概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | ポリエチレン |
| 略記号 | PE |
| IUPAC | Poly(methylene) または Polyethylene |
| 英語名 | Polyethylene / Polyethene |
| 日本語名 | ポリエチレン、ポリエチレン樹脂、PE樹脂、エチレン樹脂 |
| 分類 | 熱可塑性樹脂、結晶性樹脂、ポリオレフィン系樹脂 |
| プラスチック分類 | 汎用プラスチック |
| 化学式または代表構造 | (–CH2–CH2–)n |
| CAS No. | 9002-88-4 |
| 構造・主成分 | エチレンを重合して得られる炭化水素系高分子であり、主鎖は炭素と水素からなる。![]() |
| 主な用途 | フィルム、袋、容器、ボトル、パイプ、タンク、電線被覆、発泡体、日用品、工業部品、ライニング材 |
ポリエチレン(PE)は、エチレンを重合して得られる代表的な汎用プラスチックである。軽量で吸水性が極めて低く、電気絶縁性、耐薬品性、低温特性に優れるため、包装材、容器、配管、電線被覆、タンク、シート、フィルム、日用品など幅広い用途に使用される。
分子構造、分岐の程度、密度、分子量により、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などに分類される。一般に、密度が高いほど剛性、耐熱性、耐薬品性が高くなり、密度が低いほど柔軟性、透明性、耐衝撃性が高くなる傾向がある。
材料選定では、耐熱性、応力割れ、耐候性、燃焼性、接着性、印刷性、溶剤による膨潤を確認する必要がある。実使用ではグレード、密度、分子量、添加剤、温度、荷重、応力、薬品濃度、接触時間、屋外暴露条件を含めて評価することが望ましい。
特徴
長所
- 軽量であり、密度はおおむね0.91〜0.97g/cm3程度である。
- 吸水率が非常に低く、寸法変化が小さい。
- 酸、アルカリ、水、塩類水溶液に対して一般に安定である。
- 電気絶縁性が高く、電線被覆や絶縁部材に使用される。
- 低温衝撃性に優れ、低温環境でも比較的脆化しにくい。
- 成形加工性が良く、射出、押出、ブロー、フィルム成形などに適する。
- 食品接触用途に使用されるグレードが多い。
短所
- 耐熱性は高くなく、長期使用温度は一般に80℃前後までが目安である。
- 非極性で表面エネルギーが低く、接着、塗装、印刷には表面処理を要する場合が多い。
- 芳香族炭化水素、塩素系溶剤、燃料油、鉱油などでは膨潤することがある。
- 紫外線により劣化しやすく、屋外用途では耐候安定剤やカーボンブラック配合が必要となる場合がある。
- 燃えやすく、一般グレードの難燃性は高くない。
- 応力、界面活性剤、油、洗剤、温度条件により環境応力割れが発生することがある。
外観
乳白色から半透明の材料である。LDPEやLLDPEは比較的柔軟で透明性を持つグレードが多く、HDPEは白色不透明で剛性が高い。着色、発泡、帯電防止、難燃、耐候、摺動、導電などのコンパウンドグレードも存在する。
耐熱性
融点は種類により異なり、LDPEはおおむね105〜115℃、HDPEはおおむね125〜135℃程度である。連続使用温度は一般に60〜90℃程度が目安であり、荷重がかかる場合や長期使用ではクリープ変形を考慮する必要がある。
耐薬品性
酸、アルカリ、塩類水溶液、水、低級アルコールには一般に良好な耐性を示す。一方、芳香族炭化水素、塩素系溶剤、脂肪族炭化水素、油類、燃料類では、温度や応力条件により膨潤、軟化、応力割れを起こすことがある。
加工性
射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、真空成形、熱融着、溶着加工に適する。吸水性が低いため通常は予備乾燥を必要としないが、保管時の結露、水分、汚染がある場合は乾燥または除湿管理が必要である。
分類上の注意
ポリエチレンは汎用プラスチックに分類されるが、超高分子量ポリエチレンは耐摩耗性や摺動性を生かした工業材料として扱われることが多い。EVA、EVOH、EMAA、EAAなどのエチレン系共重合体は、PEに近い構造を持つが、極性、接着性、バリア性、柔軟性などが異なるため、別材料として選定する必要がある。
構造式
化学式の画像
白黒の構造式として表す場合、MS Pゴシック系フォントで次のように表記できる。
H H
| |
− C − C −
| |
H H
n

代表的な構造単位
(–CH2–CH2–)n
モノマーまたは構成単位
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モノマー | エチレン |
| モノマー構造 | CH2=CH2 |
| 重合後の構造単位 | –CH2–CH2– |
| 基本反応式 | n CH2=CH2 → (–CH2–CH2–)n |
共重合体や変性グレード
LLDPEはエチレンとα-オレフィンを共重合して得られる直鎖状低密度ポリエチレンである。EVAはエチレンと酢酸ビニルの共重合体であり、柔軟性、透明性、接着性が向上する。EVOHはEVAを加水分解して得られるエチレン・ビニルアルコール共重合体であり、酸素バリア性に優れる。酸変性PEや無水マレイン酸変性PEは、接着性、相溶化、複合材の界面改質に使用される。
