概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料名 | エチレンプロピレンジエンゴム |
| 略記号 | EPDM、EPT |
| IUPAC | poly(ethylene-co-propylene-co-diene)。単一化合物ではなく、エチレン、プロピレンおよび少量の非共役ジエンからなる共重合体群である。 |
| 英語名 | Ethylene Propylene Diene Monomer Rubber、Ethylene Propylene Diene Rubber、Ethylene Propylene Terpolymer |
| 日本語名・別名 | エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合ゴム、エチレンプロピレンターポリマー、EPTゴム |
| 分類 | 合成ゴム、オレフィン系エラストマー、架橋型エラストマー |
| プラスチック分類 | ゴム・エラストマー。一般的なプラスチック、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックには分類しない。 |
| 化学式・代表構造 | -[CH2-CH2]m-[CH2-CH(CH3)]n-[ジエン由来単位]p- |
| CAS No. | 25038-36-2が代表的な登録番号として用いられることがある。ただし、共重合組成、ジエン種、油展状態および製品登録により異なる場合がある。 |
| 構造・主成分 | エチレン、プロピレンおよび少量の非共役ジエンからなる三元共重合体である。代表的なジエンは5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン(DCPD)などである。 |
| 主な用途 | 自動車用ウェザーストリップ、ラジエーターホース、ブレーキ系シール、建築用ガスケット、防水シート、電線被覆、Oリング、パッキン、スポンジ、工業用ホースなどである。 |
エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)は、飽和度の高いオレフィン系主鎖と、架橋反応に利用できる少量のジエン単位を併せ持つ合成ゴムである。主鎖に不飽和結合が多い天然ゴム、SBR、NBRなどと比較して、一般に耐オゾン性、耐候性、耐熱老化性、耐水性および電気絶縁性に優れる。
一方、鉱物油、ガソリン、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素および多くの炭化水素系溶剤では膨潤しやすい。屋外、水系、蒸気、希酸・希アルカリ用途では有力な候補となるが、燃料油・潤滑油用途ではNBR、HNBR、FKMなどとの比較が必要である。
市販EPDMの性能は、エチレン含有率、ジエン量、分子量、油展量、充填材、可塑剤、加硫系、架橋密度および成形条件により大きく変化する。以下の数値は特に断らない限り、加硫済み一般配合EPDMの代表範囲であり、特定メーカーの保証値ではない。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 長所 | 耐オゾン性、耐候性、耐熱老化性、耐水性、耐温水性、耐蒸気性、耐極性薬品性、低温柔軟性および電気絶縁性に優れる。ソリッド、スポンジ、発泡体などへ展開しやすい。 |
| 短所 | 鉱物油、燃料油、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素および塩素系溶剤に対する耐性が低い。未処理表面は接着・塗装が難しい。 |
| 外観 | 原料ポリマーは白色から淡色のベールまたはペレット状である。加硫成形品は黒色が多いが、白色、灰色、着色品、スポンジ品も製造できる。 |
| 耐熱性 | 一般配合の連続使用温度は概ね100~130℃、耐熱配合では150℃近傍まで使用される場合がある。実用上限は加硫系、流体環境および要求寿命により異なる。 |
| 耐薬品性 | 水、温水、蒸気、希酸、希アルカリ、アルコール、グリコール、ケトンおよび一部のブレーキ液に比較的良好である。炭化水素油、燃料、トルエン、キシレン、ヘキサンでは膨潤に注意する。 |
| 加工性 | 混練、押出、カレンダー、圧縮成形、トランスファー成形およびゴム射出成形に対応する。硫黄加硫、過酸化物架橋、樹脂架橋などが用いられる。 |
| 分類上の注意 | EPMはジエンを含まないエチレン・プロピレン共重合ゴムである。TPVはEPDM相を動的加硫した熱可塑性エラストマーであり、通常の加硫EPDMとは再成形性が異なる。 |
構造式

EPDMは、エチレン単位、プロピレン単位、少量の非共役ジエン単位からなる三元共重合体である。ジエン成分にはENB、DCPD、1,4-ヘキサジエンなどが使われる。
代表的な構造単位
| 構成単位 | 代表構造 | 主な役割 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| エチレン単位 | -CH2-CH2- | 耐熱性、結晶性、グリーン強度および機械強度に影響する。 | 高エチレン型では強度と押出形状保持性が上がる場合があるが、低温柔軟性との調整が必要である。 |
