概要
略記号:PES
別名:ポリエーテルサルホン, ポリエーテルスルホン
英語名:polyethersulfone
化学式:
- ポリエーテルスルホンは、ICIが開発した非結晶の樹脂で、現在は住友化学がライセンス生産を行っている。
- 未充填の熱可塑性樹脂の中では、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトンに次ぐ、高い耐熱性を有する。
特性
- 主鎖に脂肪族単位を含まず、フェニレン基単位の比率が高いため、剛性、耐熱性にすぐれている。
- 機械的強度にすぐれている。
- 180℃の高温下でも引張強さが通常の状態の1/2の強さを有する。
- 高温時の耐クリープ性にすぐれており、ガラス繊維30%充填品は、180℃、20MPaの荷重下で、4ヶ月後の歪は0.005%以下となる。
- 耐薬品性にすぐれている。
- 耐熱水性にすぐれている。
- -150℃の極低温環境でも脆化破壊しない。
- 高温下においてもすぐれて特性が維持される。
- 電気特性にすぐれている。
- 燃焼特性にもすぐれており、発煙量が極めて少ない。
- FDAおよび食品容器衛生規格(厚生省告示 20号)に合致している。
- 耐紫外線性が劣るため、屋外での使用の場合には紫外線吸収剤やカーボンブラックの添加が必要となる。
- 高い加工温度が必要となる。
- エーテル基により分子鎖に可撓効果が付与されることで、溶融時の流動性が良好となり、通常の成形機でも成形が可能となる。
性質 | 単位 | 標準 | 30%ガラス 繊維強化 |
---|---|---|---|
比重 | 1.37 | 1.60 | |
吸水率 | % | 0.43 | 0.30 |
引張強さ | MPa | 86 | 143 |
引張伸び | % | 6 | |
曲げ強さ | MPa | 132 | 194 |
曲げ弾性率 | GPa | 2.6 | 8.6 |
アイゾット衝撃強さ (ノッチ付き) | J/m | 87 | 83 |
連続使用温度 | ℃ | 180 | 180 |
荷重たわみ温度 (1.82MPa) | ℃ | 203 | 216 |
難燃性 | UL-94 | V-0 | V-0 |
誘電率 | 60Hz | 3.5 | |
絶縁破壊強さ | kV/mm | 16 | 16 |
成形収縮 | % | 0.6 | 0.2 |
製法
- ジクロロジフェニルスルホンとビスフェノールSに炭酸カリウムを添加して、高沸点溶媒中で縮重合反応によって得られる。
構造
利用用途
- 精密機器
- 自動車部品(スピードセンサ部品、内装材、ヒューズ)
- 調理用品(タッパウェア等)
- イグニッション部品
- トランスミッションのバルブ
- 家電(アイロン部品、電子レンジ部品、医療機器など)
- 電気・電子分野(コネクタやプリント基板、ソケット等)
- 航空機用部品(内装材、ヒューズ)
- 機械部品(ギア、軸受け)
- 温水パイプ設備
- 医療機器部品(歯科ドリル)
- 電気電子部品(筐体、スイッチ、コネクタ)
- BGA・CSP関連ソケット
- 温水配管設備部品
- バルブシート
- コイルボビン
- 医療機器部品
- リレー・コネクター
- のぞき窓
- 照明べザル