種類
| 種類の名称 | 主成分または特徴 | 長所 | 短所 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| LDPE | 低密度ポリエチレン。長鎖分岐を持つ。 | 柔軟性、透明性、ヒートシール性、低温特性が良い。 | 剛性、耐熱性、耐摩耗性はHDPEより低い。 | フィルム、袋、ラミネート、チューブ、軟質容器 |
| LLDPE | 直鎖状低密度ポリエチレン。α-オレフィン共重合体。 | 引裂強さ、耐ピンホール性、耐衝撃性が良い。 | 加工条件により溶融張力やフィルム外観の管理が必要である。 | 包装フィルム、ストレッチフィルム、農業用フィルム |
| MDPE | 中密度ポリエチレン。 | 柔軟性と剛性のバランスが良い。 | 国内ではHDPEやLLDPEほど一般的でない場合がある。 | ガス管、通信管、フィルム、容器 |
| HDPE | 高密度ポリエチレン。分岐が少なく結晶性が高い。 | 剛性、耐薬品性、耐摩耗性、耐寒性が良い。 | 透明性、接着性、耐熱寸法安定性は限定的である。 | ボトル、コンテナ、パイプ、タンク、キャップ、切削板 |
| UHMWPE | 超高分子量ポリエチレン。分子量が非常に高い。 | 耐摩耗性、低摩擦性、耐衝撃性、耐薬品性が非常に良い。 | 溶融流動性が極めて低く、通常の射出成形には不向きである。 | 摺動板、ガイド、ライニング、人工関節、繊維、防護材 |
| 架橋PE | PE分子鎖を架橋した材料。PEXとも呼ばれる。 | 耐熱クリープ性、耐応力割れ性、耐久性が向上する。 | 熱可塑的な再溶融成形やリサイクル性は低下する。 | 給湯管、床暖房管、電線被覆、発泡体 |
| 発泡PE | PEを発泡させた軽量材料。 | 緩衝性、断熱性、軽量性、柔軟性が良い。 | 強度、耐熱性、寸法精度は非発泡材より低い。 | 緩衝材、断熱材、包装材、建材、スポーツ用品 |
| 変性PE | 無水マレイン酸変性、酸変性、接着性付与グレードなど。 | 接着性、相溶化、複合材界面接着を改善できる。 | 通常PEと比較してコストや物性バランスの確認が必要である。 | 多層フィルム、接着層、複合材、樹脂改質材 |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 主な製品例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | キャップ、容器、日用品、工業部品 | 収縮率が大きいため、寸法精度と反りを考慮する。 |
| 押出成形 | ◎ | フィルム、シート、パイプ、チューブ、電線被覆 | グレードによりメルトフローレート、溶融張力を選定する。 |
| ブロー成形 | ◎ | ボトル、タンク、灯油缶、容器 | パリソン安定性、肉厚分布、環境応力割れを確認する。 |
| インフレーション成形 | ◎ | 袋、包装フィルム、農業用フィルム | LDPE、LLDPE、HDPEで透明性、強度、シール性が異なる。 |
| 圧縮成形 | ○ | 厚板、UHMWPE板、ブロック材 | UHMWPEでは圧縮成形やラム押出が用いられる。 |
| 真空成形 | △ | トレー、カバー、薄肉成形品 | 結晶性が高く、加熱条件とドローダウン管理が必要である。 |
| 切削加工 | ○ | 治具、摺動部品、ライナー、ローラー | 熱膨張、バリ、寸法変化、クリープに注意する。 |
| 接着・塗装 | △ | 表面処理品、多層材 | 表面エネルギーが低いため、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、プライマーが必要となる場合が多い。 |
| 溶着加工 | ◎ | タンク、配管、シート接合、ライニング | 熱板溶着、押出溶接、超音波溶着などが使用される。 |
代表的な成形条件
| 項目 | 代表値・目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 乾燥温度 | 通常不要、必要時は40〜60℃ | 吸水性は低いが、結露や汚染がある場合は乾燥する。 |
| シリンダー温度 | LDPE:150〜220℃、HDPE:180〜240℃ | グレード、MFR、成形品肉厚により調整する。 |
| 金型温度 | 20〜60℃ | 結晶化、収縮、反り、表面外観に影響する。 |
| 成形収縮率 | 1.5〜4.0%程度 | HDPEは比較的大きく、肉厚、流動方向、結晶化度により変化する。 |
| 予備乾燥の注意 | 過乾燥よりも異物・水滴管理が重要 | 食品接触用途では保管環境とコンタミ管理が重要である。 |
代表的な物性値又は機械的性質
| 項目 | 単位 | LDPE | LLDPE | HDPE | UHMWPE | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm3 | 0.915〜0.930 | 0.915〜0.940 | 0.940〜0.970 | 0.930〜0.945 | 密度が高いほど剛性と耐熱性が高くなる傾向がある。 |
