ガラス繊維強化プラスチック

略記号:GFRP

英語名:Glass Fiber Reinforced Plastic

日本語:ガラス繊維強化プラスチック

化学式:ガラス繊維 + 樹脂 (ガラス繊維はSiO2をベースに各種配合あり)

ガラス繊維を樹脂で強化した複合材料。強度・耐食性に優れ、コストパフォーマンスが高いため、建築、船舶、車両、電気絶縁部品など幅広い分野で利用されています。

概要

ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)は、安価で入手容易なガラス繊維を補強材とし、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂などをマトリックスとして用いた複合材料です。耐食性や電気絶縁性に優れ、船舶・タンク・風力発電ブレードなど大型構造物に多用されています。

主なガラス繊維の種類

ARガラス:耐アルカリ性(セメント補強用)

Eガラス:電気絶縁性に優れる、最も一般的

Sガラス:高強度タイプ

Cガラス:耐食性に優れる

特性

下表は不飽和ポリエステル樹脂をマトリックスとしたGFRPの一般的な特性例です。

項目代表値(目安)備考
引張強さ300–1,000 MPa配向・含有率に依存
引張弾性率20–50 GPaCFRPより低い
密度1.6–2.0 g/cm³鉄鋼より軽いがCFRPより重い
曲げ強度300–600 MPa異方性あり
熱変形温度100–180 ℃樹脂種類による
電気絶縁性高い電気部品に適する

製造方法

チョップドストランドマット

ランダム配向。ハンドレイアップや成形品に多用。

ロービング

連続繊維束。引抜成形・フィラメントワインディングに。

織布

方向性制御に適する。構造部材で利用。

短繊維ペレット

射出成形用。自動車部品に多い。

代表的な成形法

  • ハンドレイアップ成形:型にマットと樹脂を積層、船舶やタンクに。
  • スプレーアップ成形:短繊維をスプレー、量産に有利。
  • フィラメントワインディング:圧力容器・パイプに。
  • 引抜成形:長尺の棒材やプロファイル部品。
  • 射出成形(短繊維):自動車部品、電気機器。

構造

 ガラス繊維 + 各種樹脂

利用用途

  • 船舶、風力発電ブレード、大型タンク
  • 自動車部品(バンパー、エンジンカバー)
  • 建築資材(パネル、断熱材補強)
  • 電気絶縁部品(基板、筐体)
  • 水処理設備、パイプ、圧力容器

長所・短所

長所

  • 低コストで入手性が高い
  • 耐食性に優れ、化学プラントや屋外用途に適する
  • 電気絶縁性が良好
  • 成形プロセスの選択肢が多い

短所

  • CFRPに比べて強度・弾性率が低い
  • 重量がやや大きい
  • 透明性はほぼない
  • リサイクルは容易ではない

設計上の注意点

  • 異方性を考慮した設計が必要
  • ガラス繊維粉じんは作業環境対策(吸入防止)が必須
  • アルカリ環境に弱い繊維種もあるため選択注意
  • 熱伝導率は低く、熱膨張特性も設計で配慮

リサイクルと環境配慮

  • 機械的粉砕し、充填材や短繊維材に再利用
  • 熱分解で繊維回収可能だが品質低下あり
  • 近年はリサイクル性を改善した熱可塑性マトリックスとの組合せが検討中

よくある質問(FAQ)

Q. GFRPは金属より腐食しにくいですか?

A. はい。ガラス繊維も樹脂も腐食に強く、特に化学薬品や水分環境で長寿命です。

Q. CFRPと比べて性能は?

A. 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)ほどの強度・剛性はありませんが、コストが安く、十分な強度と耐食性を持つため、多くの産業分野で最も広く使われています。

Q. 電気絶縁性はありますか?

A. はい。樹脂とガラス繊維の組合せは優れた電気絶縁材料であり、配電盤や電子機器に利用されます。

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