| プロピレン単位 | -CH2-CH(CH3)- | 非晶性、柔軟性、低温特性およびゴム弾性に寄与する。 | 共重合組成と配列によりガラス転移温度、粘度および加工性が変化する。 |
| ENB由来単位 | 側鎖にエチリデン型不飽和部を持つ単位 | 硫黄加硫速度を高め、架橋点を導入する。 | ジエン量が多いほど一般に加硫速度は高まるが、耐熱老化性との調整が必要である。 |
| DCPD由来単位 | ジシクロペンタジエン由来の環状側鎖構造 | 架橋点を導入し、加工性や加硫挙動を調整する。 | ENB系とは加硫速度、臭気、加工性および最終物性が異なる。 |
EPDMは単一の規則的繰り返し単位だけで表しにくい統計共重合体である。ジエン由来の不飽和部は主として側鎖側に存在し、飽和度の高い主鎖を維持したまま硫黄加硫を可能にする。
種類・代表グレード
| 種類・グレード区分 | 主成分・改質方法 | 代表的特徴 | 物性への影響 | 短所・注意点 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| 標準EPDM | エチレン、プロピレン、ENBなど | 耐候性、耐水性、電気特性のバランスがよい。 | 硬度、強度、伸び、圧縮永久ひずみを広範囲に調整できる。 | 炭化水素油・燃料に弱い。 | シール、ガスケット、ホース、建材 |
| 高エチレン型 | エチレン含有率を高めたEPDM | グリーン強度、押出形状保持性に優れる。 | 強度と結晶性が高まる場合がある。 | 低温柔軟性、混練性を確認する。 | 押出形材、ウェザーストリップ |
| 高ジエン型 | ENBなどのジエン量を増加 | 加硫速度が速く、高架橋密度を得やすい。 | 硬度、弾性、圧縮特性を調整しやすい。 | スコーチと耐熱老化に注意する。 | 高速加硫押出、シール |
| 油展EPDM | パラフィン系プロセスオイルを添加 | 高充填化、混練性、柔軟性に有利である。 | 粘度低下と加工性向上が可能である。 | オイルブリード、接着性を確認する。 | 自動車部品、スポンジ、ホース |
| 耐熱・過酸化物架橋型 | 過酸化物架橋、耐熱安定剤配合 | 高温圧縮特性と熱老化性を改善しやすい。 | 耐熱寿命が向上する場合がある。 | 架橋助剤、臭気、後加硫を確認する。 | 高温シール、ホース、電線 |
| 難燃EPDM | 難燃剤、無機充填材、低煙化配合 | ケーブル、鉄道、建築用途向けである。 | LOIや自己消火性を改善できる。 | 伸び、耐水性、電気特性が低下する場合がある。 | 電線被覆、ケーブル、建築部材 |
| 導電・帯電防止EPDM | 導電性カーボンブラックなど | 静電気を逃がす。 | 体積抵抗率が低下する。 | 絶縁用途には不適である。 | 導電シール、静電気対策部品 |
| スポンジ・発泡EPDM | 化学発泡剤またはガス発泡 | 軽量、柔軟、止水、断熱、緩衝性に優れる。 | 見掛け密度と圧縮荷重を調整できる。 | セル構造、吸水、圧縮残留ひずみを確認する。 | ウェザーストリップ、目地材 |
| 食品・医療用途向け | 規制対応原料、低抽出配合 | 溶出、臭気、抽出物を管理したグレードが存在する。 | 規制適合と清浄性を優先する。 | 個別グレードの証明書が必要である。 | 食品設備、医療機器用シール |
成形加工
| 加工方法 | 適性 | 理由 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| ゴム射出成形 | ◎ | 複雑形状の加硫成形品を量産しやすい。 | スコーチ、金型温度、射出圧力、エア抜き、加硫時間を最適化する。 |
| 押出成形 | ◎ | ウェザーストリップ、ホース、電線被覆に広く用いられる。 | ダイスウェル、押出肌、連続加硫、発泡倍率を管理する。 |
| ブロー成形 | × | 一般的な熱可塑性中空ブロー成形には適さない。 | 中空ゴム製品は他工法を検討する。 |
| 圧縮成形 | ◎ | Oリング、ガスケット、板状品に適する。 | 予備成形重量、エア抜き、加硫温度・時間を管理する。 |
| トランスファー成形 | ○ | インサートや複雑なシール形状に対応できる。 | 流動距離、スコーチ、ランナー廃材を確認する。 |
| カレンダー成形 | ◎ | シート、ゴム引布、防水材に適する。 | 厚み精度、ロール温度、気泡、接着を管理する。 |
| 真空・圧空成形 | × | 架橋ゴムは加熱再軟化しない。 | TPVでは別途評価する。 |
| 発泡成形 | ◎ | 独立気泡・連続気泡スポンジを製造しやすい。 | 発泡剤分解温度、加硫速度、セル径、吸水率を調整する。 |
| 切削加工 | △ | 軟質ゴムは変形しやすい。 | 打抜き、ウォータージェット、研削が適する場合が多い。 |
| 3Dプリント | △ | 一般EPDMの直接造形は限定的である。 | 特殊設備またはTPV代替が必要である。 |
| 接着・塗装・印刷 | △ | 低極性表面のため未処理では難しい。 | 研磨、脱脂、プラズマ、フレーム、プライマーを検討する。 |
一般的な成形・加硫条件