| 引張強さ | MPa | 8〜20 | 10〜30 | 20〜35 | 20〜45 | 分子量、結晶化度、配向、添加剤により変化する。 |
| 伸び | % | 100〜600 | 200〜800 | 50〜600 | 200〜500 | フィルムグレードでは配向により大きく変化する。 |
| 曲げ弾性率 | MPa | 100〜300 | 150〜600 | 700〜1,500 | 600〜1,200 | HDPEはLDPEより剛性が高い。 |
| アイゾット衝撃強さ | J/m | 破壊せず〜高い | 高い | 50〜300以上 | 非常に高い | 低温でも衝撃性を維持しやすい。 |
| 荷重たわみ温度 | ℃ | 35〜50 | 40〜60 | 60〜85 | 70〜90 | 荷重、試験条件、結晶化度により変化する。 |
| 融点 | ℃ | 105〜115 | 115〜125 | 125〜135 | 130〜136 | PEは結晶性樹脂であり、明確なガラス転移温度より融点管理が重要である。 |
| ガラス転移温度 | ℃ | 約-120 | 約-120 | 約-120 | 約-120 | 低温特性に優れる要因の一つである。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 60〜80 | 60〜80 | 80〜90 | 80〜90 | 荷重がある場合はクリープを確認する。 |
| 吸水率 | % | 0.01以下 | 0.01以下 | 0.01以下 | 0.01以下 | 吸水による寸法変化は小さい。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1016以上 | 1016以上 | 1016以上 | 1016以上 | 導電グレード、帯電防止グレードでは異なる。 |
| 酸素指数 | % | 約17〜18 | 約17〜18 | 約17〜18 | 約17〜18 | 一般グレードは燃えやすい。 |
| UL94 | 等級 | HB相当が多い | HB相当が多い | HB相当が多い | HB相当が多い | 難燃グレードは別途確認する。 |
代表グレードの例
| グレード区分 | 特徴 | 主な用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 汎用グレード | 標準的な射出・押出成形用PE。 | 容器、フィルム、キャップ、日用品 | MFR、密度、剛性、衝撃性を確認する。 |
| 耐熱グレード | 高密度化、架橋、添加剤により耐熱性を改善したグレード。 | 配管、容器、電線被覆 | 長期荷重ではクリープを確認する。 |
| 難燃グレード | 難燃剤を配合したグレード。 | 電線、電気部品、建材関連 | UL94、発煙性、ハロゲン有無、RoHS、REACHを確認する。 |
| GF強化グレード | ガラス繊維や無機フィラーで剛性を高めたグレード。 | 構造部品、筐体、工業部品 | 一般的ではないため、PPやPA系との比較が必要である。 |
| 摺動グレード | UHMWPE、潤滑剤配合、帯電防止配合など。 | ガイド、レール、ライナー、搬送部品 | 寸法精度、熱膨張、摩耗粉を確認する。 |
| 食品接触グレード | 食品包装や容器向けの規格対応グレード。 | 食品容器、包装フィルム、ボトル、キャップ | 食品衛生法、FDA、EU規制、溶出条件を確認する。 |
| 医療用途グレード | 医療機器や衛生材料向けに管理されたグレード。 | チューブ、容器、医療用部材、人工関節用UHMWPE | 滅菌方法、生体適合性、薬事規制を個別に確認する。 |
耐薬品性
| 薬品分類 | 代表的な薬品 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 酸類 | 塩酸、希硫酸、酢酸、リン酸 | ◎ | 常温では一般に良好である。濃硝酸や強酸化性酸では劣化することがある。 |
| アルカリ類 | 水酸化ナトリウム、KOH、アンモニア水 | ◎ | 常温では一般に良好である。 |
| 低級アルコール類 | メタノール、エタノール、IPA | ◎ | 短期・常温では良好である。 |
| 高級アルコール類 | グリセリン、ブタノール、MMB | ○ | 多くは比較的安定であるが、温度、応力、添加剤により確認が必要である。 |
| 芳香族炭化水素類 | ベンゼン、トルエン、キシレン | △ | 膨潤、軟化を起こすことがある。高温では不適となる場合がある。 |
| 脂肪族炭化水素類 | ヘキサン、ヘプタン、ミネラルスピリット | △ | 膨潤する場合がある。燃料、油、長期接触では確認が必要である。 |
| ケトン | アセトン、MEK、MIBK | ○〜△ | 常温短時間では比較的安定な場合が多いが、応力割れや膨潤を確認する。 |
| エステル | 酢酸エチル、酢酸ブチル | ○〜△ | 温度、濃度、接触時間により膨潤することがある。 |
| 塩素系溶剤 | 塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン | △〜× | 膨潤、軟化、溶解傾向が強く、長期接触には不向きである。 |
