概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | スチレンブタジエンゴム |
| 略記号 | SBR |
| IUPAC系統名 | poly(styrene-co-buta-1,3-diene)(共重合組成・微細構造により一義的な単一名ではない) |
| 英語名 | Styrene-Butadiene Rubber / Styrene-Butadiene Copolymer |
| 日本語名・別名 | スチレン・ブタジエンゴム、スチレンブタジエン共重合ゴム、ブタジエン・スチレンゴム |
| 分類 | ジエン系合成ゴム、汎用合成ゴム、共重合エラストマー |
| プラスチック分類 | プラスチックではなく、加硫して使用する熱硬化性エラストマーに分類される。未加硫状態では熱可塑的に加工可能である |
| 代表構造 | –[CH2–CH(C6H5)]x–[CH2–CH=CH–CH2]y– |
| CAS No. | 9003-55-8(スチレン・ブタジエン共重合体の代表的CAS番号) |
| 構造・主成分 | スチレンと1,3-ブタジエンのランダム共重合体。一般的なE-SBRは結合スチレン量約23.5質量%が代表例であるが、S-SBRや高スチレン品では組成が異なる |
| 主な用途 | 乗用車・トラック用タイヤ、靴底、コンベヤベルト、ホース、防振材、ロール、床材、接着剤、紙加工用・カーペットバッキング用ラテックス |
スチレンブタジエンゴムは、スチレンと1,3-ブタジエンを共重合して得られる代表的な汎用合成ゴムである。一般的な乳化重合SBR(E-SBR)は、耐摩耗性、加工性、物性の均一性及び価格のバランスに優れ、タイヤ、履物、ベルト、ホース、防振材等に広く用いられる。
SBRは未加硫状態では粘弾性を持つ高分子原料であり、通常はカーボンブラック又はシリカ、プロセス油、酸化防止剤、加硫剤、加硫促進剤等を配合し、成形後に硫黄加硫又は過酸化物架橋して使用する。したがって、完成品物性はポリマー単体よりも配合、混練、加硫条件、硬度及び製品形状の影響を強く受ける。
溶液重合SBR(S-SBR)は、スチレン量、ブタジエン部のビニル量、分子量分布及び末端官能基を制御しやすく、低燃費タイヤで重要な転がり抵抗、ウェットグリップ及び耐摩耗性のバランスを調整できる。実使用ではグレード、配合、温度、薬品濃度、荷重、応力、湿度及び使用時間を確認する必要がある。
特徴
長所
- 耐摩耗性が良く、タイヤ及び靴底等の摩耗用途に適する。
- 品質が均一で、配合設計及び量産加工の再現性を得やすい。
- カーボンブラック又はシリカによる補強効果が高く、硬度、強度、動的特性を広く調整できる。
- NR、BR等とのブレンド適性が高く、性能とコストのバランスを設計しやすい。
- 主要汎用ゴムとして供給性が高く、比較的低価格である。
短所
- 主鎖に炭素-炭素二重結合を持つため、耐オゾン性、耐候性及び耐熱酸化性が低い。
- 鉱物油、燃料、芳香族炭化水素及び多くの有機溶剤で膨潤しやすい。
- NRと比較してグリーン強度、粘着性、反発弾性、引裂強さ及び耐亀裂成長性が低い場合がある。
- 一般グレードは可燃性であり、難燃性が必要な用途では配合設計と認証確認が必要である。
| 評価項目 | 一般的傾向 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 外観 | 未加硫原料は淡褐色~褐色のベール又はクラム。加硫品は配合により黒色、淡色、着色品 | 油展、充填剤、顔料、老化防止剤で色調が変わる |
| 耐熱性 | 標準加硫品の連続使用は概ね80℃前後が目安 | 空気、油、水蒸気、動的発熱で寿命が変化 |
| 耐薬品性 | 水、塩水、希薄酸・アルカリには比較的安定 | 油、燃料、芳香族溶剤、強酸化剤には不向き |
| 加工性 | 混練、押出、カレンダー、圧縮・射出加硫に適する | スコーチ、分散、収縮、加硫速度を管理 |
| 耐候性 | 無保護では低い | オゾン劣化防止剤、ワックス、耐候配合、被覆を検討 |
| 分類上の注意 | SBS等の熱可塑性スチレン系エラストマーとは異なる | SBRは通常、加硫後に再溶融しない |
構造式

代表的な構造単位
代表構造は、スチレン由来単位 –CH2–CH(C6H5)– と、ブタジエン由来の1,4結合単位 –CH2–CH=CH–CH2– 及び1,2結合単位を含む統計共重合体として表される。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主モノマー | スチレン、1,3-ブタジエン |
| 代表的組成 | 一般的E-SBRでは結合スチレン量約23.5質量%が代表例。実際はグレードにより異なる |
| 微細構造 | ブタジエン由来単位にcis-1,4、trans-1,4及び1,2-ビニル結合を含む |
| 共重合体・変性 | 高スチレンSBR、油展SBR、S-SBR、末端変性S-SBR、ラテックス、カーボンブラック又はシリカマスターバッチ等 |