| 項目 | 単位 | 代表範囲 | 適用状態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 予備乾燥 | - | 通常不要 | 未加硫配合ゴム | 結露、異物、水分混入は発泡・接着不良の原因となる。 |
| 混練温度 | ℃ | 60~130 | 密閉混練・ロール | 配合剤、油展量、充填材、スコーチ安全性により調整する。 |
| 押出機ヘッド温度 | ℃ | 50~100 | 未加硫押出 | 押出肌とスコーチを両立させる目安である。 |
| 金型温度 | ℃ | 150~200 | 圧縮・射出 | 加硫系、厚さ、加硫速度により異なる。 |
| 加硫時間 | min | 2~30 | 金型加硫 | レオメータで適正加硫時間を決定する。 |
| 連続加硫温度 | ℃ | 180~260 | 熱風、塩浴、マイクロ波 | ライン速度、断面、発泡条件に依存する。 |
| 成形収縮率 | % | 1.5~3.5 | 加硫成形品 | 配合、硬度、金型温度、後加硫、形状により変動する。 |
| 後加硫 | - | 配合により実施 | 過酸化物架橋など | 残留揮発分、臭気、圧縮永久ひずみ改善を目的とする。 |
代表的な物性値又は機械的性質
以下は、加硫済みの非発泡・一般配合EPDMに関する代表範囲である。EPDMポリマー単体、未加硫ゴム、発泡体、油展品、特殊配合および特定メーカーの保証値とは区別する必要がある。
| 項目 | 単位 | 代表値 | 代表範囲 | 試験条件・状態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 密度 | g/cm³ | 1.15 | 0.90~1.40 | 加硫配合、23℃ | ポリマー自体は概ね0.86~0.88であり、充填材と油により変化する。 |
| 比重 | - | 1.15 | 0.90~1.40 | 加硫配合、23℃ | 配合依存である。 |
| 硬度 | ショアA | 70 | 30~90 | 加硫ソリッド | 一般的なシール材では50~80程度が多い。 |
| 引張強さ・破断 | MPa | 12 | 7~20 | 23℃、加硫配合 | ASTM D412またはISO 37相当の代表範囲である。 |
| 引張破断伸び | % | 400 | 150~700 | 23℃ | 硬度、架橋密度、充填材量により変化する。 |
| 100%引張応力 | MPa | 4.0 | 2~7 | 23℃ | ゴム材料では弾性率の代替指標として用いられる。 |
| 引張弾性率 | MPa | 一般化困難 | データなし | ひずみ依存 | 非線形弾性を示すため単一値で比較しにくい。 |
| 曲げ強さ・曲げ弾性率 | - | 該当なし | 該当なし | ゴム材料 | 硬度、モジュラス、圧縮荷重、動的粘弾性を用いる。 |
| 引裂強さ | kN/m | 30 | 15~50 | 規格依存 | 試験片形状により値が大きく異なる。 |
| 圧縮永久ひずみ | % | 25 | 10~50 | 70℃×22~24 h、25%圧縮目安 | 架橋系、硬度、温度、後加硫で変化する。 |
| 反発弾性 | % | 45 | 30~60 | 23℃ | 配合と温度に依存する。 |
| アイゾット衝撃強さ | kJ/m² | 該当なし | 該当なし | ゴム材料 | 低温衝撃や脆化温度で評価する。 |
| 吸水率・24時間 | % | 0.5 | 0.1~1.5 | 23℃水、加硫配合目安 | 充填材、発泡セル、界面の影響を受ける。 |
| ガラス転移温度 | ℃ | -55 | -65~-45 | 組成依存 | エチレン含有率、配列、ジエン種により変化する。 |
| 融点 | ℃ | 明確な単一融点なし | 該当なし | 統計共重合体 | 高エチレン型では結晶融解ピークを示す場合がある。 |
| HDT 0.45・1.80 MPa | ℃ | 該当なし | 該当なし | 加硫ゴム | 連続使用温度、圧縮永久ひずみ、熱老化で評価する。 |
| 連続使用温度 | ℃ | 120 | 100~150 | 空気中、配合依存 | 150℃級は耐熱配合などに限定される。 |
| 低温使用限界 | ℃ | -45 | -60~-35 | 柔軟性維持目安 | 硬度、結晶化、圧縮状態、規格により異なる。 |
| 熱伝導率 | W/(m・K) | 0.30 | 0.20~0.40 | 23℃ | 充填材と発泡率により変化する。 |
| 体積抵抗率 | Ω・cm | 1×1015 | 1×1012~1×1016 | 絶縁配合、乾燥 | 導電配合では大幅に低下する。 |
| 絶縁破壊強さ | kV/mm | 20 | 10~30 | 厚さ・規格依存 | 配合、水分、試験片厚さに依存する。 |
| 比誘電率・1 kHz | - | 2.8 | 2.5~4.0 | 23℃ | 充填材および含水状態に依存する。 |
| 誘電正接・1 kHz | - | 0.01 | 0.002~0.03 | 23℃ | 配合、周波数、温度に依存する。 |
| UL 94燃焼性 | - | グレード依存 | HB~難燃認証グレード | 厚さ・色・配合依存 | 材料群全体で特定等級を断定できない。 |
| 限界酸素指数・LOI | % | 18 | 17~20 | 無難燃一般配合目安 | 難燃配合では高くなる。 |