| 水・温水 | 水、海水、温水 | ◎ | 吸水性が低く良好であるが、高温長期では酸化劣化やクリープを確認する。 |
| 油 | 鉱油、潤滑油、植物油 | ○〜△ | 油種、温度、応力条件により膨潤する場合がある。 |
| 燃料 | ガソリン、灯油、軽油 | △ | 膨潤や透過が問題となる場合がある。燃料容器ではバリア層や多層構成を検討する。 |
| 界面活性剤 | 洗剤、乳化剤、湿潤剤 | ○〜△ | 環境応力割れの原因となる場合がある。 |
SP値(溶解度パラメータ)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ポリエチレンの代表的なSP値 | 約16.0〜17.0 MPa1/2 |
| 性質 | 非極性の炭化水素系ポリマーであり、低極性溶剤や炭化水素系溶剤と親和性を示しやすい。 |
| 注意 | SP値は溶解・膨潤の目安であり、結晶化度、分子量、温度、応力、薬品濃度、接触時間、添加剤により実際の耐薬品性は変化する。 |
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0〜2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2〜5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5〜8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
ポリエチレンのSP値を16.5 MPa1/2として、代表的な溶剤とのSP値差を概算した目安である。実使用では、温度、応力、結晶化度、分子量、薬品濃度、接触時間、グレードを含めて評価する必要がある。
| 薬品名 | SP値 MPa1/2 | SP値差 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| ヘキサン | 14.9 | 1.6 | ×〜△ | 膨潤しやすい。長期接触は注意が必要である。 |
| トルエン | 18.2 | 1.7 | △〜× | 膨潤、軟化しやすく、高温では不適となる場合がある。 |
| キシレン | 18.0 | 1.5 | △〜× | 膨潤しやすい。温度上昇で影響が大きくなる。 |
| 塩化メチレン | 20.2 | 3.7 | △〜× | 塩素系溶剤は膨潤、軟化の確認が必要である。 |
| 酢酸エチル | 18.6 | 2.1 | △ | 短時間接触では使用できる場合もあるが、長期接触は確認する。 |
| MEK | 19.0 | 2.5 | ○〜△ | 応力割れや膨潤の確認が必要である。 |
| アセトン | 20.0 | 3.5 | ○〜△ | 常温短時間では比較的安定な場合が多い。 |
| エタノール | 26.0 | 9.5 | ◎ | 一般に良好である。 |
| IPA | 23.5 | 7.0 | ○〜◎ | 常温では良好である。 |
| 水 | 47.9 | 31.4 | ◎ | 吸水性が低く、一般に良好である。 |
製法
原料
ポリエチレンの主原料はエチレンである。エチレンは一般にナフサクラッキング、エタン分解、石油化学プロセスなどから得られる。近年は、バイオエタノール由来エチレンを用いたバイオポリエチレンも使用される。
重合方法
| 製法 | 概要 | 得られる主なPE | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 高圧ラジカル重合 | 高圧下でエチレンをラジカル重合する。 | LDPE | 分岐が多く、柔軟で透明性、シール性が良い。 |
| チーグラー・ナッタ触媒重合 | 低圧または中圧で触媒により重合する。 | HDPE、LLDPE | 分子量、密度、分岐構造を制御しやすい。 |
| メタロセン触媒重合 | 単一活性点触媒により分子構造を制御する。 | mLLDPE、特殊PE | 分子量分布や共重合組成の均一性に優れる。 |
| スラリー重合 | 溶媒中にポリマー粒子を分散させて重合する。 | HDPE、UHMWPE | 高分子量品や高密度品に用いられる。 |
| 気相重合 | 気相中でエチレンを重合する。 | HDPE、LLDPE | 溶媒使用量が少なく、量産性に優れる。 |
| 溶液重合 | 溶媒中で重合し、共重合制御を行う。 | 特殊PE、エチレン系共重合体 | 高機能グレードに用いられる場合がある。 |
代表的な反応式
n CH2=CH2 → (–CH2–CH2–)n
ペレット化やコンパウンド
重合後のポリエチレンは、未反応モノマーや溶媒を除去し、安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、カーボンブラック、顔料、難燃剤、無機フィラーなどを必要に応じて配合する。その後、押出機で溶融混練し、ペレット化して成形材料として供給される。
添加剤、充填材、強化材
| 添加・改質内容 | 目的 | 注意点 |
|---|---|---|
| 酸化防止剤 | 成形時や使用時の熱酸化劣化を抑える。 | 食品接触用途では規格適合を確認する。 |
