
| 真空成形 | △ | シート成形品で可能な場合があるが、PPやPETGほど一般的ではない。 |
| 切削加工 | ○ | 板材、丸棒、厚肉品の加工が可能である。熱膨張、バリ、寸法安定性に注意する。 |
| 接着 | △ | 低表面エネルギーのため接着しにくい。コロナ処理、プラズマ処理、プライマーが必要になる場合が多い。 |
| 溶着 | ◎ | 熱板溶着、超音波溶着、熱風溶着などが利用される。グレードと形状により条件設定が必要である。 |
成形条件の目安
| 項目 | 単位 | 代表値・目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 予備乾燥 | ℃、h | 通常不要 | 吸水性が低いため一般に乾燥不要である。結露、水分付着、充填材入りでは確認する。 |
| シリンダー温度 | ℃ | 160〜230 | LDPEは低め、HDPEはやや高めが一般的である。 |
| 金型温度 | ℃ | 20〜60 | 寸法安定性、結晶化、外観に影響する。 |
| 押出温度 | ℃ | 160〜240 | MFR、押出量、フィルム外観により調整する。 |
| 成形収縮率 | % | 1.5〜4.0 | 密度、結晶化度、肉厚、流動方向、金型温度で変化する。 |
| 難燃性 | UL94 | HB相当が一般的 | 難燃グレードではV-2、V-0相当品が設定される場合がある。 |
| 酸素指数 | % | 約17〜18 | PEは燃えやすい材料である。 |
代表的な物性値又は機械的性質
| 項目 | 単位 | バイオLDPE | バイオLLDPE | バイオHDPE | 充填・強化PE目安 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm3 | 0.915〜0.930 | 0.915〜0.940 | 0.940〜0.965 | 1.00〜1.30 | 充填材入りでは配合量により増加する。 |
| 比重 | – | 0.92前後 | 0.92〜0.94 | 0.95前後 | 1.0以上 | 水より軽いグレードが多い。 |
| 引張強さ | MPa | 8〜15 | 10〜25 | 20〜35 | 25〜60 | グレード、配向、成形条件により変化する。 |
| 伸び | % | 100〜600 | 200〜800 | 50〜700 | 5〜100 | フィルム用途では配向方向で大きく異なる。 |
| 曲げ弾性率 | MPa | 100〜300 | 150〜600 | 700〜1500 | 1500〜5000 | HDPEはLDPEより剛性が高い。 |
| アイゾット衝撃強さ | J/m | 破断しにくい | 破断しにくい | 50〜300 | 30〜200 | 低温では脆化に注意する。 |
| 荷重たわみ温度 | ℃ | 35〜50 | 40〜60 | 60〜85 | 80〜120 | 荷重0.45MPa目安。荷重条件で大きく変わる。 |
| 融点 | ℃ | 105〜115 | 115〜125 | 125〜135 | 125〜135 | 結晶化度、共重合成分により変動する。 |
| ガラス転移温度 | ℃ | 約-120 | 約-120 | 約-120 | 約-120 | 低温特性に優れる。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 60〜80 | 60〜80 | 80〜100 | 80〜110 | 長期荷重下ではクリープを考慮する。 |
| 吸水率 | % | <0.01 | <0.01 | <0.01 | 0.01〜0.1 | PA、PBT、PET、PUなどに比べて非常に低い。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1016以上 | 1016以上 | 1016以上 | 1012〜1016 | 帯電防止、導電グレードでは低下する。 |
| 線膨張係数 | ×10-5/K | 15〜25 | 12〜22 | 10〜20 | 3〜10 | 金属やガラス繊維強化樹脂より大きい。 |
耐薬品性
バイオPEの耐薬品性は、基本的に通常のポリエチレンと同様である。水、酸、アルカリ、アルコールには比較的安定であるが、芳香族炭化水素、塩素系溶剤、油類、燃料、界面活性剤、高温条件では膨潤、軟化、応力割れ、寸法変化を生じる場合がある。耐薬品性は、薬品濃度、温度、接触時間、成形残留応力、荷重、グレードにより確認する必要がある。
| 薬品分類 | 代表薬品 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 酸類 | 塩酸、希硫酸、酢酸 | ◎ | 常温・低濃度では一般に安定である。酸化性酸、高温濃硫酸では注意する。 |