材料比較用の概略評価スコア
| 評価項目 | スコア | 評価理由 |
|---|---|---|
| 引張強度 | 3 | 一般工業用ゴムとして標準的である。 |
| 衝撃強度 | 4 | ゴム弾性により衝撃吸収性に優れる。 |
| 耐熱性 | 4 | 汎用ゴムの中では耐熱老化性に優れる。 |
| 低温特性 | 4 | -40℃以下でも柔軟性を保持するグレードがある。 |
| 耐薬品性 | 3 | 水、酸、アルカリには強いが、油・燃料には弱い。 |
| 耐候性 | 5 | 耐オゾン性、耐紫外線性、屋外耐久性に優れる。 |
| 耐加水分解性 | 5 | 主鎖に加水分解されやすい結合を持たない。 |
| 寸法安定性 | 2 | 弾性変形、クリープ、圧縮永久ひずみを考慮する。 |
| 低吸水性 | 4 | ポリマー自体は低極性で吸水が小さい。 |
| 摺動性・耐摩耗性 | 2 | 摩擦係数が高く、摺動専用材料ではない。 |
| 電気絶縁性 | 5 | 低極性で体積抵抗率が高い。 |
| 難燃性 | 2 | 無難燃配合は一般に可燃性である。 |
| 成形加工性 | 4 | 押出、圧縮、射出、発泡に対応する。 |
| 接着性 | 2 | 表面処理と専用接着系が必要である。 |
| リサイクル性 | 2 | 架橋後は再溶融できない。 |
| 価格優位性 | 4 | 特殊ゴムより比較的低価格で供給性も高い。 |
耐薬品性
以下は一般的な加硫EPDMの目安である。薬品濃度、温度、接触時間、浸漬・飛沫・蒸気の別、応力、圧縮率、架橋系、充填材、可塑剤および抽出物により変化する。
| 薬品分類 | 代表薬品 | 濃度 | 温度 | 接触条件 | 評価 | 主な劣化形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 水 | 水道水、純水 | - | 23℃ | 長期浸漬 | ◎ | 影響が小さい | 水質、消毒剤、温度を確認する。 |
| 温水・蒸気 | 温水、飽和蒸気 | - | 80~150℃ | 連続・間欠 | ○ | 圧縮特性低下、抽出 | 耐熱水配合と実機条件を確認する。 |
| 無機酸 | 塩酸、硫酸 | 10% | 23℃ | 浸漬 | ◎ | 影響が小さい | 高濃度・高温では別評価する。 |
| 酸化性酸 | 硝酸 | 10% | 23℃ | 浸漬 | △ | 酸化、硬化 | 濃度と温度上昇で劣化が加速する。 |
| 強アルカリ | NaOH、KOH | 10% | 23℃ | 浸漬 | ◎ | 影響が小さい | 高温・高濃度では実試験する。 |
| 低級アルコール | エタノール、IPA | 99%以下 | 23℃ | 浸漬 | ◎ | 軽微な体積変化 | 変性剤や添加剤に注意する。 |
| 多価アルコール | グリセリン、エチレングリコール | 原液~水溶液 | 23~100℃ | 浸漬 | ◎ | 影響が小さい | 冷却液添加剤を含む実液で確認する。 |
| グリコールエーテル | MMB | 原液 | 23℃ | 浸漬 | △ | 膨潤、軟化 | 実測が必要である。 |
| ケトン | アセトン、MEK | 原液 | 23℃ | 浸漬 | ○ | 軽微な膨潤 | 長期・高温を確認する。 |
| エステル | 酢酸エチル、酢酸ブチル | 原液 | 23℃ | 浸漬 | △ | 膨潤、軟化 | エステル種と架橋密度により差がある。 |
| エーテル | THF、ジエチルエーテル | 原液 | 23℃ | 浸漬 | × | 著しい膨潤 | 短時間接触でも寸法変化を確認する。 |
| 芳香族炭化水素 | トルエン、キシレン | 原液 | 23℃ | 浸漬 | × | 著しい膨潤、軟化 | EPDMとの親和性が高い。 |
| 脂肪族炭化水素 | ヘキサン、ヘプタン | 原液 | 23℃ | 浸漬 | × | 膨潤、強度低下 | 飛沫でもシール寸法を確認する。 |
| 塩素系溶剤 | ジクロロメタン、クロロホルム | 原液 | 23℃ | 浸漬 | × | 著しい膨潤 | 透過性と抽出にも注意する。 |
| 燃料・鉱物油 | ガソリン、軽油、エンジン油 | 市販品 | 23~120℃ | 浸漬・循環 | × | 膨潤、軟化 | NBR、HNBR、FKMを検討する。 |
| ブレーキ液 | グリコールエーテル系 | 市販品 | 23~120℃ | 浸漬 | ◎ | 影響が小さい | 鉱油系など液種を混同しない。 |
| 冷却液 | エチレングリコール水溶液 | 50% | 80~120℃ | 循環 | ◎ | 熱老化 | 防錆剤、pHを含む実液で確認する。 |
| 塩水・海水 | NaCl水溶液、海水 | 3.5%程度 | 23~80℃ | 浸漬 | ◎ | 影響が小さい | 界面腐食と接着剥離を別途確認する。 |
| 酸化剤 | 過酸化水素、次亜塩素酸Na | 3%、200~1000 ppm | 23℃ | 間欠 | ○ | 酸化、退色 | 濃度、pH、温度、繰返し回数を確認する。 |
| 食品油 | 植物油、動物油 | 原液 | 23~100℃ | 接触 | △ | 膨潤、抽出 | 油種と温度により差がある。 |
SP値(溶解度パラメータ)