| 紫外線安定剤 | 屋外暴露による劣化を抑える。 | 長期屋外用途では耐候試験が必要である。 |
| カーボンブラック | 耐候性、遮光性、導電性を付与する。 | 色調、電気特性、食品規制を確認する。 |
| 帯電防止剤 | 静電気帯電を抑える。 | 湿度依存性、ブリード、食品接触を確認する。 |
| 難燃剤 | 燃焼性を改善する。 | UL94、RoHS、REACH、ハロゲン有無を確認する。 |
| 無機フィラー | 剛性、寸法安定性、コスト、熱変形を改善する。 | 衝撃性、比重、成形摩耗が変化する。 |
| ガラス繊維 | 剛性、強度、耐熱変形性を改善する。 | PEでは一般的な強化手段ではなく、相溶化剤や界面接着が重要である。 |
詳細な利用用途
| 用途分野 | 具体例 | 使用される主なPE | 選定時の注意点 |
|---|---|---|---|
| 自動車 | 燃料タンク、ウォッシャータンク、ダクト、保護チューブ、内装部品 | HDPE、LLDPE、変性PE | 燃料透過、耐熱性、耐薬品性、耐候性、難燃性を確認する。 |
| 電気・電子 | 電線被覆、絶縁材、通信ケーブル、保護チューブ | LDPE、HDPE、架橋PE | 絶縁性、耐トラッキング性、難燃性、耐熱老化性を確認する。 |
| 機械部品 | ガイド、ライナー、ローラー、摺動板、搬送部品 | HDPE、UHMWPE | 摩耗、摩擦、クリープ、熱膨張、寸法精度を確認する。 |
| 医療 | チューブ、容器、衛生材料、人工関節用部材 | HDPE、LDPE、UHMWPE | 医療グレード、生体適合性、滅菌適性、薬事規制を確認する。 |
| 食品機械・食品包装 | 食品容器、包装フィルム、キャップ、まな板、搬送部材 | LDPE、LLDPE、HDPE、UHMWPE | 食品衛生法、FDA、EU規制、耐洗剤性、摩耗粉を確認する。 |
| 建築・設備 | 給水管、ガス管、排水部材、防水シート、断熱発泡材 | HDPE、MDPE、架橋PE、発泡PE | 耐候性、耐圧、クリープ、施工方法、規格適合を確認する。 |
| 包装 | 袋、ラミネート、ストレッチフィルム、シュリンクフィルム | LDPE、LLDPE、HDPE | 透明性、シール性、引裂強さ、ピンホール、滑り性を確認する。 |
| 化学・環境設備 | タンク、ライニング、薬液容器、配管、ダクト | HDPE、UHMWPE | 薬品濃度、温度、応力、接触時間、溶接部の耐久性を確認する。 |
| 農業・水産 | 農業用フィルム、灌水チューブ、漁網、浮子、コンテナ | LDPE、LLDPE、HDPE | 耐候性、耐寒性、耐摩耗性、紫外線安定性を確認する。 |
用途別選定
| 用途 | 推奨されやすい材料 | 理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ギア | UHMWPE、POM、PA | PEでは低摩擦性は良いが剛性と寸法精度は限定的である。 | 高荷重ギアではPOMやPAを検討する。 |
| 軸受 | UHMWPE、摺動PE | 低摩擦、耐摩耗、耐薬品性が良い。 | 熱膨張、クリープ、PV値を確認する。 |
| チューブ | LDPE、HDPE、架橋PE | 柔軟性、耐薬品性、成形性が良い。 | 耐圧、耐熱、燃料透過を確認する。 |
| 筐体 | HDPE、PP、ABS | PEは耐薬品性と耐衝撃性に優れる。 | 剛性、表面外観、印刷性ではPPやABSが有利な場合がある。 |
| フィルム | LDPE、LLDPE、HDPE | シール性、柔軟性、引裂強さ、コストバランスが良い。 | ガスバリア性が必要な場合はEVOHや多層構成を検討する。 |
| コネクタ | PP、PA、PBT | PEは絶縁性は良いが耐熱性、剛性、寸法精度が不足しやすい。 | 高温電装用途ではPBTやPAを検討する。 |
法規制・規格に関する注意
| 項目 | 確認内容 | 備考 |
|---|---|---|
| RoHS | 鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、特定臭素系難燃剤、フタル酸エステル類など。 | 樹脂単体だけでなく、着色剤、難燃剤、添加剤を確認する。 |
| REACH | SVHC、制限物質、添加剤の登録状況。 | 欧州向け製品では最新リストの確認が必要である。 |
| 食品衛生 | 日本の食品衛生法、ポジティブリスト、溶出試験。 | 食品容器、包装、食品機械部材ではグレード指定が必要である。 |
| FDA | 米国食品接触用途への適合性。 | FDA適合はグレード単位で確認する。 |
| 医療用途 | ISO 10993、生体適合性、滅菌適性、薬事規制。 | 医療用途では一般工業グレードをそのまま使用しない。 |
| 難燃性 | UL94、酸素指数、発煙性、ハロゲン有無。 | 一般PEは燃えやすく、難燃グレードの確認が必要である。 |
注意点
- 加水分解は問題になりにくいが、熱酸化劣化、紫外線劣化、応力割れには注意する。
- 表面エネルギーが低く、接着、塗装、印刷には表面処理が必要となる場合が多い。
- 吸湿による寸法変化は小さいが、保管時の結露や異物混入は成形不良の原因となる。
