フッ素樹脂

概要

略記号:Fl

英語名:fluororesin, fluoroplastics, fluoroethylene resin

化学式:

  •  フッ素樹脂とは、分子中にフッ素を持った樹脂の総称である。
  • 四フッ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン=テフロン, PTFE)や三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)、六フッ化エチレンプロピレン樹脂(PFEP)などが多く使用されている。

特性

  •  フッ素樹脂(以下、FI)は、他の樹脂と比較して耐熱性、耐寒性、電気的特性、非粘着性、耐摩耗性、耐薬品性など多岐にわたり、優れた性能を持つ。
  • 摩擦係数が低い。
  • 機械的強度が低く、比較的柔らかい。
  • 誘電率が低く、絶縁性がある。
  • 常温下では、耐アルカリ性、耐酸性、耐塩類、耐有機溶剤があり侵されない。
  • 臨界表面張力が低い。(テフロンの水接触角:90~100度)
  • 実用使用温度は、-268~+280℃の範囲で使用する。
  • 長期常用温度は、260℃、短期使用温度は300℃まで耐えられる。
  • 380℃以上の場合には、加熱分解が起こり、有毒ガスが発生する。
  • 350℃以上の環境で使用する場合には、分解ガスを除去する換気設備が必要となる。
  • 成形する場合には、常温で粉末状の樹脂を圧縮予備成形して、それを融点(360~380℃)以上で焼結して行う。(粉末冶金法)
  • フライパンなどにテフロン加工を施す際には、懸濁液を拭きつけ後加熱焼結させて皮膜を形成する。
  • 樹脂自体が難燃性である。(ほとんどが94V-0)
  • 耐候性にすぐれる。
  • ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、現存する高分子材料の中でも化学的に不活性な材料である。
  • 三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)や六フッ化エチレンプロピレン樹脂(PFEP)、エチレン-四フッ化エチレン共重合体(ETFE)は、射出成形や押出成形が可能である。
  • ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)PTFEは溶解粘度がきわめて高いため、一般の射出成形や押出成形は不可能である。
  • フッ化ビニリデン(PVDF)は、熱安定性、耐候性に優れている。
  • 圧電効果、エレクトレット現象も利用され、マイクロフォンやスピーカーなどに使用された。
  • エチレン-四フッ化エチレン共重合体(ETFE)は、エチレンとテトラフルオロエチレン(TFE)の交互共重合体であり、ポリエチレンとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)との中間の性質を示し、熱可塑性樹脂の成形方法が適用可能。
  • テフロンとPFAは、ETFEより若干硬度が大きい。
  • フッ化ビニリデン(PVDF)と八フッ化ブテンの共重合体は硬度が大きい。
性質単位PTFEPCTFEPFEPPVF
比重2.202.202.171.78
吸水率%0.000.000.010.04
引張強さMPa36422152
引張伸び%400250330300
圧縮強さMPa124060
アイゾット衝撃強さ
(ノッチ付き)
J/m160150破壊せず220
硬さD65
(ショア)
R95
(ロックウェル)
R25
(ロックウェル)
D80
(ショア)
連続耐熱温度288199204149
荷重たわみ温度
(1.82MPa)
12112591
体積固有抵抗Ω・cm>10181.2×1018>2×1018>2×1014
誘電率1062.12.52.16.4
絶縁破壊強さkV/mm19222210
透明度半透明半透明~不透明透明~不透明透明~不透明

耐薬品性

フッ素樹脂(PTFE)

フッ素樹脂(PEEP)

フッ素樹脂(PCTFE)

製法

省略

構造

利用用途