概要
略記号:GMA
英語名:Polymer(acrylonitrile/2,3-epoxypropyl methacrylate/styrene), Glycidyl Methacrylate
IUPAC:2-Oxiranylmethyl 2-methylprop-2-enoate
日本語:メタクリル酸-2,3-エポキシプロピル、2-オキシラニルメチル=2-メチルプロパ-2-エノアート
CAS:29762-66-1
化学式:C7H10O3

特性
融点:-41.5℃
沸点:189℃
状態:常温時は無色透明の液体
メタクリル酸グリシジルは「メタクリル酸2,3-エポキシプロピル」「GMA」などとも呼ばれている有機化合物です。融点-41.5℃、沸点189℃で、常温において無色透明の液体。
また、フタル酸ジブチルは、PRTR法において第1種指定化学物質に指定されています。また、労働安全衛生法において変異原性が認められた既存化学物質に、消防法において「第4類危険物・第三石油類(非水溶性液体)」に指定されています。このほか、毒物および劇物取締法における劇物。
- 多機能な反応性:メタクリロイル基による熱・光重合と、エポキシ基による熱・触媒架橋の二段構えの反応が可能。
- 密着性の向上:エポキシ基が金属、ガラス、極性樹脂(PETやPAなど)に対して強力な化学結合を作るため、コーティング剤の密着性を劇的に改善する。
- 耐候性と透明性:アクリル骨格を持つため、純粋なエポキシ樹脂よりも紫外線による黄変が少なく、屋外使用に耐える。
- 相溶化作用:本来混ざり合わない異種ポリマー(例:ポリエチレンとナイロン)を混ぜ合わせる際の「相溶化剤」として機能し、合金化(ポリマーアロイ)を可能にする。
製造方法
メタクリル酸グリシジルは、メタクリル酸ナトリウムとエピクロロヒドリンを反応させて合成。
メタクリル酸グリシジルは、ラジカル重合開始剤により二重結合による重合を行う。また、ルイス酸によりエポキシ基の開環重合を行う。加えて、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリルなどと容易に共重合する特徴がある。
GMAは単独で重合させるよりも、他のモノマー(スチレン、アクリル酸エステル等)と共重合させることで、ポリマー鎖にエポキシ基を導入する目的で多用される。
反応・硬化メカニズム
- 共重合:まずGMAを他のアクリルモノマー等とラジカル重合させ、側鎖にエポキシ基がぶら下がった状態のポリマー(プレポリマー)を作る。
- 架橋(硬化):成形や塗装の段階で、アミン類、酸無水物、またはカルボキシル基を持つ樹脂と反応させることで、側鎖のエポキシ基同士が架橋し、強固な硬化物となる。
主な派生製品・混合形態
- GMA変性ポリオレフィン:接着性のないポリエチレン等にGMAをグラフト重合させたもので、金属との積層フィルムなどに使われる。
- アクリルエポキシハイブリッド樹脂:GMAを用いることで、アクリルの美粧性とエポキシの強靭さを分子レベルで融合させた樹脂。
利用用途
メタクリル酸グリシジルの性質を基に、アクリル粉体塗料や溶剤型アクリル塗料などの塗装用樹脂の原料として用いられている。また、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂 (ABS樹脂) とポリスチレン樹脂における樹脂改質剤およびアクリル樹脂エマルジョン系の接着剤樹脂などの原料としても利用されている。
主に塗料、接着剤、樹脂改質の分野で「高機能化の要」として使用される。
- 自動車用粉体塗料:高級車のクリアコートにおいて、耐擦傷性と耐酸性雨性を両立させる架橋剤。
- ポリマーアロイ改質剤:ポリオレフィン(PP/PE)やエンジニアリングプラスチックの耐衝撃性改良。
- 感光性材料:半導体レジスト、フォトレジスト、UV硬化インクの原料。
- 繊維・紙処理剤:繊維の防皺加工や、紙の強度向上、撥水性付与。
- 歯科材料:歯科用レジン(詰め物)の密着性向上成分。
長所と短所
長所
- 1分子で2種類の硬化システム(ラジカルとイオン)を利用できる
- 極めて微量の添加で樹脂の物性(密着性、耐熱性)を底上げできる
- 既存のアクリル樹脂生産ラインを流用して高機能化が可能
短所
- モノマー状態では皮膚刺激性や毒性が強いため、取り扱いに厳格な管理が必要
- 反応性が高いため、貯蔵中に重合(ゲル化)しないよう温度管理や重合禁止剤の調整が不可欠
