溶解・膨潤性スクリーニング 使用方法

このページは、現在の「溶解・膨潤性スクリーニング」画面に表示される名称に合わせた操作マニュアルである。 通常の組み合わせ評価では、左側サイドバーの 目的入力方法 を選び、材料と溶媒を指定する。 判定は入力内容に応じて自動的に更新されるため、通常の計算実行ボタン操作は不要である。
尚、当サイトでHSP又はHSP値の表記は、「ハンセン溶解度パラメータ、Hansen Solubility Parameter」の英語の頭文字を取った略語のことである。

最初に覚える3点
① 通常の1組の材料×薬品評価 → 標準:DBから選択
② 多数候補を探す → 一覧:溶媒⇔ポリマー検索
③ 自分でHSP値を入力する → 上級:HSPを直接入力

基本操作:上から順に設定する

STEP 1 「判定モード」→「目的」を選ぶ

サイドバーの 判定モード 内にある 目的 で、次の3項目から選択する。

画面に表示される選択肢選ぶ場合変更すると何が変わるか
耐薬品性・部材適合性 容器、配管、成形部品、シール等が薬品・溶剤に耐えられるかを確認したい場合。 HSPが近い側を、溶解・膨潤・軟化・ESC等のリスク側として評価する。目的別のchemical R0を使用する。
膨潤・環境応力割れスクリーニング 膨潤、寸法変化、軟化、クレージング、ESCを重点的に見たい場合。 膨潤・ESC向けのR0を使用し、応力・時間・温度条件を含めてリスクを厳しく見る。
溶解・分解・塗料/インク配合 樹脂を溶かす溶剤探索、塗料・インク・接着剤の溶剤設計を行いたい場合。 HSPが近い側を使用候補・良溶媒候補として評価する。solubility R0を使用する。
重要:同じRa・REDでも、「目的」を変更すると判定の意味が変わる。REDが小さいことを一律に「良い」と解釈しない。
STEP 2 「入力方法」を選ぶ

入力方法 には現在、次の3項目がある。

画面に表示される選択肢何をするモードか推奨場面
一覧:溶媒⇔ポリマー検索1つのポリマーから多数の溶媒候補、または1つの溶媒から多数のポリマー候補を一覧検索する。候補探索・比較・絞り込み。
標準:DBから選択DB登録済みの材料と溶媒を選び、1組ずつ詳細判定する。通常はこちら。耐薬品性確認や特定組み合わせの詳細評価。
上級:HSPを直接入力材料と溶媒のδD・δP・δH・R0等を直接入力して判定する。自社測定値、メーカー値、文献値、新規材料を使う場合。
STEP 3 「外部条件」を設定する

サイドバーの 外部条件 は、どの入力方法を使用する場合でも確認する。

現在の画面名初期値入力の考え方変更時の主な影響
温度(℃)25℃実際の使用・試験温度に合わせる。温度補正HSP、拡散、加水分解等の評価に影響する。範囲は -10~120℃。
相対湿度(%RH)50%RH吸水性材料では実使用湿度を入力する。吸湿によるポリマーδH補正および暴露推定に影響する。
暴露時間(h)168 h拭き取り、短時間接触、1日、1週間、長期浸漬等に合わせる。長時間ほど拡散・膨潤・抽出・加水分解の影響を考慮する。
膜厚/試験片厚み(mm)1.0 mm塗膜、フィルム、試験片、部品肉厚の代表値を入力する。暴露推定の浸透深さ・重量変化の参考値に影響する。
応力条件(残留応力・曲げ・締結・圧入・応力集中)低:無負荷・自由浸漬実際の部品状態に最も近いものを選ぶ。応力が高いほどESC・クラック側へ厳しく評価する。

「応力条件」の4つの選択肢

  • 低:無負荷・自由浸漬
  • 中:通常成形残留応力あり
  • 高:曲げ・締結・圧入あり
  • 非常に高:切欠き・応力集中あり
現行仕様:サイドバーに独立した「溶剤濃度(%)」入力は使用しない。 水溶液・混合液の濃度や配合は、後述の 混合溶媒(体積分率) または 水系材料モードをONにする の水分率等で明示する。
STEP 4A 「一覧:溶媒⇔ポリマー検索」の使い方

多数の候補を比較したい場合に使用する。

ポリマーから溶媒を探す場合

1. ポリマー検索(日本語名・略語・英語名) に検索語を入力する。

2. ポリマーを選択 から対象材料を選ぶ。

3. 選択中の 目的 に応じた候補一覧を確認する。

溶媒からポリマーを探す場合

1. 溶媒(化学品)検索(日本語名・英語名・CAS番号) に検索語を入力する。

2. 溶媒を選択 から対象液体を選ぶ。

3. 候補ポリマーを比較する。

このモードは「候補探索」に向く。最終候補が決まったら 標準:DBから選択 で個別条件を確認すると分かりやすい。
STEP 4B 「標準:DBから選択」の使い方

登録済み材料と溶媒を1組ずつ詳細評価する基本モードである。

材料側

画面の材料選択欄で、ポリマー単体または一般製品材料/一般塗膜を選択する。材料分類の絞り込みを利用すると候補を探しやすい。

溶媒側

画面の 2. 溶媒を選択 で、溶媒タイプ を選択する。

「溶媒タイプ」操作
単独溶媒溶媒検索(日本語名・英語名・CAS) で検索し、溶媒 から1成分を選択する。
混合溶媒(体積分率)複数成分を選び、各成分の 体積分率: ○○ を入力する。正の分率を持つ全成分を混合HSP計算に使用する。