- 高温下ではクリープ変形が起こりやすいため、荷重部品では長期たわみを確認する。
- 有機溶剤、油、燃料、界面活性剤との接触では膨潤や環境応力割れを確認する。
- アウトガス、添加剤ブリード、臭気が問題になる用途では専用グレードを選定する。
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | ポリエチレンとの違い |
|---|---|---|
| ポリプロピレン(PP) | PEと同じポリオレフィン系の汎用プラスチックで、剛性と耐熱性が比較的高い。 | PPはPEより耐熱性と剛性に優れるが、低温衝撃性はPEが有利な場合が多い。 |
| ポリ塩化ビニル(PVC) | 難燃性、耐薬品性、加工性に優れる塩素含有樹脂。 | PVCは難燃性と接着・溶着性で有利であるが、PEは軽量性、耐寒性、食品包装用途で使いやすい。 |
| ポリエチレンテレフタレート(PET) | 透明性、剛性、寸法安定性、ガスバリア性に優れるポリエステル系樹脂。 | PETは剛性と透明性、バリア性で優れるが、PEは柔軟性、耐薬品性、ヒートシール性で有利である。 |
| ポリアセタール(POM) | 機械強度、摺動性、寸法精度に優れるエンジニアリングプラスチック。 | POMはギアや精密摺動部品に適する。PEは耐薬品性、低吸水、低コスト、大型成形で有利である。 |
| ポリアミド6(PA6) | 強度、耐摩耗性、耐熱性に優れるエンプラ。 | PA6は強度と耐熱性で優れるが吸水する。PEは吸水が非常に少なく、耐薬品性に優れる。 |
| ポリテトラフルオロエチレン(PTFE) | 耐熱性、耐薬品性、低摩擦性に非常に優れるフッ素樹脂。 | PTFEは耐熱・耐薬品性で大きく優れるが、PEは成形加工性とコストで有利である。 |
| エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA) | PEに酢酸ビニル成分を導入した柔軟な共重合体。 | EVAは柔軟性、透明性、接着性に優れるが、PEより耐熱性、耐油性、耐溶剤性は低下する場合がある。 |
| エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH) | 酸素バリア性に優れるエチレン系共重合体。 | EVOHはバリア層に適するが、湿度の影響を受けやすい。PEはシール層、保護層、耐水層として使われる。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 三井化学 | ハイゼックス、ミラソン、タフマーなど | ポリエチレン、エラストマー、機能性ポリオレフィンを展開する国内主要メーカーである。 |
| プライムポリマー | HI-ZEX、Evolue、ULTZEXなど | ポリエチレン、ポリプロピレンを扱う国内ポリオレフィンメーカーである。 |
| 日本ポリエチレン | ノバテックPE、カーネルなど | LDPE、LLDPE、HDPEなどを展開する国内ポリエチレンメーカーである。 |
| 住友化学 | スミカセン、エクセレンなど | ポリエチレン、機能性ポリオレフィン、各種樹脂材料を展開する化学メーカーである。 |
| 旭化成 | サンテックなど | ポリエチレン、ポリアセタール、エンジニアリングプラスチックなどを展開する国内メーカーである。 |
| Dow | DOWLEX、ELITE、AFFINITYなど | 包装、フィルム、成形材料向けのポリエチレンおよびポリオレフィン系材料を展開する大手化学メーカーである。 |
| ExxonMobil Chemical | Exceed、Enable、Paxonなど | LLDPE、HDPE、メタロセン系PEなどを展開するグローバルメーカーである。 |
| LyondellBasell | Lupolen、Hostalenなど | ポリエチレン、ポリプロピレンを含むポリオレフィンの大手メーカーである。 |
| SABIC | SABIC HDPE、SABIC LLDPEなど | 包装、パイプ、容器、工業用途向けのPEを展開するグローバルメーカーである。 |
| Borealis | Borstar、BorSafeなど | パイプ、フィルム、ケーブル、成形用途向けのポリエチレンを展開するメーカーである。 |
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概要
| 材料名 | ポリエチレン |
|---|---|
| 略記号 | PE |
| 英語名 | Polyethylene |
| 分類 | 汎用プラスチック、熱可塑性樹脂、結晶性樹脂、ポリオレフィン系樹脂 |
| 構成単位 | ![]() |
| 主な種類 | LDPE、LLDPE、HDPE、UHMWPE |
ポリエチレン(PE)は、エチレンを重合して得られる代表的な汎用プラスチックです。 軽量で吸水性が低く、電気絶縁性、耐薬品性、低温特性に優れるため、包装材、容器、配管、フィルム、電線被覆、タンク、日用品など幅広い用途に使用されます。
分子構造や密度の違いにより、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などに分類されます。