| 強酸化性酸 | 濃硝酸、発煙硝酸、クロム酸 | × | 酸化劣化、脆化、表面劣化を生じる場合がある。 |
| アルカリ類 | 水酸化ナトリウム、KOH、アンモニア水 | ◎ | 常温では比較的良好である。高温・高濃度では実機確認が必要である。 |
| 低級アルコール類 | メタノール、エタノール、IPA | ◎ | 短時間から中長期接触でも比較的安定である。 |
| 高級アルコール類 | グリセリン、ベンジルアルコール、MMB | ○ | 常温では概ね良好である。温度、添加剤抽出、応力割れを確認する。 |
| 芳香族炭化水素類 | トルエン、キシレン、ベンゼン | △ | 膨潤・軟化を生じやすい。高温、長時間接触では不適となる場合が多い。 |
| 脂肪族炭化水素類 | ヘキサン、ヘプタン、ガソリン | △ | 燃料や油分で膨潤する場合がある。燃料容器では専用グレード、バリア層を確認する。 |
| ケトン | アセトン、MEK、MIBK | ○〜△ | 常温短時間では比較的安定な場合があるが、応力下や長時間では確認が必要である。 |
| エステル | 酢酸エチル、酢酸ブチル | △ | 膨潤、軟化、添加剤抽出に注意する。 |
| 塩素系溶剤 | ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン | × | 膨潤・軟化しやすく、長時間接触には一般に不向きである。 |
| 水・温水 | 水、温水、海水 | ◎ | 吸水性が低く耐水性に優れる。高温水ではクリープ、酸化劣化、寸法変化に注意する。 |
| 油 | 鉱物油、植物油、潤滑油 | ○〜△ | 油種、温度、接触時間により膨潤する場合がある。 |
| 燃料 | ガソリン、軽油、灯油 | △ | 膨潤、透過、応力割れ、抽出に注意する。燃料用途では専用評価が必要である。 |
SP値(溶解度パラメータ)
| 材料 | SP値(δ) | 単位 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| バイオポリエチレン | 約16〜17 | MPa1/2 | 石油由来PEと同等の非極性ポリオレフィンである。 |
| LDPE相当 | 約16.0〜16.5 | MPa1/2 | 柔軟性が高く、フィルム、袋、ラミネートに用いられる。 |
| HDPE相当 | 約16.5〜17.0 | MPa1/2 | 結晶性が高く、剛性、耐薬品性に優れる。 |
SP値が近い溶剤では膨潤・軟化が起こりやすい傾向がある。ただし、SP値だけで耐薬品性を判断することはできない。結晶化度、分子量、添加剤、成形残留応力、温度、薬品濃度、接触時間、荷重、実使用環境を含めて確認する必要がある。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0〜2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2〜5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5〜8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
| 薬品名 | SP値 | 単位 | バイオPEとの差 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| ヘキサン | 約14.9 | MPa1/2 | 約1〜2 | △ | SP値が近く膨潤に注意する。 |
| トルエン | 約18.2 | MPa1/2 | 約1〜2 | ×〜△ | 芳香族溶剤であり膨潤・軟化しやすい。 |
| キシレン | 約18.0 | MPa1/2 | 約1〜2 | ×〜△ | 高温、長時間接触では不適となる場合がある。 |
| 酢酸エチル | 約18.6 | MPa1/2 | 約2〜3 | △ | 膨潤、添加剤抽出、応力割れに注意する。 |
| MEK | 約19.0 | MPa1/2 | 約2〜3 | ○〜△ | 短時間では使用可能な場合があるが、応力下では確認が必要である。 |
| アセトン | 約20.0 | MPa1/2 | 約3〜4 | ○〜△ | 常温短時間では比較的安定な場合がある。 |
| エタノール | 約26.0 | MPa1/2 | 約9〜10 | ◎ | 低級アルコールには一般に良好である。 |
| IPA | 約23.5 | MPa1/2 | 約6〜7 | ○〜◎ | 常温では概ね良好である。 |
| 水 | 約47.9 | MPa1/2 | 約31 | ◎ | 吸水性が低く、耐水性に優れる。 |
| ジクロロメタン | 約20.2 | MPa1/2 | 約3〜4 | × | 塩素系溶剤であり、膨潤・軟化に注意する。 |