| 架橋 | 硫黄加硫が一般的。耐熱性、圧縮永久ひずみ又は特殊用途では過酸化物架橋を検討 |
種類・代表グレード
| 種類・代表グレード | 主成分又は特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| E-SBR標準品 | 乳化重合SBR。結合スチレン量約23.5質量%が代表的 | 加工性、耐摩耗性、価格、品質均一性のバランス | 耐油・耐候・耐オゾン性が低い | タイヤ、ベルト、ホース、履物、一般工業用品 |
| 油展E-SBR | 伸展油を含有 | 混練性、充填剤配合性、コスト調整 | 油種により低温性、移行、規制確認が必要 | タイヤ、工業用ゴム |
| S-SBR | 溶液重合。スチレン量・ビニル量・分子量分布を制御 | 低燃費性、ウェットグリップ、シリカ配合への適合性を設計しやすい | 配合・混練管理が難しく、一般にE-SBRより高価 | 高性能タイヤトレッド |
| 末端変性S-SBR | シリカ等と相互作用する官能基を末端又は鎖中へ導入 | 低ヒステリシスとウェット性能の両立を狙える | 変性基、保管、混練条件への依存が大きい | 低燃費タイヤ |
| 高スチレンSBR | 結合スチレン量が高い半樹脂状又は硬質グレード | 硬さ、耐摩耗、補強効果 | 低温柔軟性と弾性が低下 | 靴底、床材、硬質ゴム、樹脂改質 |
| SBRラテックス | 水分散体 | 塗工、含浸、接着、紙加工に適する | 凍結、機械安定性、pH、凝集に注意 | 紙塗工、カーペット、接着剤、フォーム |
難燃、導電、帯電防止、耐候、食品接触、医療用途等は、SBR材料群全体の認証ではなく、特定配合・特定製品として成立する。証明書、抽出物、添加剤、色、製造拠点及び使用条件を個別に確認する必要がある。
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 理由・主な注意点 |
|---|---|---|
| 射出成形 | ○ | ゴム射出成形に適用可能。コンパウンドのスコーチ安全性、金型温度、加硫時間を管理 |
| 押出成形 | ◎ | プロファイル、ホース、トレッド等に広く使用。ダイスウェルと表面肌に注意 |
| ブロー成形 | × | 一般的な熱可塑性ブロー成形には不適 |
| インフレーション成形 | × | 加硫ゴム用途では一般的でない |
| Tダイフィルム成形 | △ | 未加硫シート又はラテックス膜には可能だが、一般的樹脂フィルム成形とは異なる |
| 真空成形 | × | 加硫ゴムの一般加工法ではない |
| 圧縮成形 | ◎ | パッキン、マット、厚肉品等で一般的 |
| トランスファー成形 | ○ | 複雑形状の加硫成形に適用可能 |
| カレンダー成形 | ◎ | シート、布引き、タイヤ部材に適する |
| 発泡成形 | ○ | 化学発泡剤を用いたスポンジゴムに適用可能 |
| 3Dプリント | △ | 直接造形は限定的。SBRラテックスや複合材料として研究・特殊用途 |
| 切削加工 | △ | 加硫後は軟質で寸法精度を得にくい。凍結切削、研削、打抜きが中心 |
| 溶着 | × | 加硫後の熱溶着は困難 |
| 接着 | ○ | 表面処理・プライマー・ゴム系接着剤で可能。配合剤のブルームに注意 |
| 塗装・印刷 | △ | 表面処理とインキ・塗料選定が必要 |
一般的な成形・加硫条件の目安
| 項目 | 単位 | 代表範囲 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 予備乾燥 | - | 通常不要 | 吸湿性樹脂のような乾燥は通常不要。ただし保管中の水分、結露、ラテックス凝集を防ぐ |
| 混練温度 | ℃ | 70~150 | マスターバッチ混練と最終練りで温度管理を分け、硫黄・促進剤添加後のスコーチを防止 |
| 押出時材料温度 | ℃ | 70~120 | 配合、押出速度、口金形状により調整 |
| 金型温度 | ℃ | 140~180 | 硫黄加硫の一般的目安。厚肉品は内部温度上昇と過加硫に注意 |
| 加硫時間 | min | 2~30 | 厚さ、金型温度、加硫系に依存。レオメータでt90等を確認 |
| 射出圧力 | MPa | 50~150 | ゴム射出成形の一般的目安。装置・形状・粘度で変動 |
| 成形収縮率 | % | 1.0~3.0 | 配合、硬度、金型温度、後収縮、製品形状で変化 |
| 推奨肉厚 | mm | 1~20以上 | 厚肉では加硫時間、内部発熱、ボイドを評価 |
| 抜き勾配 | ° | 0.5~2以上 | 軟質・アンダーカット形状は離型方法を検討 |
| アニール | - | 通常不要 | 後加硫が必要な特殊配合では温度・時間を個別設定 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下は標準的なSBR原料又は代表的な補強加硫配合物の目安である。ゴムは配合依存性が極めて大きいため、比較機能へ登録する場合は材料状態、配合、硬度、加硫条件、試験規格を分離して管理する必要がある。