分類
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| LDPE | 柔軟性、透明性、ヒートシール性に優れる | フィルム、袋、ラミネート、容器 |
| LLDPE | 引裂強度、耐衝撃性、シール性に優れる | ストレッチフィルム、包装材、農業用フィルム |
| HDPE | 剛性、耐薬品性、耐衝撃性に優れる | ボトル、タンク、パイプ、コンテナ |
| UHMWPE | 耐摩耗性、低摩擦性、耐衝撃性に非常に優れる | 摺動部材、ライニング、医療部材、搬送部品 |
長所
- 比重が小さく、非常に軽量
- 耐水性・耐湿性に優れる
- 酸・アルカリ・塩類に対して安定
- 電気絶縁性が高い
- 低温衝撃性に優れる
- 食品包装や容器用途に適する
- 成形加工性が良い
- 比較的安価で大量生産に向く
短所
- 耐熱性は高くない
- 表面硬度が低く、傷が付きやすい
- 接着・印刷・塗装が難しい
- 紫外線で劣化しやすい
- ガスバリア性は高くない
- 芳香族炭化水素や塩素系溶剤では高温時に膨潤・溶解しやすい
- クリープ変形が起こりやすい
成形加工
ポリエチレンは熱可塑性樹脂であり、各種成形加工に対応できます。 特に押出成形、射出成形、ブロー成形、インフレーション成形で多く使用されます。
| 加工方法 | 適性 | 主な製品例 |
|---|---|---|
| 射出成形 | ◎ | キャップ、容器、ケース、日用品、工業部品 |
| 押出成形 | ◎ | パイプ、シート、フィルム、電線被覆 |
| ブロー成形 | ◎ | ボトル、タンク、灯油缶、薬品容器 |
| インフレーション成形 | ◎ | 袋、包装フィルム、農業用フィルム |
| 真空成形 | ○ | トレー、包装容器 |
| 切削加工 | ○ | 板材、ライニング、治具、摺動部品 |
代表的な物性値
| 項目 | LDPE | HDPE | 備考 |
|---|---|---|---|
| 密度 | 0.91〜0.93 g/cm³ | 0.94〜0.97 g/cm³ | 密度が高いほど剛性・耐薬品性が向上しやすい |
| 融点 | 約105〜115℃ | 約125〜135℃ | 結晶化度に依存 |
| 連続使用温度 | 約60〜80℃ | 約80〜100℃ | 荷重・環境により変動 |
| 引張強度 | 約8〜20 MPa | 約20〜35 MPa | HDPEの方が高い |
| 曲げ弾性率 | 約100〜300 MPa | 約700〜1500 MPa | HDPEは剛性が高い |
| 吸水率 | 極めて小さい | 極めて小さい | 寸法安定性に優れる |
| 体積抵抗率 | 高い | 高い | 電気絶縁用途に適する |
耐薬品性
ポリエチレンは非極性のポリオレフィン系樹脂であり、水、酸、アルカリ、塩類に対して非常に安定です。 一方で、芳香族炭化水素や塩素系溶剤では、高温条件で膨潤または溶解する場合があります。
| 薬品・溶剤 | 耐性 | 備考 |
|---|---|---|
| 水 | ◎ | 吸水性が極めて低く安定 |
| 酸 | ◎〜○ | 多くの酸に安定。ただし強酸化性酸は注意 |
| アルカリ | ◎ | NaOH、KOHなどに強い |
| アルコール | ◎ | エタノール、IPAに安定 |
| ケトン | △〜× | アセトン、MEKでは条件により膨潤の可能性 |
| 芳香族溶剤 | △ | トルエン、キシレンでは高温時に膨潤・溶解しやすい |
| 塩素系溶剤 | △〜× | 高温・長時間接触では不適 |
| ガソリン | ○〜◎ | 短期では比較的安定だが、燃料用途では専用グレードが必要 |
※耐薬品性は、温度、濃度、接触時間、応力状態、グレードにより変動します。 薬液タンクや配管用途では実使用条件での確認が必要です。
更に詳しくはプラスチックの耐薬品性一覧表を参照
SP値(溶解度パラメータ)と溶解性
ポリエチレン(PE)は非極性のポリオレフィン系樹脂であり、分子間相互作用が弱い。 そのため極性溶媒には安定であるが、非極性溶媒に対しては膨潤または溶解する傾向がある。
SP値(Hildebrandパラメータ)
| 材料 | SP値(δ) | 特徴 |
|---|---|---|
| ポリエチレン(PE) | 約15.8〜16.5 (MPa1/2) | 非極性・低分子間力 |
ポリプロピレン(PP)と同様に非極性材料であり、 水やアルコールなどの極性溶媒には非常に安定である。
溶解性の目安
| Δδ | 挙動 |
|---|---|
| 0〜2 | 溶解しやすい |
| 2〜5 | 膨潤・軟化 |
| 5以上 | 溶解しにくい |
PEと代表溶媒の相性
| 溶媒 | SP値 | 挙動 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ヘキサン | 14.9 | ○(膨潤〜溶解) | 高温で溶解 |
| トルエン | 18.2 | △(膨潤) | 高温で影響増大 |
| キシレン | 18.0 | ○(溶解) | 高温で溶解しやすい |
| デカリン | 16.0 | ◎(溶解) | PE溶解用代表溶媒(高温) |