EPDMの代表的なHildebrand SP値は概ね16.0~17.5 MPa1/2程度が目安である。比較用代表値として16.5 MPa1/2を用いる。架橋状態、共重合組成、充填材、油および推算法により変化する。
SP値差が小さいほど膨潤リスクが高い傾向にあるが、酸化、架橋切断、添加剤抽出、温度、応力、溶剤分子サイズおよびHansen成分も考慮する必要がある。
溶解性の目安
| SP値差 | 溶解・膨潤の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 0~2 | 膨潤・軟化しやすい | × |
| 2~5 | 条件により膨潤する | △ |
| 5~8 | 短時間接触では比較的安定 | ○ |
| 8以上 | 溶解・膨潤しにくい | ◎ |
SP値から見た耐溶剤性
| 薬品名 | SP値 MPa1/2 | EPDMとの差 | 評価 | 解釈 |
|---|---|---|---|---|
| n-ヘキサン | 14.9 | 1.6 | × | SP値が近く、膨潤しやすい。 |
| シクロヘキサン | 16.8 | 0.3 | × | 著しい膨潤が想定される。 |
| トルエン | 18.2 | 1.7 | × | 膨潤リスクが高い。 |
| 酢酸エチル | 18.2 | 1.7 | △ | 極性成分差により実挙動が変わるため実測する。 |
| MEK | 19.0 | 2.5 | △ | 総SP値だけでは評価しにくい。 |
| アセトン | 20.0 | 3.5 | ○ | 短時間接触では比較的良好な場合が多い。 |
| IPA | 23.5 | 7.0 | ○ | 一般に膨潤しにくい。 |
| エタノール | 26.0 | 9.5 | ◎ | 一般に良好である。 |
| エチレングリコール | 29.9 | 13.4 | ◎ | 冷却液用途に適する。 |
| 水 | 47.9 | 31.4 | ◎ | 一般に耐水性に優れる。 |
製法
EPDMは、エチレン、プロピレン、少量の非共役ジエンを、チーグラー・ナッタ触媒、バナジウム系触媒、メタロセン触媒などで共重合して製造する。ジエン成分は主鎖外に反応点を与え、加硫によりゴム弾性を発現する。溶液重合法が代表的である。

代表的な共重合反応
m CH2=CH2 + n CH2=CH-CH3 + p 非共役ジエン → -[CH2-CH2]m-[CH2-CH(CH3)]n-[ジエン由来単位]p-
触媒種、モノマー分圧、水素濃度、温度、滞留時間により、エチレン含有率、ジエン含有率、ムーニー粘度、分子量分布および長鎖分岐を制御する。
| 工程 | 内容 | 管理上の要点 |
|---|---|---|
| 原料精製 | モノマーと溶媒を乾燥・精製する。 | 水分、酸素、硫黄化合物などの触媒毒を管理する。 |
| 共重合 | 触媒存在下で三元共重合する。 | 組成、分子量、分岐、ジエン分布を制御する。 |
| 触媒失活・精製 | 触媒を失活させ、残留物を除去する。 | 灰分、金属残渣、臭気、色調、電気特性への影響を抑える。 |
| 脱溶媒・乾燥 | 脱揮、乾燥でポリマーを回収する。 | 揮発分、ゲル、熱履歴を管理する。 |
| 油展・製品化 | 必要に応じてオイルを添加し、ベールまたはペレット化する。 | 油種、油展量、ブリード、規制適合を確認する。 |
| コンパウンド | 充填材、油、加硫剤、促進剤などを混練する。 | 分散、投入順序、スコーチ、ブルームを管理する。 |
| 加硫 | 硫黄、過酸化物、樹脂系などで架橋する。 | 架橋密度、耐熱性、圧縮永久ひずみ、臭気を評価する。 |
接合・表面処理適性
| 方法 | 適性 | 概要 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 加硫接着 | ◎ | 未加硫EPDMと金属、繊維、他ゴムを加硫時に接着する。 | 専用接着剤、金属前処理、加硫条件、界面汚染を管理する。 |
| 接着剤接合 | △ | プライマーとEPDM対応接着剤を用いる。 | 表面研磨、洗浄、プラズマ処理、可塑剤移行の確認が必要である。 |
| 熱板・超音波・振動溶着 | × | 架橋済みEPDMは再溶融しない。 | TPVや未加硫状態との複合化は別工程として検討する。 |
| 機械締結 | ○ | 押さえ板、ボルト、クランプ、溝構造で固定する。 | 過圧縮、局部応力、クリープ、締付けトルクを管理する。 |
| プラズマ・フレーム処理 | ○ | 表面極性を高め、接着・印刷性を改善する。 | 処理効果の経時低下、過熱、処理ムラを確認する。 |
| コロナ処理 | △ | シートや薄肉表面の濡れ性改善に利用できる。 | 立体形状への均一処理と持続性に限界がある。 |
| 塗装・印刷 | △ | 専用プライマー・インキと表面処理を併用する。 | 屈曲追従性、耐候性、ブリード、密着耐久性を評価する。 |
寸法精度・設計特性
- EPDMは弾性材料であり、短時間の引張強さをそのまま設計許容応力に使用してはならない。温度、圧縮率、時間、応力緩和、クリープ、薬品膨潤および公差を考慮する。
- 静的シールでは適正な圧縮率と溝充填率を設定し、過圧縮による永久ひずみ、はみ出し、発熱を避ける。
- 動的シールでは摩擦、摩耗、潤滑、発熱および相手材表面粗さを確認する。鉱油系潤滑剤との適合性が重要である。