| 項目 | 単位 | 代表値 | 代表範囲 | 試験規格 | 試験温度 ℃ | 試験湿度 | 材料状態・グレード区分 | 備考 | 信頼度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 0.93 | 0.92~0.94 | ISO 1183相当 | 23 | 不明 | 未加硫・非油展ポリマー | 一般的SBR原料の代表範囲 | B |
| 比重 | 無次元 | 0.93 | 0.92~0.94 | 代表値、規格不明 | 23 | 不明 | 未加硫・非油展 | 配合後はカーボンブラック、シリカ、油、硫黄等により1.1~1.3程度へ増加し得る | B |
| ガラス転移温度 | ℃ | -50 | -55~-40 | DSC又はDMA | 不明 | 不明 | 標準E-SBR | スチレン量、ビニル量、油展、測定法で変化 | B |
| 引張強さ・破断 | MPa | 20 | 10~30 | ISO 37相当 | 23 | 不明 | カーボンブラック補強・硫黄加硫 | 配合と加硫条件に強く依存。純ゴム配合とは区別 | B |
| 引張破断伸び | % | 450 | 300~700 | ISO 37相当 | 23 | 不明 | 補強加硫物 | 硬さと加硫密度で変化 | B |
| 100%引張応力 | MPa | 2.5 | 1.5~5.0 | ISO 37相当 | 23 | 不明 | 補強加硫物 | 一般化困難。硬さ・補強剤依存 | C |
| 硬度 | Shore A | 65 | 40~90 | ISO 7619-1相当 | 23 | 不明 | 加硫配合物 | 軟質スポンジから硬質配合まで広い | B |
| 反発弾性 | % | 45 | 30~60 | ISO 4662相当 | 23 | 不明 | 加硫配合物 | BR、NRより低い場合が多い | C |
| 圧縮永久ひずみ | % | 25 | 15~45 | ISO 815-1相当 | 70 | 不明 | 加硫配合物 | 温度、時間、変形率、加硫系で大幅に変化 | C |
| 引裂強さ | kN/m | 35 | 20~60 | ISO 34-1相当 | 23 | 不明 | 補強加硫物 | NRより低い場合が多い | C |
| 連続使用温度 | ℃ | 80 | -40~90 | 一般的目安 | - | - | 標準加硫配合物 | 空気中。耐熱配合で上限は変わる。長期寿命は熱老化試験で確認 | C |
| 低温使用限界 | ℃ | -40 | -50~-30 | 一般的目安 | - | - | 標準E-SBR加硫物 | 高スチレン・高ビニル品は不利 | C |
| 熱伝導率 | W/(m・K) | 0.20 | 0.15~0.30 | 代表値、規格不明 | 23 | 不明 | 加硫配合物 | 充填剤量により変動 | C |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1E14 | 1E12~1E16 | IEC 60093相当 | 23 | 不明 | 絶縁配合 | カーボンブラック種類・量で導電化可能 | C |
| 絶縁破壊強さ | kV/mm | 20 | 10~30 | IEC 60243相当 | 23 | 不明 | 絶縁配合 | 厚さ、電極、周波数、含水状態で変化 | C |
| 吸水率・24時間 | % | 0.3 | 0.1~0.8 | 代表値、規格不明 | 23 | 不明 | 加硫配合物 | 非極性だが、充填剤・界面活性剤・配合剤により増加 | C |
| 成形収縮率 | % | 1.8 | 1.0~3.0 | 金型加硫の一般的目安 | 不明 | 不明 | 加硫配合物 | 配合、金型温度、加硫率、製品厚さで変化 | C |
燃焼性・電気特性
| 項目 | 単位 | 一般的傾向 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| UL 94燃焼性 | 等級 | 一般SBR配合はHB相当又は未認証が多い | 等級は特定配合、厚さ、色、添加剤ごとに確認。材料名だけでV-0等を断定しない |
| 限界酸素指数・LOI | % | 概ね18~20程度が参考域 | 配合依存が大きく、確定値ではない |
| 燃焼時発生物 | - | 一酸化炭素、二酸化炭素、すす、炭化水素類等 | 不完全燃焼条件と配合剤により異なる |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 絶縁配合で1012~1016程度 | 導電性カーボンブラック配合では大幅に低下 |
| 比誘電率・1 kHz | 無次元 | 概ね2.5~4.0の参考範囲 | 配合、周波数、温度、含水状態に依存 |
| 誘電正接・1 kHz | 無次元 | データなし/グレード依存 | 実配合で測定 |
比較用評価スコア
| 対象項目 | スコア | 評価理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 3 | 補強配合で実用強度を得やすいが、NRに及ばない場合がある |
