概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | ポリメチルペンテン |
| 略記号 | PMP、TPX |
| IUPAC | poly(4-methylpent-1-ene)、poly[1-(2-methylpropyl)ethylene] |
| 英語名 | Polymethylpentene、Poly(4-methyl-1-pentene)、PMP |
| 日本語名 | ポリメチルペンテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、メチルペンテン系樹脂 |
| 分類 | ポリオレフィン系樹脂、結晶性熱可塑性樹脂、透明耐熱樹脂 |
| プラスチック分類 | エンジニアリング・プラスチック相当として扱われることが多い。化学構造上はポリオレフィン系プラスチックである。 |
| 化学式または代表構造 | (C6H12)n、代表構造単位:−CH2−CH[CH2−CH(CH3)2]− |
| CAS No. | 25068-26-2 |
| 構造・主成分 | 4-メチル-1-ペンテンを主モノマーとする結晶性ポリオレフィンである。市販グレードでは成形性、透明性、耐衝撃性、柔軟性を調整するため、少量のオレフィン系コモノマーを含む共重合体として供給される場合がある。 |
| 主な用途 | 理化学器具、医療・分析用容器、耐熱透明容器、食品容器、電子レンジ対応部材、離型フィルム、FPC離型フィルム、ゴムホース製造用マンドレル、LEDモールド、ガス透過膜、包装フィルム、電気絶縁部材など。 |
ポリメチルペンテン(PMP)は、4-メチル-1-ペンテンを主成分として重合して得られる結晶性ポリオレフィン系樹脂である。代表的にはポリ(4-メチル-1-ペンテン)であり、低密度、透明性、耐熱性、低吸水性、離型性、電気絶縁性、ガス透過性を特徴とする材料である。
PMPは、化学構造上はポリエチレンやポリプロピレンと同じポリオレフィン系であるが、融点が比較的高く、透明性を持つ点が大きな特徴である。密度は一般に約0.83g/cm3前後で、代表的な熱可塑性樹脂の中でも非常に軽い部類に入る。
一方で、荷重たわみ温度は融点の高さほど高くならない場合があり、高温下で荷重がかかる用途では変形、クリープ、寸法変化に注意が必要である。また、芳香族炭化水素、塩素系溶剤、一部の炭化水素系溶剤、油脂類では条件により膨潤や応力割れが生じる場合がある。実使用ではグレード、温度、薬品濃度、荷重、応力、接触時間、滅菌条件、食品接触条件を確認する必要がある。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 長所 | 低密度、透明性、耐熱性、低吸水性、耐スチーム性、電気絶縁性、低誘電特性、離型性、ガス透過性、耐酸・耐アルカリ性に優れる。食品容器、理化学器具、医療・分析容器、離型フィルムに適する。 |
| 短所 | 高温荷重下での剛性、クリープ、耐摩耗性、耐傷付き性、耐候性、接着性、印刷性には注意が必要である。芳香族炭化水素、塩素系溶剤、油脂、燃料、一部の高沸点溶剤では膨潤する場合がある。 |
| 外観 | 一般に透明から半透明である。グレード、厚み、結晶化度、成形条件により透明性やヘイズは変化する。自然色は淡い乳白色から透明感のある外観となる場合が多い。 |
| 耐熱性 | 融点は一般に約220〜240℃程度であり、ポリオレフィン系樹脂としては高い。ただし、荷重たわみ温度はグレード、荷重、結晶化度に依存し、実用耐熱は荷重条件を含めて判断する必要がある。 |
| 耐薬品性 | 酸、アルカリ、アルコール、水、熱水、スチームには比較的良好である。一方、低極性溶剤、芳香族炭化水素、塩素系溶剤、油、燃料ではSP値が近く、温度や応力により膨潤・白化・寸法変化が生じる場合がある。 |
| 加工性 | 射出成形、押出成形、Tダイフィルム、ブロー成形、繊維、チューブ、パイプなどに適用される。吸水率が低いため通常は強い予備乾燥を必要としない場合が多いが、表面外観や気泡防止のため乾燥が指定される場合がある。 |
| 分類上の注意 | PMPは「透明ポリオレフィン」「耐熱透明樹脂」「特殊ポリオレフィン」「エンジニアリング・プラスチック相当」のいずれにも分類される場合がある。TPXは代表的な商標であり、材料名としてはポリメチルペンテン又はPMPと記載するのが適切である。 |
構造式