- 押出形材やスポンジでは、収縮、反り、断面変形、発泡セル、接合部およびコーナー部の圧縮荷重を実測する。
- 金属インサートとの複合品では、熱膨張差、界面腐食、接着剤耐久性および残留応力を確認する。
品質・成形不良
| 不良 | 材料側の主因 | 加工条件側の主因 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| スコーチ | 加硫剤・促進剤過多、保管劣化 | 混練温度、押出温度、滞留時間が高い | 加硫系見直し、冷却強化、滞留短縮、スコーチ試験を行う。 |
| 加硫不足 | 加硫剤不足、分散不良 | 温度不足、時間不足、厚肉部の熱不足 | レオメータ評価、金型温度・時間最適化、分散改善を行う。 |
| 過加硫・硬化 | 架橋密度過大、耐熱安定性不足 | 過度な温度・時間 | 加硫曲線と厚み別温度履歴を確認する。 |
| 気泡・ボイド | 水分、揮発分、分散不良 | エア抜き不足、急速加熱、圧力不足 | 原料管理、真空、ベント、予備成形、加硫速度を調整する。 |
| 押出肌不良 | 粘度不適、充填材分散不良、ゲル | 口金設計、温度、速度、せん断不適 | ポリマー選定、混練改善、温度プロファイルと口金を調整する。 |
| ダイスウェル・寸法不良 | 弾性回復大、分子量分布不適 | せん断速度、口金長さ、引取速度不適 | 口金補正、速度調整、分子構造を見直す。 |
| 発泡セル不良 | 発泡剤分散不良、加硫・発泡速度不整合 | 温度ムラ、加熱不足、圧力変動 | 発泡剤と加硫系を合わせ、炉温・速度・断面温度を管理する。 |
| 接着不良 | ワックス・油のブリード、表面汚染 | 前処理不足、乾燥不足、加硫条件不適 | 洗浄、研磨、プライマー、塗布量、乾燥、加硫を管理する。 |
| ブルーム | 加硫剤、促進剤、ワックス、油の過飽和 | 混練・保管温度不適 | 配合溶解性、添加量、保管条件を見直す。 |
| 変色・臭気 | 加硫剤、老化防止剤、残留揮発分 | 過熱、換気不足、後加硫不足 | 低臭気配合、適正加硫、後加硫、揮発分管理を行う。 |
注意点・劣化・故障モード
| 劣化現象 | 主な原因 | 発生しやすい条件 | 外観・性能への影響 | 予防策 | 推奨確認試験 |
|---|---|---|---|---|---|
| 熱酸化劣化 | 高温酸素、残留金属、架橋系 | 120℃以上の長時間使用 | 硬化、亀裂、伸び低下 | 耐熱配合、過酸化物架橋、温度低減 | 熱老化後の硬度、引張、伸び、圧縮永久ひずみ |
| 膨潤 | 油、燃料、炭化水素溶剤 | 浸漬、高温、長時間 | 体積増加、軟化、シール圧低下 | 適合材への変更、遮蔽、接触時間短縮 | 実液浸漬による質量・体積・硬度・引張保持率 |
| 添加剤抽出 | 水、洗浄剤、溶剤、食品 | 高温浸漬、繰返し洗浄 | 硬度変化、白化、臭気、溶出 | 低抽出配合、後加硫、規制対応材 | 溶出試験、抽出物分析、繰返し洗浄試験 |
| 圧縮永久ひずみ | 架橋密度不足、熱老化、過圧縮 | 高温・長時間圧縮 | シール復元力低下、漏れ | 適正圧縮率、耐熱架橋系、溝設計 | 実温度・圧縮率・時間での圧縮永久ひずみ試験 |
| 応力緩和 | 粘弾性、熱、架橋再配列 | 長期締付け、高温 | 締結力・接触圧低下 | 安全率、締結構造、架橋系最適化 | 圧縮応力緩和試験 |
| 紫外線劣化 | 紫外線、酸素、顔料 | 屋外長期、淡色配合 | 退色、チョーキング、表面亀裂 | カーボンブラック、UV安定剤、耐候配合 | キセノンアークまたはサンシャイン試験 |
| 低温硬化・結晶化 | 高エチレン組成、低温 | 寒冷地、長時間低温保持 | 弾性低下、漏れ、亀裂 | 低温グレード選定、圧縮設計 | 低温脆化、TR、低温圧縮復元試験 |
| 接着界面剥離 | 低表面エネルギー、油・ワックス移行 | 水、熱、屈曲、薬品曝露 | 端部剥離、漏れ | 表面処理、専用プライマー、界面封止 | 剥離、熱水・湿熱後接着強度 |
| アウトガス | 残留揮発分、プロセス油、加硫副生成物 | 真空、高温、クリーン用途 | 汚染、曇り、臭気、質量減少 | 低揮発配合、後加硫、洗浄 | TML、CVCM、GC-MS、フォギング試験 |
法規制・認証
| 規制・認証 | 一般的な位置付け | 確認事項 |
|---|---|---|
| RoHS | 対応可能な配合が存在する。 | 加硫剤、促進剤、顔料、充填材、接着剤を含む完成配合の証明書を確認する。 |
| REACH・SVHC | 個別グレード・配合で確認する。 | 最新のSDS、chemSHERPA、適合宣言を確認する。 |
| ELV | 自動車用途で対応配合が一般的である。 | 規制重金属と用途別材料規格を確認する。 |
| PFAS関連規制 | EPDM主ポリマーは通常フッ素系ではない。 | 離型剤、加工助剤、コーティング、接着剤など副資材を個別確認する。 |
| FDA・EU食品接触 | 適合グレード・配合が存在する。 | 使用温度、食品種、接触時間、抽出条件、色、添加剤、製造拠点を確認する。 |
| 日本の食品衛生法 | 用途と構成材料に応じて確認する。 | 原材料、添加剤、接着剤、着色剤、溶出試験、ポジティブリストを確認する。 |