| 剛性 | 3 | 硬度・補強剤・スチレン量で広く調整可能 |
| 衝撃強度 | 4 | ゴム弾性により衝撃吸収性は良い |
| 耐熱性 | 2 | 標準連続使用は概ね80℃前後。高温では熱酸化劣化 |
| 低温特性 | 3 | 標準E-SBRは-40℃程度が目安。BR、NR、IRより不利な場合がある |
| 耐薬品性 | 2 | 水・希薄酸アルカリは比較的良いが、油・燃料・芳香族溶剤に弱い |
| 耐候性 | 2 | 主鎖二重結合によりオゾン・UVに弱い |
| 耐加水分解性 | 4 | 主鎖は加水分解を受けにくいが、配合剤・接着界面は別評価 |
| 寸法安定性 | 2 | エラストマーであり、荷重・温度・膨潤・圧縮永久ひずみの影響が大きい |
| 低吸水性 | 4 | ポリマー自体は非極性で低吸水 |
| 摺動性 | 2 | 摩擦が高く、摺動材としては配合設計が必要 |
| 耐摩耗性 | 4 | SBRの主要長所。タイヤ、靴底に広く使用 |
| 電気絶縁性 | 3 | 絶縁配合では良好だが、カーボンブラック配合で大幅に変化 |
| 難燃性 | 1 | 一般に可燃性。難燃配合が必要 |
| 透明性 | 1 | 一般配合物は不透明。ラテックス薄膜は半透明となり得る |
| 成形加工性 | 4 | 混練、押出、カレンダー、加硫成形に広く対応 |
| 切削加工性 | 2 | 軟質のため高精度切削が難しい |
| 接着性 | 3 | 適切な表面処理・接着剤で可能。未加硫時の粘着性はNRより低い場合がある |
| リサイクル性 | 2 | 加硫後は再溶融不可。粉砕、脱硫、熱分解等が中心 |
| 価格優位性 | 5 | 主要汎用合成ゴムの一つで、一般に価格競争力と供給性が高い |
耐薬品性
耐薬品性は代表的な加硫SBR配合物の一般傾向である。配合油、充填剤、架橋密度、抽出性添加剤、温度、応力及び接触時間により結果が変わる。特に油・燃料・有機溶剤では体積膨潤率、質量変化、硬度変化、引張保持率を実測する必要がある。
| 薬品名 | 濃度 | 温度 | 接触時間・方法 | 応力 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | - | 23℃ | 168 h浸漬 | 無 | ◎ | 影響は比較的小さい | 配合剤抽出、白化、吸水を確認 |
| 温水 | - | 60~80℃ | 168 h浸漬 | 無 | ○ | 膨潤、加硫網目・接着界面の劣化 | 長期は物性保持率を測定 |
| 水蒸気 | 飽和 | 100℃以上 | 短時間~連続 | 無 | △ | 熱老化、膨潤、加硫系劣化 | EPDMより不利 |
| 塩酸 | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無 | ○ | 配合剤・金属酸化物への影響 | 濃度・温度上昇で要確認 |
| 硫酸 | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無 | ○ | 酸化・硬化・変色の可能性 | 濃硫酸、高温は不適 |
| 水酸化ナトリウム | 10% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無 | ○ | 一般に主鎖への影響は小さい | 高温・高濃度では配合剤抽出に注意 |
| エタノール | 99% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無 | ○ | 軽度膨潤又は配合剤抽出 | 長期寸法変化を確認 |
| イソプロパノール | 99% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無 | ○ | 軽度膨潤 | 応力下・高温で確認 |
| グリセリン | 99% | 23℃ | 168 h浸漬 | 無 | ◎ | 影響は比較的小さい | 水分・添加剤を含む実液で確認 |
| アセトン | 99% | 23℃ | 72 h浸漬 | 無 | △ | 膨潤、軟化、添加剤抽出 | 短時間洗浄でも寸法・硬度確認 |
| メチルエチルケトン | 99% | 23℃ | 72 h浸漬 | 無 | △ | 膨潤、軟化 | 長時間は不適となる場合がある |
| 酢酸エチル | 99% | 23℃ | 72 h浸漬 | 無 | △ | 膨潤、軟化 | 接着剤・塗料溶剤との接触に注意 |
| トルエン | 99% | 23℃ | 24~72 h浸漬 | 無 | × | 著しい膨潤、強度低下 | SBRとSP値が近く、一般に不適 |
| キシレン | 混合異性体 | 23℃ | 24~72 h浸漬 | 無 | × | 著しい膨潤 | 芳香族油を含む実液で確認 |
| n-ヘキサン | 99% | 23℃ | 72 h浸漬 | 無 | △ | 膨潤、配合油抽出 | 配合により×となり得る |
| ガソリン | 市販燃料 | 23℃ | 72 h浸漬 | 無 | × | 膨潤、軟化、抽出 | 燃料系にはNBR、FKM等を検討 |