ポリメチルペンテンは、4-メチル-1-ペンテンの二重結合が開いて重合した構造を持つ。代表的な繰返し単位は、主鎖にポリエチレン型の炭素骨格を持ち、側鎖にイソブチル基を有する構造として表せる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 代表的な構造単位 | −CH2−CH[CH2−CH(CH3)2]− |
| モノマー | 4-メチル-1-ペンテン(4-methyl-1-pentene) |
| モノマー構造 | CH2=CH−CH2−CH(CH3)2 |
| 繰返し単位式 | (C6H12)n |
| 立体規則性 | 実用材料では一般に結晶性を得るため、アイソタクチック性の高い構造が重要である。 |
| 共重合体・変性グレード | 透明性、柔軟性、耐衝撃性、成形性、フィルム適性を調整する目的で、少量のα-オレフィン系コモノマーを含むグレードがある。実用上はホモポリマーと共重合グレードを分けて評価する必要がある。 |
種類
| 種類の名称 | 主成分または特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 標準PMP | 4-メチル-1-ペンテンを主体とする標準グレード | 低密度、透明性、耐熱性、低吸水性のバランスが良い。 | 高荷重下の耐熱変形、耐傷付き性、耐候性には注意が必要である。 | 理化学器具、透明容器、食品容器、医療・分析容器 |
| 耐熱グレード | 融点、結晶化、熱安定性を重視したグレード | 熱水、スチーム、電子レンジ、オーブン周辺用途に使いやすい。 | 荷重が高い用途ではHDTとクリープを確認する必要がある。 | 耐熱容器、滅菌用器具、電子レンジ用品、耐熱透明部材 |
| 押出・フィルムグレード | Tダイ押出、フィルム、シート加工に適した流動性・結晶化制御グレード | 離型性、透明性、耐熱性、ガス透過性を活かしやすい。 | フィルム厚み、結晶化、巻取り条件により寸法安定性が変化する。 | 離型フィルム、FPC離型フィルム、包装フィルム、工程フィルム |
| ブロー成形グレード | 溶融張力を調整した中空成形向けグレード | 透明性と耐熱性を持つ中空容器に適する。 | 肉厚むら、ドローダウン、低温衝撃性に注意が必要である。 | 透明ボトル、医療容器、理化学容器、食品関連容器 |
| 摺動・離型グレード | 低表面エネルギー、離型性、低摩擦性を重視したグレード | 熱硬化樹脂、ゴム、粘着材に対する離型用途に使いやすい。 | 高面圧摺動では摩耗、変形、発熱を確認する必要がある。 | ゴムホース用マンドレル、離型部材、工程治具 |
| 食品接触グレード | 食品接触規格への適合を想定したグレード | 低吸水、耐熱、透明性を活かした食品容器に適する。 | 国・用途・温度・食品種別により適用規格が異なる。 | 食品容器、調理容器、電子レンジ対応容器、包装部材 |
| 医療・分析用途グレード | 低溶出、透明性、耐スチーム性を重視したグレード | 観察性、滅菌性、低吸水性が必要な器具に適する。 | 医療用途では生体適合性、滅菌条件、抽出物、薬液適合性の個別確認が必要である。 | シリンジ部材、試験管、ビーカー、分析容器、培養関連部材 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 備考 |
|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | 透明容器、医療・理化学器具、食品容器、電気部品に適する。金型温度、冷却条件、ゲート設計により透明性、収縮、反りが変化する。 |
| 押出成形 | ◎ | シート、フィルム、チューブ、パイプ、繊維に適用される。グレードによりMFR、溶融張力、押出安定性が異なる。 |
| Tダイフィルム成形 | ◎ | 離型フィルム、工程フィルム、耐熱透明フィルムに適する。厚み、冷却ロール温度、巻取り張力の管理が重要である。 |
| ブロー成形 | ○ | ブロー成形対応グレードで適用可能である。ドローダウン、肉厚分布、透明性、低温衝撃性を確認する。 |
| 圧縮成形 | △ | 板材や試験片の作製には可能であるが、一般量産では射出成形・押出成形が中心である。 |
| 真空成形 | △ | シートグレードでは条件により可能である。加熱温度範囲、ドローダウン、結晶化による透明性変化に注意が必要である。 |
| 切削加工 | ○ | 低密度で切削しやすいが、熱変形、バリ、寸法変化、固定時の変形に注意する。精密加工では温度管理と治具設計が重要である。 |
| 溶着 | △ | 熱溶着、超音波溶着は形状とグレードにより可能である。表面エネルギーが低いため、接着・印刷・塗装は前処理が必要となる場合が多い。 |
