概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | エチレン・プロピレン・コポリマー |
| 略記号 | EPM、EPR、EPC、EP共重合体 |
| IUPAC | poly(ethene-co-prop-1-ene)。共重合組成、単位配列、分子量分布が一定ではないため、材料群として表記する。 |
| 英語名 | Ethylene-Propylene Copolymer、Ethylene-Propylene Rubber、Ethylene-Propylene Copolymer Rubber |
| 日本語名・別名 | エチレン・プロピレン共重合体、エチレンプロピレンゴム、EPMゴム、EPRゴム、EPゴム |
| 分類 | 合成ゴム、オレフィン系エラストマー、飽和主鎖型エラストマー |
| プラスチック分類 | ゴム・エラストマーである。一般的なプラスチック、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックには分類しない。 |
| 化学式・代表構造 | -[CH2-CH2]m-[CH2-CH(CH3)]n- |
| CAS No. | 9010-79-1がエチレン・プロピレン共重合体の代表的登録番号として用いられる。ただし、組成や製品形態により確認が必要である。 |
| 構造・主成分 | エチレンとプロピレンの二元共重合体であり、架橋用の非共役ジエンを含まない。主鎖は飽和炭化水素構造を主体とする。 |
| 主な用途 | 電線・ケーブル絶縁、耐候性シート、防水材、ホース、ガスケット、パッキン、改質材、潤滑油粘度指数向上剤、接着・粘着材料の改質など。 |
エチレン・プロピレン・コポリマーは、エチレンとプロピレンを共重合したポリオレフィン系材料である。一般にEPMまたはEPRと呼ばれる場合は、架橋用ジエンを含まない二元共重合のエチレン・プロピレンゴムを指す。本ページでは、このEPMを中心に説明する。
EPMは主鎖に炭素-炭素二重結合をほとんど持たないため、ジエン系ゴムと比較して耐オゾン性、耐候性、耐熱老化性、耐水性、電気絶縁性に優れる。反面、非極性であるため鉱物油、燃料、脂肪族・芳香族炭化水素、塩素系溶剤により膨潤しやすく、油系シールには適さない場合が多い。
EPMは架橋用ジエンを含まないため、一般に硫黄加硫は困難であり、有機過酸化物架橋が中心となる。市販用途ではEPDMの方が広く使用されるため、EPMを指定する場合は、供給性、架橋方式、規制適合、長期物性をメーカーと確認する必要がある。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 長所 | 主鎖の飽和度が高く、耐オゾン性、耐候性、耐熱老化性、耐水性、耐蒸気性、電気絶縁性に優れる。低温柔軟性も比較的良好であり、比重が小さい。 |
| 短所 | 非極性であるため、鉱物油、燃料、芳香族炭化水素、塩素系溶剤により膨潤しやすい。未処理表面は接着・塗装が難しい。EPMは硫黄加硫が一般に困難である。 |
| 外観 | 未加硫原料は白色から淡色のベール、クラム、ペレット等で供給される場合がある。配合物はカーボンブラックにより黒色となることが多い。 |
| 耐熱性 | 架橋配合により一般に連続使用温度は約100~130℃が目安であり、耐熱配合ではより高温側を狙える場合がある。圧縮永久ひずみ、酸化劣化、架橋系を確認する。 |
| 耐薬品性 | 水、希酸、希アルカリ、アルコール、グリコール、ケトン類には比較的良好である。一方、炭化水素油、ガソリン、芳香族溶剤、ハロゲン化溶剤には不向きである。 |
| 加工性 | ゴム混練、押出、カレンダー、圧縮、トランスファー、ゴム射出成形に対応する。通常の熱可塑性樹脂の射出成形とは異なり、配合・架橋工程を伴う。 |
| 分類上の注意 | EPMは二元共重合体である。少量の非共役ジエンを含むEPDMとは架橋性が異なる。また、PPランダムコポリマーやブロックコポリマーはポリプロピレン系樹脂として区別する。 |
構造式

| 項目 | 構造・内容 |
|---|---|
| 代表的な構造単位 | -[CH2-CH2]m-[CH2-CH(CH3)]n- |
| エチレン単位 | -CH2-CH2-。結晶性、強度、グリーン強度に影響する。 |
| プロピレン単位 | -CH2-CH(CH3)-。規則性を乱し、柔軟性・ゴム弾性に寄与する。 |
| モノマー | エチレン:CH2=CH2、プロピレン:CH2=CH-CH3 |
| 共重合組成 | エチレン含有率はグレードにより異なる。高エチレン側では結晶性と未加硫強度が高まりやすいが、低温柔軟性や混練性とのバランス確認が必要である。 |
| 関連材料 | EPDM、EPM/PPブレンド、TPO、動的架橋型TPV、油展EPM、低分子量EPM、粘度指数向上剤用EPMなどがある。 |
EPMの組成は単一ではなく、エチレン/プロピレン比、単位配列、分子量、分子量分布、長鎖分岐、結晶性により加工性と物性が変化する。高エチレン品では半結晶性が現れ、未加硫強度や押出形状保持性が向上する場合がある。一方、低温柔軟性や混練性とのバランスが必要である。