| アセトン | 19.9 | ◎(安定) | 影響なし |
| エタノール | 26.0 | ◎(安定) | 影響なし |
| 水 | 47.9 | ◎(安定) | 完全に不溶 |
SP値と溶解性比較(PE / PP / PVC)
主要汎用樹脂におけるSP値と溶解挙動の比較である。 溶解性は極性・分子間力に大きく依存する。
| 材料 | SP値(δ) | 極性 | 溶解性傾向 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ポリエチレン(PE) | 15.8〜16.5 | 非極性 | 非極性溶媒で溶解 | 最も溶けやすいポリオレフィン |
| ポリプロピレン(PP) | 16.0〜16.7 | 非極性 | 高温で溶解 | PEより溶けにくい |
| ポリ塩化ビニル(PVC) | 18.5〜20.5 | 極性 | 極性溶媒で溶解 | 溶剤選択性が強い |
実務上のポイント
- PEは極性溶媒(水・アルコール)にはほぼ影響を受けない
- 非極性溶媒(炭化水素系)では膨潤または溶解する
- 溶解は主に高温条件で起こる(室温では起こりにくい)
- 結晶性が高いほど溶解しにくい(HDPE>LDPE)
- 溶剤によるクラックよりも膨潤が主な問題となる
注意点
- LDPEとHDPEで溶解性は異なる
- 温度依存性が非常に大きい(常温では安定でも高温で溶解)
- 分子量が高いほど溶解しにくい(UHMWPEはほぼ不溶)
- SP値は溶解性の目安であり、耐久性評価とは異なる
製法
ポリエチレンは、エチレンを重合して製造されます。 重合方法や触媒、圧力条件により、LDPE、LLDPE、HDPEなどの異なる構造のポリエチレンが得られます。
| 種類 | 代表的製法 | 特徴 |
|---|---|---|
| LDPE | 高圧ラジカル重合 | 長鎖分岐を持ち、柔軟性と透明性が高い |
| HDPE | チーグラー・ナッタ触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒 | 分岐が少なく、高密度・高剛性 |
| LLDPE | エチレンとα-オレフィンの共重合 | 短鎖分岐を持ち、強度と柔軟性のバランスが良い |
| UHMWPE | 特殊触媒による高分子量化 | 分子量が非常に高く、耐摩耗性に優れる |
詳細な利用用途
包装・フィルム用途
- 食品包装フィルム
- レジ袋、ポリ袋
- ストレッチフィルム
- 農業用フィルム
- ラミネートフィルム
容器・ボトル用途
- 洗剤容器
- 薬品容器
- 灯油缶
- タンク
- キャップ、蓋
配管・設備用途
- 給水管
- ガス管
- 薬液配管
- 排水管
- ライニング材
電気・電子用途
- 電線被覆
- 通信ケーブル被覆
- 絶縁部材
工業部品用途
- コンテナ
- パレット
- 搬送部品
- 摺動部材
- 保護カバー
関連材料との比較
| 比較材料 | PEとの違い | 選定ポイント |
|---|---|---|
| PP | PPはPEより剛性・耐熱性が高いが、低温衝撃性はPEが有利 | 耐熱性重視ならPP、低温性・柔軟性重視ならPE |
| PVC | PVCは難燃性・透明性を付与しやすいが、可塑剤や熱安定性に注意 | 配管や透明用途ではPVC、軽量・耐薬品用途ではPE |
| PET | PETは剛性・透明性・ガスバリア性が高いが、アルカリに弱い | ボトル透明性ならPET、耐アルカリ性ならPE |
| PS | PSは透明性と剛性があるが、耐溶剤性・耐衝撃性はPEが有利 | 透明性ならPS、耐薬品性ならPE |
| POM | POMは機械強度・摺動性が高いが、酸に注意 | 精密機械部品ならPOM、耐薬品容器ならPE |
| UHMWPE | UHMWPEはPEの中でも分子量が極めて高く、耐摩耗性に優れる | 摺動・摩耗用途ではUHMWPEが有利 |
代表的なメーカー・商品名
| メーカー | 代表的な商品名・グレード例 | 備考 |
|---|---|---|
| 三井化学 | ハイゼックス、エボリュー | HDPE、LLDPEなど |
| 住友化学 | スミカセン | LDPE、LLDPEなど |
| 日本ポリエチレン | ノバテックPE、カーネル | 包装、成形、フィルム用途 |
| プライムポリマー | ウルトゼックス、エボリュー | LLDPE、特殊PE系 |
| SABIC | SABIC HDPE / LDPE | 汎用・工業用途 |
| Dow | DOWLEX、ELITE | LLDPE、包装フィルム用途 |
| LyondellBasell | Lupolen、Hostalen | LDPE、HDPE |
| INEOS | 各種HDPE / LDPE | 包装、パイプ、成形用途 |
まとめ
ポリエチレンは、軽量性、耐水性、耐薬品性、電気絶縁性、成形加工性に優れた代表的な汎用プラスチックです。 特に酸・アルカリ・水に対する安定性が高く、容器、フィルム、配管、電線被覆など幅広い用途に使用されています。
一方で、耐熱性、表面硬度、接着性、印刷性、耐候性には弱点があります。 用途に応じてLDPE、LLDPE、HDPE、UHMWPEを使い分けることが重要です。