評価基準:◎非常に良好、○概ね良好、△注意が必要、×不適。SP値差は一次判断であり、結晶性材料であるバイオPEでは、結晶化度、分子量、温度、応力、接触時間の影響が大きい。
製法
原料
バイオPEの代表的な原料は、サトウキビなどのバイオマスから得られる糖質である。糖質を発酵してバイオエタノールを製造し、このエタノールを脱水してエチレンを得る。得られたバイオエチレンを重合することで、ポリエチレンが製造される。
代表的な反応式
| 工程 | 反応式・内容 |
|---|---|
| 糖発酵 | C6H12O6 → 2 C2H5OH + 2 CO2 |
| エタノール脱水 | C2H5OH → CH2=CH2 + H2O |
| エチレン重合 | n CH2=CH2 → [–CH2–CH2–]n |
重合方法
HDPEやLLDPEでは、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒、クロム系触媒などを用いた配位重合が一般に用いられる。LDPEでは高圧ラジカル重合が用いられる。バイオ由来であっても、重合反応、分子構造、成形加工性は石油由来PEと同様に設計される。
ペレット化やコンパウンド
重合後のポリマーはペレット化され、用途に応じて酸化防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、HALS、顔料、カーボンブラック、充填材、難燃剤などが配合される。食品接触用途では、使用可能な添加剤、溶出、臭気、規格適合の確認が必要である。
添加剤、充填材、強化材
剛性や寸法安定性を高める場合は、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維などが配合されることがある。摺動性を高める場合は、シリコーン系添加剤、ワックス、固体潤滑材などが検討される。難燃用途では、ハロゲン系、リン系、無機系難燃剤などが用いられる場合があるが、機械物性、成形性、リサイクル性、法規制とのバランスが重要である。
詳細な利用用途
| 用途分野 | 代表用途 | 選定理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 包装 | フィルム、袋、ラミネート、シュリンクフィルム、ストレッチフィルム | 柔軟性、ヒートシール性、耐水性、軽量性に優れる。 | 耐熱性、印刷性、ブロッキング、滑り性、食品接触適合を確認する。 |
| 容器 | ボトル、キャップ、チューブ、日用品容器、洗剤容器 | ブロー成形性、耐薬品性、低吸水性に優れる。 | 内容物による膨潤、透過、応力割れを確認する。 |
| 自動車 | 内装部材、ダクト、保護材、フィルム、カバー、タンク関連部材 | 軽量化、耐水性、成形性、コストバランスに優れる。 | 耐熱性、耐候性、燃料接触、VOC、難燃性を確認する。 |
| 電気・電子 | 電線被覆、絶縁材、保護チューブ、フィルム | 電気絶縁性、耐水性、柔軟性に優れる。 | 難燃性、耐熱老化、アウトガス、添加剤移行を確認する。 |
| 機械部品 | スペーサー、ガイド、カバー、ライナー、簡易摺動部品 | 低摩擦性、耐薬品性、軽量性がある。 | クリープ、摩耗、寸法安定性、荷重たわみを確認する。 |
| 医療・衛生 | 包装材、衛生材、不織布用途、チューブ、使い捨て部材 | 成形性、柔軟性、低吸水性に優れる。 | 医療グレード、滅菌適性、抽出物、法規制を確認する。 |
| 食品機械・食品包装 | 食品容器、包装フィルム、キャップ、ライナー | 耐水性、ヒートシール性、食品接触用途への適用性がある。 | 食品衛生法、FDA、EU規則、臭気、添加剤を確認する。 |
| 建築・設備 | 配管、保護シート、防水シート、断熱材被覆、タンク | 耐水性、耐薬品性、軽量性に優れる。 | 屋外耐候性、熱変形、難燃性、長期クリープを確認する。 |
| 農業・園芸 | 農業用フィルム、灌水チューブ、マルチフィルム、容器 | フィルム成形性、耐水性、柔軟性に優れる。 | 紫外線劣化、農薬、肥料、屋外使用期間を確認する。 |
用途別選定の目安
| 用途 | 推奨される代表グレード | 確認項目 |
|---|---|---|
| フィルム | バイオLDPE、バイオLLDPE | 透明性、引裂強さ、ヒートシール性、ブロッキング |
| ボトル | バイオHDPE | ESCR、内容物耐性、落下衝撃、臭気 |
| チューブ | バイオLDPE、バイオLLDPE、バイオHDPE | 柔軟性、耐薬品性、内圧、折れ曲げ |
| 筐体 | バイオHDPE、充填強化PE | 剛性、反り、耐熱性、耐候性 |
| コネクタ・電装部品 | 難燃・耐熱グレード | UL94、絶縁性、耐熱老化、寸法精度 |
| 摺動部品 | 高分子量PE、摺動改良グレード | 摩耗、荷重、温度、相手材、潤滑条件 |