| 鉱物油 | ISO VG 32相当 | 70℃ | 168 h浸漬 | 無 | △ | 膨潤、軟化 | 油種・芳香族分・温度依存 |
| エンジン油 | 市販油 | 100℃ | 70 h浸漬 | 無 | × | 膨潤と熱老化 | 連続油接触には一般に不向き |
| エチレングリコール水溶液 | 50% | 80℃ | 168 h浸漬 | 無 | ○ | 軽度膨潤・熱老化 | 防錆剤等を含む実液で確認 |
| 次亜塩素酸ナトリウム | 0.05% | 23℃ | 24~168 h | 無 | △ | 酸化、表面硬化、亀裂 | 濃度、pH、温度、遊離塩素で大幅変化 |
| 過酸化水素 | 3% | 23℃ | 24~168 h | 無 | △ | 酸化劣化 | 高濃度・高温は不適 |
| 塩水 | 3.5% NaCl | 23℃ | 168 h浸漬 | 無 | ◎ | 影響は比較的小さい | 金属接着部の腐食に注意 |
| 海水 | 天然又は人工 | 23℃ | 168 h浸漬 | 無 | ○ | 吸水、付着生物、配合剤抽出 | 屋外ではオゾン・UVも同時評価 |
| 食品油 | 植物油 | 40~80℃ | 168 h浸漬 | 無 | △ | 膨潤、軟化 | 食品接触規制適合グレードを個別確認 |
SP値(溶解度パラメータ)
SBRの代表的なHildebrand SP値は、概ね16.5~18.0 MPa1/2、比較用代表値として17.0 MPa1/2程度が用いられることがある。結合スチレン量、ビニル量、温度、架橋、油展及び測定・推算法により変化する。
SP値は溶解・膨潤の一次スクリーニングに有効であるが、架橋ゴムは通常「溶解」せず、溶媒を吸収して膨潤する。耐薬品性はSP値差だけで決定せず、架橋密度、極性、分子サイズ、酸化反応、配合剤抽出、温度及び応力を併せて評価する必要がある。
溶解性の目安
| SP値差 Δδ | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
| 薬品名 | SP値 MPa1/2 | SBRとの差 | SP値上の評価 | 実務上の注意 |
|---|---|---|---|---|
| n-ヘキサン | 14.9 | 2.1 | △ | 非極性炭化水素。実配合では膨潤し得る |
| シクロヘキサン | 16.8 | 0.2 | × | SBRに近く、強い膨潤・溶解性を示しやすい |
| トルエン | 18.2 | 1.2 | × | 芳香族溶剤。一般に著しく膨潤 |
| キシレン | 18.0 | 1.0 | × | 芳香族溶剤。一般に不適 |
| 酢酸エチル | 18.6 | 1.6 | ×~△ | SP差だけでは強い相互作用域。架橋密度で膨潤量が変化 |
| メチルエチルケトン | 19.0 | 2.0 | △ | 膨潤・軟化に注意 |
| アセトン | 19.9 | 2.9 | △ | SP差は中程度だが、配合剤抽出も評価 |
| イソプロパノール | 23.5 | 6.5 | ○ | 短時間は比較的安定だが長期浸漬を確認 |
| エタノール | 26.0 | 9.0 | ◎~○ | SP差は大きいが、水分・応力・配合剤の影響あり |
| 水 | 47.9 | 30.9 | ◎ | SP差は大きい。ただし温水・蒸気・界面劣化は別途評価 |
評価基準は、◎:非常に良好、○:概ね良好、△:注意が必要、×:不適である。ただし、上表はSP値差による目安であり、実際の薬液浸漬評価を置き換えるものではない。
接合・表面処理適性
| 方法 | 適性 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 熱板・超音波・振動溶着 | × | 加硫後は再溶融しないため、熱可塑性樹脂のような溶着は困難 |
| 未加硫ゴム同士の加硫接着 | ◎ | タック、配合、表面清浄度、加硫同期を管理 |
| 接着剤接合 | ○ | 研磨、脱脂、ハロゲン化処理又はプライマーを併用する場合がある |
| 金属との加硫接着 | ○ | 金属表面処理と専用加硫接着剤を使用。腐食・熱膨張差を確認 |
| 機械締結 | ○ | 座面圧、クリープ、引裂、締付け過多に注意 |
| コロナ・プラズマ処理 | ○ | 表面エネルギー向上に有効だが、効果の経時低下を確認 |
| 塗装・印刷 | △ | ワックス・老化防止剤のブルーム、可塑剤移行、伸縮追従性に注意 |
寸法精度・設計特性
- SBRは弾性体であり、短時間の引張強さを設計許容応力として直接使用してはならない。クリープ、応力緩和、疲労、圧縮永久ひずみ及び温度依存性を考慮する。
- 金型収縮と後収縮は配合、加硫率、製品厚さ及び保管温度で変化する。寸法公差は熱可塑性樹脂より広く設定する場合が多い。
- 鋭いノッチ、薄肉と厚肉の急変、インサート端部及び圧入部では引裂・疲労亀裂が生じやすい。
- 動的部品では発熱、ヒステリシス、振幅、周波数、酸素、オゾン及び温度上昇を含む実部品耐久試験が必要である。
品質・成形不良