| USP Class VI・ISO 10993 | 特定医療グレード・完成配合に限定される。 | 滅菌方法、抽出物、製品加工履歴を含めて評価する。 |
| UL認証 | 電線・ケーブル向け認証配合が存在する。 | ULファイル番号、厚さ、色、温度定格、燃焼性、RTIを確認する。 |
| 自動車材料規格 | 多数のOEM・部品規格対応配合がある。 | 耐熱、臭気、フォギング、オゾン、冷却液、ブレーキ液などを確認する。 |
環境・リサイクル性・価格・供給性
| 項目 | 概略評価 | 内容 |
|---|---|---|
| 熱可塑性・熱硬化性 | 架橋後は熱硬化性相当 | 加硫EPDMは三次元架橋しており再溶融しない。 |
| マテリアルリサイクル | 限定的 | 粉砕ゴム、再生ゴム、脱架橋材として利用できるが、物性低下に注意する。 |
| ケミカルリサイクル | 開発・限定利用 | 熱分解、油化、脱架橋などが検討される。 |
| サーマルリサイクル | 可能 | 燃焼設備、排ガス処理、配合成分を確認する。 |
| 生分解性 | なし | 一般的なEPDMは生分解性材料ではない。 |
| バイオベース | 限定的 | バイオ由来モノマーの採用有無は個別確認が必要である。 |
| 価格区分 | 比較的低価格~中価格 | 特殊耐熱ゴムより一般に低価格であるが、難燃、食品・医療対応で上昇する。 |
| 国内入手性 | 良好 | 原料、コンパウンド、シート、スポンジ、押出品、成形品が広く流通する。 |
| 少量購入 | 成形素材は比較的容易 | シート、丸紐、スポンジ、Oリングは少量入手しやすい。特注配合は最小ロットが大きい。 |
詳細な利用用途
| 分野 | 代表用途 | 採用理由 | 選定上の注意 |
|---|---|---|---|
| 自動車 | ウェザーストリップ、ラジエーターホース、冷却系ホース、ブレーキ系シール、グロメット | 耐候性、耐熱老化性、耐水性、冷却液・ブレーキ液適合性 | 燃料油・エンジン油、圧縮永久ひずみ、低温性、OEM規格を確認する。 |
| 建築・土木 | ガスケット、防水シート、屋根材、目地材、止水材 | 耐候性、耐オゾン性、耐水性、屋外耐久性 | 接着、紫外線、応力緩和、難燃規格、施工条件を確認する。 |
| 電気・電子 | 電線被覆、ケーブルシース、絶縁部品、コネクタシール | 電気絶縁性、耐熱性、耐候性、柔軟性 | 難燃性、煙、ハロゲンフリー、体積抵抗率、抽出イオンを確認する。 |
| 機械・設備 | Oリング、ガスケット、ダイヤフラム、防振材、ホース | 水、蒸気、酸、アルカリへの適合性 | 鉱油、潤滑油、摺動摩耗、圧力、温度を確認する。 |
| 食品機械 | ガスケット、パッキン、ホース、扉シール | 温水・洗浄剤適合性、低臭気配合 | 食品接触適合、溶出、CIP・SIP、次亜塩素酸、油脂を確認する。 |
| 医療・製薬 | シール、ガスケット、チューブ、機器カバー | 水系薬液、蒸気、柔軟性、低抽出グレード | ISO 10993、USP、滅菌、粒子、アウトガス、抽出物を評価する。 |
| 水処理・配管 | バルブシート、フランジガスケット、膜設備シール | 水、塩水、希酸、希アルカリへの耐性 | 塩素、オゾン、過酸化物、温度、圧力を確認する。 |
用途別選定
| 用途 | 適性 | 理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ギア・軸受・ブッシュ | × | 剛性と摺動性が不足する。 | 防振用途を除き、POM、PA、PTFE系などを検討する。 |
| ローラー | ○ | 弾性、耐候性、水系環境への適性がある。 | 耐摩耗性、接着、駆動油、洗浄剤、発熱を確認する。 |
| ポンプ・バルブ部品 | ○ | 水・酸・アルカリ系のシールに適する。 | 油、燃料、芳香族溶剤には不適である。 |
| シール・ガスケット・Oリング | ◎ | 耐候性、耐水性、圧縮弾性に優れる。 | 流体、温度、圧力、圧縮永久ひずみを確認する。 |
| チューブ・ホース | ◎ | 押出性、耐熱水性、耐候性に優れる。 | 油・燃料用途を避け、補強、透過、内圧を確認する。 |
| フィルム・シート | ○ | 防水シート、膜材、ゴムシートに適する。 | 一般熱可塑性フィルムのような再溶融成形ではない。 |
| 電気絶縁部品 | ◎ | 体積抵抗率、耐候性、耐水性に優れる。 | 導電充填材、難燃剤、吸湿汚染を確認する。 |
| 透明カバー・レンズ | × | 一般配合は不透明である。 | シリコーンゴムや透明樹脂を検討する。 |
| 自動車内外装 | ◎ | ウェザーストリップやシールに適する。 | 臭気、フォギング、外観、低温性を確認する。 |
| エンジンルーム | ○ | 熱、水、冷却液に比較的強い。 | エンジン油、燃料、局部高温には材質変更を検討する。 |
| 燃料系部品 | × | 燃料で膨潤しやすい。 | NBR、HNBR、FKM、FVMQを検討する。 |
| 食品機械部品 | ○ | 水、洗浄剤、温水シールに適する。 | 食品接触証明、油脂、CIP温度、溶出を確認する。 |
| 医療機器部品 | △ | 医療向け配合が存在する。 | 生体適合性、滅菌、粒子、抽出物は完成品で評価する。 |