法規制・規格上の注意
- RoHS、REACH、SVHC、食品衛生法、FDA、EU食品接触規則などは、グレード単位で確認する必要がある。
- 医療用途では、ISO 10993、生体適合性、滅菌適性、抽出物、変更管理を確認する必要がある。
- バイオマス度、バイオ由来炭素含有率、ISCC PLUS、ASTM D6866などの表示は、メーカー証明書や認証範囲を確認する。
- マスバランス品では、実際の分子中の炭素がすべてバイオ由来とは限らないため、表示方法に注意する。
使用上の注意点
- PEは加水分解を受けにくいが、酸化劣化、熱劣化、紫外線劣化には注意が必要である。
- 応力割れは、洗剤、界面活性剤、油、燃料、溶剤、成形残留応力により発生する場合がある。
- 吸湿は小さいが、結露や水分付着は成形外観やボイドの原因になる場合がある。
- 長期荷重下ではクリープが問題となる。ギア、軸受、構造部材では荷重、温度、時間を含めて設計する。
- アウトガス、臭気、添加剤移行は、食品、医療、電子部品用途で確認が必要である。
- 屋外使用では、紫外線、酸化、熱履歴、雨水、薬品、応力を含めた耐候評価が必要である。
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | 対象材料との違い |
|---|---|---|
| ポリエチレン | 石油由来またはバイオ由来のエチレンを重合した汎用ポリオレフィンである。 | バイオPEは原料由来が再生可能資源であるが、化学構造と物性は通常PEとほぼ同等である。 |
| 超高分子量ポリエチレン | 分子量を非常に高めたPEで、耐摩耗性、低摩擦性、耐衝撃性に優れる。 | 通常のバイオPEより溶融流動性が低く、射出成形や押出成形の自由度が制限される。 |
| ポリプロピレン | PEより耐熱性、剛性が高い汎用ポリオレフィンである。 | バイオPEは柔軟性、低温衝撃性、ヒートシール性に優れるが、PPは耐熱性と剛性に優れる。 |
| エチレン・酢酸ビニル共重合体 | PEに酢酸ビニル成分を導入した柔軟な共重合体である。 | EVAは柔軟性、接着性、透明性が高い一方、PEより耐熱性、耐油性、耐溶剤性に注意が必要である。 |
| エチレン・ビニルアルコール共重合体 | 高いガスバリア性を持つ包装材料である。 | バイオPEは水分に強くシール層に適するが、EVOHは酸素バリア層として使われ、吸湿で性能が変化しやすい。 |
| ポリエチレンテレフタレート | 透明性、剛性、ガスバリア性に優れる芳香族ポリエステルである。 | バイオPEは柔軟で低吸水、耐水性が高い。PETは剛性、耐熱性、透明性、ボトル用途のガスバリア性に優れる。 |
| ポリ塩化ビニル | 硬質から軟質まで設計でき、難燃性、耐薬品性、成形性に特徴がある。 | バイオPEは塩素を含まず軽量であるが、PVCは難燃性や印刷・接着性に優れる場合がある。 |
| 発泡ポリエチレン | PEを発泡させた軽量な発泡材料である。 | バイオPEを発泡用途に用いる場合もあるが、発泡倍率、架橋、気泡構造により物性は大きく変わる。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| Braskem | I’m green™ bio-based polyethylene | サトウキビ由来エタノールを原料とするバイオPEで知られる主要メーカーである。HDPE、LDPE、LLDPEなどのグレードが展開される。 |
| SABIC | TRUCIRCLE™ bio-based PE(代表例) | 再生可能原料やマスバランス方式を含む循環型材料群を展開する。グレードごとの認証範囲確認が必要である。 |
| Borealis | Bornewables™ PE(代表例) | 再生可能原料由来のポリオレフィンを展開する欧州系メーカーである。食品包装、自動車、工業用途などで検討される。 |
| LyondellBasell | CirculenRenew(PE系、代表例) | 再生可能原料由来または循環型原料由来のポリオレフィンを展開する。マスバランス認証品は用途と証明書の確認が必要である。 |
| INEOS Olefins & Polymers | bio-attributed PE(代表例) | バイオ由来原料を割り当てたポリエチレン系材料を扱う。グレード、地域、認証体系により供給条件が異なる。 |
| TotalEnergies | RE:newable polymers / bio-circular PE(代表例) | 再生可能・循環型原料を用いたポリオレフィンを展開する。バイオ由来比率、認証、用途適合を確認して選定する。 |
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