| 不良 | 材料側の要因 | 成形条件側の要因 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| スコーチ | 促進剤過多、保管劣化、早期架橋 | 混練・押出温度過高、滞留過多 | 最終練り温度低減、スコーチタイム確認、先入先出 |
| 分散不良 | 充填剤凝集、粘度不適合 | 混練エネルギー不足、投入順不適 | 混練手順、ローター、温度、時間を最適化 |
| 気泡・ボイド | 水分、揮発分、発泡 | エア巻込み、加硫不足 | 原料保管、真空、ベント、加硫条件を見直す |
| 表面荒れ | 高粘度、分散不良、ブルーム | 押出温度・速度不適、ダイ汚れ | 温度プロファイル、口金、配合、濾過を見直す |
| 加硫不足 | 加硫剤不足、失活 | 温度不足、時間不足 | 加硫曲線を測定しt90、厚さ補正を設定 |
| 過加硫・リバージョン | 加硫系不適 | 高温・長時間 | 耐熱加硫系、温度・時間最適化 |
| ブルーム | 硫黄、促進剤、ワックス等の過飽和 | 冷却・保管条件 | 配合量、溶解性、保管温度を見直す |
| 金型汚染 | 低分子物、離型剤、加硫副生成物 | 排気不足、過熱 | 金型清掃周期、配合、ベントを改善 |
| 寸法ばらつき | 粘度・加硫度ばらつき | 計量、温度、圧力、冷却ばらつき | 工程能力管理、材料ロット管理 |
注意点・劣化・故障モード
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 熱酸化劣化 | 主鎖二重結合の酸化 | 高温、酸素、銅等の金属接触 | 硬化、亀裂、伸び低下 | 老化防止剤、温度低減、遮熱 | 熱老化後の硬度、引張、伸び |
| オゾン亀裂 | オゾンと伸長状態の二重結合が反応 | 屋外、電気機器周辺、静的ひずみ | 伸長方向と直角の亀裂 | 耐オゾン剤、ワックス、EPDM等への変更 | JIS K 6259相当、ひずみ付与 |
| 紫外線劣化 | UVと酸素 | 屋外、淡色配合 | 変色、表面亀裂、強度低下 | カーボンブラック、UV安定剤、被覆 | キセノンアーク又はサンシャイン試験 |
| 油・溶剤膨潤 | 溶媒吸収と配合剤抽出 | 燃料、芳香族油、トルエン等 | 体積増加、軟化、強度低下 | NBR、FKM等の検討、遮断層 | 実液浸漬、体積・質量・硬度・引張 |
| 疲労亀裂 | 繰返しひずみ、発熱、ノッチ | タイヤ、ベルト、防振部品 | 亀裂成長、破断 | 形状最適化、NR/BRブレンド、発熱低減 | De Mattia、実部品繰返し試験 |
| 圧縮永久ひずみ | 架橋網目の緩和・切断 | 高温圧縮、長時間シール | シール力低下 | 加硫系・架橋密度最適化、温度低減 | ISO 815-1相当 |
| 添加剤ブルーム | 配合剤の溶解度超過・移行 | 低温、高配合、長期保管 | 外観不良、接着・塗装不良 | 配合最適化、低移行添加剤 | 促進保管、表面分析、接着試験 |
| アウトガス | 低分子、油、加硫副生成物 | 真空、高温、密閉機器 | 汚染、曇り、接点障害 | 低揮発配合、予備加熱、別材料検討 | TML/CVCM又はGC-MS |
| 摩耗粉発生 | 摩擦、疲労、路面粗さ | タイヤ、ローラー、シール | 寸法低下、汚染 | 補強・硬度・潤滑・相手材最適化 | DIN摩耗、実機摩耗試験 |
法規制・認証
| 規制・認証 | 一般的な位置付け | 確認事項 |
|---|---|---|
| RoHS | 適合可能なSBR配合が存在 | 鉛、カドミウム、六価クロム、特定フタル酸エステル等を配合単位で確認 |
| REACH・SVHC | 適合可能 | 高懸念物質、PAH、促進剤、老化防止剤、プロセス油を確認 |
| ELV | 自動車用途で適合管理が一般的 | 重金属、部品材料申告、IMDS情報を確認 |
| PFAS関連規制 | SBRポリマー自体は通常フッ素を含まない | 加工助剤、離型剤、表面処理剤等の意図的添加を確認 |
| FDA・EU食品接触 | 適合配合が限定的に存在し得る | ポリマーだけでなく全配合剤、使用温度、食品種、接触時間を確認 |
| 日本の食品衛生法・ポジティブリスト | 個別配合・用途で確認 | 原材料、添加剤、溶出条件、事業者間情報伝達を確認 |
| USP Class VI・ISO 10993 | 医療向け特定配合でのみ検討 | 材料群としての一律適合ではない。生物学的安全性、抽出物、滅菌耐久を確認 |
| UL | 特定配合・厚さ・色で認証される | UL Yellow Card又は成形品認証を確認 |
| タイヤ・自動車規格 | 用途別規格が中心 | OEM仕様、耐久、動的特性、PAH、摩耗粉、ラベリング要件を確認 |
環境・リサイクル性
| 項目 | 評価・概要 |
|---|---|
| 材料区分 | 加硫前は熱可塑的に加工できるが、加硫後は三次元架橋した熱硬化性エラストマー |
| マテリアルリサイクル | 粉砕ゴム、再生ゴム、脱硫ゴムとして利用可能。ただし未使用材と同等物性への完全回復は困難 |
| ケミカルリサイクル | 熱分解油・ガス・回収カーボンブラック等の技術がある。品質、エネルギー、採算及び不純物管理が課題 |