| 真空装置部品 | △ | 低真空のシールには利用できる場合がある。 | アウトガス、ガス透過、圧縮永久ひずみを確認する。 |
| 建築部材・屋外部品 | ◎ | 耐候性、耐オゾン性、耐水性に優れる。 | 難燃性、接着、長期圧縮、色調保持を確認する。 |
| 接着剤・塗料・コーティング | △ | 改質材やゴム系被覆として利用される場合がある。 | 溶剤選定、架橋、基材密着、膨潤を確認する。 |
関連材料との比較
| 比較材料 | 特徴 | EPDMが有利な点 | 比較材料が有利な点 |
|---|---|---|---|
| アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR) | 鉱物油、燃料、潤滑油への耐性に優れる。 | 耐候性、耐オゾン性、耐水性、冷却液適合性で有利である。 | 鉱油、燃料油への耐性で有利である。 |
| クロロプレンゴム(CR) | 耐候性、耐油性、難燃性、接着性のバランスがよい。 | 耐水性、電気絶縁性、耐熱老化性で有利な場合がある。 | 耐油性、難燃性、接着性で有利な場合がある。 |
| シリコーンゴム(VMQ) | 広い温度範囲、耐熱性、耐寒性に優れる。 | 引裂、耐水蒸気、ガス透過、価格で有利な場合がある。 | 高温、極低温、透明性、清浄用途で有利な場合がある。 |
| イソプレンゴム(IR) | 天然ゴムに近い高弾性、機械強度を持つ。 | 耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性で有利である。 | 反発弾性、引張強さ、耐疲労性で有利な場合がある。 |
| 天然ゴム(NR) | 高い引張強さ、反発弾性、耐摩耗性を持つ。 | 屋外耐久、オゾン、熱、水、電気絶縁で有利である。 | 機械強度、耐疲労、引裂で有利な場合がある。 |
| ポリブタジエンゴム(BR) | 低発熱、耐摩耗、低温性、反発弾性に優れる。 | 耐候性、耐オゾン性、耐熱水性で有利である。 | 耐摩耗、反発、動的特性で有利である。 |
| クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM) | 耐候性、耐薬品性、難燃性、着色性に優れる。 | 価格、供給性、低温性で有利である。 | 難燃性、耐油性、薬品耐性で有利な場合がある。 |
| 塩素化ポリエチレン(CPE) | 耐候性、難燃性、耐薬品性を持つ。 | ゴム弾性、耐水性、圧縮シール実績で有利である。 | 難燃化、樹脂改質、耐油性で有利な場合がある。 |
代表的なメーカー
| メーカー | 代表製品・ブランド | 概要 |
|---|---|---|
| 三井化学 | MITSUI EPT™ | 自動車部品、ホース、ウェザーストリップ、電線などに用いられるEPDMを展開する。 |
| ARLANXEO | Keltan® | 各種分子構造、ムーニー粘度、ジエン量、油展タイプを含むEPDM製品群を展開する。 |
| Dow | NORDEL™ | 自動車、建築、電線、工業用途向けEPDM製品群を展開する。 |
| ExxonMobil Product Solutions | Vistalon™ | 加工性、押出性、加硫性および用途別要求に対応するEPDMを展開する。 |
| 住友化学 | ESPRENE™ | エチレン・プロピレン系ゴムを自動車、電線、工業用途向けに展開する。 |
| Kumho Polychem | KEP | 自動車、建築、電線、一般工業用途向けEPDMを供給する。 |
推奨確認試験
- 実薬品浸漬試験:実液を用い、濃度、最低・最高温度、接触時間を再現し、質量、体積、硬度、引張強さ、伸びおよび外観を評価する。
- 圧縮永久ひずみ・圧縮応力緩和試験:実部品の圧縮率、温度、時間、流体環境を模擬し、シール面圧の保持性を確認する。
- 熱老化試験:使用上限温度と想定寿命に応じて、硬度変化、引張特性保持率、亀裂および重量変化を測定する。
- 紫外線促進耐候試験:屋外用途では外観、色差、表面亀裂および強度保持率を評価する。
- 低温試験:最低使用温度での圧縮復元、TR試験、低温脆化およびシール漏れを確認する。
- 接着耐久試験:熱水、高温高湿、塩水、薬液および温度サイクル後の剥離強度を評価する。
- 溶出・アウトガス試験:食品、医療、電子、真空用途では抽出物、TML、CVCM、フォギングおよび臭気を確認する。
- 実部品耐久試験:実際の溝形状、締結、圧力、振動、薬液、温度サイクルおよび繰返し回数を再現する。
関連キーワード
EPDM / エチレンプロピレンジエンゴム / 合成ゴム・ゴム類 / エラストマーの耐薬品性 / エラストマーの流体適合性 / ゴムのSP値 / NBR / CR / シリコーンゴム / イソプレンゴム / 天然ゴム / ポリブタジエン / CSM / CPE / ENB・DCPD・硫黄加硫・過酸化物架橋・ウェザーストリップ・Oリング・圧縮永久ひずみ
本ページの評価と数値は材料群としての一般的な代表値・目安である。実使用では、個別グレード、配合、硬度、架橋系、試験規格、試験片形状、温度、湿度、薬品濃度、荷重、応力、圧力、接触時間、成形条件および法規制適合を確認し、実部品による評価を行う必要がある。