| 成形条件項目 | 代表値・目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 乾燥温度 | 60〜100℃ | 吸水率が非常に低いため、通常は厳密な乾燥を要しない場合が多い。ただし、保管状態、表面水分、外観要求、医療・光学用途では乾燥指定に従う。 |
| 乾燥時間 | 1〜3時間 | 目安である。乾燥不要とするグレードもあるため、メーカー推奨条件を優先する。 |
| シリンダー温度 | 250〜310℃ | グレード、MFR、製品厚み、成形機により調整する。過度な滞留や過熱は黄変、臭気、物性低下の原因となる場合がある。 |
| 金型温度 | 30〜80℃ | 透明性、結晶化、寸法安定性、収縮率に影響する。厚肉品では冷却むらと内部応力に注意する。 |
| 成形収縮率 | 約1.0〜2.5% | 流動方向、厚み、結晶化度、金型温度、保圧、グレードにより変化する。精密部品では実測による金型補正が必要である。 |
| 推奨背圧・射出条件 | 低〜中背圧、適正保圧 | 過度なせん断発熱、ガス、シルバー、内部応力を避ける。透明部品では流動痕、ウェルド、気泡を重点確認する。 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下の値は標準的なPMP及び代表的な改質グレードの目安である。実際の数値は、メーカー、グレード、MFR、共重合成分、添加剤、結晶化度、成形条件、試験規格により変化する。
| 項目 | 単位 | 標準PMP | 改質・耐衝撃PMP | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm3 | 0.83〜0.84 | 0.83〜0.86 | 熱可塑性樹脂の中でも非常に低い。軽量透明部材に有利である。 |
| 引張強さ | MPa | 25〜35 | 18〜30 | グレードにより降伏応力、破断伸びが変化する。 |
| 伸び | % | 10〜80 | 50〜300 | 共重合・改質により柔軟性が大きく変化する。 |
| 曲げ弾性率 | MPa | 1,000〜1,600 | 600〜1,200 | ポリプロピレンに近い範囲である。高温下では剛性低下に注意する。 |
| アイゾット衝撃強さ | J/m | 20〜80 | 50〜200 | ノッチ付きの代表値である。低温衝撃性はグレード依存が大きい。 |
| 荷重たわみ温度 | ℃ | 70〜120 | 60〜110 | 荷重条件により大きく変わる。融点の高さだけで実用耐熱を判断しない。 |
| 融点 | ℃ | 220〜240 | 220〜240 | 結晶性ポリオレフィンとして高い融点を示す。 |
| ガラス転移温度 | ℃ | 約20〜40 | 約10〜40 | 測定法、結晶化度、共重合成分により変動する。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 100〜150 | 90〜140 | 無荷重又は低荷重条件の目安である。荷重、酸素、薬品、寿命要求により下げて評価する。 |
| 吸水率 | % | 0.01以下〜0.03 | 0.01以下〜0.05 | 非常に低吸水であり、寸法安定性に有利である。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1016以上 | 1015〜1016以上 | 電気絶縁性に優れる。添加剤や湿度により変化する。 |
| 誘電率 | − | 約2.1〜2.2 | 約2.1〜2.3 | 低誘電材料として高周波部材、電気絶縁部材で検討される。 |
| 酸素指数 | % | 約17〜18 | 約17〜20 | 一般に燃えやすい部類である。難燃性が必要な用途ではUL94、酸素指数、発煙性を確認する。 |
| UL94 | 等級 | HB相当が多い | グレードによる | 難燃グレードの有無はメーカーの認証データを確認する必要がある。 |
耐薬品性
ポリメチルペンテンはポリオレフィン系樹脂であり、酸、アルカリ、水、アルコール類には比較的安定な場合が多い。一方で、炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素、塩素系溶剤、油脂類、燃料では膨潤や寸法変化が生じることがある。評価は室温・短時間接触の目安であり、実使用では温度、濃度、応力、荷重、接触時間を確認する必要がある。
| 薬品分類 | 代表薬品 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 酸類 | 塩酸、希硫酸、酢酸 | ◎ | 一般に良好である。高濃度酸、酸化性酸、高温条件では個別確認が必要である。 |