| サーマルリサイクル | 発熱量を利用可能だが、排ガス、すす、硫黄・窒素系配合剤を含む燃焼管理が必要 |
| 再生材利用 | タイヤ、マット、舗装、成形品等で利用される。疲労、臭気、異物、粒径、界面接着を確認 |
| 生分解性 | 一般に生分解性ではない |
| バイオベース | バイオ由来ブタジエン又はスチレン、マスバランス原料の開発・供給例があるが、製品ごとの認証を確認 |
| 識別・分別 | ゴム配合物は複数ポリマー・充填剤を含むため、樹脂識別表示のような単純分別が難しい |
| 価格・供給性 | 低価格~比較的低価格。世界的供給性は高いが、原料ブタジエン、スチレン、エネルギー、市況で変動 |
製法

原料及び重合方法
SBRはスチレンと1,3-ブタジエンを主原料とする。E-SBRは水中で乳化剤、ラジカル開始剤、分子量調整剤等を用いて乳化重合し、ラテックスから未反応モノマーを回収した後、凝固、洗浄、脱水及び乾燥して製造する。S-SBRは炭化水素系溶媒中で有機リチウム系開始剤等を用いてアニオン重合し、必要に応じて末端変性した後、溶媒を回収して乾燥する。
代表的な反応式
x C6H5CH=CH2 + y CH2=CH–CH=CH2 → –[CH2–CH(C6H5)]x–[CH2–CH=CH–CH2]y–
上式は代表的な共重合反応を簡略化したものである。実際にはブタジエン由来単位に1,2結合、cis-1,4結合及びtrans-1,4結合が存在し、重合方式及び温度により組成と配列が変化する。
コンパウンド及び加硫
乾燥SBRは、密閉式混練機又はオープンロールでカーボンブラック又はシリカ、シランカップリング剤、プロセス油、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、硫黄、加硫促進剤等と混練する。シリカ配合では混練温度とシラン反応、揮発分、再混練及び最終練り温度の管理が重要である。
詳細な利用用途
| 用途分野 | 代表用途 | 適性・採用理由 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 自動車・タイヤ | トレッド、サイドウォール、カーカス周辺部材、ゴム引き布 | 耐摩耗性、動的特性、補強性、NR・BRとのブレンド性 | 発熱、ウェットグリップ、転がり抵抗、摩耗粉、耐候性 |
| 一般工業 | コンベヤベルト、伝動ベルト、ロール、ホース、シート | 耐摩耗、加工性、価格 | 油・燃料、オゾン、屋外暴露 |
| 防振・緩衝 | 防振ゴム、マウント、バンパー、マット | 減衰性、硬度調整、成形性 | 圧縮永久ひずみ、疲労、温度上昇 |
| 履物 | 靴底、ヒール、発泡底 | 耐摩耗、着色、硬度調整、低コスト | 低温硬化、滑り、加水分解性接着剤との組合せ |
| 建築・設備 | 床材、目地材、ゴム板、保護材 | 耐摩耗、弾性、施工性 | 屋外では耐オゾン・耐候配合が必要 |
| 接着剤・ラテックス | 感圧接着剤、紙塗工、カーペットバッキング、含浸 | 水系加工、接着性、皮膜形成 | 残留界面活性剤、耐水、凍結安定性、VOC |
| 電気・電子 | 絶縁シート、ケーブル補助材、制振材 | 絶縁配合が可能、柔軟性 | 難燃、アウトガス、硫黄腐食、カーボンブラック導電化 |
| 医療・食品 | 限定的なチューブ、栓、パッキン等 | 特定適合配合で使用可能 | 抽出物、溶出、ラテックス残留物、滅菌耐久、法規制 |
| 土木・スポーツ | ゴムチップ舗装、マット、人工芝充填材、スポーツ用品 | 衝撃吸収、再生ゴム利用 | 摩耗粉、PAH、臭気、屋外耐候性 |
用途別選定
| 用途 | 適性 | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| タイヤトレッド | ◎ | 主要用途。S-SBR、E-SBR、BR、NRの配合で性能を最適化 |
| ギア・軸受・ブッシュ | △ | 弾性・摩擦・摩耗粉のため精密摺動には不向き。防振ブッシュには適する |
| ローラー | ○ | 硬度・耐摩耗を調整可能。溶剤・油・発熱を確認 |
| シール・ガスケット・Oリング | △ | 水系・一般用途は可能だが、油・燃料・高温・屋外では他ゴムを優先検討 |
| チューブ・ホース | ○ | 水・空気用途に適用可能。燃料・油には不向き |
| 配管・タンク | △ | ライニング・柔軟部材として限定。薬液と透過を確認 |
| フィルム・シート | ○ | カレンダーシート、ラテックス膜に適する |
| 電気絶縁部品 | ○ | 絶縁配合で可能。難燃性、硫黄腐食、吸湿を確認 |
| 電子部品筐体・透明カバー・レンズ | × | 構造材・透明材には不適 |
| 自動車内装 | ○ | マット、防振、裏材等。VOC、臭気、難燃を確認 |
| 自動車外装 | △ | 耐オゾン・耐候性が不足しやすく、EPDM等が有利 |
| エンジンルーム・燃料系 | × | 熱、油、燃料に弱い。NBR、HNBR、FKM等を検討 |