R0を変更したい場合

R0を上書きする場合のみ入力(0ならDB値) を使用する。通常は0のままにする。0の場合は「目的」に対応するDBのR0が使用される。

STEP 4C 「上級:HSPを直接入力」の使い方

画面には 上級:HSP値を直接入力 と表示される。

材料 HSP
  • 材料 δD
  • 材料 δP
  • 材料 δH
  • 材料 R0
  • 材料名
溶媒 HSP
  • 溶媒 δD
  • 溶媒 δP
  • 溶媒 δH
  • 溶媒名

温度・湿度補正を変更する場合

温度・湿度補正係数(上級) を開くと、次の入力欄がある。

  • 溶媒 β
  • ポリマー β
  • δH補正感度

通常ユーザーは初期値のままでよい。材料固有の温度係数・吸湿補正値を把握している場合のみ変更する。

STEP 5 水溶液・水系洗浄剤を入力する

💧 水系材料・追加条件(pH・イオン性・酸化性) を開き、 水系材料モードをONにする をONにする。

ONにすると、次の項目が表示される。

画面名入力・選択方法意味
水の体積分率(純水=1.0、50%水溶液=0.50)
上級モードでは「水の体積分率(純水=1.0)」表記
0~1水を混合成分としてHSP評価へ反映する。
pH0~14酸・アルカリ攻撃、加水分解等の非HSPリスク判定に用いる。
イオン強度低(<0.1 mol/L)/中(0.1~0.5 mol/L)/高(>0.5 mol/L)水系のイオン性条件を指定する。
酸化性なし/弱(溶存酸素・希薄酸化剤)/強(次亜塩素酸・過酸化水素・硝酸等)酸化劣化リスクを指定する。
界面活性剤なし/あり濡れ性、抽出、ESC等の追加リスクを考慮する。
水系ではREDだけで判断しない。 pH、酸化性、界面活性剤、加水分解、実測耐薬品性Evidenceを合わせて確認する。
STEP 6 「判定結果」を読む

必要項目を選ぶと、下部の 判定結果 が更新される。

結果は記号だけでなく、判定文、Ra、R0、RED、HSP領域、実測耐薬品性、非HSP警告を一緒に確認する。

目的代表的なHSP判定表示
耐薬品性・部材適合性× 高リスク/△ リスクあり/△ 条件依存(要確認)/○ 低リスク候補
膨潤・環境応力割れスクリーニング× 強膨潤/ESC注意/△ 膨潤注意/△ 条件依存(要確認)/○ 膨潤低リスク候補
溶解・分解・塗料/インク配合◎ 使用候補/○ 使用候補/△ 条件依存(要確認)/× 不適候補

判定結果の凡例 も併せて確認する。

STEP 7 「暴露推定(未校正スクリーニング)」を見る

結果下部には 暴露推定(未校正スクリーニング) が表示される。

  • 暴露時間h
  • 厚みmm
  • 有効拡散係数D m²/s
  • 浸透深さmm
  • 推定重量変化%
「未校正スクリーニング」である。 暴露推定は参考表示であり、現行の統一判定エンジンでは最終判定そのものを決める値として使用しない。実測値として扱わないこと。

迷ったときの選択早見表

やりたいこと目的入力方法
HDPE容器が薬品に耐えるか耐薬品性・部材適合性標準:DBから選択
PC部品のクラック・ESCが心配膨潤・環境応力割れスクリーニング標準:DBから選択
PMMAを溶かす候補溶剤をまとめて探したい溶解・分解・塗料/インク配合一覧:溶媒⇔ポリマー検索
特定のPMMA×アセトンを詳しく確認用途に応じる標準:DBから選択
トルエン/MEKの混合比を評価用途に応じる標準:DBから選択 → 混合溶媒(体積分率)
自社測定HSPを使う用途に応じる上級:HSPを直接入力

詳細説明

HSP・Ra・R0・REDの見方

判定目的でREDの意味がどう変わるか。

詳しく見る →
混合溶媒(体積分率)

独立した濃度入力を使わない現行仕様と混合HSP。

詳しく見る →
耐薬品性・水系条件

pH、酸化、加水分解、界面活性剤、温度、応力。

詳しく見る →
画面操作の使用例

現行の画面名に沿った入力例。

詳しく見る →
本ツールは材料・溶媒候補のスクリーニングを目的とする。重要用途では、実際の材料グレード、実液組成、温度、時間、応力を再現した確認試験を行うこと。
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