| 酸化性酸 | 濃硝酸、クロム酸、過酸化物含有酸 | △ | ポリオレフィン系であるため強酸化条件では劣化、変色、脆化に注意する。 |
| アルカリ類 | NaOH、KOH、水酸化ナトリウム水溶液 | ◎ | 一般に良好である。高温高濃度アルカリでは応力、長期浸漬を確認する。 |
| 低級アルコール類 | メタノール、エタノール、IPA | ◎ | 短時間から中期接触では比較的安定である。混合溶剤や高温では膨潤確認が必要である。 |
| 高級アルコール類 | グリセリン、ベンジルアルコール、MMB | ○ | 極性・分子量により挙動が異なる。ベンジルアルコールなど芳香族性を持つ溶剤では注意する。 |
| 芳香族炭化水素類 | トルエン、キシレン、エチルベンゼン | × | SP値が近く、膨潤・軟化・寸法変化が起こりやすい。温度上昇、応力、長時間接触では不適となりやすい。 |
| 脂肪族炭化水素類 | ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン | △ | 短時間では使用できる場合もあるが、膨潤しやすい組合せである。燃料、洗浄剤用途では実測が必要である。 |
| ケトン | アセトン、MEK、MIBK | ○ | PPやPEと同様に短時間では比較的安定な場合がある。ただし応力割れ、混合溶剤、温度条件を確認する。 |
| エステル | 酢酸エチル、酢酸ブチル | ○ | 短時間接触では比較的安定な場合があるが、溶剤の拡散、応力、温度により膨潤することがある。 |
| 塩素系溶剤 | ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン | × | 膨潤、軟化、応力割れのリスクが高い。洗浄剤、接着剤、脱脂工程では避けるのが望ましい。 |
| 水・温水 | 水、温水、蒸気、オートクレーブ条件 | ◎ | 低吸水で耐スチーム性は良好である。ただし高温高圧滅菌の反復では白化、寸法変化、機械強度を確認する。 |
| 油 | 鉱物油、植物油、シリコーン油 | △ | 油種、温度、添加剤により膨潤や質量変化が起こる場合がある。長期接触では実測が必要である。 |
| 燃料 | ガソリン、軽油、灯油、アルコール混合燃料 | △ | 炭化水素による膨潤、抽出、寸法変化に注意する。燃料部品では原則として専用試験が必要である。 |
| 界面活性剤・洗浄剤 | 中性洗剤、アルカリ洗浄剤、溶剤系洗浄剤 | ○ | 水系洗浄剤は比較的良好な場合が多い。溶剤、香料、油剤を含む処方では応力割れを確認する。 |
SP値(溶解度パラメータ)
| 材料 | 代表SP値 δ | 備考 |
|---|---|---|
| ポリメチルペンテン(PMP) | 約15.0〜16.5 MPa1/2 | 文献値、推算法、結晶化度、共重合成分、グレードにより変動する。ポリオレフィン系として低極性側に位置する。 |
| 標準PMP | 約15.5 MPa1/2 | 溶解・膨潤性を概算する場合の代表値である。 |
| 改質PMP | 約15.0〜17.0 MPa1/2 | 共重合成分、添加剤、柔軟化設計により見かけの耐溶剤性が変化する。 |
SP値は溶解・膨潤の一次スクリーニングに有用であるが、耐薬品性をSP値だけで判断することはできない。PMPでは、結晶化度、分子量、共重合成分、溶剤の拡散速度、温度、応力、荷重、成形残留応力、接触時間、薬品中の添加剤、酸化性、食品油脂の種類が重要である。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0〜2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2〜5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5〜8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
PMPの代表SP値を15.5 MPa1/2として、代表溶剤とのSP値差を概算した。評価はSP値差による目安であり、実際の耐薬品性は温度、接触時間、応力、結晶化度、グレード、薬品純度、混合溶剤組成により変化する。
| 薬品名 | 代表SP値 δ MPa1/2 |
PMPとの差 | 評価 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 水 | 47.8 | 32.3 | ◎ | SP値差は大きく、低吸水で安定しやすい。高温蒸気の反復では物性確認が必要である。 |