| 食品機械部品 | △ | 特定食品接触適合配合のみ。油脂、洗浄、溶出を評価 |
| 医療機器部品 | △ | 特定医療グレード・生物学的安全性・抽出物確認が必要 |
| 屋外部品 | △ | 耐オゾン剤、ワックス、被覆が必要。EPDMが優位な場合が多い |
| 接着剤・コーティング | ○ | ラテックス、溶剤系、改質材として利用。残留モノマー、VOC、耐候性に注意 |
| 複合材料マトリックス | △ | ゴム強靭化、制振、タイヤコード等には有用だが、構造用高剛性マトリックスではない |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | SBRとの違い | 主な選定基準 |
|---|---|---|---|
| 天然ゴム(NR) | 高い引張・引裂・反発弾性、グリーン強度 | SBRは耐摩耗性、品質均一性、耐熱老化性を調整しやすい。NRは疲労・亀裂成長・反発で有利な場合が多い | タイヤではブレンド使用が多い |
| ブタジエンゴム(BR) | 低Tg、高反発、低発熱、耐摩耗 | BRは低温性と反発が優れ、SBRはウェットグリップと加工性を設計しやすい | タイヤトレッド・サイドウォールで併用 |
| ニトリルゴム(NBR) | 耐油・耐燃料性 | NBRは油・燃料に優れる。SBRは低コストと耐摩耗性に優れる | 油接触部品はNBRを優先検討 |
| クロロプレンゴム(CR) | 耐候、耐オゾン、難燃、接着性のバランス | CRは屋外・難燃・油への耐性が良いが、SBRは一般に低価格 | ベルト、ホース、被覆材で比較 |
| イソプレンゴム(IR) | NRに近い構造、反発性、低温性、純度 | IRは弾性・低温性に優れ、SBRは耐摩耗・価格で有利 | 淡色品、医療、タイヤで比較 |
| EPDM | 耐候、耐オゾン、耐水、耐蒸気 | EPDMは屋外・水系環境に優れる。SBRは耐摩耗・接着・タイヤ用途で有利 | ウェザーストリップはEPDM、タイヤトレッドはSBR |
| ブチルゴム(IIR) | 低ガス透過性、制振性、耐候性 | IIRは気密性が高い。SBRは反発、耐摩耗、加工性で有利 | インナーライナーとトレッドで役割が異なる |
| シリコーンゴム | 広い使用温度、耐候、電気絶縁 | シリコーンゴムは耐熱・耐寒性が高いが、SBRは機械強度・耐摩耗・価格で有利 | 高温シールと一般防振・タイヤで使い分け |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| ENEOSマテリアル | JSR系SBR製品群 | E-SBR、S-SBR等を扱う国内主要合成ゴムメーカー。現行品種・供給地域は公式資料で確認 |
| 旭化成 | タフデン、アサプレン等 | 溶液重合系合成ゴムを中心にタイヤ・工業用途へ展開。ブランドと品種は用途別に確認 |
| 日本ゼオン | Nipol | SBRを含む合成ゴムを展開。E-SBR、SBRラテックス等は地域・品種により異なる |
| Kumho Petrochemical | KUMHO SBR / SSBR | タイヤ・工業用品向けSBRを世界展開 |
| LG Chem | SSBR / SBR製品群 | タイヤ用途を中心に溶液重合SBR等を展開 |
| Synthos | SBR / SSBR製品群 | 欧州を中心に乳化重合・溶液重合SBRを供給 |
| Versalis | Europrene | タイヤ・工業用途向け合成ゴムブランド。品種は地域により異なる |
メーカー、ブランド、製品体系及び供給地域は再編・変更される場合がある。採用時は各社の最新技術資料、SDS、規制適合証明書及び供給可否を確認する。
推奨確認試験
| 試験 | 推奨条件例 | 確認項目 |
|---|---|---|
| 実薬品浸漬試験 | 実液、使用濃度、使用温度、24 h・168 h・1000 h等 | 質量、体積、硬度、引張強さ、伸び、外観 |
| 耐オゾン試験 | 20~50%伸長、規定オゾン濃度、40℃付近、24~168 h等 | 亀裂発生時間、亀裂等級 |
| 熱老化試験 | 使用温度+10~30℃、168~1000 h | 硬度、引張、伸び、圧縮永久ひずみ |
| 高温高湿・温水試験 | 60~90℃、90~95%RH又は温水、168~1000 h | 吸水、膨潤、接着界面、電気特性 |
| 疲労・亀裂成長試験 | 実ひずみ、実周波数、実温度、105~107回 | 亀裂成長、発熱、破断寿命 |
| 圧縮永久ひずみ試験 | 実圧縮率、実温度、22~168 h以上 | 残留変形、シール力保持 |
| 摩耗試験 | DIN摩耗又は実相手材、荷重、速度、乾湿条件 | 体積摩耗量、摩耗粉、摩擦係数 |
| 接着・溶出・アウトガス試験 | 実接着剤、実基材、実温度、真空又は食品疑似溶媒 | 剥離強度、抽出物、凝縮物、臭気 |
| 実成形・実部品耐久試験 | 量産相当設備、最悪寸法、実荷重・温度・環境 | 成形安定性、寸法、外観、寿命 |
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