| メタノール | 29.7 | 14.2 | ◎ | 短時間から中期接触では比較的良好である。 |
| エタノール | 26.0 | 10.5 | ◎ | 消毒用途では濃度、応力、長期接触を確認する。 |
| IPA | 23.5 | 8.0 | ◎ | 洗浄剤として比較的使いやすいが、混合溶剤では注意する。 |
| アセトン | 20.3 | 4.8 | △ | SP値差では境界域である。短時間は使用可能な場合があるが、応力割れを確認する。 |
| 酢酸エチル | 18.2 | 2.7 | △ | 条件により膨潤する可能性がある。長時間浸漬は避ける。 |
| ヘキサン | 14.9 | 0.6 | × | SP値が近く、膨潤しやすい。実耐性は温度と接触時間に強く依存する。 |
| ヘプタン | 15.3 | 0.2 | × | 非常に近いSP値であり、膨潤・寸法変化に注意する。 |
| シクロヘキサン | 16.8 | 1.3 | × | 膨潤しやすい組合せである。燃料・油系では実測が必要である。 |
| トルエン | 18.2 | 2.7 | △ | SP値差だけでは△だが、実際には芳香族炭化水素として膨潤リスクが高い。 |
| キシレン | 18.0 | 2.5 | △ | 高温・長時間では不適となりやすい。 |
| ジクロロメタン | 20.2 | 4.7 | △ | SP値差では△だが、塩素系溶剤は拡散性が高く、実用上は×寄りに評価する。 |
| 塩酸水溶液 | 水系 | 大 | ◎ | 希酸では良好な場合が多い。酸化性、濃度、温度を確認する。 |
| 水酸化ナトリウム水溶液 | 水系 | 大 | ◎ | 一般に良好である。高温高濃度では長期試験が必要である。 |
製法
ポリメチルペンテンは、4-メチル-1-ペンテンを主原料として、配位重合により製造される。代表的にはチーグラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒などの配位触媒を用い、立体規則性を制御して結晶性の高いポリマーを得る。実用グレードでは、成形性、透明性、耐衝撃性、柔軟性を調整するため、少量のα-オレフィンを共重合する場合がある。
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| 原料 | 主原料は4-メチル-1-ペンテンである。共重合グレードでは、物性調整のため少量のα-オレフィン系コモノマーを用いる場合がある。 |
| 重合方法 | チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系触媒などの配位触媒により、立体規則性を制御して重合する。重合条件により分子量、分子量分布、結晶性、透明性が変化する。 |
| 代表反応式 | n CH2=CH−CH2−CH(CH3)2 → [−CH2−CH(CH2−CH(CH3)2)−]n |
| ペレット化 | 重合後、触媒残渣処理、脱揮、安定剤添加、溶融混練、ペレット化を行う。用途により透明性、流動性、離型性、耐熱性、食品接触適合性を調整する。 |
| 添加剤・充填材 | 酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、核剤などが使われる場合がある。GF強化や無機充填グレードは一般的なPMP用途では主流ではないが、寸法安定性や剛性向上を目的に検討されることがある。 |
| 法規制対応 | 食品接触、医療、RoHS、REACH、FDA、EU食品接触、日本の食品衛生関連用途では、樹脂グレードごとの適合証明、抽出試験、使用温度、接触食品、滅菌条件を確認する必要がある。 |
詳細な利用用途
| 分野 | 主な用途 | 選定理由・注意点 |
|---|---|---|
| 自動車 | 耐熱透明部材、電装用絶縁部材、工程用離型部材、チューブ、センサー周辺部材 | 軽量性、低吸水、電気絶縁性を活かせる。燃料、油、グリース、高温荷重、耐候性は確認が必要である。 |
| 電気・電子 | FPC離型フィルム、LEDモールド、絶縁部品、高周波部材、電子レンジ部材 | 低誘電率、耐熱性、離型性が有効である。寸法精度、反り、アウトガス、金属汚染、難燃性を確認する。 |
| 機械部品 | 工程治具、離型治具、軽量カバー、透明確認窓、低荷重摺動部材 | 離型性と低密度が利点である。ギアや軸受など高面圧摺動ではポリアセタール、PTFE、超高分子量ポリエチレンとの比較が必要である。 |
| 医療 | シリンジ部材、試験管、遠沈管、ビーカー、滅菌容器、分析用透明容器 | 透明性、耐スチーム性、低吸水性が有効である。医療用途では生体適合性、滅菌反復、抽出物、薬液適合性をグレードごとに確認する。 |
| 食品機械・食品容器 | 電子レンジ対応容器、耐熱食品容器、調理器具、食品包装、離型シート | 低密度、耐熱性、低吸水性を活かせる。油脂食品、香料、アルコール、電子レンジ加熱、洗浄剤への適合を確認する。 |
| 建築・設備 | 透明カバー、軽量部材、設備用確認窓、耐熱カバー | 屋内用途では有効な場合がある。屋外では紫外線、熱、応力、洗浄剤による劣化を確認する。 |
| 包装・フィルム | ガス透過包装、耐熱フィルム、離型フィルム、工程保護フィルム | ガス透過性、離型性、耐熱性が特徴である。バリア性が必要な用途ではPET、EVOH、PVDCなどとの設計比較が必要である。 |
| 研究・理化学 | ビーカー、メスシリンダー、シャーレ、試験管、分析容器 | 透明性と耐薬品性のバランスが良い。芳香族溶剤、塩素系溶剤、炭化水素系溶剤を扱う場合は個別確認が必要である。 |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | ポリメチルペンテンとの違い |
|---|---|---|
| ポリプロピレン(PP) | 軽量で耐薬品性、成形性、コストに優れる代表的ポリオレフィンである。 | PMPはPPより透明性、融点、離型性、ガス透過性に優れる場合が多い。一方、コストと汎用性ではPPが有利である。 |
| ポリエチレン(PE) | 低吸水、耐薬品性、低温特性、柔軟性に優れる汎用樹脂である。 | PMPはPEより耐熱透明性に優れる。PEは低温衝撃性、耐薬品性、コスト、大型成形で有利な場合が多い。 |
| ポリカーボネート(PC) | 透明性、耐衝撃性、寸法安定性に優れる透明エンプラである。 | PMPはPCより低密度、低吸水、耐アルカリ性、離型性に優れる。PCは耐衝撃性、剛性、荷重下耐熱性で有利である。 |
| アクリル樹脂(PMMA) | 透明性、表面硬度、耐候性に優れる非晶性透明樹脂である。 | PMPはPMMAより軽く、耐熱水・耐スチーム性に優れる場合がある。PMMAは光学透明性、表面硬度、耐候性で有利である。 |
| ポリエチレンテレフタレート(PET) | 透明性、機械強度、ガスバリア性、フィルム適性に優れるポリエステルである。 | PMPはPETより低密度、離型性、低吸水性に優れる。PETは強度、剛性、ガスバリア性、耐摩耗性で有利である。 |
| ポリアセタール(POM) | 剛性、耐摩耗性、低摩擦性、寸法安定性に優れる結晶性エンプラである。 | PMPは透明性、低密度、耐スチーム性に特徴がある。POMはギア、軸受、摺動部品など高荷重機械部品で有利である。 |
| ポリテトラフルオロエチレン(PTFE) | 最高水準の耐薬品性、非粘着性、低摩擦性、耐熱性を持つフッ素樹脂である。 | PMPは溶融成形性、透明性、軽量性で有利である。PTFEは耐薬品性、非粘着性、摺動性、耐熱性で大きく優れる。 |
| 超高分子量ポリエチレン(UHMWPE) | 耐摩耗性、耐衝撃性、低摩擦性に優れる超高分子量ポリオレフィンである。 | PMPは透明性と耐熱性に特徴がある。UHMWPEは耐摩耗、耐衝撃、摺動用途で有利であるが、溶融成形性は低い。 |
代表的なメーカー
ポリメチルペンテンは汎用樹脂ほど供給メーカーが多い材料ではない。代表的な商業ブランドとしては、三井化学のTPXが広く知られている。以下は代表例であり、採用時には最新の供給状況、グレード、規格適合、技術資料をメーカー又は販売代理店に確認する必要がある。
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 三井化学株式会社 | TPX | ポリメチルペンテンの代表的ブランドである。透明性、耐熱性、離型性、低密度、低吸水性、ガス透過性を活かし、フィルム、医療・理化学器具、食品容器、離型用途、電気電子用途などに展開されている。 |
| RTP Company | ポリメチルペンテン系コンパウンド品 | 特殊コンパウンドメーカーとして、PMPを含む各種エンプラ・特殊樹脂コンパウンドを扱う場合がある。実際の供給可否、強化材、難燃、着色、規格適合は個別確認が必要である。 |
| 樹脂販売会社・材料商社 | TPX取扱グレード | 国内外の樹脂商社、成形材料販売会社を通じて供給される場合がある。食品接触、医療、電気電子、輸出規制、SDS、RoHS、REACH、FDAなどの書類対応はロット・グレード単